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<図1>
  • 特許-力センサ用弾性防湿バリア 図1
  • 特許-力センサ用弾性防湿バリア 図2
  • 特許-力センサ用弾性防湿バリア 図3
  • 特許-力センサ用弾性防湿バリア 図4A
  • 特許-力センサ用弾性防湿バリア 図4B
  • 特許-力センサ用弾性防湿バリア 図4C
  • 特許-力センサ用弾性防湿バリア 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】力センサ用弾性防湿バリア
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
A61B5/00 101M
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019546384
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 IB2018051292
(87)【国際公開番号】W WO2018158709
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2019-10-24
(31)【優先権主張番号】62/464,900
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516134383
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル・インターナショナル・ホールディング・エスエーアールエル
【氏名又は名称原語表記】St. Jude Medical International Holding S.a,r.l.
【住所又は居所原語表記】Regus Center, 26, boulevard Royal,L-2449 Luxembourg,Luxembourg
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャオピン グオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ホルムバーグ
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0294144(US,A1)
【文献】特開平10-305093(JP,A)
【文献】特開2011-147783(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0276643(US,A1)
【文献】特表2011-507605(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0270046(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/01
A61B 5/02- 5/03
A61B 5/04- 5/053
A61M 25/00-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
シャフト長手方向軸に沿って延び、シャフト基端部とシャフト先端部とを含む細長いシャフトと、
前記シャフト先端部に配置され、センサ基端部とセンサ先端部とを含む力センサと、
前記センサ先端部に配置されるチップと、
前記シャフト先端部と前記チップとの間で前記シャフト長手方向軸に沿って延び、バリア孔を画定する管状防湿バリアと、を備え、
前記力センサは、前記バリア孔内に配置され、
前記管状防湿バリアは、内層と外層と、前記内層と前記外層との間に配置される中間層と、を含み、
前記中間層は非極性ポリマーから形成され、前記内層および外層は同一または異なるポリマーから形成され、
前記内層および前記外層の融点は、前記中間層の融点よりも、摂氏1℃から100℃の範囲で低い、医療デバイス。
【請求項2】
前記内層は極性ポリマーから形成され、前記外層は非極性ポリマーから形成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記内層は非極性ポリマーから形成され、前記外層は極性ポリマーから形成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記内層および前記外層の融点は、前記中間層の融点よりも、摂氏5°Cから50°Cの範囲で低い、
請求項1から3のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記管状防湿バリアは、可撓性ポリマーから形成される、請求項1からのいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記管状防湿バリアは、前記チップの基端部に接続される、請求項1からのいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記管状防湿バリアは、前記シャフト先端部に接続される、請求項1からのいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記管状防湿バリアは、前記細長いシャフトを形成する材料とは異なる材料から形成される、請求項1からのいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記管状防湿バリアは、前記細長いシャフトよりも高い可撓性を有する、請求項に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記力センサは、前記チップに印加される力に応じて変形するよう構成され、
前記管状防湿バリアは、前記チップに印加される前記力に応じて、前記力センサと共に変形するよう構成される、請求項1からのいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
医療デバイスであって、
シャフト長手方向軸に沿って延び、シャフト基端部とシャフト先端部とを含む細長いシャフトと、
前記シャフト先端部に配置され、センサ基端部とセンサ先端部とを含む力センサと、
前記センサ先端部に配置されるチップと、
前記シャフト先端部と前記チップとの間で前記シャフト長手方向軸に沿って延び、バリア孔を画定する管状防湿バリアと、を備え、
前記力センサは、前記バリア孔内に配置され、
前記管状防湿バリアを形成する材料は、摂氏60°C以上の熱転移温度を有する熱可塑性材料である、医療デバイス。
【請求項12】
医療デバイスであって、
シャフト長手方向軸に沿って延び、シャフト基端部とシャフト先端部とを含む細長いシャフトと、
前記シャフト先端部に配置され、センサ基端部とセンサ先端部とを含む力センサと、
前記センサ先端部に配置されるチップであって、前記チップはチップ基端部を含み、前記チップ基端部は、前記チップ基端部の外側基端表面の周囲に円周方向に延びる凹状レッジを画定する、前記チップと、
前記シャフト先端部と前記チップとの間で前記シャフト長手方向軸に沿って延び、バリア孔を画定する管状防湿バリアであって、前記管状防湿バリアは内層と外層とを含み、前記外層は前記内層と同軸上に接合され、前記力センサは前記バリア孔内に配置される、前記管状防湿バリアと、
前記凹状レッジ内に配置される接続ポリマーのリングであって、前記管状防湿バリアの先端部は前記接続ポリマーのリングに接合される、前記接続ポリマーのリングと、を備える、医療デバイス。
【請求項13】
前記外層と前記内層とは、異なる極性を有するポリマー材料から形成され、
前記内層と前記外層とは、前記接続ポリマーのリングに接合される、
請求項12に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、力センサ用のエラストマー防湿バリアに関する。
【背景技術】
【0002】
長年にわたり、カテーテルを用いた診療および治療システムを使用して、様々な臓器または血管の診査および治療が可能である。そのようなカテーテルは、診査または治療される臓器の空洞へと血管を通して導入されるか、または、臓器の壁に作られた切開部を通して直接導入可能である。このようにして、患者は通常、観血的手術処置に伴う外傷および長期療養を回避する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
効果的な診断または治療を提供するためには、まず治療すべき範囲を高い精度でマッピングすることが必要である場合が多い。このような従来公知のマッピングシステムの欠点の1つは、いつカテーテルが血管または臓器内に適切に配置されるのかを、カテーテルの手動フィードバックおよび/またはインピーダンス測定に依存して決定することである。これらのシステムは、血管または臓器壁との接触力を測定することもしなければ、臓器または血管壁に対してカテーテルによって加えられ、真の壁の位置を変える可能性がある接触力を検出することもしない。それどころか、従来公知のマッピング方法は、時間がかかり、臨床医の技術に依存し、過度の接触力によって生成されるアーチファクトを補償することができない。
【0004】
同一または異なるカテーテルによって、治療されるべき範囲に治療を施すことができる。血管または臓器に適用される特定の処置に応じて、カテーテルは、例えば、RFアブレーション電極、回転式またはシザー動作切断ヘッド、レーザーアブレーションシステム、注入針または縫合針、流体輸送システム、鉗子、マニピュレータ、マッピング電極、内視鏡視覚システム、および遺伝的含浸装置のような治療送達システムなどの、多数のエンドエフェクタのいずれかを含み得る。ただし、エンドエフェクタは、上述のものに限定されない。
【0005】
このようなエンドエフェクタの有効性は、しばしば、エンドエフェクタと臓器または血管壁の組織との接触に依存する。多くの従来公知の治療システムは、組織と接触したカテーテルの先端を安定化する、拡張可能なバスケットまたはフックを含む。しかし、そのような構成は、臓器または血管の動きに起因して、本質的に不正確であり得る。さらに、従来公知のシステムは、組織壁の動きによってカテーテルの先端に加えられる負荷を感知する能力を提供しない。
【0006】
例えば、心臓アブレーションシステムの場合、治療システムのエンドエフェクタと組織壁との間にギャップが形成されていると、治療が有効ではなくなり、組織範囲を十分に切除できない可能性がある。その一方で、カテーテルのエンドエフェクタが過剰な力で組織壁に接触すると、組織がうっかり穿刺されてしまい、心タンポナーデが生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の様々な実施形態は、医療デバイスを含む。医療デバイスは、シャフト長手方向軸に沿って延びる細長いシャフトを含んでよく、このシャフトは、シャフト基端部およびシャフト先端部を含んでもよい。力センサは、シャフトの基端部に配置されてよく、センサ基端部とセンサ先端部を含んでよい。センサ先端部には、チップが配置されてよい。管状防湿バリアは、バリア孔を画定し、シャフト先端部とチップとの間でシャフト長手方向軸に沿って延び、力センサは、バリア孔内に配置されてよい。
【0008】
本開示の様々な実施形態は、医療デバイスを含む。医療デバイスは、シャフト長手方向軸に沿って延びる細長いシャフトを含んでよく、このシャフトは、シャフト基端部およびシャフト先端部を含んでよい。力センサは、シャフトの先端部に配置されてよく、センサ基端部とセンサ先端部とを含んでよい。チップは、センサ先端部に配置される。管状防湿バリアは、シャフト先端部とチップとの間でシャフト長手方向軸に沿って延在し、バリア孔を画定し、内層と外層とを含んでよく、外層は内層と同軸上に接合され、力センサは、バリア孔内に配置される。
【0009】
本開示の様々な実施形態は、医療デバイスを含む。医療デバイスは、シャフト長手方向軸に沿って延びる細長いシャフトを含んでよく、このシャフトは、シャフト基端部およびシャフト先端部を含んでよい。力センサは、シャフト先端部に配置されてよく、センサ基端部とセンサ先端部とを含んでよい。チップは、センサ先端部に配置され、チップ基端部を含んでよく、このチップ基端部は、チップ基端部の外側基端表面の周囲に円周方向に延びる凹状レッジを画定する。管状防湿バリアは、シャフト先端部とチップとの間でシャフト長手方向軸に沿って延在し、バリア孔を画定し、内層と外層とを含んでよく、外層は内層と同軸上に接合され、力センサは、バリア孔内に配置される。極性ポリマーのリングは凹状レッジ内に配置され、管状防湿バリアの先端部は極性ポリマーのリングに接合される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態による力感知システムのブロック図である。
図2】本開示の実施形態による、光ファイバ力感知アセンブリを有するカテーテルアセンブリの先端部分の部分切断図である。
図3】本開示の実施形態による、光ファイバ力感知アセンブリの拡大斜視図である。
図4】本開示の実施形態による、力センサおよび管状防湿バリアを含む医療デバイスの側面の断面図を示す。
図5】本開示の実施形態による、内層、外層、および中間層を有する、図4Aに示される管状防湿バリア174’の側面の拡大断面図を示す。
図6】本開示の実施形態による、内層および外層を有する、図4Aに示す管状防湿バリアの側面の拡大断面図を示す。
図7】本開示の実施形態による、力センサ及び管状防湿バリアを含む医療デバイスの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本開示の実施形態による力感知システムのブロック図である。2017年2月28日に出願された米国仮特許出願第62/464,900号は、本明細書に完全に記載されているものとして、参照により本明細書に組み込まれる。感知システム40は、電磁源42と、カプラ44と、受信器46と、マイクロプロセッサ48及びコンピュータ可読記憶装置49に動作可能に結合されたオペレータコンソール47と、を備えてよい。電磁源42は、レーザーや広帯域光源といった、本来略定常状態である電磁放射線の透過放射線50を出力する。光ファイバケーブルといった伝送線52は、透過放射線50をカプラ44に送り、カプラは、送受信線54および可撓性の細長いカテーテルアセンブリ57内に収容される図示されていない光ファイバ素子を通して、透過放射線50を光ファイバ感知素子60へ向かわせる。カテーテルアセンブリ57の光ファイバ素子および送受信線54は、図1に示すように、コネクタ56を介して結合されてよい。
【0012】
カテーテルアセンブリ57は、身体の血管または臓器への挿入に適した幅および長さを有してよい。一実施形態では、カテーテルアセンブリ57は、基端部分57a、中間部分57b、および先端部分57cを備える。先端部分57cは、光ファイバ感知素子60を収容するエンドエフェクタ58を含んでよい。カテーテルアセンブリ57は、用途に応じて、中空構造(すなわち、孔を有する)または非中空構造(すなわち、孔がない)とすることができる。本開示の様々な実施形態では、カテーテルアセンブリ57は、エンドエフェクタ58に加えられる接触力に反応するギャップ55を含んでよい。
【0013】
一実施形態では、図示されていないが、温度センサが、カテーテルアセンブリ57を経由して、コネクタ56から出るリード線64へ配線されてよい。リード線64は、温度センサから受信した信号を調整し、デジタル信号68に変換する温度感知モジュール66へ配線されてよい。デジタル信号68は、マイクロプロセッサ48に送られて処理される。
【0014】
図2は、本開示の実施形態による、光ファイバ力感知アセンブリ92を有するカテーテルアセンブリの先端部分の部分切断図である。光ファイバ力感知アセンブリ92は、例えば、エンドエフェクタ88の先端部94が身体の血管又は臓器の壁に接触した際に、先端部94に加えられる接触力Fに応じて屈曲するマルチセグメント構造部材96として構成されてよい。本開示の実施形態において、例えば、血管又は臓器の診断又は治療のために当該技術分野で知られているような、マッピング電極やアブレーション電極といった異なる種類の一つ以上のエンドエフェクタ88を利用できることを理解されたい。例えば、カテーテルアセンブリ57は、心臓マッピング及びアブレーションを行うための電気生理学的カテーテルとして構成されてよい。他の実施形態では、カテーテルアセンブリ57は、血管または臓器の壁に薬物または生物活性剤を送るように構成されてよいし、または経心筋的血行再建術や冷凍アブレーションのような低侵襲性処置を行うように構成されてもよい。
【0015】
図3は、図2に関連して説明したような、本開示の実施形態による光ファイバ力感知アセンブリ98aの拡大斜視図である。光ファイバ力感知アセンブリ98aは、四分割構造部材102と、複数の光ファイバ104-1、104-2(図示されていない)、104-3とを含んでよい。構造部材102は、チタンまたは白金/イリジウムなどの金属材料、あるいは、ポリマーまたはセラミックなどの非金属材料から形成されてよい。いくつかの実施形態では、四分割構造部材102は、長手方向軸110を画定し、外面112を含む中空円筒管156を含んでよい。四分割構造部材102は、4つのセグメントに分割されており、これらのセグメントは、基端セグメント118-1、第1中間セグメント118-2、第2中間セグメント118-3及び先端セグメント118-4として識別され、以下、セグメント118と称される。セグメント118は、長手方向軸110に沿って直列配置で互いに連続的に隣接している。
【0016】
一実施形態では、セグメント118は、湾曲部128-1、128-2、128-3として個別に識別され、以下では湾曲部128と呼ばれる複数の湾曲部によって架橋されており、複数の湾曲軸を画定する。一実施形態では、隣接するセグメント11は、以下ではスロット136と称される複数のスロットである先端スロット136-1、中間スロット136-2、および基端スロット136-3を画定する。いくつかの実施形態では、先端スロットは、光ファイバ104-1、104-2(図示されていない)、104-3を取り付けるための接着チャネルとして使用されてよい。
【0017】
四分割構造部材102は、外面112に形成され、以下では溝142と称される複数の溝142-1、142-2、142-3を含んでよい。溝142は、長手方向軸110を中心として回転方向に、等間隔(例えば、3ファイバ・システムの場合は120°の間隔)に配置されてよく、四分割構造部材102に沿って、略軸方向に配向されてよい。しかし、いくつかの実施形態において、溝142は、等間隔でなくてもよい。
【0018】
以下において光ファイバ104と称される複数の光ファイバ104-1、104-2(図示されていない)、104-3は、溝142内に配置され、それぞれの先端部150-1、150-2(図示されていない)、150-3が、スロット136内またはスロット136に隣接して終端するように、ポッティング(例えばエポキシ樹脂)で溝に固定されてよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、基端部152-1、152-2(図示されていない)、152-3をそれぞれ有する反射部材151-1、151-2(図示されていない)、151-3は、基端部152が光ファイバ104の先端部150-1、150-2、150-3と軸方向に一直線に並び、かつそれらより先端側に位置するように配置される。各反射部材151は、複数の光ファイバ104のうちの対応する光ファイバの先端部150と対になり、略一列に整列している。複数のギャップ153-1、153-2(図示されていない)、153-3が、光ファイバ104の各先端部150と反射部材151の基端部152との間に一つずつ画定される。
【0020】
反射部材151の基端部152は、高反射性を有するよう構成されていてよい。一方、光ファイバ104の先端部150は、ファブリ・ペロー効果を確立することができるように、部分的にのみ反射するよう構成されてよい。電磁放射線が光ファイバ104を通して伝わると、反射部材151の高反射性基端部152と光ファイバ104の部分反射性先端部との間の相互作用により、それらの間に相互反射が生じ、ギャップ153の寸法に依存する周波数を有する干渉パターンが確立される。得られた変調波形は、図1および図2で説明したように、光ファイバ104を介して送り返される。
【0021】
別の実施形態では、光ファイバ104の先端部150は半反射性コーティングで処理されず、実際には反射防止コーティング(図示されていない)で処理されてよい。このような構成により、光ファイバを介して受信器46に戻される反射放射線の強度を、増強または最適化することができる。ギャップ153のサイズは、受信器46によって検出される反射光の強度から推測することができる。光ファイバ104によって集められる反射光の強度は、先端部150と反射部材151の高反射性基端部152との間の距離によって、変化してよい。
【0022】
一実施形態では、エンドエフェクタ88に力(F)が加えられることに応じて光ファイバ力感知アセンブリ92(図2)が変形される際、光ファイバからの入射光線は、反射部材151の基端部152とは異なるように反射される。ファブリ・ペロー光干渉法の原理によれば、得られた反射光線は異なる光干渉図をもたらし、これらを数学的に解析することで、センサ本体または先端アブレーションチップに加わる外力に関する情報を導出することができる。しかしながら、受信器46に戻される反射放射線の強度は、ギャップ153と干渉する異物の存在により変化し得る。言うまでもなく、センサ本体内のミラーギャップには、カテーテルのポリマー材料を介して移動する可能性のある水分を含む、いかなる異物も付着していてはならない。もし付着していると、このような異物は、入射光線及び反射光線、ひいては力センサの光干渉図を変化させてしまい、外力の検出が変造されたり、ノイズだらけになってしまうことがある。例えば、水分または粒子状物質がギャップ153に入ると、それにより、戻される反射光線の強度が変わってしまう可能性がある。したがって、受信器に戻される反射放射線の強度に基づいて行われる外力に関する計算が、歪められる可能性がある。通常、エンドエフェクタ88は、光信号強度が低すぎるため(例えば、信号対雑音比が低すぎるため)、力の報告を停止し得る。
【0023】
図3はさらに、熱電対149を示している。熱電対149は、構造部材102の外部に沿って配線され、熱電対149の温度感知接合部が湾曲部128-2の外面と接触するように配置される。他の実施形態では、温度センサは、構造部材102の内部に沿って配線され、湾曲部の内面と感知接触して配置されてもよい。各湾曲部128の温度変化を感知することによって、各湾曲部の寸法に関して熱的に誘発された変化を推測することができ、ギャップ153のサイズの計算において湾曲部の熱膨張を補償するために使用される。
【0024】
図4Aは、本開示の実施形態による、力センサ172および管状防湿バリア174を含む医療デバイス170の側面の断面図を示す。いくつかの実施形態では、医療デバイス170は、ポリマー材料から形成され、シャフト長手方向軸aaに沿って延びる細長いシャフト176を含んでよい。細長いシャフト176は、図示しないシャフト基端部と、シャフト先端部178とを含んでよい。いくつかの実施形態では、力センサ172は、シャフト先端部178上に配置され、センサ基端部180およびセンサ先端部182を含み、シャフト長手方向軸aaに沿って延在してよい。細長いシャフト176の先端部は、シャフトのポリマー材料の接着接合および/または熱融着によって、力センサ172の基端部に接続されてよい。いくつかの実施形態において、力センサ172は、図1から図3に関連して説明したように、光学力感知アセンブリであってもよい。いくつかの実施形態では、力センサ172は別のタイプの力センサであってもよく、本明細書で説明するように、必ずしも光学的力感知アセンブリと同じ特徴を含んでいなくてもよい。さらに、本開示のいくつかの実施形態は、力センサ172の代わりに、異なるタイプのセンサを含んでもよい。例えば、本開示の実施形態は、位置センサや診断センサなどといった異なるタイプのセンサを含んでもよい。
【0025】
図4Aに示されるように、力センサ172は、先端スロット184-1、中間スロット184-2、および基端スロット184-3を含む複数のスロットを画定してよく、これにより、センサ先端部182上に配置される医療デバイス170のチップ186へ力が印加されると、力センサ172が変形できる。
【0026】
いくつかの実施形態では、チップ186は、金属(例えば、白金または白金合金)から形成され、シャフト長手方向軸aaに沿って延在してよい。チップ186は、力センサ172の先端部が挿入されるセンサ孔206を画定してよい。チップ186は、力センサ172の先端部に永久的に溶接されていてよい。チップ186は、チップ186の一部を通って延びる潅注孔188を画定してよい。いくつかの実施形態において、潅注チューブが、力センサ172の中心を通る潅注孔中を通っていてよい。潅注チューブは、チップ186から、力センサ172および細長いシャフト176を通って、基端方向に延びてよい。
【0027】
前述したように、力センサ172は、複数の光ファイバ素子190-1、190-2、190-3を含んでよく、複数の光ファイバ素子は、以下、光ファイバ素子190と称する。各光ファイバ素子190の先端部は、各スロット184内に配置されてよい。いくつかの実施形態において、光ファイバ素子190-1、190-2の先端部は、中間スロット184-2内に配置されてよく、光ファイバ素子190-3の先端部は、基端スロット184-3内に配置されてよい。前述したように、先端スロット184-1は、接着チャネルとして使用されてよい。各光ファイバ素子190は、前述のように反射部材を含んでよいが、図4Aには示されていない。本明細書で論じられるように、力センサ172の変形量に応じて、スロットが軸方向に拡大または収縮することより、各光ファイバ素子190の先端部とそれに対応する反射部材との間に様々な大きさのギャップが生じるため、異なる光干渉図が得られる。しかしながら、上述したように、スロット184内に異物(例えば水分)が存在し、光ファイバ素子190とそれに対応する反射部材との間のギャップと干渉すると、入射光線と反射光線が変化されてしまい、外力の検出が変造されたり、ノイズだらけになってしまうことがある。その結果、上述したように、光信号強度が低すぎる(例えば、信号対雑音比が低すぎる)ため、力センサ172が力の報告を停止するおそれがある。
【0028】
潅注チューブからの水分移動を防止するために、潅注チューブは、潅注孔内を通り、力センサ172によって画定される潅注孔の基端および先端においてシール(例えば、ポッティング接着剤を介して)され、本明細書でさらに議論されるように、光ファイバ素子190-1、190-2、190-3と反射部材との間のギャップへの水分移動を防止してよい。いくつかの実施形態では、潅注孔の先端は、潅注チューブとチップ186との間に配置されたOリングによってシールされてよい。したがって、潅注チューブまたは潅注チューブと力センサ172の中心孔との間のいかなるギャップからの、先端スロット184-1、中間スロット184-2、および/または基端スロット184-3への軸方向の水分移動を防止することができる。
【0029】
さらに、本開示の実施形態は、力センサ172の周囲に配置される管状防湿バリア174を含んでよい。いくつかの実施形態では、管状防湿バリア174は、力センサ172が配置されるバリア孔を画定してよい。例えば、管状防湿バリア174は、円形断面を有する中空円筒であってよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、管状防湿バリア174は、力センサ172の幾何学的形状に応じて、正方形、三角形、楕円形、放物線形、多角形、または他の形状の断面を有してもよい。図4Aに示されるように、管状防湿バリアは、シャフト先端部178とチップ186との間でシャフト長手方向軸に沿って延在してよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、管状防湿バリア174は、細長いシャフト176を形成する材料とは異なる材料から形成されてよい。一般に、カテーテルシャフトに使用されるポリマー材料は、ナイロン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)ポリマー(すなわち、市販のPebax(登録商標)類ブロックコポリマー樹脂材料)、熱可塑性ポリウレタン、および関連する熱可塑性エラストマー化合物を含んでよい。典型的には、これらのシャフト材料は、吸湿性を有し、固有の化学的極性または親水性のため防湿特性が乏しい。これらの材料は、光ファイバ素子190と反射部材との間のギャップへの水分の半径方向の移動を防ぐ目的で、細長いシャフト176とチップ186との間で直接使用できない場合がある。
【0031】
管状防湿バリア174は、いくつかの実施形態では、力センサ172を半径方向に封止する一つ以上の層を含んでよい。いくつかの実施形態では、管状防湿バリア174は、二つの層、三つの層、四つの層などを含んでよい。いくつかの実施形態において、管状防湿バリアは、内層192及び外層194を含んでよい。管状防湿バリア174は、シャフト先端部178、チップ186のチップ基端部198に接続されてよく、さらに/又は管状防湿バリア174との接着接合及び/又は熱融着によって、力センサ172へ半径方向に固定されてよい。このように、管状防湿バリア174は、力センサ172の中間部分を継ぎ目なく封止することができ、光ファイバ素子190と反射部材との間のギャップが、管状防湿バリア174、力センサ172の本体、及びチップ186の構造によって完全に囲まれる。しかし、いくつかの実施形態では、力センサ172の内層と外面との間に空隙が存在してもよい。いくつかの実施形態では、空隙により、チップ186へ力が印加された際に力センサ172が変形するための空間が提供される。
【0032】
上記の説明によれば、本明細書で説明する管状防湿バリア174は、防湿性能に加えて、力センサ172の変形運動との干渉を最小限に抑えるように、ゴムまたはエラストマーのような可撓性または弾性を示すことが理解される。さらに、管状防湿バリア174は、意図されるアブレーション処置のための臨床的生物環境において、十分に高い耐熱性を有することができる。言い換えれば、管状防湿バリア174を構成するために使用される一つ以上のポリマー材料は、良好な熱機械的特性を有するとよい。そのためには、ポリマー材料が、60°Cを超える十分に高い臨界熱転移(半結晶性ポリマーの融点、非晶性ポリマーのガラス転移温度として定義される)を有する必要がある。また、管状防湿バリア174を構成するために選択される関連するポリマー材料は、良好な溶融加工性を有する熱可塑性エラストマー材料であってもよく、単押出および/または共押出、層間熱積層、またはカテーテルシャフト材料(例えば、Pebax(登録商標))および熱可塑性ポリウレタン(TPU)へのリフローを可能にしてよい。さらに、防湿バリアチューブは、細長いシャフト176を形成する材料およびチップ186形成する材料(例えば、チタン、ステンレス鋼、および白金を含む金属材料)との接着接合性を有するとよい。
【0033】
単一ポリマー材料は、管状防湿バリアの上記要件のすべてを満たすことができない場合がある。第1に、結晶性、水に対する化学的不活性または疎水性、添加剤および無機充填剤の不足など、ポリマー材料の水分透過に影響を及ぼし得る多くの要因があり得る。微細な結晶性および高結晶性を有するポリマーは良好な防湿性能を有する可能性が高く、その典型的な例は、ポリ二塩化ビニリデン(PVDC)といった防湿バリア材料である。良好な結晶性および高い疎水性を有するポリマーは優れた防湿性能を示すことができ、優れた防湿挙動を示す典型的なパッケージ材料は、ポリエチレンホモポリマーおよびコポリマー、ポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマーなどを含むポリオレフィン材料である。対照的に、極性ポリマー材料は、一般に、防湿特性に乏しいが、接着接合を可能にする良好な化学的親和性を有する。一般的な防湿ポリマー材料(PVDCおよびポリオレフィンを含む)の観点から、PVDCは溶融加工性に乏しく、機械的柔軟性に欠ける一方、ポリオレフィンは接着接合性に乏しい。したがって、バリアチューブの性能特性を満たすためには、異なるポリマー材料を使用してよい。
【0034】
なお、オレフィン系ポリマーは、その固有の疎水性および結晶性のおかげで、一般に良好な防湿性能を有する。多くのオレフィン系ポリマーは、一般的に、溶融加工可能でありかつエラストマーの柔軟性を示す。これらのオレフィン系ポリマーとしては、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、オレフィン系ブロックコポリマー(OBX)、熱可塑性オレフィン系ブレンド(TPO)、熱可塑性加硫物(TPV)等が挙げられる。高い接着接合性を十分に利用するために、高い機械的柔軟性(または低硬度)を有するPEBAおよびTPUを含むシャフト材料を使用してよい。これらの二つの異なる種類のポリマー材料(無極性と極性)を層状の防湿バリアチューブへと一体化するために、中間層(例えば、接続層)を非極性層と極性層との間に導入してよい。中間層は、限られた極性を有する官能性ポリオレフィン材料から構成されてよい。無水マレイン酸および他の極性コモノマー(酢酸ビニル、アクリル酸、アクリレート、カルボン酸、カルボン酸エステル、エポキシ等を含む)を含む極性官能基を有する高柔軟性のポリオレフィンポリマーは、限られた化学的親和性を提供することができ、PEBAおよびTPUのような非極性ポリオレフィンポリマーと極性ポリマー両方との、チューブ共押出または層間熱積層またはリフローによる溶融接合を可能にする。
【0035】
いくつかの実施形態では、チップ基端部198は、チップ基端部198の外側近位表面の周囲に円周方向に延びる基端凹状レッジ202を画定してよい。防湿バリア層の先端部がチップ基端部198と接続するための適合表面を提供するために、接続ポリマー204(例えば、Pebax(登録商標)、極性ポリマー)のリングを凹状レッジ202内に配置してよい。いくつかの実施形態では、接続ポリマー204(例えば極性ポリマー)のリングは、外層194とほぼ同じ厚さを有してよく、これにより、外層194が接合可能なチップ186に接続される表面が提供される。いくつかの実施形態では、極性ポリマー204のリングは、外層194よりも厚くてよく、これにより、層192、194、196のうちの一つ以上を接合可能な表面が提供されてよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書でさらに議論するように、管状防湿バリア174の外層194は、極性ポリマー204のリングに接合可能な極性層であってよい。いくつかの実施形態では、管状防湿バリア174の外層194は非極性層であってよく、この非極性層は、管状防湿バリア174の端部が、化学エッチングやプラズマエッチングなどの一般的な化学的または物理的処理によって表面活性化される際に、接着接合によって、極性ポリマー204のリングに接合されてよい。
【0037】
さらに、いくつかの実施形態において、本明細書でさらに議論するように、内層192及び外層194は、無極性の高弾性ポリマー、好ましくは、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸、カルボン酸又はエステル、エポキシ等を含む極性官能基でグラフト化された無極性の接続ポリマーから形成された中間層の融点より低い融点を有する、同一又は異なる極性弾性ポリマーから形成されてよい。いくつかの実施形態において、内層及び外層を形成するポリマーは、中間層の融点より低い融点を有してよい。いくつかの実施形態において、内層及び外層を形成するポリマーは、中間層の融点よりも、摂氏1°Cから100°Cの温度範囲で低い融点を有してよい。いくつかの実施形態において、内層及び外層を形成するポリマーは、摂氏5°Cから50°Cの温度範囲で中間層の融点より低い融点を有してよい。ポリ(エーテル-b-アミド)コポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(エーテル-b-エステル)コポリマー、およびこれらの組み合わせといった極性ポリマーで形成されたカテーテルシャフトの先端部が熱接合される際に、管状防湿バリア174の内層192および外層194は、流動し、中間層196を完全に封止する傾向があるため、管状防湿バリアとカテーテルシャフトとの間の接着を促進する熱接着の界面領域において、極性ポリマーで満ちた溶解物が生じる。例えば、内層および外層は、それぞれの基端および先端において同軸に接合されてよく、これにより、中間層を完全に封止することができる。
【0038】
図4Bは、本開示の実施形態による、内層192’、外層194’、および中間層196’を有する、図4Aに示される管状防湿バリア174’の側面の拡大断面図を示す。図示されるように、管状防湿バリア174’は、内層192’、外層194’、及び中間層196’を含んでよく、外層194’は防湿層である。いくつかの実施形態では、管状防湿バリア174’は、シャフト長手方向軸a’a’に沿って延在し、バリア孔200’を画定してよい。いくつかの実施形態において、内層192’は、力センサ172’の外面、シャフトの先端部、および/またはチップ基端部198’への接着接合に関して良好な化学的親和性をもたらす極性ポリマーから形成されてよい。極性ポリマーから形成される内層192’は、接着接合、熱融着、およびリフローのうちの少なくとも一つによって、力センサ172’の外面に固定されてよい。いくつかの実施形態において、外層194’は、非極性ポリマーから形成されてよく、これによって、防湿バリアを提供し、水分が外層194’を透過してスロット184に達するのを防止することができる。前述のように、これらの二つの異なる種類のポリマー材料(無極性・極性)を層状の防湿バリアチューブへ一体化するために、中間層196’を非極性層と極性層との間に導入してよい。一例では、中間層196’は、外層194’と内層192’とを化学的に接合する役割を果たすポリマー接続層であってよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、管状防湿バリア174’は、極性内層192’、極性中間層196’、及び非極性外層194’を含んでよい。いくつかの実施形態において、内層192’は、極性の熱可塑性エラストマー(TPE)材料を含んでよい。内層192’を形成する極性TPE材料は、ショア基準で20Dから40Dの範囲の硬度を有してよい。いくつかの実施形態において、内層192’を形成する極性TPE材料は、高柔軟性のポリ(エーテルブロックアミド)(PEBA)コポリマー材料であってよい。いくつかの実施形態において、内層192’を形成する極性TPE材料は、高柔軟性のTPU材料であってよい。
【0040】
外層194’は、非極性のTPE材料を含んでよい。外層194’を形成する非極性TPE材料は、ショア基準で30Aから40Dの範囲の硬度を有してよい。いくつかの実施形態において、外層194’を形成する非極性TPE材料は、ポリオレフィン、ポリエチレン、エチレン-α-オレフィンランダムコポリマー、及び/又はエチレン-α-オレフィンブロックコポリマーを含んでよい。いくつかの実施形態において、外層194’を形成する非極性TPE材料は、ポリプロピレン熱可塑性マトリックスに基づく加硫材料を含んでよい。
【0041】
中間層196’は、極性官能基を有するグラフト化されたポリオレフィン材料を含んでよい。極性官能基は、いくつかの実施形態において、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリレート、カルボン酸、カルボン酸エステル、および/またはエポキシを含んでよい。中間層196’を形成する材料は、ショア基準で30Aから40Dの範囲の硬度を有してよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、管状防湿バリア174’は、内層192’、外層194’、及び中間層196’を含んでよく、内層192’は防湿層である。一例では、外層194’は極性ポリマーから形成されてよく、内層192’は非極性ポリマーから形成されてよく、中間層196’は接続層から形成されてよい。いくつかの実施形態では、極性ポリマーの外層は、シャフトの先端部および/またはチップ基端部198’への接着接合に関して良好な化学的親和性をもたらしてよい。極性ポリマーは、ショア基準で20Dから40Dの範囲の硬度を有するTPE材料を含んでよい。いくつかの実施形態において、外層194’を形成する極性TPE材料は、高柔軟性のPEBAコポリマー材料であってよい。いくつかの実施形態において、外層194’を形成する極性TPE材料は、高柔軟性のTPU材料であってよい。
【0043】
内層192’は、非極性TPE材料を含んでよい。内層192’を形成する非極性TPE材料は、ショア基準で30Aから40Dの範囲の硬度を有してよい。いくつかの実施形態では、内層192’を形成する非極性TPE材料は、ポリオレフィン、ポリエチレン、エチレン-α-オレフィンランダムコポリマー、および/またはエチレン-α-オレフィンブロックコポリマーを含んでよい。いくつかの実施形態において、内層192’を形成する非極性TPE材料は、オレフィン熱可塑性加硫材料を含んでよい。いくつかの実施形態において、内層192’を形成する非極性TPE材料は、ポリプロピレン熱可塑性マトリックスに基づく熱可塑性加硫材料を含んでよい。
【0044】
前述したように、中間層196’は、極性官能基を有するグラフト化されたポリオレフィン材料を含んでよい。極性官能基は、いくつかの実施形態において、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリレート、カルボン酸、カルボン酸エステル、および/またはエポキシを含んでよい。中間層196’を形成する材料は、ショア基準で30Aから40Dの範囲の硬度を有してよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、管状防湿バリア174’は、内層192’、外層194’、及び中間層196’を含んでよく、中間層196’は防湿層として機能する。一例では、外層194’及び内層192’は極性ポリマーから形成されてよく、中間層196’は、無極性ポリマー、好ましくは無水マレイン酸、アクリル酸、アクリレート、カルボン酸、カルボン酸エステル、及び/又はエポキシを含む極性官能基でグラフト化された無極性の接続ポリマーから形成されてよい。いくつかの実施形態では、極性ポリマーの外層および極性ポリマーの内層は、シャフトの先端部および/またはチップ基端部198’への接着接合に関して良好な化学的親和性をもたらす。極性ポリマーは、ショア基準で20Dから40Dの範囲の硬度を有するTPE材料を含んでよい。いくつかの実施形態において、外層194’及び内層192’を形成する極性TPE材料は、柔軟性の高いPEBAコポリマー材料であってよい。いくつかの実施形態において、外層194’及び内層192’を形成する極性TPE材料は、柔軟性の高いTPU材料であってよい。
【0046】
中間層196’は、非極性TPE材料を含んでよい。中間層196’を形成する極性官能基でグラフト化された非極性TPE材料は、ショア基準で30Aから40Dの範囲の硬度を有してよい。いくつかの実施形態では、中間層196’を形成する非極性TPE材料は、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリレート、カルボン酸、カルボン酸エステル、および/またはエポキシを含む極性官能基でグラフト化されたポリオレフィン、ポリエチレン、エチレン-α-オレフィンランダムコポリマー、および/またはエチレン-α-オレフィンブロックコポリマーを含んでよい。いくつかの実施形態では、中間層196’を形成する非極性TPE材料は、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリレート、カルボン酸、カルボン酸エステル、および/またはエポキシを含む極性官能基でグラフト化されたオレフィン熱可塑性加硫物材料を含んでよい。いくつかの実施形態では、中間層196’を形成する非極性TPE材料は、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリレート、カルボン酸、カルボン酸エステル、および/またはエポキシを含む極性官能基でグラフト化されたポリプロピレン熱可塑性マトリックスに基づく熱可塑性加硫物材料を含んでよい。
【0047】
図4Cは、本開示の実施形態による、内層192’’および外層194’’を有する、図4Aに示される管状防湿バリア174’’の側面の拡大断面図を示す。図示されるように、管状防湿バリア174’’は、内層192’’および外層194’’を含んでよく、外層194’’は防湿層である。いくつかの実施形態では、管状防湿バリア174’’は、シャフト長手方向軸a’’a’’に沿って延在し、バリア孔200’’を画定してよい。いくつかの実施形態では、内層192’’は極性ポリマーから形成されてよく、この極性ポリマーは、力センサ172’’の外面、シャフトの先端部、および/またはチップ基端部198’’への接着接合に関して良好な化学的親和性をもたらすことができる。極性ポリマーから形成される内層192’’は、接着接合、熱融着、およびリフローのうちの少なくとも一つによって、力センサ172’’の外面に固定されてよい。いくつかの実施形態において、外層194’’は非極性ポリマーから形成されてよく、これにより、防湿バリアを提供し、水分が外層194’’を透過してスロット184に達するのを防止することができる。いくつかの実施形態において、非極性層と極性層を一体化するために、非極性層を極性官能基でグラフト化してよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、内層192’’は、極性TPE材料から形成されてよい。内層192’’を形成する極性TPE材料は、ショア基準で20Dから40Dの範囲の硬度を有してよい。いくつかの実施形態では、内層192’’を形成する極性TPE材料は、柔軟性の高いPEBAコポリマー材料であってよい。いくつかの実施形態において、内層192’’を形成する極性TPE材料は、柔軟性の高いTPU材料であってよい。
【0049】
外層194’’は、非極性TPE材料を含んでよい。外層194’’を形成する非極性TPE材料は、ショア基準で30Aから40Dの範囲の硬度を有してよい。いくつかの実施形態では、外層194’’を形成する非極性TPE材料は、ポリオレフィン、ポリエチレン、エチレン-α-オレフィンランダムコポリマー、および/またはエチレン-α-オレフィンブロックコポリマーを含んでよい。いくつかの実施形態において、外層194’’を形成する非極性TPE材料は、オレフィン系熱可塑性加硫物材料を含んでよい。いくつかの実施形態において、外層194’’を形成する非極性TPE材料は、ポリプロピレン熱可塑性マトリックスに基づく熱可塑性加硫材料を含んでよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、管状防湿バリア174’’は、内層192’’及び外層194’’を含んでよく、内層192’’は防湿層である。いくつかの実施形態において、内層192’’は非極性層であってよく、外層194’’は極性層であってよい。いくつかの実施形態において、外層は、極性TPE材料から形成されてよい。外層194’’を形成する極性TPE材料は、ショア基準で20Dから40Dの範囲の硬度を有してよい。いくつかの実施形態において、外層194’’を形成する極性TPE材料は、柔軟性の高いポリ(エーテルブロックアミド)コポリマー材料であってよい。いくつかの実施形態において、外層194’’を形成する極性TPE材料は、柔軟性の高い熱可塑性ポリウレタン材料であってよい。
【0051】
内層192’’は、非極性TPE材料を含んでよい。内層192’’を形成する非極性TPE材料は、ショア基準で30Aから40Dの範囲の硬度を有してよい。いくつかの実施形態では、内層192’’を形成する非極性TPE材料は、ポリオレフィン、ポリエチレン、エチレン-α-オレフィンランダムコポリマー、および/またはエチレン-α-オレフィンブロックコポリマーを含んでよい。いくつかの実施形態において、内層192’’を形成する非極性TPE材料は、オレフィン系熱可塑性加硫物材料を含んでよい。いくつかの実施形態において、内層192’’を形成する非極性TPE材料は、ポリプロピレン熱可塑性マトリックスに基づく熱可塑性加硫材料を含んでよい。
【0052】
図5は、本開示の実施形態による、力センサおよび管状防湿バリアを含む医療デバイス220の側面図を示す。図5に示すように、医療デバイス220は、細長いシャフト222を含んでよい。いくつかの実施形態では、細長いシャフト222は、ブロックコポリマー材料のPebax(登録商標)類といった可撓性のPEBAコポリマーから形成されてよい。いくつかの実施形態において、PEBAコポリマーは、ショア基準で40Dから72Dの範囲の硬度を有してよい。細長いシャフト222は、シャフト長手方向軸に沿って延在し、その上に軸方向に配置された一つ以上の電極を有してよい。例えば、いくつかの実施形態において、第1リング電極224-1、第2リング電極224-2、および第3リング電極224-3が、細長いシャフト上に配置されてよく、マッピングのために使用されてよい。図示のように、細長いシャフト222は、細長いシャフト222の一部に沿って長手方向に延びる編組層226を含んでよい。さらに図示するように、細長いシャフト222は、細長いシャフト内に配置された引張リング228を含んでよく、この引張りリングには、細長いシャフト222の変形を制御するために一つ以上の引張ワイヤが接続されてよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、医療デバイス220は、医療デバイス220の先端部に配置されたセンサを含んでよい。例えば、医療デバイス220は、本明細書で説明するように、医療デバイス220の先端部に配置された力センサ230を含んでよい。力センサは、センサ基端部232およびセンサ先端部(図示されていない)を含んでよく、センサ基端部232は細長いシャフト222の先端部に接続され、センサ先端部は医療デバイス220のチップ234に接続される。図4Aに関連して説明したように、チップ234は、金属(例えば、白金または白金合金)から形成されてよく、潅注ポートを含んでよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、力センサ230は、本明細書で前述したように、スロット238-1、238-2を有する可変形体を含んでよく、この可変形体は、力センサ230の変形に応じてチップに加えられる力を検出するように構成された光ファイバ素子を含んでよい。いくつかの実施形態では、水分が力センサ230に接触するのを防止するために、管状防湿バリア236を力センサ230の周りに配置してよい。本明細書で前述したように、管状防湿バリア236は、一つ以上のポリマー層を含んでよく、細長いシャフト222に関する柔軟性よりも大きい柔軟性を有してよい。いくつかの実施形態では、管状防湿バリア236の基端部は細長いシャフト222の先端部に接続されてよく、管状防湿バリア236の先端部はチップ234の基端部に接続されてよい。いくつかの実施形態において、図4Aに関連して議論されるように、チップ234の基端部は、接続ポリマー240(例えば、Pebax(登録商標)、極性ポリマー)のリングが配置される凹状レッジを画定してよく、それはショア基準で40Dから72Dの範囲の硬度を有してよい。いくつかの実施形態では、接続ポリマー240のリングは、細長いシャフト222と同じ材料から形成されてよい。接続ポリマー240のリングは、チップ234の基端部(例えば、凹状レッジ)に接着接合され、管状防湿バリア236の先端部と接合するための領域を提供してよい。いくつかの実施形態では、接続ポリマー240のリングは、極性官能基でグラフト化された極性または非極性ポリマーであってよい。一般に、本明細書に記載されるように、本明細書に記載される接続ポリマーは、極性官能基でグラフト化された極性または非極性ポリマーであり得る。さらに、本明細書で説明する非極性ポリマーは、ポリオレフィン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性加硫物、およびこれらの任意の組み合わせのポリマーブレンドといった、熱可塑性エラストマー材料を含んでよい。内層、中間層、外層を含む管状防湿バリア及び内層と外層を含む管状防湿バリアの構成例は、本明細書に記載する複数の実施形態によれば、以下の通りである。
【0055】
(例1)
極性内層-中間接続層-非極性外層
内層:PEBAコポリマー(アルケマ Pebax(登録商標)3533SA01)
中間層:無水マレイン酸でグラフト化されたエチレンブテンコポリマー(ダウ Amplify(商標)GR209)
外層:オレフィン系ブロックコポリマー(ダウ Infuse(商標)9000)
【0056】
例1の管状防湿バリアでは、内層は、力センサの外面、シャフト先端部およびチップ基端部との接着接合性を提供することができる。非極性外層は、防湿層として機能する。中間層は、接続層として機能可能であり、共押出または層間熱積層(すなわちリフロー)による管状防湿バリアの内層および外層の溶融接合を可能にし、その結果、層状構造が、層間剥離を伴わずに、一体的な部品として化学的に接合される。
【0057】
さらに、個々の層の厚さは異なっていてよい。外層の厚さが増すと、防湿性能が向上する傾向がある一方、層状の防湿バリアチューブの接続層として機能する中間層は、典型的なチューブ押出において実現的な最小厚さに維持される(例えば、0.001’’から0.0005’’の範囲)。本例の三層防湿バリアチューブ構造に使用される全ての材料は、エラストマー(ショア硬度35DのAmplify(商標)GR209、ショア硬度35DのPebax(登録商標)3533SA01、ショア硬度70A(もしくはショア硬度約25D)のInfuse(商標)9000)であり、層状チューブの機械的可撓性は、全体が単一のPebax3533SA01材料からなる細長シャフトの機械的可撓性と同等かそれ以上である。力センサ本体の局部的な変形またはプロービング干渉図に対するこの層状防湿バリアチューブの影響は、最小である。また、すべてのポリマー材料は、十分に高い融点(Amplify(商標)GR209の場合は約115°C、Pebax(登録商標)3533SA01の場合は約144°C、Infuse(商標)9000の場合は約120°C)をもつ半結晶である。それ故、それらの臨界熱転移は全て60°Cを超える。従って、例1の管状防湿バリアは、典型的な臨床環境で見られるような熱条件に耐えることができ、熱機械的性能および構造的一体性が良好に維持される。
【0058】
本例の三層防湿バリアチューブの端部において、非極性外層は、(バリアチューブの内層に対する)同じ接続層の材料で作られた薄くて短い一時的なチューブ(例えば、接続ポリマーのリング)を介して、シャフトの先端部およびチップの基端部にリフローにより固定されてもよい。あるいは、バリアチューブの外層とシャフトおよび先端アブレーションチップとの上記固定は、バリアチューブの端部が、化学エッチング、プラズマ処理などのような一般的な化学的または物理的表面処理によって表面活性化される際の接着接合によって実現されてもよい。
【0059】
(例2)
極性内層-非極性(接続)外層
内層:PEBAコポリマー(アルケマ Pebax(登録商標)3533SA01)
外層:無水マレイン酸でグラフト化されたエチレン-ブテンコポリマー(ダウ Amplify(商標)GR209)
【0060】
例2の管状防湿バリアは、非極性オレフィンブロックコポリマー材料からなる外層が除去されていることを除いて、例1と同様である。なお、無水マレイン酸でグラフト化されたエチレン-ブテンコポリマーは、依然として、Pebax(登録商標)3533SA01のような典型的なシャフト材料よりもはるかに良好な防湿性を有するが、無水マレイン酸(Mah)のような極性官能基を非極性かつ高防湿性のエチレン-ブテンコポリマーにグラフト化すると、元来の防湿性がある程度損なわれる。Mahでグラフト化されたエチレン‐ブテンコポリマーからなる外層の厚さを増加させることにより、本例の二層バリアチューブの全体的な防湿性能が向上する。
【0061】
(例3)
極性内層-中間接続層-非極性外層
内層:PEBAコポリマー(アルケマ Pebax(登録商標)3533SA01)
中間層:エチレンエチルアクリレートコポリマー(ダウ Amplify(商標)EA102)
外層:オレフィン系ブロックコポリマー(ダウ Infuse(商標)9000)
【0062】
例3の管状防湿バリアは、中間層(例えば、接合層)が、硬度が約ショア30Dであり、約98°Cの融点を有するエチレンエチルアクリレートコポリマー(EAA)材料に差し替えられていることを除いて、例1と同様である。共重合により非極性エチレンユニットに化学的に結合されるエチルアクリレートユニットの極性のため、EAA材料は、チューブ共押出又はリフロー工程により、オレフィン系ブロックコポリマー及びPEBAコポリマーの両方に溶融接合可能である。本例の三層防湿バリアチューブは、例1で示したものと同様の防湿性能および機械的柔軟性を示す。
【0063】
(例4)
極性内層-中間接続層-非極性外層
内層:PEBAコポリマー(アルケマ Pebax(登録商標)3533SA01)
中間層:無水マレイン酸でグラフト化されたTPV(三菱 Zelas(商標)MC721AP)
外層:TPV(エクソンモービル Santoprene(商標)8281-65MED)
【0064】
例4の管状防湿バリアは、官能基化されたTPV材料を使用する。極性無水マレイン酸モノマーとのグラフト化により官能基化された官能基化TPV材料は、可撓性のPEBAコポリマーからなる内層と、良好な防湿性能を示す非極性TPV層からなる外層とを溶融接合するための接続層として使用される。
【0065】
TPV材料は、一般的な熱可塑性エラストマー(TPE)の一つであることが知られている。TPV材料は、熱可塑性ポリプロピレン(PP)マトリックス内に封止された完全硬化エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)微粒子(サブミクロンから数ミクロン)を主成分とする動的加硫ポリマー合金である。機械的には、PP系TPV材料は可撓性があり、一般的な加硫ゴムのような挙動をする。例えば、バリアチューブのの外層としてのエクソンモービルのSantoprene(商標)8281‐65MEDは、約68Aまたは約20Dのショア硬度を有し、中間接続層としての三菱のZelas(商標)MC721APは、約75Aまたは約25Dのショア硬度を有する。したがって、本例の三層防湿バリアチューブの機械的柔軟性は、例1に示したものよりも良好であることが期待される。主にPP熱可塑性マトリックスに由来する高い疎水性と結晶性のおかげで、PP系TPV材料を含む本例の三層防湿バリアチューブは、十分に良好な防湿性能を有することができる。本例の三層バリアチューブはまた、臨床生物環境に対して優れた耐熱性を有する。ちなみに、選択された二つのTPV材料(8281-65MEDおよびMC721AP)はそれぞれ、約155°Cと約157°Cの融点を有する。
【0066】
(例5)
極性内層-非極性接続外層
内層:PEBAコポリマー(アルケマ Pebax(登録商標)3533SA01)
外層:無水マレイン酸でグラフト化されたTPV(三菱 Zelas(商標)MC721AP)
【0067】
例5の管状防湿バリアは、非極性TPV材料が存在しないことを除いて、例4と同様である。なお、極性無水マレイン酸モノマーのグラフト化によるTPV材料の官能化は、ある程度の防湿バリアを提供してよい。しかし、このような官能化は、0.25から1.0wt%の非常に低いMah含有量では、かなり制限される。従って、Mahでグラフト化されたTPV材料は、一般に、Pebax(登録商標)3533SA01のような典型的な極性ポリマー材料よりもはるかに良好な防湿性能を有する。カテーテルシャフトおよび先端アブレーションチップとの構造的一体化および製造の利便性および経済性のために、本例の二層防湿バリアチューブは、官能化されたTPV外層の厚さを増加させることによって、臨床処置の対象期間の間、水分移動を防止することができる。
【0068】
(例6)
極性内層-中間接続層-非極性外層
内層:PEBAコポリマー(アルケマ Pebax(登録商標)3533SA01)
中間層:エチレンエチルアクリレートコポリマー(ダウ Amplify(商標)EA102)
外層:エチレン-オクテンコポリマー(ダウ Engage(商標)8401)
【0069】
例6の防湿バリアチューブは、オレフィン系ブロックコポリマーからなる外層を、融点が約80°Cでショア硬度が約26Dのエチレン-オクテンコポリマー体で差し替えた以外は、例1と同様である。例1と比較して、本例の防湿バリアチューブは、比較的低い耐熱性を有するが、意図される臨床的用途に対しては十分に高い耐熱性を有する。
【0070】
(例7)
極性内層-中間接続層-非極性外層
内層:PEBAコポリマー(アルケマ Pebax(登録商標)3533SA01)
中間層:エチレン-酢酸ビニル-無水マレイン酸ターポリマー(アルケマ Orevac(商標)T9304)
外層:エチレン-オクテンコポリマー(ダウ Engage(商標)8401)
【0071】
例7の防湿バリアチューブは、中間層(例えば、接続層)を、融点が約80°Cでショア硬度が約82Aまたは約33Dのエチレン-酢酸ビニル-無水マレイン酸ターポリマー(EVA-Mahターポリマー)、すなわちアルケマ社のOrevac(商標)T9304で差し替えていることを除いて、例6と同様である。EVA-Mahターポリマー材料は、エチレン、酢酸ビニルおよび無水マレイン酸のランダムターポリマーであり、あらゆる比率のポリエチレン、すなわち外層材料と化学的に相溶性がある。中間層材料の酢酸ビニルユニットは材料に柔軟性と極性をもたらし、無水マレイン酸ユニットはある程度の反応性を提供するため、極性ナイロン系材料(すなわち内層)に多様な接着特性がもたらされる。中間層としてのエチレン-酢酸ビニル-無水マレイン酸ターポリマーの熱的、化学的および機械的特性を考慮すると、本例の三層防湿バリアチューブもまた、例6によって提供されるような優れた防湿特性を示す。
【0072】
(例8)
無極性(接続)内層-極性外層
内層:無水マレイン酸でグラフト化されたTPV(三菱 Zelas(商標)MC721AP)
外層:PEBAコポリマー(アルケマ Pebax(登録商標)3533SA01)
【0073】
例8の防湿バリアチューブは、例5と比較して、外層と隣接するシャフト材料との間のより良い接合性及び相溶性を提供する。防湿バリアが内層上にあるため、例5と比較して、一時的な防湿特性が減少する。
【0074】
(例9)
無極性(接続)内層-中間接続層-極性外層
内層:無水マレイン酸でグラフト化されたTPV(三菱 Zelas(商標)MC721AP)
中間層:無水マレイン酸でグラフト化されたSEBS(クラトン FG1901)
外層:PEBAコポリマー(アルケマ Pebax(登録商標)3533SA01)
【0075】
例9の防湿バリアチューブは、三層バリアチューブの全ての層を隣接するPebax(登録商標)シャフト材料と熱的かつ軸方向に接合することによって、Pebax(登録商標)シャフト材料の隣接部分からの剥離を防止する。例9の防湿バリアチューブは、バリアチューブの層間接合性をさらに向上させるために接続層を加えた例8と同様である。一体化された非極性内層および中間接続層は、それぞれの無水マレイン酸部分に起因して相互極性に制限があるため、密接な界面接触を提供するが、元来有する疎水性によって、センサの変形が誘発する界面変形を可能にする。スチレンおよび無水マレイン酸の両方の官能性を有する中間接続層は、PEBAの外層との化学接合を改善し、優れた層一体性を提供し、さらに層間剥離を防止する。その結果、バリア孔は、軸方向に接合されたPebaxシャフト材料によって完全に囲まれる一方、バリアチューブは、層一体性を損なうことなく、より良い変形適合性を有する。内層および中間層上に防湿バリアがあり、バリア孔が軸方向に接合されたPebaxシャフト材料によって完全に囲まれているため、例5と比較して、一時的な防湿特性が減少する。
【0076】
(例10)
極性内層-非極性中間(接続)層-極性外層
内層:PEBAコポリマー(アルケマ Pebax(登録商標)3533SA01)
中間層:無水マレイン酸でグラフト化されたポリプロピレン系TPV(三菱 Zelas(商標)MC721AP)
外層:PEBAコポリマー(アルケマ Pebax(登録商標)3533SA01)
【0077】
例10では、非極性中間層は、無水マレイン酸でグラフト化されたPP系TPV材料を含んでよく、この材料はまた、固有の防湿性能に加えて、内層および外層への良好な層間接着性を提供する接続層としても機能する。比較的低い融点(摂氏約144°C)を有するPEBAコポリマー、すなわちPebax(登録商標)3533SA01を含む内層および外層と比較して、Zelas(商標)MC721APを含む非極性層は、比較的高い融点(摂氏約157°C)を有する。したがって、防湿バリアチューブが、配置され、PEBAコポリマー(すなわち、Pebax(登録商標)類材料)または熱可塑性ポリウレタン材料で作られるカテーテルシャフトの先端部に熱接合されると、バリアチューブの内層及び外層は、流動し、バリアチューブの中間層を完全に封止する傾向がある。そのため、極性ポリマー材料の溶融物によって大部分が占められるチューブ-シャフト界面領域で、非常に強い熱接合を有利に形成することができる。
【0078】
本明細書では、様々な装置、システム、および/または方法の実施形態について説明されている。様々な特定の詳細は、本明細書に記載され、添付の図面に示されている実施形態の全体的な構造、機能、製造、および使用を十分に理解する目的で記載されている。しかしながら、実施形態は、そのような特定の詳細なしに実施可能であることが当業者によって理解されるであろう。また、本明細書に記載されている実施形態を不明瞭にしないように、既知の動作、構成部品、および要素は、詳細に説明されていない。当業者であれば、本明細書に記載され図示された実施形態は非限定的な例であることを理解するであろう。したがって、本明細書に開示された特定の構造および機能の詳細は、代表的なものであり、必ずしも実施形態の範囲を限定するものではなく、実施形態の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることが理解されるであろう。
【0079】
本明細書において、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つの実施形態」、「一実施形態」などの言及は、実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じ所々に見られる「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「1つの実施形態では」、「一実施形態では」などの語句のすべてが、必ずしも同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、適切にいかなるように組み合わせられてよい。したがって、1つの実施形態に関連して図示または説明されている特定の特徴、構造、または特性は、組み合わせが非論理的または非機能的でないことを前提として、1つまたは複数の他の実施形態の特徴、構造、または特性と全体または部分的に、限定されることなく、組み合わせられてよい。
【0080】
本明細書を通して、「基端」および「先端」という用語は、患者を処置するために使用される器具の一端を操作している臨床医に関して使用されている場合があることが理解されるであろう。「基端」という用語は、臨床医に最も近い器具の部分を指し、「先端」という用語は、臨床医から最も遠い位置にある部分を指す。さらに理解されるように、簡潔性および明瞭性の観点から、「垂直」、「水平」、「上」および「下」のような空間に関する用語は、本明細書において、図示された実施形態に関して使用されてよい。しかしながら、手術器具は、様々な向きおよび位置で使用されてよく、これらの用語は、限定的かつ絶対的であることを意図しない。
【0081】
力センサのための弾性水分バリアの少なくとも1つの実施形態が、ある程度詳細に上述されているが、当業者であれば、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、開示されている実施形態に対して様々な変更を加えることができる。全ての方向に関する言及(例えば、上方、下方、上向き、下向き、左、右、左側、右側、上部、下部、上、下、垂直、水平、時計回り、および反時計回り)は、読者の本開示の理解を助けるための識別目的としてのみに使用されているに過ぎず、特にデバイスの位置、向きまたは使用に関する限定を生じない。接合に関する言及(例えば、固定されている、取り付けられている、結合されている、接続されている等)は広く解釈されるべきであり、要素の接続の間の中間部材、および要素間の相対運動を含んでもよい。このように、接合に関する言及は、必ずしも、2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にあることを意味するとは限らない。上記の説明に含まれる事項や添付の図面に示される事項のすべては、例示的なものとしてのみ解釈され、限定的に解釈されない。詳細または構造の変更は、添付の特許請求の範囲に定義されている本開示の精神から逸脱することなく行うことができる。
【0082】
その全体または一部が参照により本明細書に組み込まれると述べられている特許、刊行物、または他の公開資料は、本開示に記載されている定義、記述、または他の開示資料と矛盾しない限りにおいてのみ本明細書に組み込まれる。したがって、必要な限りにおいて、本明細書に明示的に記載された開示は、参照により本明細書に組み込まれている、いかなる矛盾する資料にも優先する。参照により本明細書に組み込まれると記載されているが、本明細書に記載されている定義、記述、または他の公開資料と矛盾するいかなる資料またはその一部は、公開資料との間に矛盾が生じない限りにおいてのみ組み込まれる。
以下の項目は、国際出願時の請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
医療デバイスであって、
シャフト長手方向軸に沿って延び、シャフト基端部とシャフト先端部とを含む細長いシャフトと、
前記シャフト先端部に配置され、センサ基端部とセンサ先端部とを含む力センサと、
前記センサ先端部に配置されるチップと、
前記シャフト先端部と前記チップとの間で前記シャフト長手方向軸に沿って延び、バリア孔を画定する管状防湿バリアと、を備え、
前記力センサは、前記バリア孔内に配置される、医療デバイス。
(項目2)
前記管状防湿バリアは、内層と外層とを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
(項目3)
前記内層は極性ポリマーから形成され、前記外層は非極性ポリマーから形成される、項目2に記載の医療デバイス。
(項目4)
前記内層と前記外層との間に配置される中間層をさらに備え、
前記中間層は、ポリマー接続層から形成される、
項目3に記載の医療デバイス。
(項目5)
前記内層は非極性ポリマーから形成され、前記外層は極性ポリマーから形成される、項目2に記載の医療デバイス。
(項目6)
前記内層と前記外層との間に配置される中間層をさらに備え、
前記中間層は、ポリマー接続層から形成される、
項目5に記載の医療デバイス。
(項目7)
前記内層と前記外層との間に配置される中間層をさらに備え、
前記中間層は非極性ポリマーから形成され、前記内層および前記外層は同一または異なるポリマーから形成され、
前記内層および前記外層の融点は、前記中間層の融点よりも、摂氏1°Cから100°Cの範囲で低い、
項目2に記載の医療デバイス。
(項目8)
前記内層および前記外層の融点は、前記中間層の融点よりも、摂氏5°Cから50°Cの範囲で低い、
項目7に記載の医療デバイス。
(項目9)
前記管状防湿バリアは、可撓性ポリマーから形成される、項目1に記載の医療デバイス。
(項目10)
前記管状防湿バリアは、前記チップの基端部に接続される、項目1に記載の医療デバイス。
(項目11)
前記管状防湿バリアは、前記シャフト先端部に接続される、項目1に記載の医療デバイス。
(項目12)
前記管状防湿バリアは、前記細長いシャフトを形成する材料とは異なる材料から形成される、項目1に記載の医療デバイス。
(項目13)
前記管状防湿バリアは、前記細長いシャフトよりも高い可撓性を有する、項目12に記載の医療デバイス。
(項目14)
前記力センサは、前記チップに印加される力に応じて変形するよう構成され、
前記管状防湿バリアは、前記チップに印加される前記力に応じて、前記力センサと共に変形するよう構成される、
項目13に記載の医療デバイス。
(項目15)
前記管状防湿バリアを形成する材料は、摂氏60°C以上の熱転移温度を有する熱可塑性材料である、項目1に記載の医療デバイス。
(項目16)
医療デバイスであって、
シャフト長手方向軸に沿って延び、シャフト基端部とシャフト先端部とを含む細長いシャフトと、
前記シャフト先端部に配置され、センサ基端部とセンサ先端部とを含む力センサと、
前記センサ先端部に配置されるチップと、
前記シャフト先端部と前記チップとの間で、前記シャフト長手方向軸に沿って延び、バリア孔を画定する管状防湿バリアであって、前記管状防湿バリアは内層と外層とを含み、前記外層は前記内層と同軸上に接合される、前記管状防湿バリアと、を備え、
前記力センサは、前記バリア孔内に配置される、医療デバイス。
(項目17)
前記内層は極性ポリマーから形成され、前記外層は非極性ポリマーから形成される、項目16に記載の医療デバイス。
(項目18)
前記内層と前記外層との間に配置される中間層をさらに備え、
前記内層は極性ポリマーから形成され、前記外層は非極性ポリマーから形成される、
項目17に記載の医療デバイス。
(項目19)
前記内層は非極性ポリマーから形成され、前記外層は極性ポリマーから形成される、項目16に記載の医療デバイス。
(項目20)
前記非極性ポリマーと前記極性ポリマーとの間に配置される接続層をさらに備える、項目19に記載の医療デバイス。
(項目21)
医療デバイスであって、
シャフト長手方向軸に沿って延び、シャフト基端部とシャフト先端部とを含む細長いシャフトと、
前記シャフト先端部に配置され、センサ基端部とセンサ先端部とを含む力センサと、
前記センサ先端部に配置されるチップであって、前記チップはチップ基端部を含み、前記チップ基端部は、前記チップ基端部の外側基端表面の周囲に円周方向に延びる凹状レッジを画定する、前記チップと、
前記シャフト先端部と前記チップとの間で前記シャフト長手方向軸に沿って延び、バリア孔を画定する管状防湿バリアであって、前記管状防湿バリアは内層と外層とを含み、前記外層は前記内層と同軸上に接合され、前記力センサは前記バリア孔内に配置される、前記管状防湿バリアと、
前記凹状レッジ内に配置される接続ポリマーのリングであって、前記管状防湿バリアの先端部は前記接続ポリマーのリングに接合される、前記接続ポリマーのリングと、を備える、医療デバイス。
(項目22)
前記外層と前記内層とは、異なる極性を有するポリマー材料から形成され、
前記内層と前記外層とは、極性ポリマーの前記リングに接合される、
項目21に記載の医療デバイス。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5