(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】レンズユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20220325BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20220325BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20220325BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20220325BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
G02B7/04 E
G02B7/08 A
H04N5/225 400
(21)【出願番号】P 2020543152
(86)(22)【出願日】2019-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2019089714
(87)【国際公開番号】W WO2020243851
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2020-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】李 林珍
(72)【発明者】
【氏名】▲盧▼ ▲継▼亮
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 晋
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-184875(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0203328(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106990551(CN,A)
【文献】国際公開第2016/189314(WO,A1)
【文献】中国実用新案第208156392(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズユニットであって、
第1台座と、レンズと、第1記憶合金線と、第2記憶合金線とを備え、
前記レンズは、前記第1台座に摺動可能に取り付けられ、前記第1台座は、第1底板と、前記第1底板に接続されて前記レンズの一方側に設けられる第1側板と、前記第1底板に接続されて前記レンズの他方側に設けられる第2側板とを備え、前記第1記憶合金線は、一端が前記第1側板に接続され、他端が前記レンズに接続され、前記第2記憶合金線は、一端が前記第2側板に接続され、他端が前記レンズに接続され、前記第1記憶合金線と前記第2記憶合金線は、何れも前記レンズの光軸に垂直に設けられており、
前記レンズユニットは、前記レンズと前記第1台座との間に設けられる第1ボールを更に備え、前記レンズは、前記第1ボールを介して前記第1台座に摺動自在に接続されており、
前記第1側板と前記第2側板との何れにも、第1凹溝が設けられ、前記レンズの互いに対向する両側には、互いに逆方向で第1凸出部が突設され、2つの前記第1凸出部は、それぞれ2つの前記第1凹溝内に嵌設され、各前記第1凹溝は、光軸方向に沿って間隔を空けて設けられる第1側面と第2側面とを含み、各第1凸出部は、前記第1側面に対向設置される第1表面と、前記第2側面に対向設置される第2表面とを含み、前記第1側面には、第1ガイド溝が凹設され、前記第1表面には、前記第1ガイド溝に位置合わせるように設置される第2ガイド溝が凹設され、前記第1ガイド溝と前記第2ガイド溝との間には、少なくとも1つの前記第1ボールが嵌設されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
レンズユニットであって、
第1台座と、レンズと、第1記憶合金線と、第2記憶合金線とを備え、
前記レンズは、前記第1台座に摺動可能に取り付けられ、前記第1台座は、第1底板と、前記第1底板に接続されて前記レンズの一方側に設けられる第1側板と、前記第1底板に接続されて前記レンズの他方側に設けられる第2側板とを備え、前記第1記憶合金線は、一端が前記第1側板に接続され、他端が前記レンズに接続され、前記第2記憶合金線は、一端が前記第2側板に接続され、他端が前記レンズに接続され、前記第1記憶合金線と前記第2記憶合金線は、何れも前記レンズの光軸に垂直に設けられており、
前記レンズユニットは、第2台座、第1弾性部材、第2弾性部材、第3記憶合金線および第4記憶合金線を更に備え、前記第2台座は、第2底板、前記第2底板の一方側に設けられる第3側板と、前記第2底板の他方側に設けられる第4側板とを備え、前記第2底板、前記第3側板および前記第4側板は、第2取付溝を形成するように取り囲み、前記第1台座は、前記第3記憶合金線、前記第4記憶合金線、前記第1弾性部材および前記第2弾性部材を介して、光軸方向に沿って往復移動可能であるように前記第2取付溝内に取り付けられていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項3】
前記第1記憶合金線は、前記第2記憶合金線に対して間隔を空けて平行に設けられ、前記第1記憶合金線は、一端が前記第1側板の前記第1底板から離間する側に接続され、他端が前記レンズの前記第2側板に近接する側に接続され、前記第2記憶合金線は、一端が前記第2側板の前記第1底板から離間する側に接続され、他端が前記レンズの前記第1側板に近接する側に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記レンズユニットは、2つの第1接続端子と2つの第2接続端子とを更に備え、2つの第1接続端子のうち、一方の第1接続端子が前記第1側板の前記第1底板から離間する側に接続され、他方の第1接続端子が前記レンズの前記第2側板に近接する側に接続され、前記第1記憶合金線の両端がそれぞれ2つの前記第1接続端子に接続され、2つの第2接続端子のうち、一方の第2接続端子が前記第2側板の前記第1底板から離間する側に接続され、他方の第2接続端子が前記レンズの前記第1側板に近接する側に接続され、前記第2記憶合金線の両端がそれぞれ2つの前記第2接続端子に接続されていることを特徴とする請求項3に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記第1凸出部は、前記第2表面の所在する側において第1磁性鋼が設けられ、前記第1凹溝は、前記第2側面の所在する側において前記第1磁性鋼に位置合わせるように設置される第2磁性鋼が設けられていることを特徴とする請求項
1に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記第1側板及び前記第3側板は、前記レンズの一方側に位置し、前記第2側板及び前記第4側板は、前記レンズの他方側に位置し、前記第3記憶合金線は、光軸方向に沿って延在し、且つその両端がそれぞれ前記第1側板、前記第3側板に固定接続され、前記第1弾性部材は、前記光軸方向に平行な方向に沿って前記第1側板と前記第3側板との間に設けられ、前記第4記憶合金線は、光軸方向に沿って延在し、且つその両端がそれぞれ前記第2側板、前記第4側板に固定接続され、前記第2弾性部材は、前記光軸方向に平行な方向に沿って前記第2側板と前記第4側板との間に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記レンズユニットは、前記第1台座と前記第2台座との間に設けられる第2ボールを更に備え、前記第2台座は、前記第2ボールを介して前記第1台座に摺動自在に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記第1側板の外側壁には、前記第3側板を収容するための第1収容溝が凹設され、前記第3側板の前記第2底板から離間する側には、第3磁性鋼が設けられ、前記第1側板の前記第3磁性鋼に対向する面には、前記第3磁性鋼に位置合わせるように設置される第4磁性鋼が設けられ、及び/又は、
前記第2側板の外側壁には、前記第4側板を収容するための第2収容溝が凹設され、前記第4側板の前記第2底板から離間する側には、第5磁性鋼が設けられ、前記第2側板の前記第5磁性鋼に対向する面には、前記第5磁性鋼に位置合わせるように設置される第6磁性鋼が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のレンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ光学結像技術分野に関し、特にレンズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレットPCのような携帯型端末機器には、高性能のレンズモジュールが装備されている。当該高性能のレンズモジュールは、一般的にオートフォーカス機能(auto focusing)及び光学防振機能(OIS:optical image stabilization)を持つ。
【0003】
従来のカメラレンズモジュールの光学防振機能は、ホールセンサ(hall sensor)によってOISブラケットと光軸とのずれを検知し、OISコイルへ電流を投入し、OISコイルと磁石との連携によってOISブラケットと光軸についてずれの発生を阻止し、元の位置に復帰させるものである。当該実施形態のレンズモジュールは、電磁力の作用の下で移動するため、磁界の干渉を受けやすく、且つホール素子を別途追加して鏡筒のブレ状況を検出する必要があり、特殊な環境における信頼性が不良である。また、防振構造は、OISコイル及び磁石を含み、全体構造が複雑であり、コストが高騰であり、重量も大きい。更に、OISコイルに大きな電流が通電されるこそ、磁石を駆動してOISブラケットと光軸とのずれの発生を阻止させるような、大きな電磁力を初めて生成可能であり、消費電力が高い。このように、従来のレンズモジュールの光学防振構造は、軽量化、低消費電力、低コスト及び高信頼性という市場の要求を満足することができない。
【0004】
したがって、上記問題を解決すべく、新たなカメラレンズモジュールを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、磁界干渉が小さく、構造が簡単であり、実装が便利であり、安定性が高いレンズユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、下記の解決手段で実現される。
【0007】
本発明は、レンズユニットを提供する。当該レンズユニットは、第1台座と、レンズと、第1記憶合金線と、第2記憶合金線とを備え、前記レンズは、前記第1台座に摺動可能に取り付けられ、前記第1台座は、第1底板と、前記第1底板に接続されて前記レンズの一方側に設けられる第1側板と、前記第1底板に接続されて前記レンズの他方側に設けられる第2側板とを備え、前記第1記憶合金線は、一端が前記第1側板に接続され、他端が前記レンズに接続され、前記第2記憶合金線は、一端が前記第2側板に接続され、他端が前記レンズに接続され、前記第1記憶合金線と前記第2記憶合金線は、何れも前記レンズの光軸に垂直に設けられている。
【0008】
改良方式の1つとして、前記第1記憶合金線は、前記第2記憶合金線に対して間隔を空けて平行に設けられ、前記第1記憶合金線は、一端が前記第1側板の前記第1底板から離間する側に接続され、他端が前記レンズの前記第2側板に近接する側に接続され、前記第2記憶合金線は、一端が前記第2側板の前記第1底板から離間する側に接続され、他端が前記レンズの前記第1側板に近接する側に接続されている。
【0009】
改良方式の1つとして、前記レンズユニットは、2つの第1接続端子と2つの第2接続端子とを更に備え、2つの第1接続端子のうち、一方の第1接続端子が前記第1側板の前記第1底板から離間する側に接続され、他方の第1接続端子が前記レンズの前記第2側板に近接する側に接続され、前記第1記憶合金線の両端がそれぞれ2つの前記第1接続端子に接続され、2つの第2接続端子のうち、一方の第2接続端子が前記第2側板の前記第1底板から離間する側に接続され、他方の第2接続端子が前記レンズの前記第1側板に近接する側に接続され、前記第2記憶合金線の両端がそれぞれ2つの前記第2接続端子に接続されている。
【0010】
改良方式の1つとして、前記レンズユニットは、前記レンズと前記第1台座との間に設けられる第1ボールを更に備え、前記レンズは、前記第1ボールを介して前記第1台座に摺動自在に接続されている。
【0011】
改良方式の1つとして、前記第1側板と前記第2側板との何れにも、第1凹溝が設けられ、前記レンズの互いに対向する両側には、互いに逆方向で第1凸出部が突設され、2つの前記第1凸出部は、それぞれ2つの前記第1凹溝内に嵌設され、各前記第1凹溝は、光軸方向に沿って間隔を空けて設けられる第1側面と第2側面とを含み、各第1凸出部は、前記第1側面に対向設置される第1表面と、前記第2側面に対向設置される第2表面とを含み、前記第1側面には、第1ガイド溝が凹設され、前記第1表面には、前記第1ガイド溝に位置合わせるように設置される第2ガイド溝が凹設され、前記第1ガイド溝と前記第2ガイド溝との間には、少なくとも1つの前記第1ボールが嵌設されている。
【0012】
改良方式の1つとして、前記第1凸出部は、前記第2表面の所在する側において第1磁性鋼が設けられ、前記第1凹溝は、前記第2側面の所在する側において前記第1磁性鋼に位置合わせるように設置される第2磁性鋼が設けられている。
【0013】
改良方式の1つとして、前記レンズユニットは、第2台座、第1弾性部材、第2弾性部材、第3記憶合金線および第4記憶合金線を更に備え、前記第2台座は、第2底板、前記第2底板の一方側に設けられる第3側板と、前記第2底板の他方側に設けられる第4側板とを備え、前記第2底板、前記第3側板および前記第4側板は、第2取付溝を形成するように取り囲み、前記第1台座は、前記第3記憶合金線、前記第4記憶合金線、前記第1弾性部材および前記第2弾性部材を介して、光軸方向に沿って往復移動可能であるように前記第2取付溝内に取り付けられている。
【0014】
改良方式の1つとして、前記第1側板及び前記第3側板は、前記レンズの一方側に位置し、前記第2側板及び前記第4側板は、前記レンズの他方側に位置し、前記第3記憶合金線は、光軸方向に沿って延在し、且つその両端がそれぞれ前記第1側板、前記第3側板に固定接続され、前記第1弾性部材は、前記光軸方向に平行な方向に沿って前記第1側板と前記第3側板との間に設けられ、前記第4記憶合金線は、光軸方向に沿って延在し、且つその両端がそれぞれ前記第2側板、前記第4側板に固定接続され、前記第2弾性部材は、前記光軸方向に平行な方向に沿って前記第2側板と前記第4側板との間に設けられている。
【0015】
改良方式の1つとして、前記レンズユニットは、前記第1台座と前記第2台座との間に設けられる第2ボールを更に備え、前記第2台座は、前記第2ボールを介して前記第1台座に摺動自在に接続されている。
【0016】
改良方式の1つとして、前記第1側板の外側壁には、前記第3側板を収容するための第1収容溝が凹設され、前記第3側板の前記第2底板から離間する側には、第3磁性鋼が設けられ、前記第1側板の前記第3磁性鋼に対向する面には、前記第3磁性鋼に位置合わせるように設置される第4磁性鋼が設けられ、及び/又は、
前記第2側板の外側壁には、前記第4側板を収容するための第2収容溝が凹設され、前記第4側板の前記第2底板から離間する側には、第5磁性鋼が設けられ、前記第2側板の前記第5磁性鋼に対向する面には、前記第5磁性鋼に位置合わせるように設置される第6磁性鋼が設けられている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施形態は、従来技術よりも、第1記憶合金線と第2記憶合金線が通電されて変形してレンズを駆動して第1側板と第2側板の間で往復移動させることで光学防振を図り、ボイスコイルと磁性鋼との相互作用によって駆動するという従来の方式を必要とせず、磁界干渉問題がなく、安定性が高く、また、当該駆動の設置方式では、構造が簡単であり、実装が便利であり、ホール素子を別途追加する必要がなく、特殊な環境における使用信頼性が高い。そして、磁石と防振コイルとが連携する従来の防振構造よりも、本実施例は、第1記憶合金線及び第2記憶合金線を採用するため、重量及びコストを著しく低減可能である。また、磁石と防振コイルとが連携する従来の防振構造よりも、本実施例で採用される第1記憶合金線と第2記憶合金線とに僅かな電流を流すだけでレンズを引っ張り可能であり光学防振の効果を奏し、消費電力を効果的に低減する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例に係るレンズユニットの構造模式図である。
【
図2】本発明の実施例に係るレンズと第1台座との第1視野角での構造模式図である。
【
図3】本発明の実施例に係るレンズと第1台座との第2視野角での構造模式図である。
【
図4】本発明の実施例に係る第1台座と第2台座との係合状態の第1視野角での構造模式図である。
【
図5】本発明の実施例に係る第1台座と第2台座との係合状態の第2視野角での構造模式図である。
【
図6】本発明の実施例に係る第1台座と第2台座との分解状態の第1視野角での構造模式図である。
【
図7】本発明の実施例に係る第1台座の第1視野角での構造模式図である。
【
図8】本発明の実施例に係る第1台座と第2台座との分解状態の第2視野角での構造模式図である。
【
図9】本発明の実施例に係る第1台座の第2視野角での構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図面及び実施形態を組み合わせて本発明を更に説明する。
【0020】
図1-3を参照すると、本発明の実施例は、レンズユニット100を提供する。レンズユニット100は、第1台座11、レンズ13、第1記憶合金線14および第2記憶合金線15を備え、レンズ13は、第1台座11に摺動可能に取り付けられている。第1台座11は、第1底板111と、第1底板111の一方側に設けられる第1側板112と、第1底板111の他方側に設けられる第2側板113とを備え、第1底板111、第1側板112および第2側板113は、第1取付溝114を形成するように取り囲み、レンズ13は、第1取付溝114内に取り付けられ、第1側板112と第2側板113は、それぞれレンズ14における互いに対向する両側に位置する。第1記憶合金線14と第2記憶合金線15は、何れもレンズ13の上方に吊り下げられ、第1記憶合金線14は、一端が第1側板112の第1底板111から離間する側に接続され、他端がレンズ13の第2側板112に近接する側に接続され、第2記憶合金線15は、一端が第2側板113の第1底板111から離間する側に接続され、他端がレンズ13の第1側板112に近接する側に接続され、第1記憶合金線14と第2記憶合金線15は、何れもレンズ13の光軸Sに垂直に設けられている。
【0021】
具体的に、レンズ13にずれが発生したときには、レンズ13が第1台座12の初期位置に存在し、第1記憶合金線14と第2記憶合金線15が弛緩状態である。レンズ13が第1側板112へまたは第2側板113へずれたときには、レンズ13が第2側板113へずれたことを例とし、第1記憶合金線14が長く引っ張られ、第1記憶合金線14に電流が流れると、温度が上昇し、第1記憶合金線14は、自身の物理特性に応じて、長さが短くなり、レンズ13を初期位置にプールバックし、レンズ13の光学防振を図り、これによってレンズ13の結像品質を向上させる。
【0022】
従来技術よりも、本実施例は、第1記憶合金線14と第2記憶合金線15が通電されて変形してレンズ13を駆動して第1側板112と第2側板113の間で往復移動させることで光学防振を図り、ボイスコイルと磁性鋼との相互作用によって駆動するという従来の方式を必要とせず、磁界干渉問題がなく、安定性が高く、また、当該駆動の設置方式では、構造が簡単であり、実装が便利であり、ホール素子を別途追加する必要がなく、特殊な環境における使用信頼性が高い。そして、磁石と防振コイルとが連携する従来の防振構造よりも、本実施例は、第1記憶合金線14及び第2記憶合金線15を採用するため、重量及びコストを著しく低減可能である。また、磁石と防振コイルとが連携する従来の防振構造よりも、本実施例で採用される第1記憶合金線14と第2記憶合金線15とに僅かな電流を流すだけでレンズ13を引っ張り可能であり光学防振の効果を奏し、消費電力を効果的に低減する。
【0023】
理解できるように、第1記憶合金線14と第2記憶合金線15は、間隔を空けて平行に設置されることに限定されない。例えば、第1記憶合金線14と第2記憶合金線15は、同軸に設置(第1記憶合金線14は、一端が第1側板112に接続され、他端がレンズ13の中間位置に接続され、同理にて、第2記憶合金線15は、一端が第2側板113に接続され、他端がレンズ13の中間位置に接続される)設置されてもよい。第1記憶合金線14及び第2記憶合金線15がレンズ13を引っ張って第1側板112と第2側板113とに対して往復移動させることで光学防振を実現できればよい。更に、第1記憶合金13の一端は、第1側板112の第1底板111から離間する側に接続されることに限定されない。第1記憶合金13は、一端が第1側板112の任意の位置に接続されてもよく、他端がレンズ13に接続され、第1記憶合金13は、レンズ13を引っ張って第1側板112と第2側板113の間で移動させ得るような十分な長さを有せばよい。
【0024】
好ましくは、本実施例において、第1記憶合金線14と第2記憶合金線15は、何れもニッケルチタン合金材料で作製される。第1記憶合金線14と第2記憶合金線15とに通電される電量を制御することにより、第1記憶合金線14と第2記憶合金線15とで発生する熱を制御可能であるため、第1記憶合金線14と第2記憶合金線15との短縮量を制御することができる。
【0025】
説明すべきことは、第1記憶合金線14及び第2記憶合金線15は、自身の物理特性により、長さが短くなると、その抵抗値が変化する。したがって、検出回路及びチップを設置することでレンズにずれが発生したか否かを検出してもよい。具体的に、検出回路は、第1記憶合金線14と第2記憶合金線15とを流れた電流の大きさを検出し、信号をチップへ伝達し、チップは、検出された電流信号に基づいて第1記憶合金線14と第2記憶合金線15との電気抵抗値を算出し、チップは、第1記憶合金線14及び第2記憶合金線15の電気抵抗値と長さとの対応関係に基づいて、第1記憶合金線14と第2記憶合金線15との長さの値を取得し、これによって第1記憶合金線14と第2記憶合金線15とが短くなったか否か、および短縮量がどのぐらいかを判断し、かえって、第1記憶合金線14と第2記憶合金線15とを流れる電流の大きさを制御することで、レンズ13を比較的に精確的に初期位置にプールバックする。
【0026】
本実施例の改良方式の1つとして、レンズユニット100は、2つの第1接続端子16と、2つの第2接続端子17とを更に備え、2つの第1接続端子16のうち、一方の第1接続端子16が第1側板112の第1底板111から離間する側に接続され、他方の第1接続端子16がレンズ13の第2側板113に近接する側に接続され、第1記憶合金線14の両端がそれぞれ2つの第1接続端子16に接続され、2つの第2接続端子17のうち、一方の第2接続端子17が第2側板113の第1底板111から離間する側に接続され、他方の第2接続端子17がレンズ13の第1側板112に近接する側に接続され、第2記憶合金線15の両端がそれぞれ2つの第2接続端子17に接続されている。第1接続端子16と第2接電端子17との設置により、第1記憶合金線14と第1側板112との接続、第2記憶合金線15と第2側板113との接続が便利になるとともに、第1記憶合金線14及び第2記憶合金線15と外部電源との接続が便利になる。
【0027】
理解できるように、レンズユニット100に第1接続端子16及び第2接続端子17が設置されなくてもよい。第1記憶合金線14と第2記憶合金線15は、他の接続方式でレンズ13と第1側板112、第2側板113との間に固定されてもよい。
【0028】
本実施例の改良方式の1つとして、レンズユニット10は、レンズ13と第1台座11との間に設けられる第1ボール18を更に備える。第1ボール18の設置により、レンズ13が第1側板112と第2側板113の間で移動するときの摩擦力は低減可能であり、レンズ13の移動はより円滑になり、光学防振反応はより鋭くなる。
【0029】
本実施例の改良方式の1つとして、第1側板112と第2側板113との何れにも第1凹溝115が設けられ、レンズ13の互いに対向する両側には、互いに逆方向で第1凸出部131が突設され、2つの第1凸出部131は、それぞれ2つの第1凹溝115に嵌設され、各第1凹溝115は、光軸Sの方向に沿って間隔を空けて設けられる第1側面116及び第2側面117を含み、各第1凸出部131は、第1側面116に対向設置される第1表面132と、第2側面117に対向設置される第2表面133とを含み、第1側面116には、第1ガイド溝118が凹設され、第1表面132には、第1ガイド溝118に位置合わせるように設置される第2ガイド溝134が凹設され、第1ガイド溝118と第2ガイド溝134の間には、少なくとも1つの第1ボール18が嵌設されている。第1ガイド溝118は、光軸Sの方向に直交しつつ、第1底板111に平行に設置されている。
【0030】
本実施例の改良方式の1つとして、第1ガイド溝118は、2つ設けられ、2つの第1ガイド溝118は、第1底板111に垂直な方向において、間隔を空けて互いに平行に設置されている。第2ガイド溝134は、2つ設けられ、2つの第2ガイド溝134は、第1底板111に垂直な方向において、間隔を空けて互いに平行に設置され、2つの第2ガイド溝134は、それぞれ2つの第1ガイド溝118に位置合わせるように設けられ、各グループの第1ガイド溝118と第2ガイド溝134の前には、少なくとも1つの第1ボール18が嵌設されている。2グループの第1ガイド溝118、第2ガイド溝134の設置により、レンズ13の運転は、より安定になる。
【0031】
本実施例の改良方式の1つとして、第1凸出部131は、第2表面133の所在する側において、第1磁性鋼135が設けられ、第1凹溝115は、第2側面117において、第1磁性鋼135に位置合わせるするように設置されて第1磁性鋼135と磁力吸着を行うための第2磁性鋼119が設けられている。第1磁性鋼135及び第2磁性鋼119は、主に、第1記憶合金線14又は第2記憶合金線15と連携して、ずれたレンズ13を初期位置に復帰させる。最初の時には、レンズ13にずれが発生しておらず、第1磁性鋼135と第2磁性鋼119とが互いに位置合わせるように設置され、レンズ13にずれが発生したとき、例えば、レンズ13が第2側板113へずれたときには、第1記憶合金線14が長く引っ張られ、第1磁性鋼135と第2磁性鋼119とが互いにずれており、第1記憶合金線14が通電されて収縮しつつ、第1磁性鋼135と第2磁性鋼119との間の互いの磁力作用に合わせてレンズ13を初期位置に復帰させる。
【0032】
図1、4-7を参照すると、本実施例の改良方式の1つとして、レンズユニット100は、第2台座19、第3記憶合金線20、第4記憶合金線21、第1弾性部材22および第2弾性部材23を更に備え、第1台座11は、光軸Sに平行な方向に沿って第2台座19に摺動可能に取り付けられている。第2台座19は、第2底板191と、第2底板191の一方側に設けられる第3側板192と、第2底板191の他方側に設けられる第4側板193とを備え、第2底板191、第3側板192および第4側板193は、第2取付溝194を形成するように取り囲み、第1台座11は、第2取付溝194に取り付けられ、第3側板192は、第1側板112のレンズ12から離間する側に位置し、第4側板193は、第2側板113のレンズから離間する側に位置する。第3記憶合金線20は、光軸Sに平行な方向に沿って延在し、且つ両端がそれぞれ第1側板112、第3側板192に接続され、第1弾性部材22は、光軸Sの方向に沿って延在し、且つ第1側板112と第3側板192との間に圧縮され、第4記憶合金線21は、光軸Sの方向に沿って延在し、且つその両端がそれぞれ第2側板113、第4側板193に接続され、第2弾性部材23は、光軸Sに平行な方向に沿って延在し、且つ第2側板113と第4側板193との間に圧縮されている。
【0033】
最初の時には、第1台座11が第2台座19の初期位置に存在し、即ち、レンズ13がプリセットの初期位置に存在する。合焦を行うときには、第3記憶合金線20と第4記憶合金線21とに電流を流し、第3記憶合金線20と第4記憶合金線21とが発熱し、長さが収縮することで第1台座11を引っ張って第2台座13に対してレンズ13の光軸Sの方向において変位させ、レンズ13の合焦を実現する。合焦が完了した後、電流が切断され、復帰構造は、レンズ13を第1台座11とともに初期位置に復帰させる。
【0034】
従来技術よりも、本実施例は、第3記憶合金線20と第4記憶合金線21が通電されて変形して第1弾性部材22および第2弾性部材23と連携してレンズ13を駆動して光軸方向に前後移動させることでレンズ13のオートフォーカスを図り、ボイスコイルと磁性鋼との相互作用によって駆動するという従来の方式を必要とせず、磁界干渉問題がなく、安定性が高く、また、当該駆動の設置方式では、構造が簡単であり、実装が便利であり、ホール素子を別途追加する必要がなく、特殊な環境における使用信頼性が高い。そして、磁石と防振コイルとが連携する従来の防振構造よりも、本実施例は、第3記憶合金線20及び第4記憶合金線21を採用するため、重量及びコストを著しく低減可能である。また、磁石と防振コイルとが連携する従来の防振構造よりも、本実施例で採用される第3記憶合金線20と第4記憶合金線21とに僅かな電流を流すだけで第1台座11を引っ張って変位させ得るため、オートフォーカスの効果を奏し、消費電力を効果的に低減する。
【0035】
本実施例の改良方式の1つとして、レンズユニット100は、2つの第3接続端子24と2つの第4接続端子25とを更に備え、2つの第3接続端子21は、それぞれ第1側板112と第3側板192とに取り付けられ、第3記憶合金線20の両端は、それぞれ2つの第3接続端子24に接続され、2つの第4接続端子25は、それぞれ第2側板113と第4側板182とに取り付けられ、第4記憶合金線21の両端は、それぞれ2つの第4接続端子25に接続されている。
【0036】
本実施例の改良方式の1つとして、レンズユニット100は、第1台座11と第2台座19との間に設けられる第2ボール26を更に備え、第1台座11は、第2ボール26を介して第2台座19に摺動自在に接続されている。
【0037】
本実施例の改良方式の1つとして、第1側板112の外側壁には、光軸S方向に沿って延在する第3ガイド溝120が設けられ、第2側板113の外側壁には、光軸S方向に沿って延在する第4ガイド溝121が設けられ、第3ガイド溝120と第4ガイド溝121とに、それぞれ少なくとも1つの第2ボール26が嵌設されている。
【0038】
図6-9を参照すると、本実施例の改良方式の1つとして、第1側板112の外側壁122には、第3側板192を収容するための第1収容溝123が凹設され、第3側板192の第2底板191から離間する側には、第3磁性鋼195が設けられ、第1側板112の第3磁性鋼195に対向する面には、第3磁性鋼195に位置合わせるように設置されて第3磁性鋼195と磁力吸着を行うための第4磁性鋼124が設けられている。第3磁性鋼195及び第4磁性鋼124は、主に、第1弾性部材22と連携して、ずれた第1台座11を初期位置に復帰させる。最初の時には、第1台座11にずれが発生しておらず、第1台座11が第2台座19の初期位置に存在し、第3磁性鋼195と第4磁性鋼124とが互いに位置合わせるように設置され、合焦を行うときには、第4記憶合金線21が通電されて収縮し、第1台座11が第2台座19に対してずれを生じると、第3磁性鋼195と第4磁性鋼124とが互いにずれており、第1弾性部材22が圧縮状態となり、合焦が完了した後、電流が切断され、第1弾性部材22は、自身の弾性力を利用しながら、第3磁性鋼195と第4磁性鋼124との間の互いの磁力作用に合わせて第1台座11を初期位置に復帰させる。
【0039】
本実施例の改良方式の1つとして、第2側板113の外側壁125には、第4側板193を収容するための第2収容溝126が凹設され、第4側板193の第2底板191から離間する側には、第5磁性鋼196が設けられ、第2側板113の第5磁性鋼196に対向する面には、第5磁性鋼196に位置合わせるように設置されて第5磁性鋼196と磁力吸着を行うための第6磁性鋼127が設けられている。第5磁性鋼196と第6磁性鋼127は、主に第2弾性部材23と連携して、ずれた第1台座11を初期位置に復帰させる。最初の時には、第1台座11にずれが発生しておらず、第1台座11が第2台座19の初期位置に存在し、第5磁性鋼196と第6磁性鋼127とが互いに位置合わせるように設置され、合焦を行うときには、第4記憶合金線21が通電されて収縮し、第1台座11が第2台座19に対してずれを生じると、第5磁性鋼196と第6磁性鋼127とが互いにずれており、第2弾性部材23が圧縮状態となり、合焦が完了した後、電流が切断され、第2弾性部材23は、自身の弾性力を利用しながら、第5磁性鋼196と第6磁性鋼127との間の互いの磁力作用に合わせて第1台座11を初期位置に復帰させる。
【0040】
上述したのは、単に本発明の実施形態である。当業者にとって、本発明の創造的構想を逸脱しない前提で、種々の改良も行ってもよいが、これらは、いずれも本発明の保護範囲に含まれると理解されるべきである。