(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】マイクロLEDのマストランスファー方法および処理
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220324BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20220324BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20220324BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20220324BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
G09F9/00 338
G09F9/33
H01L21/52 C
H01L33/48
H05K13/04 B
(21)【出願番号】P 2019550638
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(86)【国際出願番号】 US2018022785
(87)【国際公開番号】W WO2018170352
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-16
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】オースリー,ティモシー ジェイムズ
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060993(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0317132(US,A1)
【文献】国際公開第2017/008253(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0118506(US,A1)
【文献】特開2003-347524(JP,A)
【文献】特開2010-251360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00-9/46
H01L21/52
21/58
33/00
33/48-33/64
H05K3/30
13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロLEDディスプレイの形成方法において、
複数のマイクロLED材料ウエハーを、ハンドリング基板の第1の主表面に移載する工程であって、第1の面積は、前記ハンドリング基板の前記第1の主表面の周縁部によって画定され、複数のマイクロLEDが、各前記マイクロLED材料ウエハーから形成されるものである工程と、
前記複数のマイクロLEDの部分集合を、前記ハンドリング基板からディスプレイバックプレーンの第1の主表面に移載する工程であって、前記ディスプレイバックプレーンは、該複数の移載された各マイクロLEDに連結される電気接触部を有し、前記移載されたマイクロLEDの部分集合は、各前記複数のマイクロLED材料ウエハーからの少なくとも1つのマイクロLEDを含み、前記第1の面積は、該ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面の周縁部によって画定される第2の面積以上である工程と
前記マイクロLED材料ウエハーが前記ハンドリング基板によって支持されたまま、該マイクロLED材料ウエハーの全てをエッチングして、前記複数のマイクロLEDを形成する工程と
を含む方法。
【請求項2】
マイクロLEDディスプレイの形成方法において、
複数のマイクロLED材料ウエハーを、ハンドリング基板の第1の主表面に移載する工程であって、第1の面積は、前記ハンドリング基板の前記第1の主表面の周縁部によって画定され、複数のマイクロLEDが、各前記マイクロLED材料ウエハーから形成されるものである工程と、
前記複数のマイクロLEDの部分集合を、前記ハンドリング基板からディスプレイバックプレーンの第1の主表面に移載する工程であって、前記ディスプレイバックプレーンは、該複数の移載された各マイクロLEDに連結される電気接触部を有し、前記移載されたマイクロLEDの部分集合は、各前記複数のマイクロLED材料ウエハーからの少なくとも1つのマイクロLEDを含み、前記第1の面積は、該ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面の周縁部によって画定される第2の面積以上である工程と
を含み、
前記マイクロLEDの部分集合を、前記ハンドリング基板から前記ディスプレイバックプレーンに移載する工程は、
前記ハンドリング基板を、前記マイクロLEDが前記ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面に対向するように移動する工程と、
前記ハンドリング基板を、前記マイクロLEDが前記ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面に対向する状態で配置させたまま、n個の隣接しないマイクロLEDを、該ハンドリング基板から該ディスプレイバックプレーンの該第1の主表面へと分離する工程と
を更に含み、
但し、nは、前記ディスプレイバックプレーンによって支持されるべきLEDの総数の5%以上である、
方法。
【請求項3】
マイクロLEDディスプレイの形成方法において、
複数のマイクロLED材料ウエハーを、ハンドリング基板の第1の主表面に移載する工程であって、第1の面積は、前記ハンドリング基板の前記第1の主表面の周縁部によって画定され、複数のマイクロLEDが、各前記マイクロLED材料ウエハーから形成されるものである工程と、
前記複数のマイクロLEDの部分集合を、前記ハンドリング基板からディスプレイバックプレーンの第1の主表面に移載する工程であって、前記ディスプレイバックプレーンは、該複数の移載された各マイクロLEDに連結される電気接触部を有し、前記移載されたマイクロLEDの部分集合は、各前記複数のマイクロLED材料ウエハーからの少なくとも1つのマイクロLEDを含み、前記第1の面積は、該ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面の周縁部によって画定される第2の面積以上である工程と
を含み、
垂直向きの間隙が各マイクロLED材料ウエハーと水平方向に隣接したマイクロLED材料ウエハーとの間に位置し、更に、水平向きの間隙が各マイクロLED材料ウエハーと垂直方向に隣接したマイクロLED材料ウエハーとの間に位置するように、前記マイクロLED材料ウエハーは、前記ハンドリング基板の前記第1の主表面上に配置されるものである、
方法。
【請求項4】
複数の隣接せずに離間したマイクロLEDを、第2のハンドリング基板から、前記ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面に、該ディスプレイバックプレーン上の全ての垂直な列の中の領域へと移載する工程と、
複数の隣接せずに離間したマイクロLEDを、第3のハンドリング基板から、前記ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面に、該ディスプレイバックプレーン上の全ての水平な行の中の領域へと移載する工程と、
複数の隣接せずに離間したマイクロLEDを、第4のハンドリング基板から、前記ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面に、該ディスプレイバックプレーン上の全ての前記水平な行と前記垂直な列との交差部の中の領域へと移載する工程と
を更に含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記ハンドリング基板の前記第1の面積は、前記マイクロLED材料ウエハーの1つの周縁部によって画定される第3の面積より広いものである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
マイクロLED装置の形成方法において、
エッチングされていないマイクロLED材料ウエハーを、ハンドリング基板の第1の主表面に接合する工程であって、多数のマイクロLED材料ウエハーが1つのハンドリング基板に配置されるように、前記ハンドリング基板の前記第1の主表面の長さおよび幅の少なくとも1つは、前記マイクロLED材料ウエハーの長さおよび幅より長いものである工程と、
前記マイクロLED材料ウエハーを、前記ハンドリング基板によって支持したまま、エッチングして、マイクロLEDアレイを形成する工程と
を含む方法。
【請求項7】
前記ハンドリング基板の前記第1の主表面の前記長さおよび前記幅の両方が、前記マイクロLED材料ウエハーの前記長さおよび前記幅より長く、少なくとも10枚のマイクロLEDウエハーが、該ハンドリング基板の該第1の主表面に接合されるものである、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
LED装置の形成方法において、
前記LED装置は、選択的導電性基板上にアレイ状に配列された平均分離ピッチP2を有する総数mのマイクロLEDを含むものであり、
前記方法は、
平均分離ピッチP1を有し、密に詰まったマイクロLEDアレイを、非導電性支持基板の第1の主表面上に支持する工程であって、但し、P2≧10×P1である工程と、
前記非導電性支持基板を、前記密に詰まったマイクロLEDアレイが前記選択的導電性基板の第1の主表面に対向して配置されるように、移動する工程と、
前記非導電性支持基板を、前記密に詰まったマイクロLEDアレイが前記選択的導電性基板の前記第1の主表面に対向した状態で配置させたまま、n個の隣接しないマイクロLEDの群を、該支持基板上の該密に詰まったアレイから前記導電性基板へと分離する工程であって、但し、n≧0.05×mである工程と
を含む方法。
【請求項9】
前記密に詰まったマイクロLEDアレイを形成する工程を、
更に含み、
その工程は、
各々がマイクロLED材料層および成長基板を有する少なくとも10枚のマイクロLEDウエハーを、前記非導電性支持基板に接合する工程と、
前記マイクロLEDウエハーを前記非導電性支持基板に接合した後に、前記成長基板を、各該マイクロLEDウエハーから取り除く工程と、
前記成長基板を取り除いた後に、前記密に詰まったマイクロLEDアレイを、前記非導電性支持基板に支持されたままの前記接合されたマイクロLED材料層から形成する工程と
を含むものである、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
マイクロLED支持装置において、
ガラスまたはガラスセラミック基板と、
少なくとも10層のマイクロLED材料層のアレイと
を含み、
前記ガラスまたはガラスセラミック基板は、第1の主表面、前記第1の主表面と反対側の第2の主表面、少なくとも50モル%のSiO
2、200mmより広い幅、および、200mmより長い長さを有するものであり、
前記少なくとも10層のマイクロLED材料層のアレイは、前記ガラスまたはガラスセラミック基板の前記第1の主表面に接合され、各前記マイクロLED材料層は、100μm以下の平均分離ピッチを有する密に詰められたマイクロLEDアレイへと形成され、各マイクロLEDは100μm以下の幅を有するものであり、
1枚の前記ガラス
またはガラスセラミック基板によって支持されるマイクロLEDの総数は、10,000,000より多数である装置。
【請求項11】
前記マイクロLED材料層のアレイは、前記ガラスまたはガラスセラミック基板の前記第1の主表面に接合された少なくとも30層のマイクロLED材料層を含み、
1枚の前記ガラス
またはガラスセラミック基板によって支持されたマイクロLEDの総数は、800,000,000より多数である、請求項
10に記載のマイクロLED支持装置。
【請求項12】
前記ガラスまたはガラスセラミック基板は、0.25mmと1mmの間である前記第1の主表面と前記第2の主表面の間の平均厚さを有し、
前記該ガラスまたはガラスセラミック基板は、67と70モル%の間のSiO
2を有するものである、請求項
10または11に記載のマイクロLED支持装置。
【請求項13】
各マイクロLED材料層と水平方向に隣接したマイクロLED材料層との間に位置する複数の長さ方向に向いた間隙と、
各マイクロLED材料層と垂直方向に隣接したマイクロLED材料層との間に位置する複数の幅方向に向いた間隙と
を更に含む、請求項
10から12のいずれか1項に記載のマイクロLED支持装置。
【請求項14】
前記長さ方向に向いた間隙、および、前記幅方向に向いた間隙の両方の幅が、少なくとも0.5mmである、請求項
13に記載のマイクロLED支持装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2017年3月16日出願の米国仮特許出願第62/472,121号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、マイクロLED装置製造分野に関し、特に、マイクロLEDを、ディスプレイバックプレーンなどの装置にマストランスファーする処理に関する。
【背景技術】
【0003】
概して、マイクロLED材料は、サファイアなどの成長基板上で成長する。次に、マイクロLED材料は、典型的には、成長基板上に置かれたままで、エッチングされて、マイクロLEDが形成される。マイクロLEDを、ディスプレイ利用などの利用例で使用するには、マイクロLEDは、ディスプレイバックプレーンに移載される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エッチング後のマイクロLEDは、密に詰まっていること、および、ディスプレイバックプレーン上のマイクロLEDは、疎に詰められる必要があることから、特に、面積が広いディスプレイについて、マイクロLEDの効率的な移載は難しいことが立証されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態は、マイクロLEDディスプレイの形成方法に関する。方法は、複数のマイクロLED材料ウエハーを、ハンドリング基板の第1の主表面に移載する工程を含む。第1の面積は、ハンドリング基板の第1の主表面の周縁部によって画定され、複数のマイクロLEDが、各マイクロLED材料ウエハーから形成される。方法は、複数のマイクロLEDの部分集合を、ハンドリング基板から、ディスプレイバックプレーンの第1の主表面に移載する工程を含み、ディスプレイバックプレーンは、複数の移載された各マイクロLEDに連結される電気接触部を有するものである。移載されたマイクロLEDの部分集合は、各複数のマイクロLED材料ウエハーからの少なくとも1つのマイクロLEDを含み、第1の面積は、ディスプレイバックプレーンの第1の主表面の周縁部によって画定される第2の面積以上である。
【0006】
本開示の更なる実施形態は、LED装置の形成方法に関し、LED装置は、選択的導電性基板上にアレイ状に配列された平均分離ピッチP2を有する総数mのマイクロLEDを含む。方法は、密に詰まったマイクロLEDアレイを、非導電性支持基板の第1の主表面上に支持する工程を含む。密に詰まったマイクロLEDアレイは、平均分離ピッチP1を有し、但し、P2≧10×P1である。方法は、非導電性支持基板を、密に詰まったマイクロLEDアレイが選択的導電性基板の第1の主表面に対向して配置されるように、移動する工程を含む。非導電性支持基板を、密に詰まったマイクロLEDアレイが選択的導電性基板の第1の主表面に対向した状態で配置させたまま、方法は、n個の隣接しないマイクロLEDの群を、支持基板上の密に詰まったアレイから導電性基板へと分離する工程を含み、但し、n≧0.05×mである。
【0007】
本開示の更なる実施形態は、マイクロLED支持装置に関する。マイクロLED支持装置は、ガラスまたはガラスセラミック基板を含む。ガラスまたはガラスセラミック基板は、第1の主表面、第1の主表面と反対側の第2の主表面、少なくとも50モル%のSiO2、200mmより広い幅、および、200mmより長い長さを有する。マイクロLED支持装置は、ガラスまたはガラスセラミック基板の第1の主表面に接合された少なくとも10層のマイクロLED材料層のアレイを含み、各マイクロLED材料層は、密に詰められたマイクロLEDアレイへと形成される。密に詰められたマイクロLEDアレイは、100μm以下の平均分離ピッチを有し、各マイクロLEDは100μm以下の幅を有する。ガラス基板によって支持されるマイクロLEDの総数は、10,000,000より多数である。
【0008】
更なる特徴および利点は、次の詳細な記載に示され、部分的には、当業者には、その記載から容易に明らかであるか、詳細な記載および請求項に記載し、更に、添付の図面に示したような実施形態を実施することによって、分かるだろう。
【0009】
ここまでの概略的記載、および、次の詳細な記載の両方が、例示的なものにすぎず、請求項の本質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図すると理解すべきである。
【0010】
添付の図面は、更なる理解のために含められて、本明細書に組み込まれ、その一部を形成する。図面は、1つ以上の実施形態を示し、明細書の記載と共に、様々な実施形態の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】マイクロLEDウエハーがハンドリング基板へ接合される例示的な実施形態による処理を示す概略図である。
【
図2】ハンドリング基板への接合後に、成長基板をマイクロLED材料層から分離させる例示的な実施形態による処理を示す概略図である。
【
図3】エッチング前に、ハンドリング基板が多数のウエハーからのマイクロLED材料層を支持する例示的な実施形態による様子を概略的に示す斜視図である。
【
図4】多数のウエハーからのマイクロLED材料が、ハンドリング基板によって支持されたまま、マイクロLEDへとエッチングされる例示的な実施形態による処理を概略的に示す斜視図である。
【
図5】ハンドリング基板が、多数のウエハーからなる材料からエッチングされたマイクロLEDを支持する例示的な実施形態による様子を概略的に示す平面図である。
【
図6】例示的な実施形態によるディスプレイバックプレーンに隣接して位置する
図5のハンドリング基板を示す概略図である。
【
図7】選択した隣接しないマイクロLEDを、ハンドリング基板から分離させて、ディスプレイバックプレーンに接合する例示的な実施形態による処理を示す概略図である。
【
図8】例示的な実施形態により、選択した隣接しないマイクロLEDを分離後のハンドリング基板を、概略的に示す平面図である。
【
図9】例示的な実施形態により、選択した隣接しないマイクロLEDをハンドリング基板から受け取った後のディスプレイバックプレーンを概略的に示す平面図である。
【
図10】例示的な実施形態によるディスプレイバックプレーン上の間隙の配置分布を概略的に示す平面図である。
【
図11】例示的な実施形態により、エッチングされて狭い分離ピッチを有するハンドリング基板上のマイクロLEDを示している。
【
図12】例示的な実施形態により、広い分離ピッチを有するディスプレイバックプレーン上の3つのマイクロLEDの群を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を概略的に参照して、マイクロLEDディスプレイバックプレーンの形成システムおよび方法の様々な実施形態を示し、記載する。様々な実施形態において、本明細書に記載のシステムおよび方法は、マイクロLEDバックプレーンの配置分布について、比較的少数の工程を用いて、望まれるマイクロLEDの全てをディスプレイバックプレーンに移載する処理を提供する。マイクロLEDは、典型的には、積層/成長したマイクロLED材料を成長基板(例えば、サファイア成長基板)によって支持したまま、マイクロLED材料から高密度のアレイへと個々のマイクロLEDをエッチングすることによって形成される。エッチングされたマイクロLEDは、非常に小さく(例えば、100μm未満、更に、12.5μm×12.5μm以下のこともある寸法)、更に、形成された状態の隣接したマイクロLED同士の間隔(つまり、ピッチ)も非常に狭い(例えば、100μm未満、15μm未満、または、それより狭いピッチ)。
【0013】
ディスプレイバックプレーンでは、典型的には、隣接したマイクロLED同士の間隔が、成長ウエハー上に形成された状態の隣接したマイクロLED同士の間隔より何倍も広い。マイクロLEDを、エッチング後の密な状態から、ディスプレイバックプレーン上の疎な状態へと効率的に移載するのは、面積が広いマイクロLED装置またはディスプレイの開発における主要課題であり、本出願人が知っている従来の移載方法の殆どが、大型のディスプレイバックプレーン(例えば、約300mm×300mmより大きい寸法を有するディスプレイ)の配置分布には、何百もの独立した移載工程を必要とする。
【0014】
本明細書に記載するように、本明細書に記載のシステムおよび方法は、疎なバックプレーンの配置分布を、比較的少数の移載工程(例えば、20以下、更に、特定の実施形態において、12の移載工程、更に、他の実施形態において、4つの移載工程)で、実現する。以下に、更に詳細に記載するように、本明細書に記載の高効率バックプレーン配置分布システムおよび方法は、多数の成長ウエハーからのマイクロLED材料を、(例えば、タイル状の)アレイへと、ディスプレイバックプレーンのサイズ以上である大きいハンドリング基板に接合する処理を含む。
【0015】
多数のウエハーからのマイクロLED材料は、ハンドリング基板によって支持された状態で、マイクロLEDのアレイへとエッチングされる。本出願人は、多数のウエハーからのマイクロLED材料をバックプレーンによって支持したまま、多数のウエハーからのマイクロLEDを同時にエッチングすることによって、マイクロLEDは、(少なくとも、マイクロLEDが成長基板上でエッチング形成されて、エッチング後に、共通のハンドリング基板に移載される処理と比べて、)全ハンドリング基板に亘って、ピッチ変動が非常に低いレベルになると考える。この処理は、ディスプレイバックプレーンと同じ大きさの(または、それより大きいことがありうる)ハンドリング基板が、密に詰まったマイクロLEDアレイを支持する状態を生じる。
【0016】
次に、マイクロLEDを支持する大きいハンドリング基板は、ディスプレイバックプレーンと位置合わせされて、多数の隣接しないマイクロLEDが、(例えば、レーザ分離を介して、)支持基板からディスプレイバックプレーンへと分離される。マイクロLEDを、ディスプレイバックプレーン上に疎に配置分布させるには、望ましいディスプレイバックプレーンピッチで互いに分離され隣接しないマイクロLEDを、ハンドリング基板から分離して、ディスプレイバックプレーンに接合する。
【0017】
したがって、本実施形態において、1つの移載工程で、非常に多数のマイクロLED(例えば、そのディスプレイのマイクロLEDの総数の少なくとも5%)が、ディスプレイバックプレーン上に積層される。分かるように、殆どのマイクロLEDディスプレイは、ディスプレイバックプレーン上の各位置で、赤色マイクロLED、青色マイクロLED、および、緑色マイクロLEDを含むマイクロLEDの群を含み、更に、そのような実施形態において、完全に配置分布されたディスプレイバックプレーンが、各マイクロLED色についての異なるハンドリング基板からの少なくとも1つの移載工程で形成される。
【0018】
特定の実施形態において、本出願人は、ハンドリング基板上の隣接したウエハー間に、空の行および列の形態の空所または間隙が形成されて、これらの間隙が、形成された状態のマイクロLEDのピッチより広くなるように、マイクロLEDウエハーをハンドリング基板に接合しうると考える。以下に記載するように、そのような実施形態において、本明細書に記載のシステムおよび方法は、更なるマイクロLEDが配置分布されたハンドリング基板の使用を含み、それらのハンドリング基板は、最初のハンドリング基板上のウエハー間の間隙の行および列により生じたディスプレイバックプレーン上の「間隙」に配置分布するのに用いられる。しかしながら、そのような実施形態において、要求されるLED移載工程の総数は、20未満で、具体的には、12であり、それは、3つのマイクロLED色の各々について、1つの最初の移載工程、3つのマイクロLED色の各々について、間隙の行を埋める1つの移載工程、3つのマイクロLED色の各々について、間隙の列を埋める1つの移載工程、および、3つのマイクロLED色の各々について、間隙交差部を埋める1つの移載工程である。ハンドリング基板上でウエハー間の間隙を生じる実施形態においても、ディスプレイバックプレーンを、20未満の工程で、配置分布させうるもので、これと比べて、典型的なバックプレーン配置分布処理の移載工程は、何百もの工程である。
【0019】
図1~10を参照して、ディスプレイバックプレーンを効率的に配置分布させる方法を示し、記載する。
図1に示したように、複数(例えば、少なくとも10、少なくとも30、少なくとも100)のマイクロLEDウエハー10を、ハンドリング基板12に、接合、接着、移載する。
図1に示したように、各マイクロLEDウエハー10の外面は、ハンドリング基板12の第1の主表面14に接合される。特定の実施形態において、各マイクロLEDウエハー10は、(例えば、青色および緑色マイクロLED用には、GaNであり、赤色マイクロLED用には、InPである)マイクロLED材料16の層を含み、それは、成長基板18よって支持される。本実施形態において、各ウエハーのマイクロLED材料16の層は、ハンドリング基板の主表面14に、(例えば、接着材料を通して)接合される。
図2に示したように、基板12に接合した後に、各成長基板18は、(例えば、矢印19が表すレーザ分離処理、または、研削および研磨などの代わりの方法を介して)分離されて、各ウエハー10からのマイクロLED材料16の各層が、ハンドリング基板12に接合されたまま残る。
【0020】
図1は、例示のために、成長基板18をマイクロLED層16から取り除く工程を1つの工程で示していると理解すべきである。しかしながら、いくつかの実施形態において、各成長基板18は、マイクロLED層16がハンドリング基板12に接着された後で、次の隣接したマイクロLED層16が取り付けられる前に、取り除かれうる。そのような実施形態において、本出願人は、成長基板18を、隣接したマイクロLED層16の取付け前に取り除くことによって、隣接したマイクロLED層16間に形成される間隙を非常に狭くしうる(約1mm)と考える。
【0021】
特定の実施形態において、ハンドリング基板12は、接着剤を含み、それは、最初は硬化されておらず、後で、マイクロLED材料層16が接着剤と接触するとすぐに、硬化される。一実施形態において、接着剤は、UV硬化接着剤であり、例えば、ハンドリング基板12を透過するUV光で、硬化させる。以下に、マイクロLEDを選択的に取り除く処理を、より詳細に記載し、個々のマイクロLEDを選択的に分離させる処理は、分離すべきマイクロLEDの位置で、接着剤を加熱して液体状態に戻すレーザを用いて実現しうる。レーザからの熱は、(後述するように)ディスプレイバックプレーン上で半田を加熱するのにも用いうるもので、半田は、マイクロLEDがディスプレイバックプレーンに接合されて、ハンドリング基板12から分離可能となるように、後で冷却固結されるものである。
【0022】
図1~3を参照すると、マイクロLEDウエハー10は、(図面の向きにおける)幅および長さの両方の寸法に沿って接合され、マイクロLEDウエハー10からのLED材料16が、ハンドリング基板12上に、アレイまたはタイル状の配列を形成する。
図3から最もよく分かるように、成長基板18を取り除いた後に、ウエハー10からの多数のマイクロLED材料層16が、アレイまたはタイル状パターンで、ハンドリング基板12の主表面14に沿って配列される。
【0023】
図3に示したように、ハンドリング基板12は、幅W1および長さL1の寸法を有する。
図1および3から分かるように、ハンドリング基板12は、多数のウエハー10(および、多数のウエハー10からなるマイクロLED材料層16)がハンドリング基板12の周縁部より内側に入るように、それらのウエハー10より実質的に大きい。そのような実施形態において、ハンドリング基板は、2W1+2L1の周縁部長さを有し、特定の実施形態において、2W1+2L1は、ウエハー10の最外周縁部長さの3倍より長く、具体的には、5倍より長く、より具体的には、10倍より長い。同様に、
図3から分かるように、ハンドリング基板12の第1の主表面14の面積は、各マイクロLED材料層16の面積の少なくとも10倍である。このような記載したようなサイズの差異は、多数のウエハー10からのマイクロLED材料層16が、例えば、一体となって連続して接続した1つの材料のシート、または、そのようなシート同士が接続されて1つのハンドリング基板を形成したシート群などの1つのハンドリング基板12上で支持されるのを可能にする。
図3は、例示のために、ハンドリング基板12に接合された20のマイクロLED材料層16を示し、大きいディスプレイバックプレーン(例えば、50インチディスプレイ(約127cm)、65インチディスプレイ(約165cm)、75インチディスプレイ(約191cm)など)、または、多数のディスプレイバックプレーンに配置分布させるためにハンドリング基板12が構成された多数の利用例において、ハンドリング基板12は、ディスプレイバックプレーン以上の大きさであり、表面14の面積を満たすのに十分なマイクロLED材料層16を含むと理解すべきである。
【0024】
特定の実施形態において、ハンドリング基板12は、比較的大きいディスプレイバックプレーンを、少数のマイクロLED移載工程で配置分布するようなサイズを有する。特定の実施形態において、W1および/またはL1は、少なくとも200mm、少なくとも300mm、少なくとも700mm、少なくとも1270mm、少なくとも1650mm、少なくとも1900mm、少なくとも2200mmなどでありうる。これらの実施形態において、ハンドリング基板12の主表面14は、300cm2より広いか、1000cm2より広いか、5000cm2より広いか、1000cm2より広いかなどの面積を有する。
【0025】
特定の実施形態において、ハンドリング基板12は、ディスプレイバックプレーン上に配置された時のマイクロLEDに電力を供給する電気接続部を含まない非導電性支持基板である。様々な実施形態において、基板12は、ガラスまたはガラスセラミック材料のシートである。いくつかのそのような実施形態において、基板12の材料は、少なくとも50モル%のSiO2であり、特定の実施形態において、67モル%と70モル%の間のSiO2である。特定の実施形態において、基板12は、Corning Inc.から入手可能なEagle XGガラスであってもよい。
【0026】
様々な実施形態において、基板12は、大きい周縁部および面積を有することに追加で、比較的薄く軽量で、本明細書に記載するような処理中の取扱いを容易にしうる。
図2に示したように、基板12は、第1の主表面14と反対側の第2の主表面26を有する。基板12は、表面14と26の間に画定される厚さT1を有する。特定の実施形態において、T1は、0.25mmと1mmの間である。
【0027】
図3に示したように、いくつかの実施形態において、マイクロLEDウエハー10をハンドリング基板12上に配列することで、複数の水平向きの間隙の行20、複数の垂直向きの間隙の列22、および、行20と列22の交差部での複数の間隙交差部24を生じる。いくつかの実施形態において、本出願人は、マイクロLEDウエハー10の寸法、並びに/若しくは、マイクロLED材料層16をハンドリング基板12に接合するための接合および分離処理による制約により、マイクロLEDウエハー10をハンドリング基板12に取り付ける際に、マイクロLEDウエハー10同士を近接させる程度には限界があると考える。この限界により、マイクロLED材料層16の隣接したゾーン同士の間に、間隙20、22、24を生じる。
【0028】
図3から分かるように、間隙20、22、24は、マイクロLED材料層16のサイズと比べて、かなり大きく、マイクロLED材料層16から形成されるマイクロLEDのサイズと比べて、非常に大きい。様々な実施形態において、間隙20、22は、概して、G1として表した間隙サイズを有する。特定の実施形態において、G1は、0.5mmより大きく、具体的には、0.5mmと1.5mmの間であり、より具体的には、約1mmである。
図3では、図示を容易にするために、間隙サイズG1を誇張していると理解すべきである。例として、マイクロLED材料層の寸法は、典型的には、約100mm程度で、そのような実施形態において、ハンドリング基板12の表面積の少なくとも90%、具体的には、少なくとも95%、より具体的には、少なくとも99%が、マイクロLED材料層16によって占められる。
図10について、より詳細に以下に記載するように、本明細書に記載の様々なディスプレイバックプレーン配置分布方法は、間隙20、22および交差部24に対応するディスプレイバックプレーン上の空所に配置分布させるのに、各色のマイクロLED用に3つの更なるハンドリング基板を用いる。
【0029】
図4に示したように、成長基板18を取り除き、ハンドリング基板12から支持されたマイクロLED材料層16が残ると、マイクロLED30が、基板12上に位置する多数のマイクロLED層16から形成される。
図4に示したように、マイクロLED30は、ハンドリング基板12に支持された状態の多数のマイクロLED材料層16から形成され、特定の実施形態において、全てのマイクロLED30は、ハンドリング基板12上に支持されたままの全てのマイクロLED材料層16から形成される。
【0030】
特定の実施形態において、マイクロLED材料層16がハンドリング基板12によって支持されたまま、マイクロLED材料層16の全てを、複数のマイクロLED30を形成するようにエッチングすることによって、マイクロLED30が形成される。いくつかの実施形態において、マイクロLED30を形成するエッチングは、フォトレジスト膜を、ハンドリング基板12の第1の主表面14上に支持されたマイクロLED材料層16の全てに塗布する工程を含む。
【0031】
図4は、図示を容易にするために、各ウエハー10からのマイクロLED材料層16を、16のマイクロLEDにエッチングするのを示していると理解すべきである。各マイクロLED材料層16から形成されるマイクロLED30の正確な数は、ウエハー10のサイズ、および、各マイクロLED30の最終サイズに応じたものであるが、各マイクロLED材料層16は、多数のマイクロLED30を形成する。特定の実施形態において、各マイクロLED材料層16は、1,000,000より多数のマイクロLED30、少なくとも10,000,000のマイクロLED30、少なくとも30,000,000のマイクロLED30などを形成する。したがって、様々な実施形態において、各ハンドリング基板12は、10,000,000より多数のマイクロLED、100,000,000より多数のマイクロLED30、500,000,000より多数のマイクロLED、800,000,000より多数のマイクロLEDなどを支持しうる。
【0032】
更に、
図4を参照して、各マイクロLED材料層16から形成されたマイクロLED30の数は、W2として表した各マイクロLED30のサイズ、W3として表した各マイクロLED層16のサイズ、および、P1として表した各マイクロLED材料層16内の隣接したマイクロLED30同士の分離距離またはピッチに応じる。様々な実施形態において、W2は、100μm以下であり、P1は、100μm以下である。様々な実施形態において、W3は、50mmと150mmの間であり、より具体的には、約100mmである。いくつかの実施形態において、マイクロLED30は、非常に小さいか、または、密に詰まったマイクロLEDである。具体的には、いくつかの実施形態において、マイクロLED30は、矩形で、約11.5×11.5μmの寸法を有し、いくつかのそのような実施形態において、約12.5μmのピッチP1を有する。いくつかの実施形態において、W2は、5μmもの小さいサイズである。
【0033】
図5~9を参照すると、ハンドリング基板12を用いた1つ以上のディスプレイバックプレーン40への配置分布を示している。本明細書に記載のシステムおよび方法を用いたディスプレイバックプレーンの配置分布を例示するために、
図5は、マイクロLED材料16の更なる領域がマイクロLED30へとエッチングされた状態のハンドリング基板12を示している。図示を容易にするために、
図5は、間隙の行20、および、間隙の列22を、線で示している。
【0034】
概して、
図6を参照すると、ディスプレイバックプレーン40として示した、導電トレースを有する絶縁性基板などの選択的導電性基板は、マイクロLED30を受け付けて、表示利用例でマイクロLED30を支持するように構成された支持装置である。特定の利用例において、ディスプレイバックプレーン40は、1つ以上の導電層/素子、および、ディスプレイバックプレーン40に移載された各マイクロLED40に連結される電気接触部を含む支持装置である。
【0035】
図6および
図7を参照すると、ハンドリング基板12は、マイクロLED30がディスプレイバックプレーン40の第1の主表面42に対向するように、移動配置される。分かるように、ディスプレイバックプレーン40上の望ましいマイクロLED分離ピッチP2は、ハンドリング基板12上でマイクロLED30が蜜でエッチングされた状態でのエッチングされた分離ピッチP1より広い。
図7を参照すると、ディスプレイバックプレーン40に必要なマイクロLEDのより広い分離ピッチP2を提供するように、マイクロLED30の部分集合が、(例えば、選択的レーザ分離処理を介して)ハンドリング基板12からディスプレイバックプレーン40に移載される。
図7に示したように、ディスプレイバックプレーン40上で必要な分離ピッチは、望ましいバックプレーンピッチP2で互いに離間された隣接しないマイクロLED44を移載することによって、提供される。
【0036】
更に、必要な移載工程の数を削減または最小にするために、ハンドリング基板12の表面14の面積は、ディスプレイバックプレーン40の表面42の面積以上である。したがって、基板12はディスプレイバックプレーン40以上の大きさなので、
図6、7に示した対向配列の場合には、基板12上の1つのマイクロLED30は、ディスプレイバックプレーン40上の望ましいLED位置の殆ど、または、全てに対向するものとなる。したがって、互いに表示ピッチP2で分離され隣接しない各マイクロLED30を選択的に分離することで、ディスプレイバックプレーン40上に、ピッチP2を有する移載されたマイクロLED44を形成する。このように、マイクロLED30が、ディスプレイバックプレーン40の殆ど、または、全体に、1つの移載工程で、必要に応じたように配置分布される。
【0037】
図7および
図8を参照して、基板12からのマイクロLED30の移載を、より詳細に記載する。マイクロLED30の部分集合を基板12から分離して、整然としたパターンの空所48を有する、部分的に配置分布されていない基板46が形成されるが、それらの空所は、分離移載されてディスプレイバックプレーン40上に位置するマイクロLED44となったマイクロLED30が占めていた領域である。
図9に示したように、ディスプレイバックプレーン40上に移載されたマイクロLED44は、基板12からマイクロLEDを移載することで空けられた空所48の鏡像である。
【0038】
更に、
図7~9に示したように、各マイクロLED層16から、少なくとも1つのマイクロLED30が、ディスプレイバックプレーン40に移載され、そのような実施形態において、基板12から、マイクロLED30の部分集合だけが移載されて、ディスプレイバックプレーン40に配置分布されるので、基板12を、多数のディスプレイバックプレーンに配置分布するのに用いうる。例えば、
図7~9は、各マイクロLED層16から、25%のマイクロLED30が移載されたのを示しており、したがって、基板12を用いて、4つのディスプレイバックプレーン40に配置分布しうる。しかしながら、上記のように、各マイクロLED層16は、典型的には、何百万ものマイクロLED30を含み、更に、P2のP1に対する比は非常に大きいので、各移載工程において、基板12から、LEDの総数の小さい部分だけ(例えば、マイクロLED30の5%未満、マイクロLED30の3%未満、マイクロLED30の1%未満など)が、バックプレーン40に移載される。したがって、多数のディスプレイバックプレーンに配置分布するために、各基板12を、多数のバックプレーン40を用いた多数の移載工程で用いうる。
【0039】
分かるように、多数のディスプレイバックプレーン40は、各LED位置で、3つのマイクロLED(赤色が1つ、青色が1つ、更に、緑色が1つ、
図12を参照)を含むので、
図7~9について記載した処理を、各々が3色のうちの1色のマイクロLEDを有する3つの異なる基板を用いて繰り返すことになる。更に、特定の実施形態において、処理は、ハンドリング基板から取り除く処理を、マイクロLED30によって占められるサイズおよび空所を考慮して順序付ける処理を含む。例えば、一実施形態において、緑色のマイクロLEDが完全に詰まったハンドリング基板12は、その完全に詰まった基板12上のマイクロLEDと、既にバックプレーン40上に配置された青色マイクロLEDとの干渉により、バックプレーン40と相対的に
図7に示したように配置しうるものではない。したがって、そのような実施形態において、青色マイクロLED30がバックプレーン40上に既に配置されている場合には、部分的には配置分布されずに緑色マイクロLEDを担持した基板12を用いる。したがって、いくつかのバックプレーン40に、最初に緑色マイクロLEDを配置分布させて、部分的に配置分布されない基板12を、最初に青色マイクロLEDを受け付けたバックプレーン40に配置分布するために提供し、更に、いくつかのバックプレーン40に、最初に青色マイクロLEDを配置分布させて、部分的に配置分布されない青色の基板12を、最初に緑色マイクロLEDを受け付けたバックプレーン40に配置分布するために提供しうる。
【0040】
いくつかの実施形態において、赤色マイクロLEDは、青色または緑色マイクロLEDの材料の高さより厚い厚さ(例えば、基板12からの高さ)を有する材料から形成される。したがって、そのような実施形態において、このように高さが高いことから、バックプレーン40に、最初、または、2番目に、赤色マイクロLED30を配置分布させると、その後で、緑色または青色マイクロLED30をバックプレーンに配置分布させる時に、干渉を生じうる。したがって、そのような実施形態において、本明細書に記載の様々な方法では、赤色マイクロLED30は、全ての緑色および青色マイクロLED30がバックプレーン40上に配置分布された後に、配置分布される。
【0041】
したがって、
図5~9を参照すると、本明細書に記載の処理は、バックプレーン40上にアレイ状に平均分離ピッチP2で配列された総数mのマイクロLEDを有する表示装置などのLED装置の形成を可能にする。マイクロLED30は、基板12上では、平均分離ピッチP1を有する密に詰まったアレイ状に支持される。様々な実施形態において、P2は、P1の10倍より大きく、より具体的には、P1の30倍より大きい。そのような実施形態において、ディスプレイバックプレーン40のマイクロLEDの総数mの大きい部分は、1つの工程で移載される。様々な実施形態において、n個のマイクロLED30は、各分離工程で分離され、バックプレーン40上に分離されたマイクロLED44が形成される。特定の実施形態において、1つの移載工程で移載されるn個である多数のマイクロLED30は、以下の関係の1つ以上を満たす:n≧0.05×m、n≧0.1×m、n≧0.2×m、または、n≧0.3×m。したがって、分かるように、間隙20、22、24を有する基板を用いても、
図5~9について記載した処理は、ディスプレイバックプレーン40に最終的に必要な数のLEDのうちの非常に大きい割合を、各移載工程で移載するのを可能にする。
【0042】
図10を参照すると、基板12が、間隙の行20、間隙の列22、および、間隙交差部24を含む実施形態において、ディスプレイバックプレーン40上に形成された対応する間隙への配置分布を行うのに、更なる移載工程を必要としうる。
図10に示したように、マイクロLEDを基板12から移載することで、ディスプレイバックプレーン40上に、基板12上に存在する間隙の行20、列22、および、交差部24に対応する間隙が生じる。具体的には、基板12からの最初の移載工程の後で、ディスプレイバックプレーン40は、基板の間隙の行20に対応する間隙の行50、基板の間隙の列22に対応する間隙の列52、および、基板の間隙交差部24に対応する間隙交差部54を含む。分かるように、基板12は間隙20、22、24を含むので、マイクロLEDが基板12から分離される場合、LEDがない間隙20、22、24の領域は、LEDをディスプレイバックプレーン40の対向する部分に移載することが不可能であり、対応するバックプレーン間隙50、52、54が生じる。
【0043】
図10に示したように、間隙50、52、54のサイズは、ディスプレイバックプレーン40上の望ましいピッチP2より大きく、更に、その間隙50、52、54のサイズは、間隙を埋める移載工程の前のディスプレイバックプレーン40上で、マイクロLED44の不均一な分布を生じさせる。これらの間隙および不均一さを解消するために、基板60、62、64として示した3つの更なるハンドリング基板を備える。基板60、62、64は、上記基板12と同じように形成され、同じ配列を有する。しかしながら、基板60、62、64が、(
図7に示したものと同様に)ディスプレイバックプレーン40と位置合わせされた場合には、選択された離間したマイクロLED30だけが、間隙50、52、54を埋めるために分離される。
図10に示したように、基板60は、「交差部」基板であり、(番号1として表した)選択したマイクロLEDが、ディスプレイバックプレーン40へと分離されて、ディスプレイバックプレーン40上の交差部54の全てに配置分布される。基板62は、「行」基板であり、(番号2として表した)選択したマイクロLEDが、ディスプレイバックプレーン40へと分離されて、間隙の行50に配置分布される。基板64は、「列」基板であり、(番号3として表した)選択したマイクロLEDが、ディスプレイバックプレーン40上へと分離されて、間隙の列52に配置分布される。特定の実施形態において、交差部54は、間隙の行50、または、間隙の列52の前に埋められる。
【0044】
したがって、
図10に示したように、本実施形態において、所定の色の全てのマイクロLEDが、4つ移載工程で、ディスプレイバックプレーン40上に配置分布され、その4つの工程は、「交差部」基板60からの工程、「行」基板62からの工程、「列」基板64からの工程、および、基板12からの工程である。特定の実施形態において、ディスプレイバックプレーン40は、最初に、「交差部」基板60からの移載で、最後に、基板12からの移載で配置分布される。そのような実施形態において、バックプレーン40を完全に配置分布させるには、4つの移載工程を3つのマイクロLEDの色について繰り返すので、合計で12の移載工程を必要とする。
【0045】
上記のように、
図5~10は、図示を容易にするために、基板12、60、62、64上のピッチP1は、バックプレーン40上のピッチP2の半分のみであるとして示している。
図11および12は、エッチングされたマイクロLED30とディスプレイバックプレーン40の間での典型的なピッチの差異の例を示している。本実施形態において、基板12上のマイクロLED30のピッチP1は、12.5μmであり、ディスプレイバックプレーン40上のマイクロLEDのピッチP2は、375μmである。したがって、この例において、30番目毎のマイクロLED30が、基板12からディスプレイバックプレーン40に移載されて、375μmのディスプレイバックプレーンのピッチを提供する。
【0046】
更に、例として、
図12は、3つのマイクロLEDを含む各LED群70を示している。一実施形態において、各LED群70は、青色マイクロLED72、緑色マイクロLED74、および、赤色マイクロLED76を含む。他の実施形態において、各LED群70は、同じ色の3つのLEDを含み、更に、そのような実施形態において、ディスプレイバックプレーン40を、色変換装置と共に用いて、最終的な表示装置を形成しうる。
【0047】
上記のような取扱い、および、効率性についての利点に追加で、本明細書に記載の方法は、他のマイクロLEDエッチングおよび移載方法と比べて、他の利点も提供しうる。例えば、格子不整合からの応力は、成長基板上でエッチングする間に緩和されるので、マイクロLEDを成長ウエハーから分離させる際のマイクロLEDの横方向のずれが報告されてきた。本出願人は、マイクロLEDの横方向のずれは、成長基板上でエッチングするのではなく、本明細書に記載のように基板12上でマイクロLED30をエッチングすることによって、軽減または防止しうると推測する。
【0048】
そうでないと明記しない限りは、本明細書に示した、いかなる方法も、その工程が特定の順序で行われることを要すると解釈されることを、全く意図しない。したがって、方法の請求項が、工程を行う順序を実際に記載しないか、または、そうではなく、請求項または明細書の記載で、工程は特定の順序に限定されると具体的に記載しない限りは、いかなる特定の順序が推定されることを、全く意図していない。更に、本明細書で用いるように、原文の英語の不定冠詞は、1つ以上の構成要素または要素を含むことを意図し、1つのみを意味すると解釈されることを意図していない。
【0049】
当業者には、開示した実施形態の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変更および変形が可能なことが明らかだろう。当業者には、実施形態の精神および実質を組み込んで、開示した実施形態の変更、組合せ、部分組合せ、および、変形が可能なので、開示した実施形態は、添付の請求項、および、それらの等価物の範囲内の全てを含むと解釈されるべきである。
【0050】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0051】
実施形態1
マイクロLEDディスプレイの形成方法において、
複数のマイクロLED材料ウエハーを、ハンドリング基板の第1の主表面に移載する工程であって、第1の面積は、前記ハンドリング基板の前記第1の主表面の周縁部によって画定され、複数のマイクロLEDが、各前記マイクロLED材料ウエハーから形成されるものである工程と、
前記複数のマイクロLEDの部分集合を、前記ハンドリング基板からディスプレイバックプレーンの第1の主表面に移載する工程であって、前記ディスプレイバックプレーンは、該複数の移載された各マイクロLEDに連結される電気接触部を有し、前記移載されたマイクロLEDの部分集合は、各前記複数のマイクロLED材料ウエハーからの少なくとも1つのマイクロLEDを含み、前記第1の面積は、該ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面の周縁部によって画定される第2の面積以上である工程と
を含む方法。
【0052】
実施形態2
前記ハンドリング基板の前記第1の面積は、前記マイクロLED材料ウエハーの1つの周縁部によって画定される第3の面積より広いものである、実施形態1に記載の方法。
【0053】
実施形態3
前記ハンドリング基板の前記第1の面積は、前記第3の面積の10倍より広いものである、実施形態2に記載の方法。
【0054】
実施形態4
前記マイクロLEDの部分集合を、前記ハンドリング基板から前記ディスプレイバックプレーンに移載する工程は、
前記ハンドリング基板を、前記マイクロLEDが前記ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面に対向するように移動する工程と、
前記ハンドリング基板を、前記マイクロLEDが前記ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面に対向する状態で配置させたまま、n個の隣接しないマイクロLEDを、該ハンドリング基板から該ディスプレイバックプレーンの該第1の主表面へと分離する工程と
を更に含み、
但し、nは、前記ディスプレイバックプレーンによって支持されるべきLEDの総数の5%以上である、実施形態1に記載の方法。
【0055】
実施形態5
前記マイクロLED材料ウエハーが前記ハンドリング基板によって支持されたまま、該マイクロLED材料ウエハーの全てをエッチングして、前記複数のマイクロLEDを形成する工程を、
更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0056】
実施形態6
前記エッチング工程は、前記ハンドリング基板の前記第1の主表面上に支持されたままの前記全てのマイクロLED材料ウエハーに、フォトレジスト膜を塗布してパターン形成を行う工程を含むものである、実施形態5に記載の方法。
【0057】
実施形態7
前記ハンドリング基板は、1枚のガラスまたはガラスセラミック材料であり、前記第1の面積は、少なくとも300cm2である、実施形態1に記載の方法。
【0058】
実施形態8
前記ハンドリング基板は、少なくとも10枚のマイクロLEDウエハーを支持するものである、実施形態1に記載の方法。
【0059】
実施形態9
垂直向きの間隙が各マイクロLED材料ウエハーと水平方向に隣接したマイクロLED材料ウエハーとの間に位置し、更に、水平向きの間隙が各マイクロLED材料ウエハーと垂直方向に隣接したマイクロLED材料ウエハーとの間に位置するように、前記マイクロLED材料ウエハーは、前記ハンドリング基板の前記第1の主表面上に配置されるものである、実施形態1に記載の方法。
【0060】
実施形態10
複数の隣接せずに離間したマイクロLEDを、第2のハンドリング基板から、前記ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面に、該ディスプレイバックプレーン上の全ての垂直な列の中の領域へと移載する工程と、
複数の隣接せずに離間したマイクロLEDを、第3のハンドリング基板から、前記ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面に、該ディスプレイバックプレーン上の全ての水平な行の中の領域へと移載する工程と、
複数の隣接せずに離間したマイクロLEDを、第4のハンドリング基板から、前記ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面に、該ディスプレイバックプレーン上の全ての前記水平な行と前記垂直な列との交差部の中の領域へと移載する工程と
を更に含む、実施形態9に記載の方法。
【0061】
実施形態11
前記複数の隣接せずに離間したマイクロLEDが前記第2の基板または前記第3の基板のいずれかから前記ディスプレイバックプレーンに移載される前に、前記第4のハンドリング基板からの前記複数の隣接せずに離間したマイクロLEDが、該ディスプレイバックプレーンの前記第1の主表面に、前記交差部の中の前記領域へと、移載されるものである、実施形態10に記載の方法。
【0062】
実施形態12
マイクロLED装置の形成方法において、
エッチングされていないマイクロLED材料ウエハーを、ハンドリング基板の第1の主表面に接合する工程であって、多数のマイクロLED材料ウエハーが1つのハンドリング基板に配置されるように、前記ハンドリング基板の前記第1の主表面の長さおよび幅の少なくとも1つは、前記マイクロLED材料ウエハーの長さおよび幅より長いものである工程と、
前記マイクロLED材料ウエハーを、前記ハンドリング基板によって支持したまま、エッチングして、マイクロLEDアレイを形成する工程と
を含む方法。
【0063】
実施形態13
前記ハンドリング基板の前記第1の主表面の前記長さおよび前記幅の両方が、前記マイクロLED材料ウエハーの前記長さおよび前記幅より長く、少なくとも10枚のマイクロLEDウエハーが、該ハンドリング基板の該第1の主表面に接合されるものである、実施形態12に記載の方法。
【0064】
実施形態14
LED装置の形成方法において、
前記LED装置は、選択的導電性基板上にアレイ状に配列された平均分離ピッチP2を有する総数mのマイクロLEDを含むものであり、
前記方法は、
平均分離ピッチP1を有し、密に詰まったマイクロLEDアレイを、非導電性支持基板の第1の主表面上に支持する工程であって、但し、P2≧10×P1である工程と、
前記非導電性支持基板を、前記密に詰まったマイクロLEDアレイが前記選択的導電性基板の第1の主表面に対向して配置されるように、移動する工程と、
前記非導電性支持基板を、前記密に詰まったマイクロLEDアレイが前記選択的導電性基板の前記第1の主表面に対向した状態で配置させたまま、n個の隣接しないマイクロLEDの群を、該支持基板上の該密に詰まったアレイから前記導電性基板へと分離する工程であって、但し、n≧0.05×mである工程と
を含む方法。
【0065】
実施形態15
前記密に詰まったマイクロLEDアレイを形成する工程を、
更に含み、
その工程は、
各々がマイクロLED材料層および成長基板を有する少なくとも10枚のマイクロLEDウエハーを、前記非導電性支持基板に接合する工程と、
前記マイクロLEDウエハーを前記非導電性支持基板に接合した後に、前記成長基板を、各該マイクロLEDウエハーから取り除く工程と、
前記成長基板を取り除いた後に、前記密に詰まったマイクロLEDアレイを、前記非導電性支持基板に支持されたままの前記接合されたマイクロLED材料層から形成する工程と
を含むものである、実施形態14に記載の方法。
【0066】
実施形態16
マイクロLED支持装置において、
ガラスまたはガラスセラミック基板と、
少なくとも10層のマイクロLED材料層のアレイと
を含み、
前記ガラスまたはガラスセラミック基板は、第1の主表面、前記第1の主表面と反対側の第2の主表面、少なくとも50モル%のSiO2、200mmより広い幅、および、200mmより長い長さを有するものであり、
前記少なくとも10層のマイクロLED材料層のアレイは、前記ガラスまたはガラスセラミック基板の前記第1の主表面に接合され、各前記マイクロLED材料層は、100μm以下の平均分離ピッチを有する密に詰められたマイクロLEDアレイへと形成され、各マイクロLEDは100μm以下の幅を有するものであり、
前記ガラス基板によって支持されるマイクロLEDの総数は、10,000,000より多数である装置。
【0067】
実施形態17
前記マイクロLED材料層のアレイは、前記ガラスまたはガラスセラミック基板の前記第1の主表面に接合された少なくとも30層のマイクロLED材料層を含み、
前記ガラス基板によって支持されたマイクロLEDの総数は、800,000,000より多数である、実施形態16に記載のマイクロLED支持装置。
【0068】
実施形態18
前記ガラスまたはガラスセラミック基板は、0.25mmと1mmの間である前記第1の主表面と前記第2の主表面の間の平均厚さを有し、
前記該ガラスまたはガラスセラミック基板は、67と70モル%の間のSiO2を有するものである、実施形態16に記載のマイクロLED支持装置。
【0069】
実施形態19
各マイクロLED材料層と水平方向に隣接したマイクロLED材料層との間に位置する複数の長さ方向に向いた間隙と、
各マイクロLED材料層と垂直方向に隣接したマイクロLED材料層との間に位置する複数の幅方向に向いた間隙と
を更に含む、実施形態16に記載のマイクロLED支持装置。
【0070】
実施形態20
前記長さ方向に向いた間隙、および、前記幅方向に向いた間隙の両方の幅が、少なくとも0.5mmである、実施形態19に記載のマイクロLED支持装置。
【符号の説明】
【0071】
10 ウエハー
12 ハンドリング基板
16 LED材料層
18 成長基板
20、22、24 間隙
30 マイクロLED
40 ディスプレイバックプレーン
44 移載されたマイクロLED
48 空所
50、52、54 間隙
60、62、64 基板
70 LED群
72 青色LED
74 緑色LED
76 赤色LED