(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】車載用消防ポンプ
(51)【国際特許分類】
A62C 27/00 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
A62C27/00 508
(21)【出願番号】P 2018224991
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503320876
【氏名又は名称】株式会社ウスイ消防
(74)【代理人】
【識別番号】110000615
【氏名又は名称】特許業務法人 Vesta国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】臼井 潔
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-102708(JP,A)
【文献】特開2001-171417(JP,A)
【文献】特開2001-1829(JP,A)
【文献】特開2005-74159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消防ポンプ搬送車に積み降ろし可能で、セルモータ及びリコイルスタータの択一的な使用が自在で、択一的に選択されたセルモータまたはリコイルスタータで始動されるエンジン及び前記エンジンに接続された高圧ポンプからなる消防ポンプと、
前記消防ポンプを積載した状態で、水平方向及び垂直方向に搬送自在な昇降搬送台と、
前記昇降搬送台に取付けられ、前記昇降搬送台を前記消防ポンプ搬送車の後部から地上に下ろすのに手動油圧ポンプ及び油圧バイパスバルブを択一的に選択自在な油圧調整部と、
前記消防ポンプに取付けられた複数本の可搬支持棒と、
前記消防ポンプに取付けられた複数本のベルトまたは紐と
前記消防ポンプ及び前記昇降搬送台の水平移動を拘束する係止具と
を具備することを特徴とする車載用消防ポンプ。
【請求項2】
請求項2の車載用消防ポンプには、前記消防ポンプの重心位置よりも高い位置に支持点が位置するベルトが配設されていることを特徴とする請求項1に記載の車載用消防ポンプ。
【請求項3】
請求項3の車載用消防ポンプは、前記消防ポンプに取付けられた複数本の可搬支持棒の取付位置よりも下部に前記消防ポンプに取付けられた複数本のベルトまたは紐を配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項2の何れか1つに記載の車載用消防ポンプ。
【請求項4】
請求項4の車載用消防ポンプは、前記消防ポンプ搬送車の後部から前記昇降搬送台及び消防ポンプを積載し、前記昇降搬送台と昇降ボックスが同時に昇降し、手動油圧ポンプ及びポンプ作動桿を作動させる位置を固定として、前記昇降搬送台を昇降自在とした請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の車載用消防ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽トラック、1トントラック等の車輌を赤色に塗装して消防車として用いる際等に、エンジン付き消防ポンプを確実に固定して載せることができ、かつ、火災現場に到着したら迅速・安全・確実に消防車から台車ごと地面に降ろすことができ、そのまま消防水利と火災現場に近い場所まで台車で移動させることができる車載用消防ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用消防ポンプは消火の際の小回り性を考慮して、高圧ポンプにエンジンを備えて単独でもポンプとして作用することが可能に構成され、このエンジン付き消防ポンプが消防車に積み降ろし可能に搭載される方式がある。この方式においては、火災現場で消防車が接近できないような狭い場所であるときには、エンジン付き消防ポンプを消防車から降ろして火災現場近くまで搬送して消火活動が行えるという利点がある。しかし、このような搬送式消防ポンプにおいては、例え小型のものであってもエンジンを備えて重量が重くなるため、複数の消防士が取手を持って消防ポンプを降ろさなければならないが、かかる重量物を緊急時に安全かつ迅速に取扱うのは容易なことではない。
【0003】
そこで、特許文献1に記載された発明においては、車両の荷台の所定の場所に設置される固定台と、ロック・解除装置を備えて消防ポンプが着脱可能に載せられるポンプ載台と、油圧シリンダを備えた平行四辺形リンク機構の構造で固定台の側方に一体的に立設され、消防ポンプを載せたポンプ載台が片持ちで吊り下げられる油圧式リンク機構と、この油圧式リンク機構をボタン1つで上下動させられる電動モータ付き油圧ユニットとを備えている。これによって、安全かつ迅速にエンジン付き消防ポンプを車両から地上へ降ろすことができ、解除装置でロックを解除することでポンプ載台から消防ポンプを外して複数の消防士が狭い路地等を搬送して火災現場近くまで運ぶことができる。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来技術においては、装置が非常に高価になってしまうという問題点があった。このため、町村や地区の消防団にはとてもかかる高価な装置を搭載した車両を備えることができず、搬送式消防ポンプの必要性の高い、道が狭い、田舎の町村において、取扱い易い消防ポンプ車載ユニットが得られなかった。さらに、上記特許文献1に記載された従来技術においても、ポンプ載せ台から消防ポンプを外して複数の消防士が人力で火災現場近くまで搬送しなければならず、機動性に欠けるという欠点もあった。
そこで、発明者らは、安全かつ迅速に消防ポンプを降ろすことができるとともに、降ろした消防ポンプをそのまま台車で狭い路地等を移動することができる、機動性に優れかつ低価格の消防ポンプ車載ユニットを提供した。
【0005】
即ち、発明者らの発明した車載用消防ポンプは、特許文献2に記載されている。消防ポンプ搬送車の後部積載部に取付けられる前後方向に伸びるベースガイド部材と、該ベースガイド部材に前後方向にスライド可能に嵌合するスライド部材と、該スライド部材に前後方向にスライド可能に嵌合する昇降ユニットと、該昇降ユニットの昇降ベースに載置された消防ポンプが固定された車輪付きの台車と、前記スライド部材を前記ベースガイド部材に対してスライド不能に固定する第1のロック機構と、前記昇降ユニットを前記スライド部材に対してスライド不能に固定する第2のロック機構と、前記台車を前記昇降ベースに対して移動不能に固定する第3のロック機構と、前記スライド部材を前記ベースガイド部材に対して後方向にスライドさせたとき所定位置で前記スライド部材を停止させるとともに前記第1のロック機構によって前記ベースガイド部材に対して固定する第1の係止具と、前記昇降ユニットを前記スライド部材に対して後方向にスライドさせたとき所定位置で前記昇降ユニットを停止させるとともに前記第2のロック機構によって前記スライド部材に対して固定する第2の係止具と、前記スライド部材及び前記昇降ユニットを後方向に停止するまでスライドさせた状態で、前記台車の前記車輪が地面に着くまで前記昇降ベースを手動で下降させ、消火活動が終了したときは、再び前記台車を前記昇降ベースに載せて前記昇降ベースを手動で最初の位置まで上昇させる手動油圧ユニットを具備するものである。
【0006】
この特許文献2の構成により、消防ポンプ車載ユニットにおいては、消防ポンプ搬送車の後部積載部に溶接等によって強固に取付けられたベースガイド部材に前後方向にスライド可能にスライド部材が嵌合しているが、第1のロック機構によって固定されているのでスライド部材はスライドできない。同様に、スライド部材には前後方向にスライド可能に昇降ユニットが嵌合しているが、第2のロック機構によって固定されているので昇降ユニットはスライドできない。昇降ユニットの昇降ベースには消防ポンプが固定された車輪付きの台車が載置され、第3のロック機構によって昇降ベースに固定されている。したがって、消防ポンプが固定された車輪付きの台車は、消防ポンプ搬送車が火災現場に急行するために高速で走行して激しく揺れても、ずれたり外れたりすることなく堅固に載置されている。
【0007】
消防ポンプ搬送車が、道路が狭く火災現場に接近できない場所まで来たら、消防ポンプ搬送車を停車させ、第1のロック機構を解除してスライド部材をベースガイド部材に対して後方向にスライドさせる。すると、第1の係止具によってスライド部材が所定位置までスライドして停止するとともに、再び第1のロック機構によって固定される。続いて、第2のロック機構を解除して、昇降ユニットをスライド部材に対して後方向にスライドさせると、第2の係止具によって昇降ユニットが所定位置までスライドして停止するとともに、再び第2のロック機構によって固定される。
これによって、昇降ユニットの昇降ベースは、消防ポンプ搬送車の後端から大きく外部へ突き出た状態になるので、手動油圧ユニットを操作して昇降ベースを下降させ、消防ポンプが固定された台車の車輪が地面に着くまで降ろす。そして、第3のロック機構を解除して台車を昇降ベースから降ろして、消防士が台車のハンドルを持って狭い通路を台車を押してまたは引いて、火災現場近くまで重い消防ポンプを楽に搬送することができる。
【0008】
消火活動が終了したら、再び消防士が台車のハンドルを持って移動させて消防ポンプ搬送車まで戻り、台車を昇降ベースに載置して第3のロック機構で固定し、手動油圧ユニットを操作して昇降ベースを元の高さまで上昇させる。
後は、台車を降ろしたときと逆の手順で、第2のロック機構を解除して昇降ユニットをスライド部材に対して前方向にスライドさせ、元の位置まで戻して第2のロック機構で固定し、さらに第1のロック機構を解除してスライド部材をベースガイド部材に対して前方向にスライドさせ、元の位置まで戻して第1のロック機構で固定する。これで、最初のロックされた状態に戻ったので、車載用消防ポンプを走らせることができる。また、現今になって、セルモータ及びで始動されるエンジン及び消防ポンプの構成部品は、年々軽量化に向かっている。したがって、旧態依然とした対応は好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平7-289655号公報
【文献】特開2005-74159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に掲載の消防ポンプ車載ユニットは、2輪であるから進行方向に沿った溝があったり、障害物があると台車の一輪がその溝に沿って回転したり、或いはその溝に埋まって離脱できなかったりする。また、消防ポンプを2輪台車に乗せることに問題がある。例えば、2輪台車を引くこと、押すことは、一般人には殆ど経験のないことであり、突然に2輪の台車を引け、または押せと言われても、体がついていかない可能性がある。
乾燥重量が40~80[Kg]の消防ポンプであれば、2人で持ち上げれば、一人当たり20~40[Kg]の負担になり、持ち上げて運べないものではない。特に、一人で消火活動は無理であるから、持ち運びも複数としても現場で人手不足が生じるものではない。台車で狭い路地等を移動しようとすれば、台車のハンドルの長さは消防ポンプよりも距離が長くなるから小回りがきかなくなり、路地等を回り難くなる。
【0011】
そこで、上記問題点を解消すべく、消防ポンプ搬送車から消防ポンプを降ろすとき安全に、かつ、迅速にでき、前記消防ポンプを搬送するときにも、前記消防ポンプをそのまま持ち上げ、狭い路地等を移動し、しかも、機動性に優れ、かつ、低価格の車載用消防ポンプの提供とし、しかも、前記消防ポンプを消防ポンプ搬送車から降ろし、消防用ポンプの人的搬送、かつ、エンジンを始動する態様を任意に二者択一的に選択でき車載用消防ポンプの機能の信頼性を上げることができる車載用消防ポンプの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明の車載用消防ポンプは、エンジンの状況に応じてセルモータ(セルスターター)とリコイルスタータを択一的に使用して始動でき、前記エンジン及びそれに直接的または間接的に接続された高圧ポンプからなる消防ポンプ搬送車に積み降ろし自在な消防ポンプと、前記消防ポンプを積載した状態で、係止具によって消防ポンプ搬送車の後方の水平限界を拘束したとき、垂直方向に搬送自在な昇降搬送台と、前記昇降搬送台に取付けられ、前記昇降搬送台を前記消防ポンプ搬送車の後部から地上に下ろす自動昇降制御及び人力で油圧の圧力調整によって下降させる手動油圧ポンプまたは油圧バイパスバルブからなる手動昇降制御を択一的に使用して、前記消防ポンプに取付けた複数本の可搬支持棒及びベルトまたは紐は、複数本の可搬支持棒及びベルト取付具、紐取付具に通したベルトまたは紐によって前記消防ポンプを搬送できる。
【0013】
ここで、上記消防ポンプは、セルモータ及びリコイルスタータで始動されるエンジンと、そのエンジンに接続された高圧ポンプで構成され、前記エンジンを駆動するセルモータ及びリコイルスタータの何れでも前記エンジンを駆動できるものである。
また、上記昇降搬送台は、前記消防ポンプを積載した状態で、水平方向及び垂直方向に搬送自在であればよい。
そして、電気的な制御で自動昇降制御及び人力で油圧の圧力を調整して行う手動昇降制御は、前記昇降搬送台に配設され、少なくとも、前記昇降搬送台を前記消防ポンプ搬送車の後部から地上に下ろす機能を有しておればよい。本実施の形態では、手動油圧ポンプまたは油圧バイパスバルブとしている。当然、油を排出する構成とすることもできる。
【0014】
更に、上記複数本の可搬支持棒は、好ましくは、前記エンジン及び前記高圧ポンプからなる消防ポンプの重心位置よりも高い位置にあると、その支持点が安定しているが、前記消防ポンプに複数本の可搬支持棒が取付けられるものであればよい。通常、複数本の可搬支持棒は、消防ポンプの持ち上げ及び舵取りができるものであればよく、挿入固定式、起倒固定式、螺合固定式の何れでも良い。
上記油圧調整部は、消防ポンプを積載した状態で、水平方向及び垂直方向に搬送自在な昇降搬送台に取付けられ、前記昇降搬送台を前記消防ポンプ搬送車の後部から地上に下ろす機能を有するものである。
【0015】
更にまた、前記消防ポンプ及び前記昇降搬送台の移動を拘束する上記係止具は、少なくとも、前記昇降搬送台が昇降動作のみを行う水平位置で停止させるものであればよい。
加えて、前記消防ポンプに取付けられた複数本の可搬支持棒と前記消防ポンプに取付けられた複数本のベルトまたは紐は、2本以上の可搬支持棒と2本以上のベルトまたは紐を設けたものであり、特に、2本以上の可搬支持棒は金属棒であることが望ましく、ベルトまたは紐はベルト取付具及びそれを通したベルト、または紐取付具及びそれを通した紐は、金属または化学繊維で形成された強靭なものが望ましい。
本発明を実施する場合には、消防ポンプの重心位置がまとまっており、また、全体を持ち上げるものであるから、消防ポンプの最下部のフレームの利用等を図って、全体を持ち上げるようにしてもよい。
【0016】
請求項2の発明の車載用消防ポンプは、前記消防ポンプの重心位置よりも高い位置に支持点が位置するベルトが配設されいる。
特に、前記エンジン及び前記高圧ポンプからなる消防ポンプの重心位置よりも高い位置に支持点が位置されるベルトまたは紐が配設されておればよく、前記ベルトまたは紐が通されていても良い。何れにせよ、ベルトまたは紐により移動自在な状態にあればよい。ベルトまたは紐は別の個所で保管しておいてもよい。
前記消防ポンプの重心位置よりも高い位置に支持点が位置するベルト取付具は、前記消防ポンプが安定した配設となり、特に、重心よりも高い位置または近似した位置であれば、安定した支持が可能である。
【0017】
請求項3の発明の車載用消防ポンプは、前記消防ポンプに取付けられた複数本の可搬支持棒の取付位置よりも下部に前記消防ポンプに取付けられた複数本のベルトまたは紐を配設したものである。
ここで、上記複数本の可搬支持棒は、前記消防ポンプに取付けられる前記消防ポンプの重量に十分に耐える棒材であればよい。前記エンジン及び前記消防ポンプの重心位置よりも高い位置で指示されるベルトまたは紐が配設されているものであればよい。
本発明を実施する場合には、消防ポンプの重心位置がまとまっているから、また、全体を持ち上げるものであるから、消防ポンプの最下部のフレーム29の利用等を行って、全体を持ち上げるようにしてもよい。
【0018】
請求項4の発明の車載用消防ポンプは、前記消防ポンプ搬送車の後部から前記昇降搬送台及び消防ポンプを積載し、前記昇降搬送台が昇降ボックスが同時に昇降し、手動油圧ポンプ及びポンプ作動桿を作動させる位置を固定として、1以上の油圧シリンダが伸縮自在としたものである。
ここで、手動油圧ポンプのポンプ作動桿を作動させる位置が一定位置とは、前記消防ポンプ搬送車の地面からポンプ作動桿の操作が均一となる。したがって、手動油圧ポンプのポンプ作動桿の操作が、人体の押圧操作態勢を変化させて行う必要がなくなる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の車載用消防ポンプは、セルモータ及びリコイルスタータで始動されるエンジンに接続された高圧ポンプからなる消防ポンプを昇降搬送台に積載した状態で、前記消防ポンプ及び前記昇降搬送台の移動を係止具により拘束し、水平方向及び垂直方向に搬送、積み、降ろしが可能とし、前記消防ポンプ搬送車の後部から地上に消防ポンプを下ろすことができる。前記エンジン及び前記高圧ポンプからなる前記消防ポンプの重心位置よりも高い位置に支持点があり、前記消防ポンプに取付けられた複数本の可搬支持棒で、前記消防ポンプを持ち上げる。また、前記エンジン及び前記消防ポンプの重心位置付近にベルトまたは紐が配設されているものであれば、そのベルトまたは紐を頚部または肩に掛け、前記エンジン及び前記消防ポンプで支持するベルトまたは紐が配設されているものであれば、搬送が可能となる。このとき、複数本の可搬支持棒が舵取り棒として作用し、消防ポンプの搬送が容易である。
【0020】
したがって、安全、迅速に消防ポンプを降ろすことができ、前記消防ポンプを搬送する場合には、前記消防ポンプを複数本の可搬支持棒で持ち上げ、狭い路地等を移動できるので、機動性に優れ、かつ、低価格である。
例えば、エンジンの始動はセルモータ及びリコイルスタータの何れによっても始動可能であり、また、昇降搬送台の下降も油圧調整部で油圧の圧力を調整し、手動油圧ポンプまたは油圧バイパスバルブの何れによっても下降自在であるから、機動性に優れ、かつ低価格の車載用消防ポンプとすることができる。
【0021】
また、前記エンジン及び前記高圧ポンプからなる前記消防ポンプは、持ち上げた時の前記消防ポンプの安定度が高く、前記消防ポンプをそのまま持ち上げても、複数本の可搬支持棒に回転力が加わらないから、狭い路地等を移動できる。
そして、前記エンジン及び前記消防ポンプの重心位置付近にベルトまたは紐が配設されているものであれるから、ベルトまたは紐を頚部または肩に掛けることにより、前記消防ポンプの持ち上げが容易となり、搬送が可能となり、かつ、複数本の可搬支持棒が舵取り棒として作用し、消防ポンプの搬送が容易である。
更に、前記消防ポンプは、台車に搭載させて搬送するものでないから、台車の通過できる狭い路地は勿論通過可能であり、それよりも狭い路地であっても、ハンドル等が突出していないから、小回りが可能であり狭い路地も通過可能となる。
【0022】
請求項2の発明の車載用消防ポンプは、前記消防ポンプの重心位置よりも高い位置に支持点が位置するベルトが配設されている。ベルトまたは紐は、請求項1に記載の効果に加えて、特に、前記エンジン及び前記高圧ポンプからなる消防ポンプの重心位置よりも高い位置に支持点が位置されるベルトまたは紐が配設されておればよく、前記ベルトまたは紐が通されていても良い。何れにせよ、ベルトまたは紐により移動自在な状態にあればよい。ベルトまたは紐は別の個所で保管しておいてもよい。前記ベルトまたは紐が使用できればよい。前記消防ポンプの重心位置よりも高い位置に支持点が位置するベルト取付具は、前記消防ポンプが安定した配設となり、特に、重心よりも高い位置または近似した位置であれば、安定した支持が可能である。
特に、前記ベルトまたは紐は、記消防ポンプの重心位置よりも高い位置が好ましいが、前記消防ポンプの最低面にある管材からなる最下部のフレーム等に取付けてもよい。
【0023】
請求項3の発明の車載用消防ポンプは、前記消防ポンプに取付けられた複数本の可搬支持棒の取付位置よりも下部に前記消防ポンプに取付けられた複数本のベルト取付具または紐取付具を配設したものであるから、請求項1乃至請求項2の何れか1つに記載の効果に加えて、上記複数本の可搬支持棒は、前記エンジン及び前記高圧ポンプからなる消防ポンプの重心位置よりも高い位置に支持点が位置し、前記消防ポンプに取付けられる前記消防ポンプの重量に耐える棒材であればよい。前記エンジン及び前記消防ポンプの重心位置よりも高い位置で指示するベルトまたは紐が配設されているものであればよい。
特に、前記エンジン及び前記高圧ポンプからなる前記消防ポンプは、持ち上げた時の前記消防ポンプの安定度が高く、前記消防ポンプをそのまま持ち上げても、複数本の可搬支持棒に回転力が加わらないから、狭い路地等を移動できる。
そして、前記エンジン及び前記消防ポンプの重心位置付近にベルトまたは紐が配設されているもので、複数本の可搬支持棒が舵取り棒として作用し、消防ポンプの搬送が容易である。更に、本発明の車載用消防ポンプは、台車に搭載させて搬送するものでないから、台車の通過できる狭い路地も通過可能であり、それよりも狭くても、ハンドル等が突出していないから、小回りが可能であり狭い路地も通過可能となる。
【0024】
請求項4の発明の車載用消防ポンプは、前記消防ポンプ搬送車の後部から前記昇降搬送台及び消防ポンプを積載し、前記昇降搬送台が昇降ボックスで同時に昇降し、手動油圧ポンプ及びポンプ作動桿を作動させる位置を固定として、1以上の油圧シリンダが伸縮自在としたものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、手動油圧ポンプのポンプ作動桿を作動させる位置が一定位置となるから、前記消防ポンプ搬送車の地面からポンプ作動桿の操作が均一となる。したがって、手動油圧ポンプのポンプ作動桿の操作が、人体の押圧操作態勢を変化させて行う必要がなくなる。
このとき、定位置とするものは、手動油圧ポンプのポンプ作動桿、制御装置、電動油圧ポンプ、油タンク等についても、同様に固定とするのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態にかかる車載用消防ポンプ及び消防ポンプ搬送車等を含む全体の概念図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態にかかる車載用消防ポンプで、(a)は消防ポンプを水平移動させた状態の概念図、(b)は消防ポンプを垂直移動させた状態の概念図である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態にかかる車載用消防ポンプで、(a)は消防ポンプの正面の概念図、(b)は消防ポンプの側面図である。
【
図4】
図4は本発明の実施の形態にかかる車載用消防ポンプの可搬支持棒を示すもので、(a)は動作の前後を示す正面図、(b)は配置の斜視図である。
【
図5】
図5は本発明の実施の形態にかかる車載用消防ポンプの可搬支持棒及びベルトの斜視図である。
【
図6】
図6は本発明の実施の形態にかかる車載用消防ポンプの搬送機能を示した図で、(a)は消防ポンプの荷重を両肩に加える概念図、(b)は消防ポンプの荷重を片肩に加える概念図である。
【
図7】
図7は本発明の実施の形態にかかる消防ポンプ搬送車の消防ポンプを分離した車載完了時の斜視図である。
【
図8】
図8は本発明の実施の形態にかかる消防ポンプ搬送車の消防ポンプを分離した斜視図で、(a)は後方側の係止具、(b)は後方内側の係止具である。
【
図9】
図9は本発明の実施の形態にかかる消防ポンプ搬送車の消防ポンプを分離した昇降動作する斜視図である。
【
図10】
図10は本発明の実施の形態にかかる消防ポンプ搬送車の油圧系統の説明図である。
【
図11】
図11は本発明の実施の形態にかかる消防ポンプ搬送車の消防ポンプを積載した昇降動作前の正面図である。
【
図12】
図12は本発明の実施の形態にかかる消防ポンプ搬送車の消防ポンプを積載した昇降動作後の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する場合がある。
【0027】
[実施の形態]
図1は本発明の実施の形態における車載用消防ポンプ及び消防ポンプ搬送車等を含む全体の概念図であり、
図2は車載用消防ポンプの位置の要部変化を示し、
図3は消防ポンプ10の正面及び側面図である。
図に示されるように、消防ポンプ搬送車1は軽トラック、1トントラック、2トントラック等の荷台を備えた貨物自動車である。また、本実施の形態の消防ポンプ搬送車1は、消防ポンプ10を積み降ろし可能で、公知のセルモータ及びリコイルスタータで始動されるエンジン11で高圧ポンプ12に接続されている。
図1に示す最後部は案内羽根のあるタービンポンプ、特に、うず巻きポンプが使われる高圧ポンプ12であり、隣接してエンジン11が配置されている。これらエンジン11及び高圧ポンプ12は、消防ポンプ10を構成している。消防ポンプ10は、市販されているので、詳細な説明を割愛する。
以下、消防ポンプ10は公知のセルモータ及びリコイルスタータで始動されるエンジン11及びそれに接続された高圧ポンプ12で構成されている。吸水口12a及び吐水口12bは、高圧ポンプ12の加圧水の吸水、排水を示すものである。
【0028】
消防ポンプ10のセルモータ及びリコイルスタータで始動されるエンジン11側、案内羽根のあるタービンポンプが使われる消防ポンプ10側の角隅位置で後端の左右端にはそれぞれ可搬支持棒40a,40b,40c,40dが軸支されており、各可搬支持棒40a,40b,40c,40dはボルト螺子45からなる回転軸によって、回動自在に軸支されている。
通常は、可搬支持棒40a,40b,40c,40dは、略垂直方向にボルト螺子45から垂れ下がっている。また、約90度回動させて、水平方向にハンドルを移動させることもできる。
【0029】
詳しくは、
図4に示すように、可搬支持棒40a,40b,40c,40dは、筒状の肉厚管41にグリップである取手42を自由端に配設し、他端に長さ方向に断面を採ると逆U字状となる係合部43が形成されている。肉厚管41と係合部43は溶接により一体となっており、自由端の反対側端部で、消防ポンプ10を構成する凸構成部44と係合している。この係合は凸構成部44と係合部43が密に弾性接続され容易に離脱しない係合となっている。
また、肉厚管41と係合部43との溶接部分には下方に開口する嵌合孔が形成されていて、そこに消防ポンプ10に螺入するボルト螺子45が挿入されている。
これらの可搬支持棒40a,40b,40c,40dは、車載時には
図12の仮想線で示されるように消防ポンプ10の両側面に密着させるように回転させて、可搬支持棒40a,40b,40c,40dのボルト螺子45を支点として折曲自在としている。消防ポンプ10を地面に降ろしたときには、可搬支持棒40a,40b,40c,40dを弛めて想像線で示されるように消防ポンプ10を折り畳みできる位置まで回動させ、可搬支持棒40a,40b,40c,40dで強固に締め付けている。
【0030】
本実施の形態の可搬支持棒40a,40b,40c,40dの支軸となるボルト螺子45には、
図5に示すように、係合部43の内面側が所定の距離、即ち、係合部43の幅だけの距離がボルト螺子45に貫通されている。
そのボルト螺子45に折り返し金具46等のベルト端部47を挿入する。折り返し金具46に形成したベルト端部47を挿通し、ベルト端部47を固定する。
ここで、肉厚管41と取手42、係合部43、凸構成部44、ボルト螺子45は、一体となって可搬支持棒40a,40b,40c,40dを構成している。
また、係合部43の内面側が、係合部43の幅だけの幅となるボルト螺子45に折り返し金具46を配設し、ベルト端部47を挿入する。ベルト端部47に形成した挿通孔48をベルト49が挿通され、ベルト端部47を固定するベルト端部47は、ベルト49A,49B、49C,49Dとして取付ける構成を採用できる。
【0031】
本実施の形態のベルト49A,49B、49C,49Dは、ベルト端部47に形成されたものであるが、本発明を実施する場合には、直接、ベルト49A,49B、49C,49Dを消防ポンプ10の一部に括り付けてもよいので、ベルト49A,49B、49C,49Dの端部に金具等の別部品は必ずしも必要ではない。
また、ベルト49は紐として使用することもできるので、特に、ベルト49A,49B、49C,49Dは紐とすることができる。
【0032】
図6(a)及び(b)に示すように、ベルト49の他端は、可搬支持棒40b側でも、可搬支持棒40d側の位置でもよい。ベルト49は人の一方の肩または頸椎に掛けるべくU字状に廻して両肩に荷重を加えるものである。したがって、原則、ベルト49の他端は可搬支持棒40b側でも、可搬支持棒40d側でも、基本的には同じ構成となる。
図6(a)においては、進行方向に向かって前後の2つの位置で、
図6(b)においては、進行方向に向かって同一位置に配設したものである。
本実施の形態では、ベルト49を使用しているが、本発明を実施する場合には、ベルト49の平板を、断面丸状の紐としてもよい。
【0033】
更に、可搬支持棒40a,40b,40c,40dのボルト螺子45を共通化するためにベルト49A,49Bまたは図示しない紐取付具を可搬支持棒40a,40b,40c,40dと共通に取付けているが、本発明を実施する場合には、消防ポンプ10に直接堅固に取付けできる構造とすることもできる。或いは、最下部のフレーム29を形成してベルト49A,49Bまたは図示しない紐取付具とすることもできる。
例えば、
図6の仮想線で消防ポンプ10を構成する構成体である最下部のフレーム29に取付けたベルト49Eを示しているように、ベルト49の端をUターンさせ、それを縫い付けベルト49A,49Bの端部の取付具の代わりにベルト49自体に取付け加工としてもよい。
【0034】
図7乃至
図9に示すように、消防ポンプ搬送車1の積載床部2には、複数枚の平板3が間隔をおいて平行に溶接され、その上に略直角にベースガイド部材4としての左右1対のベースガイドレールが溶接されている。ベースガイド部材4の後端は積載床部2の後端近傍に達している。その内側には、ベースガイド部材4に対して前後方向に移動可能にスライド部材5が取付けられており、その上には消防ポンプ10を固定した昇降搬送台20をスライド部材5に対して前後方向に移動可能である。
即ち、昇降搬送台20は消防ポンプ10を積載した状態で、水平方向に搬送移動自在である。
上下方向に昇降させる昇降搬送台20は、昇降ベース22及び消防ポンプ10側を平面とし、消防ポンプ10の反対側を油圧系配置側とした昇降ボックス30から構成されている。
【0035】
消防ポンプ10が固定された消防ポンプ搬送車1の積載床部2に、消防ポンプ搬送車1が火災現場に急行するのに、高速走行でも、振動を受けても、外れることなく堅固に固定し、消防ポンプ搬送車1が目的地に着いたら直ちに、安全かつ迅速に消防ポンプ10を消防ポンプ搬送車1から降ろすために各種の係止具71,72,73,74が配設されている。
即ち、係止具71,72,73は消防ポンプ10が消防ポンプ搬送車1に搭載され、消防ポンプ搬送車1の荷台に沿って、水平に、消防ポンプ10を移動させ、特定の移動を拘束するものである。また、昇降搬送台20は消防ポンプ10を積載した状態で、垂直方向に搬送自在である。
【0036】
例えば、係止具71は、図示されるように、スライド部材5がその上に載った昇降搬送台20とともに、ベースガイド部材4に対して一定距離だけスライド自在である。係止具71は、支持点間が離れた軸となる水平移動距離を決める支持部材71a、その一端の解除を支持操作する取手71b、その取手71bを軸支して回動自在とすることにより、昇降搬送台20の後方への移動を停止する固定片71c、固定片71cと共に形成され、移動に伴い自然に通過ロックする固定片71dとの間に停止位置を定める固定開口71e及びその固定開口71eに入り込み移動を停止する端部71fから構成されている。
この水平移動距離を決める支持部材71aは、消防ポンプ10のストローク長となり、消防ポンプ搬送車1の走行時の消防ポンプ10のホームポジションから、昇降搬送台20の昇降動作の位置を示すものである。そのため、係止具71は
図11の取手71bの位置及び端部71fの位置で拘束される。
【0037】
また、係止具72は、スライド部材5及び昇降搬送台20を消防ポンプ搬送車1の後方に移動しないように停止させるもので、消防ポンプ搬送車1の自走状態で停止させるものであり、昇降搬送台20及び消防ポンプ10を消防ポンプ搬送車1に積載完了になったとき、昇降搬送台20及び消防ポンプ10の移動完了でロックされる。
昇降搬送台20の後方への移動を停止する固定片71cは、消防ポンプ搬送車1から後方への移動を禁止している。また、その一端の解除をする取手72bは、軸支により回動自在とすることにより、固定片72cと共に形成される。
【0038】
そして、係止具73は、スライド部材5及び昇降搬送台20を消防ポンプ搬送車1の後方に移動したとき、その逆移動を防止するものである。
昇降搬送台20の後方への移動を停止する固定片73cは、消防ポンプ搬送車1から後方への移動を禁止している。また、その一端の解除をする取手73bは、軸支により回動自在とすることにより、固定片73cと共に形成される。
即ち、昇降搬送台20の後方への移動を停止する固定片73cは、消防ポンプ搬送車1から後方への移動を禁止している。また、その一端の解除をする取手73bは、軸支により回動自在とすることにより、固定片73cを係止具73の後方に移動させることができる。
【0039】
したがって、
図7乃至
図9において、取手71bを消防ポンプ搬送車1から回動させるように倒すと、固定片71dと固定片71cとのロックが外れ、取手71bは防ポンプ搬送車1を前方または後方に移動自在となる。同時に、係止具71と同様な拘束をする係止具73は、スライド部材5及び昇降搬送台20を消防ポンプ搬送車1の後方に移動するようにロックを外す。これにより、固定片71dが取手71bを開けながら通過し、固定開口71eに取手71bが入り込み、固定片71cに当接して停止する。これが、昇降搬送台20が昇降する準備となる。
このとき、係止具73は、取手72bを開けながら通過した位置にあり、係止具73側では、前方側に拘束されている。
なお、係止具74は、スライド部材5及び昇降搬送台20が一体となっているものを、解除することにより分離可能とし、逆に、スライド部材5及び昇降搬送台20とが一体となるように、ロック螺子を締め付ける係止具であり、スライド部材5と昇降搬送台20を一体化するものである。なお、本実施の形態で使用した係止具74は、係止具71,72,73と同様な係止具を使用することができる。
【0040】
前述した係止具71は、取手71bを消防ポンプ搬送車1の後方から開くように倒すことで、固定開口71eから取手71bを離脱させ、その状態でスライド部材5及び昇降搬送台20を消防ポンプ搬送車1の前方に押圧する。固定開口71eから取手71bを離脱させると、固定片71dの表面を取手71bが図示しない弾性体の作用により押圧する。同時に、スライド部材5及び昇降搬送台20を消防ポンプ搬送車1の前方に押圧し、スライドさせる。このとき、係止具71と共同する係止具73のロックを外し、スライド部材5及び昇降搬送台20を消防ポンプ搬送車1の前方に移動するようにし、固定片71dが取手71bを開けながら通過し、固定開口71eに取手71bが入り込み、固定片71cに当接して停止する。これが、消防ポンプ10及び昇降搬送台20が昇降する準備が整った位置となる。
【0041】
次に、本実施の形態にかかる車載用消防ポンプの詳細な構造について、
図7乃至
図9の斜視図を用いて消防ポンプ10のホームポジションについて説明する。
図示されているように、左右1対のベースガイド部材4内には、スライド部材5に回転自在に取付けられたベアリングが懸架されており、これらのベアリングが回転することによって、スライド部材5は左右1対のベースガイド部材4に対して滑らかにスライドする。同様に、スライド部材5の左右1対のスライドレール内には、水平方向に回転自在に取付けられた複数個のベアリングが懸架されており、これらのベアリングが回転することによって、昇降搬送台20はスライド部材5に対して滑らかに移動する。
【0042】
本実施の形態においては、消防ポンプ搬送車1の運転中にスライド部材5が左右1対のベースガイド部材4に対してスライドしないように固定する係止具71及び係止具73は、昇降搬送台20を最大伸縮すると共に、停止した位置から水平方向の移動及び垂直方向の移動を行う係止具71、昇降搬送台20及び消防ポンプ10を乗せた時にその状態を停止維持するようにした係止具72、昇降搬送台20及びを消防ポンプ10をホームポジションとする位置決めを行う係止具73、昇降搬送台20から消防ポンプ10を取り外す係止具74から構成されている。
【0043】
更に詳しく説明すると、特に、係止具71は、一方のベースガイド部材4に回動自在に支持された支持点間が離れた軸となる支持部材71aの一端がほぼ直角に折れ曲がって取手71bが付けられており、支持部材71aには両端近傍の2箇所にL形の固定片71dが一体に溶接されており、スライド部材5には固定片71dが嵌合する凹部を有する固定開口71eが固定されている。更に、支持部材71aは図示しないばねによって、固定片71dの凹部に嵌合する方向に回動する弾性を付与している。
これによって、スライド部材5の固定片71dの凹部に奥の方の固定片71dがばねの付勢力によって押し付けられて嵌合しているので、スライド部材5がベースガイド部材4に対してスライドしないように固定される。
【0044】
昇降搬送台20は、想像線で示される消防ポンプ10を固定するもので、消防ポンプ10が油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bの作用により、地面に着くまで降下する昇降ベース22及び昇降ボックス30からなる昇降搬送台20は、自動油圧調整手段及び手動油圧調整手段を配設している。
即ち、自動油圧調整手段の内部に油を送り込んだ所定の油圧で、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bを通常時の高さに保っている。このとき、油圧バイパスバルブ83を左回りに緩めることによって、昇降ボックス30内部の油圧シリンダ90B及び油圧シリンダ90B内の油を抜き、消防ポンプ10を固定した昇降ベース22及び昇降ボックス30を自重で昇降ベース22が地面に着くまで降下させる。これは、油圧系の手動油圧調整手段を構成している。
また、油圧バイパスバルブ83を右回りに締めて、手動油圧ポンプ81のポンプ作動桿81aを作動させて昇降ボックス30内部の油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bに油を送り込んで昇降ベース22及び昇降ボックス30を上昇させたり、下降させたりすることもできる。
【0045】
油圧バイパスバルブ83を右回りに締めて遮断し、電動油圧ポンプ87を正転または逆転させて昇降ボックス30内部の油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bに油を送り込んだり、排出したりする自動油圧調整手段を構成する。電動油圧ポンプ87の正転または逆転は、制御装置89からの正負の切り替えによって切り替えができる。
勿論、手動油圧ポンプ81のポンプ作動桿81aの作動も、ポンプ切替バルブ82によって、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bに油を送り込んだり、排出したりしてもよい。ポンプ切替バルブ82は、手動油圧ポンプ81のポンプ圧の吐出方向を決めるものである。なお、余剰検出バルブ86は余剰油を容器に戻すものであり、また、二次電池88は電気制御用である。
【0046】
図10に示す油圧系の油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bは、油を送り込んで伸長または伸縮させるもので、その上端90a,90bは、消防ポンプ搬送車1の積載床部2側の図示しないフレームに取付けられている。また、下部90c,90dは昇降搬送台20側に取付けられている。この実施の形態では、係止具71の取手71bと固定片71c、固定片71dとの係合している構成の昇降ボックス30側に配設されている。昇降ボックス30の底部に油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bの底部が取り付けられている。したがって、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bの下部90c,90dは、昇降ボックス30に取付けられているから、昇降ボックス30の底部は油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bによって下降することになる。
【0047】
手動油圧ポンプ81は、ポンプ作動桿81aの上下動によってポンプアップし、昇降ベース22及び昇降ボックス30を昇降させるもので、通常、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bに油圧を掛けた状態になっている。油圧バイパスバルブ83は油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bに油圧を掛けた状態から、その掛けられた油圧を排出し、昇降ベース22及び昇降ボックス30を降下させるものである。
切替バルブ82は、手動油圧ポンプ81の出力を逆転させる切替バルブであり、制御装置89からの電気信号で切り替えを行う。しかし、電気エネルギが加わっていないとき、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bの油圧を低下させる方に切り替えが行われている。
油圧バイパスバルブ83は、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bに油圧を掛けた状態のとき、最大に伸長するのか、最小に伸長するかの切り替えを行うバルブである。油タンク85は予備の油を貯蔵するタンクである。油タンク85には、必要量の油を制御系に保持し、それ以上の油を排出自在なタンクである。
【0048】
電動油圧ポンプ87は、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bを自動制御により、伸長または縮小する油圧を出力するもので、油圧を汲み上げる、例えば、自動制御を行う場合に使用される。油圧は、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bに同時に供給され、更に、通常閉じている油圧バイパスバルブ83の両端に油圧が供給される。手動油圧ポンプ81の両端に油圧が加えられる。
本実施の形態では、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bを2個設置しているが、1個とすることも3個以上とすることもできる。また、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bを1個とすることもできる。特に、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bを1個以上とし、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bの変位を2倍とする動滑車の構成を採ることもできる。
【0049】
ここで、消防ポンプ搬送車1の積載床部2に消防ポンプ10及び昇降搬送台20を載置した状態では、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bの位置の変位しない上端90a,90bは、垂直位置が変化せず、昇降搬送台20側に取付けられている下部90c,90dが上端90a,90bに近づく。このときの油圧は、油圧センサ84の検出値が所定の閾値以上で電動油圧ポンプ87が停止する。このとき、図示しない油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bのストロークによって上昇が停止される。
通常状態では、この状態で消防ポンプ搬送車1の積載床部2の上で消防ポンプ10及び昇降搬送台20を移動させることができる。
【0050】
例えば、消防ポンプ搬送車1の積載床部2に消防ポンプ10及び昇降搬送台20を持ち上げる場合には、昇降搬送台20の昇降ベース22は地表面にある。そこで、油圧バイパスバルブ83を閉じて、電動油圧ポンプ87の出力を独立させ、電動油圧ポンプ87を昇降搬送台20側に取付けられている下部90c,90dが上端90a,90bに近づくように上昇させる。昇降ボックス30も同様に上昇する。図示しない油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bのストロークによって上昇が停止される。
【0051】
逆に、消防ポンプ搬送車1の積載床部2に消防ポンプ10及び昇降搬送台20を降下させる場合には、昇降搬送台20の昇降ベース22は、昇降ボックス30と一体となって降下する。この場合には、油圧バイパスバルブ83を開き、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bの油圧を低下させることにより、その下部90c,90dが上端90a,90bから離れるようにする。
このとき、昇降ボックス30は昇降ベース22とともに、消防ポンプ10を昇降させるから、油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bの油圧を低下させることは、昇降搬送台20を下降することになる。
【0052】
昇降搬送台20がその上に載った消防ポンプ10を固定した昇降搬送台20とともにスライド部材5に対して移動する。この移動操作は、係止具71の取手71bを押し下げて、固定片71cの凹部に嵌合している取手71bをばねの付勢力に抗して抜き出して、係止具71を解除する。この状態で、昇降搬送台20を後部方向に引張りまたは押してベアリングを転がすことによって、昇降搬送台20をスライド部材5に対して移動させる。
即ち、消防ポンプ10を積載した状態で、水平方向及び垂直方向に搬送移動自在な昇降搬送台20と、昇降搬送台20に取付けられ、昇降搬送台20を消防ポンプ搬送車1の後部から地上に下ろす電動油圧ポンプ87による自動油圧調整手段、及び油圧の圧力を調整して昇降搬送台20を下降させる手動油圧ポンプ81からなる手動油圧調整手段から構成されている。
【0053】
所定距離移動すると、昇降搬送台20の後端に設けられている係止具71が固定片71c及び固定片71dに固定されて停止し、同時に係止具72の取手72bの近傍が、図示しないばねの付勢力によって固定片72cに当接して、昇降搬送台20はスライド部材5がロックされる。側面から見ると、昇降ボックス30及び昇降ベース22がスライド部材5を越える位置までスライドしている。これによって、スライド部材5が後方に突き出ていても、消防ポンプ10を固定した昇降搬送台20を載置した地面に着くまで降ろすことができる。
【0054】
例えば、
図8に示されるように、昇降搬送台20の上に載った消防ポンプ10を固定するとともにスライド部材5に対して突出している。そこで、手動油圧調整手段を構成する油圧バイパスバルブ83をゆっくり左回りに緩めることによって昇降搬送台20の内部の油圧シリンダ90A及び油圧シリンダ90Bの油圧シリンダ内圧を均一化し、消防ポンプ10を固定した昇降搬送台20で昇降ベース22及び昇降ボックス30を自重で昇降ベース22が地面に着くまで降下させる。
昇降ベース22が地面に着くと、昇降搬送台20から係止具74を外すことにより、消防ポンプ10を取り出すことができる。
【0055】
このとき、本実施の形態の車載用消防ポンプは、台車を使用していないから、小回りがきき、狭い入り組んだ通り道しかない火災現場においても、迅速に移動させることができる。また、可搬支持棒40a,40b,40c,40dは、それを分離しても対向側にベルト49A,49Bが配設されており、転倒することなく安定した搬送が可能となる。そして、吸水口12aに吸水管を接続して、消火栓・川・池等の消防水利の中へ先端を入れ、消防ポンプ10のエンジンを動かすことによって真空ポンプを作動させ、消防水利から吸水を行う。そして、吐水口12bに消火ホースを接続して吐水バルブを開けて消火ホースを火炎に向けて放水できる。
【0056】
消火活動が終了したら、再び可搬支持棒40a,40b,40c,40dを持って移動させて消防ポンプ搬送車1まで戻り、昇降ベース22に載置して係止具74で固定し、可搬支持棒40a,40b,40c,40dを収納位置まで回してから、手動油圧ユニットの油圧バイパスバルブ83を右回りに締めて手動でポンプ作動桿81aを往復運動させることによって、手動油圧ポンプ81を作動させて昇降ベース22を元の高さまで上昇させる。
特に、手動油圧ポンプ81のポンプ作動桿81aは、その高さが、消防ポンプ搬送車1の水平距離から所定間高さに設定されており、位置が不変であるから、操作する人との姿勢を崩す必要はがない。
【0057】
その後は、消防ポンプ10を降ろしたときと逆の手順で、係止具71は、その一端の取手71b、それら取手71bを軸支し、回動自在とする固定片71c及び固定片71d、半径方向に突出させた軸を有し、その軸が固定開口71eに噛み合いまたは噛み合い解除する取手71bから構成されている。
したがって、スライド部材5に回動自在に支持された支持点間が離れた軸となる支持部材71aの一端がほぼ直角に折れ曲がって取手71bが付けられており、支持部材71aには両端近傍の2箇所に直線形の固定片71dが一体に溶接されており、昇降搬送台20には固定片71dが嵌合する凹部を有する固定片71cが固定されている。更に、支持部材70aは図示しないばねによって、固定片71dが固定片71cの凹部に嵌合する方向に回動するように付勢されている。
【0058】
また、係止具71は、その一端の取手71b、それら取手71bを軸支し、回動自在とする固定片71c及び固定片71d、半径方向に突出させた軸を有し、その軸が固定開口72eに噛み合いまたは噛み合い解除する。
この係止具71は、半径方向に突出させた軸を有し、その軸が固定開口72eに噛み合い解除して昇降搬送台20をスライド部材5に対して前方向に移動させ、元の位置まで戻して係止具71で固定し、更に、回動自在とする固定片71c、半径方向に突出させた軸を有し、その軸が固定開口71eに噛み合いまたは噛み合い解除してスライド部材5をベースガイド部材4に対して前方向にスライドさせ、元の位置まで戻して係止具71及び係止具72で固定する。これで、最初のロックされた状態に戻ったので、消防ポンプ搬送車1を走らせることができる。
【0059】
更に、消防ポンプ10のホームポジションについて説明する。
ベースガイド部材4内にはスライド部材5を移動させるためのベアリングが内蔵されており、スライド部材5としてのスライド部材5内には昇降搬送台20を水平方向に移動させるためのベアリングが内蔵されている。昇降ボックス30にはカバーが上下に移動可能に取付けられて、スムーズに昇降が行われる。
【0060】
次に、消防ポンプ搬送車1が停車して、固定した消防ポンプ10を地上に降ろす操作の昇降搬送台20に取付けられ、昇降搬送台20を消防ポンプ搬送車1の後部から地上に下ろす自動油圧調整手段及び人力で油圧の圧力を調整して行う手動油圧調整手段を説明する。
図11及び
図12に示されるように、スライド部材5がその上に載った昇降搬送台20とともに、ベースガイド部材4に対して一定距離だけ移動する。この移動操作は、次のようにして行われる。
まず、係止具71の取手71bを拡大する方向に押圧し、固定開口71eの凹部に嵌合している奥の方の固定片71c及び固定片71dはばねの付勢力に抗して、係止具71を解除する。この状態で、スライド部材5を後部方向に引張りまたは押してベアリングを転がすことによって、スライド部材5をベースガイド部材4に対して搬送させる。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態にかかる車載用消防ポンプにおいては、単純なスライド構造と昇降制御によって構成されているので、低価格で製造することができ、消防団の消防車にも取付けることができる。
なお、本実施の形態においては、消防ポンプ10の可搬支持棒40a,40b,40c,40dを2つ折りに回動させることによってコンパクトに収納できる。また、通常の一端に螺子を形成したハンドルを用いて、消防ポンプ搬送車1に載せるときには1対のハンドルを緩めてハンドル取付パイプから引き抜き、消防ポンプ搬送車1の空いたスペースに載せておき、消防ポンプ10を降ろしたときには、個々のハンドルをハンドル取付パイプに嵌め込んでハンドル固定ねじを強固に締めて固定して、消防ポンプ10を操作する方式としても良い。
【0062】
更に、通常の円筒形のハンドルを用いて、消防ポンプ10を消防ポンプ搬送車1に載せるときには、円筒形のハンドルを消防ポンプ10側に折り畳める方式とすれば、より機動性に優れたものとなる。
また、本実施の形態においては、軽トラック型の屋根のある消防ポンプ搬送車1に取付けた場合について説明したが、屋根のないトラック型の消防ポンプ搬送車1に取付けることも可能である。
消防ポンプ10のその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等についても、本実施の形態に限定されるものではない。
【0063】
本実施の形態の車載用消防ポンプは、消防ポンプ搬送車1に積み降ろしが可能で、セルモータ及びリコイルスタータで始動されるエンジンに接続された消防ポンプ10と、消防ポンプ10を積載した状態で、水平方向及び垂直方向に搬送移動自在な昇降搬送台20と、昇降搬送台20に取付けられ、昇降搬送台20を消防ポンプ搬送車1の後部から地上に下ろす自動油圧調整手段及び人力で油圧の圧力を調整して手動油圧調整手段の制御装置89、消防ポンプ10の重心位置Gよりも高い位置に支持点Hが位置し、消防ポンプ10に取付けられた複数本の可搬支持棒40a,40b,40c,40dと、消防ポンプ10及び前記昇降搬送台20の移動を拘束する係止具71,72,73,74を具備する。
【0064】
本実施の形態の車載用消防ポンプは、昇降搬送台20にセルモータ及びリコイルスタータで始動されるエンジン11に接続された高圧ポンプ12からなる消防ポンプ10を積載した状態で、前記消防ポンプ10及び昇降搬送台20の移動を拘束する係止具71,72,73,74を外し、水平方向及び垂直方向に搬送、積み、降ろしが可能で、消防ポンプ搬送車1の後部から地上に消防ポンプ10を下ろすことができる。エンジン11及び高圧ポンプ12からなる前記消防ポンプ12の重心位置Gよりも高い位置に支持点Hがあり、消防ポンプ10に取付けられた複数本の可搬支持棒40a,40b,40c,40dで、消防ポンプ10を持ち上げる。
よって、安全、迅速に消防ポンプを降ろすことができ、消防ポンプ10を搬送する場合には、消防ポンプ10を複数本の可搬支持棒40a,40b,40c,40dで持ち上げ、狭い路地等を移動できるので、機動性に優れ、かつ、低価格である。
【0065】
ここで、エンジン11及び高圧ポンプ12からなる前記消防ポンプ10の重心位置Gよりも高い位置に支持点Hがあり、消防ポンプ10に取付けられた複数本の可搬支持棒40a,40b,40c,40dで、消防ポンプ10を持ち上げる場合には、支持点Hが重心位置Gよりも高い位置にあるから、持ち上げた時、重心位置Gよりも高い位置に支持点Hがあるので安定する。
しかし、本実施の形態では、複数本の可搬支持棒40a,40b,40c,40dが堅固な部品であるので、ベルトまたは紐で重量を保持するので、必ずしも、重心位置Gよりも高い位置に支持点Hがあることを必要とするものではない。ベルトまたは紐が巻き込まれないようにすべきである。この意味で、ベルトまたは紐は消防ポンプ10の下面を形成するパイプを使用するのが好適である。
【0066】
したがって、エンジン11の始動はセルモータ及びリコイルスタータの何れによっても始動可能であり、また、昇降搬送台20の電動油圧ポンプ87による昇降を自動昇降制御及び人力で油圧の圧力を調整して昇降する手動油圧ポンプ81または油圧バイパスバルブ83からなる手動昇降制御の何れによっても下降自在であるから、機動性に優れ、かつ低価格の車載用消防ポンプとすることができる。
また、前記エンジン11及び前記高圧ポンプ12からなる消防ポンプ10は、その重心位置Gよりも高い位置に高圧ポンプ12の支持点Hが位置するから、持ち上げた時の消防ポンプ10の安定度が高く、消防ポンプ10をそのまま持ち上げても、複数本の可搬支持棒40a,40b,40c,40dに回転力が加わらないから、狭い路地等を移動できる。
更に、本実施の形態の車載用消防ポンプは、台車に搭載させて搬送するものでないから、台車の通過できる狭い路地も通過可能であり、それよりも狭くても、ハンドル等が突出していないから、小回りが可能であり狭い路地も通過可能となる。
【0067】
エンジン10及び高圧ポンプ12の重心位置よりも高い位置に支持点Gが位置するベルト取付具41a,41bが配設されいることを特徴とする。
車載用消防ポンプのエンジン11及び高圧ポンプ12からなる消防ポンプ10の重心位置よりも高い位置に支持点Gが位置するベルト49A,49Bまたは紐取付具は、肩にベルト49、紐を掛けて搬送できるから、人体のバランスを捉え乍ら搬送することができる。
また、本実施の形態の車載用消防ポンプは、人力で油圧の圧力を調整して昇降する手動油圧ポンプ81からなる手動昇降制御は、人力で油圧を低下させるべく作動させるものである。
したがって、車載用消防ポンプの人力で油圧の圧力を調整して昇降する手動油圧ポンプ81からなる手動油圧調整手段は、人力で油圧を低下させるべく作動させるものであり、油圧の圧力を除くものであるから、操作するエネルギが少なくてすむし、ポンプ系の故障が無視できて使用できる。
【0068】
消防ポンプ搬送車1に積み降ろしが可能で、セルモータ及びリコイルスタータで始動されるエンジン11及びエンジン11に接続された高圧ポンプ12からなる消防ポンプ10と、消防ポンプ10を積載した状態で、水平方向及び垂直方向に搬送移動自在な昇降搬送台20に取付けられ、昇降搬送台20を消防ポンプ搬送車1の後部から地上に下ろす自動油圧調整手段及び人力で油圧の圧力を調整して手動油圧ポンプ81からなる手動油圧調整手段と、エンジン11及び高圧ポンプ12の重心位置よりも高い位置に支持点Gが位置し、消防ポンプ12に取り付けられた複数本の可搬支持棒40a,40b,40c,40d、消防ポンプ10の重心位置よりも高い位置に支持点Gが位置するベルト49A,49Bまたは紐の取付具を具備する。
【0069】
本発明の実施の形態の車載用消防ポンプは、消防ポンプ10を積載し、高圧ポンプ12の水平方向及び垂直方向に搬送、積み降ろしが可能であり、消防ポンプ搬送車1の後部から地上に下ろし、消防ポンプ10の重心位置よりも高い位置に高圧ポンプの支持点Gが位置する消防ポンプ10に取り付けられた複数本の可搬支持棒40a,40b,40c,40dで、消防ポンプ10を持ち上げるものである。
特に、火災現場に到着するまでを二者択一として故障を回避する手段を講じているから、
緊急時の信頼性を高くすることができる。そして、消防ポンプ10を消防ポンプ搬送車1から降ろし、消防用ポンプ10の搬送、エンジンの始動する態様を任意に選択できる。
【0070】
したがって、エンジン11の始動はセルモータ及びリコイルスタータの何れによっても始動可能であり、また、昇降搬送台20の昇降も自動油圧調整手段及び人力で油圧の圧力を調整して昇降する手動油圧ポンプ81からなる手動油圧調整手段の何れによっても下降自在であるから、機動性に優れ、かつ低価格の車載用消防ポンプとすることができる。
また、エンジン11及び前記高圧ポンプ12からなる消防ポンプ10の重心位置よりも高い位置に消防ポンプ10の支持点が位置するから、持ち上げた時の消防ポンプ10の安定度が高く、前記消防ポンプ10をそのまま持ち上げても、複数本の可搬支持棒40a,40b,40c,40dに回転力が加わらないから、狭い路地等を移動できる。
更に、本願発明は台車に搭載させて搬送するものでないから、台車の通過できる狭い路地も通過可能であり、それよりも狭くても、ハンドル等が突出していないから、小回りが可能であり狭い路地も通過可能となる。
【0071】
なお、昇降搬送台20の昇降は、常に、消防ポンプ搬送車1に消防ポンプ10が積載されているから、火災現場では、まず、消防ポンプ10を消防ポンプ搬送車1から下ろすことが最初の作業である。したがって、消防ポンプ搬送車1の後部から消防ポンプ10を地上に下ろす手動昇降動作が必要となる。手動昇降動作では、人力で油圧圧力を調整して下降自在とする手動油圧ポンプ81または油圧バイパスバルブ83からなる手動降下によって下降自在である。
即ち、昇降搬送台20に取付けられた手動昇降動作は、昇降搬送台20を消防ポンプ搬送車1の後部から地上に下ろすのに手動油圧ポンプ81及び油圧バイパスバルブ83の二者択一で選択自在な油圧調整部を構成する。
なお、ここで、油圧調整部とは、油圧の調節ができればよいことから、手動油圧ポンプ81のようなポンプ、油圧の高い部位と油圧の低い部位との間を管路で結び、油圧を調整するものであればよい。
【0072】
電動油圧ポンプ87は、正転、逆転が可能なものであるが、二次電池の容量不足、機械的、電気的故障により消防ポンプ10を消防ポンプ搬送車1から降ろすことができない場合でも、消防ポンプ搬送車1の荷台から消防ポンプ10を移動させて昇降動作できる位置まで、人力で移動させる。消防ポンプ10が
図11の位置にあるとき、係止具71が働き、移動が拘束される。この状態で、手動油圧ポンプ81または油圧バイパスバルブ83を動作させ、消防ポンプ10を人力で持ち揚げ可能な位置まで移動させる。したがって、消防ポンプ10を消防ポンプ搬送車1から降ろすことが容易となる。
また、消防ポンプ10を消防ポンプ搬送車1に積載するときにも、手動油圧ポンプ81及びポンプ作動桿81aは、切替バルブ82によって切り替え可能となり、また、電動油圧ポンプ87は電圧の印加方向によって回転方向も所定の方向の回転となる。
【符号の説明】
【0073】
1 消防ポンプ搬送車
5 スライド部材
6 ベースガイド部材
10 消防ポンプ
11 エンジン
12 高圧ポンプ
20 昇降搬送台
40a,40b,40c,40d 可搬支持棒
41a,41b ベルト取付具
44a,44b 紐
49A,49B ベルト
49C,49D ベルト
71,72,73,74 係止具
81 手動油圧ポンプ
83 油圧バイパスバルブ
90A,90B 油圧シリンダ