(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】採血管理システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/154 20060101AFI20220325BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20220325BHJP
A61B 5/15 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
A61B5/154
G06Q50/22
A61B5/15
(21)【出願番号】P 2017229075
(22)【出願日】2017-11-29
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591086854
【氏名又は名称】株式会社テクノメデイカ
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【氏名又は名称】八木田 智
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】中野 靖
(72)【発明者】
【氏名】西村 和也
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-127464(JP,A)
【文献】特開2017-059076(JP,A)
【文献】特開2002-191688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/15
G06Q 50/22
A61B 5/154
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
採血整理番号を発番して、採血整理券を発行すると共に、発番した
前記採血整理番号を患者識別情報と関連付けした受付情報を生成する採血受付装置と、
採血室又は採血待合室の出入口に設けられ、少なくとも患者の入場時に、該患者の患者識別情報を直接的又は間接的に取得し、前記患者識別情報に対応する
前記受付情報を取得し、取得した
前記受付情報に基づいて、対応する患者の入場情報を生成する入場検知装置と、
医師からのオーダ情報に基づいて患者の検査に必要な採血管を自動的に選択して、選択した採血管に、
前記患者識別情報を印字又は記憶させたラベルを貼り付けて、患者毎に一つのトレイに排出する全自動採血管準備装置と
を備えた採血管理システムであって、
前記全自動採血管準備装置が、前記入場情報を取得し、取得した
前記入場情報に基づいて、
前記入場情報に対応する患者に関する採血管の準備を開始すると共に、採血管準備開始情報を生成するように構成され、
前記採血受付装置が、患者の
前記患者識別情報に基づいて、該患者が採血後に診断を受ける診断時間情報を取得し、
前記診断時間情報に基づいて採血をするべき採血時間帯を決定し、前記受付情報に前記採血時間帯をさらに関連付けした受付情報を生成
する
ように構成されていることを特徴とする採血管理システム。
【請求項2】
採血室又は採血待合室内に、患者に採血の準備を知らせるための呼出装置が設けられ、
該呼出装置が、
前記採血管準備開始情報を取得し、取得した
前記採血管準備開始情報に基づいて、採血管の準備が開始された順番に患者の
前記採血整理番号を表示する
ように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の採血管理システム。
【請求項3】
前記採血整理番号及び前記採血時間帯が印字された前記採血整理券を発行する
ように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の採血管理システム。
【請求項4】
前記採血管管理システムが、さらに情報を蓄積するサーバ装置を備え、
前記サーバ装置が少なくとも前記入場検知装置から前記入場情報を取得して蓄積するように構成され、
前記全自動採血管準備装置が
前記サーバ装置に蓄積されている情報を周期的にソートして前記入場情報を取得するように構成されている
ことを特徴とする請求項
1~3の何れか一項に記載の採血管理システム。
【請求項5】
前記サーバ装置が、さらに前記受付装置から
前記受付情報を取得して蓄積するように構成され、
前記入場検知装置が、
前記サーバ装置に蓄積されている情報から前記受付情報を取得するように構成されている
ことを特徴とする請求項
4に記載の採血管理システム。
【請求項6】
前記全自動採血管準備装置が、一回のソート周期で同時に複数の
前記入場情報を
前記サーバ
装置から取得した場合、前記受付情報に基づいて受付時間順に採血管の準備を開始するように構成されている
ことを特徴とする請求項
5に記載の採血管理システム。
【請求項7】
前記サーバ装置が、さらに前記全自動採血管準備装置から
前記採血管準備開始情報を取得して蓄積するように構成され、
前記呼出装置が、
前記サーバ装置に蓄積されている情報から前記採血管準備開始情報を取得するように構成されている
ことを特徴とする請求項
3~6の何れか一項に記載の採血管理システム。
【請求項8】
前記採血管理システムが、さらに、各採血台に設置された採血補助画面を備え、
該採血補助画面が、前記サーバ装置から少なくとも前記受付情報及び前記入場情報を取得し、
これらの情報をリスト形式で画面に表示する
ように構成されていることを特徴とする請求項
5~7の何れか一項に記載の採血管理システム。
【請求項9】
前記サーバ装置が、車椅子の使用等の患者特有の患者特徴情報を有し、
前記採血補助画面が、前記サーバ装置から前記患者特徴情報を取得して、前記受付情報及び前記入場情報と共に前記患者特徴情報を表示するように構成されている
ことを特徴とする請求項
8に記載の採血管理システム。
【請求項10】
前記採血補助画面が、全自動採血管準備装置に、強制的に採血管の準備を開始させる指示を送信する採血管準備開始ボタンを備えている
ことを特徴とする請求項
8又は9に記載の採血管理システム。
【請求項11】
採血管自動準備システムが、前記採血時間帯になる前の時間に前記入場情報を取得しないように構成されている
ことを特徴とする請求項
1~10の何れか一項に記載の採血管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等で行われる採血作業の管理を行うための採血管理システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、採血に関する検体識別番号や患者ID等を含む識別情報をバーコードの形態でラベルに印字したり、RFIDを備えたラベルに記憶させて、印字・記憶済のラベルを採血に使用する採血管に貼り付け、そのラベル貼付後の採血管を用いて採血をすることが行われている。
前記した採血管は、公知の採血管準備装置(特許第5732703号:特許文献1)を用いて患者毎にトレイに入れて準備される。
従来の採血管理システムの一つでは、自動受付機で患者が受付を行うと、自動受付機は、患者に対して整理番号が印字された整理券を発行すると共に、この整理番号情報と患者識別情報とを関連付けした受付データをサーバ又は全自動採血管準備装置に送る。
全自動採血管準備装置は、受付データを受信すると、受信した受付データに対応する患者の検査に必要な採血管と、前記整理番号情報を印字した採血指示書とを一つのトレイに入れて準備をする。
採血作業者は、準備されたトレイを自動で又は手動で採血台に運び、採血指示書に印字された整理番号を使って採血待機場所にいる患者を採血台に呼び出して採血を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、従来の採血管理システムでは、自動受付機における受付をトリガとして、採血管の準備を開始するように構成されているが、必ずしも、全ての患者が自動受付が終わった後に直ぐに採血待機場所へ向かうとは限らない。受付を早めに終わらせて、イスで少し休んでから採血待機場所へ向かう患者もいれば、受付後にトイレに行った後に採血待機場所へ来たり、電話等の所用を済ませてから採血待機場所へ向かったりする患者もいる。
全自動採血管準備装置は受付順に次々に採血管を準備し、全自動採血管準備装置で準備された順に準備されたトレイを手元に運んで患者を呼び出すのであるが、上記したように受付後に直ぐに採血待機場所へ向かわない患者がいると採血作業者が準備された採血管に対応する患者を呼び出した時に、患者が採血待機場所にいないことになる。このような場合、採血作業者は、その患者を不在扱いとして、手元にその患者の採血管トレイを置いたまま次の患者の呼び出しを行い、不在患者を後で呼び出す。
このような採血管理システムでは、不在患者が連続すると、一人の採血作業者の手元に未採血の採血管トレイが溜まってしまい、結果として、患者の待ち時間が長くなる可能性があるという問題がある。また、患者の呼び出しを行ってから、その患者が不在であると判断するためには、呼び出しを行ってから少しの間、患者が来るか来ないかを見極めるために待たなければならず、長時間採血待機場所へ来ない患者がいると、複数回患者の呼び出しを行うことになるため、結果として、採血処理の時間が遅延する。
本発明は、上記した従来の問題点を解決し、採血作業者が確実に採血待合場所にいる患者を呼び出すことができる採血管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係る採血管理システムは、 採血整理番号を発番して、採血整理券を発行すると共に、発番した採血整理番号を患者識別情報と関連付けした受付情報を生成する採血受付装置と、採血室又は採血待合室の出入口に設けられ、少なくとも患者の入場時に、該患者の患者識別情報を直接的又は間接的に取得し、前記患者識別情報に対応する受付情報を取得し、取得した受付情報に基づいて、対応する患者の入場情報を生成する入場検知装置と、医師からのオーダ情報に基づいて患者の検査に必要な採血管を自動的に選択して、選択した採血管に、患者識別情報を印字又は記憶させたラベルを貼り付けて、患者毎に一つのトレイに排出する全自動採血管準備装置とを備えた採血管理システムであって、前記全自動採血管準備装置が、前記入場情報を取得し、取得した入場情報に基づいて、前記入場情報に対応する患者に関する採血管の準備を開始すると共に、採血管準備開始情報を生成するように構成されていることを特徴とする。
前記採血室又は採血待合室内に、患者に採血の準備を知らせるための呼出装置を設け、該呼出装置が、採血管準備開始情報を取得し、取得した採血管準備開始情報に基づいて、採血管の準備が開始された順番に患者の採血整理番号を表示するように構成してもよい。
前記受付装置が、患者の識別情報に基づいて、該患者が採血後に診断を受ける診断時間情報を取得し、前記診断時間情報に基づいて採血をするべき採血時間帯を決定し、前記受付情報に前記採血時間帯をさらに関連付けした受付情報を生成し、前記整理番号及び前記採血時間帯が印字された採血整理券を発行するように構成してもよい。
前記採血管管理システムに、さらに情報を蓄積するサーバ装置を設け、前記サーバ装置を、少なくとも前記入場検知装置から前記入場情報を取得して蓄積するように構成し、前記全自動採血管準備装置がサーバ装置に蓄積されている情報を周期的にソートして前記入場情報を取得するように構成してもよい。
前記サーバ装置を、さらに前記受付装置から受付情報を取得して蓄積するように構成し、前記入場検知装置を、サーバ装置に蓄積されている情報から前記受付情報を取得するように構成してもよい。
前記全自動採血管準備装置が、一回のソート周期で同時に複数の入場情報をサーバから取得した場合、前記受付情報に基づいて受付時間順に採血管の準備を開始するように構成してもよい。
前記サーバ装置を、さらに前記全自動採血管準備装置から採血管準備開始情報を取得して蓄積するように構成し、前記呼出装置が、サーバ装置に蓄積されている情報から前記採血管準備開始情報を取得するように構成してもよい。
前記採血管理システムに、さらに、各採血台に設置された採血補助画面を設け、該採血補助画面が、前記サーバ装置から少なくとも前記受付情報及び前記入場情報を取得し、これらの情報をリスト形式で画面に表示するように構成してもよい。
前記サーバ装置が、車椅子の使用等の患者特有の患者特徴情報を有し、前記採血補助画面が、前記サーバ装置から前記患者特徴情報を取得して、前記受付情報及び前記入場情報と共に前記患者特徴情報を表示するように構成され得る。
前記採血補助画面に、全自動採血管準備装置に、強制的に採血管の準備を開始させる指示を送信する採血管準備開始ボタンを設けてもよい。
採血管自動準備システムは、前記採血時間帯になる前の時間に前記入場情報を取得しないように構成され得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る採血管理システムは、採血整理番号を発番して、採血整理券を発行すると共に、発番した採血整理番号を患者識別情報と関連付けした受付情報を生成する採血受付装置と、採血室又は採血待合室の出入口に設けられ、少なくとも患者の入場時に、該患者の患者識別情報を直接的又は間接的に取得し、前記患者識別情報に対応する受付情報を取得し、取得した受付情報に基づいて、対応する患者の入場情報を生成する入場検知装置と、医師からのオーダ情報に基づいて患者の検査に必要な採血管を自動的に選択して、選択した採血管に、患者識別情報を印字又は記憶させたラベルを貼り付けて、患者毎に一つのトレイに排出する全自動採血管準備装置とを備えた採血管理システムであって、前記全自動採血管準備装置が、前記入場情報を取得し、取得した入場情報に基づいて、 前記入場情報に対応する患者に関する採血管の準備を開始すると共に、採血管準備開始情報を生成するように構成されているので、採血整理券を発行した後に直ぐに採血室又は採血待合室に来ない患者の採血管が準備されることがなくなり、先に採血室又は採血待合室に到着した患者から順番に採血を行うことが可能になる。採血室又は採血待合室にいない患者の採血管を準備すると、その患者の呼出しを繰り返し行ったり、その患者が採血室又は採血待合室にいるか否かを判断するための時間をロスしたり、さらには、採血作業者の手元に不在患者の採血管が溜まったりする等の問題が生じるが、このような問題が生じなくなる。
また、採血室又は採血待合室内に、患者に採血の準備を知らせるための呼出装置が設け、該呼出装置が、採血管準備開始情報を取得し、取得した採血管準備開始情報に基づいて、採血管の準備が開始された順番に患者の採血整理番号を表示するように構成することで、患者は採血室又は採血待機室に入ると直ぐに、自分の採血順番を確認することが可能になる。待ち時間が不明なまま採血室又は採血待機室で自分が採血される順番を待つのは大きな精神的苦痛を伴うものであるが、このように構成することで患者の精神的苦痛を軽減することが可能になる。
前記受付装置を、患者の識別情報に基づいて、該患者が採血後に診断を受ける診断時間情報を取得し、前記診断時間情報に基づいて採血をするべき採血時間帯を決定し、前記受付情報に前記採血時間帯をさらに関連付けした受付情報を生成し、前記整理番号及び前記採血時間帯が印字された採血整理券を発行するように構成することで、受付時間の前後によって、診断時間が早い患者よりも、診断時間が遅い患者の方が先に採血を受けることがなくなる。多くの診断時間が遅い患者が、受付時間が早いという理由で、採血時間が早い患者より先に採血を受けると、採血時間が早い患者の採血が間に合わない等の問題が生じる。また、診断時間に関係なく採血を行おうとすると、採血場に患者が集中してしまう時間ができ、結果として、採血作業者に負担がかかるだけでなく、待ち時間を長くしてしまい患者に精神的苦痛を与えることもあるが、このような問題も生じなくなる。
前記採血管管理システムに、さらに情報を蓄積するサーバ装置を設け、前記サーバ装置が少なくとも前記入場検知装置から前記入場情報を取得して蓄積するように構成され、前記全自動採血管準備装置がサーバ装置に蓄積されている情報を周期的にソートして前記入場情報を取得するように構成することで、システム全体の制御が簡素化され、エラーが生じにくく、また、メンテナンスも容易になる。
前記全自動採血管準備装置を、一回のソート周期で同時に複数の入場情報をサーバから取得した場合、前記受付情報に基づいて受付時間順に採血管の準備を開始するように構成することで、同時に又は連続して患者が採血待合室又は採血室に入場した場合は、採血受付を済ませた順番で採血が行われることになるので、患者が抱く不公平感がなくなる。
前記採血管理システムに、さらに、各採血台に設置された採血補助画面を設け、該採血補助画面が、前記サーバ装置から少なくとも前記受付情報及び前記入場情報を取得し、これらの情報をリスト形式で画面に表示するように構成することにより、採血作業者は常に採血室及び採血待合室の状況を把握することが可能になる。
前記サーバ装置が、車椅子の使用等の患者特有の患者特徴情報を有し、前記採血補助画面が、前記サーバ装置から前記患者特徴情報を取得して、前記受付情報及び前記入場情報と共に前記患者特徴情報を表示するように構成することで、採血作業者が車椅子の使用等の特別な事情がある患者を、例えば、車椅子専用の採血台に誘導する等、患者に最適な採血環境を提供することが可能になる。
前記採血補助画面に、全自動採血管準備装置に、強制的に採血管の準備を開始させる指示を送信する採血管準備開始ボタンを設けることにより、例えば、採血時間帯外に入場した患者がいた場合に、採血作業者の判断で、その患者の採血管の準備を開始させて、採血を行うことが可能になる。これにより、例えば、採血時間帯外に入場した患者が、誰もいない採血待合室で待機しなければならなくなる等の問題が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る採血管理システムで利用可能な全自動採血管準備装置の概略正面図である。
【
図2】
図1に示した全自動採血管準備装置の概略A-A断面図である。
【
図3】本発明に係る採血管理システムの概略図である。
【
図4】採血補助装置36のディスプレイに表示される画面の一実施例を示している。
【
図5】受付装置の処理の一実施例を示すフローチャートである。
【
図6】検知装置の処理の一実施例を示すフローチャートである。
【
図7】全自動採血管準備装置の処理の一実施例を示すフローチャートである。
【
図8】受付装置の処理の第二実施例を示すフローチャートである。
【
図9】検知装置の処理の第二実施例を示すフローチャートである。
【
図10】全自動採血管準備装置の処理の第二実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に示した一実施例を参照して、本発明に係る採血管理システムの実施の形態を説明していく。
【0009】
本発明に係る採血管理システムは、医師からの採血指示に基づいて、患者の検査に必要な採血管にラベルを自動的に貼り付けて準備をすると共に、患者の採血に必要な採血指示書を発行し、ラベル貼付後の採血管と採血指示書とを患者毎にトレイに入れて準備をする全自動採血管準備装置1を使用する。
【0010】
始めに前記全自動採血管準備装置1の構成を
図1及び
図2を用いて簡単に説明する。
図1は本発明に係る全自動採血管準備装置の一実施例の概略正面図であり、
図2は
図1における全自動採血管準備装置の概略A-A断面図である。
図中、符号1は全自動採血管準備装置を示している。
この実施例では、全自動採血管準備装置1は、4種類の採血管a,b,c,dを使用するものとする。
全自動採血管準備装置1は、各々同一種類の採血管を収容する四つの採血管収容部2a~2dと、
医師からの採血指示情報に基づいて、
これら採血管収容部2a~2dから患者の採血に必要な採血管を選択して取り出し、取り出した採血管をラベル処理貼付手段10のラベル貼付位置Xまで移送する移送手段3を備えている。
移送手段3は、各採血管収容部2a~2dから採血管を押し出して取り出す押出手段4a~4dと、
各押出手段4a~4dによって押し出された採血管を受け取って、受け取った採血管を、後述する移送コンベア5に設けられたラック6に渡す第一受渡手段7a~7dと、
全ての採血管収容部2a~2dに沿って、上方に位置するラベル処理貼付手段10まで上下方向に伸びる移送コンベア5と、
移送コンベア5のラック6から採血管を受け取って、受け取った採血管を、ラベル処理貼付手段10のラベル貼付位置Xへ渡す第二受渡手段8と
を備えている。
この実施例では、採血管収容部2aに採血管aが、採血管収容部2bに採血管bが、採血管収容部2cに採血管cが、そして、採血管収容部2dに採血管dが各々収容されているものとする。
ラベル処理貼付手段10は、書込及び印字装置11、プラテンローラ12、剥離板13、ラベル付き台紙供給ローラ14、台紙回収ローラ15、貼付ローラ16、加圧手段17及び支持ローラ18を備え、前記貼付ローラ16、支持ローラ18及び加圧手段17でラベル貼付位置Xを画定している。
前記書込及び印字装置11は、ラベル貼付位置Xに移送されてくる採血管に対応する医師からの指示情報に基づいて、ラベルに一体的に設けられた無線タグのICに、対応する患者の患者識別情報を含む患者の検査に関する情報(以下、検査情報)を書き込むと共に、前記検査情報をバーコード及び/又は文字の形態で前記ラベルに印字して識別ラベルを作成する。
作成された識別ラベルは、ラベル貼付位置Xにおける採血管と貼付ローラ16との間に向けて排出される。
前記加圧手段17は、加圧ローラ(符号なし)と、加圧ローラをラベル貼付位置Xに向けて進退可能に動かす加圧台(符号なし)とを有する。
加圧手段17の加圧台は、採血管が第二受渡手段8から供給される前は下方(即ち、ラベル貼付位置Xから離れる方向)に下げられており、第二受渡手段8から採血管が供給されると上方(即ち、ラベル貼付位置Xに近づく方向)に動かされ、採血管を貼付ローラ16に押し付ける。
採血管が加圧手段17によって貼付ローラ16に適当な力で押し付けられている位置がラベル貼付位置Xであり、この状態で採血管は、貼付ローラ16、支持ローラ18及び加圧手段17によって3点で支持されることになる。
前記加圧手段17は、採血管へのラベルの貼付けが完了すると、下方に下げられ、それにより、ラベル貼付後の採血管は、排出コンベア20に落とされる。
採血管排出コンベア20は水平方向に伸びており、ラベル貼付後の採血管をコンベア20の終端に配置されたトレイTに排出する。
トレイTは、採血管準備装置1のトレイ保持部21で保持されている。採血管準備装置1は、前記トレイ保持部21に隣接した位置に採血指示書発行装置22を備えており、採血指示書発行装置22は、前記検査情報の全部又は一部を文字及び/又はバーコードの形態で印字した採血指示書を発行してトレイTに排出する。また、採血指示書発行装置22は、必要に応じて採血管に手貼りすることができる手貼りラベルの発行も行う。
これにより、一つのトレイTの中に、患者一人分の採血に必要なラベル貼付後の採血管と採血指示書(必要に応じて手貼りラベル)が入れられる。
トレイ保持部21は、トレイTの中に患者一人分の採血に必要なラベル貼付後の採血管と採血指示書(必要に応じて手貼りラベル)が全て収容されると、その準備済トレイを空のトレイに入れ替える。
準備済トレイは、採血管準備装置1に設けられた不図示の準備済トレイ保持部に送られ、そこで準備が完了した順番に保持される。
上記した各構成要素の動作は、制御装置25で制御される。
【0011】
次に、上位したように構成された全自動採血管準備装置1を用いた採血管理システムの内容を説明していく。
図3は、本発明に係る採血管管理システムの概略図である。
この採血管理システムは、
採血室30及び採血待合室31と、
採血室30及び採血待合室31の外に設けられた採血受付装置32と、
採血待合室の出入口に設けられた検知装置34と、
採血室の内部に配置された二台の採血台35と
前記採血台35に設けられた採血補助装置36と、
採血待合室の内部に配置された患者呼出装置37と、
採血室の内部に配置された患者呼出装置38と、
採血室の内部に配置された前記全自動採血管準備装置1と
各装置からの情報を蓄積するサーバ装置39と
を備えている。
尚、サーバ装置39は、この実施例では、採血室30に配置されているが、サーバ装置39を配置する場所は任意の場所でよい。また、サーバ装置39を、例えば、全自動採血管準備装置1の制御装置25と同一のコンピュータ等で構成してもよい。さらに、サーバ装置39を、病院の総合管理システムのサーバと同一のコンピュータ等で構成してもよい。
【0012】
第一の実施例では、前記採血受付装置32は、患者識別情報(例えば、患者ID)を入力すると、採血整理番号を自動的に発行し、その採血整理番号を印字した採血整理券を発行すると共に、前記患者識別情報と受付時間及び前記採血整理番号とを関連付けした受付情報を、前記サーバ装置39に送信するように構成されている。
この採血受付装置32は、患者が診察券を挿入することで自動的に患者識別情報を読み取り、採血整理券を発行する無人受付装置の形態でもよいが、例えば、受付担当者が患者識別情報をコンピュータ等に入力して採血整理券を発行するように構成されていてもよい。
前記検知装置34は、採血待合室31の出入口31aに配置されており、少なくとも採血待合室31に入場しようとする患者が出入口31aを通過した時に、その患者の患者識別情報を取得する。患者識別情報を取得する方法は、従来公知の任意の方法が用いられ得る。例えば、患者が、患者識別情報が書き込まれた無線タグ付の診察券を持っている場合には、検知装置34に無線タグ読取装置34aが設けられ得る。この場合、無線タグの読取方法は、非接触でもよく、患者が診察券を無線タグ読取装置にタッチする接触式でもよい。また、採血受付装置32が無線タグ付の採血整理券を発行する場合には該採血整理券から患者識別情報を読み取るように構成され得る。
また、この検知装置34は、前記受付情報に基づいて、患者に音声又は文字等で情報を表示する出力手段34bを備えている。
上記したように構成された検知装置34は、周期的にサーバ装置39に蓄積された情報をソートして受付情報を取得し、患者識別情報を取得した時に受付情報に基づいて入場者が受付済の患者か否かを判断し、受付済の患者の場合には対応する患者識別情報と関連付けした入場情報をサーバ装置39に送信するように構成されている。
全自動採血管準備装置1は、サーバ装置39に蓄積された受付情報及び入場情報を周期的、好ましくは、1~2秒の周期でソートし、入場情報を取得すると対応する患者の採血管の準備を開始すると共に、採血管準備開始情報をサーバ装置39へ送信する。
前記採血台35は、採血作業者と患者とが向き合い、採血作業者が、全自動採血管準備装置1で準備された採血管を用いて患者から採血を行う台である。各採血台35には、採血補助装置36が設けられている。採血補助装置36は、サーバ装置39に蓄積された受付情報、入場情報及び採血管準備開始情報を周期的に取得して、採血受付を行った患者のリストをディスプレイに表示するように構成されている。前記採血補助装置36のディスプレイは、所謂、タッチパネル式ディスプレイであり、表示されている画面をタッチすることで情報の入力ができるように構成されている。
図4は、採血補助装置36のディスプレイに表示される画面の一実施例を示している。図面に示すように、採血補助装置36は、採血待合室31に入場し、かつ、全自動採血管準備装置1による採血管の準備が完了した患者に関する情報を、採血待合室31に入場した順番にリスト表示するように構成されている。この実施例では、採血待合室31に入場し、かつ、全自動採血管準備装置1による採血管の準備が完了した患者に関する情報をリストに表示するように構成しているが、この構成は本実施例に限定されることなく、全自動採血管準備装置1による採血管の準備が完了しているか否かとは関係なく、採血待合室31に入場した患者を全て表示するように構成してもよい。この場合、全自動採血管準備装置1による採血管の準備が完了したか否かを表示する項目がリストに追加され得る。
リスト表示される患者に関する情報は、この実施例では、「整理券(整理券番号)」「患者名」「患者年齢」「注意情報」「採血カルテ」「性別」「待ち時間」「採血本数」「入場時間」「車椅子使用の有無」及び「尿検査の有無」を含む。ここで、「注意事項」の項目としては、例えば、採血時の消毒にアルコールを使えない患者であることや、採血後の止血テープでかぶれたことがある患者であること等の注意事項が表示される。
また、「採血カルテ」の項目としては、例えば、採血に関連するチェック項目を予め決めておき、該当する患者の基本情報や前回の採血に関する情報に基づいて前記チェック項目に該当するか否かのチェックを行い、該当するチェック項目が表示される。具体的には、例えば、採血カルテに用いるチェック項目には、基本採血情報として患者年齢が含まれ得る。この場合、患者年齢が設定値未満であるか否かのチェックを行い、設定値未満の場合には採血カルテの欄に「年」が表示される。設定値は施設毎に選択することができる。また、採血カルテに用いるチェック項目には、例えば、過去の採血情報として、「平均採血時間が規定値以上か否か」、「過去に、採血作業者が途中で交代した記録があるか否か」、及び「穿刺部位に、採血困難部位情報が含まれているか否か」等が含まれ、それぞれ、チェック結果が該当する場合には、「平」「交」及び「部」の語が採血カルテの欄に表示されるように構成され得る。
また、「待ち時間」は、入場情報に含まれる入室時間と現在の時間とから自動的に算出される。さらにまた、「車椅子使用の有無」等のような患者特有の患者特徴情報は、好ましくは、当該採血補助装置36が、患者情報を管理する上位サーバ等から予め取得し、患者識別情報と関連付けして蓄積するように構成され得る。
また、この実施例では、採血補助装置36は、リストに表示されている患者を採血作業者が任意に選択して呼出を行うことができるように、採血作業者が患者を選択すると、「呼出」ボタンがアクティブになるように構成されている。これにより、例えば、車椅子使用の患者を、車椅子専用の採血台を使用する採血作業者が他の患者の順番を飛ばして優先的に呼び出すことができるようにしている。
また、採血補助装置36には、採血終了を入力する採血終了ボタンが設けられており、採血作業者が採血終了ボタンを押すと当該採血終了情報がサーバ装置39に送信される。採血補助装置36は、採血終了情報を含む患者の情報は、リストから消すか又は採血終了が分かるように表示をする。図示実施例では、採血終了ボタンがリストが表示されている画面に表示されているが、これは本実施例に限定されることなく、例えば、採血終了後に、前記「採血カルテ」の項目を入力する画面を表示する場合には、その画面に表示するように構成してもよい。
上記したように構成された採血補助装置36において、領域Aには、システムが正常に稼働しているか否か等のシステムの稼働状態が表示され得る。同領域Bには患者氏名や患者ID等の患者情報、その日の受付患者数、現在の待ち人数、現在の待ち時間等の採血状況に関する情報、呼出しをしたが採血台に来なかったために保留扱いとなっている患者の数等に関する保留情報等が表示されるように構成され得る。また、同領域Cには、「呼び出す患者を選択してください」等の採血作業者に対するメッセージや、画面の更新のための「更新」ボタン、リスト表示されていない患者をID番号等を直接入力することにより呼び出すための画面を表示する「手入力呼出」ボタン、及び前記したようにリストから呼び出す患者を選択するとアクティブになる「呼出」ボタン等が表示される。さらに、領域Dには、患者呼出中、照合中、採血中、及び終了処理中等の採血補助装置36の現在の操作進捗状況が表示され得る。
さらにまた採血補助装置36は、前記リストから自分の採血台に患者を呼び込むための患者を選択して、その患者の採血整理番号を採血室内で待つ患者に向けて表示することができるように構成されている。
また、この実施例では、採血補助装置36が、採血待合室31に入場し、かつ、全自動採血管準備装置1による採血管の準備が完了した患者に関する情報を、採血待合室31に入場した順番にリスト表示するように構成されているが、採血補助装置36の構成は、この実施例に限定されることなく、例えば、全自動採血管準備装置1による採血管の準備の完了の有無に関係なく、採血待合室31に入場した患者に関する情報を順番にリスト表示するように構成することができる。この場合、全自動採血管準備装置1による採血管の準備完了に関する情報は表示項目に加えられ得る。また、このように全自動採血管準備装置1による採血管の準備の完了の有無に関係なくリスト表示する場合、採血補助装置36には、全自動採血管準備装置1に強制的に、特定の患者の採血管の準備を開始させる採血管準備開始ボタン(図示せず)が設けられ得、例えば、車椅子を使用している患者の採血管の準備を優先的に開始させて、車椅子専用の採血台へ導くことができるように構成されている。また、前記採血管準備開始ボタンは、例えば、後述する採血時間帯外に採血待合室31に入場した患者の採血管の準備を、採血室が空いている時に強制的に開始させる時等にも使用され得る。
採血待合室31に設けられた患者呼出装置37は、サーバ装置39から採血管準備開始情報を取得し、採血管の準備を開始した順に採血整理番号を表示するように構成されている。また、患者呼出装置37は、サーバ装置39から採血終了情報を取得し、採血室30に設けられた中待ちの椅子が空くと、採血待合室31の中で順番が一番の患者を採血室30内へ導くように、その患者の整理番号を使って患者に採血室30内へ入るように知らせる情報を表示することができるように構成されている。
採血室30内に設けられた患者呼出装置38は、サーバ装置39から採血管準備開始情報及び採血終了情報を取得し、採血室30内にある待機椅子(図示実施例では4つ)で待機する患者の採血整理番号を表示する。
【0013】
以下、上記したように構成された採血管理システムの処理の流れを
図5~
図7のフローチャートを用いて説明していく。
図5は、採血受付装置32の処理を示すフローチャートである。
前記採血受付装置32は、患者識別情報(例えば、患者ID)が入力されるまで待機し(ステップ1)、患者識別情報が入力されると、採血整理番号を自動的に発番し(ステップ2)、その採血整理番号を印字した採血整理券を発行し(ステップ3)、前記患者識別情報と前記採血整理番号とを関連付けした受付情報をサーバ装置39に送信する(ステップ4)。
次に、
図6のフローチャートを参照しながら検知装置34の処理を説明する。
検知装置34は、適当な周期(例えば、1~2秒)でサーバ装置39に蓄積された情報をソートし、受付情報を獲得している。
検知装置34は、その無線タグ読取手段34aを用いて、出入口から入場する患者の患者識別情報を、患者の所有する無線タグ(例えば、診察券等)から取得するまで待機する(ステップ1)。
検知装置34は、出入口から入場する患者識別情報を取得すると、取得した患者識別情報に対応する受付情報をサーバ装置39から取得しているか否か判断し(ステップ2)、取得していない場合には、例えば、画面やスピーカ等から成る出力手段34bを介して、患者に受付を先に済ませることを知らせる警告情報を出力する(ステップ3)。
ステップ2の判断において、取得した患者識別情報に対応する受付情報をサーバ装置39から取得している場合には、入場時間と取得した患者識別番号とを関連付けした入場情報をサーバ装置39に送信する。
次に、全自動採血管準備装置1の処理を
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
全自動採血管準備装置1は、周期的(例えば、1~2秒)にサーバ装置39に蓄積されている入場情報及び受付情報をソートし、未受信の入場情報及び受付情報を取得する。
全自動採血管準備装置1は、サーバ装置39から入場情報を取得するまで待機する(ステップ1)。入場情報を取得すると、サーバ装置39に入場情報取得情報を送信して(ステップ2)、取得した入場情報に対応する患者の採血に必要な採血管の準備を、サーバ装置39又は病院内の情報を管理する上位コンピュータ等から獲得した医師からの採血指示情報に従って開始する(ステップ3)。全自動採血管準備装置1は、原則として入場情報を獲得した順番に、対応する患者の採血管の準備を開始するが、同じ周期で複数の入場情報を獲得した場合には、同時に取得している受付情報に含まれる受付時間に従って、受付時間が早い患者順に採血管の準備を開始する。これにより、受付をすませた複数の患者が、ほぼ同時又は連続して入場した場合には、受付順に採血が行われることになるので患者に不公平感を与えることがなくなる。
全自動採血管準備装置1は、採血管の準備開始後、採血管準備開始情報を患者識別情報と関連付けてサーバ装置39に送信する。
採血待合室31内の患者呼出装置37は、上記したようにサーバ装置39に蓄積されている情報を周期的(例えば、1~2秒)にソートし、採血管準備開始情報を取得した順に、その情報に対応する患者の採血整理番号を表示する。
採血作業者が、採血台35に設けられた採血補助装置36を介して採血終了情報をサーバ装置39に送信すると、それを受信した患者呼出装置37は、採血の順番が一番早い患者に、その整理番号を使って採血室30内に入るように促す情報を表示し、採血室30内の患者呼出装置38は、採血が終了した患者の整理番号を消して、採血待合室31から入ってくる患者の整理番号を採血待ちの順番の最後に表示することは上述した通りである。
上記した構成により、全自動採血管準備装置1は、実際に採血待合室31に入場した患者の分の採血管の準備を行うようになるので、受付を済ませたが採血待合室31に入場しない患者の採血管の準備をする時間が省かれ、かつ、採血台35においても、採血待合室31にいない患者を呼び出す手間と、いないことを確認する時間を省略することができるので、採血処理全体が非常にスムーズになり、患者の待ち時間も減る。
【0014】
次に、
図8~
図10を参照して、本発明の採血管理システムの第二実施例について説明していく。
第一実施例との構成上の相違点は、採血受付装置32が、サーバ装置39から患者の診察時間に関する情報を取得しておき、その診察時間情報を用いて処理をする点である。
図8は、採血受付装置32の処理の流れを示すフローチャートである。
前記採血受付装置32は、患者識別情報(例えば、患者ID)が入力されるまで待機し(ステップ1)、患者識別情報が入力されると、その患者識別情報に対応する診察時間情報を取得しているか否か判断する(ステップ2)。診察時間情報を取得していない場合には、その患者の採血指示が出ていないということなので、不図示の画面、スピーカ又は看護スタッフを介して患者に採血指示が出ていないことを知らせる(ステップ3)。診察時間情報を取得している場合、採血受付装置32は、診察時間に応じた適切な採血時間帯を決定する(ステップ4)。適切な採血時間帯の設定は、本発明に係る採血管理システムを利用する施設毎に異なるが、例えば、診察時間の60分前又は90分前に採血が完了しているように設定され得る。この採血時間帯は、好ましくは、採血結果が診察時間迄に出るように設定され得る。採血受付装置32は、次いで、採血整理番号を自動的に発番し(ステップ5)、その採血整理番号と採血時間帯を印字した採血整理券を発行し(ステップ6)、前記患者識別情報と前記採血整理番号及び採血時間帯とを関連付けした受付情報をサーバ装置39に送信する(ステップ7)。
次に、
図9のフローチャートを参照しながら検知装置34の処理を説明する。
検知装置34は、適当な周期(例えば、1~2秒)でサーバ装置39に蓄積された情報をソートし、受付情報を獲得している。
検知装置34は、その無線タグ読取手段34aを用いて、出入口から入場する患者の患者識別情報を、患者の所有する無線タグ(例えば、診察券等)から取得するまで待機する(ステップ1)。
検知装置34は、出入口から入場する患者識別情報を取得すると、取得した患者識別情報に対応する受付情報をサーバ装置39から取得しているか否か判断し(ステップ2)、取得していない場合には、例えば、画面やスピーカ等から成る出力手段34bを介して、患者に受付を先に済ませることを知らせる警告情報を出力する(ステップ3)。
ステップ2の判断において、取得した患者識別情報に対応する受付情報をサーバ装置39から取得している場合には、受付情報に含まれる採血時間帯情報と、現在時間とを比較し(ステップ4)、現在時間が採血時間帯の開始時間より早い場合には、出力手段34bを介して、採血開始時間帯より早いが入場するか否かを患者に表示する(ステップ5)。この時、患者が入場しない場合には、再びステップ1の処理に戻る。
ステップ5の処理が患者が入場する場合、又は、ステップ4の処理で現在時間が採血時間帯に入っている場合、検知装置34は、入場時間と取得した患者識別番号とを関連付けした入場情報をサーバ装置39に送信する。
次に、全自動採血管準備装置1の処理を
図10のフローチャートを参照しながら説明する。
全自動採血管準備装置1は、周期的(例えば、1~2秒)にサーバ装置39に蓄積されている入場情報及び受付情報をソートし、未受信の入場情報及び受付情報を取得する。この時、全自動採血管準備装置1は、現在時間と採血時間帯とを比較し、現在時間が採血時間帯に入っていない入場情報及び受付情報を取得しないように構成されている。
全自動採血管準備装置1は、サーバ装置39から入場情報を取得するまで待機する(ステップ1)。入場情報を取得すると、サーバ装置39に入場情報取得情報を送信して(ステップ2)、取得した入場情報に対応する患者の採血に必要な採血管の準備を、サーバ装置39又は病院内の情報を管理する上位コンピュータ等から獲得した医師からの採血指示情報に従って開始する(ステップ3)。全自動採血管準備装置1は、原則として入場情報を獲得した順番に、対応する患者の採血管の準備を開始するが、同じ周期で複数の入場情報を獲得した場合には、同時に取得している受付情報に含まれる受付時間に従って、受付時間が早い患者順に採血管の準備を開始する。これにより、受付をすませた複数の患者が、ほぼ同時又は連続して入場した場合には、受付順に採血が行われることになるので患者に不公平感を与えることがなくなる。
全自動採血管準備装置1は、採血管の準備開始後、採血管準備開始情報を患者識別情報と関連付けてサーバ装置39に送信する。
採血待合室31内の患者呼出装置37は、上記したようにサーバ装置39に蓄積されている情報を周期的(例えば、1~2秒)にソートし、採血管準備開始情報を取得した順に、その情報に対応する患者の採血整理番号を表示する。
採血作業者が、採血台35に設けられた採血補助装置36を介して採血終了情報をサーバ装置39に送信すると、それを受信した患者呼出装置37は、採血の順番が一番早い患者に、その整理番号を使って採血室30内に入るように促す情報を表示し、採血室30内の患者呼出装置38は、採血が終了した患者の整理番号を消して、採血待合室31から入ってくる患者の整理番号を採血待ちの順番の最後に表示することは上述した通りである。
この実施例では、全自動採血管準備装置1は、採血時間帯より早く採血待機室に入場した患者の入場情報及び受付情報を受信していないが、入場情報は生成され、サーバ装置39に蓄積されているので、採血台35に設けられた採血補助装置36には、その患者が入場している情報は表示される。これにより、採血作業者は、実際の採血状況から判断して、採血時間帯に入っていない患者の採血を行う時間が十分にあると判断した場合には、その患者を選択して、前述の採血管準備開始ボタンを押すことにより、全自動採血管準備装置1に強制的に、特定の患者の採血管の準備を開始させることができる。これにより、採血時間帯より早く入場した患者が、誰もいない採血待合室31で待機する等の問題は生じない。
上記した構成により、全自動採血管準備装置1は、実際に採血待合室31に入場した患者の分の採血管の準備を行うようになるので、受付を済ませたが採血待合室31に入場しない患者の採血管の準備をする時間が省かれ、かつ、採血台35においても、採血待合室31にいない患者を呼び出す手間と、いないことを確認する時間を省略することができるので、採血処理全体が非常にスムーズになり、患者の待ち時間も減る。また、予め適切な採血時間帯を決めておくことにより、採血患者が採血室に集中する時間帯(特に朝一番)をなくすことができ、患者の待ち時間も減り、また、採血作業者の負担も減らすことができる。採血患者が集中する時間帯があると、採血時のミスも生じやすくなり、採血ミスが生じると患者に負担がかかり、場合によっては異なる患者の採血管で採血をしてしまう等の事故が生じる可能性もあり、深刻な問題に繋がる可能性があるため、この効果は採血処理においては極めて高い効果である。
【0015】
上記した実施例は、あくまで一実施例であり、処理の方法が適宜変更することができる。例えば、各装置における処理の順番は、問題が生じない部分については適宜入れ替えることが可能である。
また、上記した実施例では、全自動採血管準備装置1を一台で処理しているが、これは本実施例に限定されることなく、複数の全自動採血管準備装置1を並列的に用いてもよく、また、複数の全自動採血管準備装置1を並べて準備可能な採血管の種類を増やすこともできる。
上記した実施例では、採血室と採血待合室とを備えた施設に採血管理システムを適用した例を示しているが、これは本実施例に限定されることなく、例えば、採血室内に採血待機場所がある施設であっても採血管管理システムは適用可能である。この場合には、出入口が採血室に設けられ、採血室内に上記した実施例の患者呼出装置37を設けることはいうまでもない。
また、上記した実施例では、全ての装置の情報をサーバ装置39に送信して、サーバ装置39に蓄積し、各装置がサーバ装置39の情報を周期的にソートして必要な情報を取得するように構成されているが、この構成は本実施例に限定されることなく、例えば、全自動採血管準備装置1の制御装置25にサーバ装置39と同じ機能を持たせてもよく、また、サーバ装置39を介さずに、受付装置、検知装置、全自動採血管準備装置、患者呼出装置及び採血補助装置が直接情報の送受信を行うように構成してもよい。
上記した実施例では、検知装置が患者の入場のみを検知するように構成されているが、これは本実施例に限定されることなく、検知装置が患者の退場も検知し、退場情報に基づいて、実際に採血待機室及び採血室内にいる患者の数を正確に把握して、患者の採血待ち時間等を算出するように構成してもよい。また、退出情報を取得することで、一人の患者が入場してから退場するまでの時間を正確に把握することができるようになる。
【符号の説明】
【0016】
a~d 採血管
X ラベル貼付位置
T トレイ
1 全自動採血管準備装置
2a~2d 採血管収容部
3 移送手段
4a~4d 押出手段
5 移送コンベア
6 ラック
7a~7d 第一受渡手段
8 第二受渡手段
10 ラベル処理貼付手段
11 書込及び印字装置
12 プラテンローラ
14 ラベル付き台紙供給ローラ
15 台紙回収ローラ
16 貼付ローラ
17 加圧手段
18 支持ローラ
20 排出コンベア
21 トレイ保持部
22 採血指示書発行装置
25 制御装置
30 採血室
31 採血待合室
31a 出入口
32 採血受付装置
34 検知装置
34a 無線タグ読取装置
34b 出力手段
35 採血台
36 採血補助装置
37 患者呼出装置(外待ち)
38 患者呼出装置(中待ち)
39 サーバ装置
受付情報
入場情報
採血管準備開始情報