(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】トランスアミナーゼ突然変異体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/54 20060101AFI20220324BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20220324BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220324BHJP
C12N 9/10 20060101ALI20220324BHJP
C12N 15/72 20060101ALI20220324BHJP
C12N 15/70 20060101ALI20220324BHJP
C12N 15/71 20060101ALI20220324BHJP
C12N 15/81 20060101ALI20220324BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220324BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220324BHJP
C12P 41/00 20060101ALI20220324BHJP
C12P 17/12 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
C12N15/54 ZNA
C12N15/10 200Z
C12N15/63 Z
C12N9/10
C12N15/72 Z
C12N15/70 Z
C12N15/71 Z
C12N15/81 Z
C12N1/19
C12N1/21
C12P41/00 J
C12P41/00 H
C12P17/12
(21)【出願番号】P 2020515724
(86)(22)【出願日】2017-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2017111161
(87)【国際公開番号】W WO2019095161
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】519153028
【氏名又は名称】アシムケム ライフ サイエンス (ティエンジン) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ASYMCHEM LIFE SCIENCE (TIANJIN) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ,ゲイジ
(72)【発明者】
【氏名】ル,ジャンピン
(72)【発明者】
【氏名】シュー,シンフー
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ウェンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,シン
(72)【発明者】
【氏名】マー,ユーレイ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,イービン
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】PNAS,2002年,Vol.99, No.3,p.1473-1478
【文献】FEBS Journal,2015年,Vol.282,p.2512-2526
【文献】Aaron Charles Westlake,Crystallisation and Structural Studies on Omega Transaminase Enzymes,Report to the University of Exeter for the degree of Masters,p.1-71,2012年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
C12P
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/WPIDS/WPIX/CAplus(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスアミナーゼ突然変異体であって、
アミノ酸配列は、配列番号1に示される配列が突然変異したアミノ酸配列であり、前記突然変異は、F89W、F89Y、V379L+F89W、V379T+F89Y、R416T+F89Y、V379T+R416S+F89W、V379T+R416A+F89Y、R416T+A417S+F89Y、V379T+C418S+F89Y、V379T+R416A+C418S+F89Y、V379T+R416A+C418A+F89Y、V379T+R416A+C418A+F89Y+Q280K、V379T+R416A+C418Q+F89Y+Q280K+I262V、V379T+R416A+C418A+F89Y+Q280K+A417S及びV379T+R416T+C418A+F89Y+Q280K+I262V+V234Iのうちいずれか1種
のみである、
ことを特徴とするトランスアミナーゼ突然変異体。
【請求項2】
DNA分子であって、
請求項1に記載のトランスアミナーゼ突然変異体をコードする、
ことを特徴とするDNA分子。
【請求項3】
組換えプラスミドであって、
請求項2に記載のDNA分子が接続されている、
ことを特徴とする組換えプラスミド。
【請求項4】
前記組換えプラスミドは、pET-21b(+)、pET-22b(+)、pET-3a(+)、pET-3d(+)、pET-11a(+)、pET-12a(+)、pET-14b(+)、pET-15b(+)、pET-16b(+)、pET-17b(+)、pET-19b(+)、pET-20b(+)、pET-21a(+)、pET-23a(+)、pET-23b(+)、pET-24a(+)、pET-25b(+)、pET-26b(+)、pET-27b(+)、pET-28a(+)、pET-29a(+)、pET-30a(+)、pET-31b(+)、pET-32a(+)、pET-35b(+)、pET-38b(+)、pET-39b(+)、pET-40b(+)、pET-41a(+)、pET-41b(+)、pET-42a(+)、pET-43a(+)、pET-43b(+)、pET-44a(+)、pET-49b(+)、pQE2、pQE9、pQE30、pQE31、pQE32、pQE40、pQE70、pQE80、pRSET-A、pRSET-B、pRSET-C、pGEX-5X-1、pGEX-6p-1、pBV220、pBV221、pBV222、pTrc99A、pTwin1、pEZZ18、pUC-18又はpUC-19である、
ことを特徴とする請求項3に記載の組換えプラスミド。
【請求項5】
宿主細胞であって、
請求項3又は4に記載の組換えプラスミドを含有する、
ことを特徴とする宿主細胞。
【請求項6】
前記宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞である、
ことを特徴とする請求項5に記載の宿主細胞。
【請求項7】
前記真核細胞は、酵母細胞である、
ことを特徴とする請求項6に記載の宿主細胞。
【請求項8】
前記宿主細胞は、形質転換受容性細胞である、
ことを特徴とする請求項6に記載の宿主細胞。
【請求項9】
前記形質転換受容性細胞は、大腸菌BL21細胞又は大腸菌W3110である、
ことを特徴とする請求項8に記載の宿主細胞。
【請求項10】
トランスアミナーゼを用いてケトン系化合物及びアミノドナーのアミノ基転移反応を触媒するステップを含むキラルアミンの生産方法であって、
前記トランスアミナーゼは、請求項1に記載のトランスアミナーゼ突然変異体である、 ことを特徴とするキラルアミンの生産方法。
【請求項11】
前記ケトン系化合物は、
【化1】
であり、ここでは、R
1とR
2は、それぞれ独立してC1~C8アルキル基、C5~C10シクロアルキル基、C6~C10アリール基又はC5~C10ヘテロアリール基であり、又はR
1とR
2とは、カルボニル基上の炭素と共にC5~C10複素環式基、C5~C10炭素環式基又はC5~C10ヘテロアリール基を形成し、前記C5~C10複素環式基及びC5~C10ヘテロアリール基のヘテロ原子は、それぞれ独立して、窒素、酸素及び硫黄の中から選択される少なくとも1種であり、前記C6~C10アリール基のうちのアリール基、C5~C10ヘテロアリール基のうちのヘテロアリール基、C5~C10炭素環式基のうちの炭素環式基又はC5~C10複素環式基のうちの複素環式基は、それぞれ独立して置換されていないか又はハロゲン、アルコキシ基又はアルキル基のうちの少なくとも1つの基によって置換されている、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ケトン系化合物は、
【化2】
【化3】
であり、アミノ基転移反応生成物は、
【化4】
【化5】
である、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アミノドナーは、イソプロピルアミン又はイソプロピルアミンの塩である、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素工学分野に関し、具体的には、トランスアミナーゼ突然変異体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素は、生物学的触媒として、生体内でその高い効率及び高い特異性の特徴を十分に発揮できる。しかしながら、工業用途では、一般的には、工業的生産条件に適応できないこと、及び非天然基質に対する触媒能力が低いなどの問題が存在する。部位特異的突然変異と飽和突然変異技術は酵素分子を改造する有効手段である。
【0003】
部位特異的突然変異(site-directed mutagenesis又はsite-specific mutagenesis)とは、標的DNA断片の特定部位に特定の塩基対を取り入れる方法を指す。遺伝子の特定の部位のヌクレオチド配列を変えることによって、コードされたアミノ酸配列を変えることは、一般的に、ある1つ(いくつかの)アミノ酸残基によるタンパク質の構造及び機能に与える影響の研究に用いられる。酵素理論的設計には、部位特異的突然変異方法を用いると、触媒活性、基質特異性及び/又は安定性が向上した突然変異酵素がスクリーニングできる。
【0004】
飽和突然変異とは、目的タンパク質をコードする遺伝子を改造し、短時間内で標的部位のアミノ酸がそれぞれ他の19種のアミノ酸に置換された突然変異体を得る方法である。この方法は、タンパク質を指向改造するために強力なツールだけではなく、タンパク質の構造-機能関係を研究するための重要な手段である。飽和突然変異は、単一部位突然変異より理想的な進化体を得る場合が多い。部位特異的突然変異方法で解決できないこれらの問題は、ちょうど飽和突然変異方法が堪能で、飽和突然変異方法に特有の利点である。
【0005】
ω-トランスアミナーゼ(ω-TA)は、トランスフェラーゼ類に属し、その他のトランスアミナーゼ類と同様に、1つのアミノ基とケトン基の交換過程を触媒するものである。ω-トランスアミナーゼは、ケトン系化合物を原料として、立体特異的なアミノ基転移作用により、キラルアミンを効率よく生産することができ、多くの研究者の注目や重視を集めている。
【0006】
3-アミノピロリジン誘導体及びその光学異性体は、キラルアミン化合物であり、大量のキラル医薬品又は農業化学品を合成する重要な中間体である。(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジンは光学活性を有する重要な3-アミノピロリジン誘導体である。J.M.C1992,35,1764に報告された様に、(R)-1-ベンジル-3-ピロリジノールを出発原料として、5階段反応で(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジンを製造し、そのee値は、96%であり、合成経路は、以下の通りである。
【化1】
【0007】
該合成経路は、出発原料の価格が高く、且つ合成プロセスに有害な試薬であるアジド化ナトリウムが使用されるため、操作装置及び、作業員の安全、廃液・廃ガス・固形廃棄物処理などに対する要求が高く、環境の汚染が深刻である。しかし、今まで報告されたバイオ酵素によりキラル(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジンを不斉合成する方法が非常に少ない。
【0008】
現在、トランスアミナーゼを生物学的触媒としてケトン基質をワンステップで還元して、高い光学純度の(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジンが製造できる報告がある。従来の化学方法に比べて、生物学的変換法は、反応条件が温和で、強酸化剤、強還元剤及び危険な試薬の使用を回避可能で、条件が温和であり、環境汚染が低い。
【0009】
しかしながら、工業生産における該生物学的変換法の適用には、さらに解決する必要があるいくつかの問題が存在し、該方法では、酵素の触媒活性が十分に効率的ではなく、その反応系の総体積が40-60ml/g基質であり、反応系の体積が大きく、生産バッチと生産コストの増加を招いてしまうとともに、後処理過程において有機溶剤の使用量が大きくなり、反応後処理の難度が高くなり、環境に大きな負荷をもたらしてしまう。また、従来技術では、D-アラニン又はL-アラニン又はそれらの塩をアミノドナーとする場合が多く、反応系にさらにグルコースとGDH、及び/又は蟻酸アンモニウムとFDHなどのカップリングコエンザイム系を加える必要がある。
【0010】
従って、トランスアミナーゼの触媒特性を向上させ、反応系の総体積を減少させ、生産コストを削減させ、環境汚染を低減させるために、従来の生物学的変換法を改良する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、触媒活性を向上させるために、トランスアミナーゼ突然変異体及びその使用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本願の第1態様によれば、トランスアミナーゼ突然変異体を提供し、トランスアミナーゼ突然変異体のアミノ酸配列は、配列番号1に示される配列が突然変異したアミノ酸配列であり、突然変異したアミノ酸部位は、F89、K193、P243、V234、I262、Q280、V379、R416、A417及びC418の中から選択される1つ又は複数である。
【0013】
さらに、突然変異したアミノ酸部位に発生した突然変異は、P243E、F89Y/W、K193E、V234I、I262V、Q280K、V379L/M/T、R416A/C/H/Q/T/S、A417S及びC418A/Q/Sのうちのいずれか1種又は複数種を含み、ここでは、「/」は「又は」を示す。
【0014】
さらに、突然変異は、V379L/M/T+F89Y/W、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S、V379L/M/T+A417S、V379L/M/T+C418A/Q/S、V379L/M/T+P243E、V379L/M/T+K193E、V379L/M/T+V234I、V379L/M/T+I262V、V379L/M/T+Q280K、R416A/C/H/Q/T/S+A417S、R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S、R416A/C/H/Q/T/S+F89Y/W、R416A/C/H/Q/T/S+A417S+F89Y/W、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+F89Y/W、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+A417S、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+K193E、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+V234I、V379L/M/T+C418A/Q/S+F89Y/W、V379L/M/T+C418A/Q/S+P243E、V379L/M/T+C418A/Q/S+I262V、V379L/M/T+A417S+Q280K、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+Q280K、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W+Q280K、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W+Q280K+I262V、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W+Q280K+A417S及びV379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W+Q280K+I262V+V234Iという組み合わせのうちのいずれか1つを含む。
【0015】
上記目的を達成するために、本願の第2態様によれば、上記いずれか1種のトランスアミナーゼ突然変異体をコードするDNA分子を提供する。
【0016】
本願の第3態様によれば、上記DNA分子が接続されている組換えプラスミドを提供する。
【0017】
さらに、組換えプラスミドは、pET-21b(+)、pET-22b(+)、pET-3a(+)、pET-3d(+)、pET-11a(+)、pET-12a(+)、pET-14b(+)、pET-15b(+)、pET-16b(+)、pET-17b(+)、pET-19b(+)、pET-20b(+)、pET-21a(+)、pET-23a(+)、pET-23b(+)、pET-24a(+)、pET-25b(+)、pET-26b(+)、pET-27b(+)、pET-28a(+)、pET-29a(+)、pET-30a(+)、pET-31b(+)、pET-32a(+)、pET-35b(+)、pET-38b(+)、pET-39b(+)、pET-40b(+)、pET-41a(+)、pET-41b(+)、pET-42a(+)、pET-43a(+)、pET-43b(+)、pET-44a(+)、pET-49b(+)、pQE2、pQE9、pQE30、pQE31、pQE32、pQE40、pQE70、pQE80、pRSET-A、pRSET-B、pRSET-C、pGEX-5X-1、pGEX-6p-1、pBV220、pBV221、pBV222、pTrc99A、pTwin1、pEZZ18、pUC-18又はpUC-19である。
【0018】
本願の第4態様によれば、上記いずれか1種の組換えプラスミドを含有する宿主細胞を提供する。
【0019】
さらに、宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり、好ましくは、真核細胞は、酵母細胞であり、好ましくは、宿主細胞は、形質転換受容性細胞であり、さらに好ましくは、形質転換受容性細胞は、大腸菌BL21細胞又は大腸菌W3110である。
【0020】
本願の第4態様によれば、上記いずれか1種のトランスアミナーゼ突然変異体であるトランスアミナーゼでケトン系化合物及びアミノドナーに対してアミノ基転移反応を触媒するステップを含むキラルアミンの生産方法を提供する。
【0021】
さらに、ケトン系化合物は、
【化2】
であり、ここでは、R
1とR
2は、それぞれ独立してC1~C8アルキル基、C5~C10シクロアルキル基、C6~C10アリール基又はC5~C10ヘテロアリール基であり、又はR
1とR
2とは、カルボニル基上の炭素と共にC5~C10複素環式基、C5~C10炭素環式基又はC5~C10ヘテロアリール基を形成し、C5~C10複素環式基及びC5~C10ヘテロアリール基のヘテロ原子は、それぞれ独立して、窒素、酸素及び硫黄の中から選択される少なくとも1種であり、C6~C10アリール基のうちのアリール基、C5~C10ヘテロアリール基のうちのヘテロアリール基、C5~C10炭素環式基のうちの炭素環式基又はC5~C10複素環式基のうちの複素環式基は、それぞれ独立して置換されていないか又はハロゲン、アルコキシ基又はアルキル基のうちの少なくとも1つの基によって置換されており、好ましくは、ケトン系化合物は、
【化3】
【化4】
であり、アミノ基転移反応生成物は、
【化5】
【化6】
であり、好ましくは、アミノドナーは、イソプロピルアミン又はイソプロピルアミンの塩である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の技術案を用いると、部位特異的突然変異及び/又は飽和突然変異の方法でω-トランスアミナーゼを改良し、高い触媒効率及び/又は高い安定性のω-トランスアミナーゼ突然変異体を取得する。本願で得られた一部のω-トランスアミナーゼ突然変異体は、(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノ複素環式化合物(特に(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジン及び(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピペリジン)の合成には、酵素の使用量が0.3wt~0.5wtに低下し、反応体積が10V-20Vに低下し、このため、酵素の利用率及び反応ケトルの利用率を大幅に向上させ、酵素液の生産バッチ及び材料の使用量を減少させ、後処理における有機溶剤の使用量を効果的に減少させ、後処理の難度及び廃液・廃ガス・固形廃棄物の排出量を低減させ、人件費を削減させる。また、得られた高い光学純度の(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジンと(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピペリジンによって、該化合物の工業的生産コストを大幅に削減させ、工業生産における該酵素の応用価値を高める。
【発明を実施するための形態】
【0023】
なお、衝突しない限り、本願の実施例及び実施例の特徴は、相互に組み合わせることができる。以下、実施例を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【0024】
名称の解釈
触媒活性:単位時間あたり単位容量(又は質量)の触媒が原料反応物を転化する量である。本発明においては、トランスアミナーゼの触媒活性の大きさは、本発明の前記反応原料の転化率と正相関を示す。
【0025】
進化:突然変異又は組換えなどの手段で分子の多様性を構築し、次にこの多様性をスクリーニングし、新しい機能を有する遺伝子又はDNAを取得する。本発明においては、突然変異又は組換えなどの手段で野生型トランスアミナーゼを改造して、性能が向上したトランスアミナーゼを取得する。
【0026】
野生型:自然から取得され、人為的に突然変異誘発又は改造されていないものである。本発明においては、野生型ω-トランスアミナーゼは、Genebankからスクリーニングした、人為的に改造されていない天然遺伝子配列でコードされるトランスアミナーゼである。
【0027】
固定化酵素:一定の空間内でその触媒作用を発揮し、且つ繰り返し連続的に使用可能な酵素である。一般的には、酵素触媒反応がすべて水溶液で行われるが、固定化酵素は、水溶性酵素を物理的又は化学的方法で処理して、水に不溶性であるが、酵素活性を有する状態にされたものである。酵素の固定化後、一般的に安定性が向上し、反応系から分離されやすくなり、制御しやすくなり、複数回使用でき、輸送・貯蔵も容易であり、自動化生産に有利であるが、活性は低減し、使用範囲は縮小する。
【0028】
固定化細胞:固定化酵素に基づいて発展してきた、細胞の酵素と代謝生成物を取得するための方法である。固定化細胞は、不溶性担体に固定され、一定の空間内で生命活動を行う細胞である。固定化細胞が正常に成長、繁殖及び代謝できるため、固定化生細胞又は固定化増殖細胞とも呼ばれる。
【0029】
本発明に係る1wtとは、いずれも主原料1gの転化にトランスアミナーゼ突然変異体の組換え湿細胞1gを必要とすることを意味する。
【0030】
本発明に係る1Vは、反応系の体積/基質の質量に等しい。
【0031】
部位特異的突然変異及び/又は飽和突然変異の方法でトランスアミナーゼを改造することで、その触媒活性、基質特異性及び/又は安定性を向上させると、酵素液の使用量が大きく、反応系が大きく、生産コストが高いなどの従来技術の問題の解決に寄与する。本発明の主な目的は、酵素分子改造方法でω-トランスアミナーゼを改良して、高い触媒効率及び/又は高い安定性のω-トランスアミナーゼ突然変異体を取得し、それによって、従来技術の不備を解決し、工業生産における応用価値を高めることである。
【0032】
本発明は、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)に由来の野生型ω-トランスアミナーゼ遺伝子を出発遺伝子とする。該野生型遺伝子によってコードされるトランスアミナーゼ(配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する)そのものの活性が高いため、3wt野生型トランスアミナーゼ菌泥を用いると、反応の転化がほとんど完了できる。しかし、該触媒活性が高い野生型のトランスアミナーゼに対して酵素分子進化改造を行い、触媒活性がさらに向上したトランスアミナーゼを取得することは、困難である。従って、本発明は、下記の触媒活性及び/又は安定性が向上したω-トランスアミナーゼ突然変異体を取得するには、36個の部位の部位特異的突然変異を行い、飽和突然変異によって1500個の突然変異菌株をスクリーニングしている。
【0033】
ω-トランスアミナーゼ突然変異体触媒の活性及び/又は安定性を向上させる突然変異したアミノ酸部位は、F89、K193、P243、V234、I262、Q280、V379、R416、A417及びC418の中から選択される1つ又は複数である。ここでは、触媒活性を向上させる部位は、F89、K193、P243、V234、I262、Q280、V379、R416、A417及びC418から選択され、これらの部位は、酵素触媒の中心の近傍に位置し、基質の導入又は結合に繋がる可能性がある。
【0034】
上記トランスアミナーゼに対して、配列番号1を基礎配列として、遺伝子工学手段で改造して得た単一又は複数のアミノ酸残基が変化した突然変異体は、触媒活性及び/又は安定性が顕著に向上している。
【0035】
上記部位が突然変異した上に、発明者は、これらの部位を異なるアミノ酸に突然変異してそのトランスアミナーゼ活性の変化を検出したところ、これらのアミノ酸部位の突然変異が以下のいずれか1種又は数種の組み合わせである場合、トランスアミナーゼの活性及び/又は安定性がさらに向上することを見出した。突然変異は、P243E、F89Y/W、K193E、V234I、I262V、Q280K、V379L/M/T、R416A/C/H/Q/T/S、A417S及びC418A/Q/Sのうちの任意の1つ又は複数を含み、ここでは、「/」は「又は」を示す。
【0036】
本発明者は、触媒活性及び/又は安定性に対して有益な作用を有するこれらの上記部位に対して多部位の組合せ突然変異を行い、指向スクリーニングの方法によって触媒特性がさらに向上したω-トランスアミナーゼ突然変異体を取得し、該突然変異体は、野生型ω-トランスアミナーゼに比べて触媒活性及び/又は安定性が顕著に向上している。
【0037】
より好適な実施例では、上記突然変異は、V379L/M/T+F89Y/W、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S、V379L/M/T+A417S、V379L/M/T+C418A/Q/S、V379L/M/T+P243E、V379L/M/T+K193E、V379L/M/T+V234I、V379L/M/T+I262V、V379L/M/T+Q280K、R416A/C/H/Q/T/S+A417S、R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S、R416A/C/H/Q/T/S+F89Y/W、R416A/C/H/Q/T/S+A417S+F89Y/W、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+F89Y/W、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+A417S、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+K193E、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+V234I、V379L/M/T+C418A/Q/S+F89Y/W、V379L/M/T+C418A/Q/S+P243E、V379L/M/T+C418A/Q/S+I262V、V379L/M/T+A417S+Q280K、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+Q280K、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W+Q280K、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W+Q280K+I262V、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W+Q280K+A417S及びV379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W+Q280K+I262V+V234Iという組み合わせのうちのいずれか1つを含むが、これらに限られない。
【0038】
上記突然変異体及びその組み合わせのスクリーニング過程は、具体的には、以下の通りである。
【0039】
36対の部位特異的突然変異プライマーを用いて36個の部位に対して部位特異的突然変異を行う(F22V、F22A、F22L、L59V、L59A、W60F、C61S、C61A、F88V、F89W、F89Y、Y153F、Y153M、Y153V、A231G、R416K、R416C、R416A、A417H、C418Q、F320V、P94E、S101K、P243E、Q280K、Q346S、P354A、F397A、W60L、T87A、V234M、V234I、I262V、T321A、V379L、V379M)。また、9つの飽和突然変異プライマーを用いて9つの部位に対して飽和突然変異を行う(W60、T321、V379、F89、Y153、A231、Y322、R416、A417、C418)。ここでは、部位特異的突然変異プライマーは、Quik Change Primer Designウェブページで設計されたプライマー配列を本実験に用い、飽和突然変異プライマー配列は以下の表1に示された。全プラスミドPCRによって完全な線形フラグメントを取得し、上記PCR産物をDpnIで消化して出発遺伝子の母本のテンプレートを除去した後に、大腸菌BL21(DE3)に形質転化し、形質転化したものを50μg/mlのアンピシリンを含有するLBシャーレにコーティングし、37℃で一晩培養する。部位特異的突然変異には、遺伝子配列決定を使用して突然変異部位を特定し、飽和突然変異には、ハイスループットスクリーニングした後に、遺伝子配列決定を行って突然変異部位を特定する。
【0040】
【0041】
(一)下記方法によってハイスループットスクリーニングを行う。
【0042】
1、96ウェルプレート誘導発現:モノクローナルを選択して100μg/mlのアンピシリンを含むLB液体培地に接種し、37℃でOD600=0.6になるまで振とう培養し、最終濃度が0.2mMになるまでIPTGを加え、25℃で一晩誘導発現する。
【0043】
2、酵素液の調製方法:96ウェルプレートを遠心して上清培地を除去し、各ウェルに200μlの酵素分解溶液(リゾチーム2mg/mL、ポリミキシン1mg/mL、pH=7.0)を加え、37℃で2h保温しながら破砕する。酵素分解後の細胞破砕液を4000rpmで10min遠心し、粗酵素液として上清を得る。
【0044】
3、表2に示される体系に従って、マイクロプレートリーダーで活性の一次スクリーニングを行う。
【0045】
【0046】
以上の表2に示される体系の酵素液以外の他の成分を96浅いウェルプレートに均一に混合し、430nmでバックグラウンド検出を行い、次に、各ウェルに96μLの製造済みの突然変異体酵素液をそれぞれ加えた直後に、混合系を40℃、200rpmのシェーカーに置いて反応させ、30~40min後に、マイクロプレートリーダーでOD430の吸光値変化を検出する。
【0047】
酵素活性の計算式:酵素活性(u/mL)=(ΔA×60×V1)/(6.22×t×V2)
ΔA:反応プロセス中の吸光光度値の変化量、
V1:反応系の総体積、
6.22:消光係数、
t:ΔAの検出時間、
V2:加える酵素液の体積。
【0048】
野生型トランスアミナーゼの酵素活性と比較することで、活性が高い突然変異株をスクリーニングし、二次スクリーニング及び遺伝子配列決定を行う。
【0049】
(二)トランスアミナーゼ突然変異体の2次スクリーニング
上記の一次スクリーニングによる酵素の活性が野生型トランスアミナーゼより高い突然変異体を100μg/mlのアンピシリンを含む500mlのLB液体培地に接種し、37℃でOD600=0.6になるまで振とう培養し、最終濃度が0.2mMになるまでIPTGを加え、25℃で誘導発現を行う。16h誘導した後に、6000gを10min遠心して菌体を収集する。菌体に対して超音波破砕機(JY92-2D、寧波新芝生物科技株式会社製)で細胞を破砕し、4℃で、10000gを20min遠心して上清液を取得して、活性検出に用いる。
【0050】
(1)N-Cbz-3-ピロリドンを基質としてトランスアミナーゼ突然変異体の反応活性をテストする。以下の体系を用いる。
【0051】
N-Cbz-3-ピロリドン基質0.2gをDMSO 0.5mlに溶解して均一に混合し、4.3Mのイソプロピルアミンの塩酸塩1.25ml、0.01g/mlのPLP 0.2ml、組換え粗酵素0.3~3wtを加え、pH7.0の100mMのリン酸塩緩衝液を用いて反応系を20~30Vに補完し、pHを7.0に調整し、30℃の恒温でシェーカーに200rpmで反応させる。3h、16hに200μLの体系を取り、400μLのメタノールを加えて均一に混合し、12000rpmで3分間遠心し、上清液200μLにメタノール800μLを加えて均一に混合し、HPLCにより転化率を検出する。触媒活性が向上した突然変異体を決定する。
【0052】
一部の検出結果は表3に示される。
【0053】
【0054】
表3からわかるように、トランスアミナーゼは、反応速度が速く、3hと一晩16hとの転化効果がほぼ同じ、転化率の差が10%以下であり、しかし、サンプリング操作の便利のため、その後、実験には、一晩反応を用いる。本発明の一部のω-トランスアミナーゼ突然変異体は、(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノ複素環式化合物(特に(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジン)の合成には、酵素の使用量がさらに0.3-0.5wtに低下し、反応体積が20Vであり、得られた(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジンのee値が99%より大きく、これにより、酵素の利用率を大幅に向上させ、該化合物の工業生産コストを大幅に削減させる。
【0055】
また、(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピペリジンの合成反応条件及び一部の反応結果は表4に示される。
【0056】
【0057】
表4からわかるように、本発明の一部のω-トランスアミナーゼ突然変異体は、(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピペリジン合成には、酵素の使用量が0.5wtに低下し、反応体積が10Vに低下し、転化率が8%~30%向上し、ee値>98%である。これにより、酵素と反応釜の利用率を大幅に向上させ、酵素液の生産バッチ及び材料の使用量を効果的に減少させ、生産コストを削減させる。
【0058】
(2)N-Cbz-3-ピロリドンを基質としてトランスアミナーゼ突然変異体の耐性をテストする。以下の体系を用いる。
【0059】
N-Cbz-3-ピロリドン基質0.2gをDMSO0.5mlに溶解して均一に混合し、4.3Mのイソプロピルアミンの塩酸塩1.25ml、0.01g/mlのPLP 0.2ml、30℃で、pH9.5の50%のDMSOで1h処理した組換え粗酵素0.5~2wtを加え、100mMのNaHCO3を用いて反応系を20~30Vに補完し、pHを7.0に調整し、30℃の恒温でシェーカーにおいて200rpmで一晩反応させる。16h後に、体系200μLを取り、メタノール400μLを加えて均一に混合し、12000rpmで3分間遠心し、上清液200μLにメタノール800μLを加えて均一に混合し、HPLCにより転化率を検出する。安定性が向上した突然変異体を決定する。一部の結果は表5に示される。
【0060】
【0061】
酵素は、高温、強酸、強アルカリ、有機溶剤などの極端条件に長時間晒されると、活性を失ってしまい、残留酵素活性は、高温、強酸、強アルカリ又は有機溶剤などの環境下で活性を維持する酵素の総活性である。相対残留活性は、高温、アルカリ性、有機溶剤などの極端条件で適切に処理された酵素液を測定した酵素活性と、極端環境で処理されていない酵素液の最適条件での酵素活性との百分率である。同一の処理条件において、相対残留活性が高ければ高いほど、この条件での該酵素の安定性が高い。
【0062】
表5からわかるように、同じ極端条件において、突然変異体の相対残留活性は、野生型トランスアミナーゼより2倍~3倍高い。従って、本発明で得られたω-トランスアミナーゼ突然変異体の安定性が大幅に向上し、それにより、後続の固定化及び連続流反応のために良好な条件を提供する。
【0063】
以上からわかるように、本発明で指向スクリーニングの方法により取得されたω-トランスアミナーゼ突然変異体は、触媒活性及び/又は安定性が大幅に向上し、それにより、アミノ基転移反応、特に安いイソプロピルアミンをアミノドナーとして、(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピペリジンと(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジンを触媒合成する反応に用いると、酵素使用量を低減させ、反応系を減少させる。
【0064】
本発明の第2典型的な実施形態では、上記いずれか1種のω-トランスアミナーゼ突然変異体をコードするDNA分子を提供する。コードされる上記トランスアミナーゼ突然変異体は、触媒活性及び/又は安定性が顕著に向上するという利点を有する。
【0065】
本発明の第3典型的な実施形態では、上記DNA分子が接続されている組換えプラスミドを提供する。
【0066】
上記組換えプラスミドとして、上記のトランスアミナーゼ突然変異体を発現できるDNA分子の任意の組換えプラスミドは、本発明に適用できる。本発明の好適な実施例では、組換えプラスミドは、pET-21b(+)、pET-22b(+)、pET-3a(+)、pET-3d(+)、pET-11a(+)、pET-12a(+)、pET-14b(+)、pET-15b(+)、pET-16b(+)、pET-17b(+)、pET-19b(+)、pET-20b(+)、pET-21a(+)、pET-23a(+)、pET-23b(+)、pET-24a(+)、pET-25b(+)、pET-26b(+)、pET-27b(+)、pET-28a(+)、pET-29a(+)、pET-30a(+)、pET-31b(+)、pET-32a(+)、pET-35b(+)、pET-38b(+)、pET-39b(+)、pET-40b(+)、pET-41a(+)、pET-41b(+)、pET-42a(+)、pET-43a(+)、pET-43b(+)、pET-44a(+)、pET-49b(+)、pQE2、pQE9、pQE30、pQE31、pQE32、pQE40、pQE70、pQE80、pRSET-A、pRSET-B、pRSET-C、pGEX-5X-1、pGEX-6p-1、pBV220、pBV221、pBV222、pTrc99A、pTwin1、pEZZ18、pUC-18又はpUC-19の中から選択される1つである。
【0067】
本発明の第4典型的な実施形態では、上記いずれか1種の組換えプラスミドを含有する宿主細胞を提供する。具体的な宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり、好ましくは、真核細胞は、酵母細胞である。より好ましくは、上記宿主細胞は、形質転換受容性細胞であり、さらに好ましくは、形質転換受容性細胞は、大腸菌BL21細胞又は大腸菌W3110である。
【0068】
本発明の第5典型的な実施形態では、上記いずれか1種のトランスアミナーゼ突然変異体であるトランスアミナーゼを用いてケトン系化合物及びアミノドナーに対してアミノ基転移反応を触媒するステップを含むキラルアミンの生産方法を提供する。
【0069】
ケトン系化合物は、
【化7】
であり、ここでは、R
1とR
2は、それぞれ独立してC1~C8アルキル基、C5~C10シクロアルキル基、C6~C10アリール基又はC5~C10ヘテロアリール基であり、又はR
1とR
2とはカルボニル基上の炭素と共にC5~C10複素環式基、C5~C10炭素環式基又はC5~C10ヘテロアリール基を形成し、C5~C10複素環式基及びC5~C10ヘテロアリール基のヘテロ原子は、それぞれ独立して、窒素、酸素及び硫黄の中から選択される少なくとも1種であり、C6~C10アリール基のうちのアリール基、C5~C10ヘテロアリール基のうちのヘテロアリール基、C5~C10炭素環式基のうちの炭素環式基又はC5~C10複素環式基のうちの複素環式基は、それぞれ独立して置換されていないか又はハロゲン、アルコキシ基又はアルキル基のうちの少なくとも1つの基によって置換されており、好ましくは、ケトン系化合物は、
【化8】
【化9】
であり、アミノ基転移反応生成物は、
【化10】
【化11】
であり、好ましくは、アミノドナーは、イソプロピルアミン又はイソプロピルアミンの塩である。
【0070】
触媒活性及び/又は安定性が顕著に向上したこれらのトランスアミナーゼ突然変異体を用いると、(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノ複素環式化合物の合成中の酵素の使用量と反応体積を大幅に低減させ、生産バッチと生成コストを大幅に減少させ、工業生産における該酵素の応用価値を高める。本発明は、安いアミノドナー(例えばイソプロピルアミン及びその塩酸塩)を用いて反応させ、反応中にカプリングコエンザイム系を必要とせず、このため、反応材料の種類が少なく、操作がシンプルである。
【0071】
本発明の上記トランスアミナーゼ突然変異作を触媒として(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジン又は(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピペリジンなどの(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノ複素環式化合物を製造するプロセスでは、酵素の触媒活性及び/又は安定性が顕著に向上するため、酵素の使用量が顕著に低減し、反応体積が10-20ml/gの基質に減少し、従来技術の反応体積より遥かに小さい。以上により、上記反応の温度、時間及びpH値は、従来の反応条件下で合理的に調整して最適化して得ることができる。本願の好適な反応条件を用いると、反応効率が高い。
【0072】
以下、下記非制限的実施例によって本発明をさらに説明し、当業者にとっては、本発明の精神から逸脱することなく、本発明に対して多くの修正が可能であることが周知であり、このような修正も本発明の範囲に属する。
【0073】
下記実験方法は、特に断らない限り、いずれも従来の方法であり、用いられた実験材は、特に断らない限り、いずれも商業会社から容易に入手できる。
【0074】
実施例1
Quik Change Primer Designウェブページで設計された36対の部位特異的突然変異プライマー及び表1に示される9つの飽和突然変異プライマーを用い、全プラスミドPCRによって完全な線形フラグメントを取得し、上記のPCR産物をDpnIで消化して出発遺伝子の母本のテンプレートを除去した後に、大腸菌BL21(DE3)に形質転化し、形質転化したものを50μg/mlのアンピシリンを含有するLBシャーレにコーティングし、37℃で一晩培養した。飽和突然変異をハイスループットスクリーニングした。具体的には、上記突然変異体に対して以下の方法によりハイスループットスクリーニングを行った。
【0075】
(1)96ウェルプレート誘導発現:モノクローナルを選択して100μg/mlアンピシリンを含むLB液体培地に接種し、37℃でOD600=0.6になるまで振とう培養し、最終濃度が0.2mMになるまでIPTGを加え、25℃で一晩誘導発現した。
【0076】
(2)酵素液の調製方法:96ウェルプレートを遠心して上清培地を除去し、各ウェルに200μlの酵素分解溶液(リゾチーム2mg/mL、ポリミキシン1mg/mL、pH7.0)を加え、37℃で2h保温しながら破砕した。酵素分解後の細胞破砕液を4000rpmで10min遠心して、粗酵素液として上清を得た。
【0077】
実施例2:N-Cbz-3-ピロリドン基質に対するトランスアミナーゼ突然変異体の活性のテスト
酵素活性が野生型トランスアミナーゼより高い上記突然変異体を100μg/mlのアンピシリンを含む500mlのLB液体培地に接種し、37℃でOD600=0.6になるまで振とう培養し、最終濃度が0.2mMになるまでIPTGを加え、25℃で誘導発現を行った。16h誘導した後に、6000gのものを10min遠心して菌体を収集した。菌体に対して超音波破砕機(JY92-2D、寧波新芝生物科技株式会社製)で細胞を破砕し、4℃で、10000gを20min遠心して上清液を取得して、活性検出に用いた。
【0078】
N-Cbz-3-ピロリドン基質0.2gをDMSO 0.5mlに溶解して均一に混合し、4.3Mのイソプロピルアミンの塩酸塩1.25ml、0.01g/mlのPLP 0.2ml、組換え粗酵素0.3~2wtを加え、pH7.0の100mMのリン酸塩緩衝液で反応系を20~30Vに補完し、pHを7.0に調整し、30℃の恒温でシェーカーにおいて200rpmで一晩反応させた。16h後に、体系200μLを取り、メタノール400μLを加えて均一に混合し、12000rpmで3分間遠心して、HPLCにより上清液について転化率を検出した。触媒活性が向上した突然変異体を決定した。
【0079】
触媒活性が向上した突然変異体結果は表6に示される。
【0080】
【0081】
「1」は、3wtのケトレダクターゼの粗酵素で、反応系が30Vである場合に、16hの転化率は>93%であることを示し、「+」は、1wtのケトレダクターゼの粗酵素で、反応系が30Vである場合に、16hの転化率は93%より大きいことを示し、「++」は、1wtのケトレダクターゼの粗酵素で、反応系が20Vである場合に、16hの転化率は>93%であることを示し、「+++」は、0.5wtのケトレダクターゼの粗酵素で、反応系が20Vである場合に、16hの転化率は>93%であることを示し、「++++」は、0.3wt~0.5wtのケトレダクターゼの粗酵素で、反応系が20Vである場合に、16hの転化率は、94%-100%であることを示す。
【0082】
実施例3:
番号1~21、33~43及び54の突然変異体で誘導発現した33個のトランスアミナーゼを(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピペリジンの合成反応のスクリーニングに用い、N-BOC-ピペリジノン基質0.2gをDMSO 0.3mlに溶解して均一に混合し、4.3Mのイソプロピルアミンの塩酸塩698ul、PLP 2mg、組換え粗酵素0.5~3wtを加え、pH7.0の100mMのリン酸塩緩衝液を用いて反応系を10~16Vに補完し、pHを7.0に調整し、30℃で、200rpmで一晩反応させる様な反応系を用いた。反応をスクリーニングした結果活性が高い菌種の反応結果は、表7に示される。表7を除いた21個のトランスアミナーゼ突然変異体の触媒活性は、野生型トランスアミナーゼの活性に比べて増加していなかった。
【0083】
【0084】
実施例4:N-Cbz-3-ピペリジノンを基質としたトランスアミナーゼ突然変異体の耐性のテスト
0.5wtのトランスアミナーゼの粗酵素を30℃、pH9.5で、50%のDMSOで1h処理した後、以下の反応に用いた。N-Cbz-3-ピペリジノン基質0.2gをDMSO 0.3mlに溶解して均一に混合し、4.3Mのイソプロピルアミンの塩酸塩698ul、0.01g/mlのPLP 0.2mlを加え、100mMのNaHCO3で反応系を11Vに補完し、pHを9.5に調整し、30℃の恒温でシェーカーにおいて200rpmで一晩反応させた。16h後に、体系200μLを取り、メタノール400μLを加えて均一に混合し、12000rpmで3分間遠心して、HPLCにより上清液について転化率を検出した。具体的な結果は表8に示される。
【0085】
【0086】
表8からわかるように、同じ処理条件において、一部のトランスアミナーゼ突然変異体は、野生型トランスアミナーゼに比べて安定性が高くなった。
【0087】
実施例5:
4つの0.5wtのトランスアミナーゼの粗酵素を30℃、pH9.5で、50%~60%のDMSOで1h処理した後、以下の反応に用いた。N-Cbz-3-ピペリジノン基質0.2gをDMSO 0.3mlに溶解して均一に混合し、4.3Mのイソプロピルアミンの塩酸塩698ul、0.01g/mlのPLP 0.2mlを加え、100mMのNaHCO3で反応系を2mlに補完し、pHを9.5に調整し、30℃の恒温でシェーカーにおいて200rpmで一晩反応させた。16h後に、体系200μLを取り、メタノール400μLを加えて均一に混合し、12000rpmで3分間遠心して、HPLCにより上清液について転化率を検出し、結果は表9に示される。
【0088】
【0089】
実施例6:(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジンの合成製造におけるトランスアミナーゼ突然変異体の応用
その反応方程式は、以下の通りである。
【化12】
【0090】
反応系は、以下の通りであった。N-Cbz-3-ピロリドン基質1gをDMSO 2.5mlに溶解して均一に混合し、4.3Mのイソプロピルアミンの塩酸塩6.25ml、0.01g/mlのPLP(リン酸ピリドキサール)1ml、V379T+R416A+C418A+F89Y組換え粗酵素0.3~0.5wtを加え、pH7.0の100mMのリン酸塩緩衝液を用いて反応系を20Vに補完し、pHを7.0に調整し、30℃の恒温でシェーカーにおいて200rpmで反応させた。HPLCにより検出したところ、16h後の転化率は、96.38%であり、反応終了後に、体系のアルカリ性を調整し、メチルtert-ブチルエーテルを加えて3回抽出し、抽出した有機相を合併後に、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、乾固するまで回転蒸発し、収率は、80~86%であり、ee値は>99%であった。
【0091】
実施例7:(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピペリジンの製造合成におけるトランスアミナーゼ突然変異体の応用
その反応方程式は、以下の通りであった。
【化13】
【0092】
反応系は、以下の通りであった。N-BOC-ピペリジノン基質2gをDMSO 3mlに溶解して均一に混合し、4.3Mのイソプロピルアミンの塩酸塩6.98ml、PLP(リン酸ピリドキサール)20mg、V379T+R416A+C418S+F89Y組換え粗酵素0.5wtを加え、pH7.0の100mMのリン酸塩緩衝液を用いて反応系を10Vに補完し、pHを7.0に調整し、30℃、200rpmで一晩反応させた。HPLCにより検出したところ、16h後の転化率は、98.3%であり、反応終了後に、体系のアルカリ性を調整し、メチルtert-ブチルエーテルを加えて3回抽出し、抽出した有機相を合併した後に、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、乾固するまで回転蒸発させ、収率は>90%、ee値は99%であった。
【0093】
以上の説明からわかるように、本発明の上記実施例は、以下の技術的効果を実現する。
【0094】
本願で得られた一部のω-トランスアミナーゼ突然変異体は、(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノ複素環式化合物(特に(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジン及び(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピペリジン)の合成には、酵素の使用量が0.3wt~0.5wtに低下し、反応体積が10V-20Vに低下し、酵素の利用率と反応ケトルの利用率を大幅に向上させ、酵素液の生産バッチ及び材料の使用量を減少させ、後処理中の有機溶剤の使用量を効果的に減少させ、後処理の難度と廃液・廃ガス・固形廃棄物の排出量を低減させ、人件費を削減させる。また、得られた高い光学純度の(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピロリジンと(S)-1-ベンジルオキシカルボニル-3-アミノピペリジンによって、該化合物の工業生産コストを大幅に削減させ、工業生産における該酵素の応用価値を高める。
【0095】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、当業者にとっては、本発明は様々な変更や変化が可能である。本発明の精神と原則から逸脱することなく行われた任意の修正、等価置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する。
[1]トランスアミナーゼ突然変異体であって、
アミノ酸配列は、配列番号1に示される配列が突然変異したアミノ酸配列であり、前記突然変異したアミノ酸部位は、F89、K193、P243、V234、I262、Q280、V379、R416、A417及びC418からなる群から選択される1つ又は複数である、
ことを特徴とするトランスアミナーゼ突然変異体。
[2]前記突然変異したアミノ酸部位における突然変異は、P243E、F89Y/W、K193E、V234I、I262V、Q280K、V379L/M/T、R416A/C/H/Q/T/S、A417S及びC418A/Q/Sのうちのいずれか1種又は複数種を含み、ここでは、「/」は「又は」を示す、
ことを特徴とする[1]に記載のトランスアミナーゼ突然変異体。
[3]前記突然変異は、V379L/M/T+F89Y/W、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S、V379L/M/T+A417S、V379L/M/T+C418A/Q/S、V379L/M/T+P243E、V379L/M/T+K193E、V379L/M/T+V234I、V379L/M/T+I262V、V379L/M/T+Q280K、R416A/C/H/Q/T/S+A417S、R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S、R416A/C/H/Q/T/S+F89Y/W、R416A/C/H/Q/T/S+A417S+F89Y/W、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+F89Y/W、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+A417S、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+K193E、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+V234I、V379L/M/T+C418A/Q/S+F89Y/W、V379L/M/T+C418A/Q/S+P243E、V379L/M/T+C418A/Q/S+I262V、V379L/M/T+A417S+Q280K、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+Q280K、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W+Q280K、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W+Q280K+I262V、V379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W+Q280K+A417S及びV379L/M/T+R416A/C/H/Q/T/S+C418A/Q/S+F89Y/W+Q280K+I262V+V234Iの組み合わせのうちのいずれか1つを含む、
ことを特徴とする[1]又は[2]に記載のトランスアミナーゼ突然変異体。
[4]DNA分子であって、
[1]~[3]のいずれかに記載のトランスアミナーゼ突然変異体をコードする、
ことを特徴とするDNA分子。
[5]組換えプラスミドであって、
[4]に記載のDNA分子が接続されている、
ことを特徴とする組換えプラスミド。
[6]前記組換えプラスミドは、pET-21b(+)、pET-22b(+)、pET-3a(+)、pET-3d(+)、pET-11a(+)、pET-12a(+)、pET-14b(+)、pET-15b(+)、pET-16b(+)、pET-17b(+)、pET-19b(+)、pET-20b(+)、pET-21a(+)、pET-23a(+)、pET-23b(+)、pET-24a(+)、pET-25b(+)、pET-26b(+)、pET-27b(+)、pET-28a(+)、pET-29a(+)、pET-30a(+)、pET-31b(+)、pET-32a(+)、pET-35b(+)、pET-38b(+)、pET-39b(+)、pET-40b(+)、pET-41a(+)、pET-41b(+)、pET-42a(+)、pET-43a(+)、pET-43b(+)、pET-44a(+)、pET-49b(+)、pQE2、pQE9、pQE30、pQE31、pQE32、pQE40、pQE70、pQE80、pRSET-A、pRSET-B、pRSET-C、pGEX-5X-1、pGEX-6p-1、pBV220、pBV221、pBV222、pTrc99A、pTwin1、pEZZ18、pKK232-18、pUC-18又はpUC-19である、
ことを特徴とする[5]に記載の組換えプラスミド。
[7]前記宿主細胞であって、
[5]又は[6]に記載の組換えプラスミドを含有する、
ことを特徴とする宿主細胞。
[8]前記宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり、
好ましくは、前記真核細胞は、酵母細胞であり、
好ましくは、前記宿主細胞は、形質転換受容性細胞であり、さらに好ましくは、前記形質転換受容性細胞は、大腸菌BL21細胞又は大腸菌W3110である、
ことを特徴とする[7]に記載の宿主細胞。
[9]トランスアミナーゼを用いてケトン系化合物及びアミノドナーのアミノ基転移反応を触媒するステップを含むキラルアミンの生産方法であって、
前記トランスアミナーゼは、[1]~[3]のいずれかに記載のトランスアミナーゼ突然変異体である、
ことを特徴とするキラルアミンの生産方法。
[10]前記ケトン系化合物は、
【化14】
であり、ここでは、R
1
とR
2
は、それぞれ独立してC1~C8アルキル基、C5~C10シクロアルキル基、C6~C10アリール基又はC5~C10ヘテロアリール基であり、又はR
1
とR
2
とは、カルボニル基上の炭素と共にC5~C10複素環式基、C5~C10炭素環式基又はC5~C10ヘテロアリール基を形成し、前記C5~C10複素環式基及びC5~C10ヘテロアリール基のヘテロ原子は、それぞれ独立して、窒素、酸素及び硫黄の中から選択される少なくとも1種であり、前記C6~C10アリール基のうちのアリール基、C5~C10ヘテロアリール基のうちのヘテロアリール基、C5~C10炭素環式基のうちの炭素環式基又はC5~C10複素環式基のうちの複素環式基は、それぞれ独立して置換されていないか又はハロゲン、アルコキシ基又はアルキル基のうちの少なくとも1つの基によって置換されており、好ましくは、前記ケトン系化合物は、
【化15】
【化16】
であり、アミノ基転移反応生成物は、
【化17】
【化18】
であり、好ましくは、アミノドナーは、イソプロピルアミン又はイソプロピルアミンの塩である、
ことを特徴とする[9]に記載の方法。
【配列表】