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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】掌内沿タイプキー入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/02 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
G06F3/02 450
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022009957
(22)【出願日】2022-01-26
【審査請求日】2022-01-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522035605
【氏名又は名称】株式会社ピーエムナイン
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】野田 邦昌
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-011900(JP,A)
【文献】特開2003-036140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の甲を上にして掌の手首近辺と、少なくとも一部の指先とが接地する状態でかつ他の部分は離間して手を板面に置いた状態で得られる掌と指のなす曲面に略一致する曲面上に複数の入力スイッチ押下部を配置し
前記複数の入力スイッチ押下部の少なくとも一部は、指の根本付近の掌に配置される掌内沿タイプキー入力装置。
【請求項2】
前記複数の入力スイッチ押下部は、少なくとも一部が前記各指の略沿線上に並べられるように配置される請求項1に記載の掌内沿タイプキー入力装置。
【請求項3】
前記複数の入力スイッチ押下部の親指の略沿線上に並べられる入力スイッチ押下部の押下方向は前記親指以外の沿線上に並べられる入力スイッチ押下部の押下方向と略直交の関係になっている請求項2に記載の掌内沿タイプキー入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理機器用のキーボード(入力端末)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した情報処理機器用のキーボードとしては、例えば、コンピュータ用のキーボードがある。このコンピュータ用のキーボードには、キートップに文字、数字、記号、機能等が印字された百個前後のキーが備えられており、これらのキーのキートップを適宜押して(以降キーのキートップを押す行為を「打鍵」という)スキャンコード(コンピュータのCPUに送られるコード(符号))をコンピュータへ送信することで、コンピュータを操作するものとなっている。
このコンピュータ用のキーボードとしては、例えば、ディスクトップ型コンピュータ用として主に使用される長方形の板状の筐体にキーを並べて配置したものや、コンピュータと一体になっているノート型、ラップトップ型と呼ばれるものが広く知られている。
【0003】
このような構成のコンピュータ用のキーボードを操作して文字等を入力する場合には、通常、机上或いは膝上にキーボード(ノート型の場合はパソコン)を置いて、上述したように入力したい文字、数字、記号、機能等が表示されたキーを打鍵することでコンピュータ本体に電気信号を送信する。
【0004】
このように、従来のコンピュータ用のキーボードの場合、机上或いは膝上にキーボードを置いて、(人によって使う指や使用する指の本数は違うが)原則として両手合わせて10本の指の各先端(指末節)の腹で百個前後のキーを打鍵するので、指の動きに合わせて両手を常に適切な位置に置く必要があり、適切なポジショニングのために両手を移動させる分だけ、打鍵に要する時間が長くなってしまう。この際、キーボード入力の習熟度が未熟な場合には、キーに対するミスタッチを避けるために、両手の移動を慎重に行わざるを得ず、より長いタイピングタイムを必要とするという欠点がある。
【0005】
また、キーのミスタッチを避けて正確な打鍵を行うためには、キーボード入力の習熟度の優劣に問わず、体とキーボードとの相対位置関係、及び、指から肩までを含めた体の打鍵姿勢を定めたうえで、集中して打鍵する必要があることから、長い時間入力作業を行うと、指から肩までを含めた体が長時間にわたって同じ姿勢を強いられたり、打鍵に集中するあまり上半身が前のめりになって胸部が圧迫されたりして、身体的なストレスを受けてしまうという欠点がある。
【0006】
近年において、上述した百個前後のキーが備えられたキーボードの欠点を補うべく開発されたものとして、例えば、特許文献1に記載された情報入力装置がある。
この情報入力装置は、両手に装着される手袋状に形成された一組の被覆部材と、この一組の被覆部材の手の甲側に複数設けられた操作子を備えており、片手分の被覆部材において、複数の操作子を各指の指先、各指の関節の間、手の甲のそれぞれに対応する領域に配置するようにしている。具体的には、片手分の被覆部材において、親指に3つ、他の指に4つずつの合計19の操作子を配置するようにしている。
【0007】
この情報入力装置において、操作子は、導通部材を張りめぐらせた上層シート及び下層シートと、これらのシート間に形成された空間内に配置されて下層シートに固着された導通性を有するキーを備えている。
この情報入力装置では、右手の甲の操作子を左手の指で押下操作すると共に、左手の甲の操作子を右手の指で押下操作することで、操作子の各操作状態に対応する信号を情報処理装置の本体側に送信するようにしている。
しかしながら、この情報入力装置においても、操作子を押下操作して信号を送信する場合、一方の手の指で他方の手の甲の操作子を押下操作するようにしているので、両手を同時に使って操作子を押下操作することができず、したがって、操作子の押下操作に要する時間が長くかかってしまうという、上記した従来のキーボードと同様の欠点を有している。
一方、この情報入力装置では、その構造上、手袋状の被覆部材を装着した手の指を曲げたり反らしたりすることでも操作子を操作することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2005-134967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したように、特許文献1に記載の情報入力装置では、手袋状の被覆部材を装着した手の指を曲げたり反らしたりすることによって操作子を操作し得るので、上述した従来のキーボードが有する欠点を解消することができる。
ところが、特許文献1に記載された指の曲げ自体を検出する方式の情報入力装置では、1本の指、例えば、人差し指の指先のみを第1関節で曲げて操作子を操作しようとすると、この折り曲げ動作は極めて不自然な動かし方なので、正確な打鍵を期するためには意識して慎重に指先を動かす必要がある。加えて、この指先の不自然な曲げ動作には、指や関節を動かす筋肉に大きな負担を強いることから、身体的負担を伴うという問題がある。
また、特許文献1に記載の情報入力装置では、手袋状の被覆部材に手を挿入した状態で操作子を操作する都合上、被覆部材を装着した手を机等の固定物に置かずに操作した場合には、指の不自然な曲げ動作による入力が確実に行われたことをフィードバックする手段を設けないと、必要以上に指を動かしてしまい、その結果、入力操作に時間がかかってしまうという問題を有しており、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0010】
本発明は、上記した従来の課題を解決するために成されたものであり、指や関節を動かす筋肉に大きな負担を強いることなく、また、必要以上に指を動かすことなく、自然な動作で正確に打鍵することができ、その結果、入力操作に要する時間の短縮が実現可能である掌内沿タイプキー入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の掌内沿タイプキー入力装置を提供する。
すなわち、本発明の第一の態様は、手の甲を上にして掌の手首近辺と、少なくとも一部の指先とが接地する状態でかつ他の部分は離間して手を板面に置いた状態で得られる掌と指のなす曲面に略一致する曲面上に複数の入力スイッチ押下部を配置した構成としている。
【0012】
また、本発明の第二の態様において、前記複数の入力スイッチ押下部は、少なくとも一部が前記各指の略沿線上に並べられるように配置される構成としている。
【0013】
さらに、本発明の第三の態様において、前記複数の入力スイッチ押下部の親指の略沿線上に並べられる入力スイッチ押下部の押下方向は前記親指以外の沿線上に並べられる入力スイッチ押下部の押下方向と略直交の関係になっている構成としている。
【0014】
さらにまた、本発明の第四の態様において、前記複数の入力スイッチ押下部の少なくとも一部は、指の根本付近の掌に配置される構成としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る掌内沿タイプキー入力装置によれば、指や関節を動かす筋肉に大きな負担を強いたり、必要以上に指を動かしたりせずに、自然な動作でキーを打つことができ、したがって、短時間で正確に入力操作を行うことが可能であるという非常に優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】実施形態1に係る右手仕様の掌内沿タイプキー入力装置の平面図。
図1B図1Aにおける右手仕様の掌内沿タイプキー入力装置の図1A矢視図。
図1C図1Aにおける右手仕様の掌内沿タイプキー入力装置と右手の掌及び指との関係を示す説明図。
図1D図1Aにおける右手仕様の掌内沿タイプキー入力装置の使用状態を示す説明図。
図1E図1Aにおける右手仕様の掌内沿タイプキー入力装置を操作する際の右手の形を示す説明図。
図1F図1Aにおける右手仕様の掌内沿タイプキー入力装置の親指側斜め前からの斜視図。
図1G図1Aにおける右手仕様の掌内沿タイプキー入力装置を操作する際の右手の掌を示す説明図。
図1H図1Aにおける右手仕様の掌内沿タイプキー入力装置に採用される入力スイッチ押下部としてのヒンジ・ローラ・レバー形のマイクロスイッチの側面図。
図1I図1Aにおける右手仕様の掌内沿タイプキー入力装置の機能ブロック図。
図2】実施形態2に係る右手仕様の掌内沿タイプキー入力装置の親指側斜め前からの斜視図。
図3】実施形態3に係る右手仕様の掌内沿タイプキー入力装置の使用状態を示す説明図。
図4】実施形態4に係る左右の掌内沿タイプキー入力装置をワープロ用の入力装置として採用する場合のキーの一配置例説明図。
図5】各種キーに用いられるスイッチの説明図。
図6図4における左右の掌内沿タイプキー入力装置による入力操作説明図。
図7図4における左右の掌内沿タイプキー入力装置による入力操作説明図。
図8図4における左右の掌内沿タイプキー入力装置による入力操作説明図。
図9図4における左右の掌内沿タイプキー入力装置による入力操作説明図。
図10図4における左右の掌内沿タイプキー入力装置による入力操作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態を説明する。実施形態と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施形態1は主に請求項1,2に関し、実施形態2は主に請求項3に関し、実施形態3は主に請求項4に関する。なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
<実施形態1>
【0018】
本実施形態は、主に請求項1,2に関する。
<実施形態1 主に請求項1,2 概要>
【0019】
本実施形態に係る掌内沿タイプキー入力装置は、情報処理機器用のキーボード(入力端末)であり、ピアノを弾くときのような形で手を板面に置いた状態で、掌から指にかけて自然に形成される曲面に略一致する曲面上に複数の入力スイッチ押下部を配置したことを主たる特徴としている。
そして、本実施形態に係る掌内沿タイプキー入力装置では、曲面に形成されている各指の略沿線上に並ぶように、複数の入力スイッチ押下部のうちの少なくとも一部を配置していることを特徴としている。
【0020】
この掌内沿タイプキー入力装置では、信号を送信するに際して、甲を上にした手を装置に被せるように置くと、複数の入力スイッチ押下部のすべてに対して指の腹や指関節や指の付け根のいずれかが触れる乃至はほぼ触れる状態になる。つまり、手を移動させずに打鍵することができ、その分だけ打鍵に要する時間の短縮化を実現し得ることとなる。
また、入力作業中に掌内沿タイプキー入力装置自体を動かして位置や向きを変えられるので、手を装置に置いたまま体の姿勢を変えたり腕を上下させたりすることを自由に行うことができ、したがって、身体的なストレスをほとんど受けることなく入力操作を行い得ることとなる。
さらに、左手用及び右手用の掌内沿タイプキー入力装置を揃えることで、両手を使った入力スイッチ押下部の同時押下操作が可能であり、打鍵時間の一層の短縮化を実現し得ることとなる。
<実施形態1 主に請求項1,2 構成>
【0021】
すなわち、図1Aの平面図及び図1Bの正面図(図1A矢視図)に示すように、本実施形態の掌内沿タイプキー入力装置0100は、情報処理機器用の入力端末であり、複数の入力スイッチ押下部0110と、これらの入力スイッチ押下部0110を固定するためのベース部0120を備えている。
図1Cに示すように、本実施形態の掌内沿タイプキー入力装置0100は右手用であり、この掌内沿タイプキー入力装置0100は、図1Cに仮想線で示す右手RHで全体をほぼ覆い得る大きさとしてある。この掌内沿タイプキー入力装置0100は、その名前からも判るように、該入力装置0100に手RHを被せた状態において、複数の入力スイッチ押下部0110が掌Hpから親指Ft以外の人差し指Fi,中指Fm,薬指Fr,小指Flの各指先にかけての領域に収まるように構成されている。
【0022】
図1Dの親指Ft側からの側面図に示すように、複数の入力スイッチ押下部0110は、ピアノを弾くときのような形で右手RHを板面BSに置いた状態(図1Eに示す状態)において、掌Hpから4本の指の各指先にかけて自然に形成される曲面(図1Dでは人差し指Fiの指先FTにかけて自然に形成される一点鎖線で示す曲線CL)に略一致する曲面CS上に配置されている。すなわち、右手RHの掌Hpの手首Hw近辺と、少なくとも一部の指先FTとが接地する状態でかつ他の部分は離間して右手RHを板面BSに置いた図1Dに示す状態において、複数の入力スイッチ押下部0110は、掌Hpから4本の指の各指先FTにかけて自然に形成される曲面CSに略一致する曲面上に配置されている。
【0023】
具体的には、図1Fの斜視図に示すように、本実施形態において、入力スイッチ押下部0110は、曲面に形成されている人差し指,中指,薬指,小指のそれぞれに対応する各指の略沿線Li,Lm,Lr,Ll上に4個ずつ並ぶようにして配置されており、入力装置0100に右手RHを被せた状態において、指の腹,指関節,指の付け根のいずれかが入力スイッチ押下部0110の後述するローラ0111に触れる乃至はほぼ触れる状態になるようになっている(図1Dに、4個の入力スイッチ押下部0110の各ローラ0111が人差し指Fiの指の腹Fa,指関節Fb,指の付け根Fcにそれぞれ触れる状態を示す)。
なお、「指の略沿線Li,Lm,Lr,Ll」とは、図1Gにも示すように、ピアノを弾くときのような形にした右手RHにおいて、掌Hpから人差し指Fi,中指Fm,薬指Fr,小指Flの各指先FTにかけて指に沿って自然に形成される線のことである。
<実施形態1 主に請求項1,2 入力スイッチ押下部 構成>
【0024】
入力スイッチ押下部0110には、入力したことを認識できるように、ばね等の弾性体による反発力があり、且つ、節度感(クリック感)が得られるマイクロスイッチを採用することが好ましい。この際、キーの確認のために少し触れただけでは反応しないマイクロスイッチ、例えば、遊びを有しているマイクロスイッチ、或いは、ある程度大きな操作力(押圧力)を必要とするマイクロスイッチが好ましい。
【0025】
このように、入力スイッチ押下部0110には、上記した特性のマイクロスイッチを採用することが好ましく、例えば、ヒンジ・ローラ・レバー形のマイクロスイッチや、スプリング押ボタン形等を採用することができる。
本実施形態では、図1Hにも示すように、先端にローラ0111を有するレバー0112の基端をスイッチ本体0113にヒンジ0114を介して取り付けた遊びdが3~5mmのヒンジ・ローラ・レバー形のマイクロスイッチを入力スイッチ押下部0110としており、各指の略沿線Li,Lm,Lr,Ll上における4個の入力スイッチ押下部0110は、それぞれのレバー0112の向きを合わせた状態で配置されている。なお、本実施形態では、ヒンジ・ローラ・レバー形のマイクロスイッチを入力スイッチ押下部0110として採用しているが、これに限定されるものではない。
<実施形態1 主に請求項1,2 入力スイッチ押下部のユニット化 構成>
【0026】
本実施形態において、図1Fに示すようにして各指の略沿線Li,Lm,Lr,Ll上に並べて配置される4個の入力スイッチ押下部0110は、図1A,1Bにも示すように、対向するプレート0115,0115間にそれぞれ固定されることでユニット化されている。このようにユニット化された人差し指用スイッチユニット0116i,中指用スイッチユニット0116m,薬指用スイッチユニット0116r,小指用スイッチユニット0116lにおける4個の入力スイッチ押下部0110同士の間隔は、標準的な成人における各指の指の腹,指関節,指の付け根の間隔に基いて設定されている。
この際、図1Aの平面図に示すように、各指の略沿線Li,Lm,Lr,Llの方向をY方向とした場合、これらの略沿線Li,Lm,Lr,Ll上に4個ずつ配置される入力スイッチ押下部0110を、それぞれがY方向と略直交するX方向(各指の配列方向)にもほぼ直線状に並ぶように配置することが望ましい。これは、複数の入力スイッチ押下部0110の各位置を目視しなくても把握し易くするためである。
<実施形態1 主に請求項1,2 ベース部 構成>
【0027】
ベース部0120は、図1A,1Bに示すように、人差し指,中指,薬指,小指に合わせて互いに略平行に並べて形成した4つの溝0121i,0121m,0121r,0121lを有している。そして、これらの溝0121i,0121m,0121r,0121lに、互いに向きを一致させた人差し指用スイッチユニット0116i,中指用スイッチユニット0116m,薬指用スイッチユニット0116r,小指用スイッチユニット0116lをそれぞれ嵌め込んで固定するようにしている。
【0028】
この際、4つの溝0121i,0121m,0121r,0121lは、それぞれに固定されるスイッチユニット0116i,0116m,0116r,0116lの入力スイッチ押下部0110が上記した曲面CSに略一致する曲面上に位置するように、若干の高低差及び傾きをもって形成されている。
【0029】
また、ベース部0120は、入力装置0100に手RHを被せた状態において、人差し指Fi用の溝0121iの隣に位置して掌Hpから親指Ftにかけての部位にフィットする親指支持体0122を備えている。
【0030】
なお、人差し指用スイッチユニット0116i,中指用スイッチユニット0116m,薬指用スイッチユニット0116r,小指用スイッチユニット0116lの各スイッチユニット間に、図1Bに仮想線で示すように、スポンジ等のクッション材0124を嵌め込む構成としてもよく、この場合には、入力スイッチ押下部0110が指以外のものに触れて押し下げられたり、隣接する入力スイッチ押下部0110が1本の指で押し下げられたりするのを防ぐことができる。
この際、スイッチユニット間にクッション材0124を交換可能に嵌め込む構成としたうえで、操作者の好み等に合わせて大きさや硬さを変えたクッション材0124を選択して用いることができるようにしてもよい。
<実施形態1 主に請求項1,2 手への装着>
【0031】
本実施形態に係る右手用の掌内沿タイプキー入力装置0100は、ピアノを弾くときのような形で右手RHを板面BSに置いた状態(図1Dに示す状態)で使用するのであれば、掌内沿タイプキー入力装置0100を右手に装着する手段を特に必要としない。
一方、掌内沿タイプキー入力装置0100の入力操作中に、掌内沿タイプキー入力装置0100自体を自由に動かしながら操作したい場合には、例えば、図1Cに一点鎖線で示すように、掌内沿タイプキー入力装置0100の少なくとも一部を保持し得る手袋G等をベース部0120に接続する構成を採用することができる。
<実施形態1 主に請求項1,2 電気的構成>
【0032】
図1Iの機能ブロック図に示すように、本実施形態に係る右手用の掌内沿タイプキー入力装置0100は、例えば、情報処理装置の本体0150と無線通信を行う場合には、合計16個の入力スイッチ押下部0110のうちの押し下げ操作された入力スイッチ押下部0110を識別してその入力スイッチ押下部0110の種別をキー情報として取得するキー情報取得部0131と、このキー情報取得部0131で取得されたキー情報をパケット化して出力するパケット出力部0132と、パケット出力部0132から出力されたキー情報信号を情報処理装置の本体0150に送信する送信部0133と、これらの機能部等を動作させる電源0134を備えた構成とすることができる。
この際、入力スイッチ押下部0110の操作順等を制御する制御部0135,制御プログラムや各種データが格納されているROM0136,キー情報信号を一時的に格納するキャッシュメモリ0137,制御部0135に対する外部からの信号入力部0138等を必要に応じて設けることができる。
【0033】
一方、掌内沿タイプキー入力装置0100と無線通信する情報処理装置の本体0150には、通常の情報処理装置と同様の機能を有するものを用いることができる。すなわち、受信部0151,CPU0152,ROM0153,RAM0154,発振回路0155,表示部0156,表示制御回路0157及び電源0158等を備えたものを用いることができる。
なお、掌内沿タイプキー入力装置0100及び情報処理装置の本体0150の各電気的な構成はいずれも上記したものに限定されない。
また、本実施形態に係る右手用の掌内沿タイプキー入力装置0100と情報処理装置の本体0150との信号のやり取りは無線に限定されるものではなく、電線を介して行うことも当然可能である。
<実施形態1 主に請求項1,2 動作>
【0034】
本実施形態に係る右手用の掌内沿タイプキー入力装置0100では、合計16個の入力スイッチ押下部0110のうちのいずれかの入力スイッチ押下部0110を押し下げ操作すると、この押し下げ操作された入力スイッチ押下部0110が導通状態となることで、キー情報取得部0131が押し下げ操作された入力スイッチ押下部0110を識別してその入力スイッチ押下部0110の種別をキー情報として取得する。
【0035】
次いで、このキー情報取得部0131で取得されたキー情報がパケット出力部0132によってパケット化され、送信部0133を介して情報処理装置の本体0150にキー情報信号が無線により送信される。
そして、情報処理装置の本体0150に送信されたキー情報信号は、受信部0151を介してCPU0152で受信されて、このCPU0152においてキー情報信号に対応する入力スイッチ押下部0110が認識され、この入力スイッチ押下部0110に該当する文字等が、表示制御回路0157を介して表示部0156に表示される。
【0036】
本実施形態では、本発明に係る掌内沿タイプキー入力装置が右手用である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、左手用の掌内沿タイプキー入力装置としてもよい。すなわち、ピアノを弾くときのような形で左手を板面に置いた状態において、掌から4本の指の各指先にかけて自然に形成される曲面に略一致する曲面上に複数の入力スイッチ押下部を配置することで、左手用の掌内沿タイプキー入力装置とすることができる。
【0037】
ここで、上記特許文献1に記載の情報入力装置では、手袋状の被覆部材を装着した手の指を曲げたり反らしたりすることによって操作子を操作し得るので、上述した従来のキーボードが有する欠点、すなわち、長いタイピングタイムを必要とするという欠点及び身体的なストレスを受けてしまうという欠点を解消することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の情報入力装置のように、指の曲げ自体を検出する方式の入力装置において、1本の指、例えば、人差し指の指先のみを第1関節で曲げて操作するという動作は不自然な動かし方なので、正確な打鍵を期するためには意識して慎重に指先を動かす必要があるうえ、この指先の不自然な曲げ動作には、指や関節を動かす筋肉に大きな負担を強いる。
また、指や関節で直接入力スイッチ押下部を操作する入力方式を採用する場合には、タッチセンサ等の触れるだけのスイッチを入力スイッチ押下部として用いることが予想されるが、この場合には、操作する指に対して入力スイッチ押下部からのフィードバックがないので、必要以上に入力スイッチ押下部を押し続けてしまい、その結果、操作に時間がかかってしまう。
さらに、指や関節で直接入力スイッチ押下部を操作する入力方式を採用する場合、指や関節等の稼動部の数以上の入力スイッチ押下部を設けてしまうと、指から離れた部位にも入力スイッチ押下部が配置されることになるので、掌を大きく広げたりして操作を行わなくてはならず、やはり、操作に時間がかかってしまう。
【0038】
しかしながら、本実施形態に係る掌内沿タイプキー入力装置0100では、ピアノを弾くときのような形で手を板面に置いた状態において、掌から4本の指の各指先にかけて自然に形成される曲面に略一致する曲面上に指や関節等の稼動部と同数の入力スイッチ押下部0110を配置することで、身体的負担を少なく抑えつつ正確で且つ短時間での打鍵を可能にしている。
また、本実施形態に係る掌内沿タイプキー入力装置0100では、入力スイッチ押下部0110として、入力したことを認識できるように、ばね等の弾性体による反発力があり、且つ、節度感(クリック感)が得られるマイクロスイッチを採用するようにしているので、短時間の打鍵を可能にしている。
<実施形態1 主に請求項1,2 効果>
【0039】
本実施形態に係る掌内沿タイプキー入力装置によれば、入力操作を行うに際して、複数の入力スイッチ押下部のすべてに対して指の腹や指関節や指の付け根のいずれかが触れる乃至はほぼ触れる状態になるので、手を移動させずに打鍵することができ、その分だけ短時間で且つ正確にキーの打鍵を行うことが可能であるという非常に優れた効果が得られる。
【0040】
また、入力操作中において、体の姿勢を変えたり腕を上下させたりすることを自由に行うことができるので、身体的なストレスをほとんど受けることなくキーを打つことが可能であるという非常に優れた効果が得られる。
加えて、指や関節を動かす筋肉に大きな負担を強いることなく、また、必要以上に指を動かすことなく、自然な動作で正確に打鍵することができ、その結果、入力操作に要する時間の短縮が実現可能であるという非常に優れた効果が得られる。
【0041】
さらに、左手用及び右手用の掌内沿タイプキー入力装置を揃えることで、両手を使った入力スイッチ押下部の同時押下操作が可能となり、打鍵時間の一層の短縮化ひいては入力時間のより一層の短縮を実現すること可能であるという非常に優れた効果が得られる。
<実施形態2>
【0042】
本実施形態は、主に請求項3に関する。
<実施形態2 主に請求項3 概要>
【0043】
本実施形態は実施形態1を基本としており、ピアノを弾くときのような形で手を板面に置いた状態の親指の略沿線上にも複数の入力スイッチ押下部を並べて配置し、親指の略沿線上に並べられる入力スイッチ押下部の押下方向と、親指以外の沿線上に並べられる入力スイッチ押下部の押下方向とが、略直交の関係を成すようにしたことを主たる特徴としている。
【0044】
本実施形態の掌内沿タイプキー入力装置では、親指による入力操作を増やせる分だけ、打鍵に要する時間のより一層の短縮化を実現し得る。加えて、親指の略沿線上に並べて配置した入力スイッチ押下部の押下方向が、親指の特徴的な動作の方向、すなわち、親指を人差し指に接近離間させる動作の方向に略合致するようにしてあるので、親指による正確且つ円滑な打鍵が可能になる。
<実施形態2 主に請求項3 構成>
【0045】
図2に示すように、本実施形態に係る掌内沿タイプキー入力装置0200も右手用であり、この掌内沿タイプキー入力装置0200が、先の実施形態1の掌内沿タイプキー入力装置と比較して特徴とするところは、親指Ftの略沿線Lt上にも複数(図示例では3個)の入力スイッチ押下部0210を並べて配置し、親指Ftの略沿線Lt上に並べられる入力スイッチ押下部0210の白抜き矢印で示す押下方向(X方向)と、親指Ftの略沿線Lt以外の沿線Li,Lm,Lr,Ll上に並べられる入力スイッチ押下部0210の黒太矢印で示す押下方向(Z方向)が、図中に拡大して示すように、略直交するようにした点にあり、他の構成は先の実施形態1の掌内沿タイプキー入力装置と同じである。
【0046】
つまり、本実施形態に係る掌内沿タイプキー入力装置0200では、親指Ftの指先FT側を人差し指側に接近離間させるといった親指Ft特有の動きに対して、親指Ftの略沿線Lt上に並べて配置した入力スイッチ押下部0210の押下方向がほぼ合致するようにしてある。
<実施形態2 主に請求項3 効果>
【0047】
本実施形態に係る掌内沿タイプキー入力装置によれば、親指による入力操作も可能になるので、打鍵に要する時間をより一層短縮することが可能であるという非常に優れた効果が得られる。加えて、親指による正確且つ円滑な打鍵が可能になるという非常に優れた効果が得られる。
<実施形態3>
【0048】
本実施形態は、主に請求項4に関する。
<実施形態3 主に請求項4 概要>
【0049】
本実施形態は実施形態1,2を基本としており、複数の入力スイッチ押下部の少なくとも一部は、ピアノを弾くときのような形で手を板面に置いた状態における指の根本付近の掌に配置される構成としたことを主たる特徴としている。
【0050】
本実施形態の掌内沿タイプキー入力装置では、指の根本付近の掌による入力操作も増やせる分だけ、打鍵に要する時間のより一層の短縮化を実現し得る。
<実施形態3 主に請求項4 構成>
【0051】
図3に示すように、本実施形態に係る掌内沿タイプキー入力装置0300も右手用であり、この掌内沿タイプキー入力装置0300が、先の実施形態1,2の掌内沿タイプキー入力装置と比較して特徴とするところは、ピアノを弾くときのような形で右手RHを板面BSに置いた状態における指の根本(図3では人差し指Fiの根本)付近の掌Hpにも入力スイッチ押下部0310を配置した点にあり、他の構成は先の実施形態1,2の掌内沿タイプキー入力装置と同じである。
<実施形態3 主に請求項4 効果>
【0052】
本実施形態に係る掌内沿タイプキー入力装置によれば、指の根本付近の掌による入力操作も可能になるので、打鍵に要する時間をより一層短縮することが可能であるという非常に優れた効果が得られる。
<実施形態4 キー配置例>
【0053】
本実施形態に係る掌内沿タイプキー入力装置において、キーは利用者の利用目的に応じた配置とし、ソフトウェア(上述した図1Hに示すROM0136に格納された制御プログラム等)によりキーの配置を切り替え可能とすることが望ましい。
また、本実施形態に係る掌内沿タイプキー入力装置において、キーの役割に応じて4種類のスイッチを使用することができる。すなわち、文字入力や他のキーと組み合わせて特殊キーとして使用する入力スイッチ押下部(Pushスイッチ),英字や数字等のモード選択に使用するロータリースイッチ,2つのモードの切り替えに使用するFlip Flopスイッチ,カーソルの移動等の連続入力に使用するロータリーエンコーダーを使用することができる。
さらに、掌内沿タイプキー入力装置を板面上で使用する場合には、入力装置の移動を感知するセンサを装置底面に設けてマウスとしての機能を持たせることが望ましい。
<実施形態3 ワープロ用のキー配置例>
【0054】
図4に、本実施形態に係る左右の掌内沿タイプキー入力装置をワープロ用の入力装置として採用する場合のキーの一配置例を示す。図4に示すように、左右の掌内沿タイプキー入力装置0400L,0400Rでは、いずれも親指用,人差し指用,中指用,薬指用,小指用に親指脇用及び小指脇用のキーを加えた横7列、指の略沿線上に4個のキーを並べて配置した縦4列のレイアウトとしており、英語及び日本語での入力で、且つ、マウスの機能を有するものとしている。
【0055】
漢字キー,Mouseキー,Modeキー,↑↓キー,←→キー,Symキー,Shiftキー,Ctrlキー,Altキー及びこれらのキー以外の文字キーに用いられるスイッチを図5に示す。
また、左右の掌内沿タイプキー入力装置0400L,0400Rによる入力操作の一例を図6図10に示す。
【0056】
図6,7には、英字キー入力により英語を入力する場合の入力操作の一例を示している。この英字入力において、A~Z(文字)キー,Symキー,Shiftキー,Ctrlキー,Altキー及びenterキーにはPushスイッチ、漢字英字の切り替えにはFlip Flopスイッチ、英字や数字等のモード選択にはロータリースイッチ,←→及び↑↓の連続量の入力にはロータリーエンコーダーを使用する。
【0057】
図8~10には、ローマ字入力により日本語を入力する場合の入力操作の一例を示している。このローマ字入力において、A~Z(文字)キー,Shiftキー,enterキー及び変換キーにはPushスイッチ、漢字英字の切り替えにはFlip Flopスイッチ、←→及び↑↓の連続量の入力にはロータリーエンコーダーを使用する。
<ローマ字入力の手順>
【0058】
ここで、ローマ字入力の手順の一例を簡単に説明する。
まず、漢字切り替えのFlip FlopスイッチをONにして日本語入力モードに切り替える。
次いで、A~Z(文字)キーを使用してヘボン式での仮名の入力を行う。この際、Shiftキーを押しながらA~Zキーを押すと小文字の入力となる。
次に、変換キーを押すことによって、入力済みの仮名の文字列を対象とした漢字文字列への変換を開始する。このように変換キーを押すと、仮名の文字列に対応する変換候補のうちの第1候補が情報処理装置の画面に表示される。このとき、仮名の文字列のうちの漢字変換対象範囲は色つきの背景として情報処理装置の画面に表示され、この漢字変換対象範囲の調整を行う場合には、↑↓のロータリーエンコーダーを回転させ、この操作により 漢字変換対象範囲としての色つきの背景部分が情報処理装置の画面上で拡縮する。
また、漢字文字列の変換候補の他候補を表示する場合には、←→のロータリーエンコーダーを回転させ、この操作により他候補を順次情報処理装置の画面に表示させる。
そして、確定のenterキーを押すことで変換候補を確定させると、これにより、情報処理装置の画面には、それまで色付けされていた漢字変換対象範囲の背景色が通常の状態に戻されて、変換確定状態になったことが示される。
【符号の説明】
【0059】
0100 掌内沿タイプキー入力装置
0110 入力スイッチ押下部
BS 板面
CL 曲線
CS 曲面
Fi 指(人差し指)
FT 指先
Hp 掌
Hw 手首
Li,Lm,Lr,Ll 指の略沿線
RH 手(右手)
【要約】
【課題】キーの打鍵に際して、指や関節を動かす筋肉に大きな負担を強いることなく、また、必要以上に指を動かすことなく、自然な動作で正確に打鍵することができ、その結果、入力操作に要する時間の短縮が実現可能な掌内沿タイプキー入力装置を提供する。
【解決手段】手RHの甲を上にして掌Hpの手首Hw近辺と、少なくとも一部の指先FTとが接地する状態でかつ他の部分は離間して手RHを板面BSに置いた状態で得られる掌Hpと人差し指Fiのなす曲線CLに略一致する曲面CS上に複数の入力スイッチ押下部0110を配置し、複数の入力スイッチ押下部0110は、各指の略沿線Li,Lm,Lr,Ll上に並べられるように配置される。
【選択図】図1D
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10