(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1345 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
G02F1/1345
(21)【出願番号】P 2018072880
(22)【出願日】2018-04-05
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
(72)【発明者】
【氏名】魚岸 広太
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0291429(US,A1)
【文献】特表2011-528448(JP,A)
【文献】特開2013-218178(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0285640(US,A1)
【文献】特開2015-011121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343-1/1345,1/135
G02F 1/133,1/1333,1/1334
G02F 1/1339-1/1341,1/1347
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、前記第1基板を挟む第2基板及び偏光板と、
前記第1基板と前記偏光板とに挟まれた透明導電膜と、を有する表示装置であって、
前記第2基板は、前記第1基板の縁より外側に突き出た端子部及び当該端子部の前記第1基板側の表面に配置された接地パッドを有し、
前記偏光板は、前記第1基板の前記縁より外側において前記接地パッドに重畳するパッド対向部を有し、
前記表示装置はさらに、前記接地パッドと前記パッド対向部との間隙に導電部材を有
し、
前記導電部材は、前記透明導電膜の端部側面に接触し、前記透明導電膜と前記接地パッドとを接続すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の表示装置において、
前記偏光板を前記
透明導電膜に貼り付ける粘着部材であり画像表示領域から前記パッド対向部まで連続する導電性粘着層を
さらに有し、
前記導電部材は、前記パッド対向部
の表面にて前記導電性粘着層に
も接触すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の表示装置において、
前記第2基板は、前記端子部において、外部との電気的接続のための接続端子を有し、
前記接地パッドと前記接続端子は
画像表示領域に対して同じ側にあること、
を特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1
又は2に記載の表示装置において、
前記第2基板は、外部との電気的接続のための接続端子
が配置された第2端子部を有し、
前記接地パッドが配置された前記端子部を第1端子部とし、前記第1端子部と前記第2端子部とは
画像表示領域を間に挟んで互いに反対側にあること、
を特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:EL)表示装置などのフラットパネルディスプレイは薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)などが形成された基板などを重ね合わせた表示パネルを有する。表示パネルは静電気を帯びるとその動作に影響を受けることがある。
【0003】
例えば、液晶表示装置は、TFTなどが形成された基板(以下、TFT基板)と、画像表示面側に位置しカラーフィルタなどが形成された基板(以下、対向基板)との間に液晶を挟持し、液晶配向を電界で制御することで画像を形成する。ここで、対向基板側にタッチセンシング機能を組み込んだタッチパネルなどの表示装置では対向基板に電荷が溜まり、液晶に意図しない電界が印加され、表示ムラなどを発生するおそれがある。
【0004】
そこで、従来、対向基板の外側面に帯電防止のために導電層を設けることが行われている。
図7は、従来の液晶表示パネル1の垂直断面図である。
図7において、TFT基板2の上に対向基板3が重ねられる。対向基板3の上側表面には導電層4が形成され、その上に上偏光板5が積層されている。なお、TFT基板2の下には下偏光板6が配置されている。また、TFT基板2と対向基板3との間に液晶7が挟持される。
【0005】
液晶表示パネル1は画像表示領域であるアクティブエリアAAとその外側の周縁領域PAを備える。基板、偏光板等はアクティブエリアAA全体に配置される必要があり、当該基板等はその公差を考慮して基本的にアクティブエリアAAの大きさに対してマージンを設けて大きく設計される。また、TFT基板2の周縁領域には対向基板3より突き出した端子部8が設けられ、その上側表面にフレキシブル基板9を接続する端子が形成される。
【0006】
対向基板3は上偏光板5より外側に拡張され、上偏光板5と対向しない延出部10を有し、延出部10の上側表面に設けられた導電層4と当該延出部10に隣接するTFT基板2の端子部8の上側表面に設けられた接地パッド11とが導電ペースト12で電気的に接続される。接地パッドはフレキシブル基板9等を介して接地され、これにより導電層4も接地される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-218178号公報
【文献】特開2015-11121号公報
【文献】特開2015-11109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
導電層4とTFT基板2表面の接地パッドとの接続箇所にて、導電層4を露出させるために対向基板3に延出部10を設けると、周縁領域PAの寸法が大きくなるという問題があった。
【0009】
本発明はこの問題を解決するためになされたものであり、表示装置における一層の狭額縁化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る表示装置は、第1基板と、前記第1基板を挟む第2基板及び偏光板と、を有する表示装置であって、前記第2基板は、前記第1基板の縁より外側に突き出た端子部及び当該端子部の前記第1基板側の表面に配置された接地パッドを有し、前記偏光板は、前記第1基板の前記縁より外側において前記接地パッドに重畳するパッド対向部を有し、前記表示装置はさらに、前記接地パッドと前記パッド対向部との間隙に導電部材を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の模式的な平面図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿った液晶表示装置の模式的な垂直断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の模式的な平面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿った液晶表示装置の模式的な垂直断面図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置のうち対向基板の上面に設けられる導電層とTFT基板に設けられる接地パッドとの接続構造に関する部分の模式的な垂直断面図である。
【
図6】本発明の第4の実施形態に係る液晶表示装置のうち対向基板の上面に設けられる導電層とTFT基板に設けられる接地パッドとの接続構造に関する部分の模式的な垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0013】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態に係る液晶表示装置20の模式的な平面図である。
図2は
図1のII-II線に沿った液晶表示装置20の模式的な垂直断面図である。
図1及び
図2は特に液晶表示装置20における表示パネルの概略の構造を表している。
【0015】
液晶表示装置20の表示パネルは、TFT基板21(第2基板)、対向基板22(第1基板)、上偏光板23を有する。
図2において液晶表示装置20の上面が画像表示面側であり、TFT基板21の上に対向基板22が対向配置され、対向基板22の上に上偏光板23が積層される。すなわち、TFT基板21と上偏光板23とは対向基板22を間に挟んで対向配置される。
【0016】
ここで上偏光板23の対向基板22側の面には導電性粘着層24が形成され、上偏光板23は導電性粘着層24により対向基板22に貼り付けられる。また、TFT基板21の下には下偏光板25を貼り付けることができる。TFT基板21と対向基板22との間にはスペーサー(不図示)により間隙が形成され、シール材26によりTFT基板21と対向基板CF22が張り合わされ、シール材26の内側に液晶層27が封止される。
【0017】
なお、上述のように
図2は概略図であり、例えば、表示パネルの表面に配置され得るカバーガラス、TFT基板21の裏面に光を入射するバックライトなどは図示を省略している。
【0018】
TFT基板21には、図示しないTFT、電極及び配線などが形成されている。例えば、本実施形態の液晶表示パネルは、液晶を駆動するための電極をTFT基板21のみに配置し、液晶に対して水平方向に電圧を加える横電界駆動方式とする。ここで、横電界駆動方式とは、例えばIPS(In Plane Switching)方式に例示されるものである。一方、対向基板22は、例えば、ブラックマトリクス、カラーフィルタ等が形成された基板である。これらTFT基板21及び対向基板22は例えば、ガラス基板もしくは可撓性を有する樹脂基板で構成することができる。
【0019】
TFT基板21、対向基板22、上偏光板23、下偏光板25はアクティブエリアAAを包含する大きさ、形状を有する。本実施形態では、アクティブエリアAAが矩形であり、これに対応してTFT基板21、対向基板22、上偏光板23、下偏光板25は概略形状として矩形で図示している。
【0020】
TFT基板21はその矩形の一辺に、対向基板22の縁よりも外側、つまり水平方向、外向き(
図1及び
図2において右向き)に突き出した端子部30を有する。端子部30の上面には外部回路との接続端子が配置される。本実施形態では端子部30の縁に一群の接続端子(不図示)が配列されており、当該接続端子群にはフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits:FPC)31が接続される。なお、FPC31にはCOF(Chip On Film)技術によりIC(集積回路)等の素子を実装することができる。
【0021】
さらに、TFT基板21は端子部30の上面に接地パッド32を有する。接地パッド32は接地電位(GND)に設定される。例えば、接地パッド32はTFT基板21の表面に形成された配線、及びFPC31介してGNDを供給する電源に接続される。
【0022】
ちなみに、TFT基板21のアクティブエリアAAと端子部30の縁の接続端子群との間の領域には配線等(不図示)が配置される。そこで、接地パッド32は例えば、当該配線が形成される領域の外側に配置することができる。具体的には、端子部30が設けられるTFT基板21の一辺の方向(
図1の縦方向)に関し、FPC31が接続される部分よりも外側に配置することができる。なお、
図1に示す例では、FPC31より下側に接地パッド32を配置しているが、FPC31より上側に配置することもでき、また両側など複数箇所に配置することもできる。
【0023】
一方、上偏光板23も対向基板22の縁よりも外側に突き出した端部として、接地パッド32に重畳するパッド対向部33を有する。
図1に示す例では、上偏光板23の端部のうちTFT基板21の端子部30と同じ側の一辺の全体が外側に突き出し、当該突出部にパッド対向部33が含まれる。なお、接地パッド32とパッド対向部33とは平面視にて一部分が重なるように対向していればよい。さらには、パッド対向部33は接地パッド32に必ずしも対向する必要は無く、対向基板22の縁よりも外側であり接地パッド32との間に上偏光板23の端部がある構造でも良い。
【0024】
また、上偏光板23の一辺の全体を一様に突き出すのではなく、後述する第2の実施形態の
図3に示すパッド対向部33bのように、一部だけを水平方向に突き出してパッド対向部33を形成してもよい。例えば、接地パッド32とFPC31を接続する接続端子群とをそれらの水平方向の位置を揃えて配置する、つまりTFT基板21の一辺の縁に
図1にて縦方向に並べて配置する場合に、そのような構成とすることで、接続端子群の上に上偏光板23が突き出さないようにしつつパッド対向部33を設けることができる。
【0025】
導電性粘着層24は上偏光板23を対向基板22に貼り付ける粘着部材であり、かつ導電性を有する。導電性粘着層24は基本的にアクティブエリアAAの全面に設けられると共に、アクティブエリアAAからパッド対向部33まで連続する。すなわち、パッド対向部33のTFT基板21に対向する側の表面には、アクティブエリアAAまで連続する導電層として、導電性粘着層24が存在する。なお、導電性粘着層24はアクティブエリアAAと重なるので、透明な材料によって形成されている。例えば、導電性粘着層24には、そのシート抵抗が例えば1×108~1×1011Ω/□である材料を用いることができる。
【0026】
接地パッド32とパッド対向部33との間では対向基板22が配置されず、間隙が形成される。接地パッド32とパッド対向部33との間隙には導電部材34として導電ペーストが詰められる。間隙への導電ペーストの注入・充填は、ディスペンスノズルから塗布材料を吐出するディスペンサ方式や、インクジェットヘッドから塗布材料を吐出するインクジェット方式など周知の技術を用いて行うことができる。導電ペーストは例えば、樹脂中に銀粒子などのフィラーを分散して電荷の導通パスを形成した導電材料であり加熱や乾燥で硬化する。
【0027】
導電部材34は、接地パッド32に接触すると共に、パッド対向部33の表面にて導電性粘着層24に接触し、アクティブエリアAAにも配置される導電性粘着層24が接地パッド32に電気的に接続され、その電位がGNDに設定される。
【0028】
IPS方式の液晶表示パネルにおいては、対向基板22に電極などの導電層が形成されていないため不所望な電荷が溜まり、上述した表示ムラが起こりやすい。この点に関し、本実施形態の液晶表示装置20では、液晶表示パネルの対向基板22と上偏光板23との間に導電層として導電性粘着層24が配置され、導電性粘着層24は導電部材34により接地パッド32に接続され、上述したように電位をGNDとされる。これにより、静電気が対向基板22に溜まりにくくなり、表示ムラが抑制される。
【0029】
また、上述した
図7の構造では、上偏光板から外側に拡張された対向基板の上面の導電層4と、当該導電層4よりもさらに水平方向に外側に位置するTFT基板の接地パッド11との間を導電ペースト12で水平方向に橋渡ししている。これに対し、本実施形態の液晶表示装置20においては、水平方向の位置関係に関し、上偏光板23のパッド対向部33とTFT基板21の接地パッド32とは重なり、パッド対向部33の裏面(TFT基板側)の導電層と接地パッド32との間を導電ペーストで垂直方向に橋渡しする。よって、液晶表示装置20にてTFT基板21のFPC31側の一辺に接地パッド32を配置する本実施形態の構造は、当該一辺での周縁領域の寸法の抑制を可能とし、狭額縁化に資する。
【0030】
[第2の実施形態]
図3は第2の実施形態に係る液晶表示装置20Bの模式的な平面図である。
図4は
図3のIV-IV線に沿った液晶表示装置20Bの模式的な垂直断面図である。
図3及び
図4はそれぞれ第1の実施形態の
図1及び
図2に対応しており、特に液晶表示装置20Bにおける表示パネルの概略の構造を表している。
【0031】
液晶表示装置20Bの表示パネルが第1の実施形態の液晶表示装置20の表示パネルと異なる点は、TFT基板21がその矩形においてFPC31側の辺と対向する対側の辺にも、対向基板22よりも水平方向に突き出した端子部35を有し、第1の実施形態の接地パッド32に相当する本実施形態の接地パッド32bがFPC31が接続される端子部30(第2端子部)ではなく、反対側の端子部35(第1端子部)に配置されていることである。
【0032】
なお、端子部35の上面には端子としてテストパターン36が配置される。テストパターン36は、液晶表示装置20の表示動作の検査を行う際、プローブを立てる電極パッドである。このプローブでの検査を可能とするために、端子部35は対向基板22、上偏光板23等から突き出している。
【0033】
接地パッド32bは電位をGNDに設定される。例えば、接地パッド32bはTFT基板21の表面に形成された配線、及びFPC31介してGNDを供給する電源に接続される。例えば、
図3においてアクティブエリアAAの下側(又は上側)に位置する周縁領域に配線37を設けて、接地パッド32bとFPC31との間を接続することができる。
【0034】
接地パッド32bは端子部35において例えば、テストパターン36が形成される領域の外側に配置することができる。具体的には、端子部35が設けられるTFT基板21の一辺の方向(
図3の縦方向)に関し、テストパターン36が配置される部分よりも外側に配置することができる。なお、
図3に示す例では、テストパターン36より下側に接地パッド32bを配置しているが、テストパターン36より上側に配置することもでき、また両側など複数箇所に配置することもできる。
【0035】
上偏光板23には、対向基板22よりも外側に突き出した端部として、接地パッド32bに重畳するパッド対向部33bが設けられる。
図3に示す例では、上偏光板23の端部のうちTFT基板21の端子部35と同じ側の一辺の一部だけが対向基板22よりも水平方向に突き出してパッド対向部33bを形成している。
図3における水平方向の位置関係に関し、狭額縁化のために例えば、端子部35の突出寸法は小さくすることが好適であり、そのため、接地パッド32bとテストパターン36とはそれらの水平方向の位置が重なるように配置される、つまりTFT基板21の一辺の縁に
図3に示すように縦方向に並べて配置され得る。そのような場合でも、
図3に示すようにパッド対向部33bだけを水平方向に突き出す構成とすることで、テストパターン36の上に上偏光板23が突き出さないようにすることができる。なお、
図3における水平方向の位置に関し、接地パッド32bをテストパターン36よりもアクティブエリアAA側にずらして配置できる場合には、第1の実施形態の
図1に示したように上偏光板23の一辺の全体を一様に突き出して、パッド対向部33bを形成してもよい。
【0036】
このパッド対向部33bを用いて第1の実施形態と同様に、導電性粘着層24を接地パッド32bに接続する構造が形成される。具体的には、接地パッド32bとパッド対向部33bとの間には対向基板22が配置されず、間隙が形成される。また、パッド対向部33bのTFT基板21に対向する側の表面には導電層として導電性粘着層24が存在する。接地パッド32bとパッド対向部33bとの間隙には導電部材34bとして導電ペーストが詰められ、導電部材34bにより導電性粘着層24が接地パッド32bに電気的に接続される。
【0037】
本実施形態によっても第1の実施形態で述べたように、静電気対策の効果が得られ、かつ狭額縁化の効果が得られる。
【0038】
[第3の実施形態]
第1の実施形態の液晶表示装置20及び第2の実施形態の液晶表示装置20Bは、対向基板22と上偏光板23との間に導電層として導電性粘着層24を有する。第3の実施形態に係る液晶表示装置20Cの表示パネルが第1の実施形態の液晶表示装置20及び第2の実施形態の液晶表示装置20Bの表示パネルと異なる点は、対向基板22と導電性粘着層24との間に透明導電膜40を有し、対向基板22と上偏光板23との間の導電層が導電性粘着層24だけでなく、さらに透明導電膜40を含んで構成されることにある。
【0039】
図5は液晶表示装置20Cのうち対向基板22の上面に設けられる導電層とTFT基板21に設けられる接地パッド32bとの接続構造に関する部分の模式的な垂直断面図である。なお、ここでは、第2の実施形態のように端子部35側に配置された接地パッド32bについて当該接続構造を説明するが、第1の実施形態のように端子部30側に接地パッド32を配置した場合にも同様の特徴を有する接続構造とすることができる。
【0040】
導電性粘着層24は第1及び第2の実施形態と同様であり、パッド対向部33のTFT基板21に対向する側の表面には導電性粘着層24が存在する。
【0041】
透明導電膜40は対向基板22の上偏光板23側の表面に例えば、インジウム錫複合酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)で形成される。
【0042】
例えば、透明導電膜40が形成された対向基板22の上に、導電性粘着層24が形成された上偏光板23を載せて、上偏光板23が導電性粘着層24により対向基板22上の透明導電膜40に接着される。これにより導電性粘着層24と透明導電膜40とが重なって1層の導電層をなし、対向基板22と上偏光板23との間に設けられた当該導電層を接地することで、対向基板22に不所望な電荷が溜まることを防止する。
【0043】
導電性粘着層24及び透明導電膜40からなる導電層を接地する構造として、上偏光板23にパッド対向部33bが設けられ、接地パッド32bとパッド対向部33bとの間隙に導電部材34bとして導電ペーストが詰められる。そして、導電部材34bはパッド対向部33bにて導電性粘着層24に接触し、導電性粘着層24及び透明導電膜40からなる導電層が接地パッド32bに電気的に接続される。
【0044】
また、透明導電膜40は基本的には当該表面の全体に形成され、接地パッド32bとパッド対向部33bとの間隙に面する液晶パネルの側面には、対向基板22の端部側面と共に透明導電膜40の端部側面が露出する。導電部材34bはこの側面に露出する透明導電膜40に接触し、これによっても導電性粘着層24及び透明導電膜40からなる導電層が接地パッド32bに電気的に接続される。
【0045】
なお、本実施形態では導電性粘着層24と透明導電膜40とは、それらを合わせたシート抵抗が例えば1×108~1×1011Ω/□となるように形成することができる。
【0046】
本実施形態によっても第1及び第2の実施形態で述べたように、静電気対策の効果が得られ、かつ狭額縁化の効果が得られる。
【0047】
[第4の実施形態]
第4の実施形態に係る液晶表示装置20Dの表示パネルが第1から第3の実施形態の液晶表示装置の表示パネルと異なる点は、対向基板22と上偏光板23との間に設けられる導電層が導電性粘着層24を有さず、第3の実施形態で述べた透明導電膜40のみからなることである。
【0048】
図6は液晶表示装置20Dのうち対向基板22の上面に設けられる透明導電膜40とTFT基板21に設けられる接地パッド32bとの接続構造に関する部分の模式的な垂直断面図である。なお、ここでは、第2の実施形態のように端子部35側に配置された接地パッド32bについて当該接続構造を説明するが、第1の実施形態のように端子部30側に接地パッド32を配置した場合にも同様の特徴を有する接続構造とすることができる。
【0049】
例えば、透明導電膜40が形成された対向基板22の上に上偏光板23が積層される。その際、上偏光板23は例えば、非導電性の粘着剤(不図示)を用いて対向基板22上の透明導電膜40に接着することができる。
【0050】
透明導電膜40からなる導電層を接地する構造として、上偏光板23にパッド対向部33bが設けられ、接地パッド32bとパッド対向部33bとの間隙に導電部材34bとして導電ペーストが詰められる。第3の実施形態で述べたように、接地パッド32bとパッド対向部33bとの間隙に面する液晶パネルの側面には、対向基板22の端部側面と共に透明導電膜40の端部側面が露出する。導電部材34bはこの側面に露出する透明導電膜40に接触し、これにより透明導電膜40が接地パッド32bに電気的に接続され接地される。
【0051】
本実施形態によっても第1から第3の実施形態で述べたように、静電気対策の効果が得られ、かつ狭額縁化の効果が得られる。
【0052】
さらには、
図7に示した従来の構造では、導電ペースト12が上偏光板5から露出されることで対向基板5の上面が導電ペースト12の部分で平面にならず、その上に置かれるカバーガラスを配置する際の歪みの原因となる可能性も有り得る。これに対し、本実施形態によれば導電部材34,34bは何れも上偏光板23の裏面もしくは一部側縁にあり、上偏光板23の表面は導電部材34,34bが位置する箇所においても平面を維持することができ、上偏光板23の上に置かれるカバーガラスの歪みが発生する可能性を抑制することができる。
【0053】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【0054】
また、有機EL表示装置やマイクロLED、電気泳動装置等の他の電気光学装置に本発明を適用して、静電気への対処と共に狭額縁化を図ることもできる。
【符号の説明】
【0055】
20 液晶表示装置、21 TFT基板、22 対向基板、23 上偏光板、24 導電性粘着層、25 下偏光板、26 シール材、27 液晶層、30,35 端子部、31 フレキシブルプリント基板(FPC)、32 接地パッド、33 パッド対向部、34 導電部材、36 テストパターン、40 透明導電膜。