(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 77/02 20060101AFI20220324BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220324BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20220324BHJP
C08K 9/04 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
C08L77/02
C08K3/013
C08K5/5415
C08K9/04
(21)【出願番号】P 2020535604
(86)(22)【出願日】2017-12-29
(86)【国際出願番号】 CN2017119973
(87)【国際公開番号】W WO2019127417
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】201711451111.4
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513014536
【氏名又は名称】上海錦湖日麗塑料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】王 堯
(72)【発明者】
【氏名】李 強
(72)【発明者】
【氏名】羅 明華
(72)【発明者】
【氏名】辛 敏▲き▼
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-145456(JP,A)
【文献】特開2011-016913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 77/02
C08K 3/013
C08K 5/5415
C08K 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気めっき
に使用するポリアミド複合材料であって、
重量部で、
ポリアミド樹脂: 60~90部、
有機修飾ナノモンモリロナイト: 1~10部、
無機フィラー: 10~40部、
シランカップリング剤: 0.1~1部、
カプロラクタム: 0.1~1部、
開始剤: 0.1~1部、
酸化防止剤: 0.1~1部、
潤滑剤: 0.1~1部、
を含
み、
前記ポリアミド樹脂は、カプロラクタムを開環重合してなる脂肪族ポリアミド樹脂であることを特徴とする、ポリアミド複合材料。
【請求項2】
前記無機フィラーは、タルク粉末、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩のうちの1種又は複数種であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド複合材料。
【請求項3】
前記シランカップリング剤の分子式はRSiX3であり、
式中、Rはアミノ基、メルカプト基、ビニル基、エポキシ基、シアノ基又はメタクリロイルオキシ基であり、Xは加水分解性シロキシであることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド複合材料。
【請求項4】
前記開始剤は6-アミノカプロン酸であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド複合材料。
【請求項5】
前記酸化防止剤は、トリエチレングリコールビス[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール-テトラキス[β-(3,5-ジ-t-ブチル4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイトのうちの1種又は複数種を含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド複合材料。
【請求項6】
前記潤滑剤は、シランポリマー、固形パラフィン、流動パラフィン、脂肪酸塩、ステアリン酸カルシウム脂肪酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド及びN,N-エチレンビスステアリン酸アミドのうちの1種又は複数種を含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド複合材料。
【請求項7】
前記有機修飾ナノモンモリロナイトの製造方法は、11-アミノウンデカン酸及び濃硫酸を80℃の水に溶解した後、ナノモンモリロナイトの水分散液を加え、80℃で反応させた後、冷却、乾燥、研磨及び篩に掛けることにより、前記有機修飾ナノモンモリロナイトを得ることであることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド複合材料。
【請求項8】
請求項1に記載のポリアミド複合材料の製造方法であって、
ポリアミド樹脂、有機修飾ナノモンモリロナイト、無機フィラー、シランカップリング剤、カプロラクタム、開始剤、酸化防止剤及び潤滑剤を混合ミキサーに入れて混合し、その後、二軸押出機により反応、押出、ブレンドを行うと同時に、前記二軸押出機の溶融帯域及び均質化帯域にそれぞれ超臨界流体を注入し、造粒し
、電気めっき
に使用するポリアミド複合材料を得るステップを含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項9】
前記二軸押出機のシリンダ温度は210~250℃であり、スクリューの回転速度は300~600rpmであり、前記超臨界流体は窒素ガスであり、前記超臨界流体の温度は23℃超えであり、圧力は3.39MPa超えであることを特徴とする、請求項
8に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料及びその製造方法に関し、高分子材料加工技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の内装と外装に一般的に使用されている電気めっき材料はABS、PC/ABS、ミネラル充填ナイロンである。材料特性の面では、ミネラル充填ナイロンは、高強度、高耐熱性、及び優れた耐疲労性を有するため、自動車の電気めっきドアハンドルへの使用に非常に適している。しかし、実際の自動車の電気めっきドアハンドルはPC/ABS材料を使用することが多く、ごく少数のハイエンドモデルのみはナイロンミネラルフィラーを使用している。ナイロンは電気めっきプロセスの特殊性を有し、具体的には、ナイロンは吸水性を有するため、その電気めっきプロセスがABS、PC/ABS電気めっきラインと異なる。一方、電気めっきメーカーにとって、ナイロン電気めっきの生産ラインは投資が高いだけでなく、電気めっきプロセスの要求も高く、最終的な電気めっきの歩留まりが低いため、電気めっき製品の製造へのナイロン材料の適用が大幅に制限される。
【0003】
近年、人々はナイロン素材の吸水率を下げることについて多くの研究を行っており、主な目的は、吸水後のナイロンの硬度、弾性率、及び強度の低下の問題を解決することである。例えば、主鎖に芳香環を導入することにより、低吸水性及び高耐熱性を有するPA6T、PA9T、PA10Tなどの新材料が開発された。特許CN106046781Aには、芳香族ポリアミド樹脂により吸水率が低く、電気めっきに適したナイロン材料を製造する方法が開示されている。しかしながら、芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミドは、成形性が脂肪族ポリアミドよりも劣り、射出成形品は内部応力が残りやすいため、最終的には電気めっきが不十分になり、コストが高くなる。また、他の成分と配合して修飾することにより吸水率を低下させる効果を達成する方法が開示されている。文献によると、他の成分はポリマーであってもよく、無機フィラーであってもよい。例えば、CN101787204Bには、層状ケイ酸塩粘土を充填し、スチレン樹脂とブレンドすることにより低吸水率のポリアミド組成物を製造することが開示されている。しかしながら、この方法で製造されたポリアミド聚合物は電気めっきに使用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の欠陥に対して、本発明は、強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明に係る強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料は、重量部で、
ポリアミド樹脂: 60~90部、
有機修飾ナノモンモリロナイト: 1~10部、
無機フィラー: 10~40部、
シランカップリング剤: 0.1~1部、
カプロラクタム: 0.1~1部、
開始剤: 0.1~1部、
酸化防止剤: 0.1~1部、
潤滑剤: 0.1~1部、
を含む。
【0006】
好ましくは,前記ポリアミド樹脂は、カプロラクタムを開環重合してなる脂肪族ポリアミド樹脂である。
【0007】
好ましくは、前記無機フィラーは、タルク粉末、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩のうちの1種又は複数種であって、さらに好ましくは、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムのうちの1種又は2種である。
【0008】
好ましくは、前記シランカップリング剤の分子式はRSiX3であり、
式中、Rはアミノ基、メルカプト基、ビニル基、エポキシ基、シアノ基又はメタクリロイルオキシ基であり、Xは加水分解性シロキシであって、さらに好ましくは、Rはアミノ基である。
【0009】
好ましくは、前記開始剤は6-アミノカプロン酸である。
【0010】
好ましくは、前記酸化防止剤は、トリエチレングリコールビス[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール-テトラキス[β-(3,5-ジ-t-ブチル4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイトのうちの1種又は複数種を含む。
【0011】
好ましくは、前記潤滑剤は、シランポリマー、固形パラフィン、流動パラフィン、脂肪酸塩、ステアリン酸カルシウム脂肪酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド及びN,N-エチレンビスステアリン酸アミドのうちの1種又は複数種を含む。
【0012】
好ましくは、前記有機修飾ナノモンモリロナイトの製造方法は、11-アミノウンデカン酸及び濃硫酸を80℃の水に溶解した後、ナノモンモリロナイトの水分散液を加え、80℃で反応させた後、冷却、乾燥、研磨及び篩に掛けることにより、前記有機修飾ナノモンモリロナイトを得る。
【0013】
さらに、上記目的を達成するための本発明に係る上述の強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料の製造方法は、
ポリアミド樹脂、有機修飾ナノモンモリロナイト、無機フィラー、シランカップリング剤、カプロラクタム、開始剤、酸化防止剤及び潤滑剤を混合ミキサーに入れて混合し、その後、二軸押出機により反応、押出、ブレンドを行うと同時に、前記二軸押出機の溶融帯域及び均質化帯域にそれぞれ超臨界流体を注入し、造粒し、前記強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料を得るステップを含む。
【0014】
好ましくは、前記二軸押出機のシリンダ温度は210~250℃であり、スクリューの回転速度は300~600rpmであり、前記超臨界流体は窒素ガス、二酸化炭素のうちの1種であり、前記超臨界流体の温度は23℃超えであり、圧力は3.39MPa超えである。
【発明の効果】
【0015】
従来技術に比べ、本発明は以下の有益な効果を有する。
1、本発明の強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料は、ナノモンモリロナイトを有機修飾することにより、ナノモンモリロナイトの層状構造間の距離が増大し、層状構造とポリアミド樹脂との界面結合能力が向上するとともに、押出過程において、開始剤の作用下によりカプロラクタムがさらに開環してモンモリロナイトの層状構造に重合することにより、ナノモンモリロナイトの層状構造と基体との相容性が向上し、基材材料の力学的特性が向上し、吸水率を低下させる作用を奏する。
【0016】
2、本発明の高強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料は、超臨界流体の優れた拡散性により、ナノモンモリロナイトの有機修飾、開始剤とカプロラクタムのポリアミド基体における分散性及び反応効率を促進できるだけでなく、無機フィラーの基材における均一な分散を向上できるため、ナノモンモリロナイトと相乗してポリアミド基材の吸水率を大幅に低下させることができる。
【0017】
3、本発明の強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料は、上記技術によりポリアミド複合体の吸水率を大幅に低下させ、ABS材料のプロセスに従って電気めっき後処理を行うことができるため、水洗後に材料性能が劣化する懸念がない。
【0018】
4、本発明の強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料は、モンモリロナイト、無機フィラーのポリアミド基材におけるナノスケールでの均一な分散を達成し、電気めっきの粗面化処理において、樹脂基板と金属めっき層の密着力を高めるためのリベッティングポイントとして使用でき、電気めっき密着力が高い部品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、具体的な実施形態により本発明について詳細に説明する。以下の実施例は、いわゆる当業者が本発明をより理解しやすくするためのものであって、本発明を限定するものではない。いわゆる当業者が本発明の技術的思想のもとで行われた変更および改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれることに注意されたい。
【0020】
以下の実施例及び対比例において、ポリアミド樹脂は巴陵石化のBL3280H、モンモリロナイトはNANOCOR社のI.24TLを用い、11-アミノ酸は泰州天鴻生化科技公司から購入され、濃硫酸は上海華誼集団上硫化工有限公司から購入され、無機フィラーは諾亜化工の軽質炭酸カルシウム(メッシュ数:1250メッシュ)を用い、シランカップリング剤は広州中傑化工のKH550、γ-アミノプロピルトリエトキシシランを用い、カプロラクタムは巴陵石化のカプロラクタムを用い、開始剤は上海阿拉丁の6-アミノカプロン酸を用い、酸化防止剤はCiba社のIrganox 1010及びIrganox 168(重量比1:1)を用い、潤滑剤は市販のペンタエリスリトールステアリン酸を用いる。
【0021】
(対比例1)
強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料及びその製造方法は、以下のステップ(1)とステップ(2)を含む。
ステップ(1)において、重量部でポリアミド樹脂:70、炭酸カルシウム:30、シランカップリング剤:1、酸化防止剤1010:0.1、酸化防止剤168:0.1、潤滑剤PETS:0.1を秤量する。
ステップ(2)において、原料を材料供給口から投入し、210~250℃で溶融押出し、スクリュー押出機の回転速度は500rpm、圧力は2MPaであり、溶融押出した後、造粒して製品を得る。
【0022】
(対比例2)
強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料及びその製造方法は、以下のステップ(1)とステップ(2)を含む。
ステップ(1)において、重量部でポリアミド樹脂:70、ナノモンモリロナイト:5、炭酸カルシウム:25、シランカップリング剤:1、カプロラクタム:1、開始剤:0.1、酸化防止剤1010:0.1、酸化防止剤168:0.1、潤滑剤PETS:0.1を秤量する。
ステップ(2)において、原料を材料供給口から投入し、210~250℃で溶融押出し、スクリュー押出機の回転速度は500rpm、圧力は2MPaであり、溶融押出した後、造粒して製品を得る。
【0023】
(対比例3)
強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料及びその製造方法は、以下のステップ(1)とステップ(2)を含む。
ステップ(1)において、重量部でポリアミド樹脂:70、有機修飾ナノモンモリロナイト:10、炭酸カルシウム:20、シランカップリング剤:1、カプロラクタム:1、開始剤:0.1、酸化防止剤1010:0.1、酸化防止剤168:0.1、潤滑剤PETS:0.1を秤量する。
ステップ(2)において、原料を材料供給口から投入し、210~250℃で溶融押出し、スクリュー押出機の回転速度は500rpm、圧力は2MPaであり、溶融押出した後、造粒して製品を得る。
【0024】
(対比例4)
強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料及びその製造方法は、以下のステップ(1)からステップ(3)を含む。
ステップ(1)において、重量部でポリアミド樹脂:70、炭酸カルシウム:30、シランカップリング剤:1、酸化防止剤1010:0.1、酸化防止剤168:0.1、潤滑剤PETS:0.1を秤量する。
ステップ(2)において、原料を材料供給口から投入し、210~250℃で溶融押出し、スクリュー押出機の回転速度は500rpm、圧力は2MPaであり、溶融押出した後、造粒して製品を得る。
ステップ(3)において、溶融帯域及び均質化帯域での超臨界窒素ガスの温度は25℃、圧力は4.0MPaである。
【0025】
(実施例1)
強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料及びその製造方法は、以下のステップ(1)からステップ(3)を含む。
ステップ(1)において、重量部でポリアミド樹脂:70、有機修飾ナノモンモリロナイト:5、炭酸カルシウム:25、シランカップリング剤:1、カプロラクタム:1、開始剤:0.1、酸化防止剤1010:0.1、酸化防止剤168:0.1、潤滑剤PETS:0.1を秤量する。
ステップ(2)において、原料を材料供給口から投入し、210~250℃で溶融押出し、スクリュー押出機の回転速度は500rpm、圧力は2MPaであり、溶融押出した後、造粒して製品を得る。
ステップ(3)において、溶融帯域及び均質化帯域での超臨界窒素ガスの温度は25℃、圧力は4.0MPaである。
【0026】
(実施例2)
強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料及びその製造方法は、以下のステップ(1)からステップ(3)を含む。
ステップ(1)において、重量部でポリアミド樹脂:70、有機修飾ナノモンモリロナイト:10、炭酸カルシウム:20、シランカップリング剤:1、カプロラクタム:1、開始剤:0.1、酸化防止剤1010:0.1、酸化防止剤168:0.1、潤滑剤PETS:0.1を秤量する。
ステップ(2)において、原料を材料供給口から投入し、210~250℃で溶融押出し、スクリュー押出機の回転速度は500rpm、圧力は2MPaであり、溶融押出した後、造粒して製品を得る。
ステップ(3)において、溶融帯域及び均質化帯域での超臨界窒素ガスの温度は25℃、圧力は6.0MPaである。
【0027】
(実施例3)
強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料及びその製造方法は、以下のステップ(1)からステップ(3)を含む。
ステップ(1)において、重量部でポリアミド樹脂:80、有機修飾ナノモンモリロナイト:10、炭酸カルシウム:10、シランカップリング剤:1、カプロラクタム:1、開始剤:0.1、酸化防止剤1010:0.1、酸化防止剤168:0.1、潤滑剤PETS:0.1を秤量する。
ステップ(2)において、原料を材料供給口から投入し、210~250℃で溶融押出し、スクリュー押出機の回転速度は500rpm、圧力は2MPaであり、溶融押出した後、造粒して製品を得る。
ステップ(3)において、溶融帯域及び均質化帯域での超臨界窒素ガスの温度は25℃、圧力は6.0MPaである。
【0028】
以上の対比例及び実施例で製造された強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料の力学的特性及び耐水性について試験した。結果を表1に示す。
表1 対比例及び実施例で製造されたポリアミド複合材料の力学的特性及び耐水性試験の結果
【表1】
【0029】
以上の対比例及び実施例で製造された強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料を140*90*3mmの試験板に射出成形し、試験板をABS電気めっきプロセスに従って電気めっきし、その電気めっき性能及び電気めっき密着力を評価した。その結果を表2に示す。
【表2】
【0030】
表1には、対比例1と対比例4の比較から分かるように、超臨界窒素ガスの優れた拡散性能により無機フィラーである炭酸カルシウム及び有機修飾ナノモンモリロナイトの基体樹脂における分散性が向上し、通常のプロセスに比べて製品の吸水率が低下する。対比例1、2と実施例1、対比例3と実施例2の比較から分かるように、ナノモンモリロナイトの独特な層状構造は、炭酸カルシウムと相乗して基体樹脂の吸水性をさらに低下させることができるとともに、超臨界技術により、有機修飾ナノモンモリロナイトの層状構造が基体樹脂においてナノスケールで分散することができ、吸水率が大幅に低下し、力学的特性が保持される。
【0031】
表2の結果から分かるように、本発明で提供される強度が高く、電気めっきしやすいポリアミド複合材料は、ABS材料の電気めっきプロセスに従って電気めっきすることができ、吸水率の影響を受けることがなく、ナノモンモリロナイト及び炭酸カルシウムの基体樹脂における良好な分散により、優れた電気めっき密着力を有し、通常のポリアミド複合体の充填よりも顕著に改善された。
【0032】
以上、本発明の具体的な実施例を説明した。理解できるように、本発明は、上記特定の実施形態に限定されず、当業者は本発明の実質的な内容に影響を与えずに特許請求の範囲内で様々な変形又は修正を加えることができる。