IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ センター ナショナル ド ラ ルシェルシュ サイエンティフィークの特許一覧 ▶ ユニヴェルシテ ドルレアンの特許一覧

特許7046010自律ハイブリッドステーションによる装置の電気的供給方法
<>
  • 特許-自律ハイブリッドステーションによる装置の電気的供給方法 図1
  • 特許-自律ハイブリッドステーションによる装置の電気的供給方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】自律ハイブリッドステーションによる装置の電気的供給方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20220325BHJP
   H01M 8/04225 20160101ALI20220325BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20220325BHJP
   H01M 8/0656 20160101ALI20220325BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20220325BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20220325BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20220325BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20220325BHJP
   H01M 8/04955 20160101ALI20220325BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20220325BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20220325BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20220325BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220325BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20220325BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20220325BHJP
【FI】
H02J3/38 170
H01M8/04225
H01M8/04537
H01M8/0656
H01M8/00 Z
H01M8/04302
H01M8/04228
H01M8/04303
H01M8/04955
H01M8/00 A
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/38 160
H02J3/38 110
H02J15/00 G
H02J15/00 A
H02J15/00 D
H02J7/35 K
H02J7/35 A
H02J7/00 303B
H02J7/00 303E
H01M8/10 101
H01M8/12 101
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018562642
(86)(22)【出願日】2017-05-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 FR2017051338
(87)【国際公開番号】W WO2017207910
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】1654835
(32)【優先日】2016-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(73)【特許権者】
【識別番号】517218789
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ドルレアン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】ブロー パスカル
(72)【発明者】
【氏名】グロロー セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ルクセル サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ガニエ セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】カイヤール アマエル
(72)【発明者】
【氏名】リュカ トマ
【審査官】須藤 竜也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-345649(JP,A)
【文献】特開2004-032993(JP,A)
【文献】特開平11-046460(JP,A)
【文献】特開2008-011614(JP,A)
【文献】特開2014-122399(JP,A)
【文献】特表2014-523081(JP,A)
【文献】特開2003-288930(JP,A)
【文献】特開2002-075388(JP,A)
【文献】特開2014-216062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H01M 8/04225
H01M 8/04537
H01M 8/0656
H01M 8/00
H01M 8/04302
H01M 8/04228
H01M 8/04303
H01M 8/04955
H02J 3/32
H02J 15/00
H02J 7/35
H02J 7/00
H01M 8/10
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠電源(10)、電気的貯蔵手段(11)、燃料電池(12)、および燃料を生成するための電気化学ユニット(13)を備えるシステム(1)による装置(2)の電力供給方法において、
制御モジュール(30)によるステップの実装を備え、そのステップが、
a)前記装置(2)によって消費される電力および前記間欠電源(10)によって供給される電力に応じて前記システム(1)の電力バランスを判定するステップと、
b)安全期間中に前記電力バランスの安定性を表すデータを受信するステップと、
c)
・前記電力バランスが第1の閾値よりも大きく且つ前記データが前記電力バランスのその後の減少傾向を示さない場合に前記電気化学ユニット(13)を起動し、
・前記電力バランスが前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示さない場合に前記燃料電池(12)を起動する
ように、前記燃料電池(12)および前記電気化学ユニット(13)を制御するステップとを備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(c)が、前記電力バランスが前記第1の閾値よりも小さい前記第2の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示す場合であっても、前記電気的貯蔵手段(11)によって貯蔵されたエネルギーの量が前記安全期間中に前記装置(2)に供給するのに不十分である場合には、前記燃料電池(12)を起動するように前記燃料電池(12)を制御することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(c)が、前記電力バランスが前記第2の閾値よりも大きく且つ前記データが前記電力バランスのその後の減少傾向を示さない場合、前記燃料電池(12)を動作停止するように前記燃料電池(12)を制御することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)が、前記電力バランスが前記第1の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示さない場合、前記電気化学ユニット(13)を動作停止するように前記電気化学ユニット(13)を制御することを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(c)が、前記電力バランスが前記第1の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示す場合であっても、前記電気的貯蔵手段(11)によって貯蔵されたエネルギーの量が前記安全期間中に前記装置(2)および前記電気化学ユニット(13)に供給するのに不十分である場合には、前記電気化学ユニット(13)を動作停止するように前記電気化学ユニット(13)を制御することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記安全期間が、前記燃料電池または前記電気化学ユニット(13)が損傷を受けるのを防止するために、前記燃料電池(12)または前記電気化学ユニット(13)の連続運転の最小推奨期間である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記安全期間が、1分から10分である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記電気化学ユニット(13)が少なくとも1つの電解槽から構成される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記電気化学ユニット(13)および前記燃料電池(12)が単一の可逆装置である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
料が二水素である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記電気的貯蔵手段(11)が、少なくとも1つのバッテリおよび/または少なくとも1つのスーパーコンデンサおよび/または少なくとも1つのフライホイールから構成される、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の閾値が、前記電気化学ユニット(13)の動作に必要な電力に略対応し、前記第2の閾値が略ゼロである、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
間欠電源(10)、電気的貯蔵手段(11)、燃料電池(12)、燃料を生成するための電気化学ユニット(13)および制御モジュール(30)を備えたシステム(1)であって、
-前記システム(1)によって供給される装置(2)によって消費される電力および前記間欠電源(10)によって供給される電力に応じて前記システム(1)の電力バランスを判定するモジュールと、
-安全期間中に前記電力バランスの安定性を表すデータを受信するモジュールと、
-前記電力バランスが第1の閾値よりも大きく且つ前記データが前記電力バランスのその後の減少傾向を示さない場合、前記電気化学ユニット(13)を起動するモジュールと、
-前記電力バランスが前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示さない場合、前記燃料電池(12)を起動するモジュールと、
を実装するように構成されているシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの間欠電源と、化学燃料を生成するための少なくとも1つの電気化学ユニットと、少なくとも1つの燃料電池と、電気的貯蔵手段とを組み合わせた、いわゆる自律ハイブリッドステーションの分野に関する。
【0002】
より正確には、本発明は、そのような自律ステーションを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
再生可能エネルギーの強力な発展の中で、電気設備の柔軟性の必要性が高まっている。
【0004】
基本的に風力および太陽光で表されるこれらの再生可能エネルギーは、原子力発電所とは異なり、実際には一定で定期的な生産を可能にせず、これは、関連する生産の変動性及び予測可能性の問題を生じさせる。これは、非常に短期間のリスクの急激な増加をもたらす。
【0005】
この理由のために、再生可能エネルギー源をバッテリなどの電気的貯蔵手段、および適切な場合には発電機などの補助電源と結合して、それらが意図されている使用のためにバッテリも再生可能電源も十分に電流を供給できない瞬間を補償することが知られている。
【0006】
これらのシステムは、自律ステーションを形成し、時には例えば遠隔地に確実に動力を供給できるように配備することができる容易な輸送(例えば、車輪に取り付けられる)に適していることがある。
【0007】
特に、発電源として燃料電池を使用し、前記電池に燃料を生成する電気化学ユニットをステーションに追加することが提案されている。そのようなステーションは、自律ハイブリッドステーションと呼ばれる。
【0008】
燃料電池は、還元剤燃料(二水素など)の酸化が(空気中の二酸素などの)酸化剤の他方の電極の還元と結合した一方の電極上で行われる発電機である。
【0009】
それゆえに、燃料電池(図1にその例が示されている)の動作は、以下の酸化還元反応によって二水素の場合に支配される。
【0010】
-アノードにおいて:2H→4H+4e
-カソードにおいて:O+4H+4e→2H
【0011】
したがって、アノードで生成された電子の流れは、カソードに再送される前に電荷を供給することができる。
【0012】
燃料を生成する関連する化学ユニットは、典型的には、電流の影響下で酸化還元反応を「強制」する電解槽である。電気分解の原理は、次の式によって要約されることができる:2HO+電気→2H+O。必要に応じて、電流を消費または生成する(したがって、それぞれ二水素を生成または消費する)ことができる他の「可逆的」燃料電池が存在することに留意されたい。
【0013】
したがって、二水素(または他の化学燃料)は、電気エネルギーの化学的貯蔵手段として使用されることができる。これは、間欠電源およびバッテリの電力要件およびレベルにステーションの電気的生産を適合させるために生成または消費される。
【0014】
仏国特許第2972867号明細書は、この点に関して、要求時にバッテリの使用に対する優先権をともなってバッテリが充電された場合にのみ水素が生成されるそのような自律ステーション内のエネルギーを管理する方法を提案しており、燃料電池は、バッテリが深放電閾値に到達する場合にのみ使用される。換言すれば、バッテリは、その利用可能な電力が高閾値と低閾値との間にあるときに使用され、電解槽または燃料電池は、バッテリがそれぞれ高閾値を超えているかまたは低閾値を下回っている場合にのみ使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】仏国特許第2972867号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記解決法は、満足のいくものであり、システム全体の効率を最適化する。
【0017】
しかしながら、燃料電池または電解槽の早期老化を引き起こす可能性が高いことが認識されている。実際に、これらの装置(および一般に電気化学素子)は、低速動作サイクルに適しており、スイッチオンとスイッチオフとの間の時間があまりにも短い場合にはそれらを損傷する「サージ」を受け、逆もまた同様である。
【0018】
その結果、等しく最適化されているが、また、電気化学素子を処理してそれらの寿命を延ばす管理方法を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の態様によれば、本発明は、間欠電源、電気的貯蔵手段、燃料電池および前記燃料を生成するための電気化学ユニットを備えるシステムによる装置の電気供給方法において、
制御モジュールによるステップの実装を備え、そのステップが、
a)装置によって消費される電力および間欠電源によって供給される電力に応じてシステムの電力バランスを判定するステップと、
b)安全期間中に前記電力バランスの安定性を表すデータを受信するステップと、
c)
・前記電力バランスが第1の閾値よりも大きく且つ前記データが前記電力バランスのその後の減少傾向を示さない場合に前記電気化学ユニットを起動し、
・前記電力バランスが前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示さない場合に前記燃料電池を起動する
ように、燃料電池および電気化学ユニットを制御するステップとを備える、ことを特徴とする方法により、これらの欠点を克服することを提案する。
【0020】
本発明にかかる装置は、有利には、単独でまたは技術的に可能な組み合わせのいずれか1つで、以下の特徴によって完成される:
・前記ステップ(c)は、前記電気的貯蔵手段によって蓄えられたエネルギーの量が前記安全期間中に前記装置に供給するのに不十分である場合、前記電力バランスが第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりも小さい場合であっても燃料電池を起動し且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示すように燃料電池を制御することを含み、
・前記ステップ(c)は、前記電力バランスが第2の閾値よりも大きく且つ前記データが前記電力バランスのその後の減少傾向を示さない場合、燃料電池を停止させるように燃料電池を制御することを含み、
・前記ステップ(c)は、前記電力バランスが第1の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示さない場合、電気化学ユニットを停止させるように電気化学ユニットを制御することを含み、
・前記ステップ(c)は、前記電気的貯蔵手段によって貯蔵されたエネルギーの量が前記安全期間中に装置および電気化学ユニットに供給するのに不十分である場合、前記電力バランスが第1の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示場合であっても、電気化学ユニットを停止させるように電気化学ユニットを制御することを含み、
・前記安全期間は、燃料電池または電気化学ユニットが損傷を受けるのを防止するために、燃料電池または電気化学ユニットの連続運転の最小推奨期間であり、
・前記安全期間は、1分から10分の間であり、
・電気化学ユニットは、少なくとも1つの電解槽から構成されており、
・電気化学ユニットおよび燃料電池は、単一の可逆装置であり、
・前記燃料は、二水素であり、
・電気的貯蔵手段は、少なくとも1つのバッテリおよび/または少なくとも1つのスーパーコンデンサおよび/または少なくとも1つのフライホイールから構成されており、
・第1の閾値は、電気化学ユニットの動作に必要な電力に略対応し、第2の閾値は、略ゼロである。
【0021】
第2の態様によれば、本発明は、間欠電源、電気的貯蔵手段、燃料電池、前記燃料を生成するための電気化学ユニットおよび制御モジュールを備え、
-システムによって供給される装置によって消費される電力および間欠電源によって供給される電力に応じてシステムの電力バランスを判定するモジュールと、
-安全期間中に前記電力バランスの安定性を表すデータを受信するモジュールと、
-前記電力バランスが第1の閾値よりも大きく且つ前記データが前記電力バランスのそ
の後の減少傾向を示さない場合、電気化学ユニットを起動するモジュールと、
-前記電力バランスが第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示さない場合、燃料電池を起動するモジュールと、
を実装するように構成されているシステムに関する。
【0022】
本発明のさらなる特徴、目的および利点は、単に非限定的例示によって与えられ且つ添付の図面と併せて読む必要がある以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】先に説明した図1は、既知の水素燃料電池の図である。
図2図2は、本発明にかかる装置を供給する方法を実装するシステムを表している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
一般的なアーキテクチャ
図2は、装置2に供給する本方法を実装するためのシステム1の好ましい実施形態を表している。
【0025】
装置2は、電気を消費する装置の任意の装置またはアセンブリとすることができる。任意の時間において、装置2は、可変とすることができ、所定時間ではゼロとすることができる消費電力P(t)を消費する。
【0026】
システム1は、上述した自律ステーションであり、2つの主要なアセンブリ、すなわち、「電気」アセンブリおよび「化学」アセンブリから構成されている。
【0027】
電気アセンブリは、間欠電源10および電気的貯蔵手段11、ならびに任意の追加の電気部品(変圧器、電気保護システムなど)を備える。
【0028】
間欠電源10は、有利には、1つ以上の再生可能エネルギー源によって供給される。すなわち、電源は、有利には、再生可能エネルギーによって供給される1つ以上の発電機から構成される。好ましくは、間欠電源10は、それゆえに、1つ以上の光起電力パネルおよび/または1つ以上の風力タービンを備える。
【0029】
「間欠」とは、電源10がしたがって制御されることができない外部の物理的現象(太陽、風、温度など)に応じて変動電力P(t)を供給することを意味する。換言すれば、電源10は、燃料を消費せず、(化学燃料を消費する)後に説明する燃料電池12のタイプの装置は、本発明の文脈においては間欠電源10ではないことが明確に理解されるであろう。
【0030】
電気的貯蔵手段11は、一般に、システム1と装置2との間の「バッファ」として機能する。より正確には、それらは、間欠電源10の電力の変動を滑らかにするように電気を貯蔵して放出する。それらは、システム1の他の構成要素10、12、13のそれぞれに電気的に接続されている。電気的貯蔵手段11は、有利には、少なくとも1つのバッテリおよび/または少なくとも1つのスーパーコンデンサおよび/または少なくとも1つのフライホイールから構成される。
【0031】
他方では、化学アセンブリは、少なくとも1つの燃料電池12と、前記燃料13を生成するための少なくとも1つの電気化学ユニットとを備える。これらの2つは、それぞれ、化学燃料を消費することによって電気を生成可能であり、電気を消費することによって前記化学燃料を生成可能である。各燃料電池12および各電気化学ユニット13は、化学反応を行ういくつかの電池を備えることができる。
【0032】
好ましくは(そして、この例は本明細書の後半で使用される)、前記化学燃料は、気体二水素であるが、当業者は、メタノール、蟻酸または水素化ホウ素など、適合する燃料電池が存在する他の燃料を使用する方法を知っている。
【0033】
説明したように、燃料電池12は、一方の電極では前記化学燃料が酸化されるとともに、他方の電極では酸化性燃料、特に大気中の二酸化炭素が還元される発電機である。説明したように、二水素の場合、反応の生成物は水である。
【0034】
燃料電池は、燃焼を行わないので、非常に高いレベルの性能を達成することができる。多くの燃料電池技術、特に水素電池技術が存在し、当業者は、例えば、プロトン交換膜(PEM)燃料電池、または固体酸化物電池を使用することができる。
【0035】
前記燃料13を生成する電気化学ユニットは、燃料電池12とは反対の役割を果たす構成要素である:すなわち、それは電気を消費して前記化学燃料を生成する。化学燃料が二水素である場合、ユニット13は、水からそれを生成し、これは、通常は電気分解によって、換言すれば電位差によって化学反応を行うことによって、自然に大量に見出すことができる。
【0036】
本明細書の後半では、電解槽タイプのユニット13の例が採用されるが、当業者は、他の方法で、例えば熱分解によって化学燃料を生成する方法を知っている。
【0037】
少なくとも1つの電解槽の場合、異なる技術、特にプロトン交換膜技術が関与し得る。そのような技術は、有利には、電気化学ユニット13および燃料電池12が単一の可逆装置であるのを可能にする。換言すれば、この可逆装置は、電流が供給されると二水素を生成し、二水素が供給されると電流を生成する。これは、システム1の構造を大幅に単純化し、そのサイズを大幅に制限する。
【0038】
あるいは、例えば、高温の電解槽が使用可能であり(約800℃の温度で水蒸気の電気分解を行うのに適している)、さらに良好な性能を与える。
【0039】
好ましくは、「化学」アセンブリはまた、「補助装置」、すなわち、二水素を貯蔵する手段14(高圧ボトル)と、必要に応じて圧縮機と、(二水素をユニット13から電池12および/または貯蔵手段14に移送するための)二水素回路15とを備える。生成および消費の単一の装置の場合、回路15は、この装置12、13およびボトル15を接続し、二水素は前後に移動する。
【0040】
明らかに、システム1のサイズに応じて、必要に応じて複数の電池ユニットを有する場合、複数のユニット13および/または複数の電池12が存在し得る。本明細書は、1つのユニット13および1つの電池12の例を取り上げるが、当業者は、これらの要素のいくつかに本方法を適用する方法を知るであろう。
【0041】
システム1はまた、システム1の各要素を制御する制御モジュール30を備える。より正確には、モジュール30は、各要素の起動/動作停止および電気の伝送を制御することによって、装置2の電力供給を管理する。例えば、モジュール30は、貯蔵手段11が充電または放電されているかどうかをチェックする。
【0042】
この理由から、モジュール30は、ここで記載される方法で本方法を実施するように、これらの要素のパラメータ(電源10によって供給される電力、装置2によって消費される電力、貯蔵手段11の充電レベル、利用可能な気体二水素の量など)をいつでも知ることができる。
【0043】
制御モジュール30は、以下に示すように、典型的には電子カードまたはプロセッサであり、有利には通信ネットワーク3に接続されている。
【0044】
方法
本方法は、P(t)として示される装置2によって消費された電力およびP(t)として示される間欠電源10によって供給される電力に応じて、ΔP(t)として示されるシステム1の電力バランスを判定するステップ(a)によって開始する。
【0045】
これらの大きさは、典型的には、関係ΔP(t)=P(t)-P(t)によってリンクされる。電力バランスΔP(t)は、特に供給される電力が弱い場合(例えば、間欠電源10が光電池パネルである場合に雲が通過する場合)、完全に負であり得ることに留意されたい。この場合、これは、システム1が、貯蔵手段11を放電することによっておよび/または燃料電池12を動作させることによって、装置2の動作に欠落した電力をもたらすことを意味する。
【0046】
ステップ(b)において、本方法は、制御モジュール30が安全期間tSECの間の前記電力バランスΔP(t)の安定性を表すデータを受信することを含む。これらのデータに応じて、モジュール30は、後述するように、その完全性を保つように最適な方法でシステム1の構成要素を管理する。
【0047】
換言すれば、制御モジュール30は、前記電力バランスの安定性を表すデータを前処理するためのモジュールとして機能する。
【0048】
実際に、先行技術がシステム1を制御するために電池の充電レベルにフォーカスし、結果として燃料電池12およびユニット13である電気化学素子を無視した場合、本方法は、主に基準の大きさとして電力バランスの変動を使用する。これから分かるように、これは、これらの電気化学素子の寿命を向上させながら、エネルギーの等しく最適な管理を可能にする。
【0049】
前記電力バランスΔP(t)の安定性を表すデータは、装置2によって消費される電力P(t)および/または間欠電源10によって供給される電力P(t)に関する暫定データを意味する。
【0050】
例えば、前記データが供給された電力P(t)のその後の減少を表す場合、制御モジュール30は、電力バランスΔP(t)が安定しておらず且つ減少すると判定することができる。
【0051】
したがって、安全期間tSECの間の前記電力バランスは、有利には、以下のように判定される:
-安定的である(すなわち、略一定であり、ΔP(t)≒ΔP(t+tSEC)を意味する)、
-下向きに不安定である(すなわち、ΔP(t)>ΔP(t+tSEC))、または
-上向きに不安定である(すなわち、ΔP(t)<ΔP(t+tSEC))。
【0052】
電力バランスの「将来の」値(すなわち、安全期間の終わり)が推定されてもよいが、安定性の評価のみが必要であるため、これは必須ではない。
【0053】
前記安全期間tSECは、有利には、その損傷を回避するために、燃料電池12または電気化学ユニット13の連続運転の最小推奨期間に対応し、それが「安全」と呼ばれる理由である。 より正確には、これが早期経年劣化を引き起こす危険性があるため、燃料電池12または電気化学ユニット13の状態(起動/動作停止)を変更することが同様に望ましくない満了前の期間である。
【0054】
これらの電気化学素子の既存の技術に関して、前記安全期間は、典型的には1から10分である。
【0055】
前記電力バランスの安定性を表すこれらのデータは、概して説明したように、電源10の生成および/または装置2の消費に影響を及ぼすことができる全ての情報を含む。
【0056】
これらのデータは、例えば再生可能エネルギーの生成手段がどの程度生産的であるかを示すことができる気象的起源のような局所的に得られる一般的なデータとすることができるが、好ましくは、それらは、通信ネットワーク3(典型的にはインターネット)によって、具体的にはボックス31を介して、特にリアルタイムで供給されるより複雑なデータを包含する。
【0057】
消費に関しては、予測データは、モデルによって推定されたデータ、または単に前日からのデータ、または可能であればさらに装置2の動作計画とすることができる。
【0058】
1つの実施形態では、ボックス31は、インターネットアクセスプロバイダ(例えば、自律運用のための4Gモデム)によって提供され、Wi-Fi、イーサネット(登録商標)またはUSB接続などのネットワーク接続手段によって制御モジュール30に接続されたインターネットアクセスを有する装置である。データは、単にシステム1を動作させ電力供給業者のサーバ上の前処理されたデータであってもよい。
【0059】
本発明は、前記電力バランスの安定性を表す特定のタイプのデータに限定されるものではなく、また、これらのデータを提供する特定の方法に限定されるものでもない。
【0060】
制御
ステップ(c)において、モジュール30は、装置2に最適に供給するように、電力バランスおよびその推定された安定性に応じて、燃料電池12および電気化学ユニット13(およびシステム1の他の要素)を制御する。
【0061】
特に、電気化学ユニット13は、前記電力バランスが第1の閾値よりも大きく且つ前記データが前記電力バランスのその後の減少傾向を示さない場合に(そして、有利には、その場合にのみ)起動される。
【0062】
第1の閾値は、PH2として示される電気化学ユニット13の動作に必要な電力(すなわち、電気化学ユニット13の電力ならびにその補助装置の電力)に有利に実質的に対応する。
【0063】
換言すれば、ΔP>PH2、すなわち、P>P+PH2である場合、換言すれば、電源10が同時に持続可能な方法で装置2および電気化学ユニット13の双方に電力を供給するのに十分な電力を供給する場合にのみ、水素の生成が指示される。
【0064】
より正確には、たとえ電力が十分であっても、暫定データが安全期間よりも長く持続しないことを示す場合、電気化学ユニット13は起動されない。これは、数分後に動作停止することおよびその起動後(安全期間の終了前)の短すぎる時間のこのスイッチオフに関連するダメージを回避する。
【0065】
不安定性による非起動の場合、(装置2によって使用されない)余剰電力は、可能であれば、貯蔵手段11を充電するために使用される(最悪の場合、シナリオが失われるが、これは数分よりも長く継続することができないため、それは無視される)。
【0066】
燃料電池12に関して、それは、前記電力バランスが第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示さない場合(有利には、後述する可能な単一の例外をともなって、その場合にのみ)に起動される。
【0067】
第2の閾値は、有利には略ゼロである。換言すれば、0≧ΔP、すなわちP≦Pの場合にのみ、または、換言すれば、電源10が少なくとも装置2に供給するのに十分な電力を供給しないが持続可能な方法である場合、水素の消費が指令される。
【0068】
より正確には、電力が不十分であっても、暫定データが安全期間よりも長く持続しないことを示す場合(これは、電源10が少なくとも装置2に数分間供給するのに十分な電力を供給することを意味し、したがって、水素の消費がもはや必要ではないことを意味する)、燃料電池12は起動されない。これは、数分後に動作停止することおよびその起動後(安全期間の終了前)の短すぎる時間のこのスイッチオフに関連するダメージを回避する。
【0069】
この時間経過の間、装置2は、電力P-Pの残りの部分を回収するために貯蔵手段11を放電する。この状況は数分を超えて継続してはならないため、バッテリの充電は、通常は十分である。
【0070】
前記電力バランスが第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示す場合であっても、貯蔵手段11によって貯蔵されたエネルギーの量が前記安全期間中に装置2に供給するのに不十分である場合には、燃料電池12の緊急起動がなおも想定され得ることに留意すべきである。
【0071】
これは、装置2の供給が突然中断され、装置2が重要である場合(電気通信装置、軍事装置など)、サービス品質の問題および潜在的に深刻な結果を招くという問題のある状況を回避する。
【0072】
より正確には、Qがバッテリの電荷であり且つシステム1(さらに必要な場合には装置2)が電圧Uで動作する場合、Q*U<(P-P)*tSECであれば緊急起動が行われる。
【0073】
電力バランスが2つの閾値の間の中間領域にある場合(換言すれば、電源10が装置2に供給するのに十分な電力を供給するが、装置2および電気化学ユニット13に同時に供給しない場合)、すなわち、PH2>ΔP>0、すなわち、P+PH2>P>Pである場合、電気化学素子12および13を同様に保護しながらシステム1の性能を同様に最適化するように、所定の決定が有利には制御モジュール30によって行われる。
【0074】
換言すれば、第2の閾値に関して、燃料電池12は、前記電力バランスが第2の閾値よりも大きく且つ前記データが前記電力バランスのその後の減少傾向を示さない場合(有利には、場合にのみ)-換言すれば、電源10が少なくとも装置2に供給するのに十分な電力を持続可能な方法で供給する場合には、好ましくは(先に起動状態の場合)動作停止される。
【0075】
より正確には、理論上、二水素の消費をもはや必要としないように現時点では十分な電力が供給されるが、暫定データが安全期間より長く持続しないことを示す場合(電源10によって供給される電力が同様に少なくとも装置2に数分間供給するには不十分であり、したがって水素の消費が同様に必要となることを意味する)、燃料電池12は動作停止されない、すなわち、起動されたままである。これは、数分後に再起動することおよびその動作停止後(安全期間の終了前)の短すぎる時間のそのようなスイッチオンに関連するダメージを回避する。
【0076】
同様に、第1の閾値に関して、電気化学ユニット13は、前記電力バランスが第1の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示さない場合(有利には、後述する可能な単一の例外をともなって、その場合にのみ)-換言すれば、電源10が装置2および電気化学ユニット13の双方に同時に持続可能な方法で供給するのに十分な電力を供給しない場合には、好ましくは(先に起動状態の場合)動作停止される。
【0077】
より正確には、総電力が二水素を生成し続けるには不十分であっても、暫定データが安全期間よりも長く持続しないことを示す場合(これは、電源10が装置2および電気化学ユニット13に同時に数分間供給するのに十分な電力を供給し、したがって水素の生成が再び可能になることを意味する)、電気化学ユニット13は動作停止されない、すなわち、起動されたままである。これは、数分後に再起動することおよびその動作停止後(安全期間の終了前)の短すぎる時間のこのスイッチオンに関連するダメージを回避する。
【0078】
この時間経過の間、装置2は、間欠電源10のエネルギーを使用するとともに、電気化学ユニット13は、電力P+PH2-Pの残りの部分を回収するために貯蔵手段11を放電する。この状況は数分を超えて継続してはならないため、バッテリの充電は、通常は十分である。
【0079】
前記電力バランスが第1の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示す場合であっても、電気的貯蔵手段11によって貯蔵されたエネルギーの量が前記安全期間中に電気化学ユニット13に供給するのに不十分である場合には、電気化学ユニット13の緊急動作停止がなおも想定され得ることに留意すべきである。
【0080】
これは、電気化学ユニット13の供給が突然中断され、動作停止および密接に起こる動作停止に起因する早期経年劣化よりも著しいダメージを引き起こすという問題のある状況を回避する。
【0081】
より正確には、Qがバッテリの電荷であり且つシステム1(さらに必要な場合には装置2)が電圧Uで動作する場合、Q*U<(P+PH2-P)*tSECであれば緊急起動が行われる。
【0082】
そのような場合、電力バランスΔPが第1の閾値を超えて増加すると、その後の電気化学ユニット13の再起動が遅れる可能性があることが想定され得ることに留意されたい。
【0083】
方法
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様にかかる方法を実装するシステム1に関する。
【0084】
このシステム1は、間欠電源10、電気的貯蔵手段11、燃料電池12、前記燃料13を生成するための電気化学ユニット、および制御モジュール30(さらに必要に応じて電気的または化学的補助装置)を備える。
【0085】
制御モジュール30は、
-システム1によって供給される装置2によって消費される電力および間欠電源10によって供給される電力に応じてシステム1の電力バランスを判定するモジュールと、
-安全期間中に前記電力バランスの安定性を表すデータを受信するモジュールと、
-前記電力バランスが第1の閾値よりも大きく且つ前記データが前記電力バランスのその後の減少傾向を示さない場合、電気化学ユニット13を起動するモジュールと、
-前記電力バランスが第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示さない場合(有利には、前記電気的貯蔵手段11によって貯蔵されたエネルギーの量が前記安全期間中に装置2に供給するのに不十分である場合、前記電力バランスが第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示さない場合にのみ)、燃料電池12を起動するモジュールと、
を実装するように構成されている。
【0086】
有利には、制御モジュール30はまた、
-前記電力バランスが第2の閾値よりも大きく且つ前記データが前記電力バランスのその後の減少傾向を示さない場合、燃料電池12を動作停止するモジュールと、
-前記電力バランスが前記第1の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示さない場合(有利には、電気的貯蔵手段11によって貯蔵されたエネルギーの量が前記安全期間中に装置2および電気化学ユニット13に供給するのに不十分である場合、前記電力バランスが第1の閾値よりも小さく且つ前記データが前記電力バランスのその後の増加傾向を示さない場合であっても)電気化学ユニット13を動作停止するモジュールと、
を実装する。
図1
図2