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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20220325BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20220325BHJP
   A63B 22/06 20060101ALI20220325BHJP
   G06F 3/04842 20220101ALI20220325BHJP
   G06F 3/0487 20130101ALI20220325BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20220325BHJP
【FI】
G06F3/01 510
A61H1/02 Q
A63B22/06 L
G06F3/0484 120
G06F3/0487
G06T19/00 300B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019001425
(22)【出願日】2019-01-08
(65)【公開番号】P2020112889
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2019-06-18
【審判番号】
【審判請求日】2020-04-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519208030
【氏名又は名称】silvereye株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】汲田 宏司
(72)【発明者】
【氏名】今泉 一哉
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】加藤 啓
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-85770(JP,A)
【文献】特表2014-518723(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0090003(KR,A)
【文献】特開平9-173500(JP,A)
【文献】Francesco Grani, Jon Ram Bruun-Pedersen,Giro: Better Biking in Virtual Reality,2017 IEEE 3rd Workshop on Everyday Virtual Reality(WEVR),米国,IEEE,2017年6月26日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 22/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのリハビリで行われる所定の動作に関する物理量を検知するセンサと、
前記センサにより検知された前記物理量に応じて変化する仮想空間の様子を示す1以上の画像情報を表示する制御を実行する表示制御手段を含む第1端末と、
前記第1端末と通信をする情報処理装置と、
を含む情報処理システムにおいて、
前記情報処理装置又は前記第1端末は、
前記ユーザについてのコンテクスト情報を取得する取得手段と、
前記仮想空間内でオブジェクトが移動し得るコンテンツであって、リハビリを目的とするコンテンツが複数種類記憶されている記憶手段にアクセスして、前記ユーザの前記コンテクスト情報に基づいて、当該複数種類の中から所定種類のコンテンツを取得する取得手段と、
前記ユーザの前記コンテクスト情報に応じて前記仮想空間の物理法則を変化させたうえで、当該仮想空間の様子を変化させるように、前記所定種類のコンテンツを再生する再生手段と、
を備え、
前記ユーザの所定の動作は、当該ユーザが所定のペダルを回転させる動作であり、
前記センサは、前記ペダルの回転数を検知するものであり、
前記第1端末は、所定のHMDであり、
前記複数種類のコンテンツは、前記オブジェクトとして、自転車のオブジェクトが採用されており、当該自転車のオブジェクトが前進するルートが夫々異なっており、
前記再生手段は、
前記ユーザによる前記ペダルの回転動作に伴い前記仮想空間内の当該オブジェクトを移動させることにより、前記ユーザが見ることができる前記仮想空間内の様子を変化させるように、前記所定種類のコンテンツを再生し
らに、前記コンテクスト情報により判断される前記脚の能力の低下度合いに応じて、前記センサにより検出される前記ペダルの前記回転数が同一でも実空間の自転車よりも長距離だけ前記オブジェクトが進むように物理法則を変化させると共に、1以上の別オブジェクトを前記仮想空間内に配置させたうえで、前記所定種類のコンテンツを再生し、
前記表示制御手段は、前記再生手段により再生される前記所定コンテンツに関する前記1以上の画像情報を表示する制御を実行する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記複数種類のコンテンツは、観光名所又は街への前記ユーザの来訪を望む者により制作された、当該観光名所又は街を巡る種類を含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回復期リハビリテーション病棟(以下、「回復期リハビリ病棟」と呼ぶ)では、診療報酬額、病床数ともに急増している。「回復期」とは、脳血管障害や骨折等により急性期(症状が急に現れた時期)に治療を受け、その後症状が安定し始める時期である、発症から2カ月程度経過した時期のことをいう。ケガ等により低下した能力を元に戻すためには、回復期に集中してリハビリテーション(以下、「リハビリ」と呼ぶ)行うことが重要であるとされている。
しかしながら、上述のとおり、回復期リハビリ病棟では病床数が急増しているため、患者1人のリハビリにあてられる時間は、1日あたり3時間が上限とされている。
即ち、回復期におけるリハビリの需要が拡大しているにもかかわらず、回復期リハビリ病棟では、その需要の拡大に対応できていないという問題が生じている。このため、患者が効率よくリハビリを行うことができる新たな手法が模索されていた。
【0003】
このような状況の中、デバイスの進化とともに、仮想現実(VR/Virtual Reality)を、リハビリを含む各種の身体的なトレーニングに利用する研究が進められている。例えば特許文献1には、トレイニー(患者等)にVRのスポーツを行わせて機能回復や身体強化を図る、とされるVRスポーツシステムについての発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-066185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リハビリは、ケガ等により低下した能力を元に戻すためのもの運動であるため、継続性が要求される。しかしながら、患者の中には、リハビリを行うことが億劫になったり、明確な目標が持てずに飽きてしまったりして継続できない者も多く存在する。また、上述のとおり回復期リハビリ病棟ではリハビリにあてられる1日あたりの時間が短いため、リハビリを行いたい気持ちがあっても満足に行うことができない患者も多く存在する。
また、リハビリに限らず、健常者が行う健康維持や健康増進を目的とした身体的なトレーニングも、効果が出る前に諦めてしまったり飽きてしまったりして、初志貫徹できずに断念してしまうケースが多い。
このような状況の中、特許文献3に記載された発明を含む従来からある仮想現実(VR)を利用したリハビリを含むトレーニング(以下、「トレーニング等」と呼ぶ)によれば、患者はゲーム感覚でリハビリを行うことが可能となる。
しかしながら、特許文献1に記載された発明を含む従来の技術よりもさらに継続性及び効率性が向上した、仮想現実(VR)を利用したトレーニング等を行う手法が求められている。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、トレーニング等の継続性及び効率性をさらに向上させる、仮想現実(VR)を利用したトレーニング等を行う手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理システムは、
ユーザの所定の動作に関する物理量を検知するセンサと、
前記センサにより検知された前記物理量に応じて変化する仮想空間の様子を示す1以上の画像情報を表示する制御を実行する表示制御手段を含む第1端末と、
を備える。
【0008】
また、所定の仮想空間内でオブジェクトが移動し得るコンテンツが複数種類記憶されている記憶手段にアクセスして、所定種類のコンテンツを取得する取得手段と、
前記センサにより検知された前記物理量に応じて前記仮想空間の様子を変化させるように、前記所定種類のコンテンツを再生する再生手段と、
をさらに備えることができる。
【0009】
また、前記所定種類のコンテンツのうちいずれかのコンテンツの選択を受け付ける選択受付手段と、
前記取得手段は、前記所定種類のコンテンツとして、前記選択が受け付けられた前記コンテンツを取得することができる。
【0010】
また、前記ユーザの所定の動作は、当該ユーザが所定のペダルを回転させる動作であり、
前記センサは、前記ペダルの回転に基づく物理量であり、
前記第1端末は、所定のHMDであり、
前記仮想空間の様子は、前記仮想空間内を前進する自転車を運転する前記ユーザが見ることができる様子である、とすることができる。
【0011】
また、前記ユーザのコンテクスト情報を取得する取得手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、さらに、前記コンテクスト情報に基づいて、前記センサにより検知された前記物理量に応じて前記仮想空間の様子が変化する態様を制御することができる。
【0012】
また、前記表示制御手段は、前記コンテクスト情報のうち、前記ユーザの既往歴を含む医療情報に基づいて、前記センサにより検知された前記物理量に応じて前記仮想空間の様子が変化する態様を制御することができる。
【0013】
また、前記ユーザが操作する第2端末をさらに含み、
前記ユーザの前記所定の動作に関する実績を示す情報を所定の記憶デバイスに記憶させる制御を実行する記憶制御手段と、
前記情報を前記ユーザに提示する提示手段と、
をさらに備えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トレーニング等の継続性及び効率性をさらに向上させる、仮想現実(VR)を利用したトレーニング等を行う手法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の情報処理システムにより実現可能な本サービスの概要を示す図である。
図2図1の本サービスを利用するユーザが、ペダルに足を掛け、HMDを頭部に装着した状態を示す図である。
図3図1の施設端末及びユーザ端末の夫々に表示されるGUI(Graphical User Interface)の具体例を示す図である。
図4図1の本サービスを実現可能な情報処理システム、即ち本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
図5図4の情報処理システムのうちHMDのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6図4の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図7図5及び図6の夫々に示す、HMD及びサーバの夫々の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図8】ユーザUが、健康増進施設でトレーニングを行うために本サービスを新規で利用する際の流れと、これに対応する情報処理システムの処理の流れとを示すフロー図である。
図9】ユーザUが、健康増進施設でトレーニングを行うために本サービスを新規で利用する際の流れと、これに対応する情報処理システムの処理の流れとを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0017】
[サービス内容]
図1は、本発明の一実施形態の情報処理システムにより実現可能な本サービスの概要を示す図である。
図2は、本サービスを利用するユーザが、ペダルに足を掛け、HMDを頭部に装着した状態を示す図である。
【0018】
本サービスは、仮想現実(VR)を再現するための情報処理装置と各種デバイスとで構成される情報処理システムにより提供可能なサービスである。本サービスの提供を受けたユーザUは、より継続的かつ効率的にトレーニング等を行うことができる。
【0019】
本サービスの提供により、ケガ等により健康を損なった患者(ユーザU)が、健康増進施設に通所してリハビリを積極的に行うことを支援して、ケガにより低下した能力(筋力等)を早期に元に戻すことが可能になる。
また、本サービスの提供により、健康維持や健康増進を図る健常者(ユーザU)が、積極的にトレーニングを行うことを支援することも可能になる。
本明細書において「健康増進施設」とは、ユーザUの健康回復、健康維持、健康増進等を支援すべく、設立等された各種施設であり、ユーザUに本サービスを提供し得る施設のことをいう。例えば、上述の回復期リハビリ病棟を含む、回復期リハビリ施設、リハビリ型デイケア施設、及び健常者が利用するフィットネスジムは、いずれも本サービスを提供し得る健康増進施設に含まれる。
【0020】
健康増進施設には、HMD(Head Mounted Display)1と、ペダル2と、センサ3と、施設端末4とが配備されている。センサ3は、図1には図示されていないが、ペダル2の回転部等に搭載されている。
健康増進施設に初めて通所したユーザUは、施設端末4を操作することにより、本サービスへの登録、及びトレーニング等の目標の設定(以下、「目標設定」と呼ぶ)を行う。また、健康増進施設において既にユーザ登録が完了しているユーザUは、施設端末4を操作することにより、本サービスを利用するためのログイン操作を行う。
なお、目標設定の内容については特に限定されない。例えば、ユーザUが、早起き野球で右足の太腿に肉離れを起こし、そのリハビリのために本サービスを利用する場合には、「右足の太腿に肉離れ」という症状と、「全速力でベースランニングがしたい」という目標と、「2カ月以内で」というトレーニング等を行う期間とを設定してもよい。
【0021】
具体的には、ユーザUは、施設端末4にインストールされた専用のアプリケーションプログラム(以下、「専用アプリ」と呼ぶ)を起動させて、ユーザ登録及び目標設定、又はログインをするための入力操作を行う。
なお、以下、断りのない限り、ユーザUが「施設端末4を操作する」と表現している場合、それは、ユーザUが、施設端末4にインストールされた専用アプリを起動させて各種操作を行うことを意味する。
【0022】
次に、ユーザUは、施設端末4を操作することにより、トレーニング等のメニューを選択して決定する。トレーニング等のメニューが決定したら、ユーザUは、椅子等に腰掛けた状態でペダル2に足を掛け、HMD1を頭部に装着する。これにより、ユーザUは、図2に示す状態になり、トレーニング等を開始することができる。
【0023】
ユーザUは、ペダル2を足で回転させ(漕ぎ)始めることでトレーニング等を開始する。ユーザUは、仮想空間内のルートを自転車に乗りながら移動したいとき、より正確にはルートに対応する仮想空間内を自転車で移動したいときは、ペダル2を回転させる(漕ぐ)ことで前に移動することができる。
【0024】
また、ユーザUは、視線の方向を変化させたいときは、視点を移動させるか、自身の頭部を実際に動かすことで、その方向を変更することができる。これにより、ユーザUは、仮想空間内で自転車を運転して前に進んだときに見える景色、より正確には当該景色を撮像した画像等を視認することができる。
なお、当該画像等には、実際の景色を撮像した写真に限られず、CG(Computer Graphics)画像や、AR(Augmented Reality/拡張現実)画像等に生成された画像も含まれてよい。
また、本明細書では、特に理のない限り、「画像」と呼ぶ場合には、「動画像」と「静止画像」との両方を含む。
【0025】
このように、ユーザUは、ペダル2を回転させ(漕ぎ)つつ、視点を移動させたり、HMD1を装着した自身の頭部を実際に動かしたりすることで、所望の位置から所望の方向を向いたときに見えるコース内の景色を視認することができる。その結果、ユーザUは、あたかも自分が東京の観光名所や街を自転車で巡っているような感覚を味わうことができる。
つまり、ユーザUは、従来からあるエアロバイク(登録商標)では味わえない、空間を移動する感覚を味わうことが可能となるので、楽しみながらトレーニング等を行うことができる。その結果、トレーニング等の効果の向上も期待できる。
また、スタッフが不要となるので、健康増進施設の運営にメリットがある。
また、仮想空間内を移動する自転車の場合、現実世界の自転車と異なり、実際には自転車に乗れないユーザUでも問題なく運転が可能であり、また、転んでケガを負う心配もない。さらに、現実世界では自転車で通行することができない、又は困難な場所(高速道路、山道、車両進入禁止道路、建物の中等)を通行することもできる。
【0026】
また、トレーニング等(この場合はリハビリ)で仮想空間内に広がる観光名所や街を自転車で巡ることで、早く回復して、実際に観光名所や街に行ってみたいという気持ちを醸成させることもできる。
これにより、トレーニング等を積極的に行うことで、ユーザUが早期に社会復帰することが期待できるので、回復期リハビリ病棟の病床数の増加に歯止めをかけることも可能となる。
【0027】
ここで、仮想空間は、必ずしも実空間の物理法則等をそのまま再現する必要がない。即ち、実空間では、例えばペダル2が1回転すると1m進むものとした場合、仮想空間では、例えばペダル2が1回転すると10m進むものとしてもよい。
これにより、リハビリをしているユーザUは、ペダル2を少し漕ぐだけで、仮想空間内では、実空間よりも容易に前に進むことを実感できる。その結果、ユーザは、ペダル2を漕ぐことのモチベーションを持ち続けることができ、リハビリの効果が効率的に得られやすくなる。
【0028】
さらに、社会復帰したユーザUの観光需要の増加も期待できるので、例えば地域振興及び活性化を望む地方公共団体や各種組合等が、本サービスに適用可能なコンテンツを制作してもよい。
例えば、○○県○○郡○○村によって制作された、この村の観光地を自転車で巡ることができるコンテンツを本サービスに適用してもよい。これにより、実際にトレーニング等を行った複数のユーザUの中から、社会復帰後にこの村に行ってみたいと考える者が出てくることが期待できる。
また、完全に社会復帰に至っていないユーザUであっても、ヘルパーが同行して観光することで、完全な社会復帰に対する積極的な気持ちを醸成させることもできる。つまり、観光は、ケガ等から回復する動機になるとともに、地域振興及び活性化にも寄与する。
【0029】
また、本サービスによれば、ユーザUが所持するスマートフォン等に専用アプリをインストールすることで、健康増進施設以外の場所(自宅等)であっても本サービスの一部を利用することができる。
具体的には、ユーザUは、ユーザ端末5にインストールされた専用アプリを起動させて、トレーニング等のメニューの確認、トレーニング等を行ううえでの課題の確認、設定した目標に対する進捗の確認等を行うことができる。これにより、ユーザUの自主トレーニングを促進させることもできる。また、本サービスから退会する際の手続きも容易に行うことができる。
なお、以下、断りのない限り、ユーザUが「ユーザ端末5を操作する」と表現している場合、それは、ユーザUが、ユーザ端末5にインストールされた専用アプリを起動させて各種操作を行うことを意味する。
【0030】
次に、図3を参照して、図1の施設端末4及びユーザ端末5の夫々に表示されるGUIの具体例について説明する。
図3は、図1の施設端末4及びユーザ端末5の夫々に表示されるGUIの具体例を示す図である。
【0031】
図3(A)には、施設端末4に表示されるGUIの具体例である画面G4が示されている。
画面G4には、本サービスを利用するための各種操作を受け付けるボタンB4-1乃至B4-8が配置されている。
具体的には、ボタンB4-1は、ユーザ登録又は専用アプリへのログイン操作を行う際に押下されるボタンである。ボタンB4-2は、目標設定や目標の達成度を表示させる操作を行う際に押下されるボタンである。ボタンB4-3は、ユーザUに対する課金に関する情報や収納に関する情報を表示させる際に押下されるボタンである。ボタンB4-4は、ユーザUの既往歴等を含む医療に関する情報(以下、「医療情報」と呼ぶ)を表示させる際に押下されるボタンである。なお、医療情報は、後述するコンテクスト情報として管理されている情報である。ボタンB4-5乃至B4-8は、トレーニング等のメニューが選択される際に押下されるボタンである。
【0032】
ボタンB4-5乃至B4-8の夫々には、トレーニング等のメニューとして、「観光名所 街巡り」、「名山トレッキング」、「サイクリングロード20選」、及び「3Dトレーニング キノコ狩りゲーム」の夫々が表示されている。
このうち、例えば「観光名所街巡り」と表示されたボタンB4-5が押下された場合には、図示はしないが、全国各地又は世界各地の観光名所や街を示すアイコン等が複数表示される。例えば、東京、横浜、京都、札幌、沖縄、パリ、ニューヨーク、ロンドン等の観光名所を示すアイコンが表示されてもよい。
ここで例えば東京を示すアイコンが押下された場合には、ユーザUが仮想空間内の東京の観光名所を自転車で巡る具体的なルートが選択可能に表示される。例えば、皇居周辺を巡るルート、西新宿のビル街を巡るルート、お台場周辺を巡るルート、浅草周辺を巡るルート等が表示させることもできる。ユーザUは、このうち所望のルートを選択する操作を行う。すると、トレーニング等の開始の準備が完了した旨を示す情報(以下、「準備完了情報」)に基づいて、所定の開始ボタン(図示せず)表示される。ユーザUはこの開始ボタンを押下する。
【0033】
ここで、ユーザUにより所望のルートが選択される際、例えば未だ回復に時間を要するようなユーザUや、元々筋力に乏しいユーザUが、皇居周辺を巡るルートなど、比較的起伏の多いルートを選択する場合がある。このような場合、トレーニング等によってユーザUが感じる負荷が大きくなりすぎる。このため、本サービスでは、例えば、通常ペダルが5回転で5m進む場合に、5回転で50m進むように変化させる。これにより、ユーザUは、現実世界で自転車を運転した際に感じる負荷よりも少ない負荷で所望のコースを巡ることができる。その結果、ユーザUがトレーニング等を積極的に行おうとする気持ちを高めることができる。
なお、この場合、ペダル2そのものに掛かる負荷は一定となるが、ペダル2そのものに掛かる負荷を変化させる構成にしてもよい。
【0034】
ユーザUの回復状況や筋力に関する情報については、ユーザUのコンテクスト情報が参照される。
ここで、本発明において「コンテクスト(context)」とは、ユーザUの内的状態及び外的状態の全てを指す概念である。ユーザUの内的状態には、ユーザの体調、または、情動(気分や心理状態)等が含まれる。また、ユーザの外的状態には、ユーザの空間的又は時間的な配置位置(時間的な配置位置には、例えば「現在時刻」が含まれる)の他、ユーザUの周囲の空間方向若しくは時間方向に分布する(又は、いずれの方向にも分布する)所定の状態が含まれる。
「コンテクスト情報」には、例えば、ユーザUの活動内容を示す活動データ、ユーザUが置かれている環境を示す環境データ、ユーザUの体調に関する主観的なデータ(以下、「体調データ」と呼ぶ)、ユーザUの既往歴を含む医療情報、ユーザUの年齢、身長、体重、体温、及び体脂肪率等、ユーザUの身体的特徴に関する客観的なデータ(以下、「身体データ」と呼ぶ)、ユーザUの遺伝子に関するデータ(以下「遺伝子データ」と呼ぶ)、及びユーザUの日常的な各行動の予定や履歴等ユーザのスケジュールデータを含めることができる。
【0035】
なお、ユーザUのコンテクスト情報を本サービスが取得する具体的手法は特に限定されない。例えば、ユーザ登録時に施設端末4から入力できるようにしてもよいし、ユーザ端末5から入力できるようにしてもよい。また、別途管理されている外部サーバ等から取得できるようにしてもよい。
【0036】
具体的なルートの選択は、ユーザUに限らず、本サービスが自動的に行ってもよい。本サービスがルートを決定する具体的手法は特に限定されないが、例えばユーザUのコンテクスト情報に基づく最適なルートが決定されるようにしてもよい。ユーザUのコンテクスト情報には、ユーザUの性別、年齢、スポーツ経験、筋力、回復の状況等が含まれる。このため、ユーザUのコンテクスト情報に含まれる、性別「男」、年齢「22歳」、スポーツ経験「あり(陸上でインターハイ出場)」、筋力「背筋力200Kg、握力60Kg」、身体の状況「完治(社会復帰可能)」といった情報に基づいて、比較的起伏の多い皇居周辺を巡るルートが自動的に選択される、といったことも可能である。
【0037】
図3(B)には、ユーザ端末5に表示されるGUIの具体例である画面G5が示されている。
【0038】
図3(B)に示すように、画面G5には、本サービスを利用するための各種操作を受け付けるボタンB5-1乃至B5-6が配置されている。
具体的には、ボタンB5-1は、ユーザUの専用アプリへのログイン状況を表示させる操作を行う際に押下されるボタンである。ボタンB5-2は、各種トレーニング等の名称や内容の一覧を表示させる操作を行う際に押下されるボタンである。ボタンB5-3は、トレーニング等を行う際の課題や、実際にトレーニングを行ったことで明らかになった課題の内容を表示させる操作を行う際に押下されるボタンである。ボタンB5-4は、設定された目標に対する達成度を含む進捗状況を表示させる操作を行う際に押下されるボタンである。ボタンB5-5は、トレーニング等のメニューを構成する各種のコンテンツについて新作情報がある場合に、これを表示させる操作を行う際に押下されるボタンである。上述の例で、東京の観光名所を自転車で巡るルートに、例えば、「表参道~代々木公園を巡るルート」と「首都高速巡回ルート」とが新作のコンテンツとして加わった場合には、これらの内容を示す情報が新作情報として表示される。ボタンB5-6は、ユーザUに対する本サービスからの課金の状況を表示させる操作を行うときや、本サービスのユーザを退会するときに押下されるボタンである。
【0039】
[システム構成]
図4は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【0040】
図4に示す情報処理システムは、HMD1と、ペダル2と、センサ3と、施設端末4と、ユーザ端末5と、サーバ6とを含むように構成されている。
HMD1、施設端末4、ユーザ端末5、及びサーバ6は、所定のネットワークNを介して相互に接続されている。なお、ネットワークNは、その形態は特に限定されず、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、LAN(Local Area Network)、インターネット等を採用することができる。
【0041】
HMD1は、センサにより検知された物理量に応じて変化する仮想空間の様子を示す1以上の画像情報を表示する制御を実行する表示制御手段を含む端末である。
具体的には、HMD1は、センサ3により検知されたペダル2の回転に応じて変化する仮想空間の様子を示す1以上のコンテンツを表示する制御を実行する表示制御部102を含む端末である。ユーザUは、頭部にHMD1を装着することでコンテンツを視認することができる。
【0042】
ペダル2は、ユーザUが足を掛けて回転させる(漕ぐ)ためのペダルである。ユーザUがペダル2を回転させる(漕ぐ)動作を行うと、後述するセンサ3がペダル2の回転を検知する。ユーザUは、ペダル2を回転させる(漕ぐ)動作を行うことで、あたかも自分が自転車を運転しているような感覚を味わうことができる。
【0043】
センサ3は、ユーザの所定の動作に関する物理量を検知するセンサである。
具体的には、センサ3は、ユーザUが足でペダル2を回転させる(漕ぐ)動作に関する物理量として、1分間あたりの回転数(rpm)を検知する。
なお、センサ3が、1分間あたりの回転数(rpm)を検知する具体的手法は特に限定されない。例えばジャイロセンサを用いてもよい。
【0044】
施設端末4は、健康増進施設に配備され、健康増進施設に通所するユーザUが、健康増進施設で本サービスを利用するために操作する情報処理装置である。上述したように、施設端末4には専用アプリがインストールされている。施設端末4は、例えばスマートフォン、タブレット等で構成される。
【0045】
ユーザ端末5は、ユーザUにより、主に健康増進施設以外の場所で操作される情報処理装置である。ユーザ端末5には、上述したように専用アプリがインストールされている。ユーザ端末5は、例えばユーザUが普段から使用しているスマートフォン、タブレット等で構成される。
【0046】
サーバ6は、システム管理者(図示せず)により管理される情報処理装置である。サーバ6は、HMD1、ペダル2、センサ3、施設端末4及びユーザ端末5の各動作を管理すべく、各種処理を実行する。
なお、システム管理者としての業務を行う者は特に限定されない。例えば、本サービスの提供を行う者(図示せず)が、システム管理者としての業務を行ってもよい。
【0047】
[ハードウェア構成]
(HMD)
図5は、図4の情報処理システムのうちHMD1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0048】
HMD1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、表示部16と、センサ部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0049】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要な情報等も適宜記憶される。
【0050】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、表示部16、センサ部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0051】
表示部16は各種液晶ディスプレイ等で構成され、各地の景色の写真等各種画像を表示する。
センサ部17は、傾斜センサ、加速度センサ、角速度センサ等の各種センサ等で構成され、例えば、仮想空間内での角度(方向)に関する各種検出情報を取得する。
記憶部18は、実際の景色に対応する仮想空間内の複数の位置毎に、その位置で視点を変化させた場合の夫々の当該仮想空間の様子を示す複数の画像のデータ群等、各種情報を記憶する。
通信部19は、例えば、ネットワークNを介して他の装置(例えば、図4のセンサ3、施設端末4、及びサーバ6)との間で通信を行う。
【0052】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなり、リムーバブルメディア40が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア40から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア40は、記憶部18に記憶されている各種情報も、記憶部18と同様に記憶することができる。
図3は、図2のサーバ6のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0053】
(サーバ)
図6は、図4の情報処理システムのうちサーバ6のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
サーバ6は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、バス24と、入出力インターフェース25と、出力部26と、入力部27と、記憶部28と、通信部29と、ドライブ30と、を備えている。
【0054】
CPU21は、ROM22に記録されているプログラム、又は、記憶部28からRAM23にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM23には、CPU21が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0055】
CPU21、ROM22及びRAM23は、バス24を介して相互に接続されている。このバス24にはまた、入出力インターフェース25も接続されている。入出力インターフェース25には、出力部26、入力部27、記憶部28、通信部29及びドライブ30が接続されている。
【0056】
出力部26は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部27は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0057】
記憶部28は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部29は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(図4の例ではHMD1、施設端末4、及びユーザ端末5)との間で通信を行う。
【0058】
ドライブ30には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア50が適宜装着される。ドライブ30によってリムーバブルメディア50から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア50は、記憶部28に記憶されている各種データも、記憶部28と同様に記憶することができる。
【0059】
なお、図示はしないが、図4の情報処理システムのうち、施設端末4、及びユーザ端末5も、図6に示すハードウェア構成を有している。
【0060】
[機能的構成]
次に、図7を参照して、図5及び図6の夫々に示すハードウェア構成を有する、HMD1及びサーバ6の夫々の機能的構成について説明する。
図7は、図5及び図6の夫々に示す、HMD1及びサーバ6の夫々の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0061】
(HMD)
HMD1のCPU11(図5)においては、図7に示すように、物理量取得部101と、表示制御部102と、再生部103とが機能する。
【0062】
物理量取得部101は、センサにより検知されたユーザの所定の動作に関する物理量を取得する。
具体的には、物理量取得部101は、センサ3により検知された、ユーザUがペダル2を足で回転させる(漕ぐ)動作に関する物理量として、1分間あたりの回転数(rpm)を取得する。
【0063】
表示制御部102は、取得された物理量に応じて変化する仮想空間の様子を示す1以上の画像情報を表示する制御を実行する。
具体的には、表示制御部102は、物理量取得部101により取得された、ペダル2の1分間あたりの回転数(rpm)に応じて変化する仮想空間の様子を示す1以上の画像情報を表示する制御を実行する。
【0064】
また、表示制御部102は、コンテクスト情報のうち、ユーザの既往歴を含む医療情報に基づいて、センサにより検知された物理量に応じて仮想空間の様子が変化する態様を制御する。
具体的には、表示制御部102は、コンテクスト情報のうち、ユーザUの既往歴を含む医療情報に基づいて、センサ3により検知されたペダル2の1分間あたりの回転数(rpm)に応じて仮想空間の様子が変化する態様を制御する。
【0065】
再生部103は、センサにより検知された物理量に応じて仮想空間の様子を変化させるように、所定種類のコンテンツを再生する。
具体的には、再生部103は、物理量取得部101により取得された、ペダル2の1分間あたりの回転数(rpm)に応じて仮想空間の様子を変化させるように、トレーニング等のメニューを構成する各種のコンテンツを再生する。
【0066】
(サーバ)
サーバ6のCPU21(図6)においては、図7に示すように、コンテンツ取得部201と、選択受付部202と、コンテクスト取得部203と、記憶制御部204と、提示部205とが機能する。
【0067】
コンテンツ取得部201は、所定の仮想空間内でオブジェクトが移動し得るコンテンツが複数種類記憶されている記憶手段にアクセスして、所定種類のコンテンツを取得する。
具体的には、コンテンツ取得部201は、仮想空間内の自転車が移動し得るルートが複数種類記憶されているコンテンツDB401にアクセスして、トレーニング等のメニューに関する情報(以下、「メニュー情報」と呼ぶ)を構成する各種のコンテンツを示す情報(以下、「コンテンツ情報)と呼ぶ)を取得する。コンテンツ情報には、各種のルートに関する情報(以下、「ルート情報」と呼ぶ)が含まれる。
【0068】
選択受付部202は、所定種類のコンテンツのうちいずれかのコンテンツの選択を受け付ける。
具体的には、選択受付部202は、トレーニング等のメニュー情報の中から、いずれかのコンテンツの選択を受け付ける。
例えば、上述の図3に示す画面G4のうち、ボタンB4-5乃至B4-8に示されるトレーニング等のメニュー情報は、「観光名所街巡り」、「名山トレッキング」、「サイクリングロード20選」、及び「3Dトレーニング キノコ狩りゲーム」の夫々のコンテンツを示す情報となっている。
【0069】
コンテクスト取得部203は、ユーザのコンテクスト情報を取得する。
具体的には、コンテクスト取得部203は、ユーザUのコンテクスト情報を取得する。
コンテクスト取得部203により取得されたコンテクスト情報は、ユーザUを一意に識別するID等に紐付けられて、ユーザDB402に記憶されて管理される。
【0070】
記憶制御部204は、ユーザの所定の動作に関する実績を示す情報を所定の記憶デバイスに記憶させる制御を実行する。
具体的には、記憶制御部204は、ユーザUがペダル2を足で回転させる(漕ぐ)動作に関する実績を示す情報(以下、「トレーニング等実績情報」と呼ぶ)をコンテクスト情報としてユーザDB402に記憶させる制御を実行する。
【0071】
提示部205は、ユーザの所定の動作に関する実績を示す情報をユーザに提示する。
具体的には、提示部205は、ユーザDB402に記憶されているユーザUのコンテクスト情報のうち、ユーザUのトレーニング等実績情報をユーザ端末5に送信することでユーザUに提示する。
【0072】
コンテンツDB401には、本サービスを利用するユーザUに提供される各種のコンテンツを示すコンテンツ情報が記憶され管理されている。
ユーザDB402には、本サービスのユーザとして登録されたユーザUのコンテクスト情報が記憶され管理されている。
【0073】
以上のような機能的構成を有するHMD1及びサーバ6により実行される各種処理により、ユーザUに対し本サービスを提供することができる。
【0074】
[フロー]
次に、図8及び図9を参照して、ユーザUが本サービスを利用する際の流れと、これに対応する情報処理システムの処理の流れについて説明する。
図8及び図9は、健常者であるユーザUが、健康増進施設でトレーニングを行うために本サービスを新規で利用する際の流れと、これに対応する情報処理システムの処理の流れとを示すフロー図である。
このうち、図8には、ユーザUが施設端末4を操作することにより、ルートを選択して決定するパターンが示されており、図9には、ユーザUがHMD1を操作することにより、ルートを選択して決定するパターンが示されている。
まず、図8を参照して、ユーザUが施設端末4を操作することにより、ルートを選択して決定するパターンについて説明する。
【0075】
(トレーニング前)
図8に示すように、健康増進施設に通所したユーザUは、施設端末4を操作することにより、本サービスへのユーザ登録を行う(ステップSU-1)。具体的には、ユーザUは、施設端末4のボタンB4-1(図3)を押下することで、本サービスへのユーザ登録を行う。また、ユーザUは、本サービスへのユーザ登録と同時に、自身のトレーニングにおける目標の設定を行う。具体的には、施設端末4のボタンB4-2(図3)を押下することで目標の設定を行う。
施設端末4は、ユーザUの操作に基づく入力情報を取得する(ステップS4-1)。施設端末4により取得された入力情報は、情報の種類に応じてサーバ6のコンテンツDB401又はユーザDB402に記憶されて管理される(ステップS6-1)。
【0076】
次に、サーバ6は、施設端末4に、メニュー情報を表示させる制御を実行する(ステップS6-2)。すると、ユーザUは、施設端末4を操作することにより、表示されたメニュー情報からいずれか1のコンテンツを選択する(ステップSU-2)。
施設端末4は、ユーザUの操作に基づく入力情報を取得する(ステップS4-2)。施設端末4により取得された入力情報は、情報の種類に応じてサーバ6のコンテンツDB401又はユーザDB402に記憶されて管理される(ステップS6-3)。
【0077】
次に、サーバ6は、施設端末4に、ルート情報を表示させる制御を実行する(ステップS6-4)。すると、ユーザUは、施設端末4を操作することにより、表示されたルート情報のうちいずれか1のルートを選択する(ステップSU-3)。
施設端末4は、ユーザUの操作に基づく入力情報を取得する(ステップS4-3)。施設端末4により取得された入力情報は、情報の種類に応じてサーバ6のコンテンツDB401又はユーザDB402に記憶されて管理される(ステップS6-5)。
【0078】
次に、サーバ6は、施設端末4に、準備完情報を表示させる制御を実行する(ステップS6-6)。すると、ユーザUは、施設端末4を操作することにより、表示された複数種類のボタン(図示せず)のうち、選択したコンテンツ及びルートに決定する旨、及びトレーニングを開始する旨を示す開始ボタン(図示せず)を選択して押下する(ステップSU-4)。
施設端末4は、ユーザUの操作に基づく入力情報を取得する(ステップS4-4)。施設端末4により取得された入力情報は、情報の種類に応じてサーバ6のコンテンツDB401又はユーザDB402に記憶されて管理される(ステップS6-7)。
【0079】
サーバ6は、HMD1にコンテンツを起動させる制御を実行する(ステップS6-8)。HMD1は、コンテンツを起動する(ステップS1-1)。
ユーザUは、図2に示すように、椅子等(図示せず)に腰かけた状態で、ペダル2に足を掛けるとともに、HMD1を頭部に装着する(ステップSU-5)。
【0080】
(トレーニング中)
HMD1を装着したユーザUは、ペダル2に掛けた足を動かしてペダル2を回転させる(漕ぐ)ことでトレーニングを開始する(ステップSU-6)。
HMD1は、ペダル2の1分間あたりの回転数(rpm)と、ユーザUの視点の動きから得られる視点情報に基づいて、ユーザUに仮想空間を視認させる(ステップS1-2)。
サーバ6は、トレーニングが行われたことに伴いHMD1に入力された入力情報を、トレーニング等実績情報として取得する。サーバ6により取得されたトレーニング等実績情報は、情報の種類に応じてサーバ6のコンテンツDB401又はユーザDB402に記憶されて管理される(ステップS6-9)。
【0081】
サーバ6は、HMD1に、コンテンツの表示を終了させる制御を実行する(ステップS6-10)。HMD1は、コンテンツの表示を終了させる(ステップS1-3)。
すると、ユーザUは、トレーニング等を終了する(ステップSU-7)。
【0082】
(トレーニング後)
トレーニングが終了すると、HMD1は、コンテンツの表示を終了させる前に、トレーニングの結果を表示する(ステップS1-3)。ユーザUは、その内容を視認する(ステップSU-8)。
【0083】
ユーザUは、頭部に装着していたHMD1を取り外すとともに、ペダル2に掛けていた足を下ろす(ステップSU-9)。
これにより、ユーザUトレーニングは終了する。
【0084】
サーバ6は、施設端末4に、メニューの表示を終了させる制御を実行する(ステップS6-11)。
施設端末4は、トレーニングの結果を表示させた後、メニューの表示を終了させる(ステップS4-5)。
これにより、情報処理システムの処理は終了する。
ユーザUは、その内容を視認する(ステップSU-10)。
【0085】
サーバ6は、施設端末4に、メニュー情報を表示させる制御を実行する(ステップS6-11)。施設端末4は、メニュー情報を表示させる(ステップS4-5)。
これにより、ユーザUが再びトレーニングを開始可能な状態に戻る。
【0086】
次に、図9を参照して、ユーザUがHMD1を操作することにより、ルートを選択して決定するパターンについて説明する。なお、図9のうち、ユーザUがユーザ登録してから、コンテンツを選択するまでの流れは図8に示すパターンと同様であるため、説明を省略する。
【0087】
(トレーニング前)
図9に示すように、ユーザUによりコンテンツが選択され、その入力情報がサーバ6に記憶されると、サーバ6は、HMD1にコンテンツを起動させる制御を実行する(ステップS6-21)。HMD1は、コンテンツを起動する(ステップS1-21)。
ユーザUは、図2に示すように、椅子等(図示せず)に腰かけた状態で、ペダル2に足を掛けるとともに、HMD1を頭部に装着する(ステップSU-21)。
【0088】
サーバ6は、HMD1に、ルート情報を表示させる制御を実行する(ステップS6-22)。すると、ユーザUは、HMD1を操作することにより、表示されたルート情報のうちいずれか1のルートを選択する(ステップSU-22)。ここで、ユーザUがHMD1を操作する具体的手法は特に限定されない。図示はしないが、HMD1に接続された所定のコントローラを用いてもよいし、HMD1を装着したユーザUが視点を動かすことで操作できるようにしてもよい。
HMD1は、ユーザUの操作に基づく入力情報を取得する(ステップS1-22)。HMD1により取得された入力情報は、情報の種類に応じてサーバ6のコンテンツDB401又はユーザDB402に記憶されて管理される(ステップS6-23)。
【0089】
次に、サーバ6は、HMD1に、準備完情報を表示させる制御を実行する(ステップS6-24)。すると、ユーザUは、HMD1を操作することにより、選択したコンテンツ及びルートに決定する入力操作を行う(ステップSU-23)。
HMD1は、ユーザUの操作に基づく入力情報を取得する(ステップS1-23)。施設端末4により取得された入力情報は、情報の種類に応じてサーバ6のコンテンツDB401又はユーザDB402に記憶されて管理される(ステップS6-24)。
【0090】
(トレーニング中)
HMD1を装着したユーザUは、ペダル2に掛けた足を動かしてペダル2を回転させる(漕ぐ)ことでトレーニングを開始する。なお、トレーニング中の流れは図8に示すパターンと同様であるため、説明を省略する。
【0091】
(トレーニング後)
トレーニングが終了して、トレーニングの結果がHMD1に表示されるまでの流れは図8に示すパターンと同様であるため、説明を省略する。
【0092】
サーバ6は、HMD1に、ルート情報を表示させる制御を実行する(ステップS6-26)。HMD1は、ルート情報を表示させる(ステップS1-24)。
ユーザUは、頭部に装着していたHMD1を取り外すとともに、ペダル2に掛けていた足を下ろす(ステップSU-24)。これにより、ユーザUトレーニングは終了する。
なお、施設端末4にトレーニングの結果を表示させた後、メニューの表示を終了させて、情報処理システムの処理が終了するまでの流れは図8に示すパターンと同様であるため、説明を省略する。
【0093】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0094】
例えば、上述の実施形態では、本サービスを提供し得る健康増進施設について、回復期リハビリ病棟を含む回復期リハビリ施設、リハビリ型デイケア施設、及びフィットネスジムが例に挙げられているが、これらに限定されない。また、本サービスが提供できる場所は、健康増進施設に限られず、あらゆる場所で提供されてよい。
【0095】
また例えば、上述の実施形態では、センサ3は、ペダル2に搭載されている態様となっているが、必ずしも搭載されている必要はない。ペダル2に搭載されていなくても、ペダル2の回転を検知できるあらゆる手法を用いてよい。
【0096】
また例えば、上述の実施形態では、センサ3は、ペダル2の1分間あたりの回転数(rpm)を検知する態様となっているが、この態様に限定されない。ユーザUの動き(ペダル2を回転させる(漕ぐ)動き)を検知可能なあらゆる手法を用いることができる。
【0097】
また例えば、上述の実施形態では、ユーザUはペダル2を回転させる(漕ぐ)ことで仮想空間内を自転車で巡る態様となっているが、この態様に限定されない。例えば、ユーザUはペダル2を回転させる(漕ぐ)だけではなく、ハンドル(図示せず)を設けて、仮想空間内を左右自在に運転できるようにしてもよい。
【0098】
また例えば、上述の実施形態では、図3に示す画面G4は、施設端末4のみに表示されるが、図9を参照して説明したように、HMD1に画面G4を表示させることで、ユーザUの操作を受け付けられるようにしてもよい。
【0099】
また例えば、上述の実施形態では、図3に示す画面G4に表示された各種コンテンツのうち「観光名所 街巡り」のみが説明されているが、画面G4に表示された他のコンテンツ、「名山トレッキング」、「サイクリングロード20選」、及び「3Dトレーニング キノコ狩りゲーム」には、例えば以下の内容を含めることができる。即ち、「名山トレッキング」は、現実世界の自転車では通行が困難又は不可能とされる山道を示す仮想空間内を、自転車でトレッキングする複数種類のルートからなるコンテンツである。「サイクリングロード20選」は、本サービスを利用したユーザUに人気のあったルートのベスト20で構成されたコンテンツである。「3Dトレーニング キノコ狩りゲーム」は、現実世界では不可能である、自転車を利用してキノコ狩りを行う3Dゲームについてのコンテンツである。また、画面G4に表示されたコンテンツに限定されず、様々なコンテンツを採用することができる。例えば「神社仏閣巡り」、「世界遺産巡り」等、あらゆるコンテンツを採用することができる。
【0100】
また例えば、上述の実施形態では、コンテンツ取得部により取得されるコンテンツ情報は、コンテンツDB401に予め記憶されている情報であるが、この態様に限定されない。例えば外部サーバ(図示せず)にアクセスして取得してもよい。
【0101】
また、図5及び図6に示すハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0102】
また、図7に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に図7の例に限定されない。
【0103】
また、機能ブロックの存在場所も、図7に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0104】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0105】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0106】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0107】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0108】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば図7のサーバ6)は、
ユーザ(例えば図1のユーザU)の所定の動作(例えばペダル2を回転させる(漕ぐ)動作)に関する物理量(例えば1分間あたりの回転数(rpm))を検知するセンサ(例えば図7のセンサ3)と、
前記センサにより検知された前記物理量に応じて変化する仮想空間の様子を示す1以上の画像情報(例えばコンテンツ)を表示する制御を実行する表示制御手段(例えば図7の物理量取得部101、及び表示制御部102)を含む第1端末(例えば図7のHMD1)と、
を備える。
これにより、トレーニング等の継続性及び効率性をさらに向上させる、仮想現実(VR)を利用したトレーニング等を行うことができる。
【0109】
また、所定の仮想空間内でオブジェクト(例えば自転車)が移動し得るコンテンツが複数種類記憶されている記憶手段(例えば図7のコンテンツDB401)にアクセスして、所定種類のコンテンツを取得する取得手段(例えば図7のコンテンツ取得部201)と、
前記センサにより検知された前記物理量に応じて前記仮想空間の様子を変化させるように、前記所定種類のコンテンツを再生する再生手段(例えば図7の再生部103)と、
をさらに備えることができる。
これにより、コンテンツのバリエーションを豊富にすることができるので、ユーザUのトレーニング等の継続性を向上させることができる。
【0110】
また、前記所定種類のコンテンツのうちいずれかのコンテンツの選択を受け付ける選択受付手段(例えば図7の選択受付部202)と、
前記取得手段(例えば図7のコンテンツ取得部201)は、前記所定種類のコンテンツとして、前記選択が受け付けられた前記コンテンツを取得することができる。
これにより、コンテンツの選択の幅を広げることができるので、ユーザUのトレーニング等の継続性を向上させることができる。
【0111】
また、ユーザの動作は、当該ユーザが所定のペダル(例えば図7のペダル2)を回転させる動作であり、
前記センサは、前記ペダルの回転に基づく物理量(例えば1分間あたりの回転数(rpm))であり、
前記第1端末は、所定のHMD(例えば図7のHMD1)であり、
前記仮想空間の様子は、前記仮想空間内を前進する自転車を運転する前記ユーザが見ることができる様子である、とすることができる。
これにより、トレーニング等の継続性及び効率性をさらに向上させる、仮想現実(VR)内を自転車で巡るトレーニング等を行うことができる。
【0112】
また、前記ユーザのコンテクスト情報を取得する取得手段(例えば図7のコンテクスト取得部203)をさらに備え、
前記表示制御手段(例えば図7の表示制御部102)は、さらに、前記コンテクスト情報に基づいて、前記センサにより検知された前記物理量に応じて前記仮想空間の様子が変化する態様(例えば、通常ペダルが5回転で5m進む場合に、5回転で50m進むように変化する態様)を制御することができる。
これにより、ユーザUのコンテクスト情報に基づいた、トレーニング等の継続性及び効率性をさらに向上させる、仮想現実(VR)を利用したトレーニング等を行うことができる。
【0113】
また、前記表示制御手段(例えば図7の表示制御部102)は、前記コンテクスト情報のうち、前記ユーザの既往歴を含む医療情報に基づいて、前記センサにより検知された前記物理量に応じて前記仮想空間の様子が変化する態様を制御することができる。
これにより、ユーザUのコンテクスト情報のうち医療情報に基づいた、トレーニング等の継続性及び効率性をさらに向上させる、仮想現実(VR)を利用したトレーニング等を行うことができる。
【0114】
また、前記ユーザが操作する第2端末(例えば図7のユーザ端末5)をさらに含み、
前記ユーザの前記所定の動作に関する実績を示す情報(例えばトレーニング等実績情報)を所定の記憶デバイス(例えば図7のユーザDB402)に記憶させる制御を実行する記憶制御手段(例えば図7の記憶制御部204)と、
前記情報を前記ユーザに提示する提示手段(例えば図7の提示部205)と、
をさらに備えることができる。
これにより、ユーザUは、自身が所持するスマートフォン等でトレーニングの内容や進捗等をいつでも確認することができる。
【符号の説明】
【0115】
1:HMD、2:ペダル、3:センサ、4:施設端末、5:ユーザ端末、6:サーバ、11,21:CPU、12,22:ROM、13,23:RAM、14,24:バス、15,25:入出力インターフェース、16,26:出力部、17,27:入力部、18,28:記憶部、19,29:通信部、20,30:ドライブ、40,50:リムーバブルメディア、101:物理量取得部、102:表示制御部、103:再生部、201:コンテンツ取得部、202:選択受付部、203:コンテクスト取得部、204:記憶制御部、205:提示部、401:コンテンツDB、402:ユーザDB、G4,G5:画面、B4-1乃至4-8,B5-1乃至5-6:ボタン、SU-1乃至10,SU-21乃至SU-24:ユーザの行動の各ステップ、S1-1乃至1-3,S1-21乃至1-24:HMDの処理の各ステップ、S4-1乃至4-6:施設端末の処理の各ステップ、S6-1乃至6-12,S6-21乃至6-27:サーバの処理の各ステップ



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9