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特許7045711打上花火用飛翔体部品及び打上花火用飛翔体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】打上花火用飛翔体部品及び打上花火用飛翔体
(51)【国際特許分類】
   F42B 4/30 20060101AFI20220325BHJP
   F42B 4/02 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
F42B4/30
F42B4/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019074537
(22)【出願日】2019-04-10
(65)【公開番号】P2020173053
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314008851
【氏名又は名称】有限会社太田紙工
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】太田 静雄
(72)【発明者】
【氏名】太田 武明
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-32696(JP,U)
【文献】登録実用新案第3114578(JP,U)
【文献】特開平10-148497(JP,A)
【文献】特開平11-237200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42B 4/30
F42B 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚紙で、天板を有する第1外筒体と、
厚紙で、有孔の底板を有し、前記第1外筒体と同じ径である第2外筒体と、
前記第1外筒体と第2外筒体よりも小径で、高さが当該第1外筒体と第2外筒体の内壁面の高さの合計よりも小さく、当該第1外筒体と第2外筒体に収容でき、かつ、当該第1外筒体と第2外筒体の内壁面に接する内筒体と、
を備え、前記第1外筒体、第2外筒体及び内筒体が嵌合する打上花火用飛翔体部品。
【請求項2】
厚紙で、天板を有する第1外筒体と、
厚紙で、有孔の底板を有し、前記第1外筒体と同じ径である第2外筒体と、
前記第1外筒体と第2外筒体よりも小径で、高さが当該第1外筒体と第2外筒体の内壁面の高さの合計よりも大きく、当該第1外筒体と第2外筒体に収容でき、かつ、当該第1外筒体と第2外筒体の内壁面に接する内筒体と、
前記第1外筒体と第2外筒体と同径で、前記内筒体よりも高さが低く、前記内筒体の外壁面に接する第3外筒体と、
を備え、前記第1外筒体、第2外筒体、第3外筒体及び内筒体が嵌合する打上花火用飛翔体部品。
【請求項3】
前記内筒体の高さは、前記第1外筒体の内壁面の高さ、第2外筒体の内壁面の高さ、及び、第3外筒体の内壁面の高さの合計の高さよりも、低く設定される請求項2の打上花火用飛翔体部品。
【請求項4】
請求項1~3いずれかの打上花火用飛翔体部品の組立体に火薬を封入してなる打上花火用飛翔体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打上花火用飛翔体部品及び打上花火用飛翔体に関する。
【背景技術】
【0002】
打上花火には、いわゆる、割物、小割物、ポカ物と呼ばれる種類がある。いずれの種類においても、打上花火用飛翔体は多くが球体であって、その外皮は、玉皮と呼ばれ、球殻の半割体の外形である、厚紙体からなる。代表例として割物は、厚紙体の中に割火薬を収め、この周りに燃えると金属の炎色反応で色が出る星を入れ、外皮である玉皮の外側を丈夫な紙で幾重にも貼り固めたものである。花火を打ち上げ、星に火がつき、打ち上げ花火を生み出す。特許文献1に記載の玉皮の例が挙げられる。
【0003】
特許文献2に記載の発明は、打上花火用飛翔体が円筒形の場合で、花束花火など、特別な場合の打ち上げ花火である。この打上花火用飛翔体部品は、厚紙の円筒体と、複数の穴が形成され、円筒体の内部に固定された厚紙の仕切部と、を有し、円筒体の内壁中間位置の領域に仕切部を嵌合させて接着する構造である。円筒体の上部外周全周囲に接着剤を塗布し、薄紙を円筒形状に円筒体に巻き付けて接着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-185845号公報
【文献】特開2015-224843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、割物、小割物、ポカ物とも、玉皮は、きれいに丸くならない場合が多く、打ち上げの際に圧力が加わるので、外周面に紙をしっかり巻いておかないと、途中で割れてしまうおそれがある。そのため、(1)玉皮に紙を幾重にも貼り、乾かす、の工程を繰り返す必要があるので、その作業負担が大きく、大量生産効果は未だ十分ではない、(2)紙のゴミが多くなる、(3)特にポカ物は球体の中に隙間があり詰め物をする必要がある、という課題がある。特に、(1)について、花火の圧力が逃げないようにするため、全体で均等な強度を出し、真ん丸な花火とするため、玉皮の接合面にテープを多く貼る必要がある。
【0006】
(4)従来の玉皮であると、球体がゴロゴロと動くので、保管場所を多く取る必要がある。
【0007】
(5)玉皮のサイズは多数の種類があり、サイズ毎に玉皮を別々に製造する必要があり、球の径の大きさによって紙テープを貼る枚数、紙テープの大きさ等が全部違うので、作業性が低く、容積の変更や部品の共通化が困難であるという課題がある。
【0008】
(6)ポカ物の場合、玉皮に円筒型花火を収納しようとすると、所望の本数が入らなかったりする。玉皮の中に円筒型花火を無理に入れてしまうと、導火線の部分が圧迫されたりして、火がつかなかったり、火がつかなかったパーツが落ちてきたりする等、安全性も改善すべき課題がある。
【0009】
本発明の課題は(1)作業負担を軽減し、大量生産を可能とすること、(2)紙テープのゴミの減量化、(3)詰め物の減量化、又は、不要化、(4)保管場所の確保の容易化、(5)容積変更と部品の共通化、(6)安全性の改善を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、従来の打ち上げ花火に用いられている玉皮を円筒形に変え、大量生産を可能とし、打ち上げる筒の容積の調整が容易など、利点のある打上花火用飛翔体部品を開発した。
【0011】
第1発明の打上花火用飛翔体部品は、厚紙で、天板を有する第1外筒体と、厚紙で、有孔の底板を有し、前記第1外筒体と同じ径である第2外筒体と、前記第1外筒体と第2外筒体よりも小径で、高さが当該第1外筒体と第2外筒体の内壁面の高さの合計よりも小さく、当該第1外筒体と第2外筒体に収容でき、かつ、当該第1外筒体と第2外筒体の内壁面に接する内筒体と、を備え、前記第1外筒体、第2外筒体及び内筒体が嵌合する。
【0012】
「厚紙」は、従来の玉皮の材質、厚さと同様の範囲のものでよいが、限定されるわけではなく、当業者が適宜選択することができる。
【0013】
第2発明の打上花火用飛翔体部品は、厚紙で、天板を有する第1外筒体と、厚紙で、有孔の底板を有し、前記第1外筒体と同じ径である第2外筒体と、前記第1外筒体と第2外筒体よりも小径で、高さが当該第1外筒体と第2外筒体の内壁面の高さの合計よりも大きく、当該第1外筒体と第2外筒体に収容でき、かつ、当該第1外筒体と第2外筒体の内壁面に接する内筒体と、前記第1外筒体と第2外筒体と同径で、前記内筒体よりも高さが低く、前記内筒体の外壁面に接する第3外筒体と、を備え、前記第1外筒体、第2外筒体、第3外筒体及び内筒体が嵌合する。
【0014】
第2発明の打上花火用飛翔体部品は、前記内筒体の高さを基準高さよりも高くしたものである。基準高さとは玉皮の従来品の規格の外径に相当する高さをいう。
【0015】
第3発明の打上花火用飛翔体部品は、第2発明の構成を備えるとともに、前記内筒体の高さは、前記第1外筒体の内壁面の高さ、第2外筒体の内壁面の高さ、及び、第3外筒体の内壁面の高さの合計の高さよりも、低く設定される。
【0016】
第4発明の打上花火用飛翔体は、第1発明又は第2発明の打上花火用飛翔体部品の組立体に火薬等を封入してなることを特徴とする。
【0017】
内筒体の原材料は、厚紙、プラスチック(生分解性プラスチックも含む)、紙等が挙げられる。対応する玉皮の寸法で、2.5号玉、3号玉、4号玉等、適宜の大きさを採択可能であり、2号~40号まで可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の打上花火用飛翔体部品により、(1)作業負担を軽減でき、大量生産を可能にでき、(2)紙テープのゴミを減量化でき、(3)詰め物を減量化でき、又は、不要化でき、(4)保管場所の確保を容易化でき、(5)容積変更の容易化と部品の共通化を実現でき、(6)安全性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は、本発明実施形態1の打上花火用飛翔体部品1の正面図、(b)は同平面図、(c)は同底面図である。
図2】同中央縦断面図である。
図3】(a)は、同は同斜視図、(b)は同、裏側から見た斜視図である。
図4】(a)は、本発明実施形態2の打上花火用飛翔体部品201の正面図、(b)は同平面図、(c)は同底面図である。
図5】同中央縦断面図である。
図6】(a)は、同斜視図、(b)は同、裏側から見た斜視図である。
図7】(a)は、本発明実施形態3の打上花火用飛翔体部品301の正面図、(b)は同平面図、(c)は同底面図である。
図8】同中央縦断面図である。
図9】(a)は、同斜視図、(b)は同、裏側から見た斜視図である。
図10】本発明による実施形態4の打上花火用飛翔体部品401の中央縦一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1実施形態の打上花火用飛翔体部品1は、図1図2に示す通り、厚紙で、天板2aを有する第1外筒体2と、厚紙で、有孔の底板3aを有し、第1外筒体2と同じ径である第2外筒体3と、第1外筒体2と第2外筒体3よりも小径で、高さが第1外筒体2と第2外筒体3の内壁面2b、3bの高さの合計よりも小さく、第1外筒体2と第2外筒体3に収容でき、かつ、第1外筒体2の内壁面2bと第2外筒体3の内壁面3bに接する内筒体4と、を備えている。第1外筒体2、第2外筒体3及び内筒体4が嵌合することにより、円柱状の内部空間Sが設けられることとなり、内部空間Sに割火薬と星を充填し、封入することができる。この実施形態では、2号、2.5号、3号の打上花火用飛翔体部品1の例を挙げて説明するが、部品のサイズは限定されることはなく、適宜、採択可能である。
【0021】
第1外筒体2は、天板2aと円筒体とが合体したものであり、底面に開口面を有する。天板2aの外縁部の上部に曲面2cを有している。内壁面2bは円筒面である。
【0022】
第2外筒体3は、底板3aと円筒体とが合体したものであり、上面に開口面を有する。底板3aの外縁部の下部に曲面3cを有している。内壁面3bは円筒面である。底板3aは、中央に貫通孔3dを有する。貫通孔3dの大きさは適宜設定できる。貫通孔3dの位置も図示に制限されず、適宜、設定可能である。
【0023】
第1外筒体2と第2外筒体3は、それぞれ、水平面である突合せ面であり環状面を構成する第1嵌合面5を有し、嵌め合い状態では、当接する。第1外筒体2と第2外筒体3はキャップとして機能する。
【0024】
第1外筒体2と第2外筒体3は同一の外径Rを有している。第1外筒体2と第2外筒体3は同一の内径を有しており、内筒体4の外径Rよりは若干大きく設定されており、円周形状の内壁面2b、3bと、内筒体4の円周形状の外周面とが、面同士、当接するようになっている。
【0025】
内筒体4は、図2に示す通り、第1外筒体2及び第2外筒体3と嵌合するための、水平面であり環状面である第2嵌合面6を有している。本実施形態1では、内筒体4の高さは、第1外筒体2の内壁面2bの高さH、及び、第2外筒体3の内壁面3bの高さHの合計の高さHと同一である。ただし、内筒体4の高さを、第1外筒体2の内壁面2bの高さH、及び、第2外筒体3の内壁面3bの高さHの合計の高さHより、低く設定してもよい。この場合は、第2嵌合面6はなく、空隙が設けられる。
【0026】
内筒体4は、図2に示す通り、第1外筒体2及び第2外筒体3と嵌合するための、外径R、及び内径Rを有している。
【0027】
打上花火用飛翔体部品1の製造方法について説明する。
【0028】
厚紙の円板材を金型に入れて、プレス成型し、上端部を切断し、第1外筒体2と第2外筒体3を製造し、紙管を切断することにより内筒体4を製造する。第2外筒体3の上から内筒体4を嵌め込み、中に割火薬、星、導火線を入れ、第1外筒体2を上から第2外筒体3及び内筒体4に嵌め込む。胴の部分(継ぎ目の部分)に紙テープを数周貼り、打上花火用飛翔体部品1を完成する。導火線、割火薬等は周知の構造であるので、図示及び説明は省略する。
【0029】
必ずしも、花火の各種サイズの玉皮の全部の種類を本発明の円筒型の打上花火用飛翔体部品1に替える必要があるわけではない。円筒形の打上花火用飛翔体部品1の場合、花火に平面的な丸さは出るが、球体にはならない。球体の花火にできる従来の玉皮も打上花火用飛翔体部品1とを併用し、需要者に使い分けてもらうことが可能である。
【0030】
実施形態1の打上花火用飛翔体部品1によれば、以下の効果がある。
【0031】
(1)第1外筒体2と第2外筒体3の接合面(胴体の継ぎ目)に紙テープを幾重にも貼り、乾かす、の工程を繰り返す必要がないので、作業負担が軽く、大量生産効果がある。全体で強度を出すことができる。
【0032】
2号、3号の花火であれば、紙テープを接合面に1、2周くらい貼れば十分であるので、紙テープ貼りの作業が大幅に削減できる。
【0033】
比較的小さなサイズ、例えば、2.5号や3号に球体を求めない時代になりつつあり、一方で、打上花火用飛翔体部品1の数を多く製造することが求められている。現在まで、全てのサイズの花火で、玉皮を使用して手間暇をかけて花火を製造しているが、実施形態1によれば、人件費を抑えつつ、大量生産が可能でありながら、打ち上げた時に、球体の打上花火用飛翔体部品に見劣りしないくらいの花火ができる。
【0034】
(2)胴体の継ぎ目に貼る紙テープの枚数が減って、紙ゴミの減量化が可能である。
【0035】
(3)特にポカ物の場合、従来、球形の玉皮の内部に円筒形のパーツを入れていたため、隙間が空いて詰め物が必要であったが、実施形態1の打上花火用飛翔体部品1は円筒形であるので、円筒形の内部に円筒形のパーツを並べることで、隙間が少なくなり、詰め物をする必要が少ないか、不要にできる。また、より多くのパーツを内部に並べることができる。
【0036】
(4)円筒体であるので、保管が容易で、保管場所を少なくすることができる。筒体だと無駄なく在庫を倉庫に安定的に置くことができる。導火線の付いていない方を上にして並べておけば保管場所が節約できる。作業性が良い。
【0037】
(5)ポカ物の場合、導火線の部分が圧迫されたりして火がつかなかったり、火のつかなかったパーツが落ちてきたりするなどを確実に防止でき、安全性も高い。ポカ物であれば、玉皮と比べて、テープを貼る量が削減できる。
【0038】
(6)内筒体4が第1外筒体2と第2外筒体3の内側に強化材として収容され、壁が二重構造であるので、強度が高く、天板2a、底板3a、側壁面が凹むことがない。内筒体4が紙管から作られ、嵌合されるので、強度が高く、変形が少ない。また、円筒形の場合、底板3aの強度を確保しさえすれば底面の強度が確保されるので、球形の玉皮と比べて底面の強度が確保し易く、安全性が高まる。
【0039】
底面に強度が必要な理由は、花火を打ち上げるとき、電気スイッチをオンにすると、電気導火線に電気で導火し、火薬が最初に一瞬に燃焼し、燃焼ガスが出て、燃焼ガスの力で上昇するので、そのガス圧力に底面が耐える必要があるからである。
【0040】
必要に応じて、下側の第2外筒体3だけ厚みを厚くしたり、補強材を追加したりする構造としてもよい。
【0041】
(7)ポカ物、割物を問わず、使用でき、用途のバリエーションを広げることができる。
【0042】
本発明の第2実施形態の打上花火用飛翔体部品201は、第1実施形態の打上花火用飛翔体部品1と共通する構成を有するので、符号は前記実施形態の200番台とし、説明は援用し、相違点を主に説明する。第2実施形態の打上花火用飛翔体部品201は、第1外筒体202と第2外筒体203の間に円筒形状の第3外筒体207を設けたものであり、第1外筒体202と第2外筒体203とが、当接することがない構造である。打上花火用飛翔体部品201の高さ(軸方向の長さ)を調整するための実施形態である。打上花火用飛翔体部品201の高さを高くするためには、第1外筒体202と第2外筒体203の軸方向の長さを長くする必要があるが、打上花火用飛翔体部品201の組み立ての場合に嵌めにくくなる。嵌め易くするためには、第1外筒体202と第2外筒体203の高さを低くする必要があるが、そのままでは、段差ができて作りにくい。これを回避するため、かかる段差を埋めるための第3外筒体207を設けている。
【0043】
打上花火用飛翔体部品201は、図4図6に示す通り、厚紙で、天板202aを有する第1外筒体202と、厚紙で、有孔の底板203aを有し、第1外筒体202と同じ径である第2外筒体203と、第1外筒体202と第2外筒体203の径よりも小径で、高さHが第1外筒体202と第2外筒体203の高さH+Hの合計よりも大きく、第1外筒体202と第2外筒体203に収容でき、かつ、内壁面202b、203bに接する内筒体204と、第1外筒体202と第2外筒体203と同径で、内筒体204よりも高さHが低く、内筒体204の外壁面に接する第3外筒体207と、を備えている。第1外筒体202、第2外筒体203、第3外筒体207及び内筒体204が嵌合するものである。
【0044】
第1外筒体202、第2外筒体203、および第3外筒体207は、図5に示す通り、それぞれ、水平面である突合せ面であり環状面を構成する第1嵌合面205を有し、嵌め合い状態では、当接する。第1外筒体202と第2外筒体203はキャップとして機能する。
【0045】
内筒体204は、図5に示す通り、第1外筒体202及び第2外筒体203と嵌合するための、水平面であり環状面である第2嵌合面206を有している。第2実施形態では、内筒体204の高さHは、第1外筒体202の内壁面202bの高さH、第2外筒体203の内壁面203bの高さH、及び、第3外筒体207の高さHの合計の高さHと同一である。ただし、内筒体204の高さを、前記合計の高さHより、低く設定してもよい。この場合は、第2嵌合面206はなく、空隙が設けられる。
【0046】
第3外筒体207の個数は、1個が好ましいが、それらに限定されるわけではなく、2以上としてもよい。
【0047】
第2実施形態の打上花火用飛翔体部品201の効果は、第1実施形態の打上花火用飛翔体部品1の効果と同様である。これに加えて、打上花火用飛翔体部品1が円筒型になることによって第3外筒体207と内筒体204の高さ(軸方向の長さ)を変えることができ、打上花火用飛翔体部品1の容積の変更も容易である。キャップとして機能する第1外筒体202と第2外筒体203を部品として共通化できる。
【0048】
第3実施形態の打上花火用飛翔体部品301は、図7図9に示す通り、第2実施形態の打上花火用飛翔体部品201の胴体を細くして、容量を変更したものであり、他は同様であり、符号は前記実施形態の300番台とし、説明は援用する。
【0049】
第3実施形態の打上花火用飛翔体部品301によれば、打上花火用飛翔体部品1、201の効果と同様の効果がある。
【0050】
第4実施形態の打上花火用飛翔体部品401は、本第1実施形態1の大きな二重構造円筒型の打上花火用飛翔体部品1の中に別の小さな二重構造円筒型の割火薬と導火線を有する打上花火用飛翔体部品101を詰めたものである。円筒型体の中に円筒型体を縦方向に効率よく入れることによって詰め物の必要が少なくなるか、なくなり、確実に火がつき、花火に火がつかず落ちてくる黒玉が減る効果がある。符号は第1実施形態の400番台とし、説明は援用する。
【0051】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることが出来るものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。例えば、打上げ花火と同じような構成に作られる水上花火は法律上の観点等によっては打上げ花火には分類されないこととなるが、本発明でいう打上げ花火に含まれることは無論である。例えば、上記実施形態では、第1外筒体2、第2外筒体3、内筒体4は円筒形状であるが、角筒形状(例えば、四角形等)としてもよい。第1外筒体2、第2外筒体3は、接着剤無しで、密嵌させてもよいし、接着剤を用いて密嵌してもよい。内筒体4も同様である。接着剤がなければ、接着剤を塗布する手間が省ける。第1嵌合面5、第2嵌合面6の上下の位置は、図示のものに限定されず、適宜の位置が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1、101、201、301、401・・・打上花火用飛翔体部品
2、202・・・第1外筒体
2a・・・天板
2b・・・内壁面
2c・・・曲面
3、203・・・第2外筒体
3a・・・底板
3b・・・内壁面
3c・・・曲面
3d・・・貫通孔
4、204・・・内筒体
5、205・・・第1嵌合面
6、206・・・第2嵌合面
207・・・第3外筒体
S・・・内部空間
,R・・・外径
・・・内径
,H・・・内壁面の高さ
・・・合計の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10