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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】ペット用吸収性シート
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
A01K1/015 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018154252
(22)【出願日】2018-08-20
(65)【公開番号】P2020028229
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】小澤特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大川 文乃
(72)【発明者】
【氏名】笹野 廉紘
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2009-0046623(KR,A)
【文献】特開2013-247922(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0013799(US,A1)
【文献】特開2017-093320(JP,A)
【文献】特開2016-103990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向、前記厚さ方向に直交する第1方向、及び前記厚さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向と、
表面側に配置される表面シートと、
裏面側に配置される裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体と、
前記吸収体と重なる領域において前記表面シートの表面側から視認可能な着色部と、を有するペット用吸収性シートであって、
前記着色部は、使用対象のペットを指標するペット図柄と、ペット以外を示し、前記第1方向の最大寸法が前記ペット図柄の前記第1方向の最大寸法よりも小さい補助図柄と、を有し、
前記着色部は、緑色系の第1色によって着色された第1着色部と、紫色系の第2色によって着色された第2着色部と、を有し、
前記第1着色部は、前記ペット図柄を示す第1ペット図柄と、前記補助図柄を示す第1補助図柄と、を有し、
前記第2着色部は、前記ペット図柄を示す第2ペット図柄と、前記補助図柄を示す第2補助図柄と、を有し、
前記第1ペット図柄と重なる領域又は近傍に、前記第2補助図柄が配置されており、
前記第2ペット図柄と重なる領域又は近傍に、前記第1補助図柄が配置されており、
前記第1ペット図柄と前記第2補助図柄を組み合わせた第1集合体と、前記第2ペット図柄と前記第1補助図柄を組み合わせた第2集合体と、の距離は、前記第1ペット図柄と前記第2補助図柄の距離よりも長いとともに、前記第2ペット図柄と前記第1補助図柄の距離よりも長く、
前記ペット用吸収性シートの前記吸収体と重なる領域には、前記着色部が複数配置された着色領域と、前記第1方向における前記着色領域の間において、前記吸収体の前記第2方向の全域に亘っていずれの前記着色部が配置されていない非着色領域と、が設けられており、
前記第1着色部は、RGB表色系に基づくRの値が0~128、Gの値が165~191、及びBの値が90~113の範囲にある色であり、
前記第2着色部は、RGB表色系に基づくRの値が127~186、Gの値が65~91、及びBの値が136~151の範囲にある色であり、
前記着色部は、デザインの輪郭に沿って配置され、
前記着色部によって囲まれた領域に、非着色部が設けられている、ペット用吸収性シート
【請求項2】
前記吸収体の周囲において前記表面シートの表面側から視認可能な外周着色部を有し、
前記外周着色部は、前記第1色又は前記第2色を有する、請求項に記載のペット用吸収性シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの排泄物、例えば尿を吸収するペット用吸収性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ペットの排泄物、例えば尿を吸収するペット用吸収性シートが知られている(下記の特許文献1参照)。特許文献1に記載されたペット用吸収性シートは、液不透過性の裏面シートと、液透過性の表面シートと、裏面シートと表面シートとの間に位置する吸収体と、を有する。表面シートの下方には、デザインが施されている。当該デザインは、吸収体の全体に亘って格子状に配置され、表面シートを介して視認可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-29625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のデザインは、着色された又は発色性のデザインによって構成されている。一般的に、デザインが付されたペット用吸収シートは、デザインが付されていないペット用吸収性シートと比較して、尿が目立ち難くなり、尿の隠蔽性が向上する。しかし、デザインの色によっては、デザインが尿の跡に類似し、使用者は、使用前であっても使用後であると誤認するおそれがあった。また、デザインの色によっては、尿とデザインが混同して認識され、デザインによって尿の隠蔽性を向上させることができないおそれがあった。
【0005】
よって、尿と着色部を区別して認識させ、着色部によって尿の隠蔽性を向上できるペット用吸収性シートが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係るペット用吸収性シートは、表面側に配置される表面シートと、裏面側に配置される裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体と、前記吸収体と重なる領域において前記表面シートの表面側から視認可能な着色部と、を有するペット用吸収性シートであって、前記着色部は、緑色系の第1色によって着色された第1着色部と、紫色系の第2色によって着色された第2着色部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るペット用吸収性シートの排泄面側から見た平面図である。
図2図1に示すA-A線に沿ったペット用吸収性シートの模式的断面図である。
図3図1に示すB部分の拡大平面図である。
図4】第2実施形態に係るペット用吸収性シートの排泄面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係るペット用吸収性シートは、表面側に配置される表面シートと、裏面側に配置される裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体と、前記吸収体と重なる領域において前記表面シートの表面側から視認可能な着色部と、を有するペット用吸収性シートであって、前記着色部は、緑色系の第1色によって着色された第1着色部と、紫色系の第2色によって着色された第2着色部と、を有する。
【0009】
一般的に、健康な尿の色は、黄色系であり、不健康な尿の色は、赤色系である。緑色系の第1着色部と紫色系の第2着色部は、いずれも黄色系及び赤色系に対して区別して認識され易い。よって、使用者が、使用前の状態で着色部を尿の跡であると誤認することを抑制できる。加えて、使用者は、健康な尿の色と不健康な尿の色のいずれも認識し易く、健康な状態及び不健康な状態を把握し易い。また、尿と着色部を区別して認識させ易いため、着色部によって尿の跡をカモフラージュして、尿の隠蔽性を向上させることができる。
【0010】
好ましい一態様によれば、前記第1着色部は、RGB表色系に基づくRの値が0~128、Gの値が165~191、及びBの値が90~113の範囲にある色であってよい。
【0011】
第1着色部は、Rの値、Gの値、及びBの値共に、健康な尿の色及び不健康な尿の色の値と重複してなく、尿に対して区別し易い。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記第2着色部は、RGB表色系に基づくRの値が127~186、Gの値が65~91、及びBの値が136~151の範囲にある色であってよい。
【0013】
第2着色部は、Rの値及びBの値共に、健康な尿の色及び不健康な尿の色の値と重複してなく、尿に対して区別し易い。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記着色部は、デザインの輪郭に沿って配置され、前記着色部によって囲まれた領域に、非着色部が設けられてよい。
【0015】
非着色部に排尿された場合に、尿と着色部を比較することができる。また、非着色部を囲んで着色部が配置されているため、尿の広がり具合を着色部によって把握することができる。よって、尿の量を把握することによってもペットの健康状態を把握できる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記第1着色部は、使用対象のペットを指標するペット図柄を示す第1ペット図柄と、ペット以外を示す第1補助図柄と、を有し、前記第2着色部は、使用対象のペットを指標するペット図柄を示す第2ペット図柄と、ペット以外を示す第2補助図柄と、を有し、前記第1ペット図柄と重なる領域又は近傍に、前記第2補助図柄が配置されており、前記第2ペット図柄と重なる領域又は近傍に、前記第1補助図柄が配置されてよい。
【0017】
第1ペット図柄と第2補助図柄が近接して配置され、かつ第2ペット図柄と第1補助図柄が近接して配置されているため、尿を、第1着色部及び第2着色部の両方と比較することができる。よって、健康な状態及び不健康な状態を把握し易い。また、使用者は、第1ペット図柄及び第2ペット図柄を視認して、使用対象のペットを把握できる。よって、複数種類のペットがいる場合であっても、対象であるペットを把握し、対象となるペットの健康状態を把握し易い。加えて、ペット図柄と補助図柄が一体化して設けられているため、デザイン性を高め、尿の隠蔽効果をより高めることができる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記第1ペット図柄の最大寸法は、前記第2補助図柄の最大寸法よりも大きく、前記第2ペット図柄の最大寸法は、前記第1補助図柄の最大寸法よりも大きくてよい。
【0019】
第1ペット図柄及び第2ペット図柄が目立ちやすく、使用者は、使用対象のペットを把握できる。よって、複数種類のペットがいる場合であっても、対象であるペットを把握し、対象となるペットの健康状態を把握し易い。
【0020】
好ましい一態様によれば、前記吸収体の周囲において前記表面シートの表面側から視認可能な外周着色部を有し、前記外周着色部は、前記第1色又は前記第2色を有してよい。
【0021】
外周着色部が第1色又は前記第2色を有するため、外周着色部によって第1着色部又は第2着色部を目立たせることができる。よって、着色部による尿の隠蔽効果をより高めることができる。
【0022】
(2)ペット用吸収性シートの構成
以下、図面を参照して、実施形態に係るペット用吸収性シートについて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0023】
本明細書において、「ペット」は、脊椎動物や無脊椎動物を広く包含し、典型的には、猫、犬、ウサギ、ハムスターなどの愛玩動物を含む。本実施の形態のペット用吸収性シートは、猫用の吸収性シートである。
【0024】
図1は、第1実施形態に係るペット用吸収性シートの排泄面側から見た状態の平面図である。図2は、図1に示すA-A線に沿ったペット用吸収性シートの模式的断面図である。図3は、図1のB部分の拡大平面図である。ペット用吸収性シート10は、概して平坦なシートである。ペット用吸収性シート10の一方の面は、ペットの排泄物を受ける排泄面である。本実施の形態においては、排泄面を構成する面を表面101とし、非排泄面を構成する面を裏面102として説明する。図において、厚さ方向Tにおける表面側T1と裏面側T2を示す。
【0025】
ペット用吸収性シートは、厚さ方向Tと直交する第1方向D1及び第2方向D2を有する。第1方向D1と第2方向D2は、互いに直交する。第1方向D1と第2方向D2は、平面方向に延びる方向である。本実施の形態の第1方向D1は、平面視における長手方向であり、第2方向D2は、長手方向に直交する幅方向である。なお、変形例において、第1方向D1は、平面視における幅方向であって、第2方向D2は、長手方向であってよい。
【0026】
ペット用吸収性シート10は、表面側T1に配置される表面シート12と、裏面側T2に配置される裏面シート14と、吸収体20と、を有する。吸収体20は、表面シート12と裏面シート14との間に設けられている。
【0027】
表面シート12は、ペットの排泄物のような液体を透過する透液性シートであってよい。透液性シートは、例えば透液性を有する不織布、又は開口フィルムによって構成されていてよい。裏面シート14は、ペットの排泄物のような液体を透過しない不透液性シートであってよい。裏面シート14は、特に制限されないが、例えば樹脂フィルムシートによって構成されていてよい。本実施の形態の裏面シート14は、裏面シート14の全体が着色されている。裏面シート14は、後述する第1色又は第2色によって着色されていてもよい。
【0028】
裏面シート14の一部は、吸収体20よりも外側へ延びている。ペット用吸収性シート10の外周部18に配置された裏面シートの着色部は、表面側T1から裏面シート14が視認可能であり、本発明における「外周着色部」を構成する。外周着色部は、吸収体の周囲において表面シート12の表面側から視認可能である。使用者は、外周部18に位置する裏面シート14を、表面シート12を介して視認可能である。
【0029】
吸収体20は、吸収コア30と、吸収コア30を包むコアラップ33と、を含んでいてよい。コアラップ33は、吸収コア30の表面側T1を覆う第1コアラップ33aと、吸収コア30の裏面側T2を覆う第2コアラップ33bと、を含んでいてよい。
【0030】
吸収コア30は、特に限定されないが、パルプのような親水性繊維層、及び高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの組合せを含んでいてよい。コアラップ33は、特に限定されないが、例えば透液性のティッシュから構成することができる。
【0031】
ペット用吸収性シート10は、吸収体20と重なる領域において表面シート12の表面側T1から視認可能な着色部80を有する。着色部80は、表面シート12の裏面側T2に配置されている。本実施の形態の着色部80は、第1コアラップ33aの表面側T1の面に印刷されている。なお、変形例において、着色部80は、表面シート12の裏面側の面に設けられていてもよいし、吸収コア30の表面側T1の面に設けられていてもよいし、表面シート12と吸収体20の間にセカンドシートを設け、当該セカンドシートの表面側T1の面に設けられていてもよい。
【0032】
着色部80は、使用対象のペットを指標するペット図柄81と、ペット以外を示す補助図柄84と、を有してよい。ペット図柄81は、ペットの顔を示す柄のみならず、ペットの身体を示す柄や、好物を示す柄を含む概念である。補助図柄84は、ペット以外を示す柄であり、ハート柄、星柄など、任意の柄であってよい。
【0033】
ペット図柄81の第1方向D1の最大寸法は、補助図柄84の第1方向D1の最大寸法よりも大きくてよい。また、ペット図柄81の第2方向D2の最大寸法は、補助図柄84の第2方向D2の最大寸法よりも大きくてよい。補助図柄84に対してペット図柄81が目立ちやすく、使用者は、ペット図柄81を視認することによって使用対象のペットを容易に把握できる。使用者は、ペット図柄81によって使用対象のペットである猫を認識し易く、複数の使用対象のペットがいる場合であっても、使用対象を間違える不具合を抑制できる。
【0034】
ペット図柄の数は、図柄全体の数に対する50%以上であってよい。図柄全体において第1図柄がよりも目立ちやすく、使用者は、第1図柄を視認することによって使用対象のペットを容易に把握できる。また、ペット図柄81の数は、補助図柄84の数以上であってよい。補助図柄84に対してペット図柄81が目立ちやすく、使用者は、ペット図柄を視認することによって使用対象のペットを容易に把握できる。
【0035】
ペット用吸収性シート10の吸収体と重なる領域には、着色部80が複数配置された着色領域R1と、第1方向D1における着色領域R1の間において着色部80が配置されていない非着色領域R2と、が設けられてよい。着色領域R1及び非着色領域R2は、吸収体20の第2方向D2の全域に設けられている。非着色領域R2は、吸収体20の第2方向D2の全域に亘っていずれの着色部80も設けられていない領域である。着色領域R1は、吸収体20の第2方向D2に延びる任意の仮想線上においていずれかの着色部80が設けられた領域である。非着色領域R2は、第1方向D1において着色領域R1に挟まれている。着色領域R1及び非着色領域R2のいずれも、平面視にて、吸収体20の吸収コア30に重なっている。
【0036】
ペットによっては、吸収体の全域に亘って満遍なく排尿せずに、一定の領域(例えば、一方の着色領域R1)のみに偏って排尿することがある。このとき、他の領域(例えば、他方の着色領域R1)には、排尿されないか、排尿量が少なくなる。使用時には、当該着色領域R1の着色部80によって尿を隠蔽できる。また、交換時には、多く排尿された一方の着色領域R1と、少なく排尿された他方の着色領域R1と、を見比べる。このとき、非着色領域R2の両側に着色領域R1が設けられており、一方の着色領域R1と他方の着色領域R1は、非着色領域R2によって分断される。非着色領域R2を挟んだ両側の着色領域R1を比較することで、両側の着色領域R1を比較し易くなる。よって、使用者は、一方の着色領域R1のみが使用され、向きを変える作業を行うべきであるのか、両方の着色領域R1が使用され、交換作業を行うべきであるのかを容易に把握できる。
【0037】
また、着色部80が配置されていない非着色領域R2が設けられているため、当該非着色領域R2では、尿の跡が着色部80によって隠蔽されにくい。よって、使用者は、排尿がペット用吸収性シート10になされたか否かをも容易に把握できる。
【0038】
非着色領域R2は、吸収体20の第1方向D1の中心20LCを跨いでよい。吸収体20の第1方向D1の中心20LCに非着色領域R2が設けられている。非着色領域R2が目立ちやすくなり、使用者は、非着色領域R2を容易に把握し、シートの交換時期をより容易に把握できる。
【0039】
非着色領域R2の第1方向D1の長さL2は、着色部80の第1方向D1の長さL80よりも長くてよい。着色部の第1方向D1の長さよりも非着色領域R2の第1方向D1の長さが長いため、着色部80間の間隔と非着色領域R2を区別し易くなる。よって、非着色領域R2によって両側の着色領域R1を分断する効果をより得やすい。なお、寸法が異なる複数の着色部80を有する構成にあっては、着色部80の第1方向D1の長さは、第1方向D1の長さが最も長い着色部80の長さとする。
【0040】
非着色領域R2の第1方向D1の長さL2は、各着色領域R1の第1方向D1の長さL1よりも長くてよい。非着色領域R2の第1方向D1の長さL2が着色領域R1の第1方向D1の長さL1よりも長いため、非着色領域R2によって各着色領域R1を区別する効果をより得やすい。
【0041】
吸収体20の第1方向D1の中心20LCに対する一方側に配置された着色領域R1の第1方向の長さL1と、中心20LCに対する他方側に配置された着色領域R1の第1方向D1の長さL1と、は異なっていてもよい。各着色領域R1を区別し易くなり、両側の着色領域R1を比較し易くなる。よって、使用者は、一方の着色領域R1のみが使用され、向きを変える作業を行うべきであるのか、両方の着色領域R1が使用され、交換作業を行うべきであるのかを容易に把握できる。
【0042】
吸収体20と重なる領域には、着色領域R1の第1方向D1の外側において、吸収体20の第2方向D2の全域に亘って着色部80が配置されていない第2非着色領域R3が設けられてよい。着色領域R1を挟んだ両側に、非着色領域R2と第2非着色領域R3が設けられる。着色領域R1の着色部80がより目立ちやすくなり、両側の着色領域R1の対比をより行い易くなる。
【0043】
第2非着色領域R3の第1方向D1の長さL3は、着色領域R1の第1方向D1の長さL1よりも短くてよい。着色領域R1を目立たせることができ、使用者は、両側の着色領域R1を比較し易くなる。よって、使用者は、一方の着色領域R1のみが使用され、向きを変える作業を行うべきであるのか、両方の着色領域R1が使用され、交換作業を行うべきであるのかを容易に把握できる。
【0044】
着色部80は、第1色によって着色された第1着色部80Aと、第1色と異なる第2色によって着色された第2着色部80Bと、を有してよい。具体的には、ペット図柄は、第1色によって着色された第1ペット図柄81Aと、第2色によって着色された第2ペット図柄81Bと、を有してよい。また、補助図柄84は、第1色によって着色された第1補助図柄84Aと、第2色によって着色された第2補助図柄84Bと、を有してよい。第1着色部80Aは、第1ペット図柄81Aと、第1補助図柄84Aと、を有する。第2着色部80Bは、第2ペット図柄81Bと、第2補助図柄84Bと、を有する。すなわち、第1ペット図柄81Aと第1補助図柄84Aは、同じ色によって着色されている。また、第2ペット図柄81Bと第2補助図柄84Bは、同じ色によって着色されている。なお、第1ペット図柄81Aと第1補助図柄84Aは、主に第1色によって着色されていればよく、第1色以外の色によって部分的に着色されていてもよい。同様に、第2ペット図柄81Bと第2補助図柄84Bは、主に第2色によって着色されていればよく、第2色以外の色によって部分的に着色されていてもよい。主となる色で着色された状態とは、図柄の90%以上を主となる色で着色された状態である。
【0045】
一方の着色領域R1における第1着色部80Aに対する第2着色部80Bの面積比率は、他方の着色領域R1における第1着色部80Aに対する第2着色部80Bの面積比率と異なってよい。具体的には、第1ペット図柄81Aと第1補助図柄84Aを合わせた着色部を第1着色部80Aとし、第2ペット図柄81Bと第2補助図柄84Bを合わせた着色部を第2着色部80Bとし、面積比率を比較してよい。一方の着色領域R1と他方の着色領域R1とで第1着色部80Aに対する第2着色部80Bの面積比率が異なるため、使用者は、色の構成比率の違いによって一方の着色領域と他方の着色領域を区別でき、両側の着色領域の対比を行い易くなる。
【0046】
好適には、一方の着色領域R1における第1着色部80Aの面積は、他方の着色領域R1における第1着色部の面積と異なってよい。一方の着色領域R1における第1ペット図柄81Aの面積の合計は、他方の着色領域R1における第1ペット図柄81Aの面積の合計と異なってよく、一方の着色領域R1における第2ペット図柄81Bの面積の合計は、他方の着色領域R1における第2ペット図柄81Bの面積の合計と異なってよい。同様に、一方の着色領域R1における第1補助図柄84Aの面積の合計は、他方の着色領域R1における第1補助図柄84Aの面積の合計と異なってよく、一方の着色領域R1における第2補助図柄84Bの面積の合計は、他方の着色領域R1における第2補助図柄84Bの面積の合計と異なってよい。このような構成によっても、一方の着色領域と他方の着色領域とで図柄が異なるため、使用者は、図柄の違いによって一方の着色領域と他方の着色領域を区別でき、両側の着色領域の対比を行い易くなる。
【0047】
一方の着色領域R1における第1着色部80Aの数は、他方の着色領域R1における第1着色部80Aの数と異なってよい。また、一方の着色領域R1における第2着色部80Bの数は、他方の着色領域R1における第2着色部80Bの数と異なってよい。好適には、一方の着色領域R1における第1ペット図柄81Aの数は、他方の着色領域R1における第1ペット図柄81Aの数と異なってよく、一方の着色領域R1における第2ペット図柄81Bの数は、他方の着色領域R1における第2ペット図柄81Bの数と異なってよい。同様に、一方の着色領域R1における第1補助図柄84Aの数は、他方の着色領域R1における第1補助図柄84Aの数と異なってよく、一方の着色領域R1における第2補助図柄84Bの数は、他方の着色領域R1における第2補助図柄84Bの数と異なってよい。このような構成によっても、一方の着色領域と他方の着色領域とで図柄が異なるため、使用者は、図柄の違いによって一方の着色領域と他方の着色領域を区別でき、両側の着色領域の対比を行い易くなる。
【0048】
一方の着色領域R1の着色部と、一方の着色部を通り、かつ第1方向に沿って延びる任意の直線FL上に配置された他方の着色領域R1の着色部と、は、色又は形状の少なくとも一方が異なってよい。使用者が一方の着色領域R1と他方の着色領域R1を比較する際は、第1方向D1に視線を動かして、一方の着色領域R1と他方の着色領域R1を交互に視認する。このとき、第1方向に隣り合う着色部が異なるため、使用者は、着色部の色や形状の違いによって一方の着色領域と他方の着色領域を区別でき、両側の着色領域の対比を行い易くなる。
【0049】
具体的には、図1に示すように、第1方向に沿って延びる任意の直線FL1上には、一方の着色領域R1(図1に示す下側に位置する着色領域R1)の第ペット図柄81Bと、他方の着色領域R1(図1に示す上側に位置する着色領域R1)の第ペット図柄81Bと、が配置されている。これらの図柄は、色は同じであるが、その形状が異なっている(一方側の図柄は、座った状態の猫であり、他方側の図柄は、寝転んだ状態の猫である)。また、第1方向に沿って延びる任意の直線FL2上には、一方の着色領域R1の第ペット図柄81Aと、他方の着色領域R1の第ペット図柄81Bと、が配置されている。これらの図柄は、色が異なるとともに、その形状が異なっている。
【0050】
第1色は、第2色は、異なる色であればよく、特に限定されない。第1色と第2色の異なる程度は、オストワルト色相環によって分類された24色の色票で2以上ずれているものであってよい。
【0051】
また、好適には、第1色は、緑色系の色であってよく、第2色は、紫色系の色であってよい。すなわち、第1着色部80Aを構成する第1ペット図柄81Aと第1補助図柄84Aは、緑色系の第1色によって着色されてよく、第2着色部80Bを構成する第2ペット図柄81Bと第2補助図柄84Bは、紫色系の第2色によって着色されてよい。一般的に、ペットが健康な状態における尿の色は、黄色系であり、ペットが不健康な状態の尿の色は、赤色系である。緑色系の第1着色部80Aと紫色系の第2着色部80Bは、いずれも黄色系及び赤色系に対して区別して認識され易い。よって、使用者は、着色部80と尿とを区別して認識し易く、着色部80が尿の跡であると誤認することを抑制できる。そのため、使用者は、使用前のペット用吸収性シートを使用後のペット用吸収性シートであると誤認し難くなる。
【0052】
また、使用者は、尿と着色部80を区別して認識し易いため、着色部80に着目できる。着色部80によってペット用吸収性シートのデザイン性を向上させることができる。また、着色部80を目立たせることによって、相対的に尿を目立たせなくして、尿の跡をカモフラージュして、尿の隠蔽性を向上させることができる。
【0053】
ここで、健康な状態の尿の色は、RGB表色系に基づくRの値が236~255、Gの値が208~241、及びBの値が29~86の範囲にある色である。また、不健康な状態の尿の色は、RGB表色系に基づくRの値が213~223、Gの値が84~89、及びBの値が53~69の範囲にある色である。
【0054】
第1着色部80Aは、RGB表色系に基づくRの値が0~128、Gの値が165~191、及びBの値が90~113の範囲にある色であってよい。第1着色部は、Rの値、Gの値、及びBの値共に、健康な尿の色及び不健康な尿の色の値と重複してなく、尿に対して区別し易い。
【0055】
第2着色部80Bは、RGB表色系に基づくRの値が127~186、Gの値が65~91、及びBの値が136~151の範囲にある色であってよい。第2着色部は、Rの値及びBの値共に、健康な尿の色及び不健康な尿の色の値と重複してなく、尿に対して区別し易い。
【0056】
これらのRGBの値は、たとえば、市販の色彩計を用いることで計測することができる。本発明における着色部の色は、着色されたシートそのもの色ではなく、表面シートを介して視認した状態の色であり、RGBの値を測定する際は、ペット用吸収性シートの表面側から測定する。
【0057】
上記のRGBの値の範囲に入る第1色、第2色、健康な状態の尿の色、及び不健康な状態の尿の色を用いて、白色基準版に対する色差を測定した。色差は、白色基準板に対する(L*a*b*)色空間のΔL、Δa及びΔbである。測定結果を表1に示す。白色基準板に対する色差は、白色基準板のlab値と対象サンプルのlab値をそれぞれ測定して算出できる。白色基準板は、(X93.19、Y95.20、Z112.28)でlab0に設定する。色差測定器は、例えば、Konica Minolta社製 CR-300を用いることができ、測定機器の光源としては、C光源(国際照明委員会(CIE)の規格)を用いることができる。測定機器の測定窓の直径は、40mmである。ここでLは、明るさを指標する値であり、a、bは、色度の平面座標である。白色基準板のLab値をL0、a0、b0とし、対象サンプルのL1、a1、b1とすると、ΔL=L0-L1、Δa=a0- a1、Δb=b0- b1によって算出できる。
【表1】
【0058】
着色部80は、デザインの輪郭に沿って配置され、着色部80によって囲まれた領域に、非着色部85が設けられてよい。具体的には、ペット図柄81は、猫の輪郭に沿って配置されており、補助図柄84は、蝶の輪郭に沿って配置されている。当該輪郭を構成する着色部80によって囲まれた領域に、非着色部85が設けられている。非着色部85に排尿された場合に、尿と着色部80を比較することができる。また、非着色部85を囲んで着色部80が配置されているため、尿の広がり具合を着色部80によって把握することができる。よって、尿の量を把握することによってもペットの健康状態を把握できる。
【0059】
図3に示すように、第1ペット図柄81Aと重なる領域又は近傍に、第2補助図柄84Bが配置され、第2ペット図柄81Bと重なる領域又は近傍に、第1補助図柄84Aが配置されてよい。ここで、近傍に配置された状態とは、2つの図柄の距離が10mm以下の状態である。第1ペット図柄81Aと第2補助図柄84Bが近接して配置され、かつ第2ペット図柄81Bと第1補助図柄84Aが近接して配置されているため、第1着色部80A及び第2着色部80Bの両方と尿を比較することができる。よって、健康な状態及び不健康な状態を把握し易い。
【0060】
また、使用者は、第1ペット図柄81A及び第2ペット図柄81Bを視認して、使用対象のペットを把握できる。よって、複数種類のペットがいる場合であっても、対象であるペットを把握し易い。対象となるペット毎に健康な状態の尿の色や不健康な状態の尿の色が異なる場合であっても、対象となるペットを把握することで、ペット毎に健康状態を適切に把握し易い。
【0061】
加えて、ペット図柄81と補助図柄84が一体化して設けられているため、デザイン性を高め、尿の隠蔽効果をより高めることができる。好適には、第1ペット図柄81Aと第2補助図柄84Bを組み合わせた第1集合体と、第2ペット図柄81Bと第1補助図柄84Aを組み合わせた第2集合体と、の距離L13は、第1ペット図柄81Aと第2補助図柄84Bの距離L11よりも長く、第2ペット図柄81Bと第1補助図柄84Aの距離L12よりも長くてよい。第1ペット図柄81Aと第2補助図柄84Bを組み合わせた第1集合体と、第2ペット図柄81Bと第1補助図柄84Aを組み合わせた第2集合体と、を認識させ易くなり、ペット図柄81と補助図柄84が一体化させることができる。
【0062】
第1ペット図柄81Aの最大寸法は、第2補助図柄84Bの最大寸法よりも大きく、第2ペット図柄81Bの最大寸法は、第1補助図柄の84Aの最大寸法よりも大きくてよい。第1ペット図柄81A及び第2ペット図柄81Bが目立ちやすく、使用者は、使用対象のペットを把握できる。よって、複数種類のペットがいる場合であっても、対象であるペットを把握し、対象となるペットの健康状態を把握し易い。
【0063】
外周着色部87は、第1色又は第2色を有してよい。外周着色部87が第1色又は第2色を有するため、外周着色部87によって第1着色部80A又は第2着色部80Bを目立たせることができる。よって、着色部80による尿の隠蔽効果をより高めることができる。
【0064】
次いで、図4に基づいて第2実施形態に係るペット用吸収性シート10Xを説明する。図4は、第2実施形態に係るペット用吸収性シートの排泄面側から見た平面図である。なお、第2実施形態の説明において、上述の第1実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
【0065】
第2実施形態の着色部80Xは、ペット図柄811を有し、補助図柄を有しない。使用者は、ペット図柄811を視認することにより、使用対象のペットを容易に把握できる。また、補助図柄がないため、ペット図柄811を目立たせることができ、使用対象を認識させ易い。
【0066】
ペット図柄811は、第1色で着色された第1ペット図柄811Aと、第2色で着色された第2ペット図柄811Bと、を有する。第1ペット図柄811Aと第2ペット図柄811Bは、輪郭のみならず、塗りつぶしされた図柄である。ペット図柄がより目立ちやすく、使用者は、両側の着色領域を比較し易くなる。よって、使用者は、一方の着色領域のみが使用され、向きを変える作業を行うべきであるのか、両方の着色領域が使用され、交換作業を行うべきであるのかを容易に把握できる。
【0067】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
尿と着色部を区別して認識させ、着色部によって尿の隠蔽性を向上できるペット用吸収性シートを提供できる。
【符号の説明】
【0069】
10、10X :ペット用吸収性シート
12 :表面シート
14 :裏面シート
20 :吸収体
30 :吸収コア
33 :コアラップ
80、80X :着色部
80A 第1着色部
80B 第2着色部
81、811 :ペット図柄
81A、811A :第1ペット図柄(第1着色部)
81B、811B :第2ペット図柄(第2着色部)
84 :補助図柄
84A :第1補助図柄(第1着色部)
84B :第2補助図柄(第2着色部)
R1 :着色領域
R2 :非着色領域
R3 :第2非着色領域
T :厚さ方向
T1 :表面側
T2 :裏面側
D1 :第1方向
D2 :第2方向
図1
図2
図3
図4