IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特許-配向検知機構を有する電子弁リーダ 図1
  • 特許-配向検知機構を有する電子弁リーダ 図2
  • 特許-配向検知機構を有する電子弁リーダ 図3
  • 特許-配向検知機構を有する電子弁リーダ 図4
  • 特許-配向検知機構を有する電子弁リーダ 図5
  • 特許-配向検知機構を有する電子弁リーダ 図6
  • 特許-配向検知機構を有する電子弁リーダ 図7
  • 特許-配向検知機構を有する電子弁リーダ 図8
  • 特許-配向検知機構を有する電子弁リーダ 図9
  • 特許-配向検知機構を有する電子弁リーダ 図10
  • 特許-配向検知機構を有する電子弁リーダ 図11A
  • 特許-配向検知機構を有する電子弁リーダ 図11B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】配向検知機構を有する電子弁リーダ
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
A61M1/00
A61M1/00 135
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018562519
(86)(22)【出願日】2017-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 US2017042369
(87)【国際公開番号】W WO2018017471
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】62/363,524
(32)【優先日】2016-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504101304
【氏名又は名称】メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】アメリー,ドリュー
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0092335(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0010338(US,A1)
【文献】特表2001-509049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00 - 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御弁及び磁気インジケータデバイスを有する埋め込み型医療デバイスの設定を決定するための磁気ベース電子弁リーダであって、前記埋め込み型医療デバイスが、前記磁気ベース電子弁リーダから離れて準備され、
ディスプレイを有するハウジングと、
前記磁気インジケータデバイスの空間的ロケーション及び配向を決定するときに使用するための複数の磁気センサデバイスと、
前記ハウンジングの配向の変化をデジタル的に測定する配向検知機構と、
前記複数の磁気センサデバイスから磁気センサ値を受信し、前記ハウジングが前記埋め込み型医療デバイスに向かって移動する際に、前記配向検知機構からの情報に基づいて、前記ハウジングの、前記埋め込み型医療デバイスに対する配向の変化を考慮し、前記埋め込み型医療デバイスの前記制御弁についての設定を決定する少なくとも1つの処理モジュールを含む処理システムとを備える、
前記磁気ベース電子弁リーダ。
【請求項2】
前記配向検知機構は、ジャイロスコープ及び加速度計からなる群から選択される、請求項1に記載の磁気ベース電子弁リーダ。
【請求項3】
前記処理システムは、所定の角度許容窓へのまたは前記所定の角度許容窓の外への前記ハウジングの配向の変化に対して、前記電子弁リーダに関する指示を提供する信号を発生するように構成される、請求項1に記載の磁気ベース電子弁リーダ。
【請求項4】
前記所定の角度許容窓は、電子弁リーダが、前記埋め込み型医療デバイス設定を決定するために再較正される必要があることになる前に前記信号を発生するように設定される、請求項3に記載の磁気ベース電子弁リーダ。
【請求項5】
前記指示は前記ディスプレイ上に提供される、請求項3に記載の磁気ベース電子弁リーダ。
【請求項6】
前記処理システムは、前記ハウジングの前記配向に関する、前記配向検知機構から受信されるデジタル測定値を利用して、前記制御弁についての前記設定を決定するように構成される、請求項3に記載の磁気ベース電子弁リーダ。
【請求項7】
前記処理システムは、前記ハウジングが、第1の位置から、前記埋め込み型医療デバイスに近接する第2の位置に移動する際に、前記埋め込み型医療デバイスに対する前記ハウジングの前記配向に関する、前記配向検知機構から受信されるデジタル測定値を利用して、前記ハウジングが前記第2の位置に在る状態での前記制御弁についての前記設定を決定するように構成される、請求項1に記載の磁気ベース電子弁リーダ。
【請求項8】
前記デジタル測定値は、前記電子弁リーダの空間的配向の変化に関連する、請求項7に記載の磁気ベース電子弁リーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイスに関し、より詳細には、磁気ベース電子弁リーダに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ベースインジケータツールまたは弁リーダは、埋め込み型医療デバイスの設定を決定するために使用される。埋め込み型医療デバイスは、患者の脳内の脳脊髄液(CSF:cerebral spinal fluid)の圧力を制御する流体流量制御弁を含んでもよい。水頭症または他の原因による脳脊髄液(CSF)の過剰な蓄積は、脳内圧力の増加として発現する。CSF圧力を逃がすことは、治療的に有益であり、通常、脳室からCSFを排出するために流体流量制御弁を使用することによって行われる。
【0003】
埋め込み型医療デバイスは、磁石の形態のターゲットを含んでもよい。磁石は、ツールセットが、医療デバイスの設定を決定し、皮下埋め込み式デバイスを取外すことなく設定を変更することを可能にする。ツールセットは、通常、医療デバイスの配向を決定するロケータツール、機械式コンパスによって埋め込み型医療デバイスの設定を決定する磁気ベースインジケータツール、及び別の磁石を使用することによって医療デバイスの設定を変更する調整ツールを含む。ツールセットは、埋め込み型医療デバイス上の磁石と、インジケータツールコンパス及び調整ツール磁石のそれぞれとの間の磁気結合を使用することによって働く。
【0004】
機械式コンパスベースインジケータツールは、医療デバイス上の磁石と、患者の頭皮を通してさえも磁石の位置を決定するのに十分に強いコンパスとの間の相互作用に頼る。磁石-コンパス相互作用は、同様に、特に地球からの外部磁界に対して抵抗力がなければならない。コンパスは、埋め込み型医療デバイス内の磁石の引張りが十分に強くない場合、地磁気と整列する方向に向けてドリフトすることになる。偏向角は、磁石とコンパスとの間の距離が増加するにつれて増加し、不正確なデバイス設定指示をもたらす場合がある。
【0005】
代替的に、磁気ベースインジケータツールは、医療チューブ及びカテーテル等の埋め込み型医療デバイス内の磁気デバイスの3次元ロケーション及び配向を決定するために開発されてきた。これらの代替のロケーションシステムは、通常、埋め込み型弁デバイスの一部である磁気デバイスの回転可能な配向に関連しない。こうしたデバイスの実施例は、米国特許第7,334,582号(Bertrand et al.)に開示され、その特許の開示は参照により本明細書に組込まれる。
【0006】
Bertrand et al.に対する米国特許第8,622,978号は、埋め込み型デバイス内の流体流量弁の位置を評価するためのコンパスベースインジケータを開示する。Bertrand et al.によって述べられる流体流量弁は、水頭症の患者において脳脊髄液(CSF)の流量を制御するために使用されてもよい。このコンパスベースインジケータは、Bertrand et al.に対する米国特許第5,637,083号内で開示される埋め込み型流量制御デバイスと組合せて使用される。Haynor et al.に対する米国特許第5,879,297号及び米国特許第6,129,668号は、複数の磁気センサを使用して留置型医療デバイスに結合された磁石のロケーション及び配向を決定する電子デバイスを開示する。以下の表1は、埋め込み型医療デバイス内の磁気デバイスのロケーション及び配向を決定するためのデバイスを開示する文書を挙げる。
【表1】
【0007】
上記表1に挙げる全ての文書は、参照によりそのそれぞれの全体を本明細書に組込まれる。表1の特許において開示されるデバイス及び方法はいずれも、本開示の構造及び技法を使用することによって有利に修正され得ると本発明者は考える。
【0008】
本開示は、脳脊髄液(CSF)の圧力を制御する流体流量制御弁等の埋め込み型医療デバイスに結合された磁石(磁気インジケータデバイス)のロケーション及び配向を決定するための磁気ベース電子弁リーダを対象とする。電子弁リーダは、埋め込み型医療デバイスと相互作用して、埋め込み型医療デバイスに関連する設定を評価する。磁気ベース電子弁リーダは、複数の磁気センサデバイス(すなわち、磁界センサ)、配向検知機構、及び複数の磁気センサデバイスから発生するデータを使用して、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向を決定する処理システムを含む。埋め込み型医療デバイスに関する動作を制御するために使用される流体流量制御弁に結合されている磁気インジケータデバイスは、処理システムが、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向から制御弁の設定を更に決定することを可能にする。
【発明の概要】
【0009】
或る実施形態において、処理システムは、配向検知機構から発生するデジタル測定値及び情報を利用して、電子弁リーダが埋め込み型医療デバイスに近接して位置決めされると電子弁リーダの3次元(すなわち、x-y-z-軸)配向の変化を考慮することによって、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向を決定する。配向検知機構は、同様にまたは代替的に、デジタル測定値及び情報を処理システムに提供するために使用され得、処理システムは、電子弁リーダの配向をモニターするためにデジタル測定値または情報を使用し、電子弁リーダハウジングが、配向の望ましくないまたは許容できない変動あるいは配向の喪失に近づいていることを臨床医に(例えば、視覚的に、可聴で等で)警告するように構成され得る。
【0010】
本明細書で開示される電子弁リーダの配向検知機構は、既知の読取りデバイスと比較して有意の利点を提供する。或る既知の読取りデバイスによって、電子弁リーダは、外部磁界を推定して、推定された外部磁界を受信されたデータから減算し、それにより、任意の外部磁界がデバイス設定の測定の精度に及ぼす影響を最小にする。このプロセスは、ゼロ設定(減算またはターリング)動作と埋め込み式医療デバイスにわたる電子弁リーダの適用との間で、電子リーダのx-y-z-軸配向を、地球に対して、ユーザが実質的に維持することを要求する。人間の制約及びプロシージャの性質のせいで、使用中に電子弁リーダのx-y-z-軸配向を維持することは、達成するのが難しく、読取りが取得される前に複数回の試みを臨床医が行わなければならないことをもたらし得る。開示される実施形態において、配向検知機構は、電子弁リーダが、1)電子弁リーダの配向変化の内部オフセット計算すなわち配向変化を考慮することを可能にすること、及び/または、2)電子弁リーダの配向が所定の角度許容閾窓におけるまたはそれを超える程度まで変化したという指示または警告を臨床医に提供することを可能にするように設けられ構成される。警告として役立つために、角度許容窓は、電子弁リーダからの「配向の喪失(loss of orientation)」エラーメッセージをもたらし、したがって、臨床医が、読取りプロセスを再開し、電子弁リーダを再較正することを要求することになる窓未満になるように設定される。したがって、配向検知機構を有する開示される電子弁リーダは、使用するのがより容易であり、したがって、プロシージャ時間及びユーザの欲求不満を低減する可能性がある。
【0011】
本開示の更なる態様は、埋め込み型流量制御デバイス、電子弁リーダ、及び調整ツールを含む埋め込み型医療デバイスを備えるシステムを対象とする。埋め込み型流量制御デバイスは、流体流量制御弁に結合された磁気インジケータデバイスを含む。電子弁リーダは、複数の磁気センサデバイス、配向検知機構、及び複数の磁気センサデバイスから発生するデータを使用して、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向を決定する処理システムを含む。埋め込み型流量制御デバイスに関する動作を制御するために使用される制御弁に結合されている磁気インジケータデバイスは、処理システムが、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向から制御弁についての設定を更に決定することを可能にする。或る実施形態において、配向検知機構は、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向を決定するときに使用される情報を処理システムに提供する。幾つかの実施形態において、処理システムは、配向検知機構から発生するデジタル測定値及び情報を利用して、該当する場合、電子弁リーダが、読取りプロセス中に配向の許容できない変動または配向の喪失に近づいているという指示を提供するまたはそのことをユーザに警告するように構成される。
【0012】
本開示は、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向を決定する方法を更に含み、方法は、埋め込み型医療デバイスに隣接して電子弁リーダを設置すること、複数のターゲット磁気センサデバイスから磁界を検出すること、複数のバックグラウンド磁気センサデバイスによって、所定の期間にわたって観測される磁界データのシーケンスからバックグラウンド磁界を推定すること、及び、電子弁リーダによって、埋め込み型医療デバイスのデバイス設定(例えば、制御弁設定)を指示することを含む。複数のターゲット磁気センサデバイス及び複数のバックグラウンド磁気センサデバイスは、ターゲット磁気センサデバイスが埋め込み式流量制御デバイスの近くに位置するときにバックグラウンド磁気センサデバイスが周囲磁界を単に検出することを可能にするのに十分な距離だけ離れて位置する。或る実施形態において、方法は、電子弁リーダの配向検知機構を使用することであって、それにより、ゼロ設定(減算またはターリング)動作と埋め込み式医療デバイスにわたる電子弁リーダの適用との間で、電子弁リーダの配向に関するデジタル測定値を収集する、使用すること、デジタル測定値及び/または情報を処理システムに送出すること、及び、処理システムを使用することであって、それにより、配向検知機構が配向の変化を検知するときに配向変化の内部オフセット計算を可能にし、配向変化を考慮する、使用することを含む。更にまたは代替的に、上記で開示される方法は、配向検知機構によって電子弁リーダの配向をモニターすること、及び、電子弁リーダ配向が所定の角度許容窓の外に変化するとき、読取りプロセスが継続する前に電子弁リーダが再配向され得るように、臨床医に警告することを含んでもよい。幾つかの実施形態において、警告または指示は、電子弁リーダが所定の姿勢から外れ、再較正される必要があることになるときより前に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電子弁リーダと共に使用するための皮下埋め込み型でかつ調整可能な流体流量制御デバイスの斜視図である。
図2図1の皮下埋め込み型でかつ調整可能な流体流量制御デバイスを更に示す断面図である。
図3】電子弁リーダ及び調整ツールを示す略図である。
図4図3の電子弁リーダ等の手持ち式デバイスにおいて使用するための一般的にプログラム可能な処理システムを示すブロック図である。
図5図3の電子弁リーダの磁気センサデバイスを示すディスプレイを示すブロック図である。
図6図3の電子弁リーダの内部構成要素を示すディスプレイを示すブロック図である。
図7図3の電子弁リーダと共に使用するための更なる磁気インジケータデバイスを持つ代替の埋め込み型弁デバイスを概略的に示す。
図8図3の電子弁リーダと共に使用するための更なる磁気インジケータデバイスを持つ代替の埋め込み型弁デバイスを概略的に示す。
図9図3に同様に示す調整ツールと共に使用するときの図3の電子弁リーダの図である。
図10図3の電子弁リーダを使用する1つの例示的な方法のフローチャートである。
図11A】電子弁リーダの一実施例の動作のフローチャートである。
図11B】電子弁リーダの別の実施例の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び2は、皮下埋め込み型でかつ経皮的に調整可能な流体流量制御デバイス10の一実施例を示す。流体流量制御デバイス10は、身体の1つの部分から別の部分に流体を排出するための外科埋め込み式生理学的シャントシステムにおける使用を意図される。例えば、こうしたシステム内で流量制御デバイス10を接続するために、流量制御デバイス10は、入口コネクタ12及び出口コネクタ14を含み、コネクタはそれぞれ、外科チュービング(図示せず)のピースの一端を受取る。外科チュービングの端は、コネクタ12及び14の上に設置され、各コネクタ12、14の端の近くに形成された環状リッジのすぐ内側で単一結紮糸によってコネクタ12及び14上に留められる。
【0015】
流量制御デバイス10が水頭症を処置するために意図されるドレナージシステムにおいて使用されるとき、入口コネクタ12は、圧力下で頭蓋骨を通して脳脊髄液(CSF)を含む脳室に挿入される近位カテーテルに流体接続される。出口コネクタ14は、脳脊髄液を、例えば、患者の心臓の心房部分に放出するのに役立つ遠位カテーテル(図示せず)に流体接続される。通常、流量制御デバイス10は、皮膚のフラップが流量制御デバイス10の上にある状態で患者の頭蓋骨上に外科的に埋め込まれるであろう。埋め込み後に流量制御デバイス10をその所望の位置で保持することを容易にするために、全体的に可撓性がある取付けプレートは、1つまたは複数の縫合穴を備え得る。
【0016】
信頼性の高い流体流量制御デバイス10は、デバイス10を通る単一流路20、及び、弁機構であって、本明細書で開示され以下でより詳細に論じられる電子弁リーダまたは「インジケータツール(indicator tool)」の使用によってデバイス10が皮下に埋め込まれると経皮的に調整され得る、弁機構を有する。流量制御デバイス10は、エラストマーケーシング16内に設置される比較的硬質の成形プラスチックベースを含み、エラストマーケーシング16及び成形プラスチックベースは、共に、入口コネクタ12から出口コネクタ14まで流体流量制御デバイス10を通る流体流路を規定する。弁ハウジングは、流量制御デバイス10を通る流体の流れを制限する経皮的に調整可能な弁機構を含む。調整可能な弁機構には、以下で述べる電子弁リーダを使用して外部に位置付けられ得る磁気インジケータデバイスが結合される。流量制御デバイスは、「Implantable Adjustable Fluid Flow Control Valve」と題するBertrand et al.に発行された米国特許第5,637,083号において詳細に示され述べられ、その開示は参照により本明細書に組込まれる。
【0017】
磁気ベース電子弁リーダ300の例示的な実施形態を示す図である図3をここで同様に参照する。この実施形態の電子弁リーダ300は、ディスプレイモジュール301、弁リーダセンサモジュール303、及び調整ツール305を含む。弁リーダセンサモジュール303は、本明細書で論じられ、‘083号特許において完全に開示される流体流量制御デバイス10等の埋め込み式流量制御デバイスの一体部分である磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向を電子的に決定するそれぞれの磁気センサデバイスを有する磁気センサモジュールに対応する。弁リーダセンサモジュール303は、以下で論じられ、上記で特定された‘668号及び‘297号特許において詳細に開示される複数の磁気センサデバイスを使用する。弁リーダセンサモジュール303は、少なくとも1つの姿勢センサを有する1つまたは複数の加速度センサモジュールを含む配向検知機構に更に対応し得る。弁リーダセンサモジュール303内の処理モジュール(見えない、同様に図6参照)を含む処理システムは、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向、及び、幾つかの実施形態において、読取りプロセス中に電子弁リーダの配向の変化に関する配向検知機構から受信される情報に基づいて、埋め込み式流量制御デバイス内の調整可能な制御弁についての対応する弁設定を決定する。一実施形態において、弁リーダセンサモジュール303は、磁気センサデバイス、姿勢または加速度センサ、及び幾つかの関連する支持エレクトロニクスを含み、一方、処理、ディスプレイ、電力供給回路要素、及び電池は、電子弁リーダ300の残りの部分の内部に含まれてもよい。
【0018】
この情報の全てから、弁リーダセンサモジュール303内の処理モジュールは、ディスプレイデータ及び情報を発生し、ディスプレイデータ及び情報は、その後、電子弁リーダ300のディスプレイモジュール301に出力される(同様に図6参照)。幾つかの実施形態において、ディスプレイデータは、流量制御デバイス内の弁制御機構の配向の視覚指示を示す。電子弁リーダ300のユーザは、このディスプレイデータを使用して、流量制御デバイス10内の制御弁が所望の位置に設定されているかどうかを判定すし得る。
【0019】
動作中、弁リーダセンサモジュール303及びその複数の磁気センサモジュールは、埋め込み式流量制御デバイスが位置していると思われるロケーションで患者の近くに設置される。多くの場合、医師または他のユーザは、流量制御デバイスについてこのロケーションを正確に特定してもよく、弁リーダセンサモジュール303は、埋め込み式流量制御デバイスの上部に位置付けられてもよい。この読取りプロセス中に、加速度または姿勢センサモジュールを有する配向検知機構は、電子弁リーダのx-y-z-軸配向に関連する、デジタル測定値または他の情報を収集し、処理モジュールに提供する(同様に図6参照)。弁リーダセンサモジュール303内のエレクトロニクスは、流量制御デバイスの一部である磁気インジケータデバイスによって発生される磁界に対応する電子信号を処理し検出する。これらの検出される電子信号は、同様に、周囲及び環境発生源に関連する磁界に対応し得る。配向検知機構から検出される任意の該当する配向の変化に関する影響ならびにこれらの周囲及び環境発生源からの影響は、検出される信号から減算されて、流量制御デバイスの一部である磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向についてより正確な指示を決定し得る。複数の磁気センサモジュールのそれぞれからの磁界データは、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向の決定が、5自由度、x、y、z、ピッチ、及びヨーで表現されることを可能にする。
【0020】
流量制御デバイスの一部である磁気インジケータデバイスのこの決定された配向から、また、流量制御デバイスの既知の配向から、処理モジュールは、流量制御デバイス内の制御弁について現在の設定を決定してもよい。磁気インジケータデバイスの位置を制御弁の設定に変換するために必要とされる処理は、その値が、流量制御デバイス内の制御弁の設定に直接対応する磁気インジケータデバイス用の回転円内の位置を回転可能ホイールが有することに対応するため容易に決定される。この変換処理は、その回転円内のコンパスの配向が流量制御デバイス内の制御弁についての設定に直接対応していたとして上記で参照された‘668号及び‘297号特許内で十分に理解され、詳細に開示される。制御弁の目下の位置が決定され表示されると、以下でより詳細に論じるように、調整ツール305は、流量制御デバイス内の制御弁についての設定を変更するために使用されてもよい。
【0021】
或る実施形態において、配向検知機構から受信される情報及び/またはデジタル測定値は、処理システムによって使用されて、配向が、所定の角度許容窓または所定の角度許容窓の境界に近い閾値にあるかまたはその外にあるように、読取りプロセス中の電子弁リーダ300の配向が十分に変動したかどうかの指示または警告306を臨床医に提供し得る。角度許容窓または閾値は、制御弁設定を決定することができない(すなわち、電子弁リーダが所定の姿勢範囲外にある)というエラーメッセージを電子弁リーダ300が提供することをもたらすことになる配向変化より小さい配向変化であるように設定され得、読取りプロセスは、電子弁リーダを再較正した後に再び試みられるべきである。こうして、臨床医は、電子弁リーダ300が所定の姿勢範囲外になる前に電子弁リーダ300が再配向されるべきことを警告される。指示または警告306は、ディスプレイモジュール301またはハウジングによってディスプレイ上に視覚的に提供され得る、及び/または、指示は、同様に、可聴性、振動性、または同様なものであり得る。
【0022】
電子弁リーダ300等の手持ち式デバイスにおいて使用するためのプログラム可能処理システム400を全体的に示すブロック図である図4をここで同様に参照する。磁気弁リーダ処理システム400の一実施形態において、磁気弁リーダ処理システム400は、磁気弁インジケータツール処理システムを提供するように働く。磁気弁リーダ処理システム400が、図4に示す磁気弁リーダ処理システム400を参照して示す構成要素より多い構成要素を含んでもよいことを当業者は理解するであろう。しかし、示す構成要素は、開示される実施形態を実施するための例証的な実施形態を開示するのに十分である。
【0023】
図4に示すように、磁気弁リーダ処理システム400は、必要に応じて、流量制御デバイス10等の埋め込み型流量制御デバイスと接続して使用される。磁気弁リーダ処理システム400は、同様に、全てがバス422を介して接続されている、1つまたは複数の処理ユニット412、ビデオディスプレイアダプタ414、及び大容量メモリを含む。大容量メモリは、一般に、RAM416、ROM432を含み、また、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、またはセキュアデジタルメモリカード等の取外し可能メモリデバイス等の1つまたは複数の大容量記憶デバイスを含んでもよい。メモリデバイスは、磁気弁リーダ処理システム400の動作を制御するためのオペレーティングシステム420を記憶し得る。この構成要素が、UNIX(登録商標)、MAC OS(商標)、LINUX(商標)、またはMicrosoft WINDOWS(登録商標)等の当業者に知られている汎用サーバオペレーティングシステムを含んでもよいことが理解されるであろう。基本入力/出力システム(「BIOS」)418は、同様に、磁気弁リーダ処理システム400の下位レベル動作を制御するために設けられる。
【0024】
上述した大容量メモリは、別のタイプのコンピュータ可読媒体、すなわち、コンピュータ記憶媒体を示す。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータ等の情報を記憶するための、任意の方法または技術において実装される、揮発性及び不揮発性の、取外し可能な及び取外し不能な媒体を含んでもよい。大容量メモリは、同様に、磁気弁リーダ処理プログラムを提供するためのプログラムコード及びデータを記憶する。より具体的には、大容量メモリは、磁気弁リーダ処理プログラム430及び他のプログラム434を含むアプリケーション、ならびに、必要とされる場合がある同様の分析ツールアプリケーション436を記憶する。磁気弁リーダ処理プログラム430は、本明細書で述べる論理を実施するために実行されるコンピュータ実行可能命令を含む。
【0025】
磁気弁リーダ処理システム400は、同様に、タッチスクリーン及び同様な入力デバイスまたは図4に示さない他の入力デバイス等の外部デバイスと通信するための入力/出力インタフェース424を備える。同様に、磁気弁リーダ処理システム400は、仮に更なるデータストレージが必要とされる場合に、同様に示さない更なる大容量記憶設備を更に備えてもよい。
【0026】
図4内に示す磁気弁リーダ処理システム400が、手持ち式のまたは同様の専用処理システム内で通常見出される処理構成要素のセットを示し得ることを当業者は認識するであろう。もちろん、更なる周辺機器及びユーザインタフェースデバイスを含む汎用コンピューティングシステムを含む他の処理システムが、同様に使用されて、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の開示される実施形態によるプログラム可能な処理を実装してもよい。
【0027】
図4は、流量制御デバイス及び電子弁リーダがそこで実装されてもよい好適な動作環境の実施例を示す。その動作環境は、好適な動作環境の一実施例に過ぎず、開示される実施形態の使用または機能の範囲についてどんな制限も示唆することを意図されない。開示される実施形態と共に使用するのに好適である場合がある他のよく知られているコンピューティングシステム、環境、及び/または構成は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、手持ち式またはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、プログラム可能な家電製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記システムまたはデバイスの任意のものを含む分散コンピューティング環境、及び同様なものを含むが、それに限定されない。例えば、専用処理システムは、必要とされる浮動小数点算術を実施するためのプロセッサまたはデジタル信号プロセッサ(DSP)、FLASH、ROM、RAM、及びFPGAを含む種々の内部メモリタイプ、弁較正システム用の何らかの最小外部メモリ、ならびに、スイッチ及びカスタムLCDまたはOLEDディスプレイを動作させる(run)ユーザインタフェース及びディスプレイドライバチップからなってもよい。独占的に埋め込まれたオペレーティングシステムが存在し、リーダプログラムを実装するための特別に書かれたアプリケーションが含まれてもよい。
【0028】
開示される実施形態は、同様に、1つまたは複数のコンピュータあるいは他のデバイスによって実行される、プログラムモジュール等のコンピュータ実行可能命令の一般的なコンテキストで記述されてもよい。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実施するまたは特定のアブストラクトデータタイプを実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む。通常、プログラムモジュールの機能は、種々の実施形態において所望に応じて組合されるまたは分散されてもよい。
【0029】
処理デバイスは、通常、少なくとも何らかの形態のコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、これらのデバイスによってアクセスされ得る任意の入手可能な媒体であり得る。制限ではなく例として、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を備えてもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータ等の情報を記憶するための、任意の方法または技術において実装される、揮発性及び不揮発性の、取外し可能な及び取外し不能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶デバイスまたは他の磁気記憶デバイス、あるいは、所望の情報を記憶するために使用され得、かつ、処理デバイスによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含むが、それに限定されない。
【0030】
通信媒体は、通常、搬送波または他の輸送メカニズム等の変調データ信号で、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータを具現化し、任意の情報配信媒体を含む。用語「変調データ信号(modulated data signal)」は、信号であって、その特性の1つまたは複数がその信号内の情報をエンコードするような方法で設定または変更されている、信号を意味する。制限ではなく例として、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接配線接続等の有線媒体、ならびに、音響、RF、赤外線、ブルートゥース(登録商標)、及び他の無線媒体等の無線媒体を含む。上記の任意のものの組合せが、同様に、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0031】
更に、本明細書で述べる実施形態は、プログラム可能な処理デバイスによって実施される論理演算として実装される。開示される実施形態のこれらの種々の実施形態の論理演算は、(1)コンピューティングシステム上で実行されるコンピュータ実装式ステップまたはプログラムモジュールのシーケンスとして、及び/または、(2)コンピューティングシステム内の相互接続された機械モジュールまたはハードウェア論理として実装される。実装は、本開示を実装するコンピューティングシステムの性能要件に依存する選択の問題である。したがって、本明細書で述べる開示の実施形態を構成する論理演算は、演算、ステップ、またはモジュールといろいろに呼ばれ得る。
【0032】
例示的な実施形態による、電子弁リーダ300内の磁気デバイス520を示すブロック図である図5をここで同様に参照する。電子弁リーダ300は、電子弁リーダ300内の開口501を含み、開口501は、電子弁リーダ300が、埋め込み式流量制御デバイス(例えば、図1~2に関して上述された流量制御デバイス10)の上に位置決めされることを可能にする。電子弁リーダ300は、同様に、複数の磁気センサデバイス510~513を含み、磁気センサデバイスのそれぞれは、電子弁リーダ300内の磁気センサデバイスのそれぞれのロケーションにおける磁界を検出する。各磁気センサデバイス510~513によってそのロケーションで検出される磁界は、バックグラウンド環境磁界と開口501内に位置する磁気デバイス520から生じる磁界の両方によるものである。したがって、種々の磁気センサデバイス510~513からの信号は、処理されて、磁気センサデバイス510~513の既知の位置に対する磁気デバイス520のロケーション及び配向を決定してもよい。
【0033】
複数の磁気センサデバイス510~513によって検出される磁気デバイス520が、流量制御デバイス10内の弁の一部である磁気インジケータデバイスに対応するとき、流量制御デバイス内の制御弁についての設定を正確に決定するために、流量制御デバイスの既知の位置に対する磁気インジケータデバイスの配向を決定することが所望される。一実施形態において、臨床医は、電子弁リーダ300を、埋め込み式流量制御デバイス(例えば、流量制御デバイス10)に対して既知の配向に電子弁リーダ300を配向させる。したがって、磁気インジケータデバイス703、したがって、制御弁の配向は、この既知の配向に対して決定される。他の実施形態において、更なる位置基準についての更なる測定値が使用されて、この配向及び位置変換演算を実施してもよい。電子弁リーダ300内の処理が、周期的にまたは反復的に更新されてもよく、1秒当たり数回起こり得るため、周囲及び環境発生源の磁界は、推定され、複数の磁気センサデバイス510~513によって発生する観測信号から減算されてもよい。これらの磁気センサデバイス510~513は、一般に、電子弁リーダ300の周りの分散したロケーションに位置する。一実施形態において、これらの磁気センサデバイス510~513は、電子弁リーダ300のそれぞれの4つの角のうちの1つの角の周りに位置してもよい。代替的に、異なる数(例えば、3つ、4つ、5つ等)の磁気センサデバイスが利用され得る。このやり方でのこれらの磁気センサデバイス510~513の使用は、電子弁リーダ300が、機械式コンパスベースデバイスと比較して、埋め込み式流量制御デバイスの上で同軸に集中されることに対してより感度が低い状態でより遠い距離の埋め込み式磁気デバイスを検知することを可能にする。
【0034】
図4に関して上記で論じた磁気弁リーダ処理システム400等のプログラム可能な処理システムに対応する、少なくとも1つの処理モジュール620を含む電子弁リーダ300の内部構成要素を示すブロック図である図6をここで同様に参照する。電子弁リーダ300は、複数の磁界センサモジュール601~604によって囲まれるディスプレイモジュール610を使用して構築される。磁界センサモジュール601~604のこれらの4つのセットのそれぞれは、モジュール601~604によって検出される完全な3次元ベクトルの磁界をそのロケーションで測定するために3つの別個のセンサを含む。電子弁リーダ300は、同様に、1つまたは複数の加速度センサモジュールを有する配向検知機構630、アナログ-デジタル変換器モジュール621、及び、観測磁界に対応するデジタル測定値を取得するために組合せ式の磁界センサモジュール601~604によって発生する信号を電子的に処理する組合せ式の磁界センサモジュール611を含む。観測磁界のこれらのデジタル測定値及び任意選択で加速度センサモジュールを有する配向検知機構630から取得されるデジタル測定値は、その後、図4の処理モジュールと同じであり得るまたは別個のサブプロセッサである可能性がある処理モジュール620内で処理されて、電子弁リーダ300用の視野内の磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向を決定する。処理モジュール620は、磁界センサモジュール601~604によって同様に観測される周囲及び環境磁界についての推定値を減算しながら、磁気インジケータデバイスによって発生する磁界を決定する測定磁界データに対する演算を実施する。磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向のこの決定において実施される処理は、配向検知機構630の加速度センサモジュールから受信されるデジタル測定値に基づく調整を除いて、上記で論じたHaynor et al.に対する‘668号及び‘297号特許内でより詳細に述べられる。好適な配向検知機構の実施例は、加速度センサ、オランダ、アイントホーフェン(Eindhoven,Netherlands)のNXPによるNXP-MMA7456L、スイス、ジェノバ(Geneva,Switzerland)のSTMicroelectronicsによるST-LISDE12を含む。
【0035】
図6に一般的に示すように、配向検知機構は、代替的に、姿勢センサを含むジャイロスコープモジュールを有し得る。同様に上述したように、配向検知機構630は、読取りプロセス中に電子弁リーダ300の配向の変化に関するデジタル測定値を磁気弁リーダ処理モジュール620に提供するように構成され得る。例えば、配向の変化は、電子弁リーダ300の配向の有意の変化を臨床医に警告するために処理モジュール620によってモニターされ得る。配向検知機構630から取得されるデジタル測定値は、同様に、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向を決定するときに処理モジュール620によって考慮され得る。好適な配向検知機構の実施例は、オランダ、アイントホーフェンのNXPによるNXP-FXAS21002等のジャイロスコピックセンサを含む。
【0036】
埋め込み型流量制御デバイス(例えば、埋め込み型流量制御デバイス10)に対する磁気インジケータデバイスの上記ロケーション及び配向から、処理モジュール620は、制御弁の設定を更に決定する。或る実施形態において、この設定データは、その後、ディスプレイモジュール610上で臨床医に提示される電子弁リーダ300の配向に関するディスプレイ画像及び/または指示を発生するために使用される。処理モジュール620は、ディスプレイドライバ612を通してディスプレイモジュール610にディスプレイ及び指示データを出力し得る。
【0037】
開示される電子弁リーダ(例えば、電子弁リーダ300)は、コンピュータ可読記憶媒体を受付けるためのメモリカードリーダ631を更に含んでもよい。一実施形態において、この記憶媒体は、デバイスによって使用可能なデータを含むデバイス置換え可能なメモリを提供するためのコンパクトフラッシュ、スマートメディア、セキュアデジタル、及びメモリスティックメモリカードを含んでもよい。例えば、埋め込み型流量制御デバイス(例えば、埋め込み型流量制御デバイス10)は、制御弁に関する特定の設定に対応する特定の圧力設定で流体が流れることを可能にし得る。電子弁リーダが制御弁設定を決定すると、メモリカードからのデータが、対応する圧力設定を表示するために使用されてもよい。弁-圧力設定は埋め込み型流量制御デバイスの特定のモデルによって変動する場合があるため、流量制御デバイスのモデルに対応するメモリカードの使用は、リーダデバイスが、全てのデバイスついて弁-圧力設定データの全てを一度に維持する必要なしで、いろいろな流量制御デバイスについて圧力値を容易に表示することを可能にすることになる。
【0038】
本明細書で開示する電子弁リーダと共に使用するための、更なる磁気デバイスを持つ埋め込み型弁デバイスを概略的に示す図7及び8をここで同様に参照する。上記で論じたように、埋め込み型流量制御デバイスに結合されている検出された磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向は、流量制御デバイスの推定位置に対して使用されて、制御弁設定を決定する。制御弁が既知の円位置の周りに回転するため、磁気インジケータデバイスの磁界が同じ円の周りに同様に回転するように、制御弁に結合された磁気デバイスを位置決めすることによって制御弁が設定されるため、この推定が行われる。ユーザは、電子弁リーダを、埋め込み型流量制御デバイスと整列した配向になるように手動で整列させるように試みる。上記で論じたように、この整列プロセスは、難しい可能性があり、また、読取りプロセス中に電子弁リーダの配向を維持することは、同様に難題である可能性がある。したがって、開示される電子弁リーダは、上記で論じたように、検知するため、また、検知される配向測定値を考慮してオフセット計算を提供するまたは電子弁リーダ配向が配向の許容できない変動または喪失に近づいているまたはそこにあるときを電子弁リーダのユーザに警告するために配向検知機構を含む。
【0039】
代替の実施形態において、更なる磁石710は、弁701及びその磁気インジケータデバイス703から離れたロケーショで埋め込み型流量制御デバイス700に結合される。電子弁リーダ300等の電子弁リーダは、上記で論じたように磁気デバイスを検出するために同じ処理を使用して、更なる磁石710のロケーション及び配向を検出する。更なる磁石710のロケーションは、電子弁リーダ300内の処理モジュール620についての基準点を提供して、電子弁リーダ300の配向を明確に決定する。電子弁リーダ300は、制御弁701の設定を正確に決定するために埋め込み型流量制御デバイス700が電子弁リーダ300に対して既知の配向になるように位置決めされることを必要としない。この代替の実施形態において、制御弁701の設定は、更なる基準磁石710の位置に対して、制御弁701に結合された磁気インジケータデバイス703の配向を決定することによって行われてもよい。この方法を使用して、制御弁701の設定は、正確に、しかし、埋め込み型流量制御デバイスに対する電子弁リーダ300の配向と無関係に行われてもよい。
【0040】
更に別の実施形態において、2つの別個の基準磁石810~811が流量制御デバイス800に付加されるため、制御弁801及びその対応する磁気インジケータデバイス803の配向は電子弁リーダ(例えば、電子弁リーダ300)の位置と無関係である。電子弁リーダについての代替の実施形態において、電子弁リーダはより少数の磁気センサデバイスを利用してもよい。磁気センサデバイスは、検出されるターゲット磁界及びバックグラウンド磁界の全体的な配向に関する情報を提供する。臨床医が、この実施形態において電子弁リーダを、埋め込み型流量制御デバイスと整列した所望の配向に対して配向させると、制御弁801の設定は、バックグラウンド磁界、及び幾つかの実施形態において、電子弁リーダ300の配向の変化を考慮することに加えて、制御弁801に結合された磁気インジケータデバイス803から観測される磁界の配向から決定されてもよい。
【0041】
本明細書で開示される電子弁リーダは、例示的な実施形態による代替の電子弁リーダ300’の図を示す図9に全体的に示すディスプレイモジュール911を含み得る。この実施形態において、電子弁リーダ300’は、電子弁リーダ300’が埋め込み型流量制御デバイスの近くに位置決めされると、制御弁の位置を表示するディスプレイモジュール911を含む。制御弁の位置を決定するプロセスは、代替の実施形態に関して上記で詳細に論じられている。ディスプレイモジュール911は、任意選択で、図3の電子弁リーダ300に関して上記で論じたように配向検知機構によって検知される変化に基づいて、電子弁リーダ300’の配向の変化に関連する、処理システム(例えば、磁気弁リーダ処理システム400)から提供される情報を更に表示し得る。電子弁リーダ300’の全ての他の態様は、所望に応じて、本明細書で開示される代替の実施形態に従って構成され動作し得る。
【0042】
弁の目下の位置が決定され表示されると、上記で開示した調整ツール305と同一である調整ツール305が使用されて、流量制御デバイス(例えば、流量制御デバイス10)内の制御弁についての設定を変更してもよい。調整ツール305は、制御弁の一部である磁気インジケータデバイスのすぐ上に調整ツール305を配向させるために、弁リーダセンサモジュール903の上に設置される磁気結合デバイスに対応する。調整ツール305は、磁気インジケータデバイスに磁気結合され、それにより、弁リーダセンサモジュール903の上の調整ツール305のロケーション内での調整ツール305の回転は、磁気インジケータデバイスを制御弁内で回転させる。磁気インジケータデバイスのこの回転は、磁気インジケータデバイスが弁調整機構またはツール305に直接結合されるため、流量制御デバイス内の制御弁についての設定を変更する。調整ツール305の動作は、Bertrand et al.に対する米国特許第8,622,978号に更に詳細に開示され、その開示は、その全体を本明細書に組込まれる。これらのモジュールは、本明細書で開示するように共に動作して、電子弁リーダ及び弁調整ツールの動作を提供する。
【0043】
読取りプロセス1001、または、例示的な実施形態による本明細書で開示される電子弁リーダによって、埋め込み型流量制御デバイス10等の埋め込み型流量制御デバイスの制御弁の設定を決定する方法を全体的に示す図10をここで同様に参照する。方法は、バックグラウンド磁界についての推定値及び電子弁リーダの姿勢を決定することによって始まる、1003。バックグラウンド磁界値についての推定値は、磁界値のセットを取得することによって決定され、磁界値のセットは、平均されて、環境及び周囲発生源からのバックグラウンド磁界についてこの推定値を取得する。電子弁リーダの姿勢は、配向検知機構によって決定される。次に、方法は、埋め込み型流量制御デバイスの磁気インジケータデバイスのターゲット磁界を検出する、1007、ために、患者内の埋め込み型流量制御デバイスの近くに電子弁リーダを設置する、1005、ことによって継続する。埋め込み型流量制御デバイスに結合される典型的な磁気インジケータデバイスから12cmの距離で通常観測可能なターゲット磁界は、一般的に5ミリガウス未満であるため、電子弁リーダは、約500ミリガウスであると通常観測される地球のバックグラウンド磁界内で電子弁リーダがこの磁界を検出することを可能にするために、電子弁リーダは、流量制御デバイスに出来る限り近くに位置決めされなければならない。この設置中に、電子弁リーダの配向が喪失されるまたは著しく変動する場合があることが考えられる。配向検知機構及びその姿勢センサは、上記で論じたように、電子弁リーダの配向の変化に関するデジタル測定値を処理モジュールに提供して、電子弁リーダの配向変化についての内部オフセット計算を可能にする。
【0044】
電子弁リーダが流量制御デバイスに出来る限り近くに位置付けられると、電子弁リーダは、全ての発生源(すなわち、ターゲット及びバックグラウンド発生源)から被観測磁界を検出する、1007。バックグラウンド磁界推定値1003は、被観測磁界値1007から減算されて、埋め込み型流量制御デバイスの一部である制御弁に結合された磁気インジケータデバイスについての位置及び配向を取得する、1009。幾つかの実施形態において、磁気インジケータデバイスについての磁界の検出ならびに位置及び配向の処理は、数回/秒のレートで反復される。上記で論じたように、電子弁リーダの配向の変化に関連するデジタル測定値は、同様に、磁気インジケータデバイスについての位置及び配向を決定する、1009、ために使用され得る。
【0045】
磁気インジケータデバイスの位置または配向は、流量制御デバイスの既知の配向と比較されて、流量制御デバイスの制御弁についての位置/配向を決定する、1011。流量制御デバイスの既知の配向は、電子弁リーダが、流量制御デバイスに対して特定の位置に配向されることを要求することによって、手動で決定されてもよい。流量制御デバイスの既知の配向は、同様に、上記で論じた別個の基準磁石(すなわち、磁気インジケータデバイス)等の他の基準位置の検出から決定されてもよい。電子弁リーダが制御弁についての設定を決定すると、ユーザは、調整ツールを利用して、弁の設定/配向を、所望に応じて磁気的に回転させる、したがって、変更してもよい。
【0046】
埋め込み型医療デバイスの設定を決定するときの読取りプロセス中に、電子弁リーダの配向の変化を考慮するために配向検知機構が使用される例示的な実施形態による、上記で開示したような電子弁リーダの動作を全体的に示すフローチャートである図11Aをここで同様に参照する。最初に、電子弁リーダは、ゼロ設定またはターリング動作1101~1103を行うために姿勢センサ値及び磁気センサ値を測定して、バックグラウンド磁界を考慮し、1103、電子弁リーダの初期位置を、姿勢センサ位置データまたは他のデジタル測定値1107によって確立する。ステップ1101及び1103は、同時にまたは逆順で起こり得る。磁石較正データ1109は、磁界値のセットを取得することによって決定され、磁界値のセットは、平均されて、環境及び周囲発生源からのバックグラウンド磁界についてこの推定値を取得する。磁界値1109は、処理システムに送出されて、磁石/ターゲットロケーション及び配向の初期推定値1111を準備する。次に、処理システムは、磁石/ターゲットの推定された位置及び配向ならびに磁気センサの配向に基づいて磁気センサ値を予測する、1113。予測値と測定値は、その後、互いに比較される、1115。予測値と測定値が近い一致1117である場合、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向は、任意選択で、信頼度情報と共に臨床医のために表示される、1119。予測値と測定値が近い一致でない場合、磁石のロケーション及び配向の新しい推定値が、近い一致が取得されるまでステップ1113~1117を反復することによって準備される、1121。「近い一致」であると考えられるものについての閾値は、所望に応じて変動し得る。例えば、電子弁リーダ300は、図3に見ら得るように、種々の許容レベル(例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、または2.5)に設定され得る。
【0047】
配向が著しく変動する場合に臨床医が警告されるように電子弁リーダの配向をモニターするために配向検知機構が使用される代替の例示的な実施形態による、上記で開示したような電子弁リーダの動作を全体的に示すフローチャートである図11Bをここで同様に参照する。上記の実施形態と同様に、電子弁リーダは、最初に、ゼロ設定またはターリング動作1201~1203を行うために姿勢センサ値及び磁気センサデバイス値を測定して、バックグラウンド磁界を考慮し、電子弁リーダの初期位置を、姿勢センサ位置データまたは他のデジタル測定値によって確立する。その後、電子弁リーダが埋め込み型医療デバイスに向かって移動するにつれて、姿勢センサ値が、処理システムによってモニターされる。姿勢または配向の変化が、指定された窓の外にあるまたは窓から外れる、1205、場合、配向が範囲外であるまたは窓の外にあるという指示が(例えば、ディスプレイ上で)ユーザに提供される、1207。配向または姿勢が所定の窓内にあるままである場合、磁気センサ値は、測定され、1209、磁気インジケータデバイスのセンサ位置及び磁石較正データ1211~1213と共に使用されて、磁気インジケータデバイスの磁石/ターゲットロケーションおよび配向の初期推定値1215を準備する。次に、処理システムは、磁石/ターゲットの推定された位置及び配向ならびに磁気センサの配向に基づいて磁気センサ値を予測する、1217。予測値と測定値は、その後、互いに比較される、1219。予測値と測定値が近い一致であるとステップ1221にて判定される場合、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向は、任意選択で、信頼度情報と共に臨床医のために表示される、1223。予測値と測定値が近い一致でないとステップ1221にて判定される場合、磁気インジケータデバイスのロケーション及び配向の新しい推定値が、近い一致が取得されるまでステップ1217~1221を反復することによって準備される、1225。「近い一致」であると考えられるものについての閾値は、所望に応じて変動し得る。例えば、電子弁リーダ300は、図3に見られ得るように、種々の許容レベル(例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、または2.5)に設定され得る。
【0048】
本開示は好ましい実施形態を参照して述べられたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更が行われ得ることを当業者は認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B