(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220325BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021130635
(22)【出願日】2021-08-10
【審査請求日】2021-08-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521425652
【氏名又は名称】株式会社ゼロボード
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】渡慶次 道隆
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特許第4538089(JP,B2)
【文献】特開2021-002282(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084125(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関ごとに料金から移動距離を推定するための推定情報を記憶する推定情報記憶部と、
前記交通機関ごとに前記移動距離に応じて環境負荷物質の排出量を算出するための排出係数を記憶する係数記憶部と、
従業員の交通費に係る前記交通機関及び前記料金を含む交通費情報の入力を受け付ける入力部と、
前記交通費情報に含まれる前記交通機関及び前記料金ならびに前記推定情報に基づいて、前記交通費情報に係る前記移動距離を算出する移動距離算出部と、
前記交通機関に対応する前記排出係数を前記移動距離に乗じて前記排出量を算出する排出量算出部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記交通費情報は、人事データに含まれる通勤手当に係るデータであること、
を特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には交通費精算の際に温室効果ガスの排出量を求めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では排出量を計算するにあたり経路を求める必要があり手間がかかる。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、環境負荷要因の排出量を容易に計算することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、情報処理システムであって、交通機関ごとに料金から移動距離を推定するための推定情報を記憶する推定情報記憶部と、前記交通機関ごとに前記移動距離に応じて環境負荷物質の排出量を算出するための排出係数を記憶する係数記憶部と、従業員の交通費に係る前記交通機関及び前記料金を含む交通費情報の入力を受け付ける入力部と、前記交通費情報に含まれる前記交通機関及び前記料金ならびに前記推定情報に基づいて、前記交通費情報に係る前記移動距離を算出する移動距離算出部と、前記交通機関に対応する前記排出係数を前記移動距離に乗じて前記排出量を算出する排出量算出部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、環境負荷要因の排出量を容易に計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の情報処理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】管理サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】管理サーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】交通費の申請フォーム30の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態の情報処理システムの動作について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本実施形態は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
交通機関ごとに料金から移動距離を推定するための推定情報を記憶する推定情報記憶部と、
前記交通機関ごとに前記移動距離に応じて環境負荷物質の排出量を算出するための排出係数を記憶する係数記憶部と、
従業員の交通費に係る前記交通機関及び前記料金を含む交通費情報の入力を受け付ける入力部と、
前記交通費情報に含まれる前記交通機関及び前記料金ならびに前記推定情報に基づいて、前記交通費情報に係る前記移動距離を算出する移動距離算出部と、
前記交通機関に対応する前記排出係数を前記移動距離に乗じて前記排出量を算出する排出量算出部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記交通費情報は、人事データに含まれる通勤手当に係るデータであること、
を特徴とする情報処理システム。
【0011】
<システム概要>
以下、本発明の一実施形態に係る情報処理システムについて説明する。本実施形態の情報処理システムは、企業などにおいて従業員等が交通費精算のための申請を受け付けるものであり、交通費に係る二酸化炭素(CO2)の排出量を計算しようとするものである。情報処理システムは、従業員等の移動に関して発生された二酸化炭素の排出量を算出する。なお、二酸化炭素に限らず、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N20)、フルオロカーボン類等の温室効果ガスや、それ以外の窒素酸化物(NOx)、硫化物(SOx)などの環境負荷物質について広く適用することができる。
【0012】
図1は、本実施形態の情報処理システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の情報処理システムは、管理サーバ20を含んで構成される。管理サーバ20は、ユーザ端末10と通信ネットワークを介して通信可能に接続される。通信ネットワークは、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0013】
ユーザ端末10は、従業員が操作するコンピュータである。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。従業員は交通費の申請を行うにあたり、ユーザ端末10から交通費に関する情報(以下、交通費情報という。)を入力して管理サーバ20にアップロードすることができる。
【0014】
管理サーバ20は、交通費精算の申請を受け付けるコンピュータである。管理サーバ20は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0015】
本実施形態では、説明を簡単にするため、管理サーバ20は、従業員からの交通費精算の申請は無条件で受け付けるものとするが、例えば、申請を受け付けた後に承認者から承認を受けるようにすることもできる。本実施形態の情報処理システムでは、管理サーバ20は、受け付けた交通費に関する環境負荷物質の
【0016】
<ハードウェア構成>
図2は、管理サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する管理サーバ装置20の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ20の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0017】
<ソフトウェア構成>
図3は、管理サーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ20は、例えば、交通費情報入力部211、移動距離算出部212、排出量算出部213、環境価値購入部214、移動距離推定情報記憶部231、排出係数記憶部233、交通費情報記憶部234を備える。
【0018】
==記憶部==
移動距離推定情報記憶部231は、交通費に関して従業員の移動距離を推定するための情報(以下、移動距離推定情報という。)を記憶する。移動距離推定情報は、例えば、単位距離(例えば1km)あたりの料金(以下、単位距離料金という。)とすることができる。移動距離推定情報は、例えば、段階的に単位距離料金が変動するような場合には、移動距離の範囲に対応付けて単位距離料金を含めるようにすることもできる。
【0019】
排出係数記憶部233は、環境負荷物質の排出量を算出するための排出係数を記憶する。排出係数記憶部233は、交通機関に対応付けて排出係数を記憶することができる。ある交通機関により移動した距離に排出係数を乗じることにより、当該交通機関によって排出された環境負荷物質の排出量を算出することができる。排出係数には、温室効果ガス(GHG)プロトコルのスコープ3、カテゴリー6及びカテゴリー7に規定されているものを用いることができる。
【0020】
交通費情報記憶部234は、交通費情報を記憶する。交通費情報記憶部234は、従業員を特定するユーザIDに対応付けて交通費情報を記憶することができる。
【0021】
==機能部==
交通費情報入力部211は、交通費情報の入力を受け付ける。交通費情報は、従業員の交通費に係る交通機関及び料金を含む。交通機関は、例えば、電車、バス、地下鉄、タクシー等の交通手段の種類である。なお、交通機関を特定の交通手段(例えば、○○電鉄の電車、あるいは○○電鉄の△△両編成の特急××等)としてもよい。
【0022】
図4は、交通費の申請フォーム30の一例を示す図である。申請フォーム30には、交通機関301、路線302、出発303、到着304、金額305、社員番号306の入力欄が含まれる。交通機関301には、交通費に係る交通機関の種別を入力する。出発303及び到着304には、駅やバス停など、交通機関による移動の出発地点と到着地点とを特定する情報を入力する。社員番号306は、従業員を特定する情報(ユーザID)の一例である。交通費の申請フォーム30は、支給交通費(自宅から勤務先までの通勤に係る定期代等の交通費及び営業活動等で従業員が外出した場合などの交通費)のための申請に係るものであってもよいし、出張旅費の申請に係るものであってもよい。
【0023】
交通費情報入力部211は、申請フォーム30を表示するための画面情報をユーザ端末10に送信し、ユーザ端末10において入力された交通費情報をユーザ端末10から受信することができる。交通費情報入力部211は、入力された交通費情報を交通費情報記憶部234に登録する。
【0024】
なお、交通費情報入力部211は、ユーザ端末10から交通費情報を受信することに限らず、例えば、人事労務データを管理するシステムから、例えば、通勤手当や出張手当などに係る交通機関や料金が含まれた人事データを交通費情報として取得するようにするようにしてもよい。
【0025】
移動距離算出部212は、交通費情報に係る移動距離を算出する。移動距離算出部212は、交通費情報に含まれる交通機関及び料金と、移動距離推定情報とに基づいて移動距離を算出することができる。例えば、移動距離算出部212は、交通費情報に含まれる料金を、交通機関に対応する単位距離料金で割ることにより移動距離を算出することができる。
【0026】
排出量算出部213は、交通費情報に係る排出量を算出する。排出量算出部213は、交通費情報に含まれる交通機関に対応する排出係数を、移動距離算出部212が算出した移動距離に乗じて排出量を算出することができる。
【0027】
環境価値購入部214は、環境負荷物質の排出量をオフセットするための環境価値を購入する。環境価値購入部214は、外部サーバ(不図示)にアクセスして、J-クレジットなどの環境価値を購入することができる。環境価値購入部214は、排出量算出部213が算出した交通費に係る排出量をオフセットするべく、環境価値を購入することができる。
【0028】
<動作>
図5は、本実施形態の情報処理システムの動作について説明する図である。
【0029】
管理サーバ20は、交通費の申請データ(交通費情報)の入力を受け付け(S401)、交通費情報に含まれる交通機関に対応する単位距離料金で、交通費情報の含まれる料金を割って移動距離を推定する(S402)。管理サーバ20は、推定した移動距離に、交通費情報に含まれる交通機関に対応する排出係数を乗じて排出量を算出し(S403)、算出した排出量を出力する(S404)。管理サーバ20は、例えば、排出量を含むメッセージや画面情報などをユーザ端末10に送信することができる。
【0030】
管理サーバ20は、排出量に対応する環境価値を購入することにより(S405)、従業員の移動におり排出された二酸化炭素の排出量をオフセットすることができる。
【0031】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0032】
例えば、本実施形態では、管理サーバ20はユーザ端末10から交通費情報の入力を受け付けるものとしたが、管理サーバ20自信が従業員からキーボードやマウス、タッチパネルなどの入力装置を用いて交通費情報の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0033】
また、管理サーバ20は、交通費情報の申請用紙を撮影した画像データを受け付けるようにして、画像データから交通費情報を読み取るようにすることもできる。
【0034】
また、本実施形態では、交通費精算の申請を受け付けたことを契機として排出量の算出及び排出量に応じた環境価値の購入を行うものとしたが、これに限らず、例えば、企業等の使用者側において従業員から申請された交通費精算の承認が得られたことを契機として行うようにしてもよい。また、情報処理システムでは、交通費精算の申請を受け付けずに、他のシステムで受け付けられ、また必要に応じて承認され、交通費情報記憶部234に記憶された交通費情報に基づいて、排出量の算出を行うようにし、また環境価値の購入を行うようにすることができる。
【符号の説明】
【0035】
211 交通費情報入力部
212 移動距離算出部
213 排出量算出部
214 環境価値購入部
231 移動距離推定情報記憶部
233 排出係数記憶部
234 交通費情報記憶部
【要約】
【課題】環境負荷要因の排出量を容易に計算することができるようにする。
【解決手段】情報処理システムであって、交通機関ごとに料金から移動距離を推定するための推定情報を記憶する推定情報記憶部と、交通機関ごとに移動距離に応じて環境負荷物質の排出量を算出するための排出係数を記憶する係数記憶部と、従業員の交通費に係る交通機関及び料金を含む交通費情報の入力を受け付ける入力部と、交通費情報に含まれる交通機関及び料金ならびに推定情報に基づいて、交通費情報に係る移動距離を算出する移動距離算出部と、交通機関に対応する排出係数を移動距離に乗じて排出量を算出する排出量算出部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1