(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】印刷回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20220324BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/18 B
(21)【出願番号】P 2020549528
(86)(22)【出願日】2018-11-19
(86)【国際出願番号】 KR2018014201
(87)【国際公開番号】W WO2019107819
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】10-2017-0162020
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514227771
【氏名又は名称】インクテック カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INKTEC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】(Singil-dong) 108, Neungan-ro, Danwon-gu, Ansan-si, Gyeonggi-do, 425-839(KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チュン, クヮン-チョン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ソ ハン
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0037619(US,A1)
【文献】特表2015-508571(JP,A)
【文献】特開2015-59244(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0053983(KR,A)
【文献】特開2016-211028(JP,A)
【文献】特開昭61-96795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア部材の一面に
、第2シード層の平滑度を向上させるために銀(Ag)材質からなる第1シード層を形成
し、前記第1シード層上に前記第1シード層と異なる物質からなる第2シード層を形成して転写フィルムを製造する段階と、
前記
第2シード層上に第1回路パターンを形成する段階と、
前記第1回路パターン上に絶縁コア層及び金属層を形成する段階と、
前記第1回路パターンと前記金属層を電気的に連結する通電部を形成する段階と、
前記金属層をパターニングして第2回路パターンを形成する段階と、
前記転写フィルムを除去して前記第1回路パターンを前記絶縁コア層に転写する段階を含むことを特徴とする印刷回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記転写フィルムを製造する段階は、前記キャリア部材と前記第1シード層との間に接合調節層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記転写フィルムを製造する段階以後、製造された一対の転写フィルムのキャリア部材をそれぞれ接合層の両面に接合する接合段階をさらに行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記転写フィルムを製造する段階は、前記キャリア部材と前記第1シード層との間に接合調節層を形成する段
階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記転写フィルムを製造する段階において、前記第1シード層は、エッチング速度が互いに異なる2層以上に形成することを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記第1回路パターンの形成段階は、
前記
第2シード層上に感光層を形成する段階と、
前記感光層上にパターン溝を形成する段階と、
前記パターン溝を介して露出した部位に導電性物質を充填して前記第1回路パターンを形成する導電性物質の充填段階と、
前記感光層を除去する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1回路パターン上に絶縁コア層及び金属層を形成する段階において、前記金属層を形成する前に、追加転写フィルムを形成する段階をさらに含み、
前記追加転写フィルムは、キャリア部材及び第1シード層を含む転写フィルムまたはキャリア部材、第1シード層及び第2シード層を含む転写フィルムを使用することを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記追加転写フィルムを形成する段階は、
前記追加転写フィルムの第1シード層が前記絶縁コア層上に接触するように前記追加転写フィルムを前記絶縁コア層上に接合する段階と、
前記追加転写フィルムのキャリア部材を除去して前記第1シード層を前記絶縁コア層に転写する段階を含み、
前記金属層は、前記絶縁コア層に転写された前記第1シード層上に形成することを特徴とする請求項
7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記追加転写フィルムを形成する段階は、
前記追加転写フィルムの第2シード層が前記絶縁コア層上に接触するように、前記追加転写フィルムを前記絶縁コア層上に接合する段階と、
前記追加転写フィルムのキャリア部材を除去して、前記絶縁コア層に前記追加転写フィルムの第2シード層が接し、前記追加転写フィルムの第2シード層に前記追加転写フィルムの第1シード層が接するように、前記追加転写フィルムの第2シード層及び第1シード層を前記絶縁コア層に転写する段階を含み、
前記金属層は、前記絶縁コア層に転写されて前記第2シード層と接する前記第1シード層上に形成することを特徴とする請求項
7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記追加転写フィルムを形成する段階は、
前記追加転写フィルムの第2シード層が前記絶縁コア層上に接触するように、前記追加転写フィルムを前記絶縁コア層上に接合する段階と、
前記追加転写フィルムのキャリア部材を除去して、前記絶縁コア層に前記追加転写フィルムの第2シード層が接し、前記追加転写フィルムの第2シード層に前記追加転写フィルムの第1シード層が接するように、前記追加転写フィルムの第2シード層及び第1シード層を前記絶縁コア層に転写する段階を含み、
前記金属層は、前記絶縁コア層に転写されて前記第2シード層上に形成された前記第1シード層を前記第1シード層のみを溶解することができるエッチング溶液を用いて選択的にエッチング除去した後、前記絶縁コア層に転写された前記第2シード層上に形成することを特徴とする請求項
7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記第1回路パターンを前記絶縁コア層に転写する段階は、前記第1シード層から前記キャリア部材を剥離する段階と、前記第1シード層を除去する段階を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記第1シード層は、第1導電性物質からなり、
前記第1回路パターンは、前記第1導電性物質と異なる第2導電性物質からなり、
前記第1シード層を除去する段階においては、前記第1回路パターンを除いて前記第1シード層のみを溶解することができるエッチング溶液を用いて、前記第1シード層のみを選択的に除去することを特徴とする請求項
11に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項13】
接合層に第2シード層と第1シード層が形成されたキャリア基板を製造する段階と、
前記
第2シード層上に第1回路パターンを形成する段階と、
前記第1回路パターン上に絶縁コア層及び金属層を形成する段階と、
前記第1回路パターンと前記金属層を電気的に連結する通電部を形成する段階と、
前記金属層をパターニングして第2回路パターンを形成する段階と、
前記キャリア基板を剥離する剥離段階を含
み、
前記キャリア基板を製造する段階において、前記第2シード層の平滑度を向上させるために銀(Ag)材質からなる前記第1シード層を形成し、前記第1シード層上に前記第1シード層と異なる物質からなる前記第2シード層を形成することを特徴とする印刷回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記キャリア基板を製造する段階は、前記接合層と前記第2シード層との間に接合調節層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項
13に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項15】
前記キャリア基板を製造する段階は、
キャリア部材の一面に第1シード層と第2シード層を形成して転写フィルムを製造する段階と、
前記転写フィルムの第2シード層に接合層を接合する接合段階と、
前記キャリア部材を除去して第1シード層と第2シード層を接合層に転写する転写段階を含むことを特徴とする請求項
13に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項16】
前記キャリア基板を製造する段階は、
キャリア部材の一面に第1シード層と第2シード層を形成して転写フィルムを製造する段階と、
前記転写フィルムを製造する段階以後、一対の転写フィルムの第2シード層を接合層の両面にそれぞれ接合する接合段階と、
前記一対の転写フィルムのキャリア部材をそれぞれ除去して、前記接合層の両面にそれぞれ前記第2シード層が接し、前記第2シード層のそれぞれに前記第1シード層が接するように、前記接合層の両面のそれぞれに前記第1及び第2シード層を転写する転写段階を含むことを特徴とする請求項
13に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項17】
前記キャリア基板を製造する段階は、
キャリア部材の両面のそれぞれに第1及び第2シード層を形成して両面転写フィルムを製造する段階と、
複数設けられる前記両面転写フィルムの間間に接合層をそれぞれ配置した後、接合する接合段階と、
前記キャリア部材をそれぞれ除去して、前記接合層の両面にそれぞれ前記第2シード層が接し、前記第2シード層のそれぞれに前記第1シード層が接するように、前記接合層の両面のそれぞれに前記第1及び第2シード層を転写する転写段階を含み、複数のキャリア基板を製造することを特徴とする請求項
13に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項18】
前記キャリア基板を製造する段階において、前記第1シード層は、エッチング速度が互いに異なる2層以上に形成することを特徴とする請求項
13に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項19】
前記第1回路パターンの形成段階は、
前記第1シード層上に感光層を形成する段階と、
前記感光層上にパターン溝を形成する段階と、
前記パターン溝を介して露出した第1シード層を除去する段階と、
前記パターン溝を介して露出した部位に導電性物質を充填して第1回路パターンを形成する導電性物質の充填段階と、
前記感光層を除去する段階と、
前記感光層の除去後、露出した第1シード層を除去する段階を含むことを特徴とする請求項
13に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項20】
前記キャリア基板を剥離する剥離段階は、
前記第2シード層から前記接合層を剥離する段階と、
前記第2シード層を除去する段階を含むことを特徴とする請求項
13に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項21】
前記第1回路パターン上に絶縁コア層及び金属層を形成する段階において、前記金属層形成に先立ち、追加転写フィルムを形成する段階をさらに含み、
前記追加転写フィルムは、キャリア部材及び第1シード層を含む転写フィルムまたはキャリア部材、第1シード層及び第2シード層を含む転写フィルムを使用することを特徴とする請求項
13~20のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項22】
前記追加転写フィルムを形成する段階は、
前記追加転写フィルムの第1シード層が前記絶縁コア層上に接触するように前記追加転写フィルムを前記絶縁コア層上に接合する段階と、
前記追加転写フィルムのキャリア部材を除去して前記第1シード層を前記絶縁コア層に転写する段階を含み、
前記金属層は、前記絶縁コア層に転写された前記第1シード層上に形成することを特徴とする請求項
21に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項23】
前記追加転写フィルムを形成する段階は、
前記追加転写フィルムの第2シード層が、前記絶縁コア層上に接触するように前記追加転写フィルムを前記絶縁コア層上に接合する段階と、
前記追加転写フィルムのキャリア部材を除去して、前記絶縁コア層に前記追加転写フィルムの第2シード層が接し、前記追加転写フィルムの第2シード層に前記追加転写フィルムの第1シード層が接するように、前記追加転写フィルムの第2シード層及び第1シード層を前記絶縁コア層に転写する段階を含み、
前記金属層は、前記絶縁コア層に転写されて前記第2シード層と接する前記第1シード層上に形成することを特徴とする請求項
21に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項24】
前記金属層は、前記絶縁コア層に転写されて前記第2シード層上に形成された前記第1シード層を前記第1シード層のみを溶解することができるエッチング溶液を用いて選択的にエッチング除去した後、前記絶縁コア層に転写された前記第2シード層上に形成することを特徴とする請求項
23に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項25】
前記第1シード層は、第1導電性物質からなり、
前記第1回路パターン及び前記第2シード層は、前記第1導電性物質と異なる第2導電性物質からなり、
前記第1回路パターン及び前記第2シード層を除いて前記第1シード層のみを溶解することができるエッチング溶液を用いて、前記第1シード層のみを選択的に除去することを特徴とする請求項
23に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項26】
前記第2シード層は、銅またはアルミニウムで形成されることを特徴とする請求項
25に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項27】
絶縁コア層の両面に第2シード層及び第1シード層がそれぞれ順に積層されたコア基板を準備する段階と、
前記コア基板を貫通するビアホールを形成する穿孔段階と、
前記コア基板の両面に第1回路パターンと第2回路パターンを形成し、前記ビアホールに両面の第1回路パターンと第2回路パターンを電気的に連結する通電部を形成する回路パターンの形成段階と、
前記第1回路パターンと第2回路パターンが形成されていない部分を介して露出した第1シード層を除去する段階と、
前記第1回路パターンと第2回路パターンが形成されていない部分を介して露出した第2シード層を除去する段階を含
み、
前記コア基板を準備する段階において、前記第2シード層の平滑度を向上させるために銀(Ag)材質からなる前記第1シード層を形成し、前記第1シード層上に前記第1シード層と異なる物質からなる前記第2シード層を形成することを特徴とする印刷回路基板の製造方法。
【請求項28】
前記コア基板を準備する段階は、前記絶縁コア層の両面に第2及び第1シード層をそれぞれ順に積層する前に、前記第1シード層と接する接合調節層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項
27に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項29】
絶縁コア層の両面に第2シード層及び第1シード層がそれぞれ順に積層されたコア基板を準備する段階と、
前記第1シード層を除去する段階と、
前記コア基板を貫通するビアホールを形成する穿孔段階と、
前記コア基板の両面に第1回路パターンと第2回路パターンを形成し、前記ビアホールに両面の第1回路パターンと第2回路パターンを電気的に連結する通電部を形成する回路パターンの形成段階と、
前記第1回路パターンと第2回路パターンが形成されていない部分を介して露出した第2シード層を除去する段階を含
み、
前記コア基板を準備する段階において、前記第2シード層の平滑度を向上させるために銀(Ag)材質からなる前記第1シード層を形成し、前記第1シード層上に前記第1シード層と異なる物質からなる前記第2シード層を形成する印刷回路基板の製造方法。
【請求項30】
前記コア基板を準備する段階は、前記絶縁コア層の両面に第2及び第1シード層をそれぞれ順に積層する前に、前記第1シード層と接する接合調節層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項
29に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項31】
前記コア基板を準備する段階は、
キャリア部材の一面に第1シード層と第2シード層を形成して転写フィルムを製造する段階と、
前記転写フィルムを製造する段階以後、一対の転写フィルムの第2シード層を前記絶縁コア層の両面にそれぞれ接合する接合段階と、
前記一対の転写フィルムのキャリア部材をそれぞれ除去して、前記絶縁コア層の両面にそれぞれ前記第2シード層が接し、前記第2シード層のそれぞれに前記第1シード層が接するように、前記絶縁コア層の両面のそれぞれに前記第1及び第2シード層を転写する転写段階を含むことを特徴とする請求項
27~30のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項32】
前記キャリア部材と第1シード層との結合力は、前記第1シード層と第2シード層との結合力に比べて相対的に低く設定されることを特徴とする請求項
31に記載の印刷回路基
板の製造方法。
【請求項33】
前記コア基板を準備する段階は、
キャリア部材の両面のそれぞれに第1及び第2シード層を形成して両面転写フィルムを製造する段階と、
複数設けられる前記両面転写フィルムの間間に絶縁コア層をそれぞれ配置した後、接合する接合段階と、
前記キャリア部材をそれぞれ除去して、前記絶縁コア層の両面にそれぞれ前記第2シード層が接し、前記第2シード層のそれぞれに前記第1シード層が接するように、前記絶縁コア層の両面のそれぞれに前記第1及び第2シード層を転写する転写段階を含んで、複数のコア基板を製造することを特徴とする請求項
27~30のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項34】
前記キャリア部材と第1シード層との結合力は、前記第1シード層と第2シード層との結合力に比べて相対的に低く設定されることを特徴とする請求項
32に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項35】
前記コア基板を製造する段階において、前記第1シード層は、エッチング速度が互いに異なる2層以上に形成することを特徴とする請求項
27~30のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項36】
前記第1シード層を除去する段階においては、前記第1シード層のみを溶解することができるエッチング溶液を用いて、第1シード層を溶解させることを特徴とする請求項
27~30のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項37】
前記回路パターンの形成段階は、
前記絶縁コア層の両面に位置した第1シード層上に感光層を形成する感光層の形成段階と、
前記感光層を部分的に除去して前記ビアホールが形成された部分と第1回路パターンと第2回路パターンが形成される部分にパターン溝を形成するパターン溝の形成段階と、
前記パターン溝を介して露出した部位に導電性物質を充填して、前記絶縁コア層の両面の第1シード層に第1回路パターンと第2回路パターンをそれぞれ形成し、前記ビアホールの内壁面に通電部を形成する導電性物質の充填段階と、
前記感光層を除去する感光層の除去段階を含むことを特徴とする請求項
27または28に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項38】
前記回路パターンの形成段階は、前記感光層の形成段階に先立ち、前記第1シード層の外表面及びビアホールの内壁面に導電膜を形成する導電膜の形成段階をさらに行うことを特徴とする請求項
37に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項39】
前記回路パターンの形成段階は、
前記絶縁コア層の両面に位置した第2シード層上に感光層を形成する段階と、
前記感光層を部分的に除去して前記ビアホールが形成された部分と第1回路パターンと第2回路パターンが形成される部分にパターン溝を形成する段階と、
前記パターン溝を介して露出した部位に導電性物質を充填して、前記絶縁コア層の両面の第2シード層に第1回路パターンと第2回路パターンをそれぞれ形成し、前記ビアホールの内壁面に通電部を形成する導電性物質の充填段階と、
前記感光層を除去する段階を含むことを特徴とする請求項
29または30に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項40】
前記回路パターンの形成段階は、前記感光層の形成段階に先立ち、前記第2シード層の外表面及びビアホールの内壁面に導電膜を形成する段階をさらに行うことを特徴とする請求項
39に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項41】
前記第1回路パターンと第2回路パターン上にビルドアップ層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項
27~30のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項42】
前記ビルドアップ層を形成する段階は、
前記第1回路パターンと第2回路パターン上に絶縁層及び追加シード層を形成する段階と、
前記第1回路パターンと第2回路パターンの一部が露出するように、前記追加シード層と絶縁層を貫通するビアホールを形成する段階と、
前記追加シード層上に感光層を形成する感光層の形成段階と、
前記感光層上にパターン溝を形成するパターン溝の形成段階と、
前記パターン溝を介して露出した部位に導電性物質を充填して回路パターンを形成する導電性物質の充填段階と、
前記感光層を除去する感光層の除去段階と、
前記回路パターンが形成されていない部分を介して露出した追加シード層を除去する段階を含むことを特徴とする請求項
41に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項43】
前記ビルドアップ層を形成する段階は、前記感光層の形成段階に先立ち、前記追加シード層の外表面及びビアホールの内壁面に導電膜を形成する段階をさらに行うことを特徴とする請求項
42に記載の印刷回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板の製造方法に関する。より詳細には、シード層が形成された転写フィルムを用いて、多層印刷回路基板を容易に製造することができ、精密な微細回路パターンを具現することができる印刷回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、印刷回路基板(Printed Circuit Board)は、各種電子部品を搭載して電気的に連結させる基板形態の電子部品である。
【0003】
印刷回路基板は、配線構造の回路パターン層によって単層、両面、多層型などのように様々な種類があり、印刷回路基板の適用初期には、単面に印刷配線が形成されたような比較的構造が簡単な製品が主であったが、次第に電子製品の軽量化、小型化及び多機能化、複合機能化に伴い配線密度が高まって構造が複雑化しており、両面、多層型などのように多層製品に進化する傾向にある。
【0004】
このような印刷回路基板のうち、両面印刷回路基板の通常の製造方法を両面フレキシブル印刷回路基板を例に挙げて説明すると、次の通りである。
【0005】
ポリイミドフィルム(Polyimide Film)あるいはポリエステル(Polyester)フィルムのような絶縁性フィルムの両面に薄膜の銅(Cu)がそれぞれ積層された両面銅張積層(CCL;Copper Clad Laminate)フィルム生地を準備した後、前記銅(Cu)層の回路パターンが形成される部分を電気的に連結するためにCCLフィルムの所定の位置にドリルなどを用いてビアホールを形成した後、このビアホールにメッキを行って銅(Cu)層が互いに電気的に連結されるようにする。次に、CCLフィルムの両側の銅(Cu)層に感光性フィルムを用いたり、液を塗布してそれぞれの銅(Cu)層を露光、現像、エッチング、剥離工程によって所定の回路パターンに加工する方法で両面フレキシブル回路基板を製作することになる。
【0006】
しかし、前記のような従来の製造方法は、高価の銅張フィルムを用いなければならないので、製造コストが上昇する問題がある。特に、多層印刷回路基板の製造時に回路を微細に形成することが困難な問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0076964号 (2016.07.01)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、このような従来の問題点を解決するためのものであって、シード層が形成された転写フィルムを用いて多層印刷回路基板を容易に製造することができ、精密な微細回路パターンを具現することができる印刷回路基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は、本発明により、キャリア部材の一面に第1シード層を形成して転写フィルムを製造する段階と、前記第1シード層上に第1回路パターンを形成する段階と、前記第1回路パターン上に絶縁コア層及び金属層を形成する段階と、前記第1回路パターンと前記金属層を電気的に連結する通電部を形成する段階と、前記金属層をパターニングして第2回路パターンを形成する段階、及び前記転写フィルムを除去して前記第1回路パターンを前記絶縁コア層に転写する段階を含むことを特徴とする印刷回路基板の製造方法によって達成される。
【0010】
前記転写フィルムを製造する段階は、前記キャリア部材と前記第1シード層との間に接合調節層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0011】
前記転写フィルムを製造する段階以後、製造された一対の転写フィルムのキャリア部材をそれぞれ接合層の両面に接合する接合段階をさらに行うことができる。
【0012】
前記転写フィルムを製造する段階は、前記第1シード層を形成する第1導電性物質と異なる第2シード層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0013】
前記転写フィルムを製造する段階は、前記キャリア部材と前記第1シード層との間に接合調節層を形成する段階と、前記第1シード層を形成する第1導電性物質と異なる第2シード層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0014】
前記転写フィルムを製造する段階において、前記第1シード層は、エッチング速度が互いに異なる2層以上に形成することができる。
【0015】
前記キャリア部材と前記第1シード層との結合力は、前記第1シード層と前記第1回路パターンとの結合力に比べて相対的に低く設定することができる。
【0016】
前記第1回路パターンの形成段階は、前記第1シード層上に感光層を形成する段階と、前記感光層上にパターン溝を形成する段階と、前記パターン溝を介して露出した部位に導電性物質を充填して前記第1回路パターンを形成する導電性物質の充填段階と、前記感光層を除去する段階を含むことができる。
【0017】
前記第1回路パターン上に絶縁コア層及び金属層を形成する段階において、前記金属層を形成する前に、追加転写フィルムを形成する段階をさらに含み、前記追加転写フィルムは、キャリア部材及び第1シード層を含む転写フィルムまたはキャリア部材、第1シード層及び第2シード層を含む転写フィルムを使用することができる。
【0018】
前記追加転写フィルムを形成する段階は、前記追加転写フィルムの第1シード層が前記絶縁コア層上に接触するように、前記追加転写フィルムを前記絶縁コア層上に接合する段階と、前記追加転写フィルムのキャリア部材を除去して前記第1シード層を前記絶縁コア層に転写する段階を含み、前記金属層は、前記絶縁コア層に転写された前記第1シード層上に形成することができる。
【0019】
前記追加転写フィルムを形成する段階は、前記追加転写フィルムの第2シード層が前記絶縁コア層上に接触するように、前記追加転写フィルムを前記絶縁コア層上に接合する段階と、前記追加転写フィルムのキャリア部材を除去して、前記絶縁コア層に前記追加転写フィルムの第2シード層が接し、前記追加転写フィルムの第2シード層に前記追加転写フィルムの第1シード層が接するように、前記追加転写フィルムの第2シード層及び第1シード層を前記絶縁コア層に転写する段階を含み、前記金属層は、前記絶縁コア層に転写されて前記第2シード層と接する前記第1シード層上に形成することができる。
【0020】
前記追加転写フィルムを形成する段階は、前記追加転写フィルムの第2シード層が前記絶縁コア層上に接触するように、前記追加転写フィルムを前記絶縁コア層上に接合する段階と、前記追加転写フィルムのキャリア部材を除去して、前記絶縁コア層に前記追加転写フィルムの第2シード層が接し、前記追加転写フィルムの第2シード層に前記追加転写フィルムの第1シード層が接するように、前記追加転写フィルムの第2シード層及び第1シード層を前記絶縁コア層に転写する段階を含み、前記金属層は、前記絶縁コア層に転写されて前記第2シード層上に形成された前記第1シード層を前記第1シード層のみを溶解することができるエッチング溶液を用いて選択的にエッチング除去した後、前記絶縁コア層に転写された前記第2シード層上に形成することができる。
【0021】
前記第1回路パターンを前記絶縁コア層に転写する段階は、前記第1シード層から前記キャリア部材を剥離する段階と、前記第1シード層を除去する段階を含むことができる。
【0022】
前記第1シード層は、第1導電性物質からなり、前記第1回路パターンは、前記第1導電性物質と異なる第2導電性物質からなり、前記第1シード層を除去する段階においては、前記第1回路パターンを除いて前記第1シード層のみを溶解することができるエッチング溶液を用いて、前記第1シード層のみを選択的に除去することができる。
【0023】
前記第1回路パターンを前記絶縁コア層に転写する段階においては、前記第1シード層のみを溶解することができるエッチング溶液を用いて、前記絶縁コア層及び前記第1回路パターンに接触した状態の前記第1シード層のみを選択的にエッチング除去し、前記第1シード層のみエッチングされて、前記第1シード層に接触した状態であった前記キャリア部材が前記第1シード層から脱落して、前記転写フィルムを除去することができる。
【0024】
一方、本発明の目的は、接合層に第2シード層と第1シード層が形成されたキャリア基板を製造する段階と、前記第1シード層上に第1回路パターンを形成する段階と、前記第1回路パターン上に絶縁コア層及び金属層を形成する段階と、前記第1回路パターンと前記金属層を電気的に連結する通電部を形成する段階と、前記金属層をパターニングして第2回路パターンを形成する段階、及び前記キャリア基板を剥離する剥離段階を含むことを特徴とする印刷回路基板の製造方法によっても達成される。
【0025】
前記キャリア基板を製造する段階は、前記接合層と前記第2シード層との間に接合調節層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0026】
前記キャリア基板を製造する段階は、キャリア部材の一面に第1シード層と第2シード層を形成して転写フィルムを製造する段階と、前記転写フィルムの第2シード層に接合層を接合する接合段階と、前記キャリア部材を除去して第1シード層と第2シード層を接合層に転写する転写段階を含むことができる。
【0027】
前記キャリア基板を製造する段階は、キャリア部材の一面に第1シード層と第2シード層を形成して転写フィルムを製造する段階と、前記転写フィルムを製造する段階以後、一対の転写フィルムの第2シード層を接合層の両面にそれぞれ接合する接合段階と、前記一対の転写フィルムのキャリア部材をそれぞれ除去して、前記接合層の両面にそれぞれ前記第2シード層が接し、前記第2シード層のそれぞれに前記第1シード層が接するように、前記接合層の両面のそれぞれに前記第1及び第2シード層を転写する転写段階を含むことができる。
【0028】
前記キャリア基板を製造する段階は、キャリア部材の両面のそれぞれに第1及び第2シード層を形成して両面転写フィルムを製造する段階と、複数設けられる前記両面転写フィルムの間間に接合層をそれぞれ配置した後、接合する接合段階と、前記キャリア部材をそれぞれ除去して、前記接合層の両面にそれぞれ前記第2シード層が接し、前記第2シード層のそれぞれに前記第1シード層が接するように、前記接合層の両面のそれぞれに前記第1及び第2シード層を転写する転写段階を含み、複数のキャリア基板を製造することができる。
【0029】
前記キャリア基板を製造する段階において、前記第1シード層は、エッチング速度が互いに異なる2層以上に形成することができる。
【0030】
前記第1回路パターンの形成段階は、前記第1シード層上に感光層を形成する段階と、前記感光層上にパターン溝を形成する段階と、前記パターン溝を介して露出した第1シード層を除去する段階と、前記パターン溝を介して露出した部位に導電性物質を充填して第1回路パターンを形成する導電性物質の充填段階と、前記感光層を除去する段階、及び前記感光層の除去後、露出した第1シード層を除去する段階を含むことができる。
【0031】
前記キャリア基板を剥離する剥離段階は、前記第2シード層から前記接合層を剥離する段階と、前記第2シード層を除去する段階を含むことができる。
【0032】
前記第1回路パターン上に絶縁コア層及び金属層を形成する段階において、前記金属層形成に先立ち、追加転写フィルムを形成する段階をさらに含み、前記追加転写フィルムは、キャリア部材及び第1シード層を含む転写フィルムまたはキャリア部材、第1シード層及び第2シード層を含む転写フィルムを使用することができる。
【0033】
前記追加転写フィルムを形成する段階は、前記追加転写フィルムの第1シード層が前記絶縁コア層上に接触するように前記追加転写フィルムを前記絶縁コア層上に接合する段階と、前記追加転写フィルムのキャリア部材を除去して前記第1シード層を前記絶縁コア層に転写する段階を含み、前記金属層は、前記絶縁コア層に転写された前記第1シード層上に形成することができる。
【0034】
前記追加転写フィルムを形成する段階は、前記追加転写フィルムの第2シード層が、前記絶縁コア層上に接触するように前記追加転写フィルムを前記絶縁コア層上に接合する段階と、前記追加転写フィルムのキャリア部材を除去して、前記絶縁コア層に前記追加転写フィルムの第2シード層が接し、前記追加転写フィルムの第2シード層に前記追加転写フィルムの第1シード層が接するように、前記追加転写フィルムの第2シード層及び第1シード層を前記絶縁コア層に転写する段階を含み、前記金属層は、前記絶縁コア層に転写されて前記第2シード層と接する前記第1シード層上に形成することができる。
【0035】
前記金属層は、前記絶縁コア層に転写されて前記第2シード層上に形成された前記第1シード層を前記第1シード層のみを溶解することができるエッチング溶液を用いて選択的にエッチング除去した後、前記絶縁コア層に転写された前記第2シード層上に形成することができる。
【0036】
前記第1シード層は、第1導電性物質からなり、前記第1回路パターン及び前記第2シード層は、前記第1導電性物質と異なる第2導電性物質からなり、前記第1回路パターン及び前記第2シード層を除いて前記第1シード層のみを溶解することができるエッチング溶液を用いて、前記第1シード層のみを選択的に除去することができる。
【0037】
前記第1シード層は、銀(Ag)材質で形成することができる。
【0038】
前記第2シード層は、銅またはアルミニウムで形成することができる。
【0039】
一方、本発明の目的は、絶縁コア層の両面に第1シード層がそれぞれ形成されたコア基板を準備する段階と、前記コア基板を貫通するビアホールを形成する穿孔段階と、前記コア基板の両面に第1回路パターンと第2回路パターンを形成し、前記ビアホールに両面の第1回路パターンと第2回路パターンを電気的に連結する通電部を形成する回路パターンの形成段階、及び前記第1回路パターンと第2回路パターンが形成されていない部分を介して露出した第1シード層を除去する段階を含むことを特徴とする印刷回路基板の製造方法によっても達成される。
【0040】
前記コア基板を準備する段階は、前記絶縁コア層の両面に前記第1シード層をそれぞれ順に積層する前に、前記第1シード層と接する接合調節層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0041】
一方、本発明の目的は、絶縁コア層の両面に第2シード層及び第1シード層がそれぞれ順に積層されたコア基板を準備する段階と、前記コア基板を貫通するビアホールを形成する穿孔段階と、前記コア基板の両面に第1回路パターンと第2回路パターンを形成し、前記ビアホールに両面の第1回路パターンと第2回路パターンを電気的に連結する通電部を形成する回路パターンの形成段階と、前記第1回路パターンと第2回路パターンが形成されていない部分を介して露出した第1シード層を除去する段階、及び前記第1回路パターンと第2回路パターンが形成されていない部分を介して露出した第2シード層を除去する段階を含むことを特徴とする印刷回路基板の製造方法によっても達成される。
【0042】
前記コア基板を準備する段階は、前記絶縁コア層の両面に第2及び第1シード層をそれぞれ順に積層する前に、前記第1シード層と接する接合調節層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0043】
一方、本発明の目的は、絶縁コア層の両面に第2シード層及び第1シード層がそれぞれ順に積層されたコア基板を準備する段階と、前記第1シード層を除去する段階と、前記コア基板を貫通するビアホールを形成する穿孔段階と、前記コア基板の両面に第1回路パターンと第2回路パターンを形成し、前記ビアホールに両面の第1回路パターンと第2回路パターンを電気的に連結する通電部を形成する回路パターンの形成段階、及び前記第1回路パターンと第2回路パターンが形成されていない部分を介して露出した第2シード層を除去する段階を含む印刷回路基板の製造方法によっても達成される。
【0044】
前記コア基板を準備する段階は、前記絶縁コア層の両面に第2及び第1シード層をそれぞれ順に積層する前に、前記第1シード層と接する接合調節層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0045】
前記コア基板を準備する段階は、キャリア部材の一面に第1シード層と第2シード層を形成して転写フィルムを製造する段階と、前記転写フィルムを製造する段階以後、一対の転写フィルムの第2シード層を前記絶縁コア層の両面にそれぞれ接合する接合段階と、前記一対の転写フィルムのキャリア部材をそれぞれ除去して、前記絶縁コア層の両面にそれぞれ前記第2シード層が接し、前記第2シード層のそれぞれに前記第1シード層が接するように、前記絶縁コア層の両面のそれぞれに前記第1及び第2シード層を転写する転写段階を含むことができる。
【0046】
前記キャリア部材と第1シード層との結合力は、前記第1シード層と第2シード層との結合力に比べて相対的に低く設定することができる。
【0047】
前記コア基板を準備する段階は、キャリア部材の両面のそれぞれに第1及び第2シード層を形成して両面転写フィルムを製造する段階と、複数設けられる前記両面転写フィルムの間間に絶縁コア層をそれぞれ配置した後、接合する接合段階と、前記キャリア部材をそれぞれ除去して、前記絶縁コア層の両面にそれぞれ前記第2シード層が接し、前記第2シード層のそれぞれに前記第1シード層が接するように、前記絶縁コア層の両面のそれぞれに前記第1及び第2シード層を転写する転写段階を含んで、複数のコア基板を製造することができる。
【0048】
前記キャリア部材と第1シード層との結合力は、前記第1シード層と第2シード層との結合力に比べて相対的に低く設定することができる。
【0049】
前記コア基板を製造する段階において、前記第1シード層は、エッチング速度が互いに異なる2層以上に形成することができる。
【0050】
前記第1シード層を除去する段階においては、前記第1シード層のみを溶解することができるエッチング溶液を用いて、第1シード層を溶解させることができる。
【0051】
前記回路パターンの形成段階は、前記絶縁コア層の両面に位置した第1シード層上に感光層を形成する感光層の形成段階と、前記感光層を部分的に除去して前記ビアホールが形成された部分と第1回路パターンと第2回路パターンが形成される部分にパターン溝を形成するパターン溝の形成段階と、前記パターン溝を介して露出した部位に導電性物質を充填して、前記絶縁コア層の両面の第1シード層に第1回路パターンと第2回路パターンをそれぞれ形成し、前記ビアホールの内壁面に通電部を形成する導電性物質の充填段階と、前記感光層を除去する感光層の除去段階を含むことができる。
【0052】
前記回路パターンの形成段階は、前記感光層の形成段階に先立ち、前記第1シード層の外表面及びビアホールの内壁面に導電膜を形成する導電膜の形成段階をさらに行うことができる。
【0053】
前記回路パターンの形成段階は、前記絶縁コア層の両面に位置した第2シード層上に感光層を形成する段階と、前記感光層を部分的に除去して前記ビアホールが形成された部分と第1回路パターンと第2回路パターンが形成される部分にパターン溝を形成する段階と、前記パターン溝を介して露出した部位に導電性物質を充填して、前記絶縁コア層の両面の第2シード層に第1回路パターンと第2回路パターンをそれぞれ形成し、前記ビアホールの内壁面に通電部を形成する導電性物質の充填段階と、前記感光層を除去する段階を含むことができる。
【0054】
前記回路パターンの形成段階は、前記感光層の形成段階に先立ち、前記第2シード層の外表面及びビアホールの内壁面に導電膜を形成する段階をさらに行うことができる。
【0055】
前記第1回路パターンと第2回路パターン上にビルドアップ層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0056】
前記ビルドアップ層を形成する段階は、前記第1回路パターンと第2回路パターン上に絶縁層及び追加シード層を形成する段階と、前記第1回路パターンと第2回路パターンの一部が露出するように、前記追加シード層と絶縁層を貫通するビアホールを形成する段階と、前記追加シード層上に感光層を形成する感光層の形成段階と、前記感光層上にパターン溝を形成するパターン溝の形成段階と、前記パターン溝を介して露出した部位に導電性物質を充填して回路パターンを形成する導電性物質の充填段階と、前記感光層を除去する感光層の除去段階と、前記回路パターンが形成されていない部分を介して露出した追加シード層を除去する段階を含むことができる。
【0057】
前記ビルドアップ層を形成する段階は、前記感光層の形成段階に先立ち、前記追加シード層の外表面及びビアホールの内壁面に導電膜を形成する段階をさらに行うことができる。
【発明の効果】
【0058】
本発明によると、本発明の目的は、このような従来の問題点を解決するためのものであって、シード層が形成された転写フィルムを用いて多層印刷回路基板を容易に製造することができ、精密な微細回路パターンを具現することができる印刷回路基板の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】
図1は、本発明に適用される転写フィルムの様々な形態を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の
図2に続く工程別断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る印刷回路基板の製造方法の
図4に続く工程別断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る印刷回路基板の製造方法の
図6に続く工程別断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1実施形態の第3変形例に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1実施形態の第3変形例に係る印刷回路基板の製造方法の
図8に続く工程別断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の
図10に続く工程別断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2実施形態の第1変形例に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2実施形態の第1変形例に係る印刷回路基板の製造方法の
図12に続く工程別断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2実施形態の第2変形例に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第3実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【
図16】
図16は、本発明の第3実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の
図15に続く工程別断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第3実施形態に係る印刷回路基板の製造方法のビルドアップ層の形成段階を示す工程別断面図である。
【
図18】
図18は、本発明の第3実施形態に係る印刷回路基板の製造方法のビルドアップ層の形成段階を示す
図17に続く工程別断面図である。
【
図19】
図19は、本発明の第3実施形態の第1変形例に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【
図20】
図20は、本発明の第3実施形態の第1変形例に係る印刷回路基板の製造方法の
図19に続く工程別断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の第4実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【
図22】
図22は、本発明の第4実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の
図21に続く工程別断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の第4実施形態に係る印刷回路基板の製造方法のビルドアップ層の形成段階を示す工程別断面図である。
【
図24】
図24は、本発明の第4実施形態に係る印刷回路基板の製造方法のビルドアップ層の形成段階を示す
図23に続く工程別断面図である。
【
図25】
図25は、本発明の第3及び第4実施形態に係る印刷回路基板の製造方法のコア基板を製造する段階を示す工程別断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
説明に先立ち、様々な実施形態において、同一の構成を有する構成要素については、同一の符号を使用して代表的に第1実施形態で説明し、その他の実施形態においては、第1実施形態と異なる構成について説明することにする。
【0061】
以下、添付した図面を参照して本発明の第1実施形態に係る印刷回路基板の製造方法について詳細に説明する。
【0062】
添付図面のうち、
図1は、本発明に適用される転写フィルムの様々な形態を示す断面図であり、
図2~
図3は、本発明の第1実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【0063】
図2~
図3に示すように、本発明の第1実施形態に係る印刷回路基板の製造方法は、転写フィルムを製造する段階S110、第1回路パターンの形成段階S120、絶縁コア層及び金属層の形成段階S130、通電部の形成段階S140、第2回路パターンの形成段階S150、転写段階S160を含む。
【0064】
前記転写フィルムを製造する段階S110において、転写フィルム10は、
図1(a)に示すように、キャリア部材11及び第1シード層12で構成することもでき、前記キャリア部材11は、平滑度が優れていながら、第1シード層12から容易に剥離することができる材質からなることが好ましい。
【0065】
一方、転写フィルム10の第1シード層12は、
図1(a)に示すように、1層で形成することもでき、
図1(b)に示すように、2層または2層以上の多層で構成することもできる。ここで、複数回のコーティングで複数層で形成する場合、ピンホール形成を抑制することもできる。
【0066】
また、
図1(b)に示すように、2層で形成する場合、2層は互いに異なる特性に形成することが好ましい。
【0067】
キャリア部材11上に形成される下部第1シード層12bは、キャリア部材11と下部第1シード層12bが、初期に付着状態を維持しているときの初期付着維持力及び後で下部第1シード層12bからキャリア部材11が剥離するときの剥離/離型力において優れた特性を有する層で具現されることが好ましい。
【0068】
これとは異なって、第1回路パターン30及び絶縁コア層40に接する上部第1シード層12aは、下部第1シード層12bよりも速いエッチング速度と低い抵抗の特性を有する層で具現されることが好ましい。また、上部第1シード層12aは、下部第1シード層12bよりも高い表面反射率の特性を有することが好ましいことがある。
【0069】
このように、上部及び下部第1シード層12a,12bが互いに異なる特性を有するように、2層のバインダー樹脂の含有量を変えて層を異なって形成することもでき、バインダー樹脂の種類を変えて選択して、他の種類のバインダー樹脂を用いて層を形成することもでき、バインダー樹脂のない純粋な銀(Ag)インクを使用して層を形成することもでき、各層の硬度を変えることもでき、厚さを変えることもできる。
【0070】
具体的には、上部及び下部第1シード層12a,12bが銀(Ag)ナノ粒子をバインダー樹脂に分散させて製造した銀(Ag)ペーストで形成する場合、下部第1シード層12bよりも上部第1シード層12aのバインダー樹脂の含有量を最小化することで2層を変えて、エッチングするとき、下部第1シード層12bよりも上部第1シード層12aの迅速な除去が可能な層に構成することができる。また、この場合、バインダー樹脂の含有量が少ないため、シード層の除去段階(S162、
図3(j)参照)によって、第1シード層12を除去した後、絶縁コア層40と第1回路パターン30にバインダー樹脂の残渣が残らずきれいに除去されて、第1回路パターン30の汚染を防止することができることになる。
【0071】
または、前述したように、各層の硬度を変えてホットプレス(Hot press)などの基板製作工程での上部及び下部第1シード層12a,12bの変形を最小化することができ、各層の厚さを変えて離型力の改善、選択的エッチング力の改善などの特性を確保することもできる。
【0072】
一方、転写フィルム10は、
図1(c)に示すように、キャリア部材11、接着調節層14及び第1シード層12で構成することができ、
図1(d)に示すように、キャリア部材11、第1シード層12及び第2シード層13で構成することができ、
図1(e)に示すように、キャリア部材11、接着調節層14、第1シード層12及び第2シード層13で構成することができる。
【0073】
ここで、前記キャリア部材11は、ポリイミド(PI;Polyimide)、及び/またはナイロンであり得、金属キャリア層からなることができる。このような金属キャリア層は様々な種類、例えば、銅、アルミニウムなどの金属シートで有り得、一例として、銅(Cu)シートであることが好ましいが、これに限定されるものではなく、厚さは18μmであることが好ましいが、これに限定されるものではなく、様々な厚さで適用可能である。
【0074】
ここで、接着調節層14は、キャリア部材11と第1シード層12が製造工程が進行する間に、互いに接着されているほどの接着性を維持しながら、後でキャリア部材11を分離する段階でよく分離することができる離型力を確保するために形成した層である。このような接着調節層14は、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、エステル樹脂などの高分子樹脂に、離型力調節のための添加剤及び充填制を含んで形成することができる。接着調節層の離型力(引張剥離強度)は、0.005kgf/cm~0.5kgf/cmであり得、好ましくは0.01kgf/cm~0.05kgf/cmであり得る。
【0075】
一方、
図1(d)、(e)の第2シード層13の場合、様々な金属で層を形成することができる。一例として、銅(Cu)で形成することができるが、これに限定されるものではなく、厚さは、1~5μmであることが好ましいが、これに限定されるものではなく、様々な厚さで適用可能である。
【0076】
このような転写フィルム10を製造する段階の一例として、
図2(a)に示すように、転写フィルムを製造する段階S110においては、表面平滑度が優れたキャリア部材11に銀(Ag)材質からなる第1導電性物質をコーティングして、第1シード層12を形成する。
【0077】
前記第1シード層12は、コーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、化学蒸着法、電解メッキ、無電解メッキなどの方法によってキャリア部材11上に形成することができ、前記第1導電性物質は、銀(Ag)ナノ粒子を熱硬化樹脂に分散させて製造した銀(Ag)ペーストからなることができる。ここでは、第1シード層12を銀(Ag)で形成したが、これに限定されるものではなく、後でのエッチングを考慮して、第1シード層12を形成する金属が回路パターンを形成する金属と異なる種類の金属であれば、多様に適用することができる。
【0078】
前記第1回路パターンの形成段階S120においては、前記第1シード層12上に第1回路パターン30を形成する。
【0079】
具体的には、前記第1回路パターンの形成段階S120は、前記第1シード層12上に感光層20を形成する段階S121と、前記感光層20にパターン溝21を形成する段階S122と、前記パターン溝21に導電性物質を充填する段階S123と、前記感光層を除去する段階S124を含む。
【0080】
前記感光層を形成する段階S121においては、
図2(b)に示すように、前記シード層12上に感光層20を形成する。感光層20は、第1シード層12上に回路パターンを形成するための事前段階である。感光層を形成する段階S121においては、一般的な感光性ドライフィルム(Dry Film)を合紙して進行する方法と感光性エッチング(Photo Etching)レジストインクを塗布して形成する方法など、この技術分野で広く知られている工程によって感光層20を形成することができる。
【0081】
前記パターン溝の形成段階S122においては、
図2(c)に示すように、露光及び現像工程などによって感光層20を部分的に除去して、回路パターンが形成される部分にパターン溝21を形成する。
【0082】
ここで、銀(Ag)材質の第1シード層12上に感光層20を形成した後、
図2(c)に示すように、露光及び現像工程などによって感光層20を部分的に除去して、回路パターンが形成される部分にパターン溝21を形成することができる。このような場合、銀(Ag)材質の第1シード層12が感光層20のUV硬化条件での反射効率が非常に良いので、具体的には、銀(Ag)が持っている基本的な自体の特性として反射効率が高く、銀(Ag)の表面粗度が優れていることから、UV硬化条件で正反射効率に優れているため、真直度(Straightness)が向上してパターン溝21が非常に滑らかで均一であり、真直度が非常に優れた形態で形成することができる。
【0083】
既存の一般的な方式で回路パターンを形成する場合、回路パターンが不均一で真直度が落ちて形成され、例えば斜線状に形成されることもあるため、微細な回路パターンを具現することが難しかった従来とは異なり、本発明によると、前述したように、非常に滑らかで均一であり、真直度が非常に優れた形態のパターン溝21に電気伝導率に優れた銅のような第2導電性物質を充填することができるようになることによって、非常に滑らかで均一であり、真直度が非常に優れた微細第1回路パターン30を非常に容易に形成することができることになる。
【0084】
前記導電性物質を充填する段階S123においては、
図2(d)に示すように、電解メッキ工程によって電気伝導率に優れた銅のような第2導電性物質を前記パターン溝21に充填させることにより、第1回路パターン30を形成することができる。ここで、電解メッキによって、パターン溝21に導電性物質を充填することが好ましくあり得、スクリーン印刷、インクジェット(inkjetting)、無電解メッキを単独で行って充填したり、これらの中で選択して、2種以上の方法を共に使用して充填することも可能である。
【0085】
前記感光層を除去する段階S124においては、
図2(e)に示すように、前記シード層12上に形成された感光層20を剥離して除去する。
【0086】
前記絶縁コア層及び金属層の形成段階S130においては、
図3(f)に示すように、前記第1回路パターン30上に絶縁コア層40と金属層50を順に積層した後、接合する。
【0087】
前記絶縁コア層40は、ガラスエポキシに熱硬化樹脂が含浸されて、半硬化状態で提供されるプリプレグ(Prepreg)シートや、ボンディングシートまたはホットメルト(Hot-melt)熱硬化樹脂などを用いることができる。また、絶縁コア層40と金属層50を積層した後には完全な接合のために、ホットプレス工程によって基板の厚さ方向に熱と圧力を同時に提供することができる。
【0088】
前記金属層50は、第2回路パターン51を形成するためのものであって、電気伝導率に優れた銅材質からなることができる。前記金属層50は、スパッタリング、コーティング、メッキなど様々な方法で形成することもでき、または銅金属層が形成された転写フィルムを用いて、絶縁コア層40上に銅金属層を転写して金属層50に形成することもできる。
【0089】
一方、前記絶縁コア層及び金属層の形成段階S130において、絶縁コア層40を形成した後、
図1(a)~(e)に示された転写フィルムを使用して、絶縁コア層40上に追加転写フィルム10を形成することもできる。例えば、
図1(a)~(e)の転写フィルム10を絶縁コア層40上に積層した後、ホットプレス工程によって、基板の厚さ方向に熱と圧力を同時に提供して接合する段階と、
図1(a)~(e)に示された転写フィルム10のキャリア部材11または接着調節層14が形成されたキャリア部材11を剥離して、第1シード層12、または2層で形成された第1シード層12a,12b、または第1及び第2シード層12,13を絶縁コア層40側に転写する段階をさらに行うことができる。
【0090】
図1(a)~(e)の転写フィルム10を絶縁コア層40上に積層する段階においては、第1シード層12が絶縁コア層40に接するように積層するか、2層の第1シード層12a,12bが絶縁コア層40に接するように積層するか、第1及び第2シード層12,13の第2シード層13が絶縁コア層40に接するように積層することができる。
【0091】
そして、第1シード層12、または2層で形成された第1シード層12a,12b、または第1及び第2シード層12,13を絶縁コア層40側に転写する段階後、絶縁コア層40側に転写された第1シード層12、または2層の第1シード層12a,12b、または第1及び第2シード層12,13の第1シード層12を除去せずに維持した状態で、第1シード層12、または2層の第1シード層12a,12b、または第1及び第2シード層12,13の第1シード層12上に金属層50を形成することもできる。または、絶縁コア層40側に転写された第1シード層12、または2層の第1シード層12a,12b、または第1及び第2シード層12,13の第1シード層12のみを除去することができるエッチング溶液で選択的にエッチングして除去した後、金属層50を形成することもできる。
【0092】
前記通電部の形成段階S140においては、
図3(g)に示すように、前記金属層50と絶縁コア層40を貫通するビアホールVを形成するビアホールの形成段階と、前記ビアホールVに導電性物質を充填させて前記第1回路パターン30と金属層50を電気的に連結する通電部60を形成する導電性物質の充填段階を含む。前記導電性物質の充填段階においては、電解メッキ工程によって銅のような電気伝導率に優れた導電性物質で通電部60を形成することができる。ここで、前記導電性物質は、電解メッキによって充填することが好ましく、スクリーン印刷、インクジェット(inkjetting)、無電解メッキを単独で行って充填したり、これらの中で選択して、2種以上の方法を共に使用して充填することも可能である。
【0093】
前記第2回路パターンの形成段階S150においては、
図3(h)に示すように、前記金属層50をパターニングすることによって、第2回路パターン51を形成することができる。このような金属層50のパターニングは、フォトリソグラフィ工程によって行われることができる。
【0094】
前記転写段階S160は、キャリア部材の剥離段階S161とシード層の除去段階S162を含む。
【0095】
前記キャリア部材の剥離段階S161においては、
図3(i)に示すように、キャリア部材11上に形成された第1シード層12と第1回路パターン30を絶縁コア層40に転写させるために、キャリア部材11を第1シード層12から剥離する。第1シード層12からキャリア部材11を剥離すると、第1シード層12と第1回路パターン30が絶縁コア層40側に転写される。このとき、前記キャリア部材11と第1シード層12との結合力は、前記第1シード層12と第1回路パターン30との結合力または第1シード層12と絶縁コア層40との結合力に比べて相対的に低く設定される。したがって、前記キャリア部材11を第1シード層12から容易に剥離させることができると共に、キャリア部材11を剥離する過程で、第1シード層12と第1回路パターン30との結合面が剥離したり、第1シード層12と絶縁コア層40との結合面が剥離することを防止することができる。
【0096】
前記シード層の除去段階S162においては、
図3(j)に示すように、キャリア部材11の剥離後に露出した第1シード層12をエッチングなどの方法で除去することができる。このとき、前記第1シード層12は、第1回路パターン30を構成する第2導電性物質とは異なる第1導電性物質で構成されるので、第1導電性物質を選択的に溶解させることができるエッチング溶液を用いて第1シード層12を選択的に除去することができる。したがって、第1シード層12を除去する過程で、第1回路パターン30が損傷することを防止することができる。既存の一般的な方式では、第1回路パターン30が損傷する現象、例えば、第1回路パターン30が内側に潜り込む損傷現象が発生することとは異なり、本発明によると、第1シード層12のみを選択的にエッチングする方法でエッチングして第1シード層12と異なる金属で形成された第1回路パターン30に損傷なしで、第1シード層12のみをきれいに除去することができるようになる。従って、第1シード層12と境界を接していた図面の断面基準の第1回路パターン30の下底面の損傷なしで、第1シード層12のみがきれいに除去されることによって、回路連結時に優れた接触抵抗を提供することができるようになる。
【0097】
前記のような本実施形態によると、第1回路パターン30が絶縁コア層40の一面にパターン埋込型基板(embedded trace substrate;ETS)方式で形成された印刷回路基板を製造することができ、前記第1回路パターン30は、セミアディティブ法(Semi additive process;SAP)でも形成することができる。
【0098】
添付図面のうち、
図4~
図5は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【0099】
図4~
図5に示された本発明の第1実施形態の第1変形例は、転写フィルムを製造する段階S110、第1回路パターンの形成段階S120、絶縁コア層及び金属層の形成段階S130、通電部の形成段階S140、第2回路パターンの形成段階S150、転写段階S160を含み、前記転写フィルムを製造する段階S110において、
図1(b)に示された転写フィルムが製造される点で
図2及び
図3の第1実施形態と差異がある。
【0100】
すなわち、転写フィルムを製造する段階S110において、転写フィルム10は、
図1(b)に示すように、キャリア部材11と、下部第1シード層12b及び上部第1シード層12aで構成される第1シード層12を含むことができる。
【0101】
ここで、前記下部第1シード層12bは、基材層の付着力及び離型力維持のための層とし、上部第1シード層12aは、表面反射率を高くしたり、バインダーの含有量を最小化して、選択的エッチングするときより早く除去が可能な層として構成することができる。
【0102】
また、下部第1シード層12b及び上部第1シード層12aの硬度を変えて、ホットプレスなどの基板製作工程での第1シード層12の変形を最小化することができ、下部第1シード層12b及び上部第1シード層12aの厚さを変えて、離型力の改善、選択的エッチング力の改善などの特性を確保することができる。
【0103】
前記のように構成された転写フィルム10は、第1回路パターンの形成段階S120、絶縁コア層及び金属層の形成段階S130、通電部の形成段階S140、第2回路パターンの形成段階S150を経た後、前記転写段階S160のキャリア部材の剥離段階S161とシード層の除去段階S162によって除去することができる。
【0104】
前記キャリア部材の剥離段階S161においては、
図5(i)に示すように、物理的な力を加えて、キャリア部材11を剥離することができる。
【0105】
また、前記シード層の除去段階S162においては、
図5(j)に示すように、エッチング溶液を用いて絶縁コア層40から下部第1シード層12b及び上部第1シード層12aで構成された第1シード層12を除去することができる。具体的には、前記銅材質で構成された下部第1シード層12bは、銅エッチング溶液を用いて除去することができ、銀材質で構成された上部第1シード層12aは、銀エッチング溶液を用いて除去することができる。
【0106】
このとき、前記銀材質で構成された上部第1シード層12aは、純粋Agインクを使用するか、バインダーなしでバインダー含有量を下げるか、バインダー樹脂の種類を変更して製造することができるので、上部第1シード層12aの除去後、露出する回路パターン30にバインダー樹脂残渣が残らないようにすることができる。
【0107】
添付図面のうち、
図6~
図7は、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【0108】
図6~
図7に示された本発明の第1実施形態の第2変形例においては、第1実施形態と同じく転写フィルムを製造する段階S110、第1回路パターンの形成段階S120、絶縁コア層及び金属層の形成段階S130、通電部の形成段階S140、第2回路パターンの形成段階S150、転写段階S160を含み、前記転写フィルムを製造する段階S110においては、
図1(c)に示された転写フィルムが製造される点で
図2及び
図3の第1実施形態と差異がある。
【0109】
すなわち、転写フィルムを製造する段階S110において、転写フィルム10は、
図1(c)に示すように、キャリア部材11としてメタルシート、例えば、銅シート、接着調節層14及び第1シード層12で構成することができる。もちろん、キャリア部材11の材質は、銅シート以外にも前述した様々な材質で形成することができる。
【0110】
前記のように構成された転写フィルム10は、第1回路パターンの形成段階S120、絶縁コア層及び金属層の形成段階S130、通電部の形成段階S140、第2回路パターンの形成段階S150を経た後、前記転写段階S160のキャリア部材の剥離段階S161とシード層の除去段階S162によって除去することができる。
【0111】
一方、第1回路パターンの形成段階S120において、銀(Ag)材質の第1シード層12の上に感光層20を形成した後、露光及び現像工程などによって感光層20を部分的に除去して、回路パターンが形成される部分にパターン溝21を形成する場合、銀(Ag)材質の第1シード層12が感光層20のUV硬化条件での反射効率が非常に良いので、具体的には、銀(Ag)が持っている基本的な自体の特性として反射効率が高く、銀(Ag)の表面粗度が優れていることから、UV硬化条件で正反射効率に優れているため、真直度が向上してパターン溝21が非常に滑らかで均一であり、真直度が非常に優れた形態で形成することができる。
【0112】
既存の一般的な方式で回路パターンを形成する場合、回路パターンが不均一で真直度が落ちて形成され、例えば斜線状に形成されることもあるため、微細な回路パターンを具現することが難しかった従来とは異なり、本発明によると、前述したように、非常に滑らかで均一であり、真直度が非常に優れた形態のパターン溝21に電気伝導率に優れた銅のような第2導電性物質を充填することができるようになることによって、非常に滑らかで均一であり、真直度が非常に優れた微細第1回路パターン30を非常に容易に形成することができることになる。
【0113】
また、前記キャリア部材の剥離段階S161においては、
図7(i)に示すように、物理的な力を加えてキャリア部材11を剥離することができ、この過程で接着調節層14は、キャリア部材11と共に第1シード層12から剥離する。
【0114】
前記シード層の除去段階S162においては、
図7(j)に示すように、エッチング溶液を用いて絶縁コア層40から第1シード層12を除去することができる。
【0115】
次に、本発明の第1実施形態の第3変形例に係る印刷回路基板の製造方法について説明する。
【0116】
添付図面のうち、
図8~
図9は、本発明の第1実施形態の第3変形例に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【0117】
本発明の第1実施形態の第3変形例に係る印刷回路基板の製造方法は、
図8~
図9に示すように、転写フィルムを製造する段階S110、接合段階S111、第1回路パターンの形成段階S120、絶縁コア層及び金属層の形成段階S130、通電部の形成段階S140、第2回路パターンの形成段階S150、転写段階S160を含み、前記転写フィルムを製造する段階S110と第1回路パターンの形成段階S120の間で、一対の転写フィルム10のキャリア部材11を接合層70を用いて接合する接合段階S111を行い、両面に第1シード層12が形成されたフィルムを提供する点で
図2及び
図3の第1実施形態と差異を有する。
【0118】
具体的には、前記接合段階S111においては、
図8(b)に示すように、一対の転写フィルム10のキャリア部材11の間に接合層70を配置した後、接合することによって両面に第1シード層12が形成された両面フィルムを提供することができる。
【0119】
ここで、前記接合層70は、ガラスエポキシに熱硬化樹脂が含浸されて半硬化状態で提供されるプリプレグ(Prepreg)シートや、ボンディングシートまたはホットメルト(Hot-melt)熱硬化樹脂などを用いることができ、完全な接合のために、基板の厚さ方向に熱と圧力を同時に提供するホットプレス工程を用いることができる。
【0120】
一方、前記接合段階S111を除いた残りの段階は、第1実施形態と同一であるため、同一段階についての具体的な説明は省略する。
【0121】
このような第3変形例によると、接合段階S111以後、第1回路パターンの形成段階S120、絶縁コア層及び金属層の形成段階S130、通電部の形成段階S140、第2回路パターンの形成段階S150が両面に第1シード層12が形成されたフィルムの両側面でそれぞれまたは同時に行われて、両面に第1シード層12が形成されたフィルムの両側面に印刷回路基板がそれぞれ形成される。
【0122】
すなわち、一回の工程によって2つの印刷回路基板を製造することができるので、生産効率を向上させることができる。
【0123】
次に、本発明の第2実施形態に係る印刷回路基板の製造方法について説明する。
【0124】
添付図面のうち、
図10~
図11は、本発明の第2実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【0125】
図10~
図11に示されたように、本発明の第2実施形態に係る印刷回路基板の製造方法は、キャリア基板を製造する段階S200、第1回路パターンの形成段階S230、絶縁コア層及び金属層の形成段階S240、通電部の形成段階S250、第2回路パターンの形成段階S260、剥離段階S270を含む。
【0126】
前記キャリア基板を製造する段階S200は、転写フィルムを製造する段階S210、接合段階S211、転写段階S220を含む。
【0127】
前記転写フィルムを製造する段階S210においては、
図10(a)に示すように、表面平滑度に優れたキャリア部材11に銀(Ag)材質からなる第1シード層12を形成し、前記第1シード層12上に銅(Cu)材質からなる1~5μm厚さの第2シード層13を形成して転写フィルム10を製造する。このように、本実施形態では、
図1(d)に示すように、ポリイミド(PI;Polyimide)フィルムまたはメタルシート、例えば銅シートからなるキャリア部材11、第1シード層12、及び第2シード層13で構成された転写フィルム10を使用することができる。また、
図1(e)に示すようにポリイミド(PI;Polyimide)フィルムまたはメタルシート、例えば銅シートからなるキャリア部材11、接着調節層14、第1シード層12及び第2シード層13で構成された転写フィルム10を使用することもできる。
【0128】
転写フィルム10は、
図1(a)及び(c)に示すように、キャリア部材11上に単独の第1シード層12が積層された形態で構成するか、
図1(d)及び(e)に示すように、キャリア部材11上に第1シード層12と第2シード層13が積層された形態で構成することができる。
【0129】
前記第1シード層12は、銀(Ag)ナノ粒子を熱硬化樹脂に分散させて製造した銀(Ag)ペーストからなる第1導電性物質をコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、化学蒸着法、電解メッキ、無電解メッキなどの方法でキャリア部材11上に形成することができる。
【0130】
前記第2シード層13は、メッキ工程によって、第1シード層12上に形成することができる。このとき、前記第1シード層12が電極の役割をするので、第1シード層12上に銅材質の第2シード層13を電解メッキすることができる。一方、本実施形態では、電解メッキ工程で第2シード層13を形成するものとして説明したが、無電解メッキ工程、スパッタリング、コーティング法などによって形成することも可能である。ここで、一般的な基材に銅メッキを直にして層を形成すると平滑度が良くなく形成されることとは異なり、本発明により、平滑度が良い銀(Ag)材質の第1シード層12の上に、例えば銅メッキして第2シード層13を形成することにより、前述した問題が発生することを防止しながら、平滑度が良い第2シード層13を容易に形成することができる。
【0131】
前記接合段階S211においては、
図10(b)に示すように、転写フィルム10の第2シード層13を接合層70に接合する。
【0132】
具体的には、キャリア部材11の一面に第1シード層12と第2シード層13が形成された転写フィルム10を準備し、接合層70を転写フィルム10の第2シード層13と向かい合うように配置した後、接合することによって接合層70に転写フィルム10の第2シード層13が接合されるようにすることができる。ここで、前記接合層70は、ガラスエポキシに熱硬化樹脂が含浸されて半硬化状態で提供されるプリプレグ(Prepreg)シートや、ボンディングシートまたはホットメルト(Hot-melt)熱硬化樹脂などを用いることができ、完全な接合のために、基板の厚さ方向に熱と圧力を同時に提供するホットプレス工程を用いることができる。一方、前記接合層70と第2シード層13との間には、離型力を提供する接着調節層をさらに追加配置することによって、剥離段階S270において、前記接合層70が第2シード層13から容易に剥離できるようにすることが好ましい。もちろん、接合層70と第2シード層13との間に接着調節層をさらに形成することもでき、形成しないこともできる。
【0133】
前記転写段階S220においては、
図10(c)に示すように、前記転写フィルム10のキャリア部材11を除去して前記接合層70の一面に第1シード層12と第2シード層13をそれぞれ転写する。
【0134】
このとき、前記キャリア部材11と第1シード層12との結合力は、前記第1シード層12と第2シード層13または前記第2シード層13と接合層70との結合力に比べて相対的に低く設定される。したがって、前記キャリア部材11を第1シード層12から容易に剥離させることができると共に、キャリア部材11を第1シード層12から剥離する過程で、第1シード層12と第2シード層13との結合面が剥離したり、第2シード層13と接合層70との結合面が剥離することを防止することができる。
【0135】
このように、前記キャリア基板を製造する段階S200においては、接合層70の一面に第2シード層13と第1シード層12が順に積層されたキャリア基板を製造することができる。
【0136】
一方、前記転写フィルム製造段階S210においては、表面平滑度に優れたキャリア部材11の両面に銀(Ag)材質からなる第1シード層12をそれぞれ形成し、前記第1シード層12上に銅(Cu)材質からなる1~5μm厚さの第2シード層13をそれぞれ形成して、
図25(a)のような両面転写フィルム10を製造することができる。
【0137】
本実施形態では、
図1(a)に示された転写フィルム10が適用されたものとして例を挙げて説明したが、前記第1シード層12は、
図1(b)に示すように、エッチング速度が互いに異なる2層以上に形成することができ、上部第1シード層12aは、下部第1シード層12bよりも速いエッチング速度と低い抵抗の特性を有する層で具現することができる。
【0138】
続いて、前記接合段階S211においては、複数の両面転写フィルム10の間に接合層70をそれぞれ配置した後、厚さ方向に熱と圧力を提供して接合し、前記転写段階S220においては、転写フィルム10のキャリア部材11を除去して接合層70の両面に第1シード層12と第2シード層13をそれぞれ転写する。
【0139】
前記のように、複数設けられる両面転写フィルム10の間にそれぞれ接合層70を配置し、基板の厚さ方向に熱と圧力を加えて接合した後、キャリア部材11を除去すると、一回の工程で接合層70の両面に第1シード層12と第2シード層13がそれぞれ積層されたキャリア基板を多数製造することができる。
【0140】
前記第1回路パターンの形成段階S230は、前記第1シード層12上に感光層20を形成する段階S231と、前記感光層20にパターン溝21を形成する段階S232と、前記パターン溝21を介して露出した第1シード層を除去する段階S233と、前記パターン溝21に導電性物質を充填する段階S234と、前記感光層を除去する段階S235と、感光層除去後に露出する残りの第1シード層をすべて除去する段階S236からなる。
【0141】
ここで、前記感光層を形成する段階S231と、パターン溝を形成する段階S232と、導電性物質を充填する段階S234及び感光層を除去する段階S235は、第1実施形態のシード層上に感光層を形成する段階(S121、
図2(b)参照)と、感光層上にパターン溝を形成する段階(S122、
図2(c)参照)と、パターン溝に導電性物質を充填する段階(S123、
図2(d)参照)と、感光層を除去する段階(S124、
図2の(e)参照)と同じ方法で行われるものであるので、これについての具体的な説明は省略する。
【0142】
前記パターン溝を介して露出した第1シード層を除去する段階S233においては、
図10(f)に示すように、感光層20に形成されたパターン溝21を介して露出する第1シード層12を除去する。このとき、前記第1シード層12を構成する第1導電性物質は、第2シード層13を構成する第2導電性物質と異なる材質からなるので、第1導電性物質を選択的に溶解させることができるエッチング溶液を用いて、第1シード層12を選択的に除去することができる。したがって、第1シード層12を除去する過程で、第2シード層13が損傷することを防止することができる。
【0143】
また、前記感光層除去後に露出する残りの第1シード層をすべて除去する段階S236においては、
図10(i)に示すように、外部に露出した第1シード層12を除去する。このときにも、前記第1シード層12を構成する第1導電性物質を選択的に溶解させることができるエッチング溶液を用いて、第1シード層12を除去することができる。したがって、第1シード層12を除去する過程で銅材質の第1回路パターン30と第2シード層13が損傷することを防止することができる。
【0144】
特に、本実施形態では、前記感光層20は、銀(Ag)材質の第1シード層12上に形成され、露光及び現像工程によってパターン溝21が形成される。このとき、銀(Ag)材質の第1シード層12が感光層20のUV硬化条件での反射効率が非常に良いので、具体的には、銀(Ag)が持っている基本的な自体特性として反射効率が高く、銀(Ag)の表面粗度が優れていることから、UV硬化条件で正反射効率が優れているため、真直度が向上してパターン溝21が非常に滑らかで均一であり、真直度が非常に優れた形態で形成することができる。
【0145】
一方、前記絶縁コア層及び金属層の形成段階S240、通電部の形成段階S250、第2回路パターンの形成段階S260は、第1実施形態の絶縁コア層及び金属層の形成段階(S130、
図3(f)参照)、通電部の形成段階(S140、
図3(g)参照)、第2回路パターンの形成段階(S150、
図3(h)参照)と同じ方法で行われるものであるので、これについての具体的な説明は省略する。
【0146】
前記剥離段階S270は、接合層除去段階S271と第2シード層の除去段階S272を含むことができる。
【0147】
前記接合層除去段階S271においては、
図11(m)に示すように、接合層70上に形成された第2シード層13と第1回路パターン30を絶縁コア層40に転写させるために、接合層70を第2シード層13から剥離する。
【0148】
続いて、第2シード層の除去段階S272においては、
図11(n)に示すように、絶縁コア層40の前記第1回路パターン30が形成された面から第2シード層13を除去する。このような第2シード層13は、ソフトエッチングなどの工程によって除去することができる。
【0149】
前記のような本実施形態によると、第1回路パターン30が絶縁コア層40の一面にパターン埋込型基板(embedded trace substrate;ETS)方式で形成された印刷回路基板を製造することができ、前記第1回路パターン30は、セミアディティブ法(Semi additive process;SAP)でも形成することができる。
【0150】
添付図面のうち、
図12~
図13は、本発明の第2実施形態の第1変形例に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【0151】
本発明の第2実施形態の第1変形例は、
図10及び
図11の第2実施形態と同一段階からなり、接合段階S211において、
図12(b)に示すように、一対の転写フィルム10の第2シード層13を接合層70の両面にそれぞれ接合し、転写段階S220において、
図12(c)に示すように、転写フィルム10のキャリア部材11を除去することによって、接合層70の両面に第1シード層12と第2シード層13がそれぞれ積層される点で
図10及び
図11の第2実施形態と差異を有する。
【0152】
一方、前記接合段階S211と転写段階S220を除いた残りの段階は、第2実施形態と同一であるため、同一段階についての具体的な説明は省略する。
【0153】
このような第2実施形態の第1変形例によると、転写段階S220以後、第1回路パターンの形成段階S230、絶縁コア層及び金属層の形成段階S240、通電部の形成段階S250、第2回路パターンの形成段階S260を接合層70の両面でそれぞれまたは同時に行った後、剥離段階S270を行うことによって、一回の工程によって一対の印刷回路基板を製造することができるので、生産効率を向上させることができる。
【0154】
添付図面のうち、
図14は、本発明の第2実施形態の第2変形例に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【0155】
本発明の第2実施形態の第2変形例は、転写フィルムを製造する段階S210、接合段階S211、転写段階S220、第1回路パターンの形成段階S230、絶縁コア層及び追加転写フィルムの接合段階S241、キャリア部材の剥離段階S242、金属層の形成段階S243、通電部の形成段階S250、第2回路パターンの形成段階S260、剥離段階S270を含む。
【0156】
ここで、前記転写フィルムを製造する段階S210、接合段階S211、転写段階S220、第1回路パターンの形成段階S230は、
図12に示された第2実施形態の第1変形例と同一になされるため、同一段階についての具体的な説明は省略する。
【0157】
前記絶縁コア層及び追加転写フィルムの接合段階S241においては、
図14(j)に示すように、第1回路パターン30上に絶縁コア層40と追加転写フィルム10を積層した後、接合する。
【0158】
前記絶縁コア層40は、ガラスエポキシに熱硬化樹脂が含浸されて半硬化状態で提供されるプリプレグ(Prepreg)シートや、ボンディングシートまたはホットメルト(Hot-melt)熱硬化樹脂などを用いることができる。
【0159】
前記追加転写フィルム10は、
図1(d)に示されたキャリア部材11、第1シード層12及び第2シード層13が順に積層された転写フィルム10を適用することができ、前記追加転写フィルム10の第2シード層13が絶縁コア層40と密着するように積層される。
【0160】
前記のように、絶縁コア層40に追加転写フィルム10を積層した後には、完全な接合のために、ホットプレス工程によって基板の厚さ方向に熱と圧力を同時に提供することができる。
【0161】
前記キャリア部材の剥離段階S242においては、
図14(k)に示すように、キャリア部材11を第1シード層12から剥離する。このとき、前記キャリア部材11と第1シード層12との結合力は、第1シード層12と第2シード層13との結合力または前記第2シード層12と絶縁コア層40との結合力に比べて相対的に低く設定されることが好ましい。第1シード層12からキャリア部材11を剥離すると、第1シード層12と第2シード層13が絶縁コア層40側に転写される。
【0162】
前記金属層の形成段階S243においては、
図14(k)に示すように、前記絶縁コア層40上に第2シード層13が積層され、第2シード層13上に第1シード層12が積層された状態で、第1シード層12上に金属層90を形成する。このような金属層90は、第2回路パターン51を形成するためのものであって、電気伝導率に優れた銅材質からなることができる。ここで、第1シード層12上に金属層90を形成したが、キャリア部材11の剥離後、絶縁コア層40上に第2シード層13が積層され、第2シード層13上に第1シード層12が積層された状態で、第1シード層12のみをエッチングすることができるエッチング溶液を用いて、第1シード層12のみをエッチング除去して、第2シード層13上に金属層90を形成することもできる。
【0163】
このように、
図14では、
図1(d)のキャリア部材11、第1シード層12、及び第2シード層13を含む転写フィルムを使用したが、
図1(a)に示されたキャリア部材11及び第1シード層12を含む追加転写フィルムを使用することができ、この場合に金属層90は、絶縁コア層40に転写された第1シード層12上に形成される。もちろん、
図14の前記絶縁コア層及び追加転写フィルムの接合段階S241において、
図1(b)、(c)及び(e)に示された転写フィルムを使用することもできる。
【0164】
一方、前記通電部の形成段階S250、第2回路パターンの形成段階S260、剥離段階S270は、第2回路パターン51が第2シード層13、第1シード層12及び金属層90で構成される点で第2実施形態と差異があるだけで、通電部60と第2回路パターン51を形成し転写フィルム10を剥離する過程は、
図13~
図14に示された第2実施形態の第1変形例と同一になされるため、同一段階についての具体的な説明は省略する。
【0165】
次に、本発明の第3実施形態に係る印刷回路基板の製造方法について説明する。
【0166】
添付図面のうち、
図15~
図16は、本発明の第3実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【0167】
図15~
図16に示されたような本発明の第3実施形態に係る印刷回路基板の製造方法は、コア基板を準備する段階S300、穿孔段階S330、回路パターン及び通電部の形成段階S340、第1シード層を除去する段階S350及び第2シード層を除去する段階S360を含む。
【0168】
前記コア基板を準備する段階S300は、転写フィルムを製造する段階S310、接合段階S311、転写段階S320を含み、このような工程によって絶縁コア層40の両面に第2シード層13及び第1シード層12がそれぞれ順に積層されたコア基板を製造することができる。
【0169】
ここで、前記転写フィルムを製造する段階S310は、第2実施形態の転写フィルムを製造する段階(S210、
図10(a)参照)と同一であるため、これについての具体的な説明は省略する。
【0170】
前記接合段階S311においては、
図15(b)に示すように、一対の転写フィルム10の第2シード層13を絶縁コア層40の両面にそれぞれ接合することができる。
【0171】
前記転写段階S320においては、
図15(c)に示すように、前記転写フィルム10のキャリア部材11を除去することによって、絶縁コア層40の両面に第1シード層12と第2シード層13がそれぞれ積層されたコア基板CSを設ける点で
図10及び
図11の第2実施形態と差異を有する。
【0172】
一方、前記接合段階S311と転写段階S320は、絶縁コア層40の両面に第1シード層12と第2シード層13をそれぞれ転写する点で
図10及び
図11の第2実施形態と差異があるだけで、接合する方法と転写する方法は、第2実施形態の接合段階(S211、
図10(b)参照)と転写段階(S220、
図10(c)参照)と同一であるため、これについての具体的な説明は省略する。
【0173】
前記穿孔段階S330においては、
図15(d)に示すように、絶縁コア層40及びその両面にそれぞれ積層されている第1シード層12及び第2シード層13を貫通するビアホール(Via Hole,V)を形成する。このようなビアホールVは、層間接続のために形成されるものであって、機械的な穴あけ(drilling)工程やレーザーを用いた穴あけ工程などによって形成することができる。
【0174】
前記回路パターン及び通電部の形成段階S340においては、
図16(e)~(i)に示すように、第1シード層12の外表面とビアホールVの内壁面に導電膜Cを形成する段階S341と、前記第1シード層12上にそれぞれ感光層20を形成する段階S342と、前記感光層20を部分的に除去して前記ビアホールVが形成された部分と第1回路パターン30と第2回路パターン51が形成される部分にパターン溝21を形成する段階S343と、前記パターン溝21とビアホールVに導電性物質を充填して第1回路パターン30と第2回路パターン51を形成すると同時に、前記ビアホールVに通電部60を形成する導電性物質の充填段階S344及び前記感光層を除去する段階S345を含む。
【0175】
前記導電膜を形成する段階S341においては、
図16(e)に示すように、第1シード層12の外表面とビアホールの内壁面に無電解銅メッキ工程によって導電膜Cを形成する。ここで、導電膜Cを無電解メッキによって形成したが、電解メッキによって形成することもでき、また他の方法としては、金属ペーストをプリンティングして形成することができる。一例として、ビアホールVの内壁に銀(Ag)ペーストをプリンティング(printing)して形成することもできる。
【0176】
前記感光層を形成する段階S342においては、
図16(f)に示すように、前記導電膜C上に感光層20を形成する。感光層を形成する段階S342においては、一般的な感光性ドライフィルム(Dry Film)を合紙して進行する方法と感光性エッチング(Photo Etching)レジストインクを塗布して形成する方法など、この技術分野で広く知られている工程によって感光層を形成することができる。
【0177】
前記パターン溝を形成する段階S343においては、
図16(g)に示すように、露光及び現像工程などによって感光層20を部分的に除去して、第1回路パターン30と第2回路パターン51が形成される部分にパターン溝21を形成する。
【0178】
前記導電性物質の充填段階S344においては、
図16(h)に示すように、電解メッキ工程によって電気伝導率に優れた銅のような導電性物質を前記パターン溝21を介して露出した導電膜Cの外面にメッキして、第1回路パターン30と第2回路パターン51を形成すると同時に、前記ビアホールVの内壁面にメッキして第1回路パターン30と第2回路パターン51を電気的に連結する通電部60を形成する。ここで、前記導電性物質の充填段階S344は、電解メッキ工程によって第1回路パターン30と第2回路パターン51及び通電部60を形成するものとして例を挙げて説明したが、無電解メッキによって形成することもできる。また他の方法としては、金属ペーストをプリンティングして、第1及び第2回路パターン30,51と通電部60を形成することもできる。
【0179】
前記感光層の除去段階S345においては、
図16(i)に示すように、前記導電膜C上に形成された感光層20を剥離して除去する。
【0180】
前記第1シード層を除去する段階S350においては、
図16(j)に示すように、感光層20の剥離後、第1回路パターン30と第2回路パターン51が形成されていない部分を介して露出した第1シード層12を除去する。一方、第1シード層12を除去するに先立ち、フラッシュエッチング(Flash etching)やソフトエッチング(Soft etching)などの工程によって、第1シード層12の表面に形成された銅材質の導電膜Cを除去する工程を追加で行うことができる。ここで、導電膜C及び第1シード層12をそれぞれ順次的にエッチングすることもでき、共に1回の工程でエッチングすることもできる。
【0181】
一方、前記第1シード層12は、第1回路パターン30及び第2回路パターン51を構成する第2導電性物質と異なる第1導電性物質で構成されるので、第1導電性物質を選択的に溶解させることができるエッチング溶液を用いて、第1シード層12を除去することができる。この場合、第1シード層12を除去する過程で、第1回路パターン30と第2回路パターン51が損傷することを防止することができる。
【0182】
前記第2シード層を除去する段階S360においては、
図16(k)に示すように、前記第1シード層12の除去後に露出する第2シード層13を除去する。前記第2シード層13を除去するために、フラッシュエッチング(Flash etching)やソフトエッチング(Soft etching)などの方法を用いることができる。
【0183】
前記のような本実施形態によると、両面に第1回路パターン30と第2回路パターン51が形成され、第1回路パターン30と第2回路パターン51が通電部80を介して電気的に連結される両面印刷回路基板100を製造することができる。
【0184】
また、
図16(k)に示すように、第1回路パターン30と第2回路パターン51が両面に形成された印刷回路基板100は、多層印刷回路基板のコア回路基板として使用することができ、ビルドアップ層を形成する段階によって、コア回路基板の両面に単層または多層のビルドアップ層を形成することができる。
【0185】
一方、本実施形態では、
図1(d)に示されたキャリア部材11、第1シード層12及び第2シード層13で構成された転写フィルム10を用いて、印刷回路基板を製造するものとして例を挙げて説明したが、
図1(a)に示されたキャリア部材11及び第1シード層12で構成された転写フィルム10や、
図1(e)に示されたキャリア部材11、接着調節層14、第1シード層12及び第2シード層13で構成された転写フィルム10を用いて、印刷回路基板を製造することも可能である。
図1(a)に示された転写フィルム10を用いて、印刷回路基板を製造する場合には、転写フィルム10に第2シード層13が存在しないため、前記第2シード層を除去する段階S360を省略することができる。
【0186】
また、前記第1シード層12は、エッチング速度が互いに異なる2層以上に形成することができ、上部第1シード層12aは、下部第1シード層12bよりも速いエッチング速度と低い抵抗の特性を有する層で具現されることが好ましい。
【0187】
添付図面のうち、
図17~
図18は、本発明の第3実施形態に係る印刷回路基板の製造方法のビルドアップ層の形成段階を示す工程別断面図である。
【0188】
このようなビルドアップ層を形成する段階は、
図17~
図18に示すように、前記第1回路パターン30と第2回路パターン51上に絶縁層81及び追加シード層82を形成する段階S371と、前記第1回路パターン30と第2回路パターン51の一部が露出するように、前記追加シード層82と絶縁層81を貫通するビアホールVを形成する段階S372と、前記追加シード層82の外表面及びビアホールVの内壁面に導電膜83を形成する段階S373と、前記導電膜83上に感光層84を形成する段階S374と、前記感光層84にパターン溝84aを形成する段階S375と、前記パターン溝84aを介して露出した部位に導電性物質を充填して回路パターン85を形成する導電性物質の充填段階S376と、前記感光層84を除去する段階S377及び前記回路パターン85が形成されていない部分を介して露出した追加シード層82を除去する段階S378を含む。
【0189】
前記絶縁層及び追加シード層を形成する段階S371においては、
図17の(a)に示すように、前記第1回路パターン30と第2回路パターン51上に絶縁層81と、追加シード層82を順に積層した後、接合する。
【0190】
前記絶縁層81は、ガラスエポキシに熱硬化樹脂が含浸されて半硬化状態で提供されるプリプレグ(Prepreg)シートや、ボンディングシートまたはホットメルト(Hot-melt)熱硬化樹脂などを用いることができる。また、絶縁層81と追加シード層82を積層した後には、完全な接合のために、ホットプレス工程によって基板の厚さ方向に熱と圧力を同時に提供することができる。
【0191】
前記追加シード層82は、1~5μm厚さの銅(Cu)薄膜からなることができる。
【0192】
前記ビアホールを形成する段階S372においては、
図17(b)に示すように、前記追加シード層82と絶縁層81を貫通するビアホールVを形成する。このようなビアホールVの形成後には、ビアホールVを介して第1回路パターン30と第2回路パターン51の一部が露出するようにすることができる。
【0193】
前記導電膜を形成する段階S373においては、
図17(c)に示すように、前記追加シード層82の外表面と前記ビアホールVの内壁面にメッキ工程によって導電膜83を形成する。ここで、電解メッキ工程または無電解メッキ工程によって導電膜83を形成することが好ましくあり得るが、スクリーン印刷、インクジェットを単独で行ったり、これらの中で選択して2種以上の方法を共に使用して形成することもできる。
【0194】
前記感光層を形成する段階S374においては、
図17(d)に示すように、前記導電膜83上に感光層84を形成する。感光層84は、導電膜83上に回路パターンを形成するための事前段階である。感光層を形成する段階S374においては、一般的な感光性ドライフィルム(Dry Film)を合紙して進行する方法と感光性エッチング(Photo Etching)レジストインクを塗布して形成する方法など、この技術分野で広く知られている工程によって感光層を形成することができる。
【0195】
前記パターン溝を形成する段階S375においては、
図18(e)に示すように、露光及び現像工程などによって感光層84を部分的に除去して回路パターンが形成される部分にパターン溝84aを形成する。
【0196】
前記導電性物質の充填段階S376においては、
図18(f)に示すように、電解メッキ工程によって電気伝導率に優れた銅のような導電性物質を前記パターン溝84aに充填させて回路パターン85を形成すると同時に、前記回路パターン85がビアホールVを介して露出した下部の第1回路パターン30または第2回路パターン51と電気的に連結されるようにする。導電性物質を充填するためのまた他の方法としては、金属ペーストをプリンティングする方法を用いることができる。またはコーティング、スクリーン印刷、電解メッキ、無電解メッキ、インクジェットを単独で行ったり、これらの中で選択して2種以上の方法を共に使用して形成することもできる。
【0197】
前記感光層を除去する段階S377においては、
図18(g)に示すように、前記導電膜83上に形成された感光層84を剥離して除去する。
【0198】
前記追加シード層を除去する段階S378においては、
図18(h)に示すように、前記感光層84の除去後に回路パターン85が形成されていない部分を介して露出した導電膜83と追加シード層82を除去する。前記導電膜83と追加シード層82は、同一の銅材質からなるので、フラッシュエッチング(Flash etching)やソフトエッチング(Soft etching)などの方法によって、前記導電膜83と追加シード層82を同時に除去することができる。もちろん、順次的にそれぞれ除去することも可能である。
【0199】
添付図面のうち、
図19~
図20は、本発明の第3実施形態の第1変形例に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【0200】
本発明の第3実施形態の第1変形例では、前述した第3実施形態と同じく、コア基板を準備する段階S300、穿孔段階S330、回路パターン及び通電部の形成段階S340、第1シード層を除去する段階S350及び第2シード層を除去する段階S360を含み、前記コア基板を準備する段階S300の転写フィルムを製造する段階S310において、
図1(e)に示された転写フィルム10が製造される点で
図15及び
図16の第3実施形態と差異がある。
【0201】
すなわち、転写フィルムを製造する段階S310において、転写フィルム10は
図19(a)に示すように、キャリア部材11、接着調節層14、第1シード層12及び第2シード層13が順に積層された形態で構成することができる。すなわち、本実施形態では、
図1(e)に示された転写フィルム形態で製造して使用することができる。
【0202】
前記のように構成された転写フィルム10は、
図19(b)に示すように、接合段階S311によって絶縁コア層40の両面にそれぞれ接合することができ、転写フィルム10のキャリア部材11と接着調節層14は、
図19(c)に示すように、転写段階S320によって第1シード層12から除去することができる。具体的には、転写段階S320においては、キャリア部材11に物理的な力を加えてキャリア部材11を第1シード層12から剥離することができ、この過程で接着調節層14は、キャリア部材11と共に第1シード層12から剥離することができる。
【0203】
このように、コア基板を準備する段階S300においては、転写フィルムを製造する段階S310と接合段階S311及び転写段階S320によって絶縁コア層40の両面に第2シード層13と第1シード層12がそれぞれ順に積層されたコア基板CSを設けることができる。
【0204】
一方、前記コア基板を準備する段階S300以後に行われる穿孔段階S330、回路パターン及び通電部の形成段階S340、第1シード層を除去する段階S350及び第2シード層を除去する段階S360は、前述した
図15~
図16の第3実施形態と同一であるため、これについての具体的な説明は省略する。
【0205】
次に、本発明の第4実施形態に係る印刷回路基板の製造方法について説明する。
【0206】
添付図面のうち、
図21~
図22は、本発明の第4実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【0207】
図21~
図22に示されたような本発明の第4実施形態に係る印刷回路基板の製造方法は、コア基板を準備する段階S400、第1シード層を除去する段階S450、穿孔段階S430、回路パターン及び通電部の形成段階S440と、第2シード層を除去する段階S460を含み、前記コア基板を準備する段階S400は、転写フィルムを製造する段階S410と接合段階S411及び転写段階S420を含む。
【0208】
本発明の第4実施形態に係る印刷回路基板の製造方法は、
図21に示すように、転写段階S420以後に第1シード層を除去する段階S450を行う点で前述した
図15~
図16の第3実施形態と差異を有する。
【0209】
すなわち、前述した第3実施形態では、回路パターン及び通電部の形成段階(S340、
図16(e)~(i)参照)によって第1回路パターン30と第2回路パターン51を形成した後、第1シード層の除去段階(S350、
図16(j)参照)で外部に露出した第1シード層12を除去するものと異なり、第4実施形態では、転写段階S420以後に第1シード層を除去する段階S450を行うことによって、第1回路パターン30と第2回路パターン51を形成するに先立ち、第1シード層12の全体を除去する差異がある。従って、第3実施形態を示した
図16(k)で第1シード層12の一部が回路の内側に内蔵されているものと異なり、第4実施形態では、
図22(j)で第1シード層12が回路の内側に内蔵されていないという差異がある。一方、第1回路パターン30と第2回路パターン51を形成するに先立ち、第1シード層12の全体を除去するため、例えば、銀(Ag)材質の第1シード層12を回収して再活用できることによって製造コストを節減し、環境問題の発生を防止することができるようになる。
【0210】
前記コア基板を準備する段階S400においては、
図21(a)~(c)に示すように、転写フィルムを製造する段階S410、接合段階S411、転写段階S420によって絶縁コア層40の両面に第2シード層13及び第1シード層12がそれぞれ順に積層されたコア基板CSを製造することができる。
【0211】
続いて、前記第1シード層の除去段階S450においては、
図21(d)に示すように、キャリア部材11の剥離後に露出した第1シード層12をエッチングなどの方法で除去することができる。このとき、前記第1シード層12は、第2シード層13と異なる第1導電性物質で構成されるため、第1導電性物質を選択的に溶解させることができるエッチング溶液を用いて、第1シード層12を除去することができる。したがって、第1シード層12を除去する過程で、第2シード層13が損傷することを防止することができる。
【0212】
このように転写フィルムを製造する段階S410、接合段階S411、転写段階S420及び第1シード層の除去段階S450によって、例えば銅第2シード層13をキャリア部材11に直接形成することなく、平滑度が良い、例えば銀(Ag)第1シード層12の上に形成し、既存の酸洗、ソフトエッチングの代りに第2シード層13と異なる第1導電性物質の第1シード層12を選択的にエッチングして除去することによって、第2シード層13の優れた平滑度を確保した状態と、第1シード層12によって一面がカバー、保護されて絶縁コア層40に転写することによって、第2シード層13が既存の方式で汚染され酸化されていたことが解決された状態で、回路を形成するその後の工程が進むにつれて、非常に滑らかかつ均一で真直度に優れた微細第1及び第2回路パターン30,51を容易に具現することができることになる。すなわち、微細な回路パターンを非常に容易に具現することができるようになる。また、前述したように、例えば、銅第2シード層13が平滑度が良いので、銅の正反射で高いレゾリューション(resolution)を具現することができるようになる。
【0213】
一方、第4実施形態の穿孔段階S430、回路パターン及び通電部の形成段階S440は、第3実施形態の穿孔段階(S330、
図15(d)参照)、回路パターン及び通電部の形成段階(S340、
図16(e)~(i)参照)と同一の方法で行われるので、同一の段階についての具体的な説明は省略する。
【0214】
前記第2シード層を除去する段階S460においては、
図22(j)に示すように、感光層20の除去後に露出した第2シード層13を除去する。前記第2シード層13を除去するために、フラッシュエッチング(Flash etching)やソフトエッチング(Soft etching)などの方法を用いることができる。一方、前記第2シード層13上に形成された銅箔層(c)は、第2シード層13と同一の銅材質からなるので、第2シード層13を除去する過程で、第2シード層13と共に除去することができる。このように、本実施形態では、第1シード層の除去段階S450で第1シード層12を除去した後、穿孔段階S430を行うため、第2シード層を除去する段階S460で第1シード層12が存在しなくなる。すなわち、第2シード層13及び銅箔層(c)と同じ物質であるため、1回のエッチングで一度に除去できるに伴い、製造工数を減らすことができ、製造コスト及び生産性を向上させることができるようになる。
【0215】
一方、本実施形態では、
図1(d)に示されたキャリア部材11、第1シード層12及び第2シード層13で構成された転写フィルム10を用いて、印刷回路基板を製造するものとして例を挙げて説明したが、
図1(e)に示されたキャリア部材11、接着調節層14、第1シード層12及び第2シード層13で構成された転写フィルム10を用いて印刷回路基板を製造することも可能である。
【0216】
添付図面のうち、
図23~
図24は、本発明の第4実施形態に係る印刷回路基板の製造方法のビルドアップ層の形成段階を示す工程別断面図である。
【0217】
図23~
図24に示すように、第4実施形態で製造された両面印刷回路基板100は、コア回路基板として使用することができ、第3実施形態で説明したビルドアップ層を形成する段階(
図17及び
図18)と同一の方法で両面印刷回路基板100の第1回路パターン30及び第2回路パターン51上に単層または多層のビルドアップ層を形成することができる。このようなビルドアップ層を形成する過程S461~S468は、第3実施形態のビルドアップ層の形成段階と同一であるため、これについての具体的な説明は省略する。
【0218】
添付図面のうち、
図25は、本発明の第3及び第4実施形態に係る印刷回路基板の製造方法のコア基板を製造する段階を示す工程別断面図である。
【0219】
第3実施形態のコア基板(CS、
図15(c)参照)と、第3実施形態の第1変形例のコア基板(CS、
図19(c)参照)及び第4実施形態のコア基板(CS、
図21(c)参照)は、
図25に示すように、コア基板を製造する段階によって製造することができる。
【0220】
このようなコア基板を製造する段階は、転写フィルムを製造する段階S11と接合段階S12及び転写段階S13を含む。
【0221】
具体的には、前記転写フィルムを製造する段階S11においては、
図25(a)に示すように、表面平滑度に優れたキャリア部材11の両面に銀(Ag)材質からなる第1シード層12をそれぞれ形成し、前記第1シード層12上に銅(Cu)材質からなる1~5μm厚さの第2シード層13をそれぞれ形成して両面転写フィルム10を製造することができる。
【0222】
このような転写フィルムを製造する段階S11は、キャリア部材11の両面に第1シード層12と第2シード層13をそれぞれ形成する点で第3実施形態の転写フィルムを製造する段階(S310、
図15(a)参照)と差異があるが、キャリア部材11の表面に、第1シード層12及び第2シード層13を順に形成する過程は、第3実施形態と同一であるため、これについての具体的な説明は省略する。
【0223】
続いて、前記接合段階S12においては、
図25(b)に示すように、複数の両面転写フィルム10の間に絶縁コア層40をそれぞれ配置した後、厚さ方向に熱と圧力を提供して接合し、前記転写段階S13においては、
図25(c)に示すように、転写フィルム10のキャリア部材11を除去して絶縁コア層40の両面に第1シード層12と第2シード層13をそれぞれ転写する。
【0224】
ここで、前記絶縁コア層40は、第3実施形態の絶縁コア層40と同一の材質からなり、前記接合段階S12及び転写段階S13は、第3実施形態の接合段階(S311、
図15(b)参照)及び転写段階(S320、
図15(c)参照)と同一の方法で行われるため、これについての具体的な説明は省略する。
【0225】
前記のように、複数設けられる両面転写フィルム10の間にそれぞれ絶縁コア層40を配置し、基板の厚さ方向に熱と圧力を加えて接合した後、キャリア部材11を除去すると、絶縁コア層40の両面に第1シード層12と第2シード層13がそれぞれ積層されたコア基板CSを設けることができる。
【0226】
例えば、
図25(b)に示すように、4つの両面転写フィルム10の間に絶縁コア層40をそれぞれ接合した後、
図25(c)に示すように、キャリア部材11を除去すると、3つのコア基板CSを製造することができる。
【0227】
すなわち、単面転写フィルム10を用いて、3つのコア基板CSを製造する場合には、6つの単面転写フィルムが要求されるのはもちろんのこと、それぞれの製造工程によって、コア基板CSを1つずつのみ製造することができるが、前記のように両面転写フィルム10を用いる場合には、4つの両面転写フィルム10で3つのコア基板CSを同時に製造することができる。
【0228】
一方、本実施形態では、4つの両面転写フィルム10を用いて3つのコア基板CSを製造するものとして例を挙げて説明したが、接合段階S12での接合環境に応じて、より多くの両面転写フィルム10を用いて、コア基板CSを製造することも可能である。
【0229】
したがって、一回の製造工程によって、多数のコア基板を製造することができるため、生産性の向上及び製造工程の簡素化をなすことができ、単面転写フィルムを用いることに比べて、キャリア部材の消費を節減することができる。
【0230】
本発明の権利範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲内で様々な形態の実施形態で具現することができる。特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも変形可能な多様な範囲まで本発明の請求範囲の記載の範囲内にあるものとみなす。
【符号の説明】
【0231】
10:転写フィルム 11:キャリア部材
12:第1シード層 13:第2シード層
14:接合調節層 20:感光層
21:パターン溝 30:第1回路パターン
40:絶縁コア層 50,90:金属層
51:第2回路パターン 60:通電部
70:接合層 81:絶縁層
82:追加シード層 83:導電膜
84:感光層 84a:パターン溝
85:回路パターン C:導電膜
V:ビアホール CS:コア基板