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特許7045886応答装置、応答方法、応答プログラム及び応答システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】応答装置、応答方法、応答プログラム及び応答システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/90 20190101AFI20220325BHJP
   G06F 16/9032 20190101ALI20220325BHJP
   G06F 16/909 20190101ALI20220325BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220325BHJP
【FI】
G06F16/90 100
G06F16/9032
G06F16/909
G06Q30/02 470
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018046417
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019159880
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】永井 浩太
(72)【発明者】
【氏名】河路 慶一
(72)【発明者】
【氏名】大坪 悠
(72)【発明者】
【氏名】中野 麻衣子
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-090545(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145466(WO,A1)
【文献】特開2016-212541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって入力された文字列を受け付ける受付部と、
第1応答処理を実行することによって、前記受付部が受け付けた前記文字列に対する回答を決定する第1処理部と、
前記第1応答処理と並行して第2応答処理を実行することによって、前記受付部が受け付けた前記文字列に対する回答を決定する第2処理部と、
前記第1応答処理の回答を出力するとともに、前記ユーザに関する情報が所定の条件を満たす場合に前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力する出力部と、
を有し、
前記出力部は、前記ユーザに関する情報として前記ユーザに対する応答の経過時間又は応答回数が所定の条件を満たす場合に、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力する
応答装置。
【請求項2】
ユーザによって入力された文字列を受け付ける受付部と、
第1応答処理を実行することによって、前記受付部が受け付けた前記文字列に対する回答を決定する第1処理部と、
前記第1応答処理と並行して第2応答処理を実行することによって、前記受付部が受け付けた前記文字列に対する回答を決定する第2処理部と、
前記第1応答処理の回答を出力するとともに、前記ユーザに関する情報が所定の条件を満たす場合に前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力する出力部と、
を有し、
前記出力部が前記第1応答処理の回答を出力した後に前記受付部が受け付けた前記文字列が前記第1応答処理に対応する分野とは異なる分野の言葉を含む場合に、前記出力部は、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力し、
前記受付部は、前記第1応答処理の回答を出力した後に受け付けた前記文字列が前記第1応答処理に対応する分野とは異なる分野の言葉を含む場合に、前記ユーザによる応答処理の切り替えの可否の選択を受け付け、
前記第1処理部は、前記ユーザが応答処理を切り替えることを選択した場合に、前記異なる分野に対応する応答処理を前記第1応答処理として実行する、
応答装置。
【請求項3】
前記受付部は、前記出力部が前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力した後に、前記ユーザによる前記第1応答処理及び前記第2応答処理のどちらかの選択を受け付け、
前記第1処理部は、前記ユーザが選択した前記第1応答処理及び前記第2応答処理のどちらかを実行する、請求項1又は2に記載の応答装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記ユーザに関する情報として前記ユーザの感情が所定の条件を満たす場合に、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力する、請求項1から3のいずれか一項に記載の応答装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記ユーザに関する情報として前記ユーザに対する応答の経過時間又は応答回数が所定の条件を満たす場合に、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力する、請求項に記載の応答装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記ユーザに関する情報として前記受付部が受け付けた前記文字列に含まれる言葉が所定の条件を満たす場合に、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力する、請求項1からのいずれか一項に記載の応答装置。
【請求項7】
前記出力部が前記第1応答処理の回答を出力した後に前記受付部が受け付けた前記文字列が前記第1応答処理に対応する分野とは異なる分野の言葉を含む場合に、前記出力部は、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力する、請求項に記載の応答装置。
【請求項8】
前記受付部は、前記第1応答処理の回答を出力した後に受け付けた前記文字列が前記第1応答処理に対応する分野とは異なる分野の言葉を含む場合に、前記ユーザによる応答処理の切り替えの可否の選択を受け付け、
前記第1処理部は、前記ユーザが応答処理を切り替えることを選択した場合に、前記異なる分野に対応する応答処理を前記第1応答処理として実行する、請求項に記載の応答装置。
【請求項9】
前記第1処理部は、前記ユーザが応答処理を切り替えないことを選択した場合に、前記第1応答処理に対応する分野の実行が完了した後に、前記異なる分野に対応する応答処理を前記第1応答処理として実行する、請求項2又は8に記載の応答装置。
【請求項10】
プロセッサが、
ユーザによって入力された文字列を受け付けるステップと、
第1応答処理を実行することによって、前記受け付けるステップで受け付けた前記文字列に対する回答を決定するステップと、
前記第1応答処理と並行して第2応答処理を実行することによって、前記受け付けるステップで受け付けた前記文字列に対する回答を決定するステップと、
前記第1応答処理の回答を出力するとともに、前記ユーザに関する情報が所定の条件を満たす場合に前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力するステップと、
を実行し、
前記出力するステップは、前記ユーザに関する情報として前記ユーザに対する応答の経過時間又は応答回数が所定の条件を満たす場合に、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力する
応答方法。
【請求項11】
コンピュータに、
ユーザによって入力された文字列を受け付けるステップと、
第1応答処理を実行することによって、前記受け付けるステップで受け付けた前記文字列に対する回答を決定するステップと、
前記第1応答処理と並行して第2応答処理を実行することによって、前記受け付けるステップで受け付けた前記文字列に対する回答を決定するステップと、
前記第1応答処理の回答を出力するとともに、前記ユーザに関する情報が所定の条件を満たす場合に前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力するステップと、
を実行させ、
前記出力するステップは、前記ユーザに関する情報として前記ユーザに対する応答の経過時間又は応答回数が所定の条件を満たす場合に、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力する
応答プログラム。
【請求項12】
応答装置と、前記応答装置と通信可能な通信端末と、を有し、
前記応答装置は、
ユーザによって入力された文字列を前記通信端末から受け付ける受付部と、
第1応答処理を実行することによって、前記受付部が受け付けた前記文字列に対する回答を決定する第1処理部と、
前記第1応答処理と並行して第2応答処理を実行することによって、前記受付部が受け付けた前記文字列に対する回答を決定する第2処理部と、
前記第1応答処理の回答を出力するとともに、前記ユーザに関する情報が所定の条件を満たす場合に前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を前記通信端末へ出力する出力部と、
を備え、
前記出力部は、前記通信端末に、前記ユーザに関する情報として前記ユーザに対する応答の経過時間又は応答回数が所定の条件を満たす場合に、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力する
応答システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対して応答するための応答装置、応答方法、応答プログラム及び応答システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信端末上でユーザからの発話を受け付け、発話に対する応答をネットワークを介して出力するシステムが知られている。特許文献1には、ユーザの情報に基づいて、コンピュータによる自律的な応答方法とオペレータによる応答方法との間で切り替えて応答するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-194910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンピュータによる自律的な応答方法として、ユーザが話題とするテーマごとに作成された応答プログラムであるボットを実行する構成が知られている。ボットは、テーマごとに異なるデータに基づいて、ユーザの発話に対して回答する。このような構成において、ユーザからの発話に対して割り当てられたボットが、ユーザに適した回答を提供できない場合があった。特許文献1に記載のシステムは、自律的な応答方法からオペレータによる応答方法へ切り替えるのみであるため、オペレータの介入なしではユーザに適した回答をできない場合がある。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザに適した回答をできる応答装置、応答方法、応答プログラム及び応答システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の応答装置は、ユーザによって入力された文字列を受け付ける受付部と、第1応答処理を実行することによって、前記受付部が受け付けた前記文字列に対する回答を決定する第1処理部と、前記第1応答処理と並行して第2応答処理を実行することによって、前記受付部が受け付けた前記文字列に対する回答を決定する第2処理部と、前記第1応答処理の回答を出力するとともに、前記ユーザに関する情報が所定の条件を満たす場合に前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記出力部は、前記第1応答処理の回答を出力する前又は後に割り込ませて前記第2応答処理の回答を出力してもよい。
【0008】
前記出力部は、前記第1応答処理の回答と同時に前記第2応答処理の回答を出力してもよい。
【0009】
前記受付部は、前記出力部が前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力した後に、前記ユーザによる前記第1応答処理及び前記第2応答処理のどちらかの選択を受け付け、前記第1処理部は、前記ユーザが選択した前記第1応答処理及び前記第2応答処理のどちらかを実行してもよい。
【0010】
前記出力部は、前記ユーザに関する情報として前記ユーザの感情が所定の条件を満たす場合に、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力してもよい。
【0011】
前記出力部は、前記ユーザに関する情報として前記ユーザに対する応答の経過時間又は応答回数が所定の条件を満たす場合に、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力してもよい。
【0012】
前記出力部は、前記ユーザに関する情報として前記受付部が受け付けた前記文字列に含まれる言葉が所定の条件を満たす場合に、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力してもよい。
【0013】
前記出力部が前記第1応答処理の回答を出力した後に前記受付部が受け付けた前記文字列が前記第1応答処理に対応する分野とは異なる分野の言葉を含む場合に、前記出力部は、前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力してもよい。
【0014】
前記受付部は、前記第1応答処理の回答を出力した後に受け付けた前記文字列が前記第1応答処理に対応する分野とは異なる分野の言葉を含む場合に、前記ユーザによる応答処理の切り替えの可否の選択を受け付け、前記第1処理部は、前記ユーザが応答処理を切り替えることを選択した場合に、前記異なる分野に対応する応答処理を前記第1応答処理として実行してもよい。
【0015】
前記第1処理部は、前記ユーザが応答処理を切り替えないことを選択した場合に、前記第1応答処理に対応する分野の実行が完了した後に、前記異なる分野に対応する応答処理を前記第1応答処理として実行してもよい。
【0016】
本発明の第2の態様の応答方法は、プロセッサが、ユーザによって入力された文字列を受け付けるステップと、第1応答処理を実行することによって、前記受け付けるステップで受け付けた前記文字列に対する回答を決定するステップと、前記第1応答処理と並行して第2応答処理を実行することによって、前記受け付けるステップで受け付けた前記文字列に対する回答を決定するステップと、前記第1応答処理の回答を出力するとともに、前記ユーザに関する情報が所定の条件を満たす場合に前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力するステップと、を実行する。
【0017】
本発明の第3の態様の応答プログラムは、コンピュータに、ユーザによって入力された文字列を受け付けるステップと、第1応答処理を実行することによって、前記受け付けるステップで受け付けた前記文字列に対する回答を決定するステップと、前記第1応答処理と並行して第2応答処理を実行することによって、前記受け付けるステップで受け付けた前記文字列に対する回答を決定するステップと、前記第1応答処理の回答を出力するとともに、前記ユーザに関する情報が所定の条件を満たす場合に前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を出力するステップと、を実行させる。
【0018】
本発明の第4の態様の応答システムは、応答装置と、前記応答装置と通信可能な通信端末と、を有し、前記応答装置は、ユーザによって入力された文字列を前記通信端末から受け付ける受付部と、第1応答処理を実行することによって、前記受付部が受け付けた前記文字列に対する回答を決定する第1処理部と、前記第1応答処理と並行して第2応答処理を実行することによって、前記受付部が受け付けた前記文字列に対する回答を決定する第2処理部と、前記第1応答処理の回答を出力するとともに、前記ユーザに関する情報が所定の条件を満たす場合に前記第1応答処理の回答に加えて前記第2応答処理の回答を前記通信端末へ出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザに適した回答をできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る応答システムの模式図である。
図2】本実施形態に係る応答システムのブロック図である。
図3】本実施形態に係る応答システムが実行する応答方法の概要を示す模式図である。
図4】本実施形態に係る応答装置が実行する応答処理の出力を表示する画面の模式図である。
図5】本実施形態に係る応答装置が実行する応答処理の出力を表示する画面の模式図である。
図6】本実施形態に係る応答装置が実行する応答処理の出力を表示する画面の模式図である。
図7】本実施形態に係る応答装置が実行する応答処理の出力を表示する画面の模式図である。
図8】本実施形態に係る応答装置が実行する応答処理の出力を表示する画面の模式図である。
図9】本実施形態に係る応答装置が実行する応答処理の出力を表示する画面の模式図である。
図10】本実施形態に係る応答方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[応答システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る応答システムSの模式図である。応答システムSは、応答装置1と、通信端末2とを含む。応答装置1及び通信端末2は、インターネット、ローカルエリアネットワーク等のネットワークNを介して接続される。応答システムSが含む応答装置1の数は限定されない。応答システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0022】
通信端末2は、ユーザUからの入力を受け付けて通信を行う通信装置である。通信端末2は、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。通信端末2は、有線又は無線でネットワークNに接続される。
【0023】
応答装置1は、後述の応答方法によって、ユーザUによって入力された言葉に対する応答を出力するコンピュータである。応答装置1は、有線又は無線でネットワークNに接続される。
【0024】
[応答システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る応答システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示していないデータの流れがあってよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0025】
通信端末2は、表示部21と、操作部22と、通信部23とを有する。表示部21は、各種情報を表示するための、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(OLED: Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置を含む。表示部21は、応答装置1から通信部23を介して受信した信号に従って情報を表示する。
【0026】
操作部22は、ユーザの操作を受け付けるための、ボタン、スイッチ、ダイヤル等の操作部材を含む。操作部22は、ユーザの操作を示す信号を応答装置1に通信部23を介して送信する。表示部21としてユーザによる接触の位置を検出可能なタッチスクリーンを用いることによって、表示部21と操作部22とを一体に構成してもよい。
【0027】
通信部23は、応答装置1との間で通信をするための通信インターフェースである。通信部23は、通信を実行するためのプロセッサ、コネクタ、電気回路等を含む。通信部23は、外部から受信した通信信号に所定の処理を行ってデータを取得する。また、通信部23は、送信すべきデータに所定の処理を行って通信信号を生成し、生成した通信信号を外部に送信する。
【0028】
応答装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13とを有する。制御部11は、入力受付部111と、正処理部112と、副処理部113と、判定部114と、出力部115とを有する。記憶部13は、ボット記憶部131と、モデル記憶部132と、回答記憶部133とを有する。ボット記憶部131、モデル記憶部132及び回答記憶部133は、それぞれ記憶部13上の記憶領域であってもよく、あるいは記憶部13上で構成されたデータベースであってもよい。
【0029】
通信部12は、通信端末2との間で通信をするための通信インターフェースである。通信部12は、通信を実行するためのプロセッサ、コネクタ、電気回路等を含む。通信部12は、外部から受信した通信信号に所定の処理を行ってデータを取得し、取得したデータを制御部11に入力する。また、通信部12は、制御部11から入力されたデータに所定の処理を行って通信信号を生成し、生成した通信信号を外部に送信する。
【0030】
記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部13は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶する。ボット記憶部131は、後述する応答処理を実行するためのボット(ボットプログラム)を予め記憶している。モデル記憶部132は、応答処理で用いられる情報を予め記憶している。回答記憶部133は、応答処理で決定された回答を一時的に記憶する。
【0031】
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部13に記憶されたプログラムを実行することにより、入力受付部111、正処理部112、副処理部113、判定部114及び出力部115として機能する。入力受付部111、正処理部112、副処理部113、判定部114及び出力部115の機能については、図3図8を用いて後述する。制御部11の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部11の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0032】
本実施形態に係る応答システムSは、図2に示す具体的な構成に限定されない。応答装置1及び通信端末2は、それぞれ1つの装置に限られず、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。
【0033】
[応答方法の概要]
図3は、本実施形態に係る応答システムSが実行する応答方法の概要を示す模式図である。応答システムSにおいて、モデル記憶部132は、ユーザUが入力した文字列に対する回答を決定するための情報である複数のモデルMを予め記憶している。モデルMは、応答する分野(テーマ)ごとに定義されている。分野は、例えばサービスに関する情報、機器に関する情報、ユーザに関する情報等、事業者がユーザに対して提供する物又はサービスについて定義される所定の領域である。
【0034】
ボット記憶部131は、ユーザUに対する応答処理を行う複数のボット(ボットプログラム)を、制御部11が実行可能な状態で予め記憶している。各ボットは、モデル記憶部132に記憶された所定のモデルMに基づいて応答する。そのため各ボットは、ユーザUが入力した文字列が属する分野がモデルMに対応している場合に適切な回答をできるものの、該分野がモデルMに対応していない場合に適切な回答をできない場合がある。
【0035】
通信端末2において、ユーザUは、操作部22を用いて質問等の言葉を示す文字列を入力する(a)。通信端末2は、ユーザUの入力内容を示す情報を応答装置1に送信する。
【0036】
応答装置1において、制御部11は、ボット記憶部131に記憶されたボットを実行することによって、ユーザUに対する応答を行う。具体的には、制御部11は、ユーザUが入力した文字列に対して、第1モデルM1に対応する第1ボットB1を実行する。また、制御部11は、第1ボットB1と並行して、第2モデルM2に対応する第2ボットB2を実行する。第1ボットB1及び第2ボットB2は、それぞれユーザUが入力した文字列に対する回答を決定する。
【0037】
そして制御部11は、第1ボットB1が決定した回答を、通信端末2に出力する(b)。さらに第1ボットB1の回答を出力する際に所定の条件が満たされた場合に、第2ボットB2が決定した回答を出力する(c)。このような構成により、応答装置1は、複数のボットによって並行して決定した回答を状況に応じて出力するため、1つのボットのみで回答を決定するよりもユーザUに適した回答をできる。
【0038】
応答システムSは、ボットごとに異なる応答装置1を備えてもよい。すなわち、図3の例において第1ボットB1及び第2ボットB2は1つの応答装置1によって実行されているが、異なる2つの応答装置1によって実行されてもよい。この場合に、第1ボットB1を実行する応答装置1は、ユーザUの入力内容や感情等のユーザUに関する情報を、ネットワークNを介して、第2ボットB2を実行する応答装置1に送信する。第2ボットB2を実行する応答装置1は、第1ボットB1を実行する応答装置1から受け取ったユーザUに関する情報に基づいて、第2ボットB2を実行する。このような構成により、応答システムSは、複数の応答装置1で複数のボットを切り替えて実行することができる。
【0039】
[応答方法の説明]
本実施形態に係る応答システムSによる応答方法を、以下に説明する。以下では、サービス情報に関する分野に対応する第1モデルM1を用いる第1ボットB1である「花子」と、ユーザ情報に関する分野に対応する第2モデルM2を用いる第2ボットB2である「太郎」とを例として説明する。
【0040】
図4は、本実施形態に係る応答装置1が実行する応答処理の出力を表示する画面の模式図である。図4は、通信端末2の表示部21が表示する入力画面の一例を表している。表示部21は、ユーザUが文字列を入力するための入力欄C1と、ユーザUが入力済の文字列を応答装置1へ送信するために押下する仮想的な送信ボタンC2と、を表示する。また表示部21は、応答装置1がユーザUに向けて出力した文字列を表す応答情報I1と、ユーザUが送信した文字列を表す入力情報I2とを表示する。さらに表示部21は、応答情報I1の近傍に、応答情報I1の内容(回答)を決定したボットの仮想的な姿を表すアバタAを表示する。アバタAは、例えばボット記憶部131においてボットに関連付けられて予め記憶された画像である。
【0041】
まず入力受付部111は、ユーザUが入力した入力情報を、通信端末2から受け付ける。ここで入力受付部111は、ユーザUが操作部22を用いて入力欄C1に入力した文字列(言葉)を示す情報を、入力情報として受け付ける。また、入力受付部111は、ユーザUが発した音声を音声認識処理によって変換した文字列を、入力情報として受け付けてもよい。
【0042】
正処理部112(第1処理部)は、ボット記憶部131に記憶された第1ボットB1を実行する。正処理部112は、ユーザUによって選択された第1ボットB1を実行してもよく、あるいは所定の規則に従って自動的に選択した第1ボットB1を実行してもよい。
【0043】
第1ボットB1は、第1モデルM1の情報を用いて、入力受付部111が受け付けた文字列に対する回答を決定する。第1ボットB1が決定する回答は、ユーザUへの追加の質問でもよく、ユーザUへの最終的な回答でもよい。第1ボットB1は、第1モデルM1に基づいて、ユーザUが入力した文字列を受け付けることと、質問を出力することとを交互に(すなわち対話的に)継続することによって、最終的な回答を決定してもよい。また、第1ボットB1は、第1モデルM1の情報を、ユーザUが入力した文字列に含まれるキーワードを用いて検索することによって、該キーワードに関連付けられた1つ以上の回答を決定してもよい。正処理部112は、決定した回答を、回答記憶部133に記憶させる。
【0044】
副処理部113(第2処理部)は、正処理部112が第1ボットB1を実行するのと並行して、第1ボットB1に関連付けられた第2ボットB2を実行する。第1ボットB1及び第2ボットB2は、予めボット記憶部131中で関連付けられている。副処理部113は、無作為に第2ボットB2を選択して実行してもよい。
【0045】
また、副処理部113は、統計情報に基づいて、第2ボットB2を選択して実行してもよい。ここで統計情報は、例えば過去にボットが出力した回答がユーザUによって適切だったか否かを示す情報である。応答装置1は、応答完了後にユーザUに対してボットの応答に対するアンケートを取ることによって、過去に同様の文字列を入力したユーザUが受けた回答が適切だったか否かを判定し、判定結果を統計情報として記憶する。副処理部113は、統計情報が応答が良かったことを示すボットを、優先的に第2ボットB2として選択して実行する。これにより応答装置1は、ユーザが関連する質問を再度した場合に、過去に適切な回答をしたボットを割り込ませ、ユーザに適切な回答ができる。
【0046】
第2ボットB2は、第1モデルM1とは異なる第2モデルM2の情報を用いて、第1ボットB1と同様に入力受付部111が受け付けた文字列に対する回答を決定する。副処理部113は、決定した回答を、回答記憶部133に記憶させる。
【0047】
判定部114は、文字列を入力したユーザUに関する情報が所定の割り込み条件を満たすか否かを判定する。第1の割り込み条件は、ユーザUが所定の感情(例えば怒りの感情)を有することである。判定部114は、ユーザUが入力した文字列が予め定義された否定的な言葉(「悪い」、「遅い」、「だめ」等)を含む場合に、ユーザUは怒りの感情を有していると推定する。判定部114は、これに限らず、文字列に基づいて感情を推定できる公知の技術を用いることができる。そして判定部114は、ユーザUが所定の感情を有していると推定した場合に、割り込み条件が満たされたと判定する。条件とする感情は、応答装置1に予め設定される。
【0048】
判定部114は、通信端末2の撮像部が撮像したユーザUの画像に対して顔認識を行うことによって、画像中の顔を認識し、認識した顔に基づいて感情を推定してもよい。判定部114は、画像に対して顔認識を行って感情を推定できる公知の技術を用いることができる。また、入力受付部111がユーザUの音声を変換した文字列を入力情報として受け付けた場合に、判定部114は、該音声の強弱に基づいて感情情報を推定してもよい。
【0049】
第2の割り込み条件は、第1ボットB1の応答の経過時間又は応答回数が所定の閾値以上になったことである。判定部114は、第1ボットB1がユーザUへの応答を開始した後の経過時間又は第1ボットB1がユーザUへの応答した回数を測定する。そして判定部114は、ユーザUに対する応答の経過時間又は応答回数が所定の閾値以上になった場合に、割り込み条件が満たされたと判定する。条件とする閾値は、応答装置1に予め設定される。このように、判定部114は、第1ボットB1の応答の経過時間又は応答回数が所定の閾値以上になった場合にユーザUが求める回答を出力するのが困難な状況であると推定し、異なるボット(第2ボットB2)の割り込みが必要であることを判断できる。
【0050】
第3の割り込み条件は、ユーザUが入力した文字列が所定のキーワードを含むことである。判定部114は、ユーザUが入力した文字列が所定の言葉(例えば第1ボットB1に対応する分野とは異なる分野の言葉)を含む場合に、割り込み条件が満たされたと判定する。条件とする言葉は、応答装置1に予め設定される。このように、判定部114は、応答中の第1ボットB1よりも、ユーザUが入力したキーワードに対して適切なボット(第2ボットB2)の割り込ませることを判断できる。
【0051】
判定部114は、上述の第1~第3の条件のうち少なくとも1つの割り込み条件について判定する。ここに示した割り込み条件は一例であり、判定部114はその他の条件を用いてもよい。
【0052】
判定部114が割り込み条件が満たされたと判定しない場合に、出力部115は、正処理部112(すなわち第1ボットB1)が決定した回答を回答記憶部133から読み出し、その回答を示す情報を通信端末2へ出力する。このとき出力部115は、副処理部113(すなわち第2ボットB2)が決定した回答を出力しない。そして通信端末2は、表示部21上に、図4の左図のように、第1ボットB1が決定した回答を表す文字列を応答情報I1として表示する。
【0053】
判定部114が割り込み条件が満たされたと判定した場合に、出力部115は、正処理部112が決定した回答を回答記憶部133から読み出すとともに、副処理部113が決定した回答を回答記憶部133から読み出し、それらの回答を示す情報を通信端末2へ出力する。このとき、出力部115は、副処理部113が決定した回答を、正処理部112が決定した回答の前又は後に割り込ませて出力する。
【0054】
判定部114は、ユーザUが入力した文字列がボットによって適切に対応できない特定の言葉を含む場合に、オペレータ(すなわち人間)による応答をすると判定してもよい。ボットが適切に対応できない言葉は、例えば苦情に関する言葉であり、予めモデルとしてモデル記憶部132に予め記憶される。また、判定部は、上述の感情が所定の条件を満たす場合に、オペレータによる応答をすると判定してもよい。判定部114がオペレータによる応答をすると判定した場合には、応答装置1は、通信端末2とオペレータが使用する端末と接続させ、ユーザの入力に対してオペレータが応答するようにする。これにより、ボットでは適切な応答ができない場合に、オペレータによって適切な対応をすることができる。
【0055】
そして通信端末2は、表示部21上に、図4の右図のように、第1ボットB1が決定した回答に加えて、第2ボットB2が決定した回答を表す文字列を応答情報I3として表示する。これにより応答装置1は、第1ボットB1の回答だけでなく第2ボットB2の回答を提供できるため、第1ボットB1に対応する分野がユーザUの言葉に適合していない場合であっても、ユーザUに適した回答をできる可能性を高められる。また、応答装置1は、第1ボットB1と第2ボットB2とを並行して実行するため、第1ボットB1が決定した回答に加えて第2ボットB2が決定した回答する場合であっても、ユーザUの待ち時間の増大を抑制できる。また、応答装置1は、ユーザUに第1ボットB1及び第2ボットB2が異なる処理であることを認識させることができ、異なる回答を出力することによりユーザUを混乱させることを抑制できる。
【0056】
応答装置1は、ユーザUへの応答が完了する(例えばユーザUに対して最終的な回答を出力する)まで、第1ボットB1及び第2ボットB2を並列に実行して処理を継続する。
【0057】
図5は、本実施形態に係る応答装置1が実行する応答処理の出力を表示する画面の模式図である。図5は、通信端末2の表示部21が表示する入力画面の別の例を表している。図4の例では出力部115は第1ボットB1が決定した回答に加えて第2ボットB2が決定した回答を割り込みで出力するのに対して、図5の例では出力部115は正処理部112が決定した回答と副処理部113が決定した回答とを同時に出力する。
【0058】
表示部21は、正処理部112が決定した回答と副処理部113が決定した回答とを併記した文字列を表す応答情報I4を表示する。これにより応答装置1は、複数のボットの回答を一覧でユーザUに提示できる。
【0059】
[ボット選択処理の説明]
応答装置1は、第1ボットB1の回答に加えて第2ボットB2の回答を出力した後に、それ以降の処理で用いるボットの選択をユーザUから受け付けてもよい。図6は、本実施形態に係る応答装置1が実行する応答処理の出力を表示する画面の模式図である。出力部115は、第1ボットB1の回答に加えて第2ボットB2の回答を出力した後に、ボットの選択肢を示す情報を通信端末に出力する。
【0060】
通信端末2の表示部21は、第1ボットB1及び第2ボットB2のどちらかの選択を受け付ける選択欄I5を表示する。ユーザUは、選択欄I5において第1ボットB1又は第2ボットB2の名称を押下することによって選択してもよく、あるいは入力欄C1に第1ボットB1又は第2ボットB2の名称を入力することによって選択してもよい。
【0061】
応答装置1の入力受付部111は、ユーザUによるの選択を示す情報を、通信端末2から受け付ける。正処理部112は、ユーザUが選択したボットをボット記憶部131から読み出し、第1ボットB1として実行する。副処理部113は、ユーザUが選択しなかったボットをボット記憶部131から読み出し、第2ボットB2として実行する。これにより応答装置1は、ユーザUが選択したボットに切り替えて実行するため、ユーザUに適した回答をできる可能性を高められる。
【0062】
応答装置1は、ボットの選択をユーザUから受け付ける際に、ユーザに対して過去に応答したボットを、選択肢として選択欄I5に表示してもよい。この場合に、応答装置1は、ユーザUに対して過去に応答したボットを示す履歴情報を記憶しておき、同じユーザUに対して履歴情報が示すボットの選択肢を提示する。これによりユーザUは、選択肢として表示されたボットの中から、過去に同様の質問をした場合に適切な回答を得られたボットを選択することができる。
【0063】
[後回し処理の説明]
応答装置1は、ユーザUが入力した文字列の分野(テーマ)が変化した場合に、ボットを切り替えるか否かの選択をユーザUから受け付けてもよい。図7は、本実施形態に係る応答装置1が実行する応答処理の出力を表示する画面の模式図である。ボットは特定の分野に対応するため、あるボットの回答を出力した後に受け付けたユーザUからの言葉が該ボットに対応する分野とは異なる分野の言葉を含む場合には、異なるボットに切り替えることが望ましい。そこで出力部115は、変化前の分野に対応する第1ボットB1による応答中にユーザUが入力した文字列が、第2ボットB2に対応する変化後の分野に属する場合に、ボットの切り替え可否の選択肢を示す情報を通信端末に出力する。
【0064】
通信端末2の表示部21は、図7の左図のように、ボットの切り替え及び後回しのどちらかの選択を受け付ける選択欄I6を表示する。ユーザUは、選択欄I6において切り替え又は後回しの文字列を押下することによって選択してもよく、あるいは入力欄C1に切り替え又は後回しの文字列を入力することによって選択してもよい。
【0065】
応答装置1の入力受付部111は、ユーザUによる選択を示す情報を、通信端末2から受け付ける。ユーザUがボットの切り替えを選択した場合に、正処理部112は、変化後の分野に対応するボットをボット記憶部131から読み出し、第1ボットB1として実行する。これにより応答装置1は、変化後の分野に対応するボットに切り替えて実行するため、ユーザUに適した回答をできる可能性を高められる。
【0066】
ユーザUがボットの後回しを選択した場合に、正処理部112は、変化後の分野に属する文字列を記憶部13に一時的に記憶させ、ボットを切り替えずに変化前の分野について応答処理を継続する。そして正処理部112は、出力部115が変化前の分野についての応答を完了した後に、変化後の分野に対応するボットをボット記憶部131から読み出し、第1ボットB1として実行する。正処理部112は、第1ボットB1によって変化後の分野に属する文字列に対する回答を決定し、出力部115から通信端末2へ出力する。
【0067】
そして通信端末2は、表示部21上に、図7の右図のように、変化後の分野に属する文字列に対して決定された回答を表す文字列を応答情報I7として表示する。これにより応答装置1は、1つのボットによる応答の途中でユーザUが異なる分野の文字列を入力した場合であっても、現状のボットにおる応答を継続し、後から別のボットによる回答を出力できる。
【0068】
[複数モデルからの情報の統合処理の説明]
応答装置1は、分野ごとに定義された1つのモデルに対応する1つのボットを用いて回答を決定するが、所定の条件が満たされた場合に複数のモデルから取得した情報を統合して回答を決定してもよい。図8は、本実施形態に係る応答装置1が実行する応答処理の出力を表示する画面の模式図である。
【0069】
正処理部112は、例えば上述のユーザUの感情、応答の経過時間、応答の回数、又はユーザUが入力した文字列に含まれるキーワードが所定の条件が満たした場合に、図8の左図のように、ユーザUが入力した文字列に含まれるキーワードを用いて複数のモデル(ここでは第1モデルM1、第2モデルM2及び第3モデルM3)の情報を検索する。そして正処理部112は、複数のモデルからキーワードに関連付けられた1つ以上の回答を取得して統合し、出力部115から通信端末2へ出力する。
【0070】
そして通信端末2は、表示部21上に、図8の右図のように、複数のモデルから統合された回答を表す文字列を応答情報I8として表示する。これにより応答装置1は、複数のモデルの情報を統合し、ユーザUに適した回答をできる可能性を高められる。
【0071】
[オペレータ接続前の割り込み処理の説明]
応答装置1は、第1ボットB1の応答中にユーザUが入力した文字列がオペレータによる応答を希望した場合に、オペレータへ接続する前に第2ボットB2が決定した回答を出力してもよい。図9(a)、図9(b)は、本実施形態に係る応答装置1が実行する応答処理の出力を表示する画面の模式図である。
【0072】
判定部114は、第1ボットB1の応答中にユーザUが入力した文字列がオペレータによる応答を希望する言葉(例えば「オペレータ」、「人間」等)を含む場合に、割り込み条件が満たされたと判定する。この場合に、出力部115は、副処理部113(第2ボットB2)が決定した回答を回答記憶部133から読み出し、それらの回答を示す情報を通信端末2へ出力する。
【0073】
通信端末2の表示部21は、図9(a)のように、別のボットの回答を示唆する情報I9とともに、第2ボットB2が決定した回答を表す文字列を示す応答情報I10を表示する。また、表示部21は、オペレータによる応答及びボットによる応答のどちらかの選択を受け付ける選択欄I11を表示する。ユーザUは、選択欄I11においてオペレータ又はボットの文字列を押下することによって選択してもよく、あるいは入力欄C1にオペレータ又はボットの文字列を入力することによって選択してもよい。
【0074】
応答装置1の入力受付部111は、ユーザUによる選択を示す情報を、通信端末2から受け付ける。ユーザUがボットによる応答を選択した場合に、応答装置1は、第2ボットB2を用いてユーザUへの応答を継続する。ユーザUがオペレータによる応答を選択した場合に、応答装置1は、通信端末2とオペレータが使用する端末と接続させ、ユーザUの入力に対してオペレータが応答するようにする。
【0075】
また、応答装置1は、図9(b)のように、ユーザUがオペレータへの接続を思いとどまる場合に、さらにボットの選択を受け付けてもよい。この場合に、通信端末2の表示部21は、オペレータへ接続するか否かの選択を受け付ける選択欄I12とともに、第2ボットB2が決定した回答を表す文字列を示す応答情報I13を表示する。ユーザUは、選択欄I12においてオペレータへ接続するか否かの文字列を押下することによって選択してもよく、あるいは入力欄C1にオペレータへ接続するか否かの文字列を入力することによって選択してもよい。
【0076】
応答装置1の入力受付部111は、ユーザUによる選択を示す情報を、通信端末2から受け付ける。ユーザUがオペレータへ接続することを選択した場合に、応答装置1は、通信端末2とオペレータが使用する端末と接続させ、ユーザUの入力に対してオペレータが応答するようにする。ユーザUがオペレータへ接続しないことを選択した場合に、通信端末2の表示部21は、第1ボットB1及び第2ボットB2のどちらかの選択を受け付ける選択欄I5を表示する。以降の処理は図6と同様である。
【0077】
このような構成により、ユーザUがオペレータの応答を希望した場合であっても、ユーザUが別のボットによる回答を見てオペレータへの接続を思いとどまる可能性があるため、オペレータによる応答に掛かるコストを削減できる。
【0078】
[応答方法のフローチャート]
図10は、本実施形態に係る応答方法のフローチャートを示す図である。まず入力受付部111は、ユーザUが入力した入力情報を、通信端末2から受け付ける(S11)。正処理部112は、ボット記憶部131に記憶された第1ボットB1を実行する。第1ボットB1は、第1モデルM1の情報を用いて、ステップS11で入力受付部111が受け付けた文字列に対する回答を決定する(S12)。
【0079】
副処理部113は、ステップS12で正処理部112が第1ボットB1を実行するのと並行して、第1ボットB1に関連付けられた第2ボットB2を実行する。第2ボットB2は、第1モデルM1とは異なる第2モデルM2の情報を用いて、ステップS11で入力受付部111が受け付けた文字列に対する回答を決定する(S13)。ステップS12及びステップS13は並列処理で行われてもよく、順に行われてもよい。
【0080】
判定部114は、文字列を入力したユーザUに関する情報が所定の割り込み条件を満たすか否かを判定する(S14)。割り込み条件として用いるユーザUに関する情報は、例えば上述のユーザUの感情、応答の経過時間、応答の回数、又はユーザUが入力した文字列に含まれるキーワードである。
【0081】
判定部114が割り込み条件が満たされたと判定した場合に(ステップS15のYES)、出力部115は、ステップS12で正処理部112(すなわち第1ボットB1)が決定した回答と、ステップS13で副処理部113(すなわち第2ボットB2)が決定した回答とを示す情報を通信端末2へ出力する(S16)。このとき、出力部115は、副処理部113が決定した回答を正処理部112が決定した回答の前又は後に割り込みで出力してもよく、正処理部112が決定した回答及び副処理部113が決定した回答を同時に出力してもよい。
【0082】
判定部114が割り込み条件が満たされたと判定しない場合に(ステップS15のNO)、出力部115は、正処理部112(すなわち第1ボットB1)が決定した回答を示す情報を通信端末2へ出力する(S17)。このとき出力部115は、副処理部113が決定した回答を出力しない。
【0083】
ユーザへの応答が終了していない場合に(S18のNO)、応答装置1はステップS11~S17を繰り返す。ユーザへの応答が終了した場合に(S18のYES)、応答装置1は処理を終了する。
【0084】
[本実施形態の効果]
本実施形態に係る応答装置1は、第1ボットB1による応答中にユーザUに関する情報が所定の条件を満たした場合に、第1ボットB1の回答だけでなく第2ボットB2の回答を提供する。そのため応答装置1は、第1ボットB1に対応する分野がユーザUの言葉に適合していない場合であっても、ユーザUに適した回答をできる。
【0085】
例えば第1ボットB1による応答中にユーザUが怒った場合、応答の時間又は回数が増大した場合、あるいはユーザUが他の分野のキーワードを入力した場合には、第1ボットB1が用いる第1モデルM1の分野がユーザUの質問と合致していない可能性がある。そこで応答装置1は、異なる分野の第2モデルM2を用いる第2ボットB2の回答を、第1ボットB1の回答に加えて出力することによって、ユーザUが求めていた回答を提示できる可能性を高められる。
【0086】
また、応答装置1は、第1ボットB1と第2ボットB2とを並行して実行するため、第1ボットB1が決定した回答に加えて第2ボットB2が決定した回答する場合であっても、ユーザUの待ち時間の増大を抑制できる。また、応答装置1は、ユーザUに第1ボットB1及び第2ボットB2が異なる処理であることを認識させることができ、異なる回答を出力することによりユーザUを混乱させることを抑制できる。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0088】
応答装置1のプロセッサは、図10に示す応答方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、応答装置1のプロセッサは、図10に示す応答方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して応答装置1の各部を制御することによって、図10に示す応答方法を実行する。図10に示す応答方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0089】
S 応答システム
1 応答装置
11 制御部
111 入力受付部
112 正処理部
113 副処理部
115 出力部
2 通信端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10