(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】電装素子の放熱装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20220324BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20220324BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
H05K7/20 R
H01L23/36 Z
H01L23/46 B
(21)【出願番号】P 2020530655
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(86)【国際出願番号】 KR2018015619
(87)【国際公開番号】W WO2019112400
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】10-2017-0168698
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0158227
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク ヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ウー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジン ソー ヨ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウー ヨー
(72)【発明者】
【氏名】ミン シク パク
(72)【発明者】
【氏名】へー ヨン キム
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055616(JP,A)
【文献】特開2006-128388(JP,A)
【文献】特開2009-283672(JP,A)
【文献】中国実用新案第201700117(CN,U)
【文献】特開2000-161880(JP,A)
【文献】特開平05-243441(JP,A)
【文献】特開2000-092819(JP,A)
【文献】特開2015-227768(JP,A)
【文献】特開2003-069269(JP,A)
【文献】特開平11-054680(JP,A)
【文献】特開平07-283564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/36
H01L 23/427
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板と、
前記プリント基板の一面に実装され、作動時に少なくとも一つ以上が発熱する複数個の電装素
子と、
前記プリント基板
および前記電装素子を収容する基板ケースと、
前記基板ケースを覆
うように形成され、
内面が前記プリント基板の
一面に密着
し、外面に複数の熱伝導溝を有する放熱カバーと、
前記放熱カバーの
外面に突出して
設けられた複数個の放射状放熱体とを備え、
前記複数個の放射状放熱体の各々は、
内部に熱伝達流体が充填され、前記熱伝導溝に凹入して前記放熱カバーに結合する一端部と、前記一端部に対して上向きに傾斜するよう折り曲げられた他端部とを有する単位ヒートパイプと、
前記単位ヒートパイプの他端部の外周面から、半径方向に放射状に延びるように設けられ、前記単位ヒートパイプから伝達された熱を外部に放熱する放熱リブと、
前記単位ヒートパイプの一端部に当接した状態で前記放熱カバーに固定され、前記放熱カバーの熱を集熱するパイプ固定ブロックとを備え、
前記単位ヒートパイプの一端部の外周面の一側が、前記放熱カバーの熱伝導溝に凹入され、前記単位ヒートパイプの一端部の外周面の他側が、前記パイプ固定ブロックに包まれて収容されており、
前記複数の熱伝導溝は、前記単位ヒートパイプの個数に対応して複数個形成される、電装素子の放熱装置。
【請求項2】
前記複数個の熱伝導溝は、
上下方向に互いに所定距離離隔して形成される、請求項
1に記載の電装素子の放熱装置。
【請求項3】
前記複数個の熱伝導溝は、
上下方向および左右方向に互いに所定距離離隔して形成される、請求項
1に記載の電装素子の放熱装置。
【請求項4】
左右方向に隣接する前
記熱伝導溝および前
記熱伝導溝に結合された前記放射状放熱体の各々は、
互いの上下方向位置が異なっている、請求項
1~3のいずれか一項に記載の電装素子の放熱装置。
【請求項5】
前記複数個の単位ヒートパイプの他端部の外周面
の各々に形成された前
記放熱リブは、
前記単位ヒートパイプの他端部の外周面から離隔した先端が少なくとも上向きにならないように形成される、請求項
1に記載の電装素子の放熱装置。
【請求項6】
前記単位ヒートパイプの一端部および前記パイプ固定ブロックは、
前記放熱カバーの
内面側に配置された
前記電装素子
と対応する位置
に配置される、請求項
1に記載の電装素子の放熱装置。
【請求項7】
前記複数個の
放熱リブの各々は、
前記放熱カバーの
外面から所定距離離隔して形成される、請求項
1に記載の電装素子の放熱装置。
【請求項8】
前記複数個の放射状放熱体の
各々は、
前
記放熱リブの先端
が、前記放熱カバーの
外面に対して同じ離隔距離を有するように形成される、請求項
1に記載の電装素子の放熱装置。
【請求項9】
前記複数個の単位ヒートパイプ
の内部には、
前記放熱カバーから伝達される熱によって気化し、前記複数個の放熱リブに熱を伝達してから液化する熱伝達流体が充填され
る、請求項
2~3および請求項
5~8のいずれか一項に記載の電装素子の放熱装置。
【請求項10】
前記複数個の単位ヒートパイプ
の各々は、
前記放熱カバーの
外面に結合した一端部が
、前記放熱リブが備えられた他端部よりも下側に位置する、請求項
9に記載の電装素子の放熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装素子の放熱装置(A COOLING APPARATUS FOR ELECTRONIC ELEMENT)に関し、より詳細には、製品全体の軽量化を達成し、様々な方向での空気の流動を可能として、放熱性能を向上させることができる電装素子の放熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電装素子は、作動時に熱を発生し、電装素子が集積された空間内の熱が外部に放熱されず、蓄積される場合、電装素子の作動性能が低下する可能性がある。
【0003】
電装素子は、ほとんどが基板ケースの内部に備えられたプリント基板にはんだ付け結合し、この際、外部からの保護のために、カバーおよび基板ケースによって密閉された空間を形成する。
【0004】
図1は従来技術による電装素子の一般的な放熱装置を示す分解斜視図である。
【0005】
従来技術による電装素子の一般的な放熱装置は、
図1に図示されているように、未図示の電装素子が一面に実装されたプリント基板20を収容する基板ケース10と、基板ケース10に収容されたプリント基板20を覆うとともに基板ケース10に結合し、外側面に複数個の放熱リブ31が一体に形成されたカバー30とを含む。
【0006】
ここで、カバー30の内側面は、プリント基板20の他面に面接触して配置されることで、プリント基板20の電装素子から発生した熱が、カバー30の内側面に伝達された後、カバー30の外側面に一体に形成された複数個の放熱リブ31を介して外側に放熱される。
【0007】
しかし、前記のように構成された従来技術による電装素子の一般的な放熱装置は、作動時に発熱する電装素子の個数が少ない場合には、カバー30の外側面に一体に形成された複数個の放熱リブ31だけで十分な放熱が行われ問題がないが、多数個の電装素子が限定された空間(すなわち、基板ケース10内)に集約設置された場合には、従来の放熱リブ31だけでは十分な放熱が行われず、基板ケース10の内側に熱が蓄積し、電装素子の作動性能を低下させるという問題がある。
【0008】
上記のような問題を解決すべく、複数個の放熱リブ31の放熱面積を増加させるために、単位放熱リブ31の外側面に対して、
図1に図示されているような波状の溝32を精緻に加工することができるが、前記のように固定された箇所での放熱面積のさらなる加工は限界があるため、好ましくない解決策である。
【0009】
また、複数個の放熱リブ31は、
図1に図示されているように、外部の空気が上下方向にのみ流入されるように上下に長く形成され、左右方向に所定距離離隔して形成されているため、空気流動性が低下し、放熱性能を高めるのに制限がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の技術的な課題を解決すべくなされたものであって、複数個の放熱リブを備えることによるカバーの重量を減少させることで、製品全体の軽量化を達成できる電装素子の放熱装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、様々な方向で空気が複数個の放射状放熱体の内部に流動可能に設計されることで、放熱性能を向上させることができる電装素子の放熱装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による電装素子の放熱装置の実施形態は、作動時に少なくとも一つ以上が発熱する複数個の電装素子が一面に実装されたプリント基板と、前記プリント基板を収容する基板ケースと、前記基板ケースを覆い、且つ内側面が前記プリント基板の他面に密着する放熱カバーと、少なくとも一つ以上が前記放熱カバーの外側面に突出して備えられ、この際、それぞれ上向きに傾斜して延長形成され、前記プリント基板から発生した熱の伝達を受けて外部に放熱する複数個の放射状放熱体とを含む。
【0013】
ここで、前記複数個の放射状放熱体は、一端部は、前記放熱カバーの外側面に外周面の一部が凹入して結合し、他端部は、前記一端部に対して折り曲げられて上向きに傾斜して外側に延びた複数個の単位ヒートパイプと、前記複数個の単位ヒートパイプそれぞれの他端部の外周面の一部または全部から半径方向の外側に放射状に延びた複数個の放熱リブとを含むことができる。
【0014】
また、前記放熱カバーの外側面には、前記複数個の単位ヒートパイプの一端部が凹入して結合する熱伝導溝が、前記複数個の単位ヒートパイプの個数に対応して複数個が形成され得る。
【0015】
また、前記複数個の熱伝導溝は、上下方向に長く列を形成し、この際、上下に隣接する熱伝導溝が互いに所定距離離隔して形成され得る。
【0016】
また、前記複数個の熱伝導溝は、上下方向に長く複数個の列を形成し、この際、左右に隣接する列が互いに所定距離離隔して形成され得る。
【0017】
また、前記複数個の熱伝導溝および前記複数個の単位ヒートパイプは、左右に隣接する熱伝導溝および単位ヒートパイプが相違する高低を有するように配置され得る。
【0018】
また、前記複数個の単位ヒートパイプの他端部の外周面にそれぞれ形成された前記複数個の放熱リブは、前記単位ヒートパイプの他端部の外周面から離隔した先端が少なくとも上向きにならないように形成され得る。
【0019】
また、前記複数個の放射状放熱体は、前記放熱カバーの外側面に結合し、この際、前記放熱カバーの外側面に凹入していない前記複数個の単位ヒートパイプの一端部の外周面を包むように前記複数個の単位ヒートパイプを固定するパイプ固定ブロックをさらに含んでもよい。
【0020】
また、前記複数個の放射状放熱体の構成のうち、前記複数個の単位ヒートパイプの一端部および前記パイプ固定ブロックは、前記放熱カバーの内側面に配置された複数個の電装素子の位置に対応する位置に備えられ得る。
【0021】
また、前記複数個の放射状放熱体の構成のうち、前記複数個の放熱リブは、前記放熱カバーの外側面と所定距離離隔して形成され得る。
【0022】
また、前記複数個の放射状放熱体の構成のうち、前記複数個の放熱リブの先端それぞれは、前記放熱カバーの外側面に対して同じ離隔距離を有するように形成され得る。
【0023】
また、前記複数個の単位ヒートパイプは、内部に、前記放熱カバーから伝達される熱によって気化し、前記複数個の放熱リブに熱を伝達してから液化する熱伝逹流体が充填されるように備えられ得る。
【0024】
また、前記複数個の単位ヒートパイプは、前記放熱カバーの外側面に結合した一端部が前記複数個の放熱リブが備えられた他端部よりも下側に位置し得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明による電装素子の放熱装置の実施形態によると、以下のような様々な効果を奏することができる。
【0026】
第一に、従来の複数個の放熱リブの代わりに、同一の放熱面積を形成する複数個の放射状放熱体を使用することで、製品全体の軽量化を図る効果を有する。
【0027】
第二に、外部の空気が様々な経路および様々な方向に複数個の放射状放熱体の内部に流動され得ることから放熱性能を向上させる効果を有する。
【0028】
第三に、複数個の放射状放熱体が外側に上向きに傾斜して配置されることから、下部からの放熱空気が上側の放射状放熱体に及ぼす影響を最小化することで、全体的に均一な放熱を可能にする効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】従来技術による電装素子の一般的な放熱装置を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明による電装素子の放熱装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図4】
図2のA‐A線に沿って切断した断面図である。
【
図5】
図2の構成のうち、単位放射状放熱体を示す斜視図である。
【
図7】本発明による電装素子の放熱装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【
図9】
図7のB‐B線に沿って切断した断面図である。
【
図10】本発明による電装素子の放熱装置のさらに他の実施形態を示す断面図および一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一部の実施形態について例示的な図面により詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付けるに際し、同じ構成要素に対しては、仮に異なる図面上に示されていてもできるだけ同じ符号を有するようにしていることに留意すべきである。また、本発明を説明するにあたり、関連する公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にし得ると判断した場合には、その詳細な説明は省略する。
【0031】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」、「備える」とした場合、これは、特に相反する記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。明細書で使用されている「電装素子」は、その作動時に発熱する「発熱素子」を意味しており、同じ概念として混用して使用可能である。
【0032】
図2は本発明による電装素子の放熱装置の一実施形態を示す斜視図であり、
図3は
図2の分解斜視図であり、
図4は
図2のA‐A線に沿って切断した断面図であり、
図5は
図2の構成のうち、単位放射状放熱体を示す斜視図であり、
図6は
図5の分解斜視図である。
【0033】
本発明による電装素子の放熱装置の一実施形態100は、
図2~
図6に示されているように、作動時に少なくとも一つ以上が発熱する複数個の電装素子125が一面に実装されたプリント基板120を含む。
【0034】
ここで、プリント基板120は、一面にのみ複数個の電装素子125が実装されるように備えられるものに限定して説明するが、両面のいずれにも電装素子125が実装される両面型も本発明の権利範囲の範疇に含まれることは当然である。
【0035】
一方、複数個の電装素子125は、電気的に作動して所定の熱を発生するすべての発熱素子を含む概念であり、代表的に、アンテナ装置に設置されるパワーサプライユニット(PSU、Power Supply Unit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)素子などが挙げられ、それ以外に、熱の発生によって性能が低下し得る素子構成も含むと考えられる。
【0036】
一方、本発明の一実施形態は、上述のプリント基板120を収容する基板ケース105(
図7および
図8参照)および基板ケース105を覆い、且つ内側面がプリント基板120の他面に密着する放熱カバー110をさらに含んでもよい。ここでの放熱カバー110もアンテナ装置のハウジングに対応する構成であって、プリント基板120に実装されたアンテナ素子、PSUおよびFPGA素子を外部から保護するとともに、外部に放熱することができる構成であれば、その名称がどうであれ、すべてを含む概念であり得る。
【0037】
放熱カバー110は、基板ケース105の内部に収容されたプリント基板120を外部から保護するとともに、プリント基板120に実装された複数個の電装素子125から発生する熱を外側に伝達する役割を果たすように、伝導性材質からなることが好ましい。放熱カバー110の外側には、図面には図示されていないが、後述する複数個の放射状放熱体130とは別に、外側面と一体に形成された複数個の放熱フィンがさらに備えられ得る。
【0038】
なお、本発明による電装素子の放熱装置の一実施形態100は、少なくとも一つ以上が放熱カバー110の外側面に突出して備えられ、この際、それぞれ上向きに傾斜して延長形成され、プリント基板120から発生した熱の伝達を受けて外部に放熱する複数個の放射状放熱体130をさらに含んでもよい。
【0039】
かかる複数個の放射状放熱体130は、放熱カバー110の外側面に複数個の放熱フィンが一体に形成された場合、複数個の放熱フィンが除去された状態の放熱カバー110部分に直接接触するように配置され得る。
【0040】
複数個の放射状放熱体130は、放熱カバー110の外側面に結合した複数個の単位ヒートパイプ140と、複数個の単位ヒートパイプ140それぞれに形成された複数個の放熱リブ150とを含むことができる。
【0041】
複数個の放熱リブ150は、
図5に示されているように、単位ヒートパイプ140が円形の断面を有して備えられた場合、単位ヒートパイプ140の長さ方向を中心とする円柱面からそれぞれ放射状の外側に延びるように形成され得る。
【0042】
かかる複数個の放熱リブ150は、
図1に図示されている従来の放熱カバー10の外側面に一体に形成された放熱リブ30と対応する構成であり、従来の放熱リブ30の面積と同じ面積を有するように形成する場合、より小さい空間内で作製されることから、有効放熱面積を向上させることができる。
【0043】
なお、複数個の放熱リブ150それぞれは、その形成方向が単位ヒートパイプ140それぞれを中心に放射状に形成されていることから、冷却のための外部の空気の流動経路が多様に形成され得るため、複数個の放射状放熱体130の間で流動空気が停滞する現象を防止することができ、放熱性能を極大化することができる。
【0044】
本発明の一実施形態による電装素子の放熱装置では、従来の問題点である単位放熱リブに対する溝の精緻な加工の限界を解消するために、複数個の放射状放熱体130といった新規の構造を提案しているが、複数個の放熱リブ150それぞれに対する溝形状の加工を完全に排除する概念ではないことに注意すべきである。この際、複数個の放熱リブ150それぞれに対する溝の形状加工は、上述のとおり、複数個の放射状放熱体130の間を流動する空気の流動停滞が発生しない限度の大きさまたは形状に形成されることが好ましい。
【0045】
一方、複数個の単位ヒートパイプ140は、内部に、放熱カバー110から伝達される熱によって気化し、複数個の放熱リブ150によって熱が外部に放熱される場合に液化する熱伝逹流体が充填され得る。
【0046】
ここで、熱伝逹流体は、単位ヒートパイプ140の一端部141で放熱カバー110から伝達された熱によって気化し、単位ヒートパイプ140の他端部142である上側に移動しながら、熱を放熱カバー110から外側に移動させた後、単位ヒートパイプ140の他端部142の近所で液化することを繰り返す方式で熱伝逹を行う媒体である。
【0047】
したがって、複数個の単位ヒートパイプ140は、熱源に備えられた側(本発明の実施形態の場合、単位ヒートパイプ140の一端部141)は、放熱される側(本発明の実施形態の場合、単位ヒートパイプ140の他端部142)よりも低い位置に備えられなければならない。すなわち、熱伝逹流体は、流体移動原理によって、高温の場合、上側に移動する原理を利用したものである。
【0048】
そのため、複数個の単位ヒートパイプ140は、放熱カバー110の外側面に結合した一端部が、複数個の放熱リブ150が備えられた他端部よりも下側に位置しなければならない。
【0049】
以下、本発明の実施形態において、複数個の単位ヒートパイプ140の内部に充填された熱伝逹流体が、気化時には流体移動原理によって上側に移動した後、熱伝逹が行われてから液化時に重力によってまた下方に備えられた熱源に移動する構造を採択したものと限定して説明する。
【0050】
一方、放熱カバー110の外側面には、複数個の単位ヒートパイプ140の一端部141が凹入して結合する熱伝導溝111が、複数個の単位ヒートパイプ140の個数に対応して、複数個形成され得る。ここで、放熱カバー110の外側面に、上述のように、複数個の放熱フィンが一体に形成された場合、複数個の単位ヒートパイプ140と干渉しないように、一部の複数個の放熱フィンが除去または削除され得ることは既に説明している。
【0051】
熱伝導溝111は、上下方向に長く列(Line)を形成し、この際、上下に隣接する熱伝導溝111が互いに所定距離離隔して形成されることが好ましい。なお、複数個の熱伝導溝111は、上下方向に長く複数個の列(Line)を形成し、この際、左右に隣接する列が互いに所定距離離隔して形成され得る。
【0052】
このように配置された複数個の熱伝導溝111それぞれには、上述の複数個の単位ヒートパイプ140の一端部141が1対1に結合し得る。これにより、上下方向および左右方向に離隔した空間に外気が流動し、放熱のための空気の流動経路が多様に設計され得る。
【0053】
一方、本発明による電装素子の放熱装置の一実施形態100において、複数個の放射状放熱体130は、放熱カバー110の外側面に結合し、この際、放熱カバー110の外側面に凹入していない複数個の単位ヒートパイプ140の一端部141の外周面を包むように複数個の単位ヒートパイプ140を固定するパイプ固定ブロック160をさらに含んでもよい。
【0054】
パイプ固定ブロック160は、放熱カバー110の外側面に伝達された電装素子125の熱を集熱し、複数個の単位ヒートパイプ140の一端部141に効果的に伝達されるようにする熱伝導性に優れた材質からなることが好ましい。
【0055】
複数個の単位ヒートパイプ140の一端部141の外周面の一側は、放熱カバー110の外側面に形成された熱伝導溝111に密着して収容され、複数個の単位ヒートパイプ140の一端部141の外周面の他側は、パイプ固定ブロック160に密着して収容配置されることで、電装素子125から発生した熱をできるだけ多く複数個の単位ヒートパイプ140の一端部141に伝達する。
【0056】
一方、複数個の放射状放熱体130の構成のうち、複数個の単位ヒートパイプ140の一端部141およびパイプ固定ブロック160は、放熱カバー110の内側面に配置された複数個の電装素子125の位置にそれぞれ対応する位置に備えられることが好ましい。
【0057】
複数個の単位ヒートパイプ140は、それぞれの電装素子125から発生した熱の伝達を直接受けないが、位置上、最小の熱流動経路を介して電装素子125から発生した熱がパイプ固定ブロック160を媒介として伝達されるようにするためである。
【0058】
一方、複数個の放射状放熱体130の構成のうち、複数個の放熱リブ150は、放熱カバー110の外側面と近くに位置した端部が少なくとも放熱カバー110の外側面と所定距離離隔して形成されることが好ましい。なお、複数個の放熱リブ150は、放熱カバー110の外側に備えられたパイプ固定ブロック160によって放熱カバー110の外側面から所定の厚さが形成された場合には、パイプ固定ブロック160の外側面と近くに位置した複数個の放熱リブ150の端部との間が所定距離離隔するように形成されることが好ましい。
【0059】
これは、放熱カバー110の外側面またはパイプ固定ブロック160の外側面に伝達された熱が、前記離隔した空間を介して外側に直接放熱されるようにするためである。
【0060】
前記のように構成される本発明による電装素子の放熱装置の一実施形態100の放熱過程について添付の図面(特に、
図2~
図6)を参照して簡単に説明すると、以下のとおりである。
【0061】
先ず、電装素子125が実装されたプリント基板120の一面から電装素子125の作動時に発生した熱は、プリント基板120の他面に伝達された後、プリント基板120の他面に密着配置された放熱カバー110の内側面に伝達される。
【0062】
次に、放熱カバー110の内側面に伝達された熱は、放熱カバー110の外側面に伝達されて、放熱カバー110の外側面と複数個の放熱リブ150との間の離隔空間を介して熱を1次放熱し、且つ残熱は、放熱カバー110の外側面に形成された熱伝導溝111およびパイプ固定ブロック160を介して複数個の単位ヒートパイプ140の一端部141それぞれに伝達される。
【0063】
これにより、複数個の単位ヒートパイプ140の内側に充填された熱伝逹流体が気化しながら相対的に上側に位置した複数個の単位ヒートパイプ140の他端部142に移動し、その外周面に備えられた複数個の放熱リブ150を介して2次に放熱する。
【0064】
この際、気化した熱伝逹流体は、複数個の放熱リブ150に熱を伝逹する過程で凝縮し、また液化するとともに、重力方向に移動しながらプリント基板120から伝達された熱によってまた気化することを繰り返すことで、電装素子125から発生した熱を迅速に外部に放熱する。
【0065】
一方、本発明による電装素子の放熱装置の一実施形態100は、下側に位置した複数個の放射状放熱体130から放熱が行われる場合、上述のとおり、前記複数個の放射状放熱体130の全部が放熱カバー110に対して上向きに傾斜して突出形成されることで、放熱された空気が上昇気流を形成しても、上側に備えられた複数個の放射状放熱体130によって上昇気流が外側に導かれることから、下側に備えられた複数個の放射状放熱体130の1次または2次放熱された熱によって相対的に上側に備えられた複数個の放射状放熱体130の放熱性能が低下することを防止することができる。
【0066】
なお、本発明による電装素子の放熱装置の一実施形態100は、隣接する複数個の放射状放熱体130がそれぞれ所定距離離隔して配置されることで、外気が様々な流動経路を形成しながら放熱リブ150に流動され、これにより空気の流入量が従来に比べて大幅に増加し、放熱性能が向上することができる。
【0067】
図7は本発明による電装素子の放熱装置の他の実施形態を示す斜視図であり、
図8は
図7の分解斜視図であり、
図9は
図7のB‐B線に沿って切断した断面図である。
【0068】
本発明による電装素子の放熱装置の他の実施形態100´は、基本的に上述の一実施形態に対して、複数個の放射状放熱体130が放熱カバー110の外側面にそれぞれ所定距離離隔して配置された技術的特徴が同一であることを前提にする。
【0069】
したがって、以下で開示する本発明による電装素子の放熱装置の他の実施形態100´は、上述の一実施形態とは区別される技術的構成を中心に説明する。
【0070】
本発明による電装素子の放熱装置の他の実施形態100´において、
図7~
図9に示されているように、複数個の熱伝導溝111および複数個の単位ヒートパイプ140は、左右に隣接する熱伝導溝111および単位ヒートパイプ140が相違する高低を有して配置されるように備えられ得る。
【0071】
すなわち、複数個の放射状放熱体130は、上下方向に長く列を形成し、この際、複数個の列に配置され、それぞれの放射状放熱体130は、その隣接する放熱体とは相違する高低を有して配置されることで、外部の空気の流動経路をより多様に確保できるという利点がある。
【0072】
なお、本発明の他の実施形態は、複数個の放射状放熱体130の構成のうち、複数個の放熱リブ150の先端それぞれが、放熱カバー110の外側面に対して同じ離隔距離を有するように形成され得る。すなわち、複数個の放射状放熱体130の放熱リブ150の先端それぞれは、放熱カバー110の外側面と平行の先端面を形成することで、外部への露出設計が容易であるという利点がある。
【0073】
なお、図面に図示されていないが、本発明の一実施形態および他の実施形態の場合、上述の複数個の放熱リブ150が外部に露出するように設置されるため、外部の異物の付着などの恐れがあり、複数個の放熱リブ150の空気が流動する流動ホールが多数個形成されたリブ保護カバーが別に備えられ得る。リブ保護カバーは、放熱性能が低下しない限度で作業者による設置の際、破損防止のための働きをすることができる適した形態に作製されることが好ましい。
【0074】
図10は本発明による電装素子の放熱装置100のさらに他の実施形態を示す断面図および一部拡大斜視図である。
【0075】
本発明による電装素子の放熱装置100のさらに他の実施形態において、
図10に示されているように、複数個の単位ヒートパイプ140の他端部142の外周面にそれぞれ形成された複数個の放熱リブ150は、単位ヒートパイプ140の他端部142の外周面から離隔した先端が少なくとも上向きにならないように形成され得る。ここで、単位ヒートパイプ140の他端部142の外周面は、上向きに傾斜して配置された棒状の外周面を意味し、複数個の放熱リブ150の先端は、単位ヒートパイプ140の他端部142の外周面から最も遠く離れた複数個の放熱リブ150の端部を指す。
【0076】
すなわち、複数個の放熱リブ150の先端が複数個の単位ヒートパイプ140の外周面から上向きにならないように形成されるとは、複数個の単位ヒートパイプ140の他端部142の外周面の半分の部分(下側に向かう部分)にのみ複数個の放熱リブ150を備え、残りの半分の部分(上側に向かう部分)には複数個の放熱リブ150を備えない形状で複数個の放射状放熱体130を備えることを意味する。
【0077】
この場合、
図10に示されているように、限定された面積を有する放熱カバー110の外側面に、より多い個数の放射状放熱体130を近接または密接して設置できることから、放熱性能をより向上させるという利点をさらに有することができる。
【0078】
以上、本発明による電装素子の放熱装置の実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施形態は必ずしも上述の実施形態によって限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者による様々な変形および均等な範囲での実施が可能であることは当然であると言える。したがって、本発明の真の権利範囲は、後述する請求の範囲によって定められると言える。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明による電装素子の放熱装置の実施形態は、特に、発熱の高い電装素子を備えたアンテナ装置に使用可能である。
【符号の説明】
【0080】
100:放熱装置
105:基板ケース
110:放熱カバー
111:熱伝導溝
120:プリント基板
125:電装素子
130、130´:放射状放熱体
140:単位ヒートパイプ
141:一端部
142:他端部
150:放熱リブ
160:パイプ固定ブロック