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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】宿泊施設の浴槽運転システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/196 20220101AFI20220325BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
F24H1/00 602V
F24H1/00 602F
F24H1/00 602G
A47K3/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018194276
(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公開番号】P2020063854
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-10-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516260822
【氏名又は名称】株式会社バイタルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(74)【代理人】
【識別番号】100090549
【弁理士】
【氏名又は名称】加川 征彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】希代 光宏
(72)【発明者】
【氏名】堀内 真樹
(72)【発明者】
【氏名】大塚 貴光
(72)【発明者】
【氏名】小中 浩史
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-35971(JP,A)
【文献】特開平5-1827(JP,A)
【文献】特開2001-355912(JP,A)
【文献】特開2005-221166(JP,A)
【文献】中国実用新案第205717851(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0154094(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/196
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿泊施設の複数の客室にそれぞれ設置された浴槽の湯温及び水位を個別に制御する宿泊施設の浴槽運転システムであって、
当該宿泊施設には、管理サーバーと各客室毎に設けられた制御盤とが有線又は無線にて接続された客室ネットワークが構築され、前記各制御盤にはそれぞれリモコンが接続され、
各浴室には、
前記各客室に共通である共通給湯配管から分岐して湯を供給する給湯配管と、
前記各客室に共通である共通給水配管から分岐して冷水を供給する給水配管と、
前記給湯配管から供給された湯と前記給水配管から供給された冷水とをミキシングバルブを介して混合した適温水を適温水用電動弁を介して浴槽に供給する適温水配管と、
前記各客室に共通である共通温泉配管から分岐して温泉を温泉用電動弁を介して浴槽に供給する温泉配管と、
前記給水配管から分岐され通常は閉ざされている分岐管用電動弁を介在させて前記適温水配管に接続される分岐管と、
浴槽の湯を循環配管を通して循環させる循環ポンプ及び前記循環ポンプにより循環する湯を昇温させる昇温手段を有する循環昇温装置とを備え、
各浴室の前記制御盤は、前記管理サーバー又は前記リモコンの操作にて設定された設定湯温に対応して浴槽湯温を上昇又は下降させる湯温制御回路を備え、
前記湯温制御回路は、湯温センサで検知した現在湯温が前記設定湯温より低いときは、前記循環昇温装置を作動させて湯温を前記設定湯温まで上昇させる昇温制御を行い、湯温センサで検知した現在湯温が前記設定湯温より高いときは、前記分岐管用電動弁を開いて前記分岐管より冷水を前記適温水配管に流入させて浴槽湯温を前記設定湯温まで下降させる降温制御を行うように構成されていることを特徴とする宿泊施設の浴槽運転システム。
【請求項2】
前記降温制御に際して、前記適温水用電動弁を閉ざして分岐管からの冷水だけを適温水配管に流す降温制御、及び前記適温水用電動弁を開いた状態で分岐管からの冷水を適温水配管に流す降温制御のいずれもが可能とされていることを特徴とする請求項1記載の宿泊施設の浴槽運転システム。
【請求項3】
前記浴槽が露天風呂の浴槽であることを特徴とする請求項1又は2記載の宿泊施設の浴槽運転システム。
【請求項4】
前記分岐管用電動弁及び適温水用電動弁の一方又は両方が、開度調整が可能な比例制御の電動弁であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の宿泊施設の浴槽運転システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、宿泊施設の複数の客室にそれぞれ設置された浴槽の湯温及び水位を個別に制御可能な宿泊施設の浴槽運転システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホテル、旅館などの宿泊施設に設置されている浴槽運転システムでは、一般に湯温を下げる必要性は少ないため、浴槽の湯が冷めないように湯温を維持するための循環昇温装置を設けていても、湯温を下げる構成とはされていない。
【0003】
宿泊施設に設置されている部屋付きの露天風呂の場合は特に、外気に触れることなどでお湯が冷めないようにする必要があり循環昇温装置を設けている場合が多いが、湯温を下げる構成とはされていない。
【0004】
客の個人差もあり客が通常より低い湯温を好む場合もあるが、冷水(水道水など)の蛇口を配置していない場合も多く、その場合には客が自分で冷水を浴槽に入れて湯温を下げることができない。また、冷水の蛇口があったにしても、蛇口から冷水を出して自分にちょうどよい湯温に調節する操作は煩雑である。
【0005】
特許文献1の「浴槽の遠隔制御システム」に「水温調節器」が記載されているが、この「水温調節器250」もやはり浴槽湯温を循環させ加熱上昇させる装置(請求項1、3、7、10、及び実施例の各記載)であり、湯温を下げることは考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-510123(浴槽の遠隔制御システム)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記背景のもとになされたもので、宿泊施設の複数の客室にそれぞれ設置された浴槽において、客が通常より低い湯温を好む場合には、自分で容易に好みの湯温に調節することが可能な浴槽運転システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する請求項1の発明は、宿泊施設の複数の客室にそれぞれ設置された浴槽の湯温及び水位を個別に制御する宿泊施設の浴槽運転システムであって、
当該宿泊施設には、管理サーバーと各客室毎に設けられた制御盤とが有線又は無線にて接続された客室ネットワークが構築され、前記各制御盤にはそれぞれリモコンが接続され、
各浴室には、
前記各客室に共通である共通給湯配管から分岐して湯を供給する給湯配管と、
前記各客室に共通である共通給水配管から分岐して冷水を供給する給水配管と、
前記給湯配管から供給された湯と前記給水配管から供給された冷水とをミキシングバルブを介して混合した適温水を適温水用電動弁を介して浴槽に供給する適温水配管と、
前記各客室に共通である共通温泉配管から分岐して温泉を温泉用電動弁を介して浴槽に供給する温泉配管と、
前記給水配管から分岐され通常は閉ざされている分岐管用電動弁を介在させて前記適温水配管に接続される分岐管と、
浴槽の湯を循環配管を通して循環させる循環ポンプ及び前記循環ポンプにより循環する湯を昇温させる昇温手段を有する循環昇温装置とを備え、
各浴室の前記制御盤は、前記管理サーバー又は前記リモコンの操作にて設定された設定湯温に対応して浴槽湯温を上昇又は下降させる湯温制御回路を備え、
前記湯温制御回路は、湯温センサで検知した現在湯温が前記設定湯温より低いときは、前記循環昇温装置を作動させて湯温を前記設定湯温まで上昇させる昇温制御を行い、湯温センサで検知した現在湯温が前記設定湯温より高いときは、前記分岐管用電動弁を開いて前記分岐管より冷水を前記適温水配管に流入させて浴槽湯温を前記設定湯温まで下降させる降温制御を行うように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2は、請求項1の宿泊施設の浴槽運転システムにおいて、前記降温制御に際して、前記適温水用電動弁を閉ざして分岐管からの冷水だけを適温水配管に流す降温制御、及び前記適温水用電動弁を開いた状態で分岐管からの冷水を適温水配管に流す降温制御のいずれもが可能とされていることを特徴とする。
【0010】
請求項3は請求項1又は2の宿泊施設の浴槽運転システムにおいて、前記浴槽が露天風呂の浴槽であることを特徴とする。
【0011】
請求項4は、請求項1~3のいずれか1項の宿泊施設の浴槽運転システムにおいて、前記分岐管用電動弁及び適温水用電動弁の一方又は両方が、開度調整が可能な比例制御の電動弁であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の宿泊施設の浴槽運転システムによれば、特に湯温を下げる必要性の少ない通常の浴槽運転状態では、浴槽の湯が冷めないように湯温を維持するための循環昇温装置により、湯温が自動的に一定温度に維持されるとともに、客が特に低い湯温を好む場合には、客が自室にあるリモコン操作で容易に湯温を所望の温度に下げることができる。
その場合客は、所望の温度を設定しかつ分岐管用電動弁を開とするリモコン操作だけで済み、極めて容易である。
【0013】
湯温を下げる制御を可能にするための新たな追加設備としては、従来施設において装備されている給湯配管と給水配管とによる湯張り用の適温水配管における前記給水配管から分岐させる分岐管及びその分岐管に設ける分岐管用電動弁を設置するだけで済み、客が自分で容易に所望の湯温に下げることが可能な浴槽運転システムを、安価な改修費で実現できる。
【0014】
請求項2のように、 降温制御に際して適温水用電動弁を閉ざし分岐管からの冷水だけを適温水配管に流す降温制御を可能にすれば、短い時間で温度を下げたい場合に有効である。
【0015】
露天風呂の場合には、外気に触れることなどでお湯が冷めやすいので、湯温を下げる必要性は少ないとは言えるが、特に低い湯温を望む客に対しても対応可能なので、好ましい制御手段と言える。
【0016】
岐管用電動弁を開度調整が可能な比例制御の電動弁とすれば、客の希望に対応する適切な降温制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例の宿泊施設の浴槽運転システムにおける一つの客室の浴槽設備の構成説明図である。
図2図1における要部の拡大図である。
図3】宿泊施設の全体の浴槽の運転を管理する浴槽運転システムの概略の構成説明図である。
図4】本発明の浴槽運転システムにおける一つの客室の制御機構ブロック図である。
図5】本発明における湯温制御の一実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の宿泊施設の浴槽運転システムを実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の一実施例の宿泊施設の浴槽運転システムにおける一つの客室の浴槽設備の構成説明図、図2図1の要部の拡大図、図3は浴槽運転システムの概略の構成説明図である。
本発明は宿泊施設の複数の客室にそれぞれ設置された浴槽10の湯温及び水位を個別に制御する宿泊施設の浴槽運転システムであり、図3に示すように、管理サーバー1と各客室毎に設けられた制御盤(制御基板)2とがハブ21を介してLANケーブルで接続された客室ネットワークが構築され、かつ、各客室の制御盤にそれぞれリモコン22が接続されている。
【0020】
各浴室には、
各客室に共通である共通給湯配管3’から分岐して湯を供給する給湯配管3と、
各客室に共通である共通給水配管4’から分岐して冷水を供給する給水配管4と、
前記給湯配管3から供給された湯と前記給水配管4から供給された冷水とをミキシングバルブ11を介して混合した適温水を適温水用電動弁12を介して浴槽に供給する主として湯張りと適温水補給のための適温水配管6と、
各客室に共通である共通温泉配管5’から分岐して温泉を温泉用電動弁13を介して浴槽10に供給する主として湯張りと温泉補給のための温泉配管5と、
前記給水配管4から分岐され通常は閉ざされている分岐管用電動弁14を介在させて前記適温水配管6に接続される分岐管7と、
浴槽の湯を排水用電動弁15を介して排水する排水管9と、
浴槽10の湯を循環配管8を通して循環させる循環ポンプ16及び前記循環ポンプ16により循環する湯を昇温させる実施例では熱交換器(昇温手段)17を有する循環昇温装置18とを備えている。
循環ポンプ16は浴槽下部から循環水吸込配管8aを通じて浴槽湯を吸込んで熱交換器17に送り込み、昇温した温水を循環水戻配管8bを通じて直接浴槽水中に戻す。
前記適温水配管6及び温泉配管5から送られる適温水及び温泉は浴槽10の湯口27から浴槽に注がれる。
【0021】
前記循環昇温装置18の熱交換器17には、各客室に共通である共通熱媒水往配管19’から分岐して熱交換器17に熱媒水を送り込む熱媒水往き配管19と、熱交換器17からでた熱媒水を分岐元である各客室に共通である共通熱媒水還り配管20’に戻す熱媒水還り配管20とが接続されている。
前記熱媒水往き配管19と熱交換器17との間には温調用電動三方弁23が設けられている。場合により前記温調用電動三方弁を単に三方弁と略していう。
この三方弁(温調用電動三方弁)23は、熱交換器17側に開放(昇温側23aに開放)されると熱媒水往き配管19の熱媒水が熱交換器17内を通過(昇温作用)した後、熱媒水還り配管20を経て共通熱媒水還り配管20’に戻る。
また、三方弁23が熱媒水還り配管20側(昇温停止側23b)に開放されると熱媒水往き配管19の熱媒水はバイパスして熱媒水還り配管20に流れ共通熱媒水還り配管20’に戻る(したがって、熱交換器17の昇温作用は停止する)。
【0022】
浴槽の湯温はこの実施例では、循環ポンプ16と熱交換器17との間の管路に接続された湯温センサ(温度センサ)24にて検出するようにしている。また、浴槽の水位は圧力センサ式の水位センサ25にて検出するようにしている。
【0023】
図1において、2点鎖線は制御盤2と各浴槽機器との間の制御線を示す。
循環昇温装置18における循環ポンプ16や熱交換器17や三方弁23等の各機器の制御線は端子盤26を介して制御盤2に接続されている。なお、湯温センサ24の制御線も端子盤26を介して制御盤2に接続されている。
図4に一つの客室における上述した各浴槽運転機器、センサを制御する制御機構をブロック図で示す。
【0024】
浴槽運転状態にない時(浴槽を使用していない時)は、電動弁12、13、14等は閉状態であり、循環ポンプ16は停止している。
管理サーバー1又は各客室のリモコン22で湯張り操作をした場合、排水用電動弁15が閉、適温水用電動弁12と温泉用電動弁13の両方が開となり、給湯配管3の湯と給水配管4の冷水とがミキシングバルブ11にて混合された適温水配管6側の適温水と温泉配管5側の温泉との両方が浴槽10に送られる。
浴槽湯が管理サーバー1又は各客室のリモコン22で最初に設定した水位(初期設定水位)に達すると、水位センサ25がその初期設定水位を検知し、適温水用電動弁12と温泉用電動弁13の両方が閉となり、適温水及び温泉の供給は停止する。
【0025】
湯張り後の浴槽水位の調整についても、管理サーバー1又は各客室のリモコン22において適宜の水位を設定することができる。水位センサ25が検知した水位が設定水位より低い時は、適温水用電動弁12と温泉用電動弁13の両方若しくはその一方が開となり、適温水との温泉との両方又は一方が浴槽に供給され、水位が設定水位に達すると適温水用電動弁12、温泉用電動弁13は停止し、適温水、温泉の供給は停止する。この水位制御は、水位センサを用いる一般的な水位制御方法によって行うことができる。
【0026】
湯張りにより浴槽が満水(初期設定水位)になった後の浴槽運転状態において、管理サーバー1又は各客室のリモコン22にて設定した湯温(設定湯温)に基づいて、浴槽湯温を調整することができる。図5に湯温調整(湯温制御)の際の動作をフローチャートで示す。
この図5のフローチャートでは、主として湯張りと適温水補給のための適温水配管6、及び主として湯張りと温泉補給のための温泉配管5は使用しない状態からスタートする場合(適温水用電動弁12、及び温泉用電動弁13を閉)としている。
【0027】
浴槽湯温Tを湯温Tにしたい場合、例えばリモコン22の操作により湯温をTに設定(ステップS1)し、湯温調整をON(湯温調整ボタンをON(湯温制御可能状態))にする(ステップS2)。
温T=Tであれば、すなわち湯温T≠Tでない場合(ステップS3でN0)、昇温動作も降温動作も開始せずに、そのままの状態が維持される。
【0028】
湯温T≠Tの場合(ステップS3でYes)に、湯温T<Tであれば(ステップS4でYes)、循環昇温装置18が作動状態(温調用電動三方弁23が昇温側(図1図2で23a側)に開放の状態)となり、図5の左側のフローのように、湯温が設定湯温Tとなるまで、その昇温作動状態が続く。
すなわち、ステップS5で分岐管用弁(分岐管用電動弁)14が閉であることを確認し(開であれば分岐管用弁23を閉とする(S6))、かつ、三方弁23が昇温側(23a側)に開放であることを確認する(S7)(開放でない場合は昇温側に開放する(S8))。この状態では、循環昇温装置18が昇温作動状態なので、循環する湯が昇温され浴槽湯温が上昇する。
湯温TがTより高くない場合(S9でNo)は、昇温作動状態が続く。
湯温TがT以上になると(S9でYes)と、三方弁23が昇温停止側(図図2で23b側)に開放される(S10)。
すると、熱媒水往き配管19からの熱媒水は熱交換器17に入らずに、バイパス管路を通って熱媒水還り配管20に流れるので、昇温作動状態は停止する。
【0029】
特に低い湯温を好む客であれば、リモコン22で設定する設定湯温Tは通常の湯温より低い温度であろうから、湯温を下げる必要が生じる。
この場合は、図5の右側のフローとなる。
すなわち、湯温T≠Tの場合(ステップS3でYes)に、湯温T>Tであれば(ステップS4でNo)、ステップS15で三方弁23が昇温停止側(図1図2で23b側)に開放であることを確認し(昇温側(23a側)であれば昇温停止側(23b側)に開放(S16))し、かつ、分岐管用弁(分岐管用電動弁)14が開であることを確認する(S17)(開でない場合は分岐管用弁を開く(S18))。この状態では、分岐管7からの冷水が適温水配管6に流入し冷水と適温水とが混合するので、湯温が下降する。
湯温TがTより低くない場合(S19でNo)は、降温作動状態が続く。
湯温TがTより低くなると(S19でYes)、分岐管用弁14を閉ざす(S20)。
すると、降温作動状態は停止する。
【0030】
上記の降温制御の場合は、分岐管用弁14からの冷水が浴槽に補給されるので、浴槽の水位は上昇する。その場合に、水位が設定水位を超えたことを水位センサ25が検知した時、水位制御システムが作動して排水用電動弁15が開となって浴槽水を排出し、水位が設定水位まで下がると排水用電動弁15が閉となる。
【0031】
図5で説明した湯温制御方式の降温制御では、適温水配管6の適温水用電動弁12及び温泉配管5の温泉用電動弁13をいずれも閉としているが、その一方又は両方を開とした状態で、降温制御することも可能である。
例えば適温水用電動弁12を開として降温制御をする場合、分岐管7の冷水と適温水配管6の適温水とが混合した低温適温水が浴槽に供給されるが、この場合は図5の右側の降温時のフローにおいて「分岐管用弁」に代えて「分岐管用弁及び適温水用電動弁」と置き換えることで、所望の降温制御を行うことができる。さらに、「分岐管用弁」を「分岐管用弁と温泉用電動弁12」又は、「分岐管用弁と適温水用電動弁12と温泉用電動弁13」と置き換える降温制御も同様に可能である。
なお、昇温制御の場合も、適温水用電動弁12及び温泉用電動弁13又はその一方を開として昇温制御をすることを除外しない。
【0032】
上述の実施例では、適温水用電動弁12、分岐管用電動弁14、温泉用電動弁13として、いずれも単なる開閉操作の電動弁を想定しているが、開度調整可能で流量を調節できる比例制御の電動弁を採用することもできる。
また、循環昇温装置の昇温手段の熱源として、実施例では各客室に共通する熱媒水往き配管19’及び熱媒水還り配管20’から分岐させた熱媒水往き配管19及び熱媒水還り配管20を流れる熱媒水を用いているが、各客室に設けた例えばガス熱源機などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 管理サーバー
2 制御盤(制御基板)
3 給湯配管
3’共通給湯配管
4 給水配管
4’共通給水配管
5 温泉配管
5’共通温泉配管
6 適温水配管
7 分岐管
8 循環配管
9 排水管
10 浴槽
11 ミキシングバルブ
12 適温水用電動弁
13 温泉用電動弁
14 分岐管用電動弁(分岐管用弁)
15 排水用電動弁
16 循環ポンプ
17 熱交換器(昇温手段)
18 循環昇温装置
19 熱媒水往き配管
19’共通熱媒水往配管
20 熱媒水還り配管
20’共通熱媒水還り配管
21 ハブ(HUB)
22 リモコン
23 温調用電動三方弁(三方弁)
24 湯温センサ(温度センサ)
25 水位センサ
26 端子盤
図1
図2
図3
図4
図5