(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】車両用照明システム及び車両
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
(21)【出願番号】P 2018025161
(22)【出願日】2018-02-15
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伏見 美昭
(72)【発明者】
【氏名】神谷 美紗子
(72)【発明者】
【氏名】滝井 直樹
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-210127(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073633(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/138147(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転モードで走行可能な車両に設けられた車両用照明システムであって、
前記車両の外部に向けて光を出射することで前記車両の自動運転に関連する情報を視覚的に提示するように構成された自動運転システム(ADS)ランプと、
前記車両が現在位置している現在走行エリアに応じて、所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成された照明制御部と、を備え
、
前記所定の条件下とは、下記(i)から(v)のうちのいずれかの場合である、
車両用照明システム。
(i)前記車両の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードである場合、
(ii)前記車両が停止する場合、
(iii)前記車両が発進する場合、
(iv)前記車両が前記車両の外部に存在する対象物に道を譲る場合、
(v)前記車両が車線を変更する場合。
【請求項2】
前記照明制御部は、
前記現在走行エリアに関連付けられた第1照明仕様データに基づいて、前記所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成されている、請求項1に記載の車両用照明システム。
【請求項3】
前記照明制御部は、
前記車両の現在位置情報に基づいて、各々が一つの走行エリアに関連付けられた複数の照明仕様データから前記第1照明仕様データを選択し、
前記選択された第1照明仕様データに基づいて、前記所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更する、ように構成されている、請求項2に記載の車両用照明システム。
【請求項4】
前記第1照明仕様データを受信するように構成された無線通信部をさらに備え、
前記照明制御部は、前記受信した第1照明仕様データに基づいて、前記所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成されている、請求項2に記載の車両用照明システム。
【請求項5】
前記現在走行エリアは、前記車両が現在走行している国、県、州、省、市、施設又は道路として規定される、請求項1から4のうちいずれか一項に記載の車両用照明システム。
【請求項6】
前記現在走行エリアは、前記車両が現在走行している道路として規定され、
前記車両が自動運転車専用道路を走行する場合に、前記照明制御部は、前記所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成されている、請求項5に記載の車両用照明システム。
【請求項7】
前記現在走行エリアは、前記車両が現在走行している施設として規定され、
前記車両が所定の施設内を走行する場合に、前記照明制御部は、前記所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成されている、請求項5に記載の車両用照明システム。
【請求項8】
請求項1から7のうちいずれか一項に記載の車両用照明システムを備えた、自動運転モードで走行可能な車両。
【請求項9】
自動運転モードで走行可能な車両に設けられた車両用照明システムであって、
前記車両の外部に向けて光を出射することで前記車両の自動運転に関連する情報を視覚的に提示するように構成された自動運転システム(ADS)ランプと、
外部サーバから前記車両が現在位置している現在走行エリアに関連付けられた第1照明仕様データを受信するように構成された無線通信部と、
前記外部サーバから受信した前記第1照明仕様データに基づいて、所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成された照明制御部と、を備えた、
車両用照明システム。
【請求項10】
前記現在走行エリアは、前記車両が現在走行している国、県、州、省、市、施設又は道路として規定される、請求項9に記載の車両用照明システム。
【請求項11】
前記現在走行エリアは、前記車両が現在走行している道路として規定され、
前記車両が自動運転車専用道路を走行する場合に、前記照明制御部は、前記所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成されている、請求項10に記載の車両用照明システム。
【請求項12】
前記現在走行エリアは、前記車両が現在走行している施設として規定され、
前記車両が所定の施設内を走行する場合に、前記照明制御部は、前記所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成されている、請求項10に記載の車両用照明システム。
【請求項13】
請求項9から12のうちいずれか一項に記載の車両用照明システムを備えた、自動運転モードで走行可能な車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用照明システムに関する。特に、本開示は、自動運転モードで走行可能な車両に設けられた車両用照明システムに関する。さらに、本開示は、当該車両用照明システムを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の自動運転技術の研究が各国で盛んに行われており、自動運転モードで車両(以下、「車両」は自動車のことを指す。)が公道を走行することができるための法整備が各国で検討されている。ここで、自動運転モードでは、車両システムが車両の走行を自動的に制御する。具体的には、自動運転モードでは、車両システムは、カメラ、レーダ(例えば、レーザレーダやミリ波レーダ)等のセンサから得られる車両の周辺環境を示す情報(周辺環境情報)に基づいてステアリング制御(車両の進行方向の制御)、ブレーキ制御及びアクセル制御(車両の制動、加減速の制御)のうちの少なくとも1つを自動的に行う。一方、以下に述べる手動運転モードでは、従来型の車両の多くがそうであるように、運転者が車両の走行を制御する。具体的には、手動運転モードでは、運転者の操作(ステアリング操作、ブレーキ操作、アクセル操作)に従って車両の走行が制御され、車両システムはステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御を自動的に行わない。尚、車両の運転モードとは、一部の車両のみに存在する概念ではなく、自動運転機能を有さない従来型の車両も含めた全ての車両において存在する概念であって、例えば、車両制御方法等に応じて分類される。
【0003】
このように、将来において、公道上では自動運転モードで走行中の車両(以下、適宜、「自動運転車」という。)と手動運転モードで走行中の車両(以下、適宜、「手動運転車」という。)が混在することが予想される。
【0004】
自動運転技術の一例として、特許文献1には、先行車に後続車が自動追従走行した自動追従走行システムが開示されている。当該自動追従走行システムでは、先行車と後続車の各々が照明システムを備えており、先行車と後続車との間に他車が割り込むことを防止するための文字情報が先行車の照明システムに表示されると共に、自動追従走行である旨を示す文字情報が後続車の照明システムに表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、自動運転車と手動運転車が混在した自動運転社会では、自動運転に関連する情報(例えば、車両の自動運転モードについての情報等)を歩行者や他車両に視覚的に提示する自動運転システムランプ(以下、ADS(Automated Driving System)ランプという。)が車両に搭載されることが期待されている。この場合、歩行者や他車両はADSランプの視覚的態様を視認することで自動運転車の状況や意図を把握することができるため、自動運転車に対する不安を軽減することができる。
【0007】
一方、走行エリア毎にADSランプの照明仕様が異なる場合が想定される。ここで、ADSランプの照明仕様によれば、所定の条件下(例えば、車両の運転モードが変更される場合や車両が停止する場合)におけるADSランプの視覚的態様(例えば、点消灯、照明色、点滅周期、光度等)が規定されている。例えば、シグナルランプ(ADSランプの一例)の照明仕様がA国とB国では異なることが想定される。かかる場合、A国からB国に入国した車両は、B国の歩行者等と正確な視覚的コミュニケーションを図ることができない。このように、来るべき自動運転社会では、各走行エリアに応じてADSランプの照明仕様を変更することについてさらに検討する余地がある。
【0008】
本開示は、各走行エリアに対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現可能な車両用照明システム及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様の車両用照明システムは、自動運転モードで走行可能な車両に設けられており、
前記車両の外部に向けて光を出射することで前記車両の自動運転に関連する情報を視覚的に提示するように構成された自動運転システム(ADS)ランプと、
前記車両が現在位置している現在走行エリアに応じて、所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成された照明制御部と、
を備える。
【0010】
上記構成によれば、車両が現在位置している現在走行エリアに応じて、所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様が変更される。このように、各走行エリアに対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現可能な車両用照明システムを提供することができる。
【0011】
また、前記照明制御部は、
前記現在走行エリアに関連付けられた第1照明仕様データに基づいて、前記所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成されてもよい。
【0012】
上記構成によれば、現在走行エリアに関連付けられた第1照明仕様データを用いることで、各走行エリアに対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現することができる。
【0013】
また、前記照明制御部は、
前記車両の現在位置情報に基づいて、各々が一つの走行エリアに関連付けられた複数の照明仕様データから前記第1照明仕様データを選択し、
前記選択された第1照明仕様データに基づいて、前記所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更する、
ように構成されてもよい。
【0014】
上記構成によれば、車両の現在位置情報に基づいて、現在走行エリアに関連付けられた第1照明仕様データを選択された上で、選択された第1照明仕様データに基づいて所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様が変更される。このように、車両が無線通信機能を有さない場合又は車両と外部サーバとの間の無線通信を正常に行うことができない場合であっても、各走行エリアに対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現することができる。
【0015】
また、車両用照明システムは、前記第1照明仕様データを受信するように構成された無線通信部をさらに備え、
前記照明制御部は、前記受信した第1照明仕様データに基づいて、前記所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成されてもよい。
【0016】
上記構成によれば、外部から受信した第1照明仕様データに基づいて、所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様が変更される。このように、走行エリア毎の複数の照明仕様データが車両に記憶されていない場合でも、各走行エリアに対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現することができる。さらに、車両用照明システムは、外部から最新の第1照明仕様データを取得することができる。
【0017】
また、前記現在走行エリアは、前記車両が現在走行している国、県、州、省、市、施設又は道路として規定されてもよい。
【0018】
上記構成によれば、車両が現在走行している国、県、州、省、市、施設又は道路に応じて、所定の条件下においてADSランプの視覚的態様が変更される。このように、国、県、州、省、市、施設又は道路に対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現することができる。
【0019】
また、前記現在走行エリアは、前記車両が現在走行している道路として規定されてもよい。
前記車両が自動運転車専用道路を走行する場合に、前記照明制御部は、前記所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成されてもよい。
【0020】
上記構成によれば、車両が自動運転車用専用道路を走行する場合に、所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様が変更される。このように、自動運転車専用道路の走行に対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現することができる。
【0021】
また、前記現在走行エリアは、前記車両が現在走行している施設として規定されてもよい。
前記車両が所定の施設内を走行する場合に、前記照明制御部は、前記所定の条件下における前記ADSランプの視覚的態様を変更するように構成されてもよい。
【0022】
上記構成によれば、車両が所定の施設(テーマパーク等)内を走行する場合に、所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様が変更される。このように、所定の施設内の走行に対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現することができる。
【0023】
上記車両用照明システムを備えた、自動運転モードで走行可能な車両が提供される。
【0024】
上記構成によれば、各走行エリアに応じた最適な視覚的コミュニケーションを実現可能な車両を提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、各走行エリアに対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現可能な車両用照明システム及び車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態(以下、単に本実施形態という。)に係る車両用照明システムが搭載された車両の正面図である。
【
図2】本実施形態に係る車両用照明システムを備える車両システムのブロック図である。
【
図3】車両システムの第1の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】現在走行エリアR1に位置する車両を示す図である。
【
図5】車両システムの第2の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】現在走行エリアR1に位置する車両と通信ネットワーク上に配置された外部サーバとを示す図である。
【
図7】現在走行エリアR1に位置する車両と当該車両と無線通信を行うインフラ設備とを示す図である。
【
図8】車両が自動運転車専用道路を走行する場合における車両システムの動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】自動運転車専用道路の入口を通過する車両を示す図である。
【
図10】車両がテーマパーク内を走行する場合における車両システムの動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】テーマパークの入口を通過する車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0028】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する。これらの方向は、
図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。前後方向は、
図1では示されていないが、左右方向及び上下方向に直交する方向である。
【0029】
最初に、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る車両用照明システム4(以下、単に「照明システム4」という。)について以下に説明する。
図1は、照明システム4が搭載された車両1の正面図である。
図2は、照明システム4を有する車両システム2のブロック図である。車両1は、自動運転モードで走行可能な車両(自動車)であって、車両システム2を備える。照明システム4は、左側ヘッドランプ20Lと、右側ヘッドランプ20Rと、IDランプ42と、シグナルランプ40R,40Lと、照明制御部43とを備える。
【0030】
左側ヘッドランプ20Lは、車両1の前面に搭載されており、ロービームを車両1の前方に照射するように構成されたロービームランプ60Lと、ハイビームを車両1の前方に照射するように構成されたハイビームランプ70Lと、クリアランスランプ50Lとを有する。ロービームランプ60Lと、ハイビームランプ70Lと、クリアランスランプ50Lは、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の1以上の発光素子と、レンズ等の光学系部材を備えている。ロービームランプ60Lと、ハイビームランプ70Lと、クリアランスランプ50Lは、左側ヘッドランプ20Lの灯室内に搭載されている。左側ヘッドランプ20Lの灯室は、ハウジング(図示せず)と、当該ハウジングに取り付けられた透光性カバー(図示せず)により形成されている。
【0031】
右側ヘッドランプ20Rは、車両1の前面に搭載されており、ロービームを車両1の前方に照射するように構成されたロービームランプ60Rと、ハイビームを車両1の前方に照射するように構成されたハイビームランプ70Rと、クリアランスランプ50Rとを有する。ロービームランプ60Rと、ハイビームランプ70Rと、クリアランスランプ50Rは、LEDやLD等の1以上の発光素子と、レンズ等の光学系部材を備えている。ロービームランプ60Rと、ハイビームランプ70Rと、クリアランスランプ50Rは、右側ヘッドランプ20Rの灯室内に搭載されている。右側ヘッドランプ20Rの灯室は、ハウジング(図示せず)と、当該ハウジングに取り付けられた透光性カバー(図示せず)により形成されている。以降では、説明の便宜上、左側ヘッドランプ20Lと右側ヘッドランプ20Rを単にヘッドランプという場合がある。
【0032】
IDランプ42は、車両1の外部に向けて光を出射することで車両1の自動運転に関連する情報を視覚的に提示するように構成されたADSランプの一例であって、車両1の外部に向けて光を出射することで車両1の運転モードを視覚的に提示するように構成されている。特に、IDランプ42は、車両1の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードの場合に点灯する一方で、車両1の運転モードが運転支援モード又は手動運転モードの場合に消灯するように構成されている。尚、車両1の運転モードについての詳細については後述する。IDランプ42は、LEDやLD等の1以上の発光素子と、レンズ等の光学系部材を備えている。IDランプ42は、車両1のグリル120に配置されている。また、IDランプ42の照明色は、車両1が現在位置している現在走行エリア(後述する)に応じて適宜変更されてもよい。尚、IDランプ42の配置場所又は形状は特に限定されるものではない。
【0033】
シグナルランプ40L,40Rは、ADSランプの一例であって、車両1の外部に向けて光を出射することで車両1の意図を視覚的に提示するように構成されている。この点において、シグナルランプ40L,40Rは、その視覚的態様を変更することで車両1と車両1の外部に存在する対象物(例えば、他車両や歩行者等)との間の視覚的コミュニケーションを実現することが可能である。例えば、シグナルランプ40L、40Rは、歩行者に道を譲る場合に、点滅してもよい。この場合、歩行者は、シグナルランプ40L,40Rの点滅を見ることで、車両1が道を譲ることを認識することができる。また、シグナルランプ40L,40Rは、車両1が停止若しくは発進する場合又は車両1が走行レーンを変更する場合に、その視覚的態様(照明色、点消灯、点滅周期、光度等)を変化させてもよい。シグナルランプ40L,40Rは、LEDやLD等の1以上の発光素子と、レンズ等の光学系部材を備えている。シグナルランプ40L,40Rは、グリル120の下に配置されている。特に、シグナルランプ40L,40Rは、車両1の中心線に対して左右対称に配置されていてもよい。また、シグナルランプ40L,40Rの視覚的態様は、後述する現在走行エリアに応じて適宜変更されてもよい。尚、シグナルランプ40L,40Rの配置場所又は形状は特に限定されるものではない。
【0034】
次に、
図2を参照して車両1の車両システム2について説明する。
図2は、車両システム2のブロック図を示している。
図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、照明システム4と、センサ5と、カメラ6と、レーダ7と、HMI(Human Machine Interface)8と、GPS(Global Positioning System)9と、無線通信部10と、記憶装置11とを備える。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。
【0035】
車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。車両制御部3は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC(System on a Chip)等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、MPU(Micro Processing Unit)と、GPU(Graphics Processing Unit)と、TPU(Tensor Processing Unit)とのうち少なくとも一つを含む。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMには、車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、車両制御プログラムは、自動運転用の人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、多層のニューラルネットワークを用いた教師有り又は教師なし機械学習(特に、ディープラーニング)によって構築されたプログラムである。RAMには、車両制御プログラム、車両制御データ及び/又は車両の周辺環境を示す周辺環境情報が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、コンピュータシステムは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。さらに、コンピュータシステムは、ノイマン型コンピュータと非ノイマン型コンピュータの組み合わせによって構成されてもよい。
【0036】
照明システム4は、既に説明したように、左側ヘッドランプ20Lと、右側ヘッドランプ20Rと、IDランプ42と、シグナルランプ40R,40Lと、照明制御部43とを備える。照明制御部43は、左側ヘッドランプ20L、右側ヘッドランプ20R、IDランプ42及びシグナルランプ40R,40Lの視覚的態様(照明態様)を制御するように構成されている。
【0037】
例えば、照明制御部43は、車両1の運転モードに応じてIDランプ42の点消灯を制御するように構成されている。具体的には、照明制御部43は、車両1の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードである場合に、IDランプ42を点灯させる一方で、車両1の運転モードが手動運転モード又は運転支援モードである場合に、IDランプ42を消灯させる。また、照明制御部43は、車両1と対象物(歩行者等)との間の視覚的コミュニケーションを実現するために、シグナルランプ40R,40Lの視覚的態様を制御するように構成されている。さらに、照明制御部43は、車両1の周辺環境を示す周辺環境情報に応じて、ハイビームとロービームとの間を切替えてもよい。
【0038】
照明制御部43は、電子制御ユニット(ECU)により構成されており、図示しない電源に電気的に接続されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成されるアナログ処理回路とを含む。プロセッサは、例えば、CPUと、MPUと、GPUと、TPUとのうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROMと、RAMを含む。また、コンピュータシステムは、ASICやFPGA等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。アナログ処理回路は、左側ヘッドランプ20L、右側ヘッドランプ20R、IDランプ42、シグナルランプ40R,40Lの駆動を制御するように構成されたランプ駆動回路(例えば、LEDドライバ等)を備える。本実施形態では、車両制御部3と照明制御部43は、別個の構成として設けられているが、車両制御部3と照明制御部43は一体的に構成されてもよい。この点において、照明制御部43と車両制御部3は、単一の電子制御ユニットにより構成されていてもよい。
【0039】
センサ5は、加速度センサ、速度センサ及びジャイロセンサ等を備える。センサ5は、車両1の走行状態を検出して、走行状態情報を車両制御部3に出力するように構成されている。センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、外部天候状態を検出する外部天候センサ、車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ及び運転者の呼気にアルコールが含まれているかどうかを検出する呼気センサ等をさらに備えてもよい。
【0040】
カメラ6は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラ6は、車両1の周辺環境を示す画像データを取得した上で、当該画像データを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された画像データに基づいて、周辺環境情報を特定する。ここで、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物(歩行者、他車両、標識等)に関する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両1に対する対象物の距離や位置に関する情報とを含んでもよい。カメラ6は、単眼カメラとしても構成されてもよいし、ステレオカメラとして構成されてもよい。
【0041】
レーダ7は、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ及び/又はレーザーレーダ(例えば、LiDARユニット)等である。例えば、LiDARユニットは、車両1の周辺環境を検出するように構成されている。特に、LiDARユニットは、車両1の周辺環境を示す3Dマッピングデータ(点群データ)を取得した上で、当該3Dマッピングデータを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された3Dマッピングデータに基づいて、周辺環境情報を特定する。
【0042】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイである。GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0043】
無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車に関する情報(例えば、走行情報等)を他車から受信すると共に、車両1に関する情報(例えば、走行情報等)を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。また、無線通信部10は、歩行者が携帯する携帯型電子機器(スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等)から歩行者に関する情報を受信すると共に、車両1の自車走行情報を携帯型電子機器に送信するように構成されている(歩車間通信)。車両1は、他車両、インフラ設備又は携帯型電子機器とアドホックモードにより直接通信してもよいし、アクセスポイントを介して通信してもよい。さらに、車両1は、通信ネットワーク200(
図6参照)を介して他車両、インフラ設備又は携帯型電子機器、外部サーバと通信してもよい。ここで、通信ネットワーク200は、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)及び無線アクセスネットワーク(RAN)のうちの少なくとも一つを含む。無線通信規格は、例えば、Wi-Fi(登録商標),Bluetooth(登録商標),ZigBee(登録商標)、LPWA、DSRC(登録商標)又はLi-Fiである。また、車両1は、他車両、インフラ設備又は携帯型電子機器と第5世代移動通信システム(5G)を用いて通信してもよい。
【0044】
記憶装置11は、ハードディスクドライブ(HDD)やSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置である。記憶装置11には、2D又は3Dの地図情報、照明仕様データ(後述する)及び/又は車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、3Dの地図情報は、点群データによって構成されてもよい。記憶装置11は、車両制御部3からの要求に応じて、地図情報や車両制御プログラムを車両制御部3に出力するように構成されている。地図情報、車両制御プログラム及び/又は照明仕様データは、無線通信部10と通信ネットワーク200(
図6参照)を介して更新されてもよい。
【0045】
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、車両1の走行を自動的に制御する。つまり、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0046】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0047】
次に、車両1の運転モードについて説明する。運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0048】
また、車両1の運転モードは、運転モード切替スイッチを操作することで切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、運転モード切替スイッチに対する運転者の操作に応じて、車両1の運転モードを4つの運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、手動運転モード)の間で切り替える。また、車両1の運転モードは、自動運転車が走行可能である走行可能区間や自動運転車の走行が禁止されている走行禁止区間についての情報または外部天候状態についての情報に基づいて自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、これらの情報に基づいて車両1の運転モードを切り替える。さらに、車両1の運転モードは、着座センサや顔向きセンサ等を用いることで自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、着座センサ、顔向きセンサ及び/又は呼気センサからの出力信号に基づいて、車両1の運転モードを切り替える。
【0049】
次に、
図3及び
図4を参照して、車両システム2の第1の動作例を以下に説明する。
図3は、車両システム2の第1の動作例を説明するためのフローチャートである。
図4は、現在走行エリアR1に位置する車両1を示す図である。車両システム2の第1の動作例では、車両1に記憶された複数の照明仕様データから現在走行エリアR1に関連付けられた照明仕様データD1が選択される。
【0050】
図3に示すように、最初に、車両制御部3は、GPS9を用いて車両1の現在位置情報を取得する(ステップS1)。次に、車両制御部3は、記憶装置11に記憶された地図情報及び車両1の現在位置情報に基づいて、車両1が現在位置している現在走行エリアR1を特定する(ステップS2)。ここで、現在走行エリアR1は、車両1が現在位置している国、県、州、省、市、施設(例えば、テーマパークやショッピングモール等)又は道路(例えば、自動運転車用専用道路等)として規定されている。例えば、車両1が日本に現在位置すると共に、現在走行エリアR1が国として規定されている場合には、車両制御部3は、現在走行エリアR1を日本として特定する。
【0051】
次に、車両制御部3が現在走行エリアR1を示す情報を照明制御部43に送信した後に、照明制御部43は、現在走行エリアR1に基づいて、現在使用されている照明仕様データDを変更する必要があるかどうかを判定する(ステップS3)。ここで、照明仕様データDとは、所定の条件下におけるADSランプ(IDランプ42及びシグナルランプ40R,40L)の視覚的態様(照明色、点消灯、点滅周期、光度等)を示したデータである。ここで、「所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様」の一例について以下に示す。
・車両1の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードである場合のIDランプ42の視覚的態様
・車両1が停止する場合のシグナルランプ40R,40Lの視覚的態様
・車両1が発進する場合のシグナルランプ40R,40Lの視覚的態様
・車両1が歩行者等に道を譲る場合のシグナルランプ40R,40Lの視覚的態様
・車両1が車線を変更する場合のシグナルランプ40R,40Lの視覚的態様
【0052】
また、照明仕様データDは、走行エリアに関連付けられていてもよい。つまり、複数の照明仕様データDの各々が複数の走行エリアの一つに関連付けられていてもよい。この点において、走行エリアは、国、県、州、省、市、施設又は道路として規定されていてもよい。例えば、走行エリアが国として規定されている場合には、複数の照明仕様データDの各々は、複数の国の一つに関連付けられてもよい。この場合、国毎の照明仕様データDが照明制御部43のメモリ又は記憶装置11に記憶されてもよい。また、走行エリアが県として規定されている場合には、複数の照明仕様データDの各々は、複数の県の一つに関連付けられていてもよい。この場合、県毎の照明仕様データDが照明制御部43のメモリ又は記憶装置11に記憶されてもよい。
【0053】
照明制御部43は、現在使用されている照明仕様データDを変更する必要があると判定した場合(ステップS3でYES)、ステップS4の処理を実行する。一方、照明制御部43は、現在使用されている照明仕様データDを変更する必要がないと判定した場合(ステップS3でNO)、本処理は終了する。例えば、現在走行エリアR1が国として規定されている場合であって、車両1がA国からB国に移動したと仮定する。このとき、A国用の照明仕様データとB国用の照明仕様データが異なる場合には、照明制御部43は、現在使用されているA国用の照明仕様データをB国用の照明仕様データに変更する必要があると判定する。一方、A国用の照明仕様データとB国用の照明仕様データが同じである場合には、照明制御部43は、照明仕様データを変更する必要がないと判定する。また、現在走行エリアR1が国として規定されていると共に、車両1が依然としてA国に留まっている場合には(つまり、現在走行エリアR1が変更されない場合には)、照明制御部43は、照明仕様データを変更する必要がないと判定する。
【0054】
次に、ステップS3の判定結果がYESの場合、照明制御部43は、現在走行エリアR1に基づいて、メモリに記憶された複数の照明仕様データDから現在走行エリアR1に関連付けられた照明仕様データD1(第1照明仕様データの一例)を選択する(ステップS4)。上記の例では、照明制御部43は、B国に対応する現在走行エリアR1に基づいて、複数の照明仕様データDからB国に関連付けられた照明仕様データD1を選択する。
【0055】
その後、照明制御部43は、現在走行エリアR1に関連付けられた照明仕様データD1に基づいて、所定の条件下におけるADSランプ(IDランプ42及びシグナルランプ40R,40L)の視覚的態様を変更する(ステップS5)。ここで、「所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様」の一例については既に説明した。例えば、A国では、車両1の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードであるときのIDランプ42の照明色が黄色である一方、B国では、車両1の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードであるときのIDランプ42の照明色が白色であると仮定する。ここで、車両1がA国からB国に移動した場合に、照明制御部43は、B国用の照明仕様データに基づいて、車両1の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードであるときのIDランプ42の照明色を黄色から白色に変更する。このように、照明制御部43は、現在走行エリアR1に応じて所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様を変更するように構成されている。
【0056】
本実施形態によれば、車両1が現在位置している現在走行エリアR1に応じて、所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様が変更されるので、各走行エリアに対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現可能な照明システム4を提供することができる。このように、車両1は、ADSランプを用いて現在走行エリアR1に存在する他車両1Aや歩行者P1(
図4参照)と適切な視覚的コミュニケーションを図ることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、複数の照明仕様データDから現在走行エリアR1に関連付けられた照明仕様データD1が選択された上で、選択された照明仕様データD1に基づいて所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様が変更される。このように、車両1が無線通信機能を有さない場合又は外部サーバとの間の無線通信が正常に行うことができない場合であっても、各走行エリアに対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現することができる。
【0058】
次に、
図5及び
図6を参照して、車両システム2の第2の動作例について以下に説明する。
図5は、車両システム2の第2の動作例を説明するためのフローチャートである。
図6は、現在走行エリアR1に位置する車両1と通信ネットワーク200上に配置された外部サーバ30とを示す図である。車両システム2の第2の動作例では、現在走行エリアR1に関連付けられた照明仕様データD1が外部から取得される。上記したように、現在走行エリアR1は、車両1が現在位置している国、県、州、省、市、施設又は道路として規定されている。
【0059】
図5に示すように、最初に、車両1の車両制御部3は、GPS9を用いて車両1の現在位置情報を取得する(ステップS10)。次に、車両制御部3は、記憶装置11に記憶された地図情報及び車両1の現在位置情報に基づいて、車両1が現在位置している現在走行エリアR1を特定する(ステップS11)。その後、ステップS12において、車両制御部3は、現在走行エリアR1に基づいて、現在使用されている照明仕様データDを変更する必要があるかどうかを判定する。車両制御部3は、現在使用されている照明仕様データDを変更する必要があると判定した場合(ステップS12でYES)、ステップS13の処理を実行する。一方、車両制御部3は、現在使用されている照明仕様データDを変更する必要がないと判定した場合(ステップS12でNO)、本処理は終了する。現在使用されている照明仕様データDは、例えば、照明制御部43のメモリ(RAM)に記憶されている。
【0060】
次に、ステップS12の判定結果がYESの場合、車両制御部3は、無線通信部10を介して現在走行エリアR1を示す情報と照明仕様データを要求する信号(以下、要求信号)を通信ネットワーク200上に配置された外部サーバ30に送信する(ステップS13)。車両1の無線通信部10から送信された要求信号は、基地局210及び通信ネットワーク200を介して外部サーバ30に送信される。ここで、外部サーバ30は、インターネット上に配置されたクラウドサーバであってもよいし、RAN上に配置されたエッジサーバであってもよい。
【0061】
次に、外部サーバ30は、現在走行エリアR1を示す情報と要求信号を受信する。その後、外部サーバ30は、現在走行エリアR1に基づいて、外部サーバ30の記憶装置に記憶された複数の照明仕様データDから現在走行エリアR1に関連付けられた照明仕様データD1(第1照明仕様データの一例)を選択する(ステップS14)。ここで、外部サーバ30の記憶装置は、例えば、HDD又はSSDである。
【0062】
次に、外部サーバ30は、通信ネットワーク200を介して照明仕様データD1を車両1に送信する(ステップS15)。その後、車両1の車両制御部3は、無線通信部10を介して照明仕様データD1を受信した上で、照明仕様データD1を照明制御部43に送信する。その後、照明制御部43は、照明仕様データD1に基づいて、所定の条件下におけるADSランプ(IDランプ42及びシグナルランプ40R,40L)の視覚的態様を変更する(ステップS16)。
【0063】
本実施形態によれば、車両1の外部に存在する外部サーバ30から受信した照明仕様データD1に基づいて、所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様が変更される。このように、走行エリア毎の複数の照明仕様データDが車両1に記憶されていない場合であっても、各走行エリアに対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現することができる。さらに、照明仕様データD1が所定の頻度で更新される場合であっても、車両1は、外部サーバ30から最新の照明仕様データD1を取得することができる。このように、車両1は、ADSランプを用いて現在走行エリアR1に存在する他車両1Aや歩行者P1(
図6参照)と適切な視覚的コミュニケーションを図ることができる。
【0064】
尚、上記例では、照明仕様データD1が通信ネットワーク200上に配置された外部サーバ30から車両1に送信されるが、本実施形態はこれには限定されない。例えば、
図7に示すように、車両1は、車両1の周囲に存在するインフラ設備80から直接的に照明仕様データD1を受信してもよい。具体的には、車両1は、インフラ設備80との通信を確立した後に、照明仕様データD1をインフラ設備80から受信する。次に、車両1の車両制御部3が照明仕様データD1を照明制御部43に送信した後に、照明制御部43は、照明仕様データD1に基づいて所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様を変更する。本変形例では、インフラ設備80は現在走行エリアR1内に配置されているため、インフラ設備80から送信された照明仕様データD1は、現在走行エリアR1に関連付けられている。このため、車両1は、照明仕様データD1を取得する際において交通インフラ設備80に現在走行エリアR1を示す情報を送信する必要がない。このように、車両1は、現在走行エリアR1内に配置されたインフラ設備80から照明仕様データD1を受信する場合、現在走行エリアR1を特定しなくてもよい。また、現在走行エリアR1が国として規定される場合には、インフラ設備80は、国境付近に配置されてもよい。現在走行エリアR1が道路として規定されている場合には、インフラ設備80は、本線と合流車線との間の合流地点の付近に配置されてもよい。さらには、現在走行エリアR1が施設(テーマパーク等)として規定されている場合には、インフラ設備80は、施設の入口の付近に配置されてもよい。
【0065】
次に、
図8及び
図9を参照して、現在走行エリア及び走行エリアが道路として規定されていると共に、車両1が自動運転車専用道路R2(以下、単に専用道路R2という。)を走行する場合における車両システム2の動作例について以下に説明する。
図8は、車両1が専用道路R2を走行する場合における車両システム2の動作例を説明するためのフローチャートである。
図9は、専用道路R2の入口を通過する車両1を示す図である。本例では、複数の照明仕様データDの各々は、複数の道路の一つに関連付けられている。道路毎の照明仕様データDが照明制御部43のメモリ又は記憶装置11に記憶されている。さらに、一般道路の照明仕様データDと専用道路R2の照明仕様データD2は互いに異なるものとする。
【0066】
図8に示すように、車両制御部3は、GPS9を用いて車両1の現在位置情報を取得した上で(ステップS20)、車両1の現在位置情報と地図情報に基づいて、現在走行エリアを専用道路R2として特定する(ステップS21)。次に、車両制御部3は、専用道路R2を示す情報を照明制御部43に送信する。その後、照明制御部43は、専用道路R2を示す情報に基づいて、現在使用されている一般道路の照明仕様データDを変更する必要があるかどうかを判定する(ステップS22)。本例では、一般道路の照明仕様データDと専用道路R2の照明仕様データD2が互いに異なるため、照明制御部43は、現在使用されている一般道路の照明仕様データDを専用道路R2の照明仕様データD2に変更する必要があると判定する(ステップS22でYES)。
【0067】
次に、照明制御部43は、専用道路R2を示す情報に基づいて、メモリに記憶された複数の照明仕様データDから専用道路R2に関連付けられた照明仕様データD2を選択する(ステップS23)。その後、照明制御部43は、専用道路R2に関連付けられた照明仕様データD2に基づいて、所定の条件下におけるADSランプ(IDランプ42及びシグナルランプ40R,40L)の視覚的態様を変更する(ステップS24)。
【0068】
本実施形態によれば、車両1が専用道路R2を走行する場合に、所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様が変更される。このように、専用道路R2の走行に対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現することができる。
【0069】
次に、
図10及び
図11を参照して、現在走行エリア及び走行エリアが施設として規定されていると共に、車両1がテーマパークR3(所定の施設の一例)を走行する場合における車両システム2の動作例について以下に説明する。
図10は、車両1がテーマパークR3内を走行する場合における車両システム2の動作例を説明するためのフローチャートである。
図11は、テーマパークR3の入口を通過する車両1を示す図である。本例では、複数の照明仕様データDの各々は、複数の施設の一つに関連付けられている。施設毎の照明仕様データDが照明制御部43のメモリ又は記憶装置11に記憶されている。さらに、車両1が道路を走行中の場合には、道路の照明仕様データDが使用されるものとする。道路の照明仕様データDとテーマパークR3の照明仕様データD3は互いに異なるものとする。
【0070】
図10に示すように、車両制御部3は、GPS9を用いて車両1の現在位置情報を取得した上で(ステップS30)、車両1の現在位置情報と地図情報に基づいて、現在走行エリアをテーマパークR3として特定する(ステップS31)。次に、車両制御部3は、テーマパークR3を示す情報を照明制御部43に送信する。その後、照明制御部43は、テーマパークR3を示す情報に基づいて、現在使用されている道路の照明仕様データDを変更する必要があるかどうかを判定する(ステップS32)。本例では、道路の照明仕様データDとテーマパークR3の照明仕様データD3が互いに異なるため、照明制御部43は、現在使用されている道路の照明仕様データDをテーマパークR3の照明仕様データD3に変更する必要があると判定する(ステップS32でYES)。
【0071】
次に、照明制御部43は、テーマパークR3を示す情報に基づいて、メモリに記憶された複数の照明仕様データDからテーマパークR3に関連付けられた照明仕様データD3を選択する(ステップS33)。その後、照明制御部43は、テーマパークR3に関連付けられた照明仕様データD3に基づいて、所定の条件下におけるADSランプ(IDランプ42及びシグナルランプ40R,40L)の視覚的態様を変更する(ステップS34)。
【0072】
本実施形態によれば、車両1がテーマパークR3内を走行する場合に、所定の条件下におけるADSランプの視覚的態様が変更される。このように、テーマパークR3内の走行に対応した最適な視覚的コミュニケーションを実現することができる。
【0073】
尚、
図8及び
図10に示す車両システム2の動作例では、照明制御部43のメモリに記憶された複数の照明仕様データから現在走行エリアに関連付けられた照明仕様データが選択されているが、現在走行エリアに関連付けられた照明仕様データは、無線通信を通じて車両1の外部(例えば、外部サーバ等)から取得されてもよい。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0075】
本実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードの区分は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1:車両
2:車両システム
3:車両制御部
4:車両用照明システム(照明システム)
5:センサ
6:カメラ
7:レーダ
10:無線通信部
11:記憶装置
12:ステアリングアクチュエータ
13:ステアリング装置
14:ブレーキアクチュエータ
15:ブレーキ装置
16:アクセルアクチュエータ
17:アクセル装置
20L:左側ヘッドランプ
20R:右側ヘッドランプ
30:外部サーバ
40L:シグナルランプ
40R:シグナルランプ
42:IDランプ
43:照明制御部
50L:クリアランスランプ
50R:クリアランスランプ
60L:ロービームランプ
60R:ロービームランプ
70L:ハイビームランプ
70R:ハイビームランプ
120:グリル
200:通信ネットワーク
210:基地局