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特許7045416生体温度制御電子製品のケーシングコンポーネント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】生体温度制御電子製品のケーシングコンポーネント
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20220324BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20220324BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L23/40 Z
H05K7/20 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020095519
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021052171
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-06-01
(31)【優先権主張番号】108134292
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520192474
【氏名又は名称】陳俊廷
(73)【特許権者】
【識別番号】509171335
【氏名又は名称】胡文松
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】陳俊廷
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205491590(CN,U)
【文献】登録実用新案第3182659(JP,U)
【文献】特開2014-060285(JP,A)
【文献】特表2018-531441(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0078679(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0295980(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0090698(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H01L 23/40
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネントであって、該電子製品は機体を有し、該機体の内部には少なくとも1つの熱源を有し、該ケーシングコンポーネントは、
該機体に結合され、対向する内表面及び外表面と、この内、外表面を貫通する少なくとも1つの孔とを含む外ケーシングと、
該外ケーシングに結合され、対向する内端面及び外端面とを含む外熱伝導シートと、を備え、
該外熱伝導シートの内端面は、該電子製品の熱源に対面し、該外熱伝導シートは、該外ケーシングの少なくとも1つの孔に対応する少なくとも1つの熱伝導部をさらに含み、ユーザは該外ケーシングの少なくとも1つの孔を介して該少なくとも1つの熱伝導部に接触可能であり、該外ケーシングはプラスチック材料からなり、該外熱伝導シートは、金属材料からなり、該少なくとも1つの熱伝導部は、該外端面から外方へ突出する凸部からなり、該外ケーシングの少なくとも1つの孔に嵌設されていることを特徴とする生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネント。
【請求項2】
該電子製品は、携帯電話、タブレット、ノートブック、wifi中継器、LED燈具、ソーラー電力連係機器、ソーラーインバータ、ウェアラブルデバイスのいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネント。
【請求項3】
該外熱伝導シートには複数の小孔が設けられており、該複数の小孔にはプラスチックが注入されることで、該外熱伝導シートの周囲は、該外ケーシング内に被覆され、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネント。
【請求項4】
該外熱伝導シートの周囲には凸縁が設けられ、該外熱伝導シートの外端面には複数の凸粒が設けられ、該外熱伝導シートの凸縁と凸粒は該外ケーシングに融合されることで、該外熱伝導シートは該外ケーシングの内表面に溶接されることを特徴とする請求項1に記載の生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネント。
【請求項5】
該少なくとも1つの孔は、複数の孔を含み、該外ケーシングの側縁近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネント。
【請求項6】
該電子製品の機体内部に結合された中間ケーシングと該中間ケーシングに結合された内熱伝導シートとをさらに含み、該中間ケーシングは、対向する内表面及び外表面と、この内、外表面を貫通する孔とを含み、該内熱伝導シートは該熱源に対応し該外熱伝導シートと該熱源との間に位置し、該内熱伝導シートは該中間ケーシングに結合され、熱伝導部を含み、該内熱伝導シートの熱伝導部は、該中間ケーシングの孔に対応することを特徴とする請求項1に記載の生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネント。
【請求項7】
該内熱伝導シートは、対向する内端面及び外端面を含み、該内熱伝導シートの熱伝導部は、該内熱伝導シートの内端面から外方へ突出することを特徴とする請求項6に記載の生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体温度制御電子製品のケーシングコンポーネントに関し、特に生体温度制御熱交換機能を有する電子製品ケーシングコンポーネントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセス技術の進歩に伴い、携帯電話とタブレット等の電子製品はますます軽薄となり、機能も多様化となり、内蔵APPの容量も大きくなっている。また、ユーザのネットワーク速度に対する要求も高くなっている。そこで、半導体装置のスムーズな作動を維持するために、半導体素子(例えばCPU)の作動時に生じた熱を効果的に逸散させることは重要な課題となっている。
【0003】
電子製品(例えば携帯電話、タブレット、ノートブック、デスクトップ等)の電子基板は、通常、回路板の上下端面にシールドを塗布することで、湿気による回路の酸化によって半導体の作動が影響されることを防止する。しかしながら、半導体の作動によって生じた熱が効果的に放出できず、その熱を半導体自身が受けてこそ解消が可能である。そのため、半導体の頂部周縁に放熱のための放熱膜が設けられたり、半導体熱源近傍の箇所に輻射熱吸収シート、冷却管、熱伝導バー、ヒートパイプが設けられたり、冷却管、熱伝導バー、ヒートパイプが機体内の低温帯域に延在したりすることで、半導体の熱を機体内の低温帯域に伝導させ均一させる方法が提案されている。また、ハイエンド携帯電話としては、機体内における熱輻射の熱伝導を高めるための合金機体が使用されている。
【0004】
しかしながら、電子製品が軽薄短小になりつつある趨勢のなかで、電子製品(特に携帯電話とタブレット)の軽薄化が要求されているため、電子製品内部に設けられる放熱素子も超軽薄寸法に縮減される必要がある。しかしながら、寸法が縮減された放熱素子は効果的に熱伝導できないため、放熱性能の向上ができない。さらに、携帯電話/タブレットの半導体基板は、シールドで処理されたものが多く、さらに機体内部が密閉状態であり、通気対流が極めて限られており、熱輻射の素早い上昇を効果的に解決する手段はほとんどない。具体的には、携帯電話とタブレットの内部に熱が蓄積し、作動効率にマイナス影響を及ぼし、常に熱暴走の不具合が生じるため、ひどい場合は半導体チップに熱が過度に蓄積することによって熱散逸、機体によるやけどや、電池過熱による損害が生じる。たとえ現在のハイエンド携帯電話に金属機体と上記の熱伝導部材が配置されているとしても、半導体が密室状態にあり、放熱が不十分であるため、密室状態にある半導体の作動による蓄熱現象が解消できない。特に、携帯電話が4G時代から5G時代になっている現在、5Gチップの電力消費量が約4Gチップの2.5倍というデータによると、密室の蓄熱がより早くなり、上述した現象はより深刻になる。また、ハイエンド携帯電話の半導体素子では、作動時に高い熱量が生じるため、機体内に中間ケーシングを配置することにより高熱が直接外ケーシングを介して導出されユーザにやけどを負わせることを防止する必要がある。しかしながら、中間ケーシングには熱伝導体が配置されていないため、内部の蓄熱が外方へ放出できず、作動効率にひどく影響を及ぼしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、現在の各種の携帯電話、タブレットまたはウェアラブルデバイス等の電子製品の外ケーシング及び中間ケーシングに適用されており、電子製品機体内部の熱源(例えば半導体素子)に生じた輻射熱が該ケーシングコンポーネントを介して素早く導出され、温度制御の効果が図り、半導体素子の正常な作動を維持できるようにする生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネントは、外ケーシングと外熱伝導シートとを備える。該電子製品は、少なくとも1つの熱源を内部に有する機体を備える。該外ケーシングは、該機体に結合され、対向する内表面、外表面と、該内表面、外表面を貫通する少なくとも1つの孔とを備える。該外熱伝導シートは、該外ケーシングに結合され、対向する内端面と外端面とを備え、該外熱伝導シートの内端面は該電子製品の熱源に対面し、該外熱伝導シートは、少なくとも1つの熱伝導部をさらに含み、該少なくとも1つの熱伝導部は、該外ケーシングの少なくとも1つの孔に対応し、このように、ユーザは該孔を介して該少なくとも1つの熱伝導部に接触することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネントによれば、電子製品(例えば携帯電話、タブレット、ノートブック、wifiルータ、wifi室外中継器、ソーラー電力連係機器、インバータ、LED電球、投影燈等)の内部構造を変更することなく、電子製品の外ケーシング(または中間ケーシングを含む)を同モデルまたは同寸法である本発明に係るケーシングコンポーネントに変更するだけで、電子製品ケーシング内の輻射熱を効果的に機体外に導出することができ、高速の熱伝導・放熱効果を達成することができる。具体的には、該ケーシングコンポーネントの熱伝導シートは、電子製品内部の熱源によって生じた輻射熱を素早く吸収するとともに熱伝導部からケーシングの外方へ輻射放熱することができる。このように、半導体の密室における作動による蓄熱現象を解消することができる。さらに、ユーザは、皮膚(指を含む)を介して熱伝導部に接触するため、熱源に生じた輻射熱が素早く導出され、人体による生体温度制御の熱伝導及び放熱効果を奏することができる。また、本発明に係るケーシングコンポーネントは、さらに、電池保護のために低温状態においてシャッダウンする電子製品(例えば携帯電話、ウェアラブルデバイス/スマート装置)に適用することができ、熱伝導シートと指または皮膚との接触により、人体の温度が熱伝導シートの熱伝導や輻射によって機体内に入り、密室の温度上昇となり、電池の低温状態でのシャッダウンを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る第1の実施形態の生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネントの分解図である。
図2図1のケーシングコンポーネントの立体図である。
図3図1のケーシングコンポーネントの断面図である。
図4図1のケーシングコンポーネントが携帯電話に適用される模式図である。
図5】本発明に係る第2の実施形態の電子製品ケーシングコンポーネントの分解図である。
図6図5のケーシングコンポーネントの断面図である。
図7図3と類似する断面図であり、本発明の第3の実施形態のケーシングコンポーネントを示す。
図8図3と類似する断面図であり、本発明の第4の実施形態のケーシングコンポーネントを示す。
図9】本発明の第5~8実施形態のケーシングコンポーネントの立体模式図である。
図10】本発明の第5~8実施形態のケーシングコンポーネントの立体模式図である。
図11】本発明の第5~8実施形態のケーシングコンポーネントの立体模式図である。
図12】本発明の第5~8実施形態のケーシングコンポーネントの立体模式図である。
図13】ユーザの指が図9の熱伝導部に接触する使用状態の模式図である。
図14】ユーザの指が図12の熱伝導部に接触する使用状態の模式図である。
図15】本発明に係る一実施形態のケーシングコンポーネントが燈具に適用される模式図である。
図16】本発明に係る一実施形態のケーシングコンポーネントが中継器に適用される模式図である。
図17】本発明に係る一実施形態のケーシングコンポーネントが電力連係機器に適用される模式図である。
図18】本発明に係る一実施形態のケーシングコンポーネントがインバータに適用される模式図である。
図19】本発明に係る一実施形態のケーシングコンポーネントがウェアラブルデバイスに適用される模式図である。
図20図19のウェアラブルデバイスの分解図である。
図21図19のウェアラブルデバイスの断面図である。
図22】本発明に係る一実施形態のケーシングコンポーネントが携帯電話に適用される模式図である。
図23図22の電子製品の断面図である。
図24図22の中間ケーシングの断面図である。
図25図24と類似する断面図であり、中間ケーシングの他の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための望ましい形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。
【0010】
本発明に係る生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネントによれば、例えば、携帯電話、タブレット、ノートブック、wifiルータ、投影機、小型カメラ、LED燈具、ソーラー電力連係機器、ソーラーインバータ、ウェアラブルデバイス(例えばスマート腕時計、スマート眼鏡)等の電子製品に適用することができる。図1~4は、本発明に係る第1の実施形態の生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネント10を示す。この実施形態において、電子製品は、携帯電話(またはタブレット)であり、電子製品の機体(図示せず)の内部には半導体基板16(図4参照)を有し、基板16には少なくとも1つの熱源18を有し、電子製品の作動時には熱源18に輻射が生じる。
【0011】
ケーシングコンポーネント10は、該電子製品の機体に結合された外ケーシング12と外熱伝導シート14とを備える。外ケーシング12は、例えばプラスチックまたはガラスの低熱伝導材料からなり、対向する内表面20及び外表面22と、内、外表面20、22を貫通する少なくとも1つの孔24とを備える。この実施形態において、外ケーシング12には離間した2つの孔24が設けられており、そのいずれか一方の孔24は熱源18に対応する。外熱伝導シート14は、例えば金属の高熱伝導材料からなり、外ケーシング12に結合されており、対向する内端面26と、外端面28とを備える。外熱伝導シート14の内端面26は、電子製品の熱源18に対面または対応する。外熱伝導シート14は、該少なくとも1つの孔24に対応する少なくとも1つの熱伝導部30をさらに備える。この実施例において、外熱伝導シート14の上には離間した2つの熱伝導部30が設けられており、各熱伝導部30は、外端面28から外方に突出する凸部からなり、外ケーシング12の対応する孔24に嵌設されているため、外ケーシング12の外表面22に露出し、熱伝導部30の周縁が外ケーシング12の厚さで被覆されている。この実施形態において、各熱伝導部30の外側32は外ケーシング12の外表面22と面一となり(図3参照)、また、各熱伝導部30は外熱伝導シート14の内端面26から陥凹されてなる。実行可能な実施形態において、各熱伝導部30の外側32は、外ケーシング12の外表面22に突出している(図示せず)。
【0012】
この実施形態において、外熱伝導シート14は、外ケーシング12内に嵌合被覆されている。具体的には、外ケーシング12は、プラスチックからなり、外熱伝導シート14の上には、テーパ状となる小孔36が複数設けられている。製造の場合は、外熱伝導シート14を外ケーシング12の製造モジュールに入れて、該複数の小孔36にプラスチックを注入することで、外熱伝導シート14の熱伝導部30が外ケーシング12の孔24に嵌設され外熱伝導シート14の周囲37が外ケーシング12内に被覆され、一体的に形成されている。
【0013】
図5、6の実施例において、外熱伝導シート14は、プラスチックからなる外ケーシング12の内表面20に溶接結合される。具体的には、外熱伝導シート14の周囲37には凸縁38が設けられ、外熱伝導シート14の外端面28には先鋭状となる凸粒40が複数設けられている。製造の場合は、外熱伝導シート14の外端面28を外ケーシング12の内表面20に向け、外熱伝導シート14の熱伝導部30を外ケーシング12の孔24に嵌設し、さらに外熱伝導シート14の凸縁38と凸粒40とを高周波で融合することにより、外熱伝導シート14の凸縁38と凸粒40は外ケーシング12に融合され、一体的に構成されている。実行可能な実施形態において、外熱伝導シート14の周囲37は、外ケーシング12の内表面20の周縁箇所に延在してもよく、吸熱と放熱の面積が増大する。
【0014】
図7、8は、本発明に係る2つの実行可能な実施形態のケーシングコンポーネント10を示す。図7において、孔24に対応する各熱伝導部30は、内端面26から外方へ突出する凸部からなり、さらに熱源18に近接しないし熱源18に接触することができる。図8において、孔24に対応する各熱伝導部30は、平坦部分からなる。さらに、図7、8において、外熱伝導シート14は、外ケーシング12内に嵌設被覆されているため、外熱伝導シート14の周囲37が外ケーシング12内に被覆され、一体的に形成されている。実行可能な実施形態において、図7、8における外熱伝導シート14は、外ケーシング12の内表面20に溶接結合することができる(図6参照)。
【0015】
図9~12は、本発明に係る4つの実施形態のケーシングコンポーネント10を示す。該4つのケーシングコンポーネント10は、孔24、熱伝導部30の両者の形状、数量、及び配置位置が第1の実施形態のケーシングコンポーネント10と異なる。図9は、携帯電話の外ケーシング12の上側と下側に縦方向孔24、横方向孔24がそれぞれ設けられている様子を示す。図10は、携帯電話の外ケーシング12の上側と下側にT型孔24、横方向孔24がそれぞれ設けられている様子を示す。図11は、タブレットの外ケーシング12の両側に2つの楕円状孔24がそれぞれ設けられている様子を示す。図12は、タブレットの外ケーシング12の両側に縦方向孔24それぞれ設けられている様子を示す。複数の孔24が外ケーシング12に近接する側縁または周縁に配置されている場合、携帯電話またはタブレットを把持したユーザは皮膚(指を含む)を介して熱伝導部30に容易に接触できるため、熱源18に生じた輻射熱は、人体の皮膚の接触による熱伝導を介して素早く導出することができる。
【0016】
本発明に係るケーシングコンポーネント10は、実施の場合、外熱伝導シート14が熱源18に近接または対応しかつ外熱伝導シート14の熱伝導部30が対応する孔24と連通しているため、密閉状態または半密閉状態にある熱源18に生じた輻射熱は、外熱伝導シート14が素早く吸収でき、電子製品密閉空間のその他の低温領域を均熱にし、孔24のハウジング10の大気空間への放熱により、熱源18に生じた輻射熱を素早く導出することができる。また、ユーザが携帯電話またはタブレットを操作した場合、携帯電話またはタブレットを把持したユーザの指は、孔24を介して熱伝導部30に接触することができ(図13、14参照)、熱伝導部30と人体との熱交換効果が形成され、高速の熱伝導及び放熱が達成され、機体内部の輻射温度上昇を阻止または遅延させ、機体内部の温度を人体の体温よりも少し高く保持することができる。具体的には、熱源18に生じた温度(例えば60~120℃)は、熱伝導部30の熱伝導及び人体の生体温度制御により38~40℃に低下するため、半導体素子の正常な作動が維持され、機体内部の温度が保持され、高温による電池の損害はなくて済む。さらに、本発明に係る熱伝導シート14は、一般の放熱に用いられる銅導管、銅熱伝導シート、銅めっきグラファイトバー、冷却銅管等による酸化及び電磁干渉のマイナス作用を回避するために、輻射熱高吸収性、高熱伝導、高放熱、耐酸化、絶縁及び/または静電防止の処理が施されてもよい。
【0017】
本発明に係るケーシングコンポーネント10は、半導体素子の機体内での高温の発生を抑制するのみならず、人体による生体温度制御を利用して機体内に逆方向に熱伝導することで、電子製品16の低温状態時に生体温度制御により起動させることができる。具体的には、一般の電子製品またはウェアラブルデバイス(例えばスマート腕時計またはスマート眼鏡)が低温状態(例えば10℃以下)にある場合、電池保護のためには、通常、強制的にシャッダウンさせる必要がある。本発明に係るケーシングコンポーネント10として、実施の場合、ユーザの皮膚(指を含む)は、孔24を介して熱伝導部30に接触できるため、人体の生体温度は熱伝導部30を介して電子製品の機体内に伝達し上昇することができ、起動させて作動させることができる。
【0018】
図15は、本発明に係る第9の実施形態の生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネント10を示す。この実施形態において、該電子製品は、LED燈具42であり、LED燈具42は、機体44と、機体44に結合されたケーシングコンポーネント10とを含み、機体44内には、基板16と、基板16に設けられた複数の熱源18とを有する。ケーシングコンポーネント10は、LED燈具42の機体44に結合された外ケーシング12と外熱伝導シート14とを含み、外ケーシング12には、熱源18に対応する孔24が設けられている。外熱伝導シート14は、外端面28から外方へ突出する熱伝導部30を含む。熱伝導部30は、孔24に嵌設され外ケーシング12の外表面22に露出し、外熱伝導シート14の周囲37は、外ケーシング12内に一体的に被覆されている。
【0019】
図16は、本発明に係る第10の実施形態のケーシングコンポーネント10を示す。この実施形態において、該電子製品はwifi中継器46であり、中継器46は、機体48と、機体48に結合されたケーシングコンポーネント10とを含む。機体48内には基板16と、基板16に設けられた複数の熱源18とを有する。ケーシングコンポーネント10は、機体48に結合された外ケーシング12と外熱伝導シート14とを含む。外ケーシング12には、熱源18に対応する孔24が設けられている。外熱伝導シート14は、外端面28から外方へ突出する熱伝導部30を含む。熱伝導部30は、孔24に嵌設され外ケーシング12の外表面22に露出している。
【0020】
図17は、本発明に係る第11の実施形態の電子製品ケーシングコンポーネント10を示す。この実施形態において、該電子製品は、ソーラー電力連係機器50であり、ソーラー電力連係機器50は、機体52と、機体52に結合されたケーシングコンポーネント10とを含み、機体52内には、基板16と基板16に設けられた複数の熱源18とを有する。ケーシングコンポーネント10は、機体52に結合された外ケーシング12と外熱伝導シート14とを含む。外ケーシング12には、熱源18に対応する孔24が設けられている。外熱伝導シート14は、外端面28から外方へ突出する熱伝導部30を含む。熱伝導部30は、孔24に嵌設され外ケーシング12の外表面22に露出している。
【0021】
図18は、本発明に係る第12の実施形態の生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネント10を示す。この実施形態において、該電子製品は、ソーラーインバータ54であり、該インバータ54は機体56と機体56に結合されたケーシングコンポーネント10とを含み、機体56内には基板16と基板16に設けられた熱源18とを有する。ケーシングコンポーネント10は、機体56に結合された外ケーシング12と外熱伝導シート14とを含み、外ケーシング12には、熱源18に対応する孔24が設けられている。外熱伝導シート14は、外端面28から外方へ突出する熱伝導部30を含む。熱伝導部30は、孔24に嵌設され外ケーシング12の外表面22に露出し、外熱伝導シート14の周囲は、外ケーシング12内に一体的に被覆されている。
【0022】
図19~21は、本発明に係る第13の実施形態の電子製品ケーシングコンポーネント10を示す。この実施形態において、電子製品は、スマート腕時計(ウェアラブルデバイス)58であり、腕時計58は、機体60と、機体60に結合された腕時計蓋62とケーシングコンポーネント10とを含み、機体60内には、基板16と、基板16に設けられた熱源18とを有する。ケーシングコンポーネント10は、機体60に結合された外ケーシング12と、外熱伝導シート14とを含み、外ケーシング12には熱源18に対応する環状の孔24が設けられている。外熱伝導シート14は、外方へ突出する熱伝導部30を含み、熱伝導部30は、外熱伝導シート14に隣接する周縁に配置されている。熱伝導部30は、孔24に嵌設され外ケーシング12の外表面22に露出し、外熱伝導シート14の周囲37は、外ケーシング12内に一体的に被覆されている。ユーザが腕時計58を装着した場合、ユーザの皮膚は熱伝導部30に接触するため、熱源18に生じた輻射熱が素早く導出可能となり、人体による生体温度制御の放熱効果を奏することができる。
【0023】
図22~23は、本発明に係る第14の実施形態の電子製品ケーシングコンポーネント10を示す。この実施形態において、ケーシングコンポーネント10は、該電子製品の機体外部に結合された外ケーシング12と、外ケーシング12に結合された外熱伝導シート14と、該電子製品の機体内部に結合された中間ケーシング12aと、中間ケーシング12aに結合された内熱伝導シート14aとを含む。該電子製品の機体(図示せず)の内部には、少なくとも1つの熱源18を有する半導体基板16が設けられている。この実施形態に係る外ケーシング12と外熱伝導シート14の構造は、それぞれ図3に示す外ケーシング12と外熱伝導シート14の構造と類似するため、ここでは詳しい説明を省略する。中間ケーシング12aは、対向する内表面20及び外表面22と、該内、外表面20、22を貫通する孔24a(図24参照)とを含む。孔24aは、熱源18及び外熱伝導シート14に対応する。内熱伝導シート14aは中間ケーシング12aに結合され、対向する内端面26及び外端面28と、内端面26から外方へ突出する熱伝導部30aとを含み、熱伝導部30aは熱源18に近接または対応し、中間ケーシング12aの孔24aに嵌設されている。この実施形態において、各熱伝導部30aは、内熱伝導シート14aの外端面28が陥凹されてなり、熱伝導部30aの周縁は中間ケーシング12aの厚さで被覆されている(図24参照)。
【0024】
図22、23に示すケーシングコンポーネント10は、実施の場合、既存の携帯電話の中間ケーシングと外ケーシングが直接中間ケーシング12aと外ケーシング12で取り替え可能であるため、本来の機体内部の構造を変更せずに済む。また、内熱伝導シート14aが熱源18に近接または対応しかつ外熱伝導シート14と熱源18との間に位置するため、密閉状態または半密閉状態にある半導体熱源18に生じた輻射熱は、内熱伝導シート14aが素早く吸収でき、電子製品密閉空間のその他の低温領域を均熱にし、外熱伝導シート14の外ケーシング10の外方の大気空間への放熱により、熱源18に生じた輻射熱を素早く導出することができる。また、ユーザが携帯電話またはタブレットを操作した場合、携帯電話またはタブレットを把持したユーザの指は、外熱伝導シート14の熱伝導部30に接触することができ、熱伝導部30と人体との熱交換効果が形成され、高速の熱伝導及び放熱が達成される。
【0025】
図24の実施形態において、内熱伝導シート14aは、中間ケーシング12a内に一体的に嵌設被覆されている(図3に示す嵌合被覆構造と類似)。図25の実施形態において、内熱伝導シート14aは、中間ケーシング12aに溶接結合され、一体的に構成されている(図6に示す融合構造と類似)。
【0026】
上記のように、これらの実施の形態は本発明の好ましい実施例のみであり、本発明の特許請求の範囲に基づいてなされる等価の変更や修飾は、本発明の技術範囲に入るものである。
【0027】
以上のように、本発明では、生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネントであって、該電子製品は機体を有し、該機体の内部には少なくとも1つの熱源を有し、該ケーシングコンポーネントは、該機体に結合され、対向する内表面及び外表面と、該内、外表面を貫通する少なくとも1つの孔とを含む外ケーシングと、該外ケーシングに結合され、対向する内端面及び外端面とを含む外熱伝導シートと、を備え、該外熱伝導シートの内端面は、該電子製品の熱源に対面し、該外熱伝導シートは、該外ケーシングの少なくとも1つの孔に対応する少なくとも1つの熱伝導部をさらに含み、ユーザは該孔を介して該少なくとも1つの熱伝導部に接触可能であることを特徴とする生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネントとするものである。
【0028】
また、該電子製品は、携帯電話、タブレット、ノートブック、wifi中継器、LED燈具、ソーラー電力連係機器、ソーラーインバータ、ウェアラブルデバイスのいずれか1つであり、該外ケーシングはプラスチック材料からなり、該外熱伝導シートは、金属材料からなり、該少なくとも1つの熱伝導部は、該外端面から外方へ突出する凸部からなり、該外ケーシングの少なくとも1つの孔に嵌設されているものとする。
【0029】
また、該電子製品は、携帯電話、タブレット、ノートブック、wifi中継器、LED燈具、ソーラー電力連係機器、ソーラーインバータ、ウェアラブルデバイスのいずれか1つであり、該外ケーシングはプラスチック材料からなり、該外熱伝導シートは、金属材料からなり、該少なくとも1つの熱伝導部は、該内端面から外方へ突出する凸部からなるものとする。
【0030】
また、該外熱伝導シートには複数の小孔が設けられており、該複数の小孔にはプラスチックが注入されることで、該外熱伝導シートの周囲は、該外ケーシング内に被覆され、一体的に形成されているものとする。
【0031】
また、該外熱伝導シートの周囲には凸縁が設けられ、該外熱伝導シートの外端面には複数の凸粒が設けられ、該外熱伝導シートの凸縁と凸粒は該外ケーシングに融合されることで、該外熱伝導シートは該外ケーシングの内表面に溶接されるものとする。
【0032】
また、該少なくとも1つの孔は、複数の孔を含み、該外ケーシングの側縁近傍に配置されているものとする。
【0033】
また、該電子製品の機体内部に結合された中間ケーシングと該中間ケーシングに結合された内熱伝導シートとをさらに含み、該中間ケーシングは、対向する内表面及び外表面と、該内、外表面を貫通する孔とを含み、該内熱伝導シートは該熱源に対応し該外熱伝導シートと該熱源との間に位置し、該内熱伝導シートは該中間ケーシングに結合され、熱伝導部を含み、該内熱伝導シートの熱伝導部は、該中間ケーシングの孔に対応するものとする。
【0034】
また、該電子製品は腕時計であり、該外ケーシングは、プラスチック材料からなり、該外熱伝導シートは、金属材料からなり、該少なくとも1つの熱伝導部は、該外端面から外方へ突出する凸部からなり、該外ケーシングの少なくとも1つの孔に嵌設されているものとする。
【0035】
また、該電子製品は腕時計であり、該外ケーシングは、プラスチック材料からなり、該外熱伝導シートは、金属材料からなり、該少なくとも1つの熱伝導部は、該内端面から外方へ突出する凸部からなるものとする。
【0036】
また、該内熱伝導シートは、対向する内端面及び外端面を含み、該内熱伝導シートの熱伝導部は、該内熱伝導シートの内端面から外方へ突出するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る生体温度制御電子製品ケーシングコンポーネントによれば、電子製品(例えば携帯電話、タブレット、ノートブック、wifiルータ、wifi室外中継器、ソーラー電力連係機器、インバータ、LED電球、投影燈等)の内部構造を変更することなく、電子製品の外ケーシング(または中間ケーシングを含む)を同モデルまたは同寸法である本発明に係るケーシングコンポーネントに変更するだけで、電子製品ケーシング内の輻射熱を効果的に機体外に導出することができ、高速の熱伝導・放熱効果を達成することができる。具体的には、該ケーシングコンポーネントの熱伝導シートは、電子製品内部の熱源によって生じた輻射熱を素早く吸収するとともに熱伝導部からケーシングの外方へ輻射放熱することができる。このように、半導体の密室における作動による蓄熱現象を解消することができる。さらに、ユーザは、皮膚(指を含む)を介して熱伝導部に接触するため、熱源に生じた輻射熱が素早く導出され、人体による生体温度制御の熱伝導及び放熱効果を奏することができる。また、本発明に係るケーシングコンポーネントは、さらに、電池保護のために低温状態においてシャッダウンする電子製品(例えば携帯電話、ウェアラブルデバイス/スマート装置)に適用することができ、熱伝導シートと指または皮膚との接触により、人体の温度が熱伝導シートの熱伝導や輻射によって機体内に入り、密室の温度上昇となり、電池の低温状態でのシャッダウンを回避することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 ケーシングコンポーネント
12 外ケーシング
12a 中間ケーシング
14 外熱伝導シート
14a 内熱伝導シート
16 基板
18 熱源
20 内表面
22 外表面
24、24a 孔
26 内端面
28 外端面
30 熱伝導部
30a 熱伝導部
32 外側
36 小孔
37 周囲
38 凸縁
40 凸粒
42 LED燈具
44 機体
46 中継器
48 機体
50 電力連係機器
52 機体
54 インバータ
56 機体
58 腕時計
60 機体
62 腕時計蓋


図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図12
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図17
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図19
図20
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図22
図23
図24
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