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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】スケジュール送信の改善
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20090101AFI20220324BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20220324BHJP
   H04W 74/04 20090101ALI20220324BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20220324BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W72/04 131
H04W74/04
H04W84/12
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020537766
(86)(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2018050716
(87)【国際公開番号】W WO2019137613
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-09-18
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】スンドマン, デニス
(72)【発明者】
【氏名】デル カルピオ ベガ, ルイス フェリペ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス, ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ユ
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-515487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線デバイスが無線ネットワークにアクセスできるようにするアクセスポイントを動作させ、前記無線ネットワークは一連の送信スロットを有する少なくとも1つの送信チャネルを含む、方法であって、
前記一連の送信スロットのうちの第1の送信スロットを、前記複数の無線デバイスのうちの第1の無線デバイスに、前記第1の無線デバイスに対する前記第1の送信スロットへの優先アクセスによるスケジュール送信のために割り当てることと、
前記第1の送信スロットの間に、前記第1の無線デバイスが現在、割り当てられた前記第1の送信スロットにおいてデータを送信していないことを検出することと、
少なくとも、前記第1の送信スロットが終了するまでの前記第1の送信スロットにおける時間範囲が、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信のために前記複数の無線デバイスに利用可能であることを指示する指示を、少なくとも、前記複数の無線デバイスのサブセットに送信することであって、少なくとも、前記複数の無線デバイスのサブセットに送信される前記指示は、前記第1の送信スロットの後の、スケジュール送信のために割り当てられる少なくとも1つの他の今後の送信スロットが、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信のために、少なくとも、前記複数の無線デバイスのサブセットに利用可能であることを、さらに指示する、前記複数の無線デバイスのサブセットに送信することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の無線デバイスが現在データを送信していないことを前記第1の送信スロットの間に検出することは、前記第1の無線デバイスが、前記割り当てられた第1の送信スロットにおいていずれのデータも全く送信しないことを検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の無線デバイスが現在データを送信していないことを前記第1の送信スロットの間に検出することは、前記第1の無線デバイスが、前記割り当てられた第1の送信スロットにおいてデータを既に送信し終わっていることを検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの送信チャネルは、前記一連の送信スロットにおいて、優先アクセスによるスケジュール送信が決定性送信モードにおけるデータ送信に使用されるスケジュール送信スロット、および、ランダムアクセスプロシージャが競合モードにおけるデータ送信に使用されるランダムアクセス送信スロットを含み、前記指示は、少なくとも、前記第1の送信スロットが終了するまでの前記時間範囲が、前記競合モードにおける送信に利用可能であることを指示する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の無線デバイスが現在データを送信していないことを前記第1の送信スロットの間に検出することは、前記第1の無線デバイスが前記第1の送信スロットにおいてデータを送信していないことを所定の時間範囲TCDについて判断することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記無線ネットワークは無線LANネットワークであり、前記所定の時間範囲は優先フレーム間間隔(PIFS)に対応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の無線デバイスが現在データを送信していないことを前記第1の送信スロットの間に検出することは、前記第1の送信スロットに存在するエネルギーを検出することを含み、検出された前記エネルギーが規定されたエネルギー閾値より低い時、前記第1の無線デバイスは現在データを送信していないことが判断される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の無線デバイスが現在データを送信していないことを前記第1の送信スロットの間に検出することは、前記第1の送信スロットにおけるデータパケットの存在を検出することを含み、前記第1の送信スロットにおいて検出されるデータパケットがない時、前記第1の無線デバイスは現在データを送信していないことが判断される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
データパケットの存在を検出することは、前記データパケットに存在する信号フィールドの正確な復号を検出することを含み、前記信号フィールドの正確な復号が可能でない時、前記第1の無線デバイスが前記第1の送信スロットにおいてデータを送信していないことが判断される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の送信スロットは、第1の無線デバイスのグループに割り当てられ、前記指示は、前記無線デバイスのグループのうちのどれもが前記割り当てられた第1の送信スロットにおいてデータを送信していないことが前記第1の送信スロットの間に検出される時、少なくとも、前記複数の無線デバイスのサブセットに送信される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記指示を送信することは、無競合終了フレームおよび肯定応答フレームのうちの少なくとも1つを送信することを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
送信された前記指示は、ブロードキャストメッセージであり、前記無線デバイスのサブセットが前記複数の無線デバイスの間で識別されることを可能にするサブセット識別子を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
無線ネットワークの送信チャネルの第1の送信スロットが、優先アクセスによるスケジュール送信のために複数の無線デバイスのうちの第1の無線デバイスに割り当てられる、前記送信チャネルにアクセスする、前記複数の無線デバイスのうちの第2の無線デバイスを動作させる方法であって、
少なくとも、前記第1の送信スロットが終了するまでの前記第1の送信スロットにおける時間範囲が、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信に利用可能であるという指示を、前記第1の送信スロットの間に前記無線ネットワークのアクセスポイントから受信することと、
受信した前記指示に応答してランダムアクセスプロシージャを使用して前記第1の送信スロット内の前記送信チャネルにアクセスし始めることであって、受信した前記指示は、前記第1の送信スロットの後の、スケジュール送信のために前記第1の無線デバイスに割り当てられた少なくとも1つの他の今後の送信スロットが、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信に利用可能であるという情報を含み、前記送信チャネルには、受信した前記指示に応答して前記ランダムアクセスプロシージャを使用して前記少なくとも1つの他の今後の送信スロット内でアクセスする、アクセスし始めることと、を含む、方法。
【請求項14】
アクセスポイントから指示を受信することは、無競合終了フレームまたは肯定応答フレームを受信することを含み、前記送信スロットには、受信した前記無競合終了フレームまたは受信した前記肯定応答フレームに応答して前記ランダムアクセスプロシージャを使用してアクセスする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の無線デバイスが無線ネットワークにアクセスできるようにするように設定されるアクセスポイントであって、前記無線ネットワークは一連の送信スロットを有する少なくとも1つの送信チャネルを含み、前記アクセスポイントは、メモリ、および少なくとも1つの処理ユニットを含み、前記メモリは前記少なくとも1つの処理ユニットによって実行可能な命令を含み、前記アクセスポイントは、
前記一連の送信スロットのうちの第1の送信スロットを、前記複数の無線デバイスのうちの第1の無線デバイスに、前記第1の無線デバイスに対する前記第1の送信スロットへの優先アクセスによるスケジュール送信のために割り当て、
前記第1の送信スロットの間に、前記第1の無線デバイスが現在、割り当てられた前記第1の送信スロットにおいてデータを送信していないことを検出し、
少なくとも、指示を送信後の/前記第1の送信スロットが終了するまでの前記第1の送信スロットにおける時間範囲が、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信のために前記複数の無線デバイスに利用可能であることを指示する指示を、少なくとも、前記複数の無線デバイスのサブセットに送信し、
少なくとも、前記複数の無線デバイスのサブセットに送信される前記指示は、前記第1の送信スロットの後の、スケジュール送信のために前記第1の無線デバイスに割り当てられる少なくとも1つの他の今後の送信スロットが、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信のために、少なくとも、前記複数の無線デバイスのサブセットに利用可能であることをさらに指示するように前記指示を設定するように、動作可能である、アクセスポイント。
【請求項16】
前記アクセスポイントは、請求項2から12のいずれか一項に記載の方法を実行するように動作可能である、請求項15に記載のアクセスポイント。
【請求項17】
無線ネットワークの送信チャネルの第1の送信スロットが、優先アクセスによるスケジュール送信のために複数の無線デバイスのうちの第1の無線デバイスに割り当てられる、前記送信チャネルにアクセスする、前記複数の無線デバイスのうちの第2の無線デバイスであって、メモリと、少なくとも1つの処理ユニットと、を含み、前記メモリは前記少なくとも1つの処理ユニットによって実行可能な命令を含み、前記第2の無線デバイスは、
少なくとも、前記第1の送信スロットが終了するまでの前記第1の送信スロットにおける時間範囲が、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信に利用可能であるという指示を、前記第1の送信スロットの間に前記無線ネットワークのアクセスポイントから受信し、
受信した前記指示に応答してランダムアクセスプロシージャを使用する前記第1の送信スロット内の前記送信チャネルにアクセスし始めることであって、受信した前記指示は、前記第1の送信スロットの後の、スケジュール送信のために前記第1の無線デバイスに割り当てられた少なくとも1つの他の今後の送信スロットが、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信に利用可能であるという情報を含み、前記第2の無線デバイスは、受信した前記指示に応答して前記ランダムアクセスプロシージャを使用して前記少なくとも1つの他の今後の送信スロット内で前記送信チャネルにアクセスするように動作可能である、アクセスし始めることを行うように、動作可能である、第2の無線デバイス。
【請求項18】
アクセスポイントから指示を受信するために、前記第2の無線デバイスは、無競合終了フレームまたは肯定応答フレームを受信するように、および、受信した前記無競合終了フレームまたは受信した前記肯定応答フレームに応答して前記ランダムアクセスプロシージャを使用して前記送信スロットにアクセスするように動作可能である、請求項17に記載の第2の無線デバイス。
【請求項19】
アクセスポイントの処理ユニットによって実行されるプログラムコードを含む、コンピュータプログラムであって、前記プログラムコードの実行によって、前記アクセスポイントの前記処理ユニットは、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行する、コンピュータプログラム。
【請求項20】
第2の無線デバイスの処理ユニットによって実行されるプログラムコードを含む、コンピュータプログラムであって、前記プログラムコードの実行によって、前記第2の無線デバイスの前記処理ユニットは、請求項13または14に記載の方法を実行する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、複数の無線デバイスが無線ネットワークにアクセスできるようにするアクセスポイントを動作させる方法、および対応するアクセスポイントに関する。また、無線ネットワークの送信チャネルにアクセスする複数の無線デバイスのうちの第1の無線デバイスを動作させる方法が提供される。また、対応するアクセスポイント、第1の無線デバイス、および、アクセスポイントおよび第1の無線デバイスを含むシステムが提供される。さらに、プログラムコードを含むコンピュータプログラム、およびコンピュータプログラムを含むキャリアが提供される。
【背景技術】
【0002】
WLANまたはWi-Fiとしても既知であるIEEE802.11は、ISM(工業用、科学用、医療用)帯域を動作させるための無線技術である。動作の最も一般的なモードは、競合ベースのCSMA/CA(キャリア検知多重アクセス/衝突回避)である。動作の別の既知のモードは、無競合期間および競合ベース期間が存在するPoint Coordination Function(PCF)である。無競合期間では、アクセスポイント(AP)は、送信のために、以降、無線デバイスとも呼ばれるSTA(ステーション)にポーリングし、競合ベース期間では、CSMA/CAが使用される。PCFは、集中制御をもたらすが、無競合期間が開始する前に、CCA(Clear Channel Assessment)プロシージャ後にビーコンフレームが送信されるため、PCFは決定性時間を提供しない。
【0003】
PCFモードに基づいて、決定性Wi-Fiソリューションは、時間がタイムスロットで分割される時分割多重アクセス(TDMA)方式に基づいて提案される。これらのシステムでは、図1に示されるように、無線デバイスは、特定のタイムスロット11、スケジューリングタイムスロットに集約的にスケジューリングされるが、チャネル競合を可能にさせるタイムスロット12もある。これは、リアルタイムトラフィックおよび非決定性トラフィック、例えば、ベストエフォートトラフィックに決定性アクセス時間を与える。
【0004】
リアルタイムオペレーティングシステムは、長期にわたって利用されている。しかしながら、リアルタイムの要件が存在する多くの場合、これらのシステムは使用されない。なぜなら、リアルタイム動作は、ある特定の応答および信頼性を保証するが、リソースの観点からは無駄が多いからである。
【0005】
Ultra Reliable Low Latency Communications(URLLC)およびクリティカルなマシン型通信(MTC)は、典型的には、非常に低いレイテンシを要する。実際の要件は、使用事例に応じて変化する。例えば、0.5ms~5msほどの一方向無線アクセスネットワークレイテンシは、屋内の産業応用を対象にする使用事例において一般的に必要とされる。多くのURLLC応用は、センサおよびアクチュエータからの周期的サンプリングに基づいている。したがって、決定性スケジューリングは、これらのデバイスにとって良好で好ましい動作モードである。このようなトラフィックは、クリティカルなトラフィック、またはスケジュール送信を有するトラフィックと称される。非クリティカルなトラフィックは、クリティカルな要件のないデータ通信、例えば、通常のWi-Fiトラフィックである。
【0006】
図2は、周波数および時間でパーティション分割する無線リソースの一般的な例を示す。Cチャネル(クリティカルチャネル)21およびNチャネル(非クリティカルチャネル)22の項は、クリティカルなトラフィックおよび非クリティカルなトラフィックをそれぞれサーブするために割り当てられた無線リソースを表す。Cチャネルをホストする周波数帯はC帯域(クリティカル帯域)20と呼ばれる。URLLCシステムにおいて少なくとも1つのC帯域20があり、AP(アクセスポイント)はこれをサポートするものとする。C帯域20は、連続したスケジューリング期間から成り、この期間のそれぞれは、Cチャネル期間(t_critical)およびNチャネル期間(t_period-t_critical)に分割される。以下では、1つの帯域のみがあり、かつこの帯域がCチャネルおよびNチャネル両方を含む時の事例のみが考慮されている。N帯域30のNチャネル31で動作するMAC(媒体アクセス制御)プロトコルは現在のWLAN標準と完全に互換性がある。
【0007】
決定性システムにおいて、実際には、総システム容量による固有の問題がある。なぜならば、それぞれのユーザには実際に必要とされるものより多いタイムスロットが割り当てられなければならないからである。言い換えると、ユーザは、スケジューリングされるよりも早いタイムスロットで終了される場合がある。この理由の例として以下が挙げられる。
・伝送信頼性を保証するために、タイムスロットは、送信が失敗した場合に再送信する時間があるように選択されてよい。さらにまた、ほとんどの場合、使用されることになるのはタイムスロットの半分未満である。
・タイムスロットは、典型的には、最低の変調符号化方式(MCS)を想定して割り当てられなければならない。実際には、チャネルは良好であり得、より高いMCSが使用可能である。
・タイムスロットはある最大データサイズにとって十分大きいものでなければならない。送られる必要があるデータの量は、この最大サイズより小さい時がある。
・割り当てられたユーザには、送信するデータが全くない時があり得る。
〇無線デバイスがある値を報告し、かつこの値が前回の送信から変更されていない時、送られる更新はない。
〇別の理由には、デバイスが壊れているため送信していないことがあり得る。この場合、デバイスのリソースは再スケジューリングが行われるまで消耗される。
【0008】
それ故に、上記の問題の少なくとも一部を回避し、かつ、少なくとも、複数の無線デバイスの中の1つの無線デバイスに対する優先アクセスによるスケジュール送信で送信チャネルを使用するシステムにおける伝送容量を増大させる必要性がある。
【発明の概要】
【0009】
この必要性は、独立請求項の特徴によって満たされる。さらなる態様は従属請求項に記載されている。
【0010】
第1の態様によると、複数の無線デバイスが無線ネットワークにアクセスできるようにするアクセスポイントを動作させ、無線ネットワークは一連の送信スロットを有する少なくとも1つの送信チャネルを含む、方法が提供される。方法によると、一連の送信スロットのうちの第1の送信スロットは、複数の無線デバイスのうちの第1の無線デバイスに、第1の無線デバイスに対する第1の送信スロットへの優先アクセスによるスケジュール送信のために割り当てられる。第1の送信スロットの間に、第1の無線デバイスが現在、割り当てられた第1の送信スロットにおいてデータを送信していないことが検出され、少なくとも、第1の送信スロットが終了するまでの第1の送信スロットにおける時間範囲が、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信のために複数の無線デバイスに利用可能であることを指示する指示が、少なくとも、複数の無線デバイスのサブセットに送信される。
【0011】
さらに、無線ネットワークにアクセスできるようにする対応するアクセスポイントであって、アクセスポイントは、メモリ、および少なくとも1つの処理ユニットを含み、メモリは少なくとも1つの処理ユニットによって実行可能な命令を含む、対応するアクセスポイントが提供される。アクセスポイントは、上で論じられるようにまたはさらに詳細に後述されるように作動するように動作可能である。
【0012】
上で論じられた方法では、アクセスポイントは、スケジュール送信が使用される第1の送信スロットにおける送信動作モードを、複数の無線デバイスまたはこのサブセットがランダムアクセスプロシージャを使用する送信チャネルにアクセスするために第1の送信スロットの残りを使用できる別の動作モードに変更することができる。換言すれば、導入部で使用された文言に基づいて、動作モードは、アクセスポイントによって、スケジュール送信が使用されるクリティカルモードから、ランダムアクセスプロシージャまたは競合ベースアクセスが使用される非クリティカルモードに変更される。
【0013】
それ故に、伝送容量は、データが、無線デバイスのうちの1つに割り当てられたが、その後、アクセスポイントによって送信される受信済み指示に応答して他の無線デバイスによっても使用可能であるタイムスロットにおいて送信可能であるため、増大され得る。アクセスポイントが無線デバイスの現在の送信の必要性に反応できるようなより高い柔軟性が得られる。
【0014】
代替策として、無線ネットワークにアクセスできるようにするように設定されるアクセスポイントは、複数の無線デバイスに提供され、この場合、無線ネットワークは一連の送信スロットを有する少なくとも1つの送信チャネルを含む。アクセスポイントは、一連の送信スロットのうちの第1の送信スロットを、第1の無線デバイスに対する第1の送信スロットへの優先アクセスによるスケジュール送信のために複数の無線デバイスのうちの第1の無線デバイスに割り当てるように設定される第1のモジュールを含む。アクセスポイントは、第1の送信スロットの間に、第1の無線デバイスが現在、割り当てられた第1の送信スロットにおいてデータを送信していないことを検出するように設定される第2のモジュールを含む。少なくとも、第1の送信スロットの終了に対する指示を送信後の第1の送信スロットにおける時間範囲が、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信のために複数の無線デバイスに利用可能であることを指示する指示を、少なくとも、複数の無線デバイスのサブセットに送信するように設定される第3のモジュールが提供される。
【0015】
また、送信チャネルの第1の送信スロットが、優先アクセスによるスケジュール送信のために複数の無線デバイスのうちの第1の無線デバイスに割り当てられる、無線ネットワークの送信チャネルにアクセスする、複数の無線デバイスのうちの第2の無線デバイスを動作させる方法が提供される。第2の無線デバイスは、少なくとも、第1の送信スロットが終了するまでの第1の送信スロットにおける時間範囲が、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信に利用可能であるという指示を、第1の送信スロットの間に無線ネットワークのアクセスポイントから受信する。第2の無線デバイスは、受信した指示に応答してランダムアクセスプロシージャを使用して第1の送信スロット内の送信チャネルにアクセスし始める。
【0016】
さらに、送信チャネルの第1の送信スロットが、優先アクセスによるスケジュール送信のために複数の無線デバイスのうちの第1の無線デバイスに割り当てられる、無線ネットワークの送信チャネルにアクセスする、複数の無線デバイスのうちの対応する第2の無線デバイスが提供され、この場合、第2の無線デバイスは、メモリおよび少なくとも1つの処理ユニットを含み、メモリは、上記の少なくとも1つの処理ユニットによって実行可能な命令を含み、第1の無線デバイスは、上述されるようにまたはさらに詳細に以下に論じられるように作動するように動作可能である。
【0017】
第2の無線デバイスは、受信した指示に反応することができ、かつ別の無線デバイスの第1の無線デバイスに対してスケジューリングされたタイムスロットにアクセスし始めることができる。
【0018】
代替策として、送信チャネルの第1の送信スロットが、第1の無線デバイスへの優先アクセスによるスケジュール送信のために複数の無線デバイスのうちの第1の無線デバイスに割り当てられる、無線ネットワークの送信チャネルにアクセスする、複数の無線デバイスのうちの第2の無線デバイスが提供される。第2の無線デバイスは、少なくとも、第1の送信スロットが終了するまでの第1の送信スロットにおける時間範囲が、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信に利用可能であることを指示する指示を、第1の送信スロットの間に無線ネットワークのアクセスポイントから受信するように設定される第1のモジュールを含む。第2の無線デバイスは、受信した指示に応答してランダムアクセスプロシージャを使用する第1の送信スロット内の送信チャネルにアクセスし始めるように設定される第2のモジュールを含む。
【0019】
さらに、アクセスポイントおよび第2の無線デバイスを含むシステム、および、アクセスポイントまたは第2の無線デバイスの少なくとも1つの処理ユニットによって実行されるプログラムコードを含むコンピュータプログラムが提供される。プログラムコードの実行によって、少なくとも1つの処理ユニットは、上述されるようなまたはさらに詳細に以下に論じられるような方法を実行する。
【0020】
さらに、コンピュータプログラムを含むキャリアであって、電子信号、光信号、無線信号、またはコンピュータ可読記憶媒体のうちの1つである、キャリアが提供される。
【0021】
上述される特徴、および以下にさらに説明される特徴が、指示される各組合せにおいてだけでなく、他の組合せにおいて、または添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく単独でも使用可能であることは、理解されたい。上述される態様および後述される実施形態の特徴は、別段明示的に述べられない限り、他の実施形態では互いに組み合わせられてよい。
【0022】
本出願の前述のならびにさらなる特徴および効果は、添付の図面と併せて読むと以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。該図面において、同様の参照符号は同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】優先アクセスによるスケジュール送信が使用されるスケジュール送信スロット、および、ランダムアクセスプロシージャが当技術分野では既知のデータ送信に使用されるランダムアクセス送信スロットを含む無線ネットワークの送信チャネルの例を概略的に示す図である。
図2】種々の帯域を含む無線リソースパーティション、および、スケジュール送信およびランダムアクセスプロシージャが当技術分野では既知のデータ送信に使用される少なくとも1つの帯域の例示の概略図である。
図3】アクセスポイント、およびアクセスポイントまたは無線ネットワークと通信するいくつかの無線デバイスであって、アクセスポイントおよび無線デバイスが本発明の特徴を組み込む伝送容量を増大させるように設定される、いくつかの無線デバイスを含むシステムの例示の概略的なアーキテクチャ図である。
図4】スケジュール送信のために無線デバイスのうちの1つに割り当てられた送信スロットがここで、ランダムアクセスプロシージャによる他の無線デバイスに利用可能であるという指示をアクセスポイントが無線デバイスに通知する送信チャネルの例示的な略図である。
図5】送信スロットが優先アクセスを有する無線デバイスによって完全に使用されず、他の無線デバイスが、ランダムアクセスプロシージャによって対応する送信スロットにアクセスできるという指示によって通知される、送信チャネルの別の例示的な略図である。
図6】送信スロットの可用性を指示する指示が今後のスロットについての情報も含む、図4および図5に示されるような、送信チャネルのさらなる例示的な略図である。
図7】優先アクセスを有する無線デバイスがスケジュール送信スロットにおいて送信するか否かを判断するためにアクセスポイントによって使用されるタイミングの例示の概略図である。
図8】無線デバイスのうちの1つに割り当てられた送信スロットの少なくとも一部がランダムアクセスプロシージャに基づいて他の無線デバイスに利用可能であることをアクセスポイントが指示する指示の構成の概略図である。
図9】対応する送信スロットがランダムアクセスプロシージャのために他の無線デバイスに利用可能であるという指示を複数の無線デバイスに送信するアクセスポイントによって実行される方法の例示のフローチャートである。
図10】無線ネットワークにアクセスできるようにし、かつ複数の無線デバイスに指示を送信するアクセスポイントによって実行される方法のさらなる例示のフローチャートである。
図11】アクセスポイントによって送られる指示を受信する無線デバイスで実行される方法の例示のフローチャートである。
図12】本発明の特徴を組み込む無線ネットワークにアクセスできるようにするアクセスポイントの例示的な略図である。
図13】指示を受信しかつ本発明の特徴を組み込む無線デバイスの例示的な略図である。
図14】優先アクセスを有する無線デバイスが割り当てられたタイムスロットを使用しない時に無線デバイスに通知する無線ネットワークにアクセスできるようにするアクセスポイントの別の例示的な略図である。
図15】指示を受信しかつ受信した指示に基づいて送信スロットにアクセスする無線デバイスの別の例示的な略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
下記では、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。実施形態の以下の説明が限定的意味で取られるべきではないことは理解されたい。本発明の範囲は、例示的なものに過ぎない、以降で説明される実施形態または図面によって限定されることは意図されていない。
【0025】
図面は略図とみなされるものとし、図面に示される要素は必ずしも一定尺度で示されるわけではない。もっと正確に言えば、さまざまな要素は、これらの機能および一般的目的が当業者に明らかになるように表されている。図面に示されかつ以降に説明される物理ユニットまたは機能ユニットの、機能ブロック、デバイス、構成要素の間のいずれの接続または結合も、間接的な接続または結合によって実施されてもよい。構成要素間の結合は、有線または無線接続によって確立されてよい。機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組合せで実装されてよい。
【0026】
下記では、アクセスポイントが、無線デバイスの媒体アクセス設定を、優先アクセスによるスケジュール送信から、種々の無線デバイスがアクセスポイントによって送信される指示に基づいて利用可能な容量について競合するランダムアクセスプロシージャを使用する送信にどのように変更できるかをさらに詳細に説明する。この指示によって、状態を、スケジュール送信が使用されるクリティカルモードから、ランダムアクセスプロシージャが送信チャネルにアクセスするために使用される際に規定の低レイテンシが保証できない非クリティカルモードに変更可能である。
【0027】
図3は、アクセスポイント100が、デバイス200A、200B、または200Cなどのいくつかの無線デバイス200がデータをアクセスポイント100に送信する、またはデータをアクセスポイント100から受信する無線ネットワークにアクセスできるようにする概略的なアーキテクチャ図を示す。アクセスポイント100と無線デバイス200との間の通信に使用される無線ネットワークは、少なくとも、無線デバイスのうちの1つがある特定のタイムスロットへの優先アクセスを有するスケジュール送信によるスケジュールモードを使用する少なくとも1つの送信チャネルを含む。1つの無線デバイスが優先的に対応するタイムスロットを使用するこれらの送信タイムスロットは、決定性タイムスロットとも呼ばれる。さらに、無線ネットワークは、種々の無線デバイス間の競合が対応する送信スロットを使用するために実行されるランダムアクセス送信スロットを含むことができる。結果として、これらのタイムスロット、ランダムアクセス送信スロットは、競合タイムスロットとも呼ばれる。送信チャネルは、図1または図2に示されるように設計可能である。チャネルが競合モードである時、ランダムアクセス送信スロットにおいて、任意の無線デバイスは、CSMA/CAのような従来の競合ベースチャネルアクセスを使用してチャネルに対して競合し得る。チャネルがスケジュール送信による決定性モードである時、単一の無線デバイスまたは無線デバイスのグループは、チャネルに対する優先アクセスを取得するためにスケジューリングされる。
【0028】
上で論じられるように、競合動作モードから決定性動作モードに動的に切り替えるための能力が追加される。例として、図3の無線デバイス200Aは、無線デバイスが送信のためにスケジューリングされ、かつ送信チャネルへの優先アクセスを有する、決定性動作モードにおいてアクセスするようにスケジューリングされる。しかしながら、無線デバイス200Aが、ある特定の時間、所定の時間範囲TCD(競合期限)内でチャネルを利用しない場合、アクセスポイント100は、チャネルの状態を、優先アクセスによるスケジュール送信から、ランダムアクセスプロシージャがチャネルにアクセスするために使用される競合モードに変更するためのメッセージをブロードキャストする。
【0029】
図4は、図3に示される無線デバイス200Cなどの無線デバイスのうちの1つが優先アクセスを有するタイムスロットで送信するものがない第1の例を表している。図4は、無線デバイス200Aが、送信のためにスケジューリングされ、かつ送信チャネル40への優先アクセスを有するタイムスロット41を有する送信チャネルを示す。同じように、無線デバイス200Bがチャネルへの優先アクセスを有する送信スロット42が提供される。同じように、無線デバイス200Cが、優先アクセスを有し、かつ送信のためにスケジューリングされる送信スロット43が提供される。タイムスロット44では、全てのデバイスがランダムアクセスプロシージャに基づいてデータを送信できる競合ベースアクセスが提供される。
【0030】
示される例では、無線デバイス200Cは、送信スロット46において送信するものが何もない。これは、図7に関連してさらに詳細に説明されるように、所定の時間範囲TCD内でアクセスポイントによって検出される。結果として、メッセージ、すなわち、アクセスポイントおよび無線デバイスの動作モードが非クリティカルモードに変更されることで、全ての無線デバイスがランダムアクセスプロシージャに基づいてタイムスロット46にアクセスできることを指示する指示50が、無線デバイスの全て、または少なくともサブセットに送信される。
【0031】
メッセージまたは指示50は、アクセスポイント100に接続される全ての無線デバイスに送信可能であるが、アクセスポイントはまた、無線デバイス200のサブセットのみに指示を送信可能である。無線デバイスのサブセットは、二番目に高い優先順位を有するデバイスのグループ(例えば、いくつかの他のデバイスのうちのデバイス200Bおよび200C)であってよい、または、予め定められた基準によって規定される任意の他のグループであってよい。無線デバイスの優先レベルは、指示が(例えば、ユニキャストメッセージで)無線デバイスのサブセットにのみ送信されるようにアクセスポイントに既知であってよい。さらに、サブセット識別子がアクセスポイントによって指示に追加されてよく、サブセットに属する無線デバイスは、この場合ブロードキャストメッセージとすることができる受信される指示にあるサブセット識別子に基づいてこれらを識別することにより指示の意図される受信側であることを判断し得る。サブセットのメンバがタイムスロットにおいて依然送信していない場合、時間が許す場合または必要に応じて、指示は複数の無線デバイスの全てに送信されてよい。
【0032】
図5は、送信スロット41~44が、図4に関連して上で論じられる対応するスロット41~44に対応する送信チャネル40の別の例を示す。図5に示される例では、無線デバイス200Bによる送信は、タイムスロット47が終わる前に終了する。これは、例えば、無線デバイス200B、または無線デバイスのより大きなグループにおける無線デバイスが予測よりも少ない通信時間を要する時に生じ得る。このシナリオでは、CF-Endフレームとすることができる指示50が送られる。別の例は、無線デバイス200Bが送信されたデータの可能な再送信をサポートするのに十分長いスペースがあるタイムスロットを有する時である。後者のケースでは、肯定応答は、システムがこのようなやり方で設定される場合のチャネルスイッチに対する指示としての役割を果たし得る。
【0033】
図6は、アクセスポイントが、今後の、他の無線デバイスまたは無線デバイスのグループの可用性についての知識を有する例を表している。この場合、例として、P_switchパケットである指示はこの情報を含み得る。図6に示されるように、無線デバイスまたはいくつかのデバイスは、例えば、常に、無線デバイスに割り当てられたスロットが他の無線デバイスに利用可能であるようにする維持の理由で利用可能でない場合がある。それ故に、アクセスポイント100が、無線デバイスのうちの1つに割り当てられたこのタイムスロットの今後の可用性の知識を有する時、アクセスポイントは、ランダムアクセスプロシージャに対する今後の対応するタイムスロットの可用性をアナウンスすることができる。それぞれのタイムスロットの持続時間が決定性Wi-Fiシステムにおいて比較的短い場合があるため、このようなアプローチは、指示の送信によって引き起こされる相対的なオーバーヘッドを低減させることが可能である。例として、タイムスロット48および49が空いていることをアクセスポイントが知っている場合、アクセスポイントは、対応するスロットが、例えば、yミリ秒などの規定される時間範囲60において次のnサイクル数のランダムアクセスに対して空いているという指示50において指示することができる。ランダムアクセスを獲得する任意の無線デバイスは、時間範囲60内のスロット48および49の、1つ、いくつか、または全てに対するチャネルアクセスを得る。タイムスロット48および49は、優先アクセスを有する単一のまたは種々の無線デバイスに割り当てられていてよい。
【0034】
図7は、1つのタイムスロットが優先アクセスのために割り当てられる無線デバイスが、実際にデータを送信するか否かを、アクセスポイントがどのように判断できるのかを要約する。タイムラインは、予想される送信開始時に開始し、所定の時間範囲TCDにおいて、アクセスポイントは、エネルギーが割り当てられたタイムスロットにおいて実際に送信されるかどうか、例えば、検出された信号がある特定のエネルギーを有するかどうかを検出することができる。データパケットの存在が優先アクセスを有するデバイスの送信を判断するために使用される場合、アクセスポイントがデータパケットに存在する信号フィールドを検出するさらなる時間Tpreambleがかかる。優先無線デバイスによる送信はまた、時間TCDおよびTpreambleの後のパケット検出のみに基づいて検出可能である。
【0035】
図9は、送信スロットへの優先アクセスを有する無線デバイスが実際に送信スロットを使用するかどうかを判断するために、および、これが該当しない場合は、他の無線デバイスに、送信用の予約送信スロットを使用させることを可能にするために、アクセスポイントによって実行されるステップを要約する。ステップS91において、アクセスポイントは、例として送信スロットの開始時に予想される送信開始時にタイマーを設定する。ステップS92において、対応する送信スロットへの優先アクセスを有する無線デバイスのデータの送信が検出されるかどうかをチェックする。ステップS92は、対応するタイムスロットに存在する任意のエネルギーを検出することによって実行可能である。ステップS93において、さらにまた、データパケットがタイムスロットへの優先アクセスを有する無線デバイスから検出可能であるかどうかをチェックする。パケットが、送信スロットが予約されている無線デバイスに属するとして検出される場合、送信スロットへの優先アクセスを有する無線デバイスが実際にデータを送信しているとの決断が下される。しかしながら、上記のように、エネルギー検出なしでパケット検出のみを単独で使用することも可能である。パケット検出は、データパケットにおいて対応する信号フィールドの完全な復号によって可能である。検出されるデータパケットがない時、ステップS95では、タイマーが所定の時間範囲TCDを経過したかどうかをチェックする。アクセスポイントが、この時間範囲が過ぎるまで待機していない場合、優先パケットが検出可能であるかどうかをチェックする。タイマーが、所定の時間範囲t>TCDまたはt>TCD+Tpreambleのどちらかを経過した時、アクセスポイントは、優先アクセスを有する無線デバイスが対応するタイムスロットを使用していないとの結論を下す。それ故に、受信されるパケットがないこと、および、無線デバイスが、現在対応するタイムスロットを使用可能であると通知されることによって指示50が生成されるべきであることをMAC層に知らせる。ステップS96に示される例では、指示はP_switchパケットである。ステップS97において、対応する通知はさらにまた、物理層によって送られる。
【0036】
一般に、指示は、優先アクセスを有するデバイスから検出されるデータがない時に送信されてよい。無線デバイス200Aが割り当てられた送信スロットを利用するが、前回の送信のTCDの後の送信スロットには時間が残っている可能性もある。この例では、アクセスポイント100はまた、チャネルの状態を、スケジュール送信による決定性モードから競合モードに変更するための指示をブロードキャストしてよい。
【0037】
対応するタイムスロットへの優先アクセスを有する無線デバイスは、単一の無線デバイスとすることができる、または無線デバイスのグループであってよい。
【0038】
アクセスポイントには、優先アクセスを有する無線デバイスが割り当てられた送信スロットを使用していないことを判断するための種々のオプションがある。送信チャネルが割り当てられたタイムスロットで使用されないとのこの検出に対する1つの可能性は、ある特定のエネルギーレベルが割り当てられた送信スロットで検出されるかどうかをチェックするアクセスポイント100によって実行されるエネルギー検出とすることができることである。ある特定の信号レベルまたはエネルギーが検出されない場合、アクセスポイントは、優先アクセスを有する対応する無線デバイスが割り当てられた送信スロットを使用しないことを推定することができる。優先アクセスを有する無線デバイスが割り当てられた送信スロットを使用しないことを検出する異なるまたはさらなる可能性は、受信される信号がアクセスポイントによって処理されるパケット検出を使用することであり、データパケットの存在が識別可能であるかどうかをチェックする。これは、対応するデータパケットにおける信号フィールドが正確に復号される時に得られ得る。
【0039】
優先アクセスを有する無線デバイスが割り当てられた送信スロットを実際に使用するかどうかを判断するためにアクセスポイントによって使用される所定の時間範囲は、優先フレーム間間隔(PIFS)であってよい。
【0040】
複数の無線デバイスに送信される指示は、アクセスポイントによって送信されるブロードキャストメッセージ、例えば、無競合終了フレーム(CF-Endフレーム)とすることができる。この終了フレームの例は図8に示されている。このようなCF-Endフレームは、全ての無線デバイスまたはこのサブセットが現在、送信スロットに対して競合する可能性があるという指示としてアクセスポイント100によって送信される。上で指示されるように、指示はさらに、アクセスポイントに接続される無線デバイスのサブセットがアドレス指定可能であるサブセット識別子を含むことができる。
【0041】
代替策として、指示はまた、アクセスポイント100によって送信される肯定応答フレームとしてのブロードキャストメッセージとして実施されてよい。
【0042】
図6に関連して論じられるように、ブロードキャスト指示は、今後のタイムスロットの可用性についての情報を含むこともできる。
【0043】
アクセスポイントと通信しており、アクセスポイントと関連付けられ、指示50を受信している無線デバイスは、チャネル競合を開始し、かつチャネルがアイドルであり、パケットの送信時間が競合モードに可能とされる時間に適当である場合に送信することができる。競合モードに可能とされる時間は、少なくとも、優先アクセスのために無線デバイスのうちの1つに当初割り当てられた対応するタイムスロットの残り時間である。
【0044】
送信された指示に基づく競合モードに可能とされる時間はまた、指示が競合モジュールに対してシグナリングしている場合のいくつかのタイムスロットを含むことができる。それらのいくつかのタイムスロットは、連続または不連続であってよい。
【0045】
図10は、アクセスノード100において実行されるステップをさらに要約する。第1のステップでは、送信スロットは、ある特定の無線デバイスへの優先送信スロットとして、ここでは、いくつかの無線デバイスのうちの第1の無線デバイスへの第1の送信スロットとして割り当てられる。ステップS102において、アクセスノードはさらにまた、スロットが割り当てられた第1の無線デバイスがスロットにおいてデータを送信しない、またはデータ送信が既に完了されていることを、第1の送信スロットの間に検出する。図4に関連して上で論じられるように、第1の無線デバイスは割り当てられた送信スロットにおいていずれのデータも送信しない場合があるのに対し、図5において、送信は、送信スロットの残りが他の送信に利用可能であるように完了されてよい。送信スロットが優先アクセスを有する無線デバイスによって完全に使用されていない事実に応答して、アクセスポイント100は、少なくとも、対応する送信スロットが終了するまで、スロットが、ランダムアクセスプロシージャなどの競合プロセスを使用するデータ送信に利用可能であるという指示50を、少なくとも、アクセスポイントにアタッチされた無線デバイスのサブセットに対して、生成しかつ送信する。図6に指示されるように、指示はまた、他の今後の送信スロット(連続スロットまたは不連続スロットのどちらか)についての情報を含んでよい。しかしながら、少なくとも、送信のために無線デバイスの少なくともサブセットのための送信スロットが終了するまで、少なくとも、スロットが利用可能であるという情報が提供される。
【0046】
図11は、(優先)送信スロットが割り当てられている無線デバイスではない無線デバイスのうちの1つにおいて実行されるステップを要約する。それ故に、図11の実施形態において、無線デバイスは、送信スロットまたは残りの送信スロットが競合ベースの送信に利用可能であるという指示を受信する。受信した指示に基づいて、無線デバイスは、ランダムアクセスプロシージャによってスロットにアクセスする。このランダムアクセスプロシージャでは、対応する無線デバイスは、他の無線デバイスからの対応するスロットにおけるデータ送信があるかどうかをチェックし、検出される信号がない場合、該無線デバイスは、対応するタイムスロットの使用を要求するランダムアクセス要求を送る。
【0047】
図12は、上で論じられるように動作できるアクセスポイント100の概略的なアーキテクチャ図を示す。アクセスポイントは、無線デバイスなどの他のエンティティにユーザデータまたは制御メッセージを送信するために提供され、かつ無線デバイスなどの他のデバイスからのユーザデータまたは制御メッセージを受信するために提供されるインターフェース110を含む。インターフェース110は、特に、対応する送信スロットが優先アクセスを有する無線デバイスのうちの1つに当初割り当てられていたとしても、少なくとも、送信スロットの残りが競合ベースアクセスに利用可能であるという指示を無線デバイス200に送信する権限が与えられる。アクセスポイント100はさらに、アクセスポイント100の動作を担う処理ユニット120を含む。処理ユニット120は、1つまたは複数のプロセッサを含み、かつメモリ130に記憶される命令を実行でき、この場合、メモリは、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、マスストレージ、またはハードディスクなどを含んでよい。メモリはさらに、アクセスノードが含まれる上述した機能性を実装するように処理ユニット120によって実行される適したプログラムコードを含むことができる。
【0048】
図13は、アクセスポイントによって送信される指示を受信する無線デバイス200の概略的なアーキテクチャ図を示す。無線デバイス200は、他のエンティティにユーザデータまたは制御メッセージを送信し、かつアクセスポイント100によって送信された指示など、他のエンティティからのユーザデータおよび制御メッセージを受信するためのインターフェース210を含む。無線デバイス200はさらに、無線デバイス200の動作を担う処理ユニット220を含む。処理ユニット220は、1つまたは複数のプロセッサを含み、かつメモリ230に記憶される命令を実行でき、この場合、メモリは、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、マスストレージ、またはハードディスクなどを含んでよい。メモリ230はさらに、上述した無線デバイスの機能性を実装するように処理ユニット220によって実行される適したプログラムコードを含むことができる。無線デバイスは、タイムクリティカルな情報を送信する無線デバイスとすることができ、かつ、タイムクリティカルな情報およびタイムクリティカルではない情報を送信するマシン型通信デバイスであってよい。無線デバイスは、他のモバイルエンティティまたはユーザ機器とすることもでき、電話タイプのデバイス、携帯電話、移動局、コードレス電話、または、無線データ接続を備えた、ラップトップ、ノートブック、ノートパッド、タブレットのような携帯情報端末タイプのデバイスとすることができる。無線デバイスは、動物、植物、またはマシンのような人間ではないものと関連付けられてよく、加入者識別モジュール(SIM)、または無線デバイスを使用するユーザと関連付けられた同様のモジュールを備えてもよい。無線デバイス内のSIMの存在は、ユーザのサブスクリプションによって無線デバイスを一意にカスタマイズする。
【0049】
図14は、アクセスポイントのなおさらなる実施形態を示す。図14のアクセスポイント300は、第1の送信スロットを、無線デバイスのうちの1つに割り当てるように設定される第1のモジュール310であって、該無線デバイスのうちの1つは割り当てられた第1の送信スロットへの優先アクセスを有する、第1のモジュール310を含む。モジュール320は、第1の送信スロットへの優先アクセスを有する無線デバイスが実際には、割り当てられた第1の送信スロットにおいて、データを送信していない、またはもはやデータを送信していないことを検出するようにアクセスポイント300内に設けられる。対応する送信スロットが、ランダムアクセスプロシージャを使用する競合ベース送信に利用可能であるという指示を、少なくとも、他の無線デバイスのサブセットに対して、生成しかつ送信するモジュール330が提供される。
【0050】
図15は、アクセスポイントによって送信される指示を受信する無線デバイスのうちの1つのさらなる実施形態を示す。無線デバイス400は、アクセスポイントによって送信される指示を受信するように設定されるモジュール410を含む。無線デバイス400は、指示において言及される対応するタイムスロットへの優先アクセスを有する無線デバイスではない。無線デバイス400はさらに、受信した指示に応答して、ランダムアクセスプロシージャによって、指示されたタイムスロットにアクセスするモジュール420を含む。
【0051】
上記によって、アクセスポイントおよび無線デバイスについての上記のいくつかの一般的結論が得られ得る。
【0052】
アクセスポイントに関する限り、アクセスポイントは、第1の送信スロットへの優先アクセスを有する第1の無線デバイスに割り当てられた第1の送信スロットにおける時間範囲が、競合ベースアクセスプロシージャを使用するデータ送信のために無線デバイス全てに利用可能であることを指示する指示を、無線デバイスに送信する。
【0053】
第1の送信スロットへの優先アクセスを有する第1の無線デバイスが現在データを送信していないことを第1の送信スロットの間に検出するステップは、第1の無線デバイスが、割り当てられた第1の送信スロットにおいていずれのデータも全く送信しないことを検出することを含むことができる。図4に関連して上で論じられるように、指示50は、送信されるデータが全くない時に送られ得る。
【0054】
さらに、第1の無線デバイスが現在データを送信していないことが第1の送信スロットの間に検出されることは、第1の無線デバイスが、割り当てられた第1の送信スロットにおいてデータを既に送信し終わっていることが検出されることを意味することがあり得る。この例は、図5に関連して上で論じられている。
【0055】
アクセスポイントの少なくとも1つの送信チャネル40は、一連の送信スロットにおいて、優先アクセスによるスケジュール送信が決定性送信モードにおけるデータ送信に使用されるスケジュール送信スロットを含むことができる。送信チャネルは、さらに、ランダムアクセスプロシージャが競合モードにおけるデータ送信に使用されるランダムアクセス送信スロットを含むこともできる。指示はさらにまた、少なくとも、第1の送信スロットが終了するまでの時間範囲が、当初はスケジュール送信スロットであったとしても競合モードにおける送信に利用可能であることを指示することができる。
【0056】
第1の無線デバイスが現在データを送信していないことを第1の送信スロットの間に検出することは、第1の無線デバイスが第1の送信スロットにおいてデータを送信していないことを所定の時間範囲TCDに対して判断するステップを含むことができる。
【0057】
第1の無線デバイスが現在データを送信していないことを第1の送信スロットの間に検出することは、第1の送信スロットに存在するエネルギーを検出するステップも含むことができ、この場合、検出されたエネルギーが規定されたエネルギー閾値より低い時、第1の無線デバイスは現在データを送信していないことが判断される。
【0058】
第1の無線デバイスが現在データを送信していないことを第1の送信スロットの間に検出するステップは、第1の送信スロットにおけるデータパケットの存在を検出するステップも含むことができ、第1の送信スロットにおいて検出されるデータパケットがない時、第1の無線デバイスは現在データを送信していないことが判断される。
【0059】
データパケットの存在の検出は、データパケットに存在する信号フィールドの正確な復号を検出するステップを含むことができる。信号フィールドの正確な復号が可能でない時、アクセスポイントは、第1の無線デバイスが第1の送信スロットにおいてデータを送信していないことを判断する。
【0060】
第1の送信スロットは、単一の無線デバイス、さらには無線デバイスのグループに割り当て可能である。指示は、無線デバイスのグループのうちのどれもが割り当てられた第1の送信スロットにおいてデータを送信していないことが第1の送信スロットの間に検出される時、少なくとも、複数の無線デバイスのサブセットに送信されてよい。
【0061】
さらに、図6に関連して論じられるように、少なくとも、複数の無線デバイスのサブセットに送信される指示50は、第1の送信スロットの後の、スケジュール送信のために第1の無線デバイスまたは無線デバイスの任意の他の物に割り当てられる少なくとも1つの他の今後の送信スロット49が、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信のために複数の無線デバイスに利用可能であることを、さらに指示することができる。
【0062】
送信された指示は、ブロードキャストメッセージとして送られ得、複数の無線デバイスの全てだけでなくこれのサブセットも指示によってアドレス指定されるものとする場合、無線デバイスのサブセットが複数の無線デバイスの間で識別されることを可能にするサブセット識別子を含むことができる。代替策として、デバイスのサブセットのみに送られるユニキャストメッセージがある。
【0063】
無線ネットワークは無線LANネットワークとすることができ、所定の時間範囲は優先フレーム間間隔(PIFS)に対応し得る。
【0064】
指示を送信するために、無競合終了フレームまたは肯定応答フレームが送信されてよい。
【0065】
無線デバイスに関する限り、無線デバイスは、競合ベース式で受信した指示に応答して第1の送信スロット内の送信チャネルにアクセスし始めることができる。それ故に、無線デバイスは、第1の送信スロット内の、受信した指示、受信した無競合終了フレーム、または受信した肯定応答フレームを正確に解釈することができ、それに応じて反応することができる。無線デバイスが無競合終了フレームまたは肯定応答フレームを受信する時、送信スロットには、受信したフレームに応答してランダムアクセスプロシージャを使用してアクセスする。
【0066】
受信した指示はさらに、第1の送信スロットの後の、優先アクセスによるスケジュール送信のために第1の無線デバイスまたは無線デバイスの任意の他の物に割り当てられた少なくとも1つの他の今後の送信スロットが、ランダムアクセスプロシージャを使用するデータ送信に利用可能であるという情報を含むことができる。優先アクセスを有する無線デバイスではない無線デバイスは、さらにまた、受信した指示に応答してランダムアクセスプロシージャを使用して、送信チャネルおよび少なくとも1つの他の今後の送信スロットにアクセスすることができる。無線デバイスは、送信スロットが当初優先的に割り当てられた無線デバイスではないとしても、ランダムアクセスプロシージャによって対応する送信スロットにアクセスできることを知る。
【0067】
上で論じた解決策は以下の利点を有する。
【0068】
クリティカル動作モードおよび非クリティカル動作モードが使用される無線ネットワークのより動的な使用が可能になる。上で論じた解決策は特に、非クリティカルモードにおいてより多くの時間が費やされることを可能にするが、依然、スケジュール送信スロットにおけるタイムクリティカルなトラフィックに対する完全な決定性を可能にする。さらに、提供される解決策は、低複雑度を有し、かつ容易に実施可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15