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  • 特許-ピンチグリップ式ボトル型容器 図1
  • 特許-ピンチグリップ式ボトル型容器 図2
  • 特許-ピンチグリップ式ボトル型容器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】ピンチグリップ式ボトル型容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20220325BHJP
   B65D 1/46 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D1/46
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018098057
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2019202796
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】中山 忠和
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特許第5177389(JP,B2)
【文献】特開2015-089826(JP,A)
【文献】特開2014-108813(JP,A)
【文献】特開2017-024775(JP,A)
【文献】特開2011-105324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02-1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部のうち、口部の中心軸線を径方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域に、指当て用凹部が各別に形成されるとともに、前記一対の側面領域同士の間に位置する背面領域、および前記指当て用凹部がグリップ部とされ、
前記側面領域に、前記指当て用凹部の外周縁のうち、前記中心軸線に沿うこの容器の底部側の下端縁から下方に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けて延びる傾斜部が形成されたピンチグリップ式ボトル型容器であって、
前記指当て用凹部と前記傾斜部との接続部分に、前記指当て用凹部および前記傾斜部の双方に跨って一体に位置するリブが形成され、
前記リブは前記中心軸線に沿って延び、かつ前記指当て用凹部の底面の下端縁より下方に位置しているピンチグリップ式ボトル型容器。
【請求項2】
前記リブの上端縁の幅は、前記リブの下端縁の幅より広い請求項1に記載のピンチグリップ式ボトル型容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンチグリップ式ボトル型容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、胴部のうち、口部の中心軸線を径方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域に、指当て用凹部が各別に形成されるとともに、一対の側面領域同士の間に位置する背面領域、および指当て用凹部がグリップ部とされたピンチグリップ式ボトル型容器が知られている。
この種のピンチグリップ式ボトル型容器として、例えば下記特許文献1に示されるような、側面領域に、指当て用凹部の外周縁のうち、前記中心軸線に沿うこの容器の底部側の下端縁から下方に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けて延びる傾斜部が形成された構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5177389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のピンチグリップ式ボトル型容器では、内容物が収容され、かつ口部が封止された状態で落下したときに生ずる水撃作用によって、指当て用凹部の下端縁と傾斜部との接続部分が起点となって、指当て用凹部が反転変形するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、内容物が収容され、かつ口部が封止された状態で落下したときに、指当て用凹部が反転変形するのを抑制することができるピンチグリップ式ボトル型容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明のピンチグリップ式ボトル型容器は、胴部のうち、口部の中心軸線を径方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域に、指当て用凹部が各別に形成されるとともに、前記一対の側面領域同士の間に位置する背面領域、および前記指当て用凹部がグリップ部とされ、前記側面領域に、前記指当て用凹部の外周縁のうち、前記中心軸線に沿うこの容器の底部側の下端縁から下方に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けて延びる傾斜部が形成されたピンチグリップ式ボトル型容器であって、前記指当て用凹部と前記傾斜部との接続部分に、前記指当て用凹部および前記傾斜部の双方に跨って一体に位置するリブが形成され、前記リブは前記中心軸線に沿って延び、かつ前記指当て用凹部の底面の下端縁より下方に位置している
【0007】
本発明では、指当て用凹部と傾斜部との接続部分に、指当て用凹部および傾斜部の双方に位置するリブが形成されているので、前記接続部分の剛性を高めることが可能になり、内容物が収容され、かつ口部が封止された状態で落下したときに生ずる水撃作用によって、前記接続部分に局所的な大きな負荷が加えられても、前記接続部分が起点となって指当て用凹部が反転変形するのを抑制することができる。
また、リブが前記中心軸線に沿って延びているので、リブが周方向に延びている構成と比べて、水撃作用に対する前記接続部分の剛性を確実に高めることができるとともに、この容器のブロー成形時にリブを精度よく形成することができる。
【0008】
ここで、前記リブの上端縁の幅は、前記リブの下端縁の幅より広くてもよい。
【0009】
この場合、リブの上端縁の幅が、リブの下端縁の幅より広いので、この容器のブロー成形時にリブを確実に精度よく形成することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、内容物が収容され、かつ口部が封止された状態で落下したときに、指当て用凹部が反転変形するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る一実施形態として示したピンチグリップ式ボトル型容器の側面図である。
図2図1に示すピンチグリップ式ボトル型容器の、一部縦断面を含む背面図である。
図3図1および図2のIII-III線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るピンチグリップ式ボトル型容器を説明する。
本実施形態に係るピンチグリップ式ボトル型容器1は、図1および図2に示されるように、口部11、肩部12、胴部13および底部14を備え、これら11~14が、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させた状態で、この順に連設された概略構成となっている。ピンチグリップ式ボトル型容器1の内容積は、例えば200ml以上4000ml以下の内容物が充填される大きさとなっている。図示の例では、ピンチグリップ式ボトル型容器1は、約2700mlの内容物が充填されるのに用いられる大きさとなっている。
【0013】
以下、前記共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿って口部11側を上側、底部14側を下側といい、容器軸Oに沿う方向を上下方向といい、また、上下方向から見て容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
なお、ピンチグリップ式ボトル型容器1は、射出成形により有底筒状に形成されたプリフォームが、ブロー成形されて形成され、合成樹脂材料で一体に形成されている。口部11には、図示しないキャップが装着される。口部11、肩部12、および底部14はそれぞれ、容器軸Oに直交する横断面視形状が円形状となっている。
【0014】
胴部13のうち、容器軸Oを径方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域13aに、指当て用凹部15が各別に形成されている。胴部13のうち、一対の側面領域13a同士の間に位置する背面領域13b、および指当て用凹部15が、使用者がピンチグリップ式ボトル型容器1を持ち上げる際に把持するグリップ部Gとなっている。背面領域13bは、図3に示されるように、胴部13において、一対の側面領域13a同士の間に位置する一対の領域のうち、周方向の長さが短い方となっている。
【0015】
指当て用凹部15は、胴部13の側面視で、上下方向に長い長方形状を呈する。指当て用凹部15は、径方向の外側を向く底面15aと、底面15aの外周縁から径方向の外側に向けて立ち上がる複数の側壁面15b、15cと、により画成されている。
底面15aは、上下方向に沿う縦断面視で直線状に延びている。底面15aに、上下方向に間隔をあけて複数の突条部18が形成されている。突条部18は、周方向に長い直方体状に形成されている。
【0016】
複数の側壁面15b、15cは、底面15aの上端縁から径方向の外側に向けて延び、下方を向く上側壁面15bと、底面15aの下端縁から径方向の外側に向けて延び、上方を向く下側壁面15cと、を備える。
【0017】
上側壁面15bは、径方向の外側に向かうに従い漸次、上方に向けて延びている。下側壁面15cは、径方向の外側に向かうに従い漸次、下方に向けて延びている。容器軸Oに沿う縦断面視において、上側壁面15bの長さは下側壁面15cの長さより長い。下側壁面15cの径方向の内端縁、および底面15aの下端縁は、段差なく滑らかに連なっている。下側壁面15cは、前記縦断面視で凹曲線を呈する。下側壁面15cにおける径方向の外端縁が、指当て用凹部15の下端縁となっている。
【0018】
側面領域13aに、指当て用凹部15の下端縁から下方に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けて延びる傾斜部16が形成されている。傾斜部16の容器軸Oに対する傾斜角度は、指当て用凹部15の下側壁面15cの容器軸Oに対する傾斜角度より小さい。傾斜部16の上端縁と指当て用凹部15の下端縁との接続部分17は、径方向の外側に向けて尖る角部となっている。この接続部分17は、胴部13の側面視で周方向に真直ぐ延びている。この接続部分17は、上側壁面15bにおける径方向の外端縁より径方向の内側に位置している。
【0019】
そして、本実施形態では、指当て用凹部15と傾斜部16との接続部分17に、指当て用凹部15および傾斜部16の双方に位置するリブ21が形成されている。リブ21は、指当て用凹部15における周方向の中央部に位置している。リブ21の上下方向の大きさは、リブ21の周方向の大きさより大きく、リブ21は上下方向に延びている。リブ21は、指当て用凹部15における底面15aの下端縁より下方に位置し、下側壁面15cおよび傾斜部16の上部に一体に形成されている。リブ21は、下側壁面15cにおいて径方向の内端部より径方向の外側に位置する部分に配置されている。
【0020】
リブ21の上端縁の幅は、リブ21の下端縁の幅より広い。リブ21の幅は、下方から上方に向かうに従い漸次、広くなっている。リブ21は、胴部13の側面視で、逆三角形状を呈する。
リブ21は、径方向の内側に向けて窪む凹部となっている。リブ21は、周方向に沿ってその中央部に向かうに従い漸次、径方向の内側に向けて延びる凹曲面状に形成されている。リブ21は、縦断面視で径方向の内側に向けて窪む凹曲面状に形成されている。複数の突条部18のうち、最も下方に位置する突条部18とリブ21との上下方向の間隔は、上下方向で互いに隣り合う突条部18同士の間隔と同等になっている。
【0021】
リブ21の上下方向の大きさは、上下方向で互いに隣り合う突条部18同士の間隔より大きい。リブ21の上下方向の大きさは、傾斜部16の上下方向の大きさの約半分となっている。リブ21の周方向の大きさは、指当て用凹部15の周方向の大きさの約3分の1となっている。
なお、リブ21の大きさは、図示の形態に限らず適宜変更してもよい。
【0022】
以上説明したように、本実施形態によるピンチグリップ式ボトル型容器1によれば、指当て用凹部15と傾斜部16との接続部分17に、指当て用凹部15および傾斜部16の双方に位置するリブ21が形成されているので、前記接続部分17の剛性を高めることが可能になり、内容物が収容され、かつ口部11が封止された状態で落下したときに生ずる水撃作用によって、前記接続部分17に局所的な大きな負荷が加えられても、前記接続部分17が起点となって指当て用凹部15が径方向の外側に向けて反転変形するのを抑制することができる。
【0023】
また、リブ21が上下方向に延びているので、リブ21が周方向に延びている構成と比べて、水撃作用に対する前記接続部分17の剛性を確実に高めることができるとともに、この容器1のブロー成形時にリブ21を精度よく形成することができる。
また、リブ21の上端縁の幅が、リブ21の下端縁の幅より広いので、この容器1のブロー成形時にリブ21を確実に精度よく形成することができる。
【0024】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0025】
例えば、前記実施形態では、リブ21として、径方向の内側に向けて窪む凹部を示したが、径方向の外側に向けて突出する突部であってもよい。
また、前記実施形態では、リブ21の上端縁の幅を、リブ21の下端縁の幅より広くしたが、リブ21の幅を上下方向の全長にわたって同等にしてもよいし、リブ21の下端縁の幅を、リブ21の上端縁の幅より広くしてもよい。
また、リブ21の上端縁は、指当て用凹部15の底面15aの下端縁より上方に位置してもよいし、底面15aの下端縁に位置してもよい。
また、傾斜部16の上端縁と指当て用凹部15の下端縁との接続部分17は、胴部13の側面視で上方若しくは下方に突の曲線状に延びてもよい。
【0026】
また、ピンチグリップ式ボトル型容器1を形成する合成樹脂材料は、例えばポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリエステル等、またはこれらのブレンド材料等、適宜変更してもよい。
さらに、ピンチグリップ式ボトル型容器1は、単層構造体に限らず中間層を有する積層構造体としてもよい。この中間層としては、例えばガスバリア性を有する樹脂材料からなる層、再生材からなる層、若しくは酸素吸収性を有する樹脂材料からなる層等が挙げられる。
また、前記実施形態では、肩部12、および底部14のそれぞれの容器軸Oに直交する横断面視形状を円形状としたが、これに限らず例えば、角形状にする等適宜変更してもよい。
【0027】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 ピンチグリップ式ボトル型容器
11 口部
13 胴部
13a 側面領域
13b 背面領域
14
15 指当て用凹部
16 傾斜部
17 接続部分
21 リブ
G グリップ部
O 容器軸(中心軸線)
図1
図2
図3