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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】印刷ユニット、印刷装置、製函機
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/02 20060101AFI20220325BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220325BHJP
   B41J 13/00 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
B65H5/02 F
B41J2/01 305
B41J13/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018141788
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020015616
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田阪 範文
(72)【発明者】
【氏名】加地 誠
(72)【発明者】
【氏名】竹本 衆一
(72)【発明者】
【氏名】宮倉 敏明
(72)【発明者】
【氏名】田中 栄吉
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-253795(JP,A)
【文献】特開昭62-240568(JP,A)
【文献】特開昭62-013371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12-29/24
B65H 29/32
B41J 2/01
B41J 2/165-2/20
B41J 2/21-2/215
B41J 13/00
B31B 70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの搬送経路に対向して支持される支持フレームと、
前記支持フレームに固定されて前記シートの印刷面に印刷を行うインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドにおける前記シートの幅方向の両側で前記支持フレームに回転自在に支持されて前記シートの印刷面に接触可能な駆動体と、
前記駆動体を駆動回転する駆動装置と、
を備えることを特徴とする印刷ユニット。
【請求項2】
前記シートの搬送経路を構成するシート搬送面と前記駆動体との間に前記シートの厚さに応じて予め設定される所定の一定隙間が確保されることを特徴とする請求項1に記載の印刷ユニット。
【請求項3】
前記駆動体は、前記支持フレームにおける前記シートの幅方向の両側に配置されて前記駆動装置により駆動回転する駆動ローラと、前記支持フレームにおける前記シートの幅方向の両側で前記駆動ローラにおける前記シートの搬送方向の前後に配置される従動ローラと、前記支持フレームにおける前記シートの幅方向の両側で前記駆動ローラと前記従動ローラに掛け回される駆動ベルトとを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷ユニット。
【請求項4】
前記駆動体は、前記支持フレームにおける前記シートの幅方向の両側に配置されて前記駆動装置により駆動回転する駆動ローラを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷ユニット。
【請求項5】
前記支持フレームを前記シートの幅方向に沿って移動することで前記インクジェットヘッドの位置を調整する第1移動調整装置が設けられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷ユニット。
【請求項6】
前記支持フレームを前記シートの印刷面に直交する方向に移動することで前記駆動体の位置を調整する第2移動調整装置が設けられることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷ユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷ユニットが前記シートの搬送方向に所定間隔を空けて複数配置されることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷ユニットと、
前記印刷ユニットより前記シートの搬送方向の下流側に配置されるフレキソ印刷ユニットと、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷ユニットが前記シートの幅方向に複数配置され、前記駆動装置は、複数の前記印刷ユニットにおける前記駆動体を同期駆動回転することを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
製函用シート材を供給する給紙部と、
前記製函用シート材に印刷を行う印刷部と、
前記製函用シート材に対して表面に罫線加工を行うと共に溝切り加工を行う排紙部と、
前記製函用シート材を折り畳んで端部を接合することで箱体を形成するフォルダグルア部と、
前記箱体を計数しながら積み上げた後に所定数ごとに排出するカウンタエゼクタ部とを備え、
前記印刷部は、請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の印刷装置を有する、
ことを特徴とする製函機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシートなどのシートに対して印刷を行う印刷ユニット、この印刷ユニットを有する印刷装置、この印刷装置が適用された製函機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、一般的な製函機は、段ボールシートを加工することで扁平形状をなす段ボール箱を製造するものであり、給紙部、印刷部、排紙部、ダイカット部、フォルディング部、カウンタエゼクタ部などから構成されている。この製函機にて、印刷部は、1色または多色の印刷を行うものであり、1個または複数個の印刷ユニットを有している。この印刷ユニットは、フレキソ印刷機であって、インキチャンバのインキがインキ供給ロールにより印刷シリンダの印版に供給され、印刷シリンダの印版のインキが段ボールシートに転写されて印刷が行われる。
【0003】
ところで、印刷装置として、フレキソ印刷機に加えてインクジェット式の印刷装置を設けることが考えられている。この場合、フレキソ印刷機は、段ボールシートに文字や絵柄などを印刷し、インクジェット式の印刷装置は、例えば、段ボールシートにバーコードなどを印刷する。このインクジェット式の印刷装置は、印刷品質の維持とインクジェットヘッドの保護のため、インクジェットヘッドと段ボールシートの印刷面との距離を所定距離に維持する必要がある。しかし、段ボールシートに反りがあると、インクジェットヘッドと段ボールシートの印刷面との距離がばらつき、段ボールシートがインクジェットヘッドに接触してインクジェットヘッドを損傷させてしまうおそれがある。
【0004】
このような問題を解決するものとして、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載されたインクジェット印刷装置は、印刷部のキャリッジを、搬送方向についての位置が規制された状態で、幅方向への揺動動作と搬送方向への揺動動作および鉛直方向への上下動が可能なように支持機構により支持し、キャリッジにインクジェットヘッドと印刷媒体との間に所定のヘッドギャップを形成する点接触ローラとを搭載したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-179610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の印刷装置にて、キャリッジは、インクジェットヘッドが搭載されると共に、支持機構により幅方向と搬送方向への揺動動作と鉛直方向への上下動が可能となっている。そのため、インクジェットヘッドは、幅方向や搬送方向へ揺動しながら、または、上下動しながら、印刷媒体に対して印刷を行うこととなる。この場合、印刷媒体の搬送速度が非常にゆっくりとした速度であれば、キャリッジに設けられた点接触ローラや上流ローラが印刷媒体の搬送に大きな影響を与えることは少ない。しかし、印刷媒体の搬送速度が高速になると、印刷媒体の印刷面に非駆動の点接触ローラや上流ローラが接触したときに印刷媒体にブレーキがかかり、印刷媒体が搬送方向に対して遅れたり、または、ひねったりしたりするおそれがある。すると、印刷媒体の印刷面に対するインクジェットヘッドの印刷精度が低下してしまう。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、シートの形状に拘わらずインクジェットヘッドを安定して支持してシートとインクジェットヘッドとの距離を一定に保持すると共にシートを適正に搬送することで印刷精度の低下を抑制する印刷ユニット、印刷装置、製函機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の印刷ユニットは、シートの搬送経路に対向して支持される支持フレームと、前記支持フレームに固定されて前記シートの印刷面に印刷を行うインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドにおける前記シートの幅方向の両側で前記支持フレームに回転自在に支持されて前記シートの印刷面に接触可能な駆動体と、前記駆動体を駆動回転する駆動装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、シートが搬送されると、インクジェットヘッドによりシートの印刷面に対して印刷が行われる。このとき、インクジェットヘッドの両側に配置された駆動体は、駆動装置により駆動した状態で、搬送経路上のシートの印刷面に接触可能となる。すると、シートが板厚方向に反っていても、シートは、駆動する駆動体によりシート搬送面に押さえ付けられながら搬送力が付与される。そのため、シートは、駆動体により安定して支持されて搬送されることから、シートの印刷面とインクジェットヘッドとの距離が一定に保持された状態で、インクジェットヘッドによる印刷が行われる。その結果、シートの形状に拘わらずインクジェットヘッドを安定して支持してシートとインクジェットヘッドとの距離を一定に保持すると共にシートを適正に搬送することで、印刷精度の低下を抑制することができる。
【0010】
本発明の印刷ユニットでは、前記シートの搬送経路を構成するシート搬送面と前記駆動体との間に前記シートの厚さに応じて予め設定される所定の一定隙間が確保されることを特徴としている。
【0011】
従って、シートがシート搬送面上を搬送されるとき、シート搬送面上のシートは、シート搬送面と駆動体との間に確保された一定隙間に入り込むことで、駆動体がシートの印刷面を押さえて安定して搬送することができ、シートとインクジェットヘッドとの距離を一定に保持してインクジェットヘッドによる高精度な印刷を行うことができる。
【0012】
本発明の印刷ユニットでは、前記駆動体は、前記支持フレームにおける前記シートの幅方向の両側に配置されて前記駆動装置により駆動回転する駆動ローラと、前記支持フレームにおける前記シートの幅方向の両側で前記駆動ローラにおける前記シートの搬送方向の前後に配置される従動ローラと、前記支持フレームにおける前記シートの幅方向の両側で前記駆動ローラと前記従動ローラに掛け回される駆動ベルトとを有することを特徴としている。
【0013】
従って、シートがシート搬送面上を搬送されるとき、シート搬送面上のシートは、印刷面が駆動ローラと従動ローラに掛け回される駆動ベルトによりシートの搬送方向に連続して押さえ付けられることとなり、駆動体によりシートを安定して搬送することができる。
【0014】
本発明の印刷ユニットでは、前記駆動体は、前記支持フレームにおける前記シートの幅方向の両側に配置されて前記駆動装置により駆動回転する駆動ローラを有することを特徴としている。
【0015】
従って、シートがシート搬送面上を搬送されるとき、シート搬送面上のシートは、印刷面が駆動ローラにより押さえ付けられることとなり、駆動体によりシートを安定して搬送することができると共に、構造の簡素化を図ることができる。
【0016】
本発明の印刷ユニットでは、前記支持フレームを前記シートの幅方向に沿って移動することで前記インクジェットヘッドの位置を調整する第1移動調整装置が設けられることを特徴としている。
【0017】
従って、第1移動調整装置により支持フレームを介してインクジェットヘッドをシートの幅方向に沿って移動してその位置を調整することから、シートの幅方向に対するインクジェットヘッドによる印刷位置を容易で高精度に調整することができる。
【0018】
本発明の印刷ユニットでは、前記支持フレームを前記シートの印刷面に直交する方向に移動することで前記駆動体の位置を調整する第2移動調整装置が設けられることを特徴としている。
【0019】
従って、第2移動調整装置により支持フレームを介して移動体を印刷面に直交する方向に沿って移動してその位置を調整することから、シートの厚さに応じて移動体の位置を容易で高精度に調整することができる。
【0020】
また、本発明の印刷装置は、前記印刷ユニットが前記シートの搬送方向に所定間隔を空けて複数配置されることを特徴とするものである。
【0021】
従って、シートの印刷面に対する複数の印刷ユニットの印刷位置がシートの幅方向に近い位置であっても、複数の印刷ユニットをシートの搬送方向に配置することから、各印刷ユニットに対する印刷タイミングがずれ、印刷ユニットが所定の位置に高精度に印刷を行うことができる。
【0022】
本発明の印刷装置は、前記印刷ユニットと、前記印刷ユニットより前記シートの搬送方向の下流側に配置されるフレキソ印刷ユニットと、を備えることを特徴とするものである。
【0023】
従って、シートの印刷面に対して、印刷ユニットが印刷を行ってから、フレキソ印刷ユニットが印刷を行うことから、シートの印刷面に対する印刷ユニットによる印刷面のインキの乾燥時間を確保することができ、印刷品質を向上することができる。
【0024】
本発明の印刷装置は、前記印刷ユニットが前記シートの幅方向に複数配置され、前記駆動装置は、複数の前記印刷ユニットにおける前記駆動体を同期駆動回転することを特徴とするものである。
【0025】
従って、駆動装置がシートの幅方向に配置された複数の印刷ユニットにおける各駆動体を同期駆動回転することから、各駆動体がシートを搬送経路に沿って精度良く安定して搬送することができる。
【0026】
また、本発明の製函機は、製函用シート材を供給する給紙部と、前記製函用シート材に印刷を行う印刷部と、前記製函用シート材に対して表面に罫線加工を行うと共に溝切り加工を行う排紙部と、前記製函用シート材を折り畳んで端部を接合することで箱体を形成するフォルダグルア部と、前記箱体を計数しながら積み上げた後に所定数ごとに排出するカウンタエゼクタ部とを備え、前記印刷部は、前記印刷装置を有する、ことを特徴とするものである。
【0027】
従って、印刷部にて、シートは、駆動体によりシート搬送面に押さえ付けられることから、シートとインクジェットヘッドとの距離が一定に保持された状態でインクジェットヘッドによる印刷が行われることとなる。その結果、シートの形状に拘わらずインクジェットヘッドを安定して支持してシートとインクジェットヘッドとの距離を一定に保持すると共にシートを適正に搬送することで印刷精度の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の印刷ユニット、印刷装置、製函機によれば、シートの形状に拘わらずインクジェットヘッドを安定して支持してシートとインクジェットヘッドとの距離を一定に保持すると共にシートを適正に搬送することで、印刷精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本実施形態の製函機を表す概略図である。
図2図2は、本実施形態の第1印刷部を表す側面図である。
図3図3は、本実施形態の第1印刷部を表す平面図である。
図4図4は、印刷ユニットを表す側面図である。
図5図5は、印刷ユニットを表す平面図である。
図6図6は、本実施形態の印刷ユニットの変形例を表す側面図である。
図7図7は、印刷ユニットの変形例を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る印刷ユニット、印刷装置、製函機の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0031】
図1は、本実施形態の製函機を表す概略図である。
【0032】
本実施形態において、図1に示すように、製函機10は、段ボールシートSを加工することで段ボール箱Bを製造するものである。この製函機10は、段ボールシートSおよび段ボール箱Bを搬送する搬送方向Tに沿って直線状をなして配置される給紙部11、印刷部12、排紙部13、ダイカット部14、フォルダグルア部15、カウンタエゼクタ部16とから構成されている。
【0033】
給紙部11は、板状の段ボールシートSが鉛直方向に沿って多数積載されて保持され、この段ボールシートSを一枚ずつ送り出し、一定の速度で印刷部12に送るものである。印刷部12は、第1印刷部21と第2印刷部22とを有する。第1印刷部21は、4個のインクジェット式印刷ユニット21A,21B,21C,21Dを有し、第2印刷部22は、4個のフレキソ印刷ユニット22A,22B,22C,22Dを有する。
【0034】
第1印刷部21は、単色刷りまたは多色刷りが可能である。第1印刷部21は、2個のインクジェット式印刷ユニット21A,21Cが段ボールシートSの幅方向に沿って配置され、2個のインクジェット式印刷ユニット21B,21Dが段ボールシートSの幅方向に沿って配置される。また、2個のインクジェット式印刷ユニット21A,21Cと、2個のインクジェット式印刷ユニット21B,21Dが搬送方向Tに沿って所定間隔を空けて配置される。第2印刷部22は、段ボールシートSに多色刷り(本実施形態では、4色刷り)が可能である。第2印刷部22は、4個のフレキソ印刷ユニット22A,22B,22C,22Dが搬送方向Tに沿って所定間隔を空けて配置される。本実施形態にて、第1印刷部21は、段ボールシートSの印刷面にバーコードなどを印刷し、第2印刷部22は、段ボールシートSの印刷面に文字などの絵柄を印刷する。
【0035】
排紙部13は、段ボールシートSに対して、罫線加工を施すと共に溝切り加工を施すものである。ダイカット部14は、段ボールシートSに対して、手穴用の打ち抜き加工を施すものである。フォルダグルア部15は、段ボールシートSを搬送方向Tに移動させながら折り畳み、幅方向の両端部を接合して扁平状の段ボール箱Bを形成するものである。カウンタエゼクタ部16は、フォルダグルア部15により製造された段ボール箱Bを計数しながら積み重ねた後、所定数のバッチに仕分けして排出するものである。
【0036】
図2は、本実施形態の第1印刷部を表す側面図、図3は、本実施形態の第1印刷部を表す平面図である。
【0037】
本実施形態において、図2および図3に示すように、第1印刷部21は、段ボールシートSの印刷面(表面)にバーコードを印刷するものであり、4個のインクジェット式印刷ユニット(以下、印刷ユニット)21A,21B,21C,21Dを有する。
【0038】
第1印刷部21は、搬送部31の上方に対向して配置されている。搬送部31は、給紙部11(図1参照)から供給された段ボールシートSを所定間隔を空けて搬送方向Tに沿って連続して搬送するものである。搬送部31は、段ボールシートSの非印刷面(下面)を吸引しながら搬送する。搬送部31は、吸引部32と、搬送ベルト33とを有する。
【0039】
吸引部32は、段ボールシートSの搬送方向Tに沿って配置され、搬送される段ボールシートSの幅よりも大きい幅を有する。吸引部32は、図示しないが、密閉された中空箱型形状をなす吸引箱であって、吸引箱の上面部に多数の吸引孔が形成されて構成されている。吸引部32は、吸引ブロア34が連結されている。そのため、吸引ブロア34を駆動することで、吸引部32の吸引箱内の空気を吸引し、各吸引孔に吸引力を発生させることができる。
【0040】
搬送ベルト33は、無端のベルトであって、駆動ローラ35および複数の案内ローラ(図示略)に掛け回されて支持されている。搬送ベルト33は、吸引部32の吸引箱の上面部に接触するように配置され、多数の貫通孔(図示略)が形成される。そのため、吸引部32の吸引箱に吸引力が作用すると、この吸引力が吸引箱の各吸引孔から搬送ベルト33の各貫通孔を通して搬送ベルト33の上面に作用する。すると、段ボールシートSは、駆動ローラ35により移動する搬送ベルト33の上面に吸引されながら搬送される。
【0041】
第1印刷部21は、4個の印刷ユニット21A,21B,21C,21Dを有する。第1印刷部21は、段ボールシートSの搬送方向Tに所定間隔を空けて複数配置されると共に、段ボールシートSの幅方向に複数配置されている。即ち、第1印刷ユニット21Aと第3印刷ユニット21Cは、段ボールシートSの幅方向に並んで配置され、第2印刷ユニット21Bと第4印刷ユニット21Dは、段ボールシートSの幅方向に並んで配置される。そして、第1印刷ユニット21Aおよび第3印刷ユニット21Cと、第2印刷ユニット21Bおよび第4印刷ユニット21Dは、段ボールシートSの搬送方向Tに所定間隔を空けて配置される。
【0042】
段ボールシートSは、図1および図3に示すように、表ライナと裏ライナとの間に波形を成す中芯が糊付けされて形成されたものである。この段ボールシートSは、製函機10の前工程にて、2つの折り線301,302が形成される。この折り線301,302は、製造された段ボール箱Bを、後に組み立てる際にフラップを折るためのものである。そして、段ボールシートSは、排紙部13にて、罫線311,312,313,314が形成される。その後、段ボールシートSは、罫線312,313,314の位置に溝が形成されると共に、罫線311の位置で端部が切断されて糊代片が形成される。そのため、段ボールシートSは、罫線312,313,314(溝)を境界として4枚のシート片321,322,323,324により構成される。シート片321,322,323,324は、それぞれ一対のフラップ321a,321b,322a,322b,323a,323b,324a,324bを有する。
【0043】
第1印刷ユニット21Aは、シート片321またはそのフラップ321a,321bに印刷を行い、第2印刷ユニット21Bは、シート片322またはそのフラップ322a,322bに印刷を行い、第3印刷ユニット21Cは、シート片323またはそのフラップ323a,323bに印刷を行い、第4印刷ユニット21Dは、シート片324またはそのフラップ324a,324bに印刷を行う。例えば、段ボールシートSが搬送方向Tに沿って搬送されると、まず、第1印刷ユニット21Aがシート片321にバーコードB1を印刷すると同時に、第3印刷ユニット21Cがシート片323とフラップ323a,323bにバーコードB3,B3a,B3bを印刷する。段ボールシートSが搬送方向Tに沿って更に搬送されると、次に、第2印刷ユニット21Bがシート片322にバーコードB2を印刷すると同時に、第4印刷ユニット21Dがシート片324にバーコードB4を印刷する。
【0044】
第1印刷ユニット21Aと第3印刷ユニット21Cは、第1移動調整装置41,43により段ボールシートSの幅方向に移動可能であり、段ボールシートSにおける幅方向の印刷位置を調整することができる。第2印刷ユニット21Bと第4印刷ユニット21Dは、第1移動調整装置42,44により段ボールシートSの幅方向に移動可能であり、段ボールシートSにおける幅方向の印刷位置を調整することができる。また、第1印刷ユニット21Aと第3印刷ユニット21Cは、第2移動調整装置45により段ボールシートSの印刷面に直交する鉛直方向に移動可能であり、段ボールシートS印刷面に対する印刷距離を調整することができる。第2印刷ユニット21Bと第4印刷ユニット21Dは、第2移動調整装置46により段ボールシートSの印刷面に直交する鉛直方向に移動可能であり、段ボールシートS印刷面に対する印刷距離を調整することができる。
【0045】
印刷ユニット21A,21B,21C,21Dは、ほぼ同様の構成をなし、支持フレーム51,52,53,54と、インクジェットヘッド61,62,63,64と、駆動体71,72,73,74と、駆動装置81,82とを備える。即ち、印刷ユニット21A,21B,21C,21Dは、インクジェットヘッド61,62,63,64と、駆動体71,72,73,74が、支持フレーム51,52,53,54に搭載され、駆動装置81により駆動体71,73を同期駆動回転可能であり、駆動装置82により駆動体72,74を同期駆動回転可能である。
【0046】
以下、印刷ユニット21A,21B,21C,21Dについて説明するが、印刷ユニット21A,21B,21C,21Dは、ほぼ同様の構成であることから、第1印刷ユニット21Aについてのみ説明する。図4は、印刷ユニットを表す側面図、図5は、印刷ユニットを表す平面図である。なお、図4は、手前側の側部フレームを省略している。
【0047】
図4および図5に示すように、第1印刷ユニット21Aにおいて、支持フレーム51は、段ボールシートSの搬送経路、つまり、搬送ベルト33の上面に対向して支持される。支持フレーム51は、左右一対の側部フレーム101と、左右一対の側部フレーム101を連結する連結フレーム102と、左右一対の側部フレーム101の間に配置されて連結フレーム102に連結される一対の取付フレーム103とを有する。側部フレーム101は、段ボールシートSの搬送方向Tの前方側が鋭角となる略三角形状をなし、段ボールシートSの搬送方向Tおよび鉛直方向に沿うと共に、段ボールシートSの幅方向に所定間隔を空けて配置されている。
【0048】
連結フレーム102は、矩形状をなし、段ボールシートSの幅方向および鉛直方向に沿って配置される。連結フレーム102は、左右一対の側部フレーム101における段ボールシートSの搬送方向Tの後方側の端部を連結片104を介して連結する。側部フレーム101と連結フレーム102は、直交して連結されている。一対の取付フレーム103は、矩形状をなし、段ボールシートSの搬送方向Tおよび鉛直方向に沿うと共に、段ボールシートSの幅方向に所定間隔を空けて配置される。一対の取付フレーム103は、段ボールシートSの搬送方向Tの後方側の端部が連結フレーム102に連結され、段ボールシートSの搬送方向Tの前方側の端部によりインクジェットヘッド61を支持している。また、左右一対の側部フレーム101は、段ボールシートSの搬送方向Tの前方側の端部が補強フレーム105により連結される。
【0049】
インクジェットヘッド61は、左右一対の側部フレーム101と連結フレーム102と補強フレーム105に囲まれた空間部に配置され、一対の取付フレーム103により連結フレーム102に支持される。インクジェットヘッド61は、下部にヘッド本体61aを有し、ヘッド本体61aは、段ボールシートSの印刷面に対して、段ボールシートSの幅方向における所定の印刷幅領域Wpに対して印刷を行うことができる。なお、インクジェットヘッド61は、ヘッド本体61aのノズルからインクを押し出し、押し出されたインクを微小な液滴として段ボールシートSの印刷面に到達させるものであり、例えば、コンティニアス型やオンデマンド型(ピエゾ方式やサーマル方式)などを使用することができる。
【0050】
駆動体71は、インクジェットヘッド61における段ボールシートSの幅方向の両側に配置され、支持フレーム51に回転自在に支持されることで、段ボールシートSの印刷面に接触可能となっている。駆動体71は、駆動ローラ111と、従動ローラ112,113と、アイドラ114と、駆動ベルト115を有する。図3に示すように、駆動装置81は、駆動モータ116と、駆動軸117と、軸受118を有し、駆動体71を駆動回転する。
【0051】
段ボールシートSの搬送方向Tの両側に左右一対の印刷機フレーム121,122が配置されている。駆動モータ116は、一方の印刷機フレーム121側に配置され、軸受118は、他方の印刷機フレーム122側に配置される。駆動軸117は、段ボールシートSの幅方向に沿って配置され、軸方向の一端部が駆動モータ116に駆動連結され、軸方向の他端部が軸受118に回転自在に支持される。
【0052】
図4および図5に示すように、駆動軸117は、側部フレーム101および取付フレーム103の後部側の上部を水平方向に貫通し、左右の側部フレーム101とインクジェットヘッド61との間に左右一対の駆動ローラ111がそれぞれ固定されている。従動ローラ112,113は、左右の側部フレーム101とインクジェットヘッド61との間で、左右の側部フレーム101の前後の下部に支持軸123,124により回転自在に支持される。アイドラ114は、左右の側部フレーム101とインクジェットヘッド61との間で、左右の側部フレーム101の上部に支持軸125により回転自在に支持される。駆動ベルト115は、無端のベルトであって、駆動ローラ111と従動ローラ112,113の外側に掛け回され、外側からアイドラ114が押圧している。
【0053】
そのため、図3から図5に示すように、駆動モータ116を駆動して駆動軸117を正転方向に駆動回転すると、駆動軸117と共に駆動ローラ111が駆動回転し、駆動ローラ111と従動ローラ112,113に掛け回された駆動ベルト115を駆動回転することができる。この場合、駆動ベルト115の回転速度(周速)は、段ボールシートSを吸引して搬送する搬送ベルト33の移動速度(周速)と同速度である。但し、駆動ベルト115の回転速度(周速)を、搬送ベルト33の移動速度より若干高速度としてもよい。また、2個の従動ローラ112,113に支持された駆動ベルト115の部分は、支持フレーム51より鉛直方向の下方、つまり、搬送ベルト33側に突出している。段ボールシートSを吸引して搬送する搬送ベルト33の上面と、支持フレーム51より下方に突出した駆動ベルト115の下面との間に予め設定される所定の一定隙間Hが確保される。所定の一定隙間Hは、搬送する段ボールシートSの厚さに応じて設定されるものであり、基本的に、搬送する段ボールシートSの厚さ、または、段ボールシートSの厚さより大きい量に設定される。
【0054】
但し、段ボールシートSの剛性に応じて所定の一定隙間Hを調整してもよい。例えば、段ボールシートSの剛性が高いとき、所定の一定隙間Hを段ボールシートSの厚さより若干小さく調整(一定隙間H=段ボールシートSの厚さ-調整量H1)することで、反って剛性の高い段ボールシートSを駆動ベルト115により強い圧力で押圧するように矯正する。一方、段ボールシートSの剛性が低いとき、所定の一定隙間Hを段ボールシートSの厚さより若干大きく調整(一定隙間H=段ボールシートSの厚さ+調整量H2)することで、反って剛性の低い段ボールシートSを駆動ベルト115により弱い圧力で押圧するように矯正する。即ち、反った段ボールシートSに対して、その剛性に応じて所定の一定隙間Hの大きさ、つまり、駆動ベルト115が抑える圧力を調整することで、段ボールシートSに傷を付けることなく、適正に反りを矯正して搬送することができる。
【0055】
なお、所定の一定隙間Hの調整量H2は、下記のように設定される。インクジェットヘッドによる目標印字位置精度=A[mm]、段ボールシートSの搬送速度の最大値=S[m/sec]、インクジェットからのインク滴の飛翔速度=D[m/sec]とするとき、一定隙間Hの調整量H2は、下記数式により算出される。
H2=A×(D÷S)
例えば、A=0.127mm(200dpi)、S=7m/sec、D=10m/sec であれば、H2=0.181mmとなり、一定隙間Hを段ボールシートSの厚さより最大で0.181mmまで大きくすることができる。
ここで、段ボールシートSの搬送速度が大きくなると、調整量H2は減少し、インク滴の飛翔速度が大きくなると、調整量H2は増加する。
【0056】
第1移動調整装置41は、ねじ軸131と、ナット132と、従動歯車133と、駆動モータ134とを有する。支持フレーム51は、連結フレーム102から段ボールシートSの搬送方向Tの後方に延出する取付フレーム141が固定される。ねじ軸131は、段ボールシートSの幅方向に沿って配置され、軸方向の一端部が印刷機フレーム121側に配置される取付部材142に固定され、軸方向の他端部が印刷機フレーム122側に配置される取付部材143に固定される。ナット132は、ねじ軸131に螺合し、従動歯車133が固定されており、従動歯車133は、支持部材144により取付フレーム141に回転自在で軸方向に相対移動不能に支持される。駆動モータ134は、取付フレーム141に固定され、駆動歯車145が従動歯車133に噛み合う。
【0057】
そのため、駆動モータ134を駆動して駆動歯車145を駆動回転すると、駆動歯車145と噛み合う従動歯車133が回転し、従動歯車133と一体のナット132が回転する。ナット132が回転すると、このナット132は、回転しながら螺合するねじ軸131の軸方向に移動する。すると、ナット132と一体の従動歯車133が固定された取付フレーム141、つまり、支持フレーム51に支持されたインクジェットヘッド61がねじ軸131の軸方向に移動する。即ち、第1移動調整装置41は、第1印刷ユニット21Aをねじ軸131の軸方向に移動することで、インクジェットヘッド61を段ボールシートSの幅方向に沿って移動し、インクジェットヘッド61の印刷幅領域Wpを幅方向に調整することができる。
【0058】
第2移動調整装置45は、昇降装置151,152と、昇降フレーム153と、昇降支持フレーム154,155を有する。昇降フレーム153は、段ボールシートSの幅方向に沿って配置され、長手方向の一端部に印刷機フレーム121側に配置される昇降支持フレーム154が固定され、軸方向の他端部に印刷機フレーム122側に配置される昇降支持フレーム155が固定される。昇降支持フレーム154は、駆動モータ116と取付部材142が搭載され、昇降支持フレーム155は、軸受118と取付部材143が搭載される。昇降装置151は、昇降フレーム153の長手方向の一端部を支持して昇降可能であり、昇降装置152は、昇降フレーム153の長手方向の他端部を支持して昇降可能である。そして、昇降フレーム153は、取付フレーム141に固定されている。
【0059】
そのため、昇降装置151,152を駆動して昇降フレーム153を昇降すると、昇降フレーム153に連結された第1印刷ユニット21Aおよび第1移動調整装置41を昇降することができる。すると、第1印刷ユニット21Aに搭載された駆動体71を昇降することで、駆動体71における鉛直方向の位置を調整し、搬送ベルト33の上面と駆動ベルト115の下面との間の一定隙間Hの量を調整することができる。
【0060】
なお、印刷ユニット21B,21C,21Dについては説明しないが、第1印刷ユニット21Aとほぼ同様の構成である。
【0061】
なお、第1印刷部21の印刷ユニット21A,21B,21C,21Dにて、駆動体71は、上述したものに限定されるものではない。図6は、本実施形態の印刷ユニットの変形例を表す側面図、図7は、印刷ユニットの変形例を表す平面図である。
【0062】
本実施形態の変形例において、図3および図6図7に示すように、第1印刷ユニット21Aは、支持フレーム51と、インクジェットヘッド61と、駆動体161と、駆動装置81とを備える。即ち、第1印刷ユニット21Aは、インクジェットヘッド61と、駆動体161が支持フレーム51に搭載され、駆動装置81により駆動体161を駆動回転可能である。
【0063】
駆動体161は、インクジェットヘッド61における段ボールシートSの幅方向の両側に配置され、支持フレーム51に回転自在に支持されることで、段ボールシートSの印刷面に接触可能となっている。駆動体161は、駆動ローラ162,163と、駆動スプロケット164と、従動スプロケット165,166と、アイドラ167と、チェーンベルト168を有する。駆動装置81は、駆動モータ116と、駆動軸117と、軸受118を有し、駆動体161を駆動回転する。
【0064】
駆動軸117は、側部フレーム101および取付フレーム103の後部側の上部を水平方向に貫通し、左右の側部フレーム101とインクジェットヘッド61との間に左右一対の駆動スプロケット164がそれぞれ固定されている。左右一対の駆動ローラ162,163は、左右の側部フレーム101とインクジェットヘッド61との間で、左右の側部フレーム101の前後の下部に支持軸171,172により回転自在に支持される。左右一対の従動スプロケット165,166は、支持軸171,172により左右一対の駆動ローラ162,163と一体回転自在に支持される。アイドラ167は、左右の側部フレーム101とインクジェットヘッド61との間で、左右の側部フレーム101の上部に支持軸173により回転自在に支持される。チェーンベルト168は、無端のチェーンベルトであって、駆動スプロケット164と従動スプロケット165,166の外側に掛け回され、外側からアイドラ167が押圧している。
【0065】
そのため、駆動モータ116を駆動して駆動軸117を正転方向に駆動回転すると、駆動軸117と共に駆動スプロケット164が駆動回転し、駆動スプロケット164に掛け回されたチェーンベルト168が駆動し、従動スプロケット165,166を従動回転することができる。すると、従動スプロケット165,166と一体の駆動ローラ162,163を駆動することができる。2個の駆動ローラ162,163は、支持フレーム51より鉛直方向の下方、つまり、搬送ベルト33側に配置される。段ボールシートSを吸引して搬送する搬送ベルト33の上面と、支持フレーム51より下方に突出した駆動ローラ162,163の下部との間に一定隙間Hが確保されている。一定隙間Hは、駆動ローラ162,163が搬送ベルト33の上面に吸引されて搬送される段ボールシートSの上面(印刷面)に接触可能な大きさである。
【0066】
なお、上述した実施形態にて、従動ローラ112,113の数は2個に限定されるものではなく、1個または3個以上であってもよい。また、上述した実施形態の変形例にて、駆動ローラ162,163の数は2個に限定されるものではなく、1個または3個以上であってもよい。
【0067】
以下、本実施形態の印刷部12の作動について説明する。
【0068】
図1に示すように、多数の段ボールシートSは、給紙部11の給紙テーブル上に鉛直方向に沿って積み重ねられ、最下位置にある段ボールシートSが前方に送り出される。すると、この段ボールシートSは、所定の一定速度で印刷部12に向けて供給される。図2および図3に示すように、印刷部12にて、搬送部31は、吸引部32が搬送ベルト33上の段ボールシートSを下方から吸引した状態で搬送方向Tに沿って搬送する。このとき、印刷部12にて、第1印刷部21は、段ボールシートSの印刷面に対して、例えば、バーコードを印刷する。そして、第2印刷部22は、段ボールシートSの印刷面に対して、例えば、文字を印刷する。
【0069】
そして、印刷された段ボールシートSは、搬送部31により搬送され、図1に示すように、排紙部13が印刷済の段ボールシートSに対して、罫線加工を施すと共に溝切り加工を施す。続いて、ダイカット部14は、段ボールシートSに対して、手穴用の打ち抜き加工を施し、フォルダグルア部15は、段ボールシートSを折り畳んで幅方向の両端部を接合して扁平状の段ボール箱Bを形成する。その後、カウンタエゼクタ部16は、製造された段ボール箱Bを計数しながら積み重ねた後、所定数のバッチに仕分けして排出する。
【0070】
ここで、第1印刷部21における印刷ユニット21A,21B,21C,21Dの作動について具体的に説明する。
【0071】
図2および図3に示すように、段ボールシートSが第1印刷ユニット21Aおよび第3印刷ユニット21Cの位置に搬送されると、まず、第1印刷ユニット21Aがシート片321にバーコードB1を印刷すると同時に、第3印刷ユニット21Cがシート片323とフラップ323a,323bにバーコードB3,B3a,B3bを印刷する。そして、段ボールシートSが第2印刷ユニット21Bおよび第4印刷ユニット21Dの位置に搬送されると、次に、第2印刷ユニット21Bがシート片322にバーコードB2を印刷すると同時に、第4印刷ユニット21Dがシート片324にバーコードB4を印刷する。
【0072】
このとき、図4及び図5に示すように、第1印刷ユニット21Aにて、段ボールシートSは、搬送ベルト33の上面に吸引された状態で第1印刷ユニット21Aに到達し、先端部が搬送ベルト33の上面と駆動体71の駆動ベルト115の下面との間の一定隙間Hに進入する。すると、段ボールシートSは、下面が搬送ベルト33の上面に吸引されたままで、上面(印刷面)が駆動回転する駆動ベルト115に接触して押さえ付けられる。このとき、駆動ベルト115の回転速度(周速)は、搬送ベルト33の移動速度(周速)と同速度、または、若干高速度であることから、段ボールシートSは、搬送ベルト33と駆動ベルト115に挟持された状態で安定して搬送される。
【0073】
そのため、例えば、段ボールシートSにおける搬送方向Tの先端部が上方側に反っていても、この段ボールシートSは、反った先端部が駆動回転する駆動ベルト115に押さえ付けられることで平坦形状、あるいは、平坦形状に近い形状に矯正される。段ボールシートSが下方側に反っていても、この段ボールシートSは、駆動回転する駆動ベルト115に押さえ付けられることで平坦形状、あるいは、平坦形状に近い形状に矯正される。そして、駆動ベルト115は、段ボールシートSの印刷面に対して、搬送方向Tの所定長さの部分が接触し、且つ、搬送方向Tに沿って移動することから、段ボールシートSは、座屈することなく、平坦形状のまま安定して搬送される。すると、段ボールシートSの印刷面とインクジェットヘッド61との距離が一定の距離に保持されることとなり、インクジェットヘッド61は、段ボールシートSの印刷面に対して高精度な印刷を行うことができる。
【0074】
このように本実施形態の印刷ユニットにあっては、段ボールシートSの搬送経路に対向して支持される支持フレーム51,52,53,54と、支持フレーム51,52,53,54に固定されて段ボールシートSの印刷面に印刷を行うインクジェットヘッド61,62,63,64と、インクジェットヘッド61,62,63,64における段ボールシートSの幅方向の両側で支持フレーム51,52,53,54に回転自在に支持されて段ボールシートSの印刷面に接触可能な駆動体71,72,73,74(161)と、駆動体71,72,73,74(161)を駆動回転する駆動装置81,82とを備える。
【0075】
従って、段ボールシートSが搬送されると、インクジェットヘッド61,62,63,64により段ボールシートSの印刷面に対して印刷が行われる。このとき、インクジェットヘッド61,62,63,64の両側に配置された駆動体71,72,73,74(161)は、駆動装置81,82により駆動回転した状態で、搬送経路上の段ボールシートSの印刷面に接触する。すると、段ボールシートSが印刷面側に反っていても、段ボールシートSは、駆動回転する駆動体71,72,73,74(161)により段ボールシートSの搬送面に押さえ付けられながら搬送力が付与される。そのため、段ボールシートSは、駆動体71,72,73,74(161)により安定して支持されて搬送されることから、段ボールシートSの印刷面とインクジェットヘッド61,62,63,64との距離が一定に保持された状態で、インクジェットヘッド61,62,63,64による印刷が行われる。その結果、段ボールシートSの形状に拘わらずインクジェットヘッド61,62,63,64を安定して支持して段ボールシートSとインクジェットヘッド61,62,63,64との距離を一定に保持すると共に段ボールシートSを適正に搬送することで、印刷精度の低下を抑制することができる。
【0076】
本実施形態の印刷ユニットでは、段ボールシートSの搬送経路を構成する搬送ベルト33の上面と駆動体71,72,73,74(161)との間に段ボールシートSの厚さに応じて予め設定される所定の一定隙間Hを確保している。従って、段ボールシートSが搬送ベルト33の上面を搬送されるとき、段ボールシートSは、搬送ベルト33の上面と駆動体71,72,73,74(161)との間に確保された一定隙間Hに入り込むことで、駆動体71,72,73,74(161)が段ボールシートSの印刷面を押さえて安定して搬送することができ、段ボールシートSとインクジェットヘッド61,62,63,64との距離を一定に保持してインクジェットヘッド61,62,63,64による印刷を行うことができる。
【0077】
本実施形態の印刷ユニットでは、駆動体71,72,73,74は、支持フレーム51,52,53,54における段ボールシートSの幅方向の両側に配置されて駆動装置81,82により駆動回転する駆動ローラ111と、支持フレーム51,52,53,54における段ボールシートSの幅方向の両側で駆動ローラ111における段ボールシートSの搬送方向Tの前方と後方に配置される従動ローラ112,113と、支持フレーム51,52,53,54における段ボールシートSの幅方向の両側で駆動ローラ111と従動ローラ112,113に掛け回される駆動ベルト115とを有する。従って、段ボールシートSが搬送ベルト33の上面を搬送されるとき、段ボールシートSは、印刷面が駆動ローラ111と従動ローラ112,113に掛け回される駆動ベルト115により段ボールシートSの搬送方向Tに連続して押さえ付けられることとなり、駆動体71,72,73,74により段ボールシートSを安定して搬送することができる。
【0078】
本実施形態の印刷ユニットでは、駆動体161は、支持フレーム51,52,53,54における段ボールシートSの幅方向の両側に配置されて駆動装置81,82により駆動回転する駆動ローラ162,163を有する。従って、段ボールシートSが搬送ベルト33の上面を搬送されるとき、段ボールシートSは、印刷面が駆動ローラ162,163により押さえ付けられることとなり、駆動体161により段ボールシートSを安定して搬送することができると共に、構造の簡素化を図ることができる。
【0079】
本実施形態の印刷ユニットでは、支持フレーム51,52,53,54を段ボールシートSの幅方向に沿って移動することでインクジェットヘッド61,62,63,64の位置を調整する第1移動調整装置41,42,43,44を設けている。従って、第1移動調整装置41,42,43,44により支持フレーム51,52,53,54を介してインクジェットヘッド61,62,63,64を段ボールシートSの幅方向に沿って移動してその位置を調整することから、段ボールシートSの幅方向に対するインクジェットヘッド61,62,63,64による印刷位置を容易で高精度に調整することができる。
【0080】
本実施形態の印刷ユニットでは、支持フレーム51,52,53,54を段ボールシートSの印刷面に直交する方向に移動することで駆動体71,72,73,74(161)の位置を調整する第2移動調整装置45,46を設けている。従って、第2移動調整装置45,46により支持フレーム51,52,53,54を介して駆動体71,72,73,74(161)を印刷面に直交する方向に沿って移動してその位置を調整することから、段ボールシートSの厚さに応じて駆動体71,72,73,74(161)の位置を容易で高精度に調整することができる。
【0081】
また、本実施形態の印刷装置は、印刷ユニット21A,21B,21C,21Dを段ボールシートSの搬送方向Tに所定間隔を空けて複数配置している。従って、段ボールシートSの印刷面に対する複数の印刷ユニット21A,21B,21C,21Dの印刷位置が段ボールシートSの幅方向に近い位置であっても、複数の印刷ユニット21A,21B,21C,21Dを段ボールシートSの搬送方向に配置することから、複数の印刷ユニット21A,21Cと複数の印刷ユニット21B,21Dが干渉することはなく、印刷タイミングがずれることから、各印刷ユニット21A,21B,21C,21Dが所定の位置に高精度に印刷を行うことができる。
【0082】
また、本実施形態の印刷装置は、印刷ユニット21A,21B,21C,21Dを有する第1印刷部21と、第1印刷部21より段ボールシートSの搬送方向Tの下流側に配置されるフレキソ印刷ユニット22A,22B,22C,22Dを有する第2印刷部22とを備える。従って、段ボールシートSの印刷面に対して、第1印刷部21が印刷を行ってから、第2印刷部22が印刷を行うことから、第1印刷部21が段ボールシートSの印刷面に印刷してから、この印刷面に対してベルトなどの部材が接触するまでの時間を長くし、第1印刷部21でのインキの乾燥時間を確保することができ。印刷品質を向上することができる。
【0083】
また、本実施形態の印刷装置は、インクジェット式印刷ユニット21A,21B,21C,21Dを段ボールシートSの幅方向に複数配置し、駆動装置81,82は、複数の印刷ユニット21A,21B,21C,21Dにおける駆動体71,72,73,74を同期駆動回転する。従って、駆動装置81,82が段ボールシートSの幅方向に配置された複数の印刷ユニット21A,21B,21C,21Dにおける各駆動体71,72,73,74を同期駆動回転することから、各駆動体71,72,73,74が段ボールシートSを搬送経路に沿って精度良く安定して搬送することができる。
【0084】
また、本実施形態の製函機は、段ボールシートSを供給する給紙部11と、段ボールシートSに印刷を行う印刷部12と、段ボールシートSに対して表面に罫線加工を行うと共に溝切り加工を行う排紙部13と、段ボールシートSを折り畳んで端部を接合することで段ボール箱Bを形成するフォルダグルア部15と、段ボール箱Bを計数しながら積み上げた後に所定数ごとに排出するカウンタエゼクタ部16とを備え、印刷部12は、インクジェット式の第1印刷部21を備える。従って、段ボールシートSは、駆動体71,72,73,74により段ボールシートSの搬送面に押さえ付けられながら搬送されることとなる。その結果、段ボールシートSの形状に拘わらずインクジェットヘッド61,62,63,64を安定して支持して段ボールシートSとインクジェットヘッド61,62,63,64との距離を一定に保持すると共に段ボールシートSを適正に搬送することで、印刷精度の低下を抑制することができる。
【0085】
なお、上述した実施形態では、第1印刷部21を4個の印刷ユニット21A,21B,21C,21Dから構成し、第2印刷部22を4個の印刷ユニット22A,22B,22C,22Dから構成したが、その数に限定されるものではなく、1個でも複数個でもよい。
【0086】
また、上述した実施形態では、シートとして段ボールシートSを用いて説明したが、枚葉印刷機で使用する枚葉紙などでもよく、本発明の印刷ユニットは、所定の大きさのシートを所定間隔で連続して搬送しながら印刷する印刷ユニットに適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
10 製函機
11 給紙部
12 印刷部
13 排紙部
14 ダイカット部
15 フォルダグルア部
16 カウンタエゼクタ部(カウンタエゼクタ)
21 第1印刷部(印刷装置)
21A,21B,21C,21D 印刷ユニット
22 第2印刷部
22A,22B,22C,22D 印刷ユニット
31 搬送部
32 吸引部
33 搬送ベルト
41,42,43,44 第1移動調整装置
45,46 第2移動調整装置
51,52,53,54 支持フレーム
61,62,63,64 インクジェットヘッド
71,72,73,74,161 駆動体
81,82 駆動装置
111 駆動ローラ
112,113 従動ローラ
114 アイドラ
115 駆動ベルト
121,122 印刷機フレーム
131 ねじ軸
132 ナット
133 従動歯車
134 駆動モータ
141 取付フレーム
145 駆動歯車
151,152 昇降装置
153 昇降フレーム
154,155 昇降支持フレーム
162,163 駆動ローラ
164 駆動スプロケット
165,166 従動スプロケット
167 アイドラ
168 チェーンベルト
H 一定隙間
S 段ボールシート(シート、製函用シート材)
Wp 印刷幅領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7