(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】蓋体開閉装置並びに各種機器
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20220325BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20220325BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220325BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220325BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220325BHJP
H04N 1/10 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
F16C11/04 F
G03B27/62
G03G21/16 133
G03G15/00 107
G03G21/16 109
H04N1/00 519
H04N1/10
(21)【出願番号】P 2018029324
(22)【出願日】2018-02-22
【審査請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 覚司
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-164502(JP,A)
【文献】特開2006-10979(JP,A)
【文献】特開2000-129993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/00-11/12
G03B 27/58-27/64
G03G 21/16
G03G 15/00
H04N 1/00
H04N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体側へ取り付ける取付部材と、この取付部材の両側板へ第1連結部材を介して回転可能に軸着した支持部材と、この支持部材の自由端側の両側板へ第2連結部材を介して前記支持部材とは反対方向へ回転可能に軸着したリフト部材と、前記取付部材の両側板の間に設けた受圧部材に接して前記支持部材内にスライド可能に設けたカムスライダーと、前記リフト部材の前記支持部材に対する自由端側に設けた作動部材に接して前記支持部材内にスライド可能に設けたスプリング受け部材と、前記カムスライダーと前記スプリング受け部材の間に弾設した弾性部材と、前記リフト部材の両側板と前記支持部材の両側板へ前記第2連結部材を介して前記リフト部材とは反対方向へ回転可能に軸着したところの原稿圧着板を取り付けるブラケット部材とから成り、このブラケット部材は、前記リフト部材の所定の回転角度範囲においては前記リフト部材と共に動作するが、当該リフト部材が所定の回転角度を超えると独自に回転することができるように構成した回転制御手段を有することを特徴とする、蓋体開閉装置。
【請求項2】
前記ブラケット部材の回転制御手段を、前記支持部材と前記取付部材との間に設けた第1回転規制手段と、前記リフト部材と当該ブラケット部材の間に設けた第2回転規制手段と、前記作動部材に作用している前記弾性部材とで構成したことを特徴とする、請求項1に記載の蓋体開閉装置。
【請求項3】
前記第1回転規制手段を、前記支持部材の所定の回転角度においてその後部側と当接するべく前記取付部材の後部側に設けたストッパー部で構成したことを特徴とする、請求項2に記載の蓋体開閉装置。
【請求項4】
前記第2回転規制手段を、前記ブラケット部材の両側板に前記リフト部材の両側板と一方向から係合するべく設けた係合部で構成したことを特徴とする、請求項2に記載の蓋体開閉装置。
【請求項5】
前記第2回転規制手段を、前記リフト部材に設けられ、前記ブラケット部材に設けた係合部と突き当たって当該ブラケット部材の回転を規制する突部で構成したことを特徴とする、請求項2に記載の蓋体開閉装置。
【請求項6】
前記ブラケット部材は、その対向する両側板を前記第2連結部材側で連結する連結側板を有し、前記ブラケット部材の取付ベースは、対向する前記両側板から外側へ折れ曲がった形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の蓋体開閉装置。
【請求項7】
前記ブラケット部材は、前記リフト部材の両側板の外側に設けられ、前記係合部は前記リフト部材の両側板に係合するように、前記ブラケット部材の両側板の一部を内側へ折り曲げて形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の蓋体開閉装置。
【請求項8】
前記ブラケット部材と前記リフト部材の間には、フリクショントルク発生手段が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の蓋体開閉装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の蓋体開閉装置を用いたことを特徴とする、各種機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機や印刷機等の事務機器の原稿圧着板やキャビネットなどの家具の蓋体を開閉する際に用いて好適な、蓋体開閉装置並びにこの蓋体開閉装置を用いた各種機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、とくに複写機等の事務機器の原稿圧着板開閉装置に用いられる蓋体開閉装置としては、例えば下記特許文献1に記載されているように、装置本体側へ取り付ける取付ベースとこの取付ベースより立ち上げた両側板を有する取付部材と、背板とこの背板より折り曲げた両側板を有し、この両側板を前記取付部材の両側板へ第1連結部材を介して回転可能に軸着した支持部材と、背板とこの背板より折り曲げた両側板とこの両側板より折り曲げた原稿圧着板の取付ベースとを有し、この両側板を前記支持部材の両側板の自由端側に第2連結部材を介して前記支持部材とは異なる方向へ回転可能に軸着したリフト部材と、このリフト部材における前記第2連結部材を中心とする回転に伴って旋回する位置に設けられた作動部材と、前記取付部材の前記両側板間に設けた受圧部材と、この受圧部材と前記作動部材との間に弾設させることにより、前記リフト部材を前記支持部材と重なり合う方向へ付勢させつつ当該支持部材を原稿圧着板の開成方向へ付勢させる弾性部材と、を有する蓋体開閉装置が公知であり、また、この蓋体開閉装置を用いた事務機器が公知である。このタイプものは現在広く普及しており、現在ほとんどの複写機のような事務機器に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように構成した従来公知の蓋体開閉装置と事務機器においては、蓋体開閉装置Bに取り付ける原稿圧着板Cのほとんどが自動原稿送り装置付きであることから、原稿圧着板C自体がこれらの原稿自動送り機構を内蔵する関係で、かなり高さ(厚さ)がある。そうすると、複写機Aを設置場所の壁部K側に設置した場合(ほとんどがこのような設置方法であるが)下記不都合が生ずることから、対策が求められている。
【0005】
即ち、装置本体Dの原稿載置台d上への図示してない厚物原稿(とにくに本のような厚物原稿の場合)の装着時、或は原稿載置台dの図示してないコンタクトガラスを外して複写機A内部の修理点検を行う際においては、原稿圧着板Cを全開状態(90度プラス)まで開ける必要がある。そうすると原稿圧着板Cが、
図15に示したように、装置本体Dの後部へ突出するのを避けられないことから、後部の壁部Kとの間に所謂デッドスペースDSが生じるという問題である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、蓋体(原稿圧着板)を全開状態にしても当該蓋体が装置本体の後部へ突出するのを回避して、壁側に設置した各種機器と壁側との間に生ずるデットスペースを省略できる蓋体開閉装置並びにこの蓋体開閉装置を用いた各種機器(事務機器)を提供せんとするにある。
【0007】
なお、本願明細書と特許請求の範囲の記載においては、開閉装置が用いられる分野が複写機のような事務機器に限らないことから、原稿圧着板を蓋体といい、事務機器を各種機器といい、蓋体を各種機器に開閉可能に取り付ける開閉装置を蓋体開閉装置としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明の請求項1に係る蓋体開閉装置は、装置本体側へ取り付ける取付部材と、この取付部材の両側板へ第1連結部材を介して回転可能に軸着した支持部材と、この支持部材の自由端側の両側板へ第2連結部材を介して前記支持部材とは反対方向へ回転可能に軸着したリフト部材と、前記取付部材の両側板の間に設けた受圧部材に接して前記支持部材内にスライド可能に設けたカムスライダーと、前記リフト部材の前記支持部材に対する自由端側に設けた作動部材に接して前記支持部材内にスライド可能に設けたスプリング受け部材と、前記カムスライダーと前記スプリング受け部材の間に弾設した弾性部材と、前記リフト部材の両側板と前記支持部材の両側板へ前記第2連結部材を介して前記リフト部材とは反対方向へ回転可能に軸着したところの原稿圧着板を取り付けるブラケット部材とから成り、このブラケット部材は前記リフト部材の所定の回転角度範囲においては前記リフト部材と共に動作するが、当該リフト部材が所定の回転角度を超えると独自に回転することができるように構成した回転制御手段を有することを特徴とする。
【0009】
その際に本発明に係る請求項2発明は、前記ブラケット部材の回転制御手段を、前記支持部材と前記取付部材との間に設けた第1回転規制手段と、前記リフト部材と当該ブラケット部材の間に設けた第2回転規制手段と、前記作動部材に作用している前記弾性部材の弾力とで構成したことを特徴とする。
【0010】
さらに本発明に係る請求項3発明は、請求項2発明に係る前記第1回転規制手段を、前記支持部材の所定の回転角度においてその後部側と当接するべく前記取付部材の後部側に設けたストッパー部で構成したことを特徴とする。
【0011】
さらに本発明に係る請求項4発明は、請求項2発明に係る第2回転規制手段を、前記ブラケット部材の両側板に前記リフト部材の両側板と一方向から係合するべく設けた係合部で構成したことを特徴とする。
【0012】
さらに本発明に係る請求項5の発明は、前記第2回転規制手段を、前記リフト部材に設けられ、前記ブラケット部材に設けた係合部と突き当たって当該ブラケット部材の回転を規制する突部で構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明では、前記ブラケット部材は、その対向する両側板を前記第2連結部材側で連結する両側板を有し、前記ブラケット部材の取付ベースは、対向する前記両側板から外側へ折れ曲がった形状を有する。
【0015】
請求項7の発明では、前記ブラケット部材は、前記リフト部材の両側板の外側に設けられ、前記係合部は、前記リフト部材の両側板に係合するように、前記ブラケット部材の両側板の一部を内側へ折り曲げて形成されている。
【0016】
請求項8の発明では、前記ブラケット部材の前記リフト部材に対する回転に伴って摩擦力を発生するフリクション発生手段を設けている。
【0017】
請求項9発明では、上記した各発明に係る蓋体開閉装置を用いた各種機器である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、閉成状態から弾性部材にアシストさせて原稿圧着板を斜めに持ち上げた状態で支持部材に対してブラケット部材を回転させることにより、蓋体(原稿圧着板)を開成状態の角度まで開くことができる。このため、支持部材を単純に開成状態の角度まで回転させた場合よりも蓋体(原稿圧着板)の重心を手前側に位置させた状態で当該蓋体(原稿圧着板)を開成状態の角度に開くことができる。したがって、装置本体とその背面側の壁との間に大きなデッドスペースを設けることなく、装置本体とその背面側の壁との干渉を回避して、蓋体(原稿圧着板)を開成状態の角度までに開くことができる蓋体開閉装置並びにこの蓋体開閉装置を用いた事務機器を提供することができる。
【0019】
請求項2の発明では、ブラケット部材は、既存の第2連結部材を利用して支持部材及びリフト部材に軸着されている。このため、別の新たな第2連結部材を用いる場合よりも合計の部品点数が削減され、強度の高い蓋体開閉装置を小型軽量に構成できる。
【0020】
請求項3の発明では、第2回転規制手段によって原稿圧着板の開成状態の角度が精密に設定される。また、弾性部材にアシストさせて原稿圧着板の重心を高い位置へ移動させた後にブラケット部材により原稿圧着板の姿勢を開成状態の角度まで回転させるため、弾性部材によるアシストが無い状態でも重量のある原稿圧着板を軽い操作力で回転させることができる。
【0021】
請求項4の発明では、信頼性の高い第1回転規制手段を簡単な構造で実現できる。また、請求項5の発明では、信頼性の高い第2回転規制手段を簡単な構造で実現できる。請求項6の発明では、板金を用いて、溶接や組立作業を伴うことなく、精密で信頼性の高いブラケット部材を低コストに製作できる。
【0023】
請求項7の発明では、板金で形成されたブラケット部材において小型軽量かつ容易に係合部を作成することができる。
【0024】
請求項8の発明では、フリクション機構によって所定角度と開成状態との間の任意の角度で原稿圧着板を停止させることができる、いわゆるフリーストップ機能を実現することができる。
【0025】
請求項9発明によれば、設置スペースを省略できる各種機器を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本願発明に係る蓋体開閉装置を用いた事務機器の一例である複合機の上部側の部分の斜視図である。
【
図2】本願発明に係る蓋体開閉装置を複合機に取り付けた状態を示す側面図である。
【
図3】
図2に示した蓋体開閉装置を拡大してみた側面図である。
【
図4】
図2に示した蓋体開閉装置を複合機へ取り付ける前の正面図である。
【
図5】
図4に示した蓋体開閉装置を斜め方から見た斜視図である。
【
図6】本願発明に係る蓋体開閉装置の分解斜視図である。
【
図7】本願発明に係る蓋体開閉装置の連結部材や作動部材を示し、(a)は第1連結部材の斜視図、(b)は第2連結部材の斜視図、(c)は作動部材の斜視図である。
【
図8】実施例1のブラケット部材の構成の説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【
図9】
図3に示した蓋体開閉装置の縦断面図である。
【
図10】
図3に示した蓋体開閉装置を30度まで開いた状態を示し、(a)はその側面図、(b)はその縦断面図である。
【
図11】
図3に示した蓋体開閉装置を60度まで開いた状態を示し、(a)はその側面図、(b)はその縦断面図である。
【
図12】
図3に示した蓋体開閉装置を用いて蓋体を90度まで開いた状態を示し、(a)はその側面図、(b)はその縦断面図である。
【
図13】
図3に示した蓋体開閉装置において、原稿が本のような厚物原稿の場合の動作を説明するもので、(a)はその側面図、(b)はその縦断面図断面である。
【
図14】本発明に係る蓋体開閉装置を用いた複合機を壁際に設置して原稿圧着板を全開させた場合の説明図である。
【
図15】従来公知の蓋体開閉装置を用いた複合機を壁際に設置して原稿圧着板を全開させた場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0028】
なお、以下の説明では複写機や複合機に用いられる蓋体開閉装置の実施例を説明するが、以下に説明する蓋体開閉装置は、上述したように、複写機或は複合機以外の印刷機やファクシミリ、スキャナーなどの事務機器、或はキャビネットなどの広く蓋体の開閉装置として用いることができる。したがって、本願発明の対象は複写機や複合機に用いられる蓋体開閉装置に限らないことから、原稿圧着板を蓋体とし、発明の名称を蓋体開閉装置とすると共に、この蓋体開閉装置を用いる機器を各種機器とする。本願明細書及び特許請求の範囲の記載では、これらの用語が混在する場合があるが、3者は同じ意味合いである。
【0029】
また、本願明細書並びに特許請求の範囲に記載された取付部材1、支持部材2、リフト部材6、受圧部材5、作動部材9、弾性部材12、ブラケット部材21等の用語は、その一実施例として用いた具体的な取付部材1、支持部材2、リフト部材6、作動部材9、弾性部材12、ブラケット部材21には限定されない、以下に記載したものよりさらに広い概念のものである。
【実施例1】
【0030】
図面によれば、まず
図1に示したように、本発明に係る複写機Aの装置本体D上には、一対の蓋体開閉装置B、B’を介して、自動原稿送り装置c付きの蓋体Cが開閉可能に取り付けられている。これらの一対の蓋体開閉装置B、B’のうち、図中左側の蓋体開閉装置Bは、自動原稿送り装置cの重い機構部側で開閉操作時に加わる荷重が大きいので、その弾性部材(12)にはコイルスプリングを2本並置させたダブルコイルスプリング方式を採用している。これに対して、図中右側の蓋体開閉装置B’は荷重が比較的に小さいため、図示はしてないが、その弾性部材(12)は1本のコイルスプリングから成るシングルコイルスプリング方式か、或はトーションスプリングを用いたものが採用されている。しかしながら、本発明の要部となるブラケット部材(6)周りの構成は、基本的には同じ構成であるので、以下の説明では、左側の蓋体開閉装置Bについて説明する。なお、大型の複合機その他の事務機器にあっては、蓋体Cの重量が増すので、コイルスプリングは、それが2本のものであっても、1本のものであっても、径の異なるコイルスプリングを同心円状に重ねて用いる場合がある。
【0031】
次に、
図2に示したように、蓋体Cの閉成状態では、蓋体Cは、装置本体Dの原稿載置台dに対して平行であって原稿載置台dと密着して漏光を阻止している。
図14に示したように、本発明に係る蓋体開閉装置Bを用いると、蓋体Cの全開成状態(90度)において、蓋体Cは装置本体Dの後部に突出していないので、複写機を壁部などに接して設置した場合に、後部に蓋体Cが突出する際のスペースを取らなくとも良いので、事務機器の設置スペースを省略できるものである。
【0032】
図3~
図6に示すように、本発明に係る蓋体開閉装置Bは、装置本体D側へ取り付ける取付部材1と、この取付部材1の両側板b、1bへ第1連結部材3を介して回転可能に軸着した支持部材2と、この支持部材2の自由端側の両側板2b、2bへ第2連結部材4を介して前記支持部材2とは反対方向へ回転可能に軸着したリフト部材6と、前記取付部材1の前記両側板1b、1bの間に設けた受圧部材5に接して前記支持部材2内にスライド可能に設けたカムスライダー10と、前記リフト部材6の前記支持部材2に対する自由端側に設けた作動部材9に接して設けた前記支持部材2内にスライド可能に設けたスプリング受け部材11と、前記カムスライダー10と前記スプリング受け部材11の間に弾設した弾性部材12と、前記リフト部材6の両側板6b、6bと前記支持部材2の両側板2b、2bへ前記第2連結部材4を介して前記リフト部材6とは反対方向へ回転可能に軸着したところの前記蓋体Cを取り付けるブラケット部材21とから成り、このブラケット部材21は、前記リフト部材6の所定の回転角度範囲において前記リフト部材6と共に動作するが、当該リフト部材6が所定の回転角度を超えると独自に回転することができるように構成した回転制御手段を有している。
【0033】
取付部材1は、装置本体D上に取り付けられる取付ベース1aと、この取付ベース1aの両側端部からそれぞれ当該取付ベース1aに対して直交する上方向(略直交する方向も含む)に折り曲げた両側板1b、1bと、取付ベース1aの一端部(後端部)から取付ベース1aに対して直交する上方向(略直交する方向も含む)に折り曲げて、その両側部に設けた係止片1j、1jを取付部材1の両側板1b、1bに設けた係止溝1i、1iに係止させた略矩形状の後板1cと、から構成されている。この後板1cには、第1回転規制手段Eとして蓋体Cの開閉操作時における支持部材2の最大角度(60°)を規制するためのストッパープレート8が取付ビス8a、8aを介して取り付けられている。
【0034】
第1連結部材取付孔1d、1dは、第1連結部材3が回転自在に取り付けられる貫通孔である。第1連結部材3は、実施例ではとくに
図7の(a)に示したように、その両端部に周溝3d、3dを設けた金属製の丸棒で、取付部材1の第1連結部材取付孔1d、1dに取り付けられた軸受部材3a、3aの軸受孔3e、3eを貫通して支持部材2の第1連結部材挿通孔2e、2eを連結しており、これらの第1連結部材挿通孔2e、2eより突出した両端部に設けた周溝3d、3dにワッシャー3b、3bを介してEリング3c、3cを嵌め込むことにより、抜け止め規制されている。
【0035】
なお、この第1連結部材3は、これを2分割して取付部材1の両側板1b、1bと支持部材の2の両側板2b、2bを、軸心を共通にさせて別々に連結させても良い。また、それぞれの両側板1b、1b・2b、2bを別々に鳩目で連結する場合も含まれる。
【0036】
受圧部材取付孔1e、1eは、実施例では受圧部材5が非回転に取り付けられる貫通孔である。受圧部材5は、取付部材1の両側板1b、1b間に軸架した金属製の受圧ピン5aと、この受圧ピン5aを軸方向に設けた挿通孔5dに通して、当該受圧ピン5aに対して回転可能に取り付けられた合成樹脂性の回転ローラ5bとで構成されている。受圧ピン5aは、受圧部材取付孔1e、1eへ挿入後、その両端部をかしめて取付部材1の受圧部材取付孔1e、1eに固定されている。なお、受圧ピン5aは、Eリングを用いて抜け止め規制しても良く、回転可能に受圧部材取付孔1e、1eへ取り付けても良い。
【0037】
回転ローラ5bは、円筒状の側面をカムスライダー10のカム部10aに当接させている。カム部10aと回転ローラ5bの接触面には図示してないが潤滑用のグリスが塗布されている。なお、この回転ローラ5bの材料は、合成樹脂に限られず、焼結金属、セラミック、機械加工物その他のものであっても良い。
【0038】
なお、受圧部材5は、受圧ピン5aと回転ローラ5bを一体或は一体的に構成して、受圧部材取付孔1e、1eへ回転可能に取り付けるようにすることができる。さらに、カム部を湾曲したアール形状に構成し、回転ローラがカム部と当接する摺接部側をカム部のアール形状と面接触する形状に構成することもできる。また、受圧部材5は、金属製のシャフトを合成樹脂製の筒体で覆ったものでもよく、この筒体から第1連結部材に向けて固定片を突設したものも含まれる。
【0039】
取付ベース1aに設けられた取付孔1g、1hは、取付ベース1aを装置本体aへ取り付ける際に、取付ネジ1mや取付ボタン1nを挿通させる貫通孔である。
【0040】
支持部材2は、背板2aと、この背板2aの両端部から下方へ折り曲げた両側板2b、2bと、この両側板2b、2bの下端側から共に内側へ折り曲げて形成した抱持板2c、2cから構成されており、両側板2b、2bは、上述したように、第1連結部材3によって取付部材1の両側板1b、1bへ回転可能に連結されている。両側板2b、2bの自由端側には、第2連結部材4を介してリフト部材6が支持部材2とは逆方向へ回転可能となるように軸着されると共に、
図5と
図6に示すように、リフト部材6が反転した際に作動部材9の両端側が入り込むガイド溝2d、2dが設けられている。
【0041】
第2連結部材挿通孔2f、2fは、第2連結部材4が挿通される貫通孔である。第2連結部材4は、とくに
図7の(b)に示したように、一端部にDカット4dを設けて両端部に周溝4c、4cを形成した金属製の丸棒であって、その軸部4aが支持部材2の第2連結部材挿通孔2f、2fとリフト部材6の第2連結部材連結孔6d、6dとブラケット部材21の第2連結部材連結孔21e、21eとを挿通することにより、リフト部材6及びブラケット部材21を、支持部材2に対して取付部材1に対する支持部材2の回転方向とは逆方向へ回転可能に連結している。両側板2b、2bの第2連結部材挿通孔2f、2fの脇に設けられた円弧状のものは、スペーサ用の凸部2m,2mである。
【0042】
第2連結部材4は、両端部に周溝4c、4cを有し、第2連結部材連結孔6d、6dと第2連結部材連結孔21e、21eとの間に軸受部材4s、4s、及びスペーサ4p、4pを介在させている。ここで、軸受部材4s、4sは、第2連結部材4を軸受けするためのものであり、スペーサ4p、4pは、リフト部材6と支持部材2との間隔を左右均等に確保するためのものである。第2連結部材4は、第2連結部材連結孔21e、21eより突出した両端部の周溝4c、4cへEリング4b、4bを嵌め込むことにより、リフト部材6に対して抜け止め規制されている。
【0043】
なお、この第2連結部材4についても、これを2分割して支持部材2とリフト部材6とブラケット部材21の各両側板2b、2b・6b、6b・21b、21bを、軸心を共通にしてそれぞれ別に連結することができる。場合によっては鳩目にしても良い。また、第2連結部材4で連結する部分の支持部材2の両側板2b、2bとリフト部材6の両側板6b、6bとブラケット部材21の両側板21b、21bの間に、フリクショントルク発生手段として公知構成のフリクションワッシャーやスプリングワッシャーから成るフリクション機構を設けても良い。このように構成すると、とくに蓋体Cの開閉時にブラケット部材21だけの回転をより確実に防止して安定した開閉操作を行うことが期待できる。
【0044】
上述したように、第1連結部材挿通孔2e、2eは、第1連結部材3が挿通される貫通孔である。ストッパー孔2g、2gは、支持部材2の組立時に、不図示のストッパーピンを挿入してカムスライダー10とスプリング受け部材11との間に弾性部材12を圧縮状態に保持するための貫通孔である。
【0045】
支持部材2の逃がし溝2h、2hは、背板2aの後端部に一端を開放した貫通溝であって、蓋体Cを開いたときに
図5と
図6に示すようにストッパープレート8のストッパー片8f、8fが進入する空間を形成している。
【0046】
リフト部材6は、背板6aと、この背板6aの両端部からそれぞれ当該背板6aに対して直交する下方向(略直交する方向も含む)に折り曲げた両側板6b、6bと、から成り、
図4と
図5に示すように、支持部材2を外側から覆うように構成されている。リフト部材6が第2連結部材4で軸着されている側に、棒状の作動部材9が非回転に取り付けられている。
【0047】
作動部材9は、実施例ではとくに
図7の(c)に示したように、金属製の丸棒で形成され、一端部側にDカット9cを有している。作動部材9は、作動ピン連結孔6e、6eに貫通させて両端部をかしめることにより、リフト部材6に固定されている。
【0048】
作動部材9は、金属製の丸棒をそのまま用いる他、金属製の丸棒に筒状の当接部材を装着してもよく、筒状の当接部材の断面形状を円形以外の楕円形又は長方形等としても良い。作動部材9は、さらに両側板6b、6b間に回転可能に取り付けても良い。また、リフト部材6に頂板を設け、この頂板を内側へ折り曲げて作動部材を構成しても良く、合成樹脂で構成してもよい。両側板6b、6bの間、或は頂板や背板6aに取り付けても良い、
【0049】
リフト部材6の逃がし溝6g、6gは、背板6aの後端部に一端を開放した貫通溝であって、蓋体Cを開いたときに
図6に示すストッパープレート8のストッパー片8f、8fが進入する空間を形成している。
【0050】
高さ調整手段7は、背板6aに取り付けられている調節ネジ7aとナット7bからなる。高さ調整手段7は、閉成状態の蓋体Cの原稿載置台d(コンタクトガラス)に対する高さ(傾き)を微調整して、蓋体Cが均等に原稿載置台d(コンタクトガラス)の上面へ圧着するように設定されて固定されている。
【0051】
図8などに示すように、支持部材2内には、背板2a、両側板2b、2b、及び抱持板2c、2cが囲むC型の断面に抱えられてカムスライダー10とスプリング受け部材11が、弾性部材12の伸縮方向にスライド可能に収装されている。
【0052】
カムスライダー10とスプリング受け部材11は、それぞれ断面略矩形の有底筒体状に形成され、互いの開口部10b、10bと開口部11b、11bとが向き合うように支持部材2内に収納されている。
【0053】
カムスライダー10のカム部10aは、受圧部材5と圧接している。カムスライダー10の受圧部材5側の端部には、
図6や
図9に示すように一方向へ傾斜させて上面が平坦なカム部10aが設けられると共に、受圧部材5の露出側を覆うカバー部10cが設けられている。
【0054】
スプリング受け部材11の当接部11aは、作動部材9と圧接している。スプリング受け部材11の作動部材9側の端部には、
図6に示すように当接部11aが隆起して設けられている。ただし、この当接部11aは必須ではなく、一面に平坦部としても良い。
【0055】
カムスライダー10は、取付部材1に固定された受圧部材5に押圧されて弾性部材12を加圧し圧縮する。取付部材1に対して支持部材2が第1連結部材3を中心にして蓋体Cの開成方に回転すると、カムスライダー10は、矢印R3方向に移動して弾性部材12の圧縮が緩和される。このため、弾性部材12は、支持部材2及びリフト部材6にアシスト力を作用して蓋体(C)を持ち上げるために必要な力を軽減させる。
【0056】
カムスライダー10とスプリング受け部材11の間に、
図6に示すように大径コイルスプリング12a、12aと小径コイルスプリング12b、12bとからなる弾性部材12が加圧保持されている。弾性部材12は、大径コイルスプリング12a、12aの内側に小径コイルスプリング12b、12bを同芯状に重ね合わせることによって大きな弾性係数を実現しており、カムスライダー10とスプリング受け部材11をそれぞれ互いに離間する方向に付勢している。
【0057】
弾性部材12は、両端部側をカムスライダー10の開口部10b、10b内とスプリング受け部材11の開口部11b、11b内に挿入した状態で支持部材2内に収装されつつ弾設されている。なお、弾性部材12を構成するコイルスプリングの数は、1個でも2個以上でもよく、配置は並列でも直列でも良い。例えば2個並列、2個直列、1個のみ等とすることが可能である。
【0058】
図8は実施例1のブラケット部材の構成の説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図9は実施例1の蓋体開閉装置の閉成状態の説明図である。
図10は実施例1の蓋体開閉装置を30度まで開いた状態の説明図であり、
図11は実施例1の蓋体開閉装置を60度まで開いた状態の説明図である。
【0059】
図14に示すように、複合機などの各種機器の一例である実施例1の複写機Aでは、支持部材2は取付部材1に対して60度回転させた位置で停止し、この位置からブラケット部材21を30度回転させることにより、蓋体Cを装置本体Dに対して合計で90度回転させて、蓋体Cの開成状態を得ている。そして、このような支持部材2とブラケット部材21の回転制御を行うために、支持部材2の取付部材1に対する回転角度を60度に規制する第1回転規制手段Eと、支持部材2に対するブラケット部材21の回転角度を30度に規制する第2回転規制手段Fと、が設けられている。なお、ここで、60度+30度=90度という角度の数値の組合せは一例であって、50度+50度=100度等、任意に設計することが可能である。
【0060】
図6を参照して
図9に示すように、実施例1の蓋体開閉装置Bでは、ブラケット部材21は、蓋体(B)に取り付ける取付ベース21a、21aと、この取付ベース21a、21aより立ち上げた両側板21b、21bと、を有し、この両側板21b、21bは、支持部材2の両側板2b、2bの自由端側にリフト部材6とは反対の方向へ回転可能に軸着されている。この両側板21b、21bは、連結側板21cの両端部からそれぞれ連結側板21cに対して直交する水平方向(略直交する方向も含む)に折り曲げて形成されている。
【0061】
蓋体Cに固定される取付ベース21a、21aは、この両側板21b、21bからそれぞれ取付ベース21a、21aに対して直交する水平方向(略直交する方向も含む)の外側へ折り曲げて形成されている。
【0062】
ブラケット部材21は、支持部材2に対して第2連結部材4を介して軸着されているので、
図10と
図13に示すように、ブラケット部材21及びリフト部材6は、支持部材2に対して第2連結部材4を中心にして一体に回動することが可能である。
【0063】
ブラケット部材21は、リフト部材6の両側板6b、6bの外側に設けられているので、ブラケット部材は、支持部材2に対するリフト部材6の回転状態とは無関係に、支持部材2に対して回動自在である。
【0064】
図8に示すように、ブラケット部材21は、対向する両側板21b、21bを第2連結部材4と取付ベース21aとの間で連結する連結側板21cを有し、ブラケット部材21の取付ベース21aは、対向する両側板21b、21bから外側へ折れ曲がっている。このため、
図13に示すように、ブラケット部材21は、支持部材2に対するリフト部材6の角度に関わらず、リフト部材6に干渉させることなく支持部材2に対して一体に回動自在である。
【0065】
図13の(a)に示すように、ブラケット部材21は、第2連結部材4を中心とするブラケット部材21の閉成方向の回転をリフト部材6に伝達するが、ブラケット部材21の開成方向の回転をリフト部材6に伝達しない一方向の係合部21dを有する。このため、ブラケット部材21は、蓋体Cで厚物原稿Mを押圧する際にはリフト部材6と一体に回転する。また、蓋体Cの開成角度が60度に達するまではブラケット部材21とリフト部材6が一体に回転する。しかし、蓋体Cの開成角度が60度以上では支持部材2の取付部材1に対する回転が第1回転規制手段Eによって60度に規制されるので、ブラケット部材21は、リフト部材6の係合部21dから離間して独自に回転する。このため、蓋体Cは、60度~90度の範囲で自在に回動可能である。
【0066】
具体的には、係合部21d、21d・・は、
図8の(a)、(b)に示すようにリフト部材6の両側板6b、6bに下側から係合するように、ブラケット部材21の両側板21b、21bの一部を内側へ折り曲げて形成されている。この理由は、蓋体Cを開く際には当該蓋体Cを取り付けたブラケット部材21は、第2連結部材4を支点にして独自に回転してしまうように見えるが、このブラケット部材21は作動部材9に作用している弾性部材12の弾力により、蓋体Cの開成方向へ第1連結部材3を支点に旋回付勢されていることから、支持部材2と共に旋回して蓋体Cの開成方向へ旋回して、蓋体Cの開成動作をアシストする。
【0067】
蓋体Cが60度まで開かれると、支持部材2が第1回転規制手段Eによりさらなる回転を阻止されるが、ブラケット部材21には、さらなる蓋体Cの開成操作を阻止する手段がないので、ブラケット部材21のみが第2連結部材4を支点に回転し、このブラケット部材21に取り付けた蓋体Cの開成操作を許容することになる。しかるに、ブラケット部材21の60度からの回転は第2回転規制手段Fにより阻止されることにより、蓋体の90度の開成角度で停止される。すなわち、21f、21fがリフト部材6の突部(当接部)6k、6kに当接することにより、それ以上のブラケット部材21の第2連結部材4を介しての回転が阻止されるからである。この最大開成角度90度の開成角度においては、蓋体Cの重心が手前側に移動することから、蓋体Cの開成状態は安定し、自然に閉じられてしまうことはないので、装置本体Dに対する修理、点検がし易く安全である。また、原稿載置台上への本のような厚物原稿の載置撤去作業が容易となるものである。
【0068】
最大開成角度(実施例では90度)まで開かれた蓋体を閉じる際には、蓋体Cの前端部に手を当てて閉じ方へ引っ張ると、ブラケット部材21が第2連結部材4を支点に反転して蓋体Cの閉成操作を可能にする。蓋体Cが60度まで閉じられると、ブラケット部材21の係合部21d、21dがリフト部材6の両側板6b、6bと係合し、作動部材9に作用している弾性部材12の弾力に抗して支持部材2と共に第1連結部材3を支点にして回転して蓋体Cの閉成操作を可能にし、蓋体Cは急激に落下することなく閉じられる。蓋体Cは20度前後まで閉じられると、蓋体Cの重量が弾性部材の弾力に勝ることになり、蓋体Cは自重で閉じられることになる。
【0069】
次に、
図13の(a)に示すように、原稿が本のように厚い厚物原稿Mの場合には、厚物原稿Mを原稿載置台d(コンタクトガラス)上へ載せて蓋体Cを下押しすると、この厚物原稿Mを支点として第2連結部材4を中心にして回転するリフト部材6が作動部材9に作用している弾性部材12の弾力に抗してブラケット部材21と共に支持部材2の回転方向とは逆方向に回転して、厚物原稿Mの上面を水平に覆い、露光が外部へ漏れるのを防止することができるものである。この反転した蓋体Cは、押圧を解除することにより、作動部材9に作用している弾性部材12の弾力により、押されて元位置に戻ることなる。従って、蓋体開閉装置Bは、原稿の厚さに関係なく原稿を装置本体Dの原稿載置台dの上面に安定して均等に圧着させることができる。
【0070】
図9に示すように、第1回転規制手段Eは、蓋体Cの閉成状態からの支持部材2の回転角度を開成状態の角度(90度)未満の所定角度(60度)に規制する。この第1回転規制手段Eは、
図6に示すように、取付部材1の後板1cに取付ビス8a、8aで取り付けたストッパープレート8で構成されており、取付ビス8a、8aは、ストッパープレート8の固定孔8g、8gを通じて後板1cの雌ねじ1n、1nにねじ着されている。
【0071】
ストッパープレート8は、取付基板部8bと、この取付基板部8bの両側部より折り曲げて構成され一対の凸部8c、8cと突部8d、8dとを有するストッパー片8f、8fと、で構成されている。後板1cにはストッパープレート8に設けた固定孔8g、8gに嵌入される位置決め用の一対のボス部1k、1kが設けられている。
【0072】
なお、ストッパープレート8は、取付部材1の後板1cに一体的に設けてもよく、支持部材2に作動部材9と平行に設けた当接シャフト又は一対のピンに突き当たって支持部材2の角度を規制するものであっても良い。当接シャフトの場合、ストッパープレート8の上部に当接シャフトを弾性的に受け止める弾性湾曲部又は当接シャフトに摩擦力を及ぼす摩擦部を設けても良い。
【0073】
図12に示すように、第2回転規制手段Fは、第1回転規制手段Eにより所定角度(60度)に規制された状態からのブラケット部材21の回転角度を開成状態の角度(90度)から所定角度(60度)を差し引いた角度(30度)に規制する。第2回転規制手段Fは、
図12の(b)に示すように、リフト部材6に設けられ、閉成状態(0度)から蓋体Cを開成状態(90度)まで回転させたときにブラケット部材21の突部21fに突き当たってブラケット部材21の回転を規制する突部6kである。
【0074】
請求項1~3と5に記載したブラケット部材21の回転制御手段は、とくに指示記号は付してないが、上述した第1回転規制手段Eと第2回転規制手段Fと弾性部材12とで構成されており、上述したように、第1回転規制手段Eによって支持部材2の60度の回転角度に規制され、ここからブラケット部材21の蓋体Cに対する90度に向けての回転が始まることになる。また、第2回転規制手段Fによって、ブラケット部材21の回転角度が90度に規制されることになる。そして、弾性部材12により蓋体Cの0度から60度までの開閉操作に伴なう支持部材2の開閉動作に追随することになる。
【0075】
次に、実施例1の蓋体開閉装置Bの動作について説明する。
【0076】
図3と
図9に示すように、蓋体Cの閉成状態(0度)においては、主として蓋体Cの重量により、弾性部材12の弾力に抗して蓋体Cは閉じられ、安定した閉成状態を保っている。なお、ここのところは、カムスライダー10のカム部10aに破線10kのように傾斜を設けて、受圧部材5がカムスライダー10を斜め下方へ押圧するように構成することにより、蓋体Cを閉成方向へ回転付勢させることも可能である。蓋体Cの閉成状態(0度)において、受圧部材5は、カムスライダー10を介して最も圧縮された状態の弾性部材12の弾力を受けている。
【0077】
蓋体Cを閉成状態から開いて行くと、支持部材2とリフト部材6とブラケット部材21は弾性部材12によって、常に蓋体Cを開く方向へ回転付勢されていることから、ブラケット部材21は反転してしまうことなく、支持部材2とリフト部材6と共に回転し、蓋体Cの開成操作が可能となる。この開成角度は、蓋体Cが第1連結部材3の周りに発生させる回転トルクと、蓋体開閉装置Bが持つヒンジトルクがバランスする開成角度20度から60度の範囲においては、蓋体Cから手を放しても自然落下してしまうことはない。したがって、両手を用いて原稿を原稿載置台d上へセットすることができる。なお、この蓋体Cに対する自立保持角度は、実施例のものに限定されない。蓋体Cを
図9の(b)に示すように、蓋体Cを閉成状態から所定角度(60度)まで開く過程を通じて、弾性部材12は、カムスライダー10を介して受圧部材5を外側へ押圧し続けることから、蓋体Cは、その本来の重量を減殺された状態で閉成状態から所定角度(60度)まで開かれ、第1回転規制手段Eにより回転を規制されて所定角度(60度)で停止している。蓋体Cが閉成状態から所定角度(60度)まで開かれる過程で、受圧部材5がカムスライダー10から離間する方向に移動して弾性部材12の圧縮長さが伸びるため、弾性部材12がカムスライダー10を介して蓋体Cを持ち上げる力は減少する。
【0078】
しかし、開成角度が大きくなると第1連結部材3を中心とする蓋体Cの重量のモーメントが小さくなるため、弾性部材12がカムスライダー10を介して蓋体Cを持ち上げる力は小さくても良い。これらを加味して、弾性部材12は、蓋体Cを手で支えなくても所定角度(60度)の状態を維持できるように設計されている。また、開いた蓋体Cを閉じる際には、弾性部材12の弾力により下向きの回転付勢力を受けるブラケット部材21は、係合部21d、21d‥がリフト部材6の両側板6b、6bの下端部側を係止しているので、ブラケット部材21のみが回転してしまうことなく、リフト部材6と共に回転して蓋体Cの閉成動作がスムーズになされる。さらに、蓋体Cは開成角度20度前後においては、自重による回転トルクがヒンジトルクに勝るため、自然に閉じられる。
【0079】
図11の(b)に示すように、所定角度(60度)に保持された蓋体Cを、所定角度(60度)からさらに開成状態(90度)まで開く過程を通じて、弾性部材12は、カムスライダー10を介して受圧部材5を外側へ押圧し続けて支持部材2を所定角度(60度)に保持している。
【0080】
ブラケット部材21は、第1回転規制手段Eによって所定角度(60度)に保持された支持部材2に対して、第2連結部材4を中心にして自在に回転して蓋体Cを所定角度(60度)から開成状態(90度)まで回転させる。
【0081】
図15に示すように、従来公知の蓋体開閉装置Hは、ブラケット部材21を設けず、リフト部材16の両側板16bから外側へ折り曲げて取付板部16cを形成し、取付板部16cに蓋体Cを固定した比較例である。比較例の蓋体開閉装置Hは、開成状態では、支持部材2が90度まで回転しているため、蓋体Cが装置本体の背面側に突き出している。
【0082】
これに対して、
図14に示す実施例1の蓋体開閉装置Bは、開成状態でも支持部材2が60度までしか回転していないため、
図15に示す従来公知の蓋体開閉装置Hよりも、蓋体Cを装置本体Dの手前側にシフトさせた状態で蓋体Cが開成状態となる。このため、実施例1の蓋体開閉装置Bは、開成状態における蓋体Cの装置本体Dの奥側への突出量が抑制され、装置本体Dと背面側の壁部Kとの間に確保すべきデッドスペースDSが比較例の蓋体開閉装置Hよりも少なくて済む。
【0083】
次に、90度の全開状態まで開いた蓋体Cを閉じる際には、まず、ブラケット部材21が反転して蓋体Cが閉じられる。
図11の(a)に示すように、蓋体Cが60度まで閉じられると、ブラケット部材21の係合部21d、21d・・がリフト部材6の両側板6b、6bと係合するので、ブラケット部材21はリフト部材6と支持部材2と共に回転し、蓋体Cは閉じられることになる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、以上のように構成したので、各種機器の装置本体の後部に開閉可能に取り付ける蓋体を全開状態にしてもその後部が装置本体の後部から突出しないので、設置スペースを省略できる各種機器の蓋体開閉装置並びに子の蓋体開閉装置を用いた各種機器として好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0085】
A 複合機
B、B’、B2 蓋体開閉装置
C 蓋体
D 装置本体
E 第1回転規制手段
F 第2回転規制手段
1 取付部材
1b 両側板
1c 後板
2 支持部材
2b 両側板
2i 溝端
3 第1連結部材
4 第2連結部材
4a 軸部
4c、4e 周溝
4i 平坦部
4j 摩擦面
4k 丸穴
4d Dカット
5 受圧部材
6 リフト部材
6b 両側板
6k 突部
8 ストッパープレート
8d 突部
9 作動部材
10 カムスライダー
11 スプリング受け部材
12 弾性部材
21 ブラケット部材
21a 取付ベース
21b 両側板
21c 連結側板
21d 係合部
21f 突部