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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/08 20060101AFI20220325BHJP
   F16L 37/091 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
F16L21/08 B
F16L37/091
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017220770
(22)【出願日】2017-11-16
(65)【公開番号】P2019090503
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】寺田 孝
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-314776(JP,A)
【文献】特開2016-223544(JP,A)
【文献】特開2015-048913(JP,A)
【文献】特開2003-329183(JP,A)
【文献】中国実用新案第204420382(CN,U)
【文献】特表2009-513886(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1439499(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/08
F16L 37/091
F16L 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側奥部に管体の最奥端と当接する段付面を有する筒状で金属製の継手本体と、該継手本体の開口部にねじ締結により組付けられる筒状で金属製のキャップ部材とを備え、
前記継手本体の開口部の内周面の一部に雌ねじが形成され、前記キャップ部材の外周面の一部に雄ねじが形成されて、前記雌ねじと雄ねじとのねじ締結により、前記継手本体の開口部に前記キャップ部材が組付けられ、前記継手本体およびキャップ部材が組付けられた状態で、前記管体が挿込まれる挿入空間が形成される管継手であって、
挿込まれた前記管体の外周面に係止して該管体の引抜きを規制するロックリングと、挿込まれた前記管体の外周面と前記挿入空間の周面に接触して、前記管体の最奥端と前記段付面との隙間から漏洩した流体が前記管継手の外部へ漏洩することを抑制するシールリングとをさらに備え、
前記ロックリングは、前記継手本体の内部に設けられ、
前記シールリングは、前記キャップ部材の内周面に設けられ、前記管体の外周面及び前記キャップ部材の内周面に当接するように設けられ、
前記継手本体およびキャップ部材は、組付けられた状態で、軸心方向で互いに接触する当接面を、前記挿入空間の径方向外方に備え、
前記当接面の少なくとも一部は当接してシールされる当接シール面とされ
前記当接シール面は、前記雌ねじと雄ねじとのねじ締結部分に対し、前記段付面側で且つ径方向内方に配置されたことを特徴とする管継手。
【請求項2】
記当接シール面は、前記雌ねじと雄ねじとのねじ締結部分に対し、前記段付面と反対側で且つ径方向方に配置された請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
内側奥部に管体の最奥端と当接する段付面を有する筒状で金属製の継手本体と、該継手本体の開口部にねじ締結により組付けられる筒状で金属製のキャップ部材とを備え、
前記継手本体の開口部の内周面の一部に雌ねじが形成され、前記キャップ部材の外周面の一部に雄ねじが形成されて、前記雌ねじと雄ねじとのねじ締結により、前記継手本体の開口部に前記キャップ部材が組付けられ、前記継手本体およびキャップ部材が組付けられた状態で、前記管体が挿込まれる挿入空間が形成される管継手であって、
挿込まれた前記管体の外周面に係止して該管体の引抜きを規制するロックリングと、挿込まれた前記管体の外周面と前記挿入空間の周面に接触して、前記管体の最奥端と前記段付面との隙間から漏洩した流体が前記管継手の外部へ漏洩することを抑制するシールリングとをさらに備え、
前記継手本体およびキャップ部材は、組付けられた状態で、軸心方向で互いに接触する当接面を、前記挿入空間の径方向外方に備え、
前記当接面の少なくとも一部は当接してシールされる当接シール面とされ、
前記当接シール面は、前記雌ねじと雄ねじとのねじ締結部分に対し、前記段付面側で且つ径方向内方に配置され、
前記継手本体に前記キャップ部材を組付けた状態において、前記継手本体の開口部の内周面と前記キャップ部材の外周面との隙間をシールする外側シールリングが介装されている管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管継手に関し、特に、挿込まれた管体の引抜きを規制するロックリングを備えた管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の管継手として、下記特許文献1に記載の技術が提案されている。この管継手は、内側奥部に管体の最奥端と当接する段付面を有する筒状の継手本体と、継手本体の開口部にねじ締結により組付けられる筒状のキャップ部材とを備える。この管継手では、継手本体とキャップ部材とが組付けられた状態で、管体が挿込まれる。
【0003】
また、管継手は、挿込まれた管体の最奥端と段付面との隙間から漏洩した流体が、管継手の外部へ漏洩することを抑制するシールリングと、挿込まれた管体の引抜きを規制するロックリングとを備える。
【0004】
シールリングは、継手本体の内周面に形成されたシール収容部に装着されている。ロックリングは、キャップ部材の内周面に形成されたロックリング収容部に装着されている。ロックリングは、環状板の中心孔の周囲に形成された複数の爪を有している。
【0005】
上記構成の管継手によれば、管体の挿込み時にロックリングの爪が管体の外周面に押されて弾性的に拡径することで、管体を、その最奥端が段付面に当接するまで挿込むことができる。管体の挿通後に、管体に引抜き方向の力が働けば、ロックリングの爪の先端が管体の外表面に食い込み、管体が引抜かれることを規制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-223544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したような、継手本体とキャップ部材とが組付けられた状態で管体が挿込まれる管継手の構成では、挿込まれた管体の最奥端と段付面との隙間から漏洩した流体が、継手本体とキャップ部材との隙間を通り、管継手の外部へ漏洩することがある。
【0008】
そこで本発明は、継手本体とキャップ部材とが組付けられた状態で管体が挿込まれる管継手であっても、流体の漏洩を抑制し得る管継手の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の管継手は、内側奥部に管体の最奥端と当接する段付面を有する筒状で金属製の継手本体と、該継手本体の開口部にねじ締結により組付けられる筒状で金属製のキャップ部材とを備え、前記継手本体およびキャップ部材が組付けられた状態で、前記管体が挿込まれる挿入空間が形成され、挿込まれた前記管体の外周面に係止して該管体の引抜きを規制するロックリングと、挿込まれた前記管体の外周面と前記挿入空間の周面に接触して、前記管体の最奥端と前記段付面との隙間から漏洩した流体が前記管継手の外部へ漏洩することを抑制するシールリングとをさらに備え、前記継手本体およびキャップ部材は、組付けられた状態で、軸心方向で互いに接触する当接面を、前記挿入空間の径方向外方に備え、前記当接面の少なくとも一部は当接してシールされる当接シール面とされたことを特徴としている。
【0010】
上記構成を備える本発明の管継手では、継手本体の開口部にキャップ部材をねじ締結により組付けると、管体が挿込まれる挿入空間が形成される。この管継手の挿入空間に管体を挿込む際には、シールリングは、管体の外周面および挿入空間の周面との間で押圧されて径方向に圧縮される。ロックリングでは、その爪が管体の外周面により弾性的に径方向外方へ押されて管体の挿通が許容され、これにより管体の最奥端を継手本体の内側奥部の段付面に当接させるまで、管体を挿入空間に挿入させられる。
【0011】
上記のようにして、管体を管継手の挿入空間に挿込んだ使用状態において、流体が管体内を流れ、管体の最奥端開口と継手本体の段付面との隙間から流体が漏洩する場合、管体の外周面と挿入空間の周面に接触して圧縮されているシールリングにより、管体の外周面と挿入空間の周面の間からの、管継手の外部への流体の漏洩が抑制できる。
【0012】
また、本発明の管継手では、継手本体およびキャップ部材という別部材どうしの当接面が軸心方向で当接するよう、継手本体の開口部にキャップ部材がねじ締結により組付けられ、当接面の少なくとも一部は当接シール面とされている。このため、継手本体およびキャップ部材の当接面どうしの隙間は、当接シール面により確実にシールされるから、管体の最奥端開口と継手本体の段付面との隙間から流体が漏洩する場合でも、継手本体およびキャップ部材の当接面どうしの隙間からの、管継手の外部への流体の漏洩が抑制できる。
【0013】
本発明の管継手では、前記継手本体の開口部の内周面の一部に雌ねじが形成され、前記キャップ部材の外周面の一部に雄ねじが形成されて、前記雌ねじと雄ねじとのねじ締結により、前記継手本体の開口部に前記キャップ部材が組付けられ、前記当接シール面は、前記雌ねじと雄ねじとのねじ締結部分に対し、前記段付面側で且つ径方向内方に配置された構成を採用できる。
【0014】
上記構成の管継手では、雌ねじと雄ねじとのねじ締結部分に対し、段付面側で且つ径方向内方に配置された当接シール面により、継手本体およびキャップ部材の当接面どうしの隙間からの、管継手の外部への流体の漏洩が抑制できる。
【0015】
本発明の管継手では、前記継手本体の開口部の内周面の一部に雌ねじが形成され、前記キャップ部材の外周面の一部に雄ねじが形成されて、前記雌ねじと雄ねじとのねじ締結により、前記継手本体の開口部に前記キャップ部材が組付けられ、前記当接シール面は、前記雌ねじと雄ねじとのねじ締結部分に対し、前記段付面と反対側で且つ径方向外方に配置された構成を採用できる。
【0016】
上記構成の管継手では、雌ねじと雄ねじとのねじ締結部分に対し、段付面と反対側で且つ径方向外方に配置された当接シール面により、継手本体およびキャップ部材の当接面どうしの隙間からの、管継手の外部への流体の漏洩が抑制できる。
【0017】
本発明の管継手では、前記継手本体の開口部の内周面の一部に雌ねじが形成され、前記キャップ部材の外周面の一部に雄ねじが形成されて、前記雌ねじと雄ねじとのねじ締結により、前記継手本体の開口部に前記キャップ部材が組付けられ、前記継手本体に前記キャップ部材を組付けた状態において、前記継手本体の開口部の内周面と前記キャップ部材の外周面との隙間をシールする外側シールリングが介装された構成を採用できる。
【0018】
上記構成を備えた管継手によれば、継手本体にキャップ部材を組付けた状態において、継手本体およびキャップ部材の当接面どうしの隙間は、当接シール面によりシールされるとともに、外側シールリングにより確実にシールされる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の管継手によれば、シールリングにより、管体の外周面と挿入空間の周面の間からの管継手の外部への流体の漏洩が抑制でき、当接シール面により、継手本体およびキャップ部材の当接面どうしの隙間からの管継手の外部への流体の漏洩が抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一の実施形態に係る管継手の一部破断側面図である。
図2】同ロックリングの単体図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図3】本発明の第二の実施形態に係る管継手の一部破断側面図である。
図4】本発明の第三の実施形態に係る管継手の一部破断側面図である。
図5】本発明の第四の実施形態に係る管継手の一部破断側面図である。
図6】本発明の第五の実施形態に係る管継手の一部破断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る管継手を、図1ないし図5を参照しつつ説明する。本実施形態に係る管継手1は、管体2A,2Bの一例である医療用ガス銅管どうし、冷媒用銅管どうし等を継ぐために好適に用いられる。なお、これら、医療用ガス、冷媒(ガス、液体の双方を含む)等は、例えば水道水の水圧に対し、一般的に高圧であることが知られている。
【0022】
図1に示すように、第一の実施形態に係る管継手1は、継手本体3と、キャップ部材4と、複数種のシールリングと、複数のロックリング5,5とを備える。管継手1は、接続される管体2A,2Bどうしを継ぐために、管体2A,2Bの軸心方向(長手方向)に沿う方向の中心位置において、左右対称構造の管継手部6A、6Bを、一対且つ一体として構成されている。このため、以下の説明において、中心位置に対し一方側の管継手部6Aの構成の説明をもって、他方側の構成の説明を兼用する。
【0023】
なお、一方側の管継手部6Aおよび他方側の管継手部6Aは、左右対称構成とし一体とした継手本体3を有するが、以下の説明において、左右対称構成とし一体とした継手本体3であっても、一方側の管継手部6Aの構成の説明において継手本体3とした場合は、一方側の管継手部6Aが占める領域の継手本体3を表す。
【0024】
以下、一方側の管継手部6Aの構成を説明する。管継手部6Aは、継手本体3と、複数のロックリング5と、キャップ部材4と、複数種のシールリングとを備える。継手本体3は金属製であり、内部に本体側挿入空間7を有した筒状に形成されている。継手本体3は、管体2Aを挿込み始める端側(便宜上、以下「一次側」と称する)である本体大径部8と、管体2Aの挿込み終える奥側(便宜上、以下「二次側」と称する)である本体小径部9とを一体的に備える。本体大径部8は本体小径部9に比べて大径に形成されている。
【0025】
継手本体3の本体大径部8(一次側端部)の内部は、開口部10とされている。本体大径部8の内周面の一部である、二次側寄りの軸心方向に沿う領域に、雌ねじが形成されている。本体大径部8の一次側端の内周面に、外側シールリングとしての大径シールリング11を外径側部分で収容するための、環状の本体側大径シール収容凹部12が形成されている。本体大径部8の一次側端面は、キャップ部材4のキャップ側第一当接面13と当接する、本体側第一当接面14である。
【0026】
開口部10は、キャップ部材4の二次側領域を挿入させる円柱状の大径空間である。この開口部10の二次側に、本体側挿入空間7が連通して形成されている。継手本体3の本体側挿入空間7の内側奥部は縮径されて、挿入される管体2Aの最奥端面15と当接する環状の段付面16が形成されている。段付面16は、管継手1の継手本体3の軸心方向に沿う方向の中心位置に、縮径されるよう形成された段付壁17の一方側の側面であり、軸心方向に直交する平面内に配置されている。
【0027】
継手本体3は、ロックリング収容部18を有する。ロックリング収容部18は、本体大径部8と本体小径部9との間に配置されている。ロックリング収容部18は、本体側挿入空間7における開口部10側の端位置に形成されている。ロックリング収容部18は、本体側挿入空間7より大径で開口部10よりも小径に形成されている。ロックリング収容部18の径は、ロックリング5の外径に比べてわずかに大きく設定されることで、ロックリング収容部18にロックリング5が収容可能とされている。ロックリング収容部18の軸心方向に沿う長さは、複数(この場合、2個)のロックリング5を収容可能に設定されている。
【0028】
ロックリング収容部18における段付面16側の端面は、ロックリング5が二次側へ移動することを阻止する係止面19である。この係止面19は、段付面16に対し一次側に配置され、環状に形成されている。係止面19は、軸心方向に直交する平面内に配置されている。
【0029】
ここで、ロックリング5の構成について説明する。複数のロックリング5は同様の構成であるので、一方のロックリング5の構成の説明を他方のロックリング5の説明に兼用する。
【0030】
ロックリング5は金属製である。図1図2(a)(b)に示すように、ロックリング5は、軸心方向に沿う環状のフランジ20と、フランジ20の端部から中心側へ折曲して形成された環状の爪保持部21と、爪保持部21の内周面に折曲して形成された複数の爪22とを備えている。
【0031】
特に、各爪22は、爪保持部21の内周面に、周方向に等間隔を置いて配置され、管体2Aの挿通方向(二次側)に向かって傾斜するように折曲げ加工されている。爪22の外径線は、円弧状に形成されている。爪22は、その先端どうしを結ぶ仮想円C(図面上の二点鎖線)を、管体2Aの外径よりもわずかに小径とするよう形成されている。このロックリング5が、ロックリング収容部18に軸心方向で接触するよう並べて配置されている。
【0032】
ロックリング収容部18(本体側挿入空間7)と開口部10とは、軸心方向に直交し、段付面16、係止面19と平行な環状の本体側第二当接面23とされている。本体側第二当接面23は、キャップ部材4のキャップ側第二当接面24と当接して、当接シール面の一例であるメタルタッチシール面を構成する一方側の面である。このため、本体側第二当接面23は、平滑面に加工されている。本体側第二当接面23は、雌ねじに対し段付面16側で、且つ径方向内方に配置されている。
【0033】
次に、キャップ部材4の構成を説明する。キャップ部材4は、継手本体3の開口部10に、ねじ締結により組付けられる。キャップ部材4は金属製である。キャップ部材4は、内部をキャップ側挿入空間25とした筒状に形成されている。キャップ側挿入空間25は、継手本体3にキャップ部材4を組付けた状態で本体側挿入空間7に連通する。キャップ部材4は、補助シールリング26を装着する補助シール収容部27を有する減縮部28と、減縮部28の二次側に一体的に形成されたキャップ大径部29と、キャップ大径部29の二次側に一体的に形成されたキャップ小径部30とを備える。
【0034】
減縮部28の外周面は、一次側へ向けて減縮されていることで円錐状に形成されている。減縮部28の内周面に、補助シールリング26を装着する補助シール収容部27が形成されている。補助シールリング26は、管体2Aの外周面に接触して、管体2Aのうち、管継手1の外部においてその外周面に発生する結露を、管継手1の内部に浸入させないよう補助する。
【0035】
キャップ大径部29は、工具で把持される部分であり、キャップ部材4は、キャップ大径部29を工具で把持して回転させられることで、継手本体3に螺着される。
【0036】
キャップ小径部30は、キャップ大径部29に比べて小径に形成されている。キャップ大径部29とキャップ小径部30とは、キャップ側第一当接面13を介して一体的に形成されている。キャップ側第一当接面13は、軸心方向に直交する平面内にあって環状に形成されている。キャップ小径部30の外周面の一次側端寄り、すなわちキャップ側第一当接面13寄りに、大径シールリング11を内径側部分で収容するための、環状のキャップ側大径シール収容凹部31が形成されている。キャップ小径部30の外周面のうち、キャップ側大径シール収容凹部31に対し二次側に、雌ねじに螺合する雄ねじが形成されている。
【0037】
キャップ小径部30における二次側の端面である小径部二次側端面32は、環状に形成された面である。小径部二次側端面32は、本体側第二当接面23に比べて径方向に沿う長さを長く設定されている。小径部二次側端面32は、本体側第二当接面23に軸心方向で当接するキャップ側第二当接面24と、一次側のロックリング5の爪保持部21の一次側面に当接可能な押え面33とを備えている。キャップ側第二当接面24と押え面33との間には、環状の凹部(符号省略)が形成されている。
【0038】
キャップ側第二当接面24は、メタルタッチシール面を構成する他方側の面である。このため、キャップ側第二当接面24は、平滑面に加工されている。キャップ側第二当接面24は、雄ねじに対し段付面16側で、且つ径方向内方に配置されている。キャップ側第二当接面24の径方向外方部、径方向内方部には面取りが施されている。
【0039】
キャップ部材4の内周面に、小径シールリング35,35の収容凹部34が軸心方向に離間して配置され、収容凹部34,34ごとに小径シールリング35装着されている。二次側に配置されている収容凹部34(小径シールリング35)と小径部二次側端面32とは軸心方向に離間して配置されている。
【0040】
本実施形態における管継手1では、上記構成の管継手部6Aが左右対称として一対・一体構造として構成されている。管継手1では、継手本体3のロックリング収容部18にロックリング5,5が、軸心方向に並べて装着される。キャップ部材4では、収容凹部34,34に、小径シールリング35,35が装着され、補助シール収容部27に補助シールリング26が装着され、キャップ側大径シール収容凹部31に、大径シールリング11がその内径側部分で装着される。このように継手本体3、キャップ部材4にそれぞれ各部材を装着した状態で、継手本体3の開口部10にキャップ部材4のキャップ小径部30を挿入し、雄ねじと雌ねじのねじ締結により組付ける。これにより、継手本体3とキャップ部材4とが一体化され、本体側挿入空間7とキャップ側挿入空間25とが連通して、管体2Aの挿入空間が形成される。
【0041】
継手本体3の開口部10にキャップ部材4を、雄ねじと雌ねじのねじ締結により組付ける際には、キャップ大径部29を工具で把持するようにし、キャップ部材4を回転させて、継手本体3にキャップ部材4を締付ける。そうすると、大径シールリング11の外径側部分が本体側大径シール収容凹部12に収容される。
【0042】
また、大径シールリング11は、キャップ側大径シール収容凹部31の外周面および本体側大径シール収容凹部12の内周面の間で挟持されて、圧縮される。これにより、雄ねじと雌ねじの螺合部分であるねじ締結部分36に対し、軸心方向外方において本体大径部8の内周面とキャップ小径部30の外周面との隙間がシールされる。軸心方向外方とは、一方側の管継手部6Aにおいては一次側(管体2Aを流れる流体が流入する側)であり、他方側の管継手部6Aにおいては、一方側の管継手部6Aと左右対称構造であることから、二次側(管体2Aを流れる流体が流出する側)である。
【0043】
以下の作用の説明は、一方側の管継手部6Aにおいて行う。上記のように、継手本体3およびキャップ部材4を組付けて管継手1とし、管継手1のキャップ側挿入空間25から本体側挿入空間7へ(一次側から二次側へ)、管体2Aを挿込む。管体2Aをキャップ側挿入空間25へ挿込むと、管体2Aの外周面と、補助シール収容部27の外周面との間で補助シールリング26が弾性的に圧縮される。管体2Aをさらに挿込むと、管体2Aの外周面と収容凹部34,34の外周面との間で小径シールリング35,35が圧縮される。
【0044】
二次側に配置されている収容凹部34と小径部二次側端面32とは軸心方向に離間して配置されているから、管体2Aをさらに挿込むと、管体2Aの先端側部分は、キャップ小径部30における収容凹部34と小径部二次側端面32との間の内周面に案内されて、ロックリング5,5に至る。
【0045】
ロックリング5,5では、爪22が管体2Aの外周面により弾性的に径方向外方へ押されて管体2Aの挿通が許容されるから、管体2Aの最奥端面15が段付面16に当接するまで、管体2Aを挿入空間(本体側挿入空間7)に挿入させることができる。管体2Aの挿通後は、管体2Aに引抜き方向の力が働くと、爪22の先端が管体2Aの外表面に食い込んで、管体2Aが引抜かれることを阻止する。そして、ロックリング5,5の一次側への移動は、爪保持部21の一次側面に押え面33が当接することで阻止される。
【0046】
本実施形態の管継手1は、継手本体3およびキャップ部材4を組付けておいて、管体2Aを所定長だけ差込む操作で引抜きを規制できる。このような管継手1は、ワンタッチ継手とも称される。なお、他方側の管継手部6Aにも、一方側の管継手部6Aと同様に、管体2Aが挿込まれる。
【0047】
本実施形態における管継手1では、挿入空間に管体2Aを挿込む際に、補助シールリング26、小径シールリング35,35は、管体2Aの外周面および挿入空間の周面との間で押圧されて径方向に圧縮される。
【0048】
管体2Aを管継手1の挿入空間に挿込んだ使用状態において、流体が管体2A内に供給されて流れ、管体2Aの最奥端面15と継手本体3の段付面16との隙間から流体が漏洩する場合、管体2Aの外周面と挿入空間の周面に接触して圧縮されている補助シールリング26、小径シールリング35,35により、管体2Aの外周面と挿入空間の周面の間からの、管継手1の外部への流体の漏洩が抑制できる。
【0049】
本実施形態に係る管継手1では、ロックリング5,5に対し一次側に小径シールリング35,35が配置されている。すなわち、管継手1に管体2Aを挿込み終えた際に、管体2Aの外周面において小径シールリング35,35が接触する部分には、ロックリング5,5の爪22との接触による傷がない。このため、キャップ部材4の内側と管体2Aの外周面との隙間は、小径シールリング35,35により確実にシールされる。
【0050】
ところで、本実施形態における管継手1は、継手本体3およびキャップ部材4という別部材どうしを軸心方向で組付けられる。この際、キャップ側第一当接面13と本体側第一当接面14とが軸心方向で当接する。また、キャップ側第二当接面24と本体側第二当接面23とが軸心方向で当接する。そして、キャップ側第二当接面24および本体側第二当接面23は、当接シール面であるメタルタッチシール面を構成する。
【0051】
このため、継手本体3およびキャップ部材4の隙間は、ねじ締結部分36に対し径方向内方位置で、且つ挿入空間の径方向外方位置において、メタルタッチシール面により確実にシールされる。よって、管体2Aの最奥端面15と継手本体3の段付面16との隙間から流体が漏洩する場合でも、継手本体3およびキャップ部材4の隙間からの、管継手1の外部への流体の漏洩が抑制できる。なお、仮にメタルタッチシール面から流体が漏洩した場合は、大径シールリング11により漏洩が抑制される。
【0052】
本発明の管継手1は、上記実施形態に限定されない。図3は、本発明の第二の実施形態に係る管継手1を表している。第二の実施形態に係る管継手1が第一の実施形態の管継手1と異なる構成は、メタルタッチシール面である。第一の実施形態に係る管継手1では、キャップ側第二当接面24および本体側第二当接面23により、メタルタッチシール面を構成した場合を例示した。
【0053】
第二の実施形態におけるメタルタッチシール面は、キャップ側第一当接面13および本体側第一当接面14により構成される。キャップ側第一当接面13および本体側第一当接面14は平滑面に形成され、本体側第一当接面14の径方向外方部、径方向内方部には面取りが施されている。第二の実施形態におけるメタルタッチシール面は、キャップ側第一当接面13および本体側第一当接面14により構成されるから、ねじ締結部分36に対し径方向外方位置で、且つ挿入空間の径方向外方位置に配置されている。
【0054】
大径シールリング11は第一の実施形態と同じ位置に配置されている。大径シールリング11は、キャップ側大径シール収容凹部31の外周面および本体側大径シール収容凹部12の内周面の間で挟持されて、圧縮される。これにより、雄ねじと雌ねじの螺合部分であるねじ締結部分36に対し、軸心方向外方において本体大径部8の内周面とキャップ小径部30の外周面との隙間がシールされる。
【0055】
第二の実施形態に係る管継手1では、管体2Aの最奥端面15と継手本体3の段付面16との隙間から漏洩した流体は、大径シールリング11により外部への漏洩が抑制され、仮に流体が大径シールリング11から外部へ向けて移動しても、キャップ側第一当接面13および本体側第一当接面14により構成されるメタルタッチシール面により、継手本体3およびキャップ部材4の隙間からの、管継手1の外部への流体の漏洩が抑制できる。その他の作用効果は第一の実施形態と同様であるので、繰返さない。
【0056】
図4は、第三の実施形態に係る管継手1を表している。第三の実施形態に係る管継手1では、メタルタッチシール面が、二次側へ向けて縮径されるテーパー面である。キャップ部材4のキャップ小径部30における二次側端の外周が二次側へ向けて縮径されるキャップ錐面40とされ、継手本体3の本体小径部9とロックリング収容部18との境界面が二次側へ向けて縮径される本体錐面41とされている。キャップ錐面40および本体錐面41は、平滑面に形成されている。
【0057】
この場合、メタルタッチシール面は、ねじ締結部分36に対し径方向内方位置で、且つ挿入空間の径方向外方位置に配置されており、メタルタッチシール面により、継手本体3およびキャップ部材4の隙間は確実にシールされる。
【0058】
図5は、第四の実施形態に係る管継手1を表している。第一の実施形態における管継手1では、本体側第二当接面23を、軸心方向に直交し、段付面16、係止面19と平行な環状の平面とし、キャップ側第二当接面24を、平滑面の径方向外方部、径方向内方部に面取りを施す断面形状とした。これに対し、第四の実施形態における管継手1では、本体側第二当接面23が、平滑面の径方向外方部、径方向内方部において面取りを施された断面形状とされている。また、押え面33の径方向外方部が軸心方向に直交し、段付面16、係止面19と平行な環状の平滑面とされて、キャップ側第二当接面24とされている。そして、本体側第二当接面23およびキャップ側第二当接面24が、メタルタッチシール面とされている。
【0059】
この場合、メタルタッチシール面は、ねじ締結部分36に対し径方向内方位置で、且つ挿入空間の径方向外方位置に配置されており、メタルタッチシール面により、継手本体3およびキャップ部材4の隙間は確実にシールされる。
【0060】
図6は、第五の実施形態に係る管継手1を表している。第五の実施形態に係る管継手1では、第三の実施形態に係る管継手1における本体錐面41を平滑面として、本体側第二シール面がメタルタッチシール面として用いられる構成である。この場合、本体錐面41の傾斜は軸心方向に対し、所定の傾斜角度(例えば、軸心方向に対して45°の傾斜)に設定される。また、キャップ部材4の小径部二次側端面32全体は、軸心方向に直交し、段付面16、係止面19と平行な環状の平滑面とされている。そして、キャップ小径部30の小径部二次側端面32と、キャップ小径部30の外周面との連続部分の角部40aが、メタルタッチシール面として用いられる。
【0061】
第一の実施形態ないし第四の実施形態に係る管継手1では、予めメタルタッチシール面を平面として形成した場合の例示である。これに対し、第五の実施形態に係る管継手1は、継手本体3にキャップ部材4を締付けることで、平面である本体錐面41に、キャップ小径部30の角部40aを圧接させて、本体錐面41と角部40aとを面状で当接させることで、メタルタッチシール面としている。
【0062】
この場合、メタルタッチシール面は、ねじ締結部分36に対し径方向内方位置で、且つ挿入空間の径方向外方位置に配置されており、メタルタッチシール面により、継手本体3およびキャップ部材4の隙間は確実にシールされる。
【0063】
他の実施形態として、例えば、全ての実施形態において、大径シールリング11を省略することも可能である。この場合、継手本体3には、本体側大径シール収容凹部12は形成されておらず、キャップ部材4には、キャップ側大径シール収容凹部31は形成されない。
【0064】
この構成において、例えば第一の実施形態の管継手1では、キャップ側第二当接面24と本体側第二当接面23とが軸心方向で当接することでメタルタッチシール面とされ、管体2Aの最奥端面15と継手本体3の段付面16との隙間から流体が漏洩する場合でも、継手本体3およびキャップ部材4の隙間からの、管継手1の外部への流体の漏洩が抑制できる。
【0065】
上記第二の実施形態では、キャップ側第一当接面と本体側第一当接面とが軸心方向で当接するメタルタッチシール面とされる場合を例示し、第一の実施形態、第三の実施形態、第四の実施形態、第五の実施形態では、キャップ側第二当接面と本体側第二当接面とが軸心方向で当接するメタルタッチシール面とされる場合を例示した。しかしながら、例えば、第一の実施形態、第三の実施形態、第四の実施形態、第五の実施形態の管継手1に、第二の実施形態で示したように、キャップ側第一当接面と本体側第一当接面とが軸心方向で当接するメタルタッチシール面とされる構成を併せ持つ管継手1とすることもできる。
【0066】
上記各実施形態では、管継手1は一対の管継手部6Aを一体に備えた場合を例示した。しかしながら、管継手部のうちの少なくとも一方が本発明の管継手部6Aであればよく、他方の管継手部は本発明の管継手部6Aでなくてもよい。
【0067】
上記各実施形態では、当接シール面の一例として、金属材料製の部材どうしの当接面であるメタルタッチシール面を挙げた。しかしながら、当接シール面により継手本体3およびキャップ部材4の隙間が確実にシールされる構成であれば、金属材料製の部材どうしの当接面に特定されず、樹脂材料どうしの当接、樹脂材料と金属材料の当接構造とすることもできる。
【0068】
なお、補助シールリング26は必ずしも必要ではなく、結露が生じないような管体2A,2Bを接続する場合には不要である。この場合では、補助シール収容部27は不要である。また、管継手1により継がれる管体2A,2Bは金属製に限定されず、金属と樹脂の複合管体であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…管継手、2A,2B…管体、3…継手本体、4…キャップ部材、5,5…ロックリング、6A…管継手部、7…本体側挿入空間、10…開口部、13…キャップ側第一当接面、14…本体側第一当接面、15…最奥端面、16…段付面、18…ロックリング収容部、19…係止面、23…本体側第二当接面、24…キャップ側第二当接面、25…キャップ側挿入空間、32…小径部二次側端面、33…押え面、35,35…小径シールリング、36…締結部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6