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特許7045489誘導性センシングに使用する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】誘導性センシングに使用する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
A61B5/11 110
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020567897
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019065797
(87)【国際公開番号】W WO2019243213
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】18178261.6
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ドーデマン ヘラルドス ヨハネス ニコラース
(72)【発明者】
【氏名】クレイネン マーク ペーター パウル
(72)【発明者】
【氏名】レイッセン ヤコブス ヨセフュス
(72)【発明者】
【氏名】フロスフェルト ロニー フベルトス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ペータース ウーテル ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ベゼメール リック
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02275028(EP,A1)
【文献】特表2015-507945(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0042437(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0218180(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0085130(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0330143(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0148409(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0234818(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0197832(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0084943(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05 - 5/0538
A61B 5/24 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に出入りする電磁信号を誘導的に結合するための、誘導性センシングで使用するための装置であって、
少なくとも第1のループ部及び第2のループ部を含むアンテナであって、各ループ部は、前記第1のループ部のための第1の共振周波数と前記第2のループ部のための、前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数とを規定するために、個別のコンデンサと結合され
前記第1及び第2のループ部は、前記ループ部を駆動するための共通の駆動信号を受信するための共有の入力接続に共同で接続される、アンテナと、
前記共有の入力接続に接続され、前記第1及び第2の共振周波数のそれぞれにおいて選択的に前記共通の駆動信号を提供するように動作可能な駆動回路であって、前記第1及び第2の共振周波数の1つ又は他の1つにおいて前記アンテナが選択的に駆動される、駆動回路と、
前記第1及び第2の共振周波数の間で前記駆動回路のスイッチングを実現する制御手段と
を有し、
前記アンテナは、前記第1及び第2のループ部の一部を形成する少なくとも1つの共有ループ部を有し、前記第1及び第2のループ部は前記共有ループ部を介して接続されている、装置。
【請求項2】
各ループ部が、単一のターンループにより形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記共有ループ部の端子が、前記アンテナの共有入力接続を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御手段が、少なくとも1つの制御モードにおいて、前記駆動回路を前記第1及び第2の共振周波数の間で交互に切り替える、請求項1乃至のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のループ部が、重なり合わない個別の内部領域を規定する、請求項1乃至のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記アンテナが、前記第1及び第2のループ部が共通平面を占めるよう構成される、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、前記アンテナの両方のループ部を接地するために、前記アンテナと電気的に結合された平面状の接地板要素を有する、請求項1乃至のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記第1及び第2のループ部がそれぞれ、個別の内部領域を画定し、前記平面状の接地板要素は、前記接地板要素を介して少なくとも1つの開口部を画定し、前記開口部が、前記内部領域の一方又は両方の主要部分を横切って延びる平面領域を持つ、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記平面状の接地板要素が、両内部領域の主要部分を横切って延びる単一の開口部を有する、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記接地板要素が、間隔をあけて配置された2つの開口部を有し、好ましくは、各開口部は、前記内部領域の異なるそれぞれの主要部分を横切って延びる領域を持つ、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記接地板要素が、電磁波シールド機能を実行する、請求項8乃至10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、前記アンテナで受信した信号に関連付けられた1つ又は複数の信号特性を得る信号処理手段を有する、請求項1乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記装置が、対象の身体の1つ又は複数のパラメータを感知する生理学的誘導センシング装置である、請求項1乃至12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
誘導信号生成方法において、
2つの異なる共振周波数で電磁信号を媒体に結合するステップと、
アンテナを利用するステップであって、前記アンテナが、
少なくとも第1のループ部と第2のループ部とを含み、各ループ部は、前記第1のループ部のための第1の共振周波数と前記第2のループ部のための、前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数とを規定するために、個別のコンデンサと結合され
前記第1及び第2のループ部は、前記第1及び第2のループ部を駆動するための駆動信号を受信するための共有の入力接続に共同で接続される、ステップと、
それぞれの共振周波数で前記アンテナを駆動するステップであって、前記駆動が、前記第1及び第2の共振周波数の間で切り替えるステップを含む、ステップと
を有し、
前記アンテナは、前記第1及び第2のループ部の一部を形成する少なくとも1つの共有ループ部を有し、前記第1及び第2のループ部は前記共有ループ部を介して接続されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体へ出入りする電磁信号を結合するための誘導性センシングで使用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導性センシングは、身体の特性を非侵襲的に調査する手段として使用されることができる。
【0003】
用途の1つの有利な分野において、誘導性センシングは、生理学的特性、特に心臓及び肺のダイナミクスを非侵襲的に調査する手段として使用されることができる。誘導性センシングは磁気誘導に基づかれ、導電性及び容量性センシングに比べていくつかの利点がある。
【0004】
バイオインピーダンス測定などの導電性センシングと比較した場合の利点は、接着電極が不要であることであり、センシングは、接触なしに、並びに/又は織物及びプラスチックなどの非導電性材料を介して行われることができる。更に、誘導性センシング信号は、モーションアーチファクトによる破損の影響を著しく受けにくい。
【0005】
容量性センシングと比較した場合の利点は、誘導性センシングが電場ではなく磁場に基づかれることであり、その結果、皮膚レベルで発生するものとは対照的に、体内のより深い浸透深さでの変化に敏感であることである。これは、磁場が電場よりも体の奥深くまで浸透するからであり、磁場は、体の奥深くでの特性の変化を測定するのに使用されることができる一方、電場は、皮膚の特性(例えば誘電率)の変化又は皮膚の動き(皮膚の近接性)などの皮膚の表面での効果を測定するためだけに主に有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コイルベースの誘導センサは、電磁信号(即ち、電磁波又は振動)と誘導的に結合することにより機能し、コイルを介した信号の伝播は、コイルを介した電流の変化をもたらし、これは測定され、伝播された信号の特性(例えば、周波数スペクトル、振幅及び位相パターンを含む)を感知するために使用されることができる。
【0007】
電磁励起信号は、調査対象となる体内に伝播されることができる。励起電磁信号は、体内に磁気誘導、即ち外部磁場の適用による体内組織における渦電流の生成をもたらす。これらの渦電流は次に、身体の外に伝播される電磁信号を生成し、これは、コイルにより感知されることを可能にする態様で適用された磁場と相互作用する。
【0008】
体内の組織の動きは、組織の局所領域の体積の変化、及び組織の導電特性又は誘電特性の変化で顕在化することができる。これらの変化はその後、電磁刺激に基づき体外に放出される電磁信号の振幅及び/又は位相変調を引き起こす。これらの変化をモニタリングすることで、体内の要素の動き及び大きさの変化が検出及び追跡されることができ、導電性及び誘電特性の変化が追跡されることができる。例えば、心臓の収縮は主に血液の動きとして現れ、呼吸は主に肺の導電性の変化として現れます。
【0009】
体内の異なる構造は、異なる周波数での電磁刺激に敏感である。これは特に、構造体の寸法だけでなく、その材料特性、例えば導電特性にも依存する。例えば、高周波数測定は、主に皮膚に対して感度が高く(及び従って、動きに対しても感度が高い)、一方、中周波信号及び/又は低周波信号は、心臓及び/又は肺に対して最適化された感度を有している(しかし、動きに対しても感度が高い)。更に、異なる周波数は、体内の異なる深さでの刺激を可能にする。
【0010】
従って、2つ以上の周波数で媒体を刺激することができる誘導性センシング装置が有利である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、請求項により規定される。
【0012】
本発明者らが考えた一つの解決策は、異なる周波数でアンテナを駆動するよう動作可能な適応的駆動機構を使用することでる。しかしながら、斯かる装置では、高周波動作モードが弱い磁場しか生成することができないことがわかっている。これは、センシングの分解能が低下することを意味する。
【0013】
より詳細には、1つのアンテナコイルが複数の周波数で作動される場合、高周波数の発振モードは、必然的に差動モード又はコモンモードのいずれかであることが本発明者らにより認識される。いずれの場合も、これらのモードで作動するアンテナは、強力な(電気的な)ダイポールアンテナとして作動する。この挙動は、誘導性センシングには好ましくない。なぜなら、プローブされる身体との容量性結合に対してアンテナが非常に敏感になるためである。これは、体内から発せられる(標的の)誘導性感知信号にノイズを発生させる表面効果である。これは、感知された誘導信号の強度を低下させ、その結果、得られた測定値の精度を低下させる。
【0014】
複数の誘導周波数でセンシングするための改良された誘導センシングデバイスが求められる。
【0015】
本発明の一側面による例によれば、媒体に出入りする電磁信号を誘導的に結合するための、誘導性センシングに使用するための装置が提供され、この装置は、
少なくとも第1のループ部と第2のループ部とを含むアンテナであって、各ループ部は、第1のループ部のための第1の共振周波数と第2のループ部のための第2の共振周波数とを規定するために、それぞれのコンデンサと結合され、上記共振周波数が異なり、
2つのループ部が、両方のループ部を駆動するための駆動信号を受信する共有の入力接続に共同で接続される、アンテナと、
入力接続に接続され、各共振周波数でアンテナを駆動するよう構成された駆動回路と、
上記2つの周波数の間で上記駆動回路のスイッチングを実行するよう構成された制御手段とを有する。
【0016】
この装置は、実質的には、プローブされた媒体中の渦電流の生成を刺激するための電磁信号を生成する信号生成装置である。渦電流により誘導される二次電磁信号がアンテナに戻るとき、いくつかの実施形態において、これらは、例えば結合された信号生成回路により検出されることができる。こうして、信号生成装置が提供されることができる。
【0017】
本発明は、二重ループ構造に基づかれる。2つの異なるループ部が提供され、それぞれが異なる共振周波数で構成されるが、2つの部分は1つの入力フィードにより供給される。これは、アンテナが単一のループ部のみで構成される場合と同様に、両ループ部に供給する単一の駆動線を供給してアンテナが作動されることができる。しかしながら、2つの共振周波数の間で供給周波数を変化させるだけで、2つのループ部の異なる方が共振するよう誘導されることができる。これは、単一のアンテナが、2つの異なる周波数で共振することが選択的に可能であり、それ故に、2つの異なる周波数で比較強度の信号を生成することが可能であることを意味する。第1の周波数では、第1のループ部が信号強度の寄与の大部分を提供し、第2の周波数では、第2のループ部が信号強度の寄与の大部分を提供する。各ループ部は、こうして別個のアンテナ(又は別個の共振器)として効果的に機能するが、共通の駆動信号入力で電気的に結合されている。
【0018】
従って、2つの周波数の一方の周波数の場強度を損なうことなく、多周波数信号の生成が可能である。
【0019】
上記駆動回路は、上記共振周波数の1つ又は他の周波数で共通の駆動信号を一度に提供するように動作可能である。
【0020】
ループ部の異なる共振周波数の間で共通の駆動信号の周波数を選択的に切り替えることにより、これは、異なるループ部のどちらが所与の時間に(主に)アクティブであるか(即ち、どちらが共振で発振しているか)を切り替える。
【0021】
この装置は、電磁励起信号の媒体への伝播に基づき、媒体から放出される電磁信号を感知するための有利な用途を見出す。励起信号は、アンテナを共振周波数のいずれかの周波数で共振させることで生成されることができる。体のような媒体に近接してアンテナを保持すると、信号は媒体に誘導的に結合され、誘導された電磁応答信号は(典型的には同時に)戻って結合される。この相互結合は、刺激された媒体の特性を導出するために検出されることができるコイル内の電流の電気的特性の変化を誘導する。
【0022】
装置は、制御手段を有する。いくつかの実施形態では、駆動回路自体が制御手段を有してもよく、即ち、駆動回路は、スイッチング機能を実現するための統合制御回路、制御ユニット、又はプロセッサを有してもよい。
【0023】
上記制御手段は、所定の制御プログラム又は制御スケジュールに基づき、2つの共振周波数間の駆動回路の切り替えを実現するよう構成されていてもよい。これは例えば、ローカルメモリ又はリモートメモリに格納されていてもよい。
【0024】
本書で論じられる例は、主に、2つのループ部を有する例示的な配置に関連している。しかしながら、本発明による更なる例は、2つ以上のループ部(即ち、3つ以上のループ部)を有してもよく、それぞれが、そのループ部のためにそれぞれ異なる共振周波数を規定する個別のコンデンサを含む。これは、単一のアンテナが3つ以上の異なる周波数で動作することを可能にし、必要に応じて周波数の数は拡張可能である。
【0025】
この場合の3つ以上のループ部の各々は、同様に、全てのループ部を駆動するための駆動信号を受信するための上記共有入力接続部に接続され、この場合の制御手段は、3つ以上の周波数の間で駆動回路のスイッチングを実現するよう構成される。
【0026】
第1及び第2のループ部は、共通の入力接続部に電気的に接続され、例えば、共通の入力接続部に導電的に結合される。
【0027】
好ましくは、上記2つのループ部は、(上記共有入力接続部に)電気的に並列に接続される。
【0028】
駆動回路は、共通入力接続部に電気的に接続され、例えば、導電性線により共通入力接続部に導電的に結合される。
【0029】
各ループ部の共振周波数は、ループが共振する現在の周波数を意味する。
【0030】
各ループ部は、閉ループ部であってもよく、即ち、各ループ部は、それぞれの閉ループを形成又は規定する。これらのそれぞれの閉じたループは別個になっている。しかしながら、異なるループ部を規定する線は、1つ又は複数の共有ループ部により部分的に形成されてもよい。
【0031】
各ループ部は、アンテナ(回路)の別の回路分岐部を形成している。両方のループ部は、共通のグランドに接続されていてもよい。
【0032】
各ループ部は、1ターンループで形成されていてもよい。巻線の数を少なくすることは、ワイヤ間の容量性の影響を最小化する。しかしながら、単一の巻線は必須ではなく、他の例では、一方又は両方のループ部は、より多くの巻線を有してもよい。
【0033】
各ループ部は、それぞれ別個の内部領域を規定する。第1及び第2のループ部は、それぞれの内部領域を規定するか、又は境界設定(bound)してもよい。2つのループは例えば、互いに隣接して配置されていてもよい。内側領域は、ループに囲まれた内側の開放領域を意味する。
【0034】
アンテナは、各ループ部の一部を形成する少なくとも1つの共有ループ部を含んでいてもよい。こうして、2つのループ部は共有ループ部により結合される。
【0035】
共有ループ部の端子は、駆動信号を受信するためのアンテナの共有入力接続部を形成してもよい。共有ループ部に駆動信号を供給することで、両ループ部が同時に供給される。
【0036】
第1及び第2ループ部は、それぞれ同軸線により形成されていてもよく、即ち、それぞれが1つ又は複数の同軸線のループにより形成される。線は、ループの信号キャリア線、例えばワイヤを意味する。この場合の各ループ部は、内側コア線部と、同軸的に周囲を取り囲む管状の外側線部とを有する。内側コア導体部と外側周囲導体部との間で交互信号が駆動される。
【0037】
上記制御手段は、上記2つの共振周波数の間で上記駆動回路を交互に切り替えるように、少なくとも1つの制御モードにおいて適合されていてもよい。
【0038】
切り替えの周波数は、任意に調整されることができる。一組の例では、周波数は、監視される生理学的現象の持続時間に基づき構成されてもよい。特に、それは、生理過程が両ループ部で捕捉されるように十分に高速に設定されてもよい。例えば、スイッチングサイクル(両周波数間の往復)の期間は、監視される現象の持続時間よりも短く、好ましくは上記持続時間の半分以下、より好ましくは上記持続時間の4分の1以下となるように設定されることができる。
【0039】
典型的な用途では、4~200Hzの間のスイッチング(サンプリング)周波数が、両方のループ部で現象が捕捉されることを確実にするのに適している。4~20Hzのような低い周波数は、相対的な低消費電力(詳細度の低い)用途に有用であり、20~200Hzは、生理学的な波形の特徴をより詳細に分解するために、より高い時間分解能でモニタリングする場合に有用である。電力を節約するために、オプションで、制御手段は、ループ部のいずれも動作していない間、周波数間のスイッチングサイクル内にアイドル時間を組み込むことができる。
【0040】
アンテナは、第1ループ部及び第2ループ部が共通平面を占めるよう構成されていてもよい。第1及び第2のループ部は、この場合、重なり合わないそれぞれの内部領域を規定してもよい。
【0041】
他の例では、第1及び第2のループ部は、重なり合うそれぞれの内部領域を規定してもよい。例えば、一方のループ部は他方のループ部の中に挿入されていてもよく、例えば、2つのループ部は、それぞれのループ部の一方の部分(例えば片側)を形成する共通のエッジ部分に結合されていてもよい。このオーバーラッピング配置は、誘導センシング能力の観点からは、非オーバーラッピング配置と同等の性能を実現し、フォームファクタの低減という付加的な利点を提供する。
【0042】
こうして、アンテナは、いずれの場合も、平面的な構成であっても、平坦な構成であってもよい。これは例えば、定置回路印刷技術を用いてプリント基板(PCB)材料からアンテナを形成することにより達成されてもよい。
【0043】
有利な一組の実施形態によれば、装置は、アンテナの両方のループ部を接地するために、アンテナと電気的に結合された平面状の接地板要素を有する。アンテナは好ましくは、絶縁空間又は媒体、例えば空気又は誘電体材料により接地板から分離される。
【0044】
この場合、アンテナは、平面的な構成を有してもよく、ここで、平面的な接地板要素は、平面的なアンテナと平面的に対向する関係で配置される。両者は、空間若しくはクリアランス、又は中間媒体若しくは層により空間的に分離される。両者は、例えば誘電体層により分離された状態で支持されていてもよい。
【0045】
この場合、又はそうでない場合には、接地板要素が電磁波シールド機能を果たしてもよい。
【0046】
上記第1及び第2のループ部はそれぞれ、それぞれの内部領域を規定してもよく、上記平面状の接地板要素は、上記板要素を通る少なくとも1つの開口部を含み、上記開口部は、上記内部領域の一方又は両方の主要部分を横切って延びる平面状の領域を有する。開口部は、媒体との結合のため電磁信号の外部への送信を可能にする。
【0047】
開口部は、孔を意味し、即ち板を通り一方の平面側から他方の平面側に延びる開口部を意味する。本書における「主要部分」は、過半数の部分(半分以上又は大部分)を意味する。
【0048】
一例では、平面状の接地板要素は、上記内部領域の両方の主要部分を横切って延びる単一の開口部を含んでいてもよい。
【0049】
代替例では、接地板要素は、間隔をあけて配置された2つの開口部を含んでいてもよく、好ましくは、それぞれが、上記内部領域の異なるそれぞれの主要部分を横切って延びる領域を有している。
【0050】
いずれの場合においても、所与の開口部の形状は、アンテナの外周部又はアンテナのループ部の1つの外周部に(数学的な意味で)類似又は実質的に類似したものとすることができる。所与の開口部は、この場合、アンテナ全体の外側形状若しくは輪郭形状、又はアンテナの一方のループ部の外側形状若しくは輪郭形状と同じ形状を有している。
【0051】
単一の開口部が設けられる場合、結果的にアンテナ構造は、板の平面に対して垂直に伝播する成分を持つEM波をもたらす(平面アンテナが板と平行に配置される場合)。
【0052】
2つの開口部が設けられる場合、結果的にアンテナ構造は、板の平面に平行に伝播するEM波をもたらす。
【0053】
接地板要素は、追加的又は代替的に、接地板の外縁から内側に延びるスロット又はギャップを含んでいてもよい。それは、上記板の外縁から上記1つ又は複数の開口部に向かって延びていてもよい。それは、アンテナ線の少なくとも一部分を長手方向に横切る。アンテナの各ループ部を形成する線を横切るように提供される斯かるギャップ又はスロットがあってもよい。
【0054】
センシング装置は、アンテナで受信した信号に関連付けられた1つ又は複数の信号特性を得るための信号処理手段を含んでいてもよい。これは、いくつかの例では、制御手段と一体化されていてもよい。
【0055】
信号処理手段は、アンテナに結合された信号の信号特性を媒体から導出することを可能にする。これは、場合によっては、アンテナ線を流れる電流の電気的特性、例えば、周波数、振幅、戻り損失(の変化)を感知することを含むことができる。
【0056】
信号処理手段は、感知された信号特性に基づき1つ又は複数の生理学的パラメータを得るよう構成されていてもよい。これらは例えば、心拍数、脈拍数、呼吸容量、呼吸数、一回拍出量、一回拍出量の変動、心臓出力、又は大動脈若しくは動脈の脈拍の高さ/圧力/直径の変調を含む、1つ又は複数のバイタルサインであってもよい。
【0057】
装置は、対象の身体の1つ又は複数の生理学的パラメータを感知するための生理学的誘導センシング装置であってもよい。生理学的パラメータは例えば、上述のバイタルサインの1つ又は複数を含むことができる。
【0058】
本発明の更なる側面による例は、誘導性センシングで使用するための信号生成方法を提供し、この方法は、2つの異なる周波数で電磁信号を媒体に結合するステップと、アンテナを利用するステップであって、上記アンテナが、
少なくとも第1のループ部と第2のループ部とを含み、各ループ部は、第1のループ部のための第1の共振周波数と第2のループ部のための第2の共振周波数とを規定するために、それぞれのコンデンサと結合され、上記共振周波数が異なり、
2つのループ部は、両方のループ部を駆動するための駆動信号を受信するための共有の入力接続に共同で接続される、ステップと、
それぞれの共振周波数で上記アンテナを駆動するステップであって、上記駆動が、上記2つの共振周波数の間で切り替えるステップを含む、ステップとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】ループアンテナを用いた対象の胸郭への刺激を概略的に示す図である。
図2】実施形態による誘導性センシング装置の例を示す図である。
図3】実施形態による例示的な誘導性センシング装置に関する例示的なアンテナ及び遮蔽配置を示す図である。
図4】実施形態による例示的な誘導性センシング装置に関する例示的なアンテナ及び遮蔽配置を示す図である。
図5】実施形態による更なる例示的な誘導性感知デバイスに関する更なる例示的なアンテナ及び遮蔽配置を示す図である。
図6】実施形態による更なる例示的な誘導性感知デバイスに関する更なる例示的なアンテナ及び遮蔽配置を示す図である。
図7】実施形態による更なる例示的な誘導性感知デバイスに関する更なる例示的なアンテナ及び遮蔽配置を示し、アンテナが、重複するループ部を有する、図である。
図8】実施形態による更なる例示的な誘導性感知デバイスに関する更なる例示的なアンテナ及び遮蔽配置を示し、アンテナが、重複するループ部を有する、図である。
図9】例示的な信号処理回路のブロックダイアグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明のこれらの及び他の態様が、以下に説明される実施形態より明らとなり、これらの実施形態を参照して説明されることになる。
【0061】
本発明のより好適な理解のため、及びそれがどのように実現されるかをより明確に示すため、単なる例として、添付の図面が参照される。
【0062】
本発明が、図を参照して説明される。
【0063】
詳細な説明及び特定の実施例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示すものであるが、これらは例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム、及び方法のこれら及び他の特徴、側面、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からより良く理解されるであろう。図面は単なる概略図であり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。同じ又は類似の部品を示すため、図面を通して同じ参照番号が使用されることも理解されたい。
【0064】
本発明は、2つの異なる周波数でセンシングするための誘導型センシング装置を提供する。この装置は、少なくとも2つのループ部を含むアンテナを有し、各ループ部は、異なるそれぞれの同調コンデンサに結合され、これにより第1及び第2のループ部にそれぞれ異なる第1及び第2の共振周波数が提供される。上記両ループ部は、上記両アンテナ部を駆動するための駆動信号を受信するための共有入力接続部に共同で接続される。制御手段は、共有入力接続を介して、各周波数の駆動信号をアンテナに供給するための駆動回路を制御し、各周波数間のスイッチングが実現される。
【0065】
本発明の実施形態は、誘導結合の原理に基づき動作し、これによりコイル又はワイヤは、時間的に変化する磁場にさらされることにより、その間に電位差を誘導する。本発明の実施形態では、この原理を利用して、体に近接して配置されたループアンテナ内で生成される電流の特性の変化を感知することにより、媒体又は体の領域内で生成される電磁信号の強度を測定する。コイルのインダクタンスの変化が感知されてもよく、この場合、これらの変化は例えば、コイル回路の共振特性の変化に基づき検出される。
【0066】
本発明の実施形態は、体内に放出される電磁励起信号に基づき、体内で放出される電磁信号を感知するために使用されてもよい。有利な例では、同じアンテナが、戻ってきた電磁信号を感知するように励磁信号を生成するために使用されてもよい。
【0067】
この原理は図1に概略的に示されており、この図は、例示として、電磁信号16を胸部に伝播させるために、対象の胸部12に近接して交流電流で駆動されるループアンテナ10(本発明によるものではない)を示す。
【0068】
その結果、渦電流14が胸郭内に誘導される。渦電流は、ファラデーの誘導の法則により自然に発生する。これにより、時間的に変化する磁場の存在に基づき導電性媒体に起電力(EMF)が誘起される。
【0069】
渦電流は、一次アンテナ10により生成されたものと同等の周波数の時間変化する磁束18を生じさせる。これらの磁束は、アンテナ10で感知可能な電磁波(信号)18の伝播をもたらす。
【0070】
有利な実施例によれば、装置は、生理学的パラメータ及び特性、例えば対象の体における空気、流体及び/又は組織の動きを感知するために使用されてもよい。システムは、特に有利には、例えば呼吸の動きを感知するために適用されてもよい。
【0071】
これらの例では、装置は、これらの動きにより引き起こされる信号の反射インダクタンスの変調を感知することにより、空気、流体及び/又は組織の動き(例えば、呼吸又は心臓の拍動により引き起こされる)を感知するために使用されることができる。
【0072】
体内の組織の動きは、組織の体積の変化を有することができる点を理解されたい。これらの変調は、電磁信号の振幅変調及び/又は位相変調を引き起こす。
【0073】
対象の体内に放出される電磁励起信号に基づき、変調された電磁信号が体内で放出される。組織、空気、又は流体が動く、又は膨張及び収縮すると、媒体中で発生した渦電流の形状及びフォームが変化し、結果として、戻ってきたEM信号の変調をもたらす。これは、身体の表面下の変化及び動きの感知を可能にする。
【0074】
2つ以上の周波数の誘導性電磁信号を用いてセンシングを実行することが可能な誘導性センシング装置を提供することは有益である。なぜなら、身体の異なる構造(例えば、肺、心臓、皮膚)は、異なる周波数に対して多かれ少なかれ敏感であるからである。両周波数の信号が高強度である2つ以上の周波数の信号を生成することが可能な単純な誘導センシング装置を提供することは課題である。
【0075】
本発明の解決策は、信号を駆動するための単一のアンテナ入力接続を保持しながら、低周波及び高周波数範囲の両方で強い磁場の生成を可能にし、2つの異なる周波数での体内渦電流を測定するループアンテナ設計を提供するものである。
【0076】
図2は、本発明の実施形態による誘導性センシング装置の一例を示す。
【0077】
装置22は、アンテナ24を有し、アンテナは、第1のループ部30及び第2のループ部32を持つ。各ループ部は、別個の閉ループを規定し、アンテナ回路の別個の分岐を形成している。第1のループ部は、第1のループ部のための第1の共振周波数f1を規定する容量C1の第1の同調コンデンサ36aと結合される。第2のループ部は、第2のループ部のための第2の共振周波数f2を規定する容量C2の第2のコンデンサ36bと結合される。第1の共振周波数と第2の共振周波数とは異なる。これは例えば、C1とC2が互いに異なるように選択することで実現されることができる。
【0078】
2つのループ部30、32は、両ループ部を駆動するための駆動信号を受信するための共有入力接続部38に共同で接続される。共通の入力駆動信号は、両方のループ部を一緒に駆動する。駆動回路は、発振器回路42の形態で、共有入力接続に電気的に結合されており、少なくとも共振周波数のそれぞれにおいてアンテナ24を駆動するように動作可能である。駆動回路は、本実施例の共有入力接続部に、例えば接続導体線(例えばワイヤ)により導電的に結合される。
【0079】
駆動回路42と動作可能に結合されたコントローラ44の形態の制御手段が更に提供され、コントローラは、2つの共振周波数f1、f2の間で駆動回路のスイッチングを実現するよう構成される。こうして、センシング装置22は、アンテナ24を2つの共振周波数で順次駆動するよう構成される。更なる例では、コントローラは、駆動回路と一体化されていてもよい。
【0080】
各ループ部30、32は、異なる共振周波数で構成されるので、各ループ部は、この配置では、別個の同調アンテナ(又は別個の共振器回路)として実質的に機能するが、両者は、共通の信号入力フィード38に共同で接続される。単に第1の共振周波数f1又は第2の共振周波数f2でアンテナ24を駆動することにより、第1のループ部又は第2のループ部がそれぞれ共振するように誘導され、これにより、関心媒体に結合するためのその周波数の高強度の磁気誘導信号が生成される。こうして、単一接続のアンテナ設計を維持したまま、2つの異なる周波数の信号が高磁場強度で生成されることができる。
【0081】
第1ループ部及び第2ループ部のそれぞれは、本実施例によれば同軸線により形成される。同軸線は、管状導体シールド部52bにより同軸的に囲まれた内側導体コア部52aを有する。コア部及びシールド部は、管状の絶縁(誘電体)層により分離される。本実施例では同軸線が用いられるが、これは本発明に必須のものではなく、他の実施例では代替の導電線が用いられてもよい。当業者には様々なオプションが明らかであろう。
【0082】
第1のループ部30及び第2のループ部32は共に共通のグランドに接続されており、特に、各ループ部を形成する同軸ケーブルの外側シールド部は共通のグランドに接続される。
【0083】
アンテナ24の巻数は好ましくは、ワイヤ間の容量性の影響を最小にするために、小さく保たれる。第1及び第2のループ部30、32はそれぞれ、有利には、本実施例では、単一のターンループにより形成される。しかしながら、単一の巻線は必須ではなく、他の例では、一方又は両方のループ部は、より多くの巻線を有してもよい。
【0084】
この例では、アンテナ24は、各ループ部の一部分を形成する共有ループ部48を有している。ループ部は共有ループ部を介して接続される。
【0085】
共有ループ部48は、2つのループ部30、32の共通駆動を容易にする。なぜなら、駆動信号が、共有ループ部を介して供給され、両方のループに同時に供給されるからである。特に、この例では、共有入力接続部38は、共有ループ部48の端子により提供される。しかしながら、これは本発明にとって必須のものではない。共有ループ部の他の利点は、共有ループ部が2つの別々のループにおいて複製されることが回避されるので、アンテナの全体的な内部抵抗を低減することである。
【0086】
上述したように、コントローラ44は、使用時には、AC周波数f1(第1の共振周波数)及びAC周波数f2(第2の共振周波数)の電気信号を生成してアンテナ24に入力する間の発振器回路42の切り替えを制御する。コントローラは、2つの共振周波数の間で交互するよう振動子を制御してもよい。周波数間の切り替え(alternating)が高い周波数である場合がある。
【0087】
切り替えの周波数は、任意に調整されることができる。一組の例では、周波数は、監視される生理学的現象の持続時間に基づき構成されてもよい。特に、それは、生理過程が両ループ部で捕捉されるように十分に高速に設定されてもよい。例えば、スイッチングサイクル(両周波数間の往復)の期間は、監視される現象の持続時間よりも短く設定されてもよく、好ましくは上記持続時間の半分以下、より好ましくは上記持続時間の4分の1以下となるように設定されてもよい。
【0088】
典型的な用途では、4~200Hzの間のスイッチング(サンプリング)周波数が、両方のループ部で現象が捕捉されることを確実にするのに適している。4~20Hzのような低い周波数は、相対的な低消費電力(詳細度の低い)用途に有用であり、20~200Hzは、生理学的な波形の特徴をより詳細に分解するために、より高い時間分解能でモニタリングする場合に有用である。電力を節約するために、オプションで、制御手段は、ループ部のいずれも動作していない間、周波数間のスイッチングサイクル内にアイドル時間を組み込むことができる。
【0089】
代替的に、コントローラ44は、ある共振周波数から次の共振周波数への切り替えを、規則的な交替を行うことなく、順次行うよう制御してもよい。切り替えは、いくつかの例では、ユーザからの入力命令に基づきコントローラにより実行されてもよい。これを容易にするために、ユーザ入力手段が提供されてもよい。例えば、周波数は、ある患者に対してはある(例えば、最適な)周波数に静的に設定され、別の患者に対しては別の周波数に設定されてもよい。
【0090】
上記したように、第1の共振周波数及び第2の共振周波数は異なる。各ループ部30、32の共振周波数は、各ループ部の周長と、各コンデンサ36a、36bの容量とに依存する。両方のパラメータが一緒に共振周波数を規定する。従って、所望の共振周波数に各部分をチューニングすることは、所与の周波数を達成するために両方のパラメータを適切に調整することを含んでもよい。両ループ部の周長が同じである場合には、例えば、C1及びC2が互いに異なるように選択することにより、チューニングが行われることができる。
【0091】
図1の例では、各ループ部30、32は矩形構成を持つ。共有ループ部48は、各矩形の一辺を提供する。矩形形状は必須ではなく、更なる例では、他の任意の閉じたループ又は環状の形状が、例えば、円形若しくは楕円形のような丸みを帯びた(規則的又は不規則な)形状、三角形又は他の任意のループ形状が代替的に使用されてもよい。対称的な電磁場パターンを生成するためには、規則的な形状が好ましい。
【0092】
2つのループ部は、同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。2つのループ部は、同じ大きさであってもよいし、異なる大きさであってもよく、例えば、同じ円周又は異なる円周であってもよいし、同じ内部領域又は異なる内部領域を規定(境界設定)するものであってもよい。
【0093】
好ましい一組の実施形態によれば、アンテナは、平坦又は平面構成で構成され、第1及び第2のループ部が共通の平面を占める。これは、例えば、一般的に使用される製造技術を使用してプリント回路基板(PCB)材料からアンテナ構造を形成することにより達成されてもよい。これは、剛性の高い構造を提供する。
【0094】
特定の実施形態では、第1及び第2のループ部はそれぞれ、個別の内部領域を境界設定しており、ここで、これらの領域は非重複である。この配置は、例えば図2の例に示される。しかしながら、他の例では、第1及び第2のループ部はそれぞれ、これらの領域が重なっているそれぞれの内部領域を境界設定してもよい。一方のループは例えば、他方のループの内側に挿入されていてもよい。
【0095】
上述したように、信号センシング装置22は駆動回路42を有している。駆動回路は、信号生成手段であってもよいし、信号発生手段を有していてもよい。図2の例では、駆動回路は発振回路の形態をとっている。発振器は、共通入力接続部38に発振駆動信号を供給してアンテナ24を発振電流で励振するよう構成されており、これにより、使用中に、刺激されるべき体内に伝播するための正弦波電磁信号(正弦波電磁波)が生成される。
【0096】
発振回路の使用は必須ではない。他の例では、別の形態の駆動回路が使用されてもよく、例えば、ループ部30、32の共振周波数f1、f2の1つに対応するパルス周波数を持つパルス電気信号を生成するよう構成された駆動回路が使用されてもよい。
【0097】
センシング装置22は、調査対象の媒体からアンテナ24に結合された信号の信号特性を分析するための信号処理手段を更に含んでいてもよい。しかしながら、これは本発明にとって本質的なものではなく、主に、媒体に出入りする信号を結合するための手段(特に、2つの異なる周波数での結合を容易にするための手段)の改良に関するものであり、これは誘導性センシングを行うために使用されるものである。信号処理は例えば、外部ユニット又は装置により行われてもよい。
【0098】
信号処理手段が提供される場合、信号処理手段は、信号処理ユニットの形態で提供されてもよい。代替的に、いくつかの例では、信号の生成(駆動)及び信号処理は、単一のユニットにより促進されてもよい。特定の実施例によれば、これらの両方の要素の機能は、アンテナ24を励起する発振器と、受信信号を感知するインピーダンス測定手段とを含むベクトルネットワークアナライザにより促進されてもよい。
【0099】
更なる例では、信号処理手段は、制御手段、例えば本実施例ではコントローラユニット44と一体化されていてもよい。
【0100】
信号処理手段は、アンテナ24で励起される媒体からアンテナで受信した応答信号の特性を解析する。特に、信号処理手段は、受信した信号を処理して、アンテナ24の各ループ部30、32により形成される共振器回路の減衰係数及び/又は共振(又は固有)周波数の変化の尺度を導出してもよい。電磁信号がアンテナで受信されるとき、アンテナは、アンテナ回路の特性をデチューンし、これは、受信した信号が測定されることを可能にする。
【0101】
本発明のアンテナ配置の重要な利点は、どのループ部が共振で駆動されるかにかかわらず、そのアンテナの回路特性(及び従って、そのアンテナのデチューン特性)が単一供給点38の出力から直接測定されることができることである。これは、一度に1つのループ部だけが共振するからであり、これは、アンテナからの出力フィードが常に共振アンテナに現れる回路特性に支配されることを意味している。これは、どのループ部がアクティブになっているかに関わらず、共振回路の特性のデチューンを検出可能にする。
【0102】
信号処理手段は、1つ又は複数の例によれば、位相同期ループ(PLL)回路を有してもよい。
【0103】
オプションで、コントローラ44と外部コンピュータ又はデータストアなどの外部デバイスとの間の通信を容易にするためのデータ通信手段(図2において図示省略)が設けられていてもよい。これは、提供された信号処理手段により得られた信号処理結果を外部コンピュータに通信することを容易にすることができる。それは、例えばコンピュータなどの外部制御手段からコントローラへの制御コマンドの通信を容易にすることもできる。
【0104】
データ通信手段は、無線通信手段又は有線通信手段を有することができる。通信手段は例えば、Bluetooth、Wi-Fi、Near Field Communication(NFC)、ZigBee、又は任意の適切な有線通信プロトコルのような任意の適切な通信プロトコル又は媒体に基づき実現又は作動されることができる。
【0105】
使用時には、アンテナ24は、関心身体又は媒体に近接して保持され、アンテナは、駆動回路42により励起されて電磁励起信号が生成される。
【0106】
有利な実施例によれば、誘導性感知デバイス22は、生理学的パラメータ及び特性、例えば対象の体における空気、流体及び/又は組織の動きを感知するために使用されてもよい。システムは、特に有利には、例えば呼吸の動きを感知するために適用されてもよい。
【0107】
これらの例では、装置は、これらの動きにより引き起こされる信号の反射インダクタンスの変調を感知することにより、空気、流体及び/又は組織の動き(例えば、呼吸又は心臓の拍動により引き起こされる)を感知することを可能にする。これは、上記図1を参照して説明された。
【0108】
本システムのアンテナ24の構成は、様々な形態を取ることができる。
【0109】
ここで、図3図6を参照して、平面アンテナ構成を有し、アンテナの電磁波シールドを含む一組の例が説明される。
【0110】
図3及び図4は、第1の平面アンテナ24の配置を概略的に示しており、ここで、感知デバイス22は、アンテナの両方のループ部を接地するためにアンテナと電気的に結合された平面接地板要素62を更に含む。接地板との電気的結合は純粋な容量性であり、接続線は必要ない。アンテナは、外側シールド部30、32を介して接地板に接続されていてもよい。アンテナは、安定した平坦形状を容易にするために、PCB材料で形成されていてもよい。
【0111】
平面的な接地板要素62は、板要素を通る開口部64を画定する。上記開口部は、上記開口部が上記接地板を介して開放された窓領域又は上記接地板の欠落部分を実質的に形成するよう、拡張された平面領域を有する。上記開口部は、上記板の一方の平面側から他方の平面側に向かって延びている。板(の材料)は、開口部の周りに全周にわたって延びており、開口部の周りに環状の形状を効果的に規定する。即ち、開口部は板の材料により完全に境界設定されるか、又は囲まれている。
【0112】
図3及び図4の例では、平面状の接地板62が単一の開口部64を画定する。開口部は、アンテナ24の外周部と(数学的な意味で)類似又は実質的に類似した形状を有し、即ち、この場合、開口部は、アンテナ全体の外部又は輪郭形状と同じ形状を有しているが、アンテナの外周部により囲まれた内部領域よりも小さい開口部領域を有している。
【0113】
開口部64は、開口部64の平面領域が、アンテナ24の各ループ部30、32により規定又は境界化された内部領域の主要部分を横切って延びるよう構成される。開口部は、(その平面領域が)アンテナの外周に囲まれた内部領域の中央領域に空間的に対応するように配置されている。図示された特定の例では、開口部の外周は、アンテナの外側境界と同心的に整列される。その結果、開口部がアンテナの外周により規定される内部領域内で中心的に整列される。
【0114】
接地板62は、アンテナ24の要素を電磁波から遮蔽する電磁シールド(ファラデーシールド)として機能する。孔(開口部)64は、アンテナから及びアンテナへの磁場成分のシールドを介した伝播を許容する。
【0115】
(漏れ)接地板シールドの目的は、出て行く電磁波、より重要なことには、入ってくる電磁波のインピーダンスを、高インピーダンスから低インピーダンスへ、電場から磁場へと移動させることである。こうして、受信信号においては、電場部分は可能な限り最小化される。なぜなら、有用なセンシング信号に寄与するのは磁場部分のみであるためである。電場部分は、このセンシング信号にノイズを発生させているに過ぎない。にもかかわらず、常に電場の残留物が残っており、電気成分を完全にブロックすることは、有用な磁場成分のブロックももたらす。
【0116】
更に、シールドは他の機能を果たす。アンテナとの電気的な結合により、それは、ループの各部のチューニングに貢献する。更に、例示的には、シールドはまた、直列コンデンサ36a、36bを入射電場からシールドするように配置されてもよい。更に、シールドは、アンテナ24の線に沿った電荷の蓄積を低減又は防止するように配置されてもよく、これにより媒体との容量性結合の影響が低減されることができる。媒体との容量性結合は、性能に悪影響を及ぼす。なぜなら、それは、磁気センシング信号に影響を与え、また、身体とアンテナとの相対的な距離に対する感度のために運動アーチファクトを引き起こすからである。
【0117】
アンテナの内部領域と整列した平面領域を有する開口部64の位置決めは、場がこのアンテナ内部領域を横切って伝播することが依然として可能であることを意味し、これにより、ループ30、32への信号の誘導結合が可能にされる。図4に示すように、アンテナのこの内部領域内に誘導されてアンテナにより生成される信号についても同様である。
【0118】
図4は、アンテナ24及び接地板(シールド)62の配置の透視図を示し、同一平面態様の接地板の上に配置されたアンテナによる電磁信号の生成を概略的に描写し、2つは、絶縁性(即ち誘電体)材料又は媒体で満たされてもよい小さなクリアランスにより分離される。こうして、接地板は、アンテナの一方の平面側に対向して配置される。生成された信号の磁力線70が、概略的に示される。
【0119】
代替的な例示的構成が図5及び図6に示される。この配置は、図3及び図4の配置と同じアンテナ24を含むが、2つの開口部64a、64bを画定する平面的な接地板要素62を有する。開口部は、図5及び図6の接地板と図3及び図4の接地板との唯一の相違点である。その電気的及び構造的特性、並びにアンテナとの電気的相互作用(接地要素としての)は同じである。
【0120】
平面的な接地板要素62は、板要素を介して2つの開口部64a、64bを画定するが、各開口部はここでも、接地板を介して開放された窓領域又は接地板の欠落部分を実質的に形成するよう、拡張された平面的な領域を有する。2つの開口部は、互いに空間的に分離される。各開口部は、板の一方の平面側から他方の平面側へと延びている。接地板62(の材料)は、各開口部の周囲に全周にわたって延びており、各開口部の周囲に環状の形状を効果的に規定する。即ち、各開口部は、板の材料により完全に境界化されるか、又は囲まれる。
【0121】
上述したように、アンテナ24の第1及び第2ループ部30、32は、それぞれの内部領域を境界設定する。開口部64a、64bは、各開口部の平面領域が、上記内部領域の(異なる)それぞれの主要部分を横切って延びる(又は占有する)よう構成される。第1の開口部64aは、第1のループ部30により規定される内部領域の主要部分を横切って延びている。第2の開口部64bは、第2のループ部32により規定される内部領域の主要部分を横切って延びている。
【0122】
各開口部64a、64bは、(その平面的な領域が)それぞれのループ部30、32の1つの外周により境界設定された内部領域の中央領域に空間的にマッピングするように配置される。図5及び図6により示される特定の例では、各開口部の外側境界は、ループ部のそれぞれの1つの外側境界と同心的に位置合わせされ、各開口部が、この外周により規定される内部領域内で中央に位置合わせされる。
【0123】
開口部64a、64bの各々は、アンテナ24のループ部30、32の異なるそれぞれの1つの外周と(数学的な意味で)類似又は実質的に類似した形状を有しており、即ち、開口部は、この場合、この外周と同じ形状を有している。
【0124】
平面的な接地板要素62は、オプションで、接地板の上記各平面的な開口部64a、64bの内部から板の端部まで長手方向に延びる2つのスロット又はギャップ65a、65bを更に画定する。こうして、それぞれが、平面開口部の個別の内部から接地板の外部への開放経路を規定する。それぞれが、接地板の材料の中断を規定している。各ギャップは、ループ部30、32の一方のラインを横切る(一方の側から他方の側に延びる)。
【0125】
ギャップ65a、65bの目的は、2つの平面状の開口部64a、64bのそれぞれの周りに延びる接地板の環状部に形成される渦電流をブロックすることである。ギャップは、従って、接地板のこれらの環状の形状の各セクションで中断又は破損を形成する。各アンテナループ部30、32により生成された(又は感知された)ものとは反対側にある電流による磁場の結果的な誘導を避けるために、これらの環状部における斯かる渦電流の形成(逆反射された磁気信号の伝播による)を防止することが有利である。
【0126】
図6は、この配置に基づき生成される磁場パターンを概略的に示す。簡単化のために、第1のループ部30が共振で駆動されることに対応して、1つのループ部30のみのための場線が示される。しかしながら、第2ループ部32が共振駆動される時間においても、同様の対称的なパターンが作成される。接地板シールド62の2つの開口部を含む配置については、平行磁場成分70と垂直磁場成分72の両方が生成されることが分かる。2つのループ部の間(及びアンテナ部分の外翼76の周りにも)を循環する同じ循環式フィールドパターン70が生成されるが、それに加えて、平行フィールド成分72が誘導され、その下に整列された開口部64aの中央領域を伝播することが可能である。
【0127】
上述した配置では、アンテナ24の片側、特に、アンテナと調査される媒体との間に使用中に位置する側にのみ、電磁シールドが提供されるが、更なる実施例では、シールドは、両側に提供されてもよい。例えば、一組の例によれば、アンテナの交互側(媒体から離れた、環境に面した側)に、連続的な遮蔽板(開口部を有さない)が設けられてもよい。こうして、アンテナは、プローブされる媒体に由来する、関心信号の結合を妨害する可能性のある、環境に由来する電磁信号から最大限に遮蔽される。
【0128】
しかしながら、更なる例では、交互する(環境に面した)側のシールドは、1つ又は複数の開口部を有してもよい。それは例えば、アンテナの媒体に面する側の遮蔽用に提供される開口部と同様の構成を有することができる。
【0129】
上記各実施例(図2図6)において、アンテナ24は、2つのループ部30、32が互いに重ならないよう構成される。特に、第1及び第2のループ部は、それぞれが、個別の内部領域を境界化し、これらの領域は重なり合っていない。
【0130】
しかしながら、他の例では、第1のループ部及び第2のループ部は互いに重なっていてもよい。一例が、図7及び図8に示される。ここで、第1ループ部30は、第2ループ部32の内側に挿入される。同心性は必須ではないが、第1のループ部の3つの側は、第2のループ部32の対応する側と同心的に延びている。各ループ部の一つの側は、アンテナ線の共通部33により形成される。この共通ループ部33は、2つのループ部の共有入力接続部38に接続されており、各ループ部の駆動が容易化される。
【0131】
シミュレーションの結果、アンテナ24の性能は、図7に示された配置に基づき、ループ部30、32が重なっても影響を受けないことが分かった。従って、オーバーラップループ配置は、上述した実施例の分離されたループの配置と同様に、2つの異なる周波数での誘導性センシングにおいて同等の性能を提供する。更に、オーバーラップループ配置は、縮小されたフォームファクタの面で利点を提供し、従って、省スペースが懸念される場合に有利である場合がある。議論されるように、誘導性センシング装置はオプションで、調査される媒体からの受信信号を分析するための信号処理手段を含んでもよい。この特徴の説明のために、信号処理の一つの例示的な実施形態が、次に、図9を参照して詳細に説明される。これは、単なる例示的な信号処理アプローチを表しており、他のアプローチ及び装置が、当業者には明らかであろう。本書に記載された実施例によれば、信号処理手段は、位相ロックループにより実現される。使用されることができる位相ロックループ回路の例が図9に示される。
【0132】
この実施形態では、位相ロックループ(PLL)が、本発明によるアンテナ回路24を駆動するために使用され、PLLの制御信号は、対象の体内の空気、流体及び/又は組織の動きを表す出力信号を提供する。従って、図9の回路は、駆動回路42及びオプションの信号処理手段の両方の機能を実現する。
【0133】
図9は、アンテナ24のための信号生成及び処理回路80を示しており、基準発振器81と、基準発振器81に接続され、アナログ制御信号(Vtuneとして知られる)を電圧制御発振器(VCO)84に出力するPLL82とを有する。Vtune信号は、基準発振器81からの信号とVCO84からの信号とを比較した結果である。PLLアナログ制御信号に基づき、VCO84は、必要な周波数で励起信号を生成し、これをアンテナ24に提供し、その結果、アンテナが電磁励起信号を放出する。上述したように、電磁励起信号は、対象の体内に渦電流を誘導し、これらの渦電流は、アンテナ24により感知される磁束を誘導する。この発生した磁束は、アンテナコイルのインダクタンスの反射インダクタンス成分Lrをもたらす。これは、コイルの特性、特にコイルの減衰及び固有周波数をデチューンすることにより感知されることができる。
【0134】
励起信号が、フィードバックループの一部としてPLL82に提供される。PLLL82からのアナログ制御信号は、アナログ制御信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器(ADC)86に提供され、このデジタル信号はコントローラ88に提供される。コントローラ88は、PLL82のためのデジタル制御信号を決定し、これをPLL82に提供する。当業者は認識するであろうが、PLLシステムでは、VCO84の位相が基準発振器81の位相と異なる場合、デジタル制御信号はVCOの位相を補正する。
【0135】
体内の空気、流体及び/又は組織の動きは、アンテナ24の特性を(反射インダクタンスのために)効果的にデチューンし、デジタル制御信号は、このデチューンに対処し(counter)、VCO84の位相を補正する。従って、デジタル制御信号は、空気、流体及び/又は組織の動きに関する情報を運び、コントローラ88は、対象の体内の空気、流体又は組織の動きに関する情報を表すか、又はこの情報を含むデジタル制御信号から出力信号90を決定する。この出力信号90は、実際の位相及び振幅情報を持たないが、生理的特性(例えば、心拍数、呼吸数など)は明確に観察可能である。
【0136】
VCO84を必要な周波数に保つために必要とされる補正信号Vtuneは、対象の体内の空気、流体及び/又は組織の動きに起因する振幅及び/又は位相シフトを測定するために使用される。位相シフトが振幅の変化を支配する傾向がある。PLL補正信号(アナログPLL補正信号から導出されたコントローラ88により出力されるデジタル制御信号)を用いて出力信号90が決定される。例えば、出力信号90は、信号対雑音比を改善するための適切なフィルタリング及び/又はダウンサンプリングを有するデジタル制御信号に対応することができる。
【0137】
従って、出力信号は、現在アクティブである共振ループ部30、32の自然共振周波数の変化に基づき得られる、受信された電磁信号を表す信号を搬送し、これは補正信号に反映される。アンテナが第1ループ部の共振周波数f1で駆動されるとき、PLLは、f1のデチューニングに関連した補正信号を提供する。第2ループ部の共振周波数f2で駆動されるとき、PLLは、f2のデチューンに関する補正信号を提供する。
【0138】
上記で概説され、及び特許請求の範囲で規定される本発明の実施形態は、それぞれが高い場強度を有する複数の周波数でのセンシングを可能にする誘導型センシング装置を提供する。異なる周波数でのセンシングは、肺、心臓及び皮膚などの身体の異なる構造に対するシステムの感度の選択的なチューニングを可能にする。例えば、高周波数の測定は、主に皮膚(及び従って動き)に敏感に反応する。中周波及び/又は低周波数測定は、心臓及び/又は肺に対する最適な感度を持つ(しかし、運動に対しても感度が高い)。従って、これらの2つの周波数測定は、運動アーチファクトのための心臓及び肺の測定を補正するために組み合わせて使用されることができる。更に、複数の周波数を使用することは、信号の変調に対する心臓及び肺の個々の寄与の好適な識別を可能にする。
【0139】
加えて、複数の周波数を用いて肺の複数の深さでの測定が可能である。これは例えば、対象の呼吸の深さの推定をより容易にすることができる。それは、感染症(局所肺水腫を伴う)の場所を特定することも可能にする。
【0140】
上述したように、実施形態は、コントローラ44を利用する。コントローラは、必要とされる様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、多数の態様で実現されることができる。プロセッサは、必要な機能を実行するためにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされることができる1つ又は複数のマイクロプロセッサを採用するコントローラの一例である。コントローラは、プロセッサを使用して、又は使用せずに実現されることができ、一部の機能を実行する専用ハードウェアと、他の機能を実行するプロセッサ(1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連回路)の組み合わせとして実現されることもできる。
【0141】
本開示の様々な実施形態で使用され得るコントローラ要素の例は、以下に限定されるものではないが、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。
【0142】
様々な実現において、プロセッサ又はコントローラは、RAM、PROM、EPROM及びEEPROMなどの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなどの1つ又は複数の記憶媒体に関連付けられていてもよい。記憶媒体は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコントローラで実行されるとき、必要とされる機能を実行する1つ又は複数のプログラムで符号化され得る。様々な記憶媒体は、プロセッサ若しくはコントローラ内に固定されていてもよく、又は、そこに記憶された1つ又は複数のプログラムがプロセッサ又はコントローラにロードされることができるように、搬送可能であってもよい。
【0143】
開示された実施形態に対する変形は、図面、開示、及び添付の請求項の研究から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び達成され得る。請求項において、「有する」という語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載されたいくつかのアイテムの機能を果たし得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又はその一部として提供される光学式記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体において格納/配布されることができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してといった他の形式で配布されることもできる。請求項における参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
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図9