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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】紙製カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20220325BHJP
   B65H 19/12 20060101ALI20220325BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
B41J15/04
B65H19/12 B
B41J3/36 T
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018114402
(22)【出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2019217638
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】特許業務法人バリュープラス
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(74)【代理人】
【識別番号】100204021
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】福江 真弥
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-188958(JP,A)
【文献】特開平7-69497(JP,A)
【文献】特開平6-328818(JP,A)
【文献】特開2017-56711(JP,A)
【文献】特開平8-39878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/36
B41J 15/00-15/24
B41J 32/00-32/02
B65H 19/00-19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の基材の一方面に印字媒体が積層されたラベルテープを巻装した状態で収納し、前記ラベルテープを内部から送り出すための送出開口、プリンタ側に突設された軸体を前記ラベルテープの巻装中心に挿入するための挿入開口、を有した紙製ケースと、
前記ケース内の上面-底面方向の高さを上側と下側に仕切る平面視で該ケース内寸法とほぼ同一寸法とされた仕切面を有すると共に、前記仕切面の対向する辺縁部に対をなして設け、前記ケース内の上側の空間を確保する上側スペーサ片、仕切面の前記上側スペーサ片と隣接した対向する辺縁部に対をなして設け、前記ケース内の下側の空間を確保する下側スペーサ片、のうち少なくとも前記下側スペーサ片を有した紙製スペーサと、を備え、
前記スペーサは、前記仕切面の下側に前記ラベルテープを位置させると共に、前記ケースの送出開口から上側スペーサ片が覗くように該ケース内に配置することを特徴とする紙製カートリッジ。
【請求項2】
ケースは、底面の4辺縁に第1側面~第4側面が連続して形成され、4側面のうちの第1側面の前記底面と連続した側と反対の端部には上面が連続して形成され、前記上面の前記第1側面と連続した側と反対の端部には該第1側面と対向する第4側面に接続する接続片が該上面と連続して形成され、前記第1側面と前記第4側面のそれぞれの両端部には内側に折り返されることで上面-底面方向に対する力に対抗する補強片が形成され、また、前記第1側面と隣接する第2側面及び第3側面の前記底面と連続していない側の端部には内側に折り返されることで上面-底面方向に対する力に対抗する補強片がそれぞれ形成された、紙片を製函した構成であることを特徴とする請求項1記載の紙製カートリッジ。
【請求項3】
第1側面に送出開口を形成したことを特徴とする請求項2記載の紙製カートリッジ。
【請求項4】
挿入開口は切れ目が形成され、軸体が押し込まれることで切れ目が裂けて開口が形成されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の紙製カートリッジ。
【請求項5】
ケースの上面とスペーサの仕切面の中央近傍でそれぞれ平面視同一位置にラベルテープの使用状況を確認する確認窓が形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の紙製カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物であるラベルテープを除く全てを可燃性の紙製にすることで環境性に優れ、また、組み立て手順の簡略化が図れてコストダウンを図ることができ、さらに、ラベルプリンタの用途において複数種のテープ幅でケースを共用化することができる紙製カートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、廃棄時の環境汚染と製造コストを考慮して、帯状(リボン状)の印字媒体を収納したカートリッジにおいて、印字媒体を紙製のケースに収納すること、印字媒体の幅種類に対応可能な共用部品化したケース、が提案されている。
【0003】
特許文献1(特許3011248号公報)には、いわゆるファブリックリボンを収納したカートリッジの蓋体、底片と側片で断面コ字状をなす紙製のカセット本体(以下、ケースという)、テンション部材およびテンション受け部材を紙製とした、廃棄時の環境汚染を考慮した構成が開示されている。
【0004】
特許文献2(特開平7-69497号公報)及び特許文献3(特開2017-56711号公報)には、ラベルテープを収納したカートリッジのケースの少なくとも外形高さ寸法をテープ幅種によらず一律とし、ケース内にテープ幅種に応じてラベルテープの高さ位置を変更するための、該ケース内底面に対して立設する脚部を有した板状の補助プレート(以下、スペーサという)を設け、このスペーサ上にラベルテープを配置してケースを共用部材化する構成が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1は、ファブリックリボンがケース内部において集合した状態で収納されているので、ケースの上下面方向、つまりテープ幅方向からのわずかな圧力でケースが潰れてしまう、あるいはケースが変形することがあった。ケースの特にファブリックリボンの集合部分が変形すると、ファブリックリボンが折れたり歪んだりして送り出されるといった不具合や、最悪な状況としてはファブリックリボンが正常に送り出されない事態にもなる。
【0006】
また、特許文献2及び3は、テープ幅種類に応じて脚部の長さが異なるスペーサの上面にラベルテープを載置するので、スペーサ及び脚部を紙製とした場合には、スペーサにラベルテープ分の重量がかかって撓んだり歪んだりすることとなる。
【0007】
以下、テープ幅種類が多数存在するいわゆるラベルテープのカートリッジについて説明するが、要するに、従来でもテープ幅種類に対応した外形寸法のカートリッジのケースを紙製とすることは提案されていた。ところが、テープ幅種類に対応させた外形寸法の異なる紙製のケースを多数用意することは無駄が多くなるという問題があった。また、カートリッジのケースを紙製とすることに起因して、プリンタ側においてラベルテープの高さ方向の位置を安定させるために設けられた不勢部材の押圧力、特にテープ幅によって異なる押圧力、に耐えられない可能性があるという不具合があった。
【0008】
一方、従来でもカートリッジ外形寸法を一律としてテープ幅種類に応じてカートリッジのケース内でラベルテープの高さ位置を脚部長さ(高さ)を異ならせたスペーサ上に載置することで調整することが提案されていた。しかし、この構成は強度が十分な例えばプラスティック等の材料が用いられていることが前提であって、これを紙製とした場合、プリンタ側との係合等の接触、接続が生じる部分で強度不足が生じて脚部や補助プレート等が変形したり歪んだり、潰れたりすることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許登録第3011248号公報
【文献】特開平7-69497号公報
【文献】特開2017-56711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする問題は、従来のテープカートリッジは、廃棄時の環境汚染と製造コストを考慮して内容物であるラベルテープを除く全てを紙製とすること、また、印字媒体の幅種類に対応可能な構成とすること、を両立できなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、帯状の基材の一方面に印字媒体が積層されたラベルテープを巻装した状態で収納し、前記ラベルテープを内部から送り出すための送出開口、プリンタ側に突設された軸体を前記ラベルテープの巻装中心に挿入するための挿入開口、を有した紙製ケースと、前記ケース内の上面-底面方向の高さを上側と下側に仕切る平面視で該ケース内寸法とほぼ同一寸法とされた仕切面を有すると共に、前記仕切面の対向する辺縁部に対をなして設け、前記ケース内の上側の空間を確保する上側スペーサ片、仕切面の前記上側スペーサ片と隣接した対向する辺縁部に対をなして設け、前記ケース内の下側の空間を確保する下側スペーサ片、のうち少なくとも前記下側スペーサ片を有した紙製スペーサと、を備え、前記スペーサは、前記仕切面の下側に前記ラベルテープを位置させると共に、前記ケースの送出開口から上側スペーサ片が覗くように該ケース内に配置することを主要な特徴とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ケースは送出開口と挿入開口を形成した1枚の紙材から作成することができると共に、スペーサも1枚の紙材から仕切面を中心に下側スペーサ片、上側スペーサ片を折り曲げて作成することができるから、組み立てが容易であるという利点がある。
【0013】
また、本発明は、ケース内でスペーサの仕切面の下側に、巻装されたラベルテープを位置させ、仕切面とケース内底面とによりラベルテープの上面-底面方向の移動を規制するが、ここでラベルテープはプリンタの装着部位で安定状態にあるケースの内底面上に載置されているから、つまり仕切面の下側に位置することから、ラベルテープの上面-底面方向の移動が少なく安定させることができる。
【0014】
さらに、本発明はケース内において、平面視の寸法がほぼ同一寸法とされた仕切面、上面-底面方向の寸法が仕切面に対して折り曲げられることでほぼ同一寸法とされる上側スペーサ片及び下側スペーサ片、によって上面-底面方向の力に対して強度が補強されることで、プリンタ側から力が加わってもケースが変形することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明の紙製カートリッジとこれを適用するラベルプリンタの概略構成を示す図である。
図2図2は(a)(b)は本発明の紙製カートリッジの概略構成を示す図である。
図3図3は本発明の紙製カートリッジのケースの展開図を示す図である。
図4図4は本発明の紙製カートリッジのケースを示し、(a)は上面から見た図、(b)は(a)の左から見た図、(c)は(a)の底面から見た図、である。
図5図5は本発明の紙製カートリッジのスペーサを示し、(a)は斜視図、(b)は上面から見た図、(c)は(b)の右側から見た図、(d)は(b)の下側から見た図、である。
図6図6は本発明の紙製カートリッジのスペーサを示し、(a)は斜視図、(b)は上面から見た図、(c)は(b)の右側から見た図、(d)は(b)の下側から見た図、である。
図7図7は本発明の紙製カートリッジのスペーサを示し、(a)は斜視図、(b)は上面から見た図、(c)は(b)の右側から見た図、(d)は(b)の下側から見た図、である。
図8図8は本発明の紙製カートリッジのスペーサを示し、(a)は斜視図、(b)は上面から見た図、(c)は(b)の右側から見た図、(d)は(b)の下側から見た図、である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、廃棄時の環境汚染と製造コストを考慮して印字媒体の幅種類に対応可能な筐体(ケース)として共用部品化し、かつ内容物であるラベルテープを除く全てを紙製とするという目的を、帯状の基材の一方面に印字媒体が積層されたラベルテープを巻装した状態で収納し、ラベルテープを内部から送り出すための送出開口、プリンタ側に突設された軸体をラベルテープの巻装中心に挿入するための挿入開口、を有した紙製ケースと、ケース内の上面-底面方向の高さを上側と下側に仕切る平面視で該ケース内寸法とほぼ同一寸法とされた仕切面を有すると共に、仕切面の対向する辺縁部に対をなして設け、ケース内の上側の空間を確保する上側スペーサ片、仕切面の前記上側スペーサ片と隣接した対向する辺縁部に対をなして設け、ケース内の下側の空間を確保する下側スペーサ片、のうち少なくとも下側スペーサ片を有した紙製スペーサと、を備え、スペーサは、仕切面の下側にラベルテープを位置させると共に、前記ケースの送出開口から上側スペーサ片が覗くように該ケース内に配置することで達成した。
【0017】
また、本発明は、上記において、ケースは、底面の4辺縁に第1側面~第4側面が連続して形成され、4側面のうちの第1側面の前記底面と連続した側と反対の端部には上面が連続して形成され、前記上面の前記第1側面と連続した側と反対の端部には該第1側面と対向する第4側面に貼り付けられる接続片が該上面と連続して形成され、前記第1側面と前記第4側面のそれぞれの両端部には内側に折り返されることで上面-底面方向に対する力に対抗する補強片が形成され、また、前記第1側面と隣接する第2側面及び第3側面の前記底面と連続していない側の端部には内側に折り返されることで上面-底面方向に対する力に対抗する補強片がそれぞれ形成された、紙片を製函した構成としてもよい。
【0018】
上記構成とすることで、ケースの組み立て(製函)の際に貼着する部位が1個所となり、容易に作成することができると共に、第2及び第4側面に形成された補強片が、仕切面の上側、すなわちラベルテープの存在しない空間に位置するので、ラベルテープの搬送時における回転を妨げることがない。さらに、上記構成において、第1側面に送出開口を形成すれば、第2及び第4側面に送出開口を形成するよりは上面-底面方向の力に対する強度低下が生じることがない。
【0019】
さらに、本発明は、上記において、挿入開口は切れ目が形成され、軸体が押し込まれることで切れ目が裂けて開口が形成されるようにすれば、使用、未使用が容易に把握できると共に、未使用時にラベルテープが存在する仕切面の下側に挿入開口から埃やごみが直接的に侵入することがない。
【0020】
また、本発明は、上記において、ケースの上面とスペーサの仕切面の中央近傍でそれぞれ平面視同一位置にラベルテープの使用状況を確認する確認窓を形成しておけば、ラベルテープの使用状況を把握することができる。
【実施例
【0021】
以下、本発明の実施例を図1図8を参照して説明する。1は、図1に示すラベルプリンタ11に用いられる紙製カートリッジである。ここで、本発明の紙製カートリッジ1の構成を説明する前に、ラベルテープPとラベルプリンタ11について以下、説明する。
【0022】
ラベルテープPは、帯状の基材Paに感熱式の印字媒体Pbが積層され、巻装されて紙製カートリッジ1の後述するケース2に収納されている。なお、本発明においてはラベルテープPの構成を限定しないが、本例における「基材Pa」は、印字媒体Pbの層を最上面とした場合に、下層へ向かって、順に、印字媒体を支持する「基材層」、被貼着体に該印字媒体を貼着すると共に剥離層を剥離可能に貼着するための「粘着層」、前記粘着層から剥がして該粘着層を露出するための「剥離紙」(最下面)の積層体を総称することとする。このラベルテープPは、テープ幅が多数(本実施例では6mm、9mm、12mm、18mm)存在する。
【0023】
ラベルプリンタ11は、紙製カートリッジ1が装着される装着部12と、この装着部12において印字を行う感熱ヘッド13aとラベルテープPを送る搬送ローラ13bを有したヘッド部13と、文字等を入力するための入力部14と、入力した文字等を表示する表示部15と、各種設定用の設定部16と、を備えている。
【0024】
本実施例におけるラベルプリンタ11は、特に本発明の紙製カートリッジ1と関連する構成として、装着部12は、紙製カートリッジ1を挿入する装着凹部12Aと、この装着凹部12Aの上方から該紙製カートリッジ1の上面を覆う蓋部12Bからなる。
【0025】
装着凹部12Aには、内底面の略中央から上方(紙製カートリッジ1が装着される方向)に向けてラベルテープPの巻装中心孔に挿入して位置決めするための軸体12Aaが突設されている。また、装着凹部12Aの内底面の四隅のうち本実施例では三隅には、紙製カートリッジ1を位置決めするための位置決ピン12Ab,12Ab,12Abが突設されている。なお、ヘッド部13は、装着凹部12Aにおける入力部14及び表示部15側の内側面近傍に設けられている。
【0026】
また、装着凹部12Aの側壁の外側縁部には、後述する蓋部12Bのガイド片12Ba,12Bb及び係合爪12Bcが挿入される孔12Ac,12Ad,12Aeが形成されている。さらに、装着凹部12Aの表示部15から離反した側壁の所定の外側縁部には、蓋部12Bの開閉を自在とするヒンジ12Afが設けられている。
【0027】
また、蓋部12Bには、略中央に、該蓋部12Bを閉めた状態で紙製カートリッジ1内部のラベルテープPの消費状況を目視にて確認するための窓12Baが形成されている。蓋部12Bの裏面には、上記の装着凹部12Aにおける孔12Ac,12Ad,12Aeに対応する位置に、それぞれガイド片12Ba,12Bb及び係合爪12Bcが形成されている。
【0028】
さらに、蓋部12Bの裏面で、窓12Baの縁部には、紙製カートリッジ1の上面を押さえて固定するための固定片12Bdが、本実施例では例えば2個所形成されている。つまり、本実施例におけるラベルプリンタ11は、(このラベルプリンタ11に適合するよう構成した)紙製カートリッジ1全体を装着部12で位置決めする構成、具体的には、紙製カートリッジ1における、ラベルテープPの巻装中心を軸体12Aaで、上面を固定片12Bdで、三隅を位置決ピン12Ab,12Ab,12Abで、位置決めする構成とされている。
【0029】
本発明の紙製カートリッジ1は、ラベルプリンタ11の上記した位置決ピン12Abの形成位置に応じて構成されている部分もあるが、基本的には(普遍的に)次の構成とされている。紙製カートリッジ1は、紙製のケース2内に、巻装されたラベルテープPと、このラベルテープPを挿入し、該ラベルテープPのテープ幅に応じた空間を形成する紙製のスペーサ3と、を備えたものである。
【0030】
ここで、本発明の紙製カートリッジ1は、ケース2、スペーサ3共に紙製としているが、以下の条件のものを採用すると好適である。本発明の紙製カートリッジ1のケース2、スペーサ3を構成する紙とは、可燃性であることが必須要件となる。本実施例では強度面と組み立ての容易さなどを勘案して以下の厚みのコート紙を採用した。
【0031】
紙の厚みは、230~450g/m2 の範囲で採用でき、310g/m2 が最も適しており、270~350g/m2 が好ましい範囲である。230g/m2 より薄い場合、組み立てた後の形状安定性に欠け、プリンタ側の例えば固定片12Bdといった押圧に耐えられず変形する可能性がある。一方、450g/m2 より厚い場合、組み立て時に折り曲げ等がしにくく、また、反発によって初期形状に戻ろうとするため、作業性に欠けると共に材料コストが上がる可能性がある。
【0032】
ただし、紙の厚みの上記230~450g/m2 の範囲は、あくまでケース外形形状が75×75×22mm程度で実験したものであり、例えば紙製カートリッジ1全体サイズが大きい場合では上記範囲のうち厚目が好ましい範囲になり、紙製カートリッジ1全体サイズが小さい場合には上記範囲のうち薄目の範囲でも好ましいことになると思われる。
【0033】
ケース2は直方体とされ、テープ幅が6mm、9mm、12mm、18mmのラベルテープPによっては外形寸法が変わることがない。本発明の紙製カートリッジ1は、ケース2の外径寸法が不変であり、テープ幅の変動を後述のスペーサ3で対応することに特徴がある。
【0034】
ケース2は、図1図4に示すように、第1側面2S1、第2側面2S2、第3側面2S3、第4側面2S4は、底面2Bの各四辺から折り曲げて形成される。第1側面2S1は、底面2Bと接続した反対の端部に上面2Tが連続的に設けられている。第2側面2S2と第3側面2S3は第1側面2S1と両側で隣接し、第4側面2S4は第1側面2S1と対向して位置する。
【0035】
第1側面2S1と第4側面2S4のそれぞれにおける第2側面2S2及び第3側面2S3方向の両端部には、ケース2を組み立てる際に折り込まれることで上面-底面方向の力に抗する補強材として機能する補強片2S1a,2S1a、補強片2S4a,2S4a、が各々形成されている。
【0036】
また、第2側面2S2と第3側面2S3のそれぞれにおける上面方向の端部には、ケース2を組み立てる際に折り込まれることで立体形状を保持すると共に上面-底面方向の力に抗する補強材として機能する補強片2S2a、補強片2S3aが各々形成されている。この補強片2Sa、補強片2S3aは、上面2T側に折り込まれることで、後述の仕切面3Aの下側に位置するラベルテープPの搬送時の回転動作を妨げることがない。
【0037】
さらに、上面2Tにおける、第1側面2S1とは反対の端部には、内部に折り込まれて第4側面2S4の裏面(内側)に対し、本例では例えば接着によって接続する接続片2Taが形成されている。こうすることで、ケース2を組み立てる際の接着部分が1個所でよく、あとは折り曲げたり、折り込んだりするだけよく、作業性に優れる。また、特に本例のように接続片2Taを第4側面2S4の裏面(内側)に接着によって接続することで、ケース2が安定的に保形維持できる。
【0038】
ケース2は、底面2Bに対して直角に第1側面2S1~第4側面2S4を起立するよう折り曲げ、第1側面2S1の補強片2S1a,2S1aのそれぞれ、第4側面2S4の補強片2S4a,2S4aのそれぞれ、を互いに突き合せるようケース2の内側へ向けて折り曲げると共に、第2側面2S2の補強片2S2a及び第3側面2S3の補強片2S3aのそれぞれを第2側面2S2及び第3側面2S3に対して直角状に折り曲げてケース2の内側に向けて折り曲げる。
【0039】
さらに、ケース2は、上面2Tを第1側面2S1に対して直角に底面2Bと対向するよう折り曲げ、上面2Tの接続片2Taを第4側面2S4の内側に位置するように折り曲げて、該接続片2Taと第4側面2S4とを接着する。ラベルテープPを装入したスペーサ3は、ケース2における第2側面2S2及び補強片2S2a又は第3側面2S3及び補強片2S3aを折り曲げる前に形成される開口から挿入する。
【0040】
さらに、ケース2は、第1側面2S1にラベルテープPを該ケース2外へ送り出すための送出開口2aが形成されている。このように、送出開口2aを底面2Bと上面2Tと連続した第1側面に形成することで、該送出開口2aを形成することによる強度低下を抑制することができる。
【0041】
また、上面2Tの中央位置にラベルプリンタ11の軸体12AaがラベルテープPの巻装中心を貫通しているかを確認するための窓2b及びこの窓2bの近傍にラベルテープPの巻装端面が覗いて消費状況を確認するための確認窓2cが形成されている。また、底面2Bの本実施例では3隅部にはラベルプリンタ11の位置決ピン12Ab,12Ab,12Abがそれぞれ挿入される挿入孔2e,2e,2eが形成されている。
【0042】
さらに、ケース2は、底面2Bの中央位置にラベルプリンタ11の軸体12Aaが挿入される挿入開口2dが形成されている。挿入開口2dは、一旦使用すると挿入開口が形成され、特に残量の減った巻き芯を挿入開口の内側に突出した部分が規制することによって、ラベルテープPの巻装中心に挿入されるように構成される。本実施例では、挿入開口2dは切れ目2daが形成されており、軸体12Aaが挿入されるまでは閉じた状態とされ、該軸体12Aaを挿入することで、切れ目2daが割れて挿入開口2dが形成され、該軸体12Aaがケース内(ラベルテープPの巻装中心)に挿入されるように構成される。
【0043】
このように挿入開口2dに切れ目2daを形成することで、未使用の紙製カートリッジ1は、挿入開口2dが開いていないことで把握することができる。また、未使用時の紙製カートリッジ1において、ラベルテープPが位置する後述仕切面3Aの下側にごみや埃が直接的に侵入することが防止できる。
【0044】
スペーサ3は、図5図8に示すように、ラベルテープPの6mm(図5)、9mm(図6)、12mm(図7)、18mm(図8)のテープ幅に応じて構成されるが、外形寸法が一定のケース2内で、がたつくことなく収納される構成となっている。
【0045】
スペーサ3は、仕切面3Aと、この仕切面3Aの4辺の縁部から該仕切面3Aの中央に対して外側に向けてそれぞれ対向位置に対をなして形成された(下側に折り曲げられる)スペーサ片3SD,3SD、(上側に折り曲げられる)スペーサ片3SU,3SU、を有している。スペーサ片3SDとスペーサ片3SD、スペーサ片3SUとスペーサ片3SUは、紙製カートリッジ1のケース2における上面―底面方向に対する押圧力とねじれ方向の力に耐える補強材として機能する。
【0046】
本例においては、図5図7に示す6,9,12mmのテープ幅に対応するスペーサ3にはケース2の内部高さ(一定)との差が生じて該スペーサ3が上下にがたつかないように上側に折り曲げられるスペーサ片3SU,3SUが形成されているが、図8に示す18mmのテープ幅に対応するスペーサ3にはスペーサ片3SU,3SUが形成されていない。なお図8に示す(18mmの幅の)スペーサ片3において、ケース2の内部高さとの差が大きく生じる場合は、スペーサ片3SU,3SUが形成される。
【0047】
スペーサ片3SD,3SDは、仕切面3Aに対して下方向に折り曲げられ、折り曲げ高さがラベルテープPのテープ幅より若干大きい寸法とされている。そして、スペーサ片3SD,3SDは、ケース2内に挿入された際に第2側面2S2,2S3の内側で、それらの面が接触する。なお、図5図8においてはテープ幅「種類」を示すため、スペーサ片3SD,3SDの折り曲げ高さはテープ幅を示しているが、例えば6mmと示した図5の実際のスペーサ片3SD,3SDの折り曲げ高さは7mm程度である。
【0048】
スペーサ片3SU,3SUは、仕切面3Aに対して上方向に折り曲げられ、折り曲げ高さがケース2における第1側面2S1~2S4の高さから、上記スペーサ片3SD,3SDの高さと仕切面3Aの紙厚を減じた高さとされている。そして、スペーサ片3SU,3SUは、ケース2内に挿入された際に第1側面2S1,2S4の内側で、それらの面が接触する。
【0049】
スペーサ片3SU,3SUの一方は、ケース2内に挿入された際に送出開口2aが形成された第1側面2S1の内側に接触することとなるが、仕切面3Aに対して上方向に折り曲げているので、つまりラベルテープPが収納された仕切面3Aの下方向において送出開口2aを塞ぐことがない。
【0050】
要するに、スペーサ3は、(仕切面3Aの紙厚を含めて)スペーサ片3SD,3SDの高さとスペーサ片3SD,3SDの高さがケース2内の高さと同等となり、テープ幅が小さい図5に示すようにスペーサ片3SD,3SDの高さが小さく、スペーサ片3SU,3SUが存在し、かつその高さが大きく、テープ幅が大きいと図8に示すようにスペーサ片3SD,3SDだけが形成され、スペーサ片3SU,3SUが存在しない。例えば図5はテープ幅が6mm、図6はテープ幅が9mm、図7はテープ幅が12mm、図8はテープ幅が18mm、のスペーサ3を各々示している。
【0051】
また、仕切面3Aには、ケース2の窓2b及び挿入開口2dに対応する軸体12Aaの挿入孔3aと、この挿入孔3aの近傍でケース2の確認窓2cに対応するように確認窓3bが形成されている。こうすることで、仕切面3Aの下側に位置するラベルテープPの使用状況と軸体12Aaの挿入状況がケース2の外側から(ラベルプリンタ11においては窓12Baから)確認することができる。
【0052】
このように、本発明の紙製カートリッジ1は、ラベルテープPを除く全てを紙製とすることで、可燃性であるために廃棄が容易となるほか、組み立てが容易となる。また、紙製カートリッジ1は、紙製であっても、スペーサ3におけるスペーサ片(3SD、3SU)を設けることで、また、ケース2の補強片(2S1a~2S4a)を設けることで、上面-底面方向から受ける力によって変形したり歪んだりすることが抑制される。
【符号の説明】
【0053】
1 紙製カートリッジ
2 ケース
2S1 第1側面
2S1a 補強片
2S2 第2側面
2S2a 補強片
2S3 第3側面
2S3a 補強片
2S4 第4側面
2S4a 補強片
2B 底面
2T 上面
2a 送出開口
2d 挿入開口
2da 切れ目
3 スペーサ
3A 仕切面
3SD スペーサ片
3SU スペーサ片
P ラベルテープ
11 ラベルプリンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8