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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】卵液を得るための装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/14 20060101AFI20220325BHJP
   A23L 15/00 20160101ALI20220325BHJP
【FI】
A47J43/14
A23L15/00 E
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019501470
(86)(22)【出願日】2017-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 NL2017050472
(87)【国際公開番号】W WO2018012972
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-03-24
(31)【優先権主張番号】16001556.6
(32)【優先日】2016-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500513033
【氏名又は名称】モバ グループ ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】ラミレス-エルナン,フィリップ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03147783(US,A)
【文献】実開昭51-058191(JP,U)
【文献】米国特許第05285750(US,A)
【文献】特開2003-266388(JP,A)
【文献】蘭国特許発明第01010910(NL,C)
【文献】特開2016-220648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/14
A23L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家禽卵から卵液を得るための装置であって、
家禽卵をその主軸に沿って実質的に縦方向に固定式に保持し、位置決めするための卵ホルダと、
卵開放装置であって、縦方向に位置決めされた後で前記家禽卵を両端部において切り落とし、それによって液体を下方向に流して落下させ、前記卵ホルダの下方に配置された少なくとも1つの液体収集リザーバに入れる、卵開放装置と、
前記家禽卵の位置決めならびに前記開放装置および前記卵ホルダの駆動を制御するための制御装置と
前記卵ホルダを回転させるように構成されたグリッパ回転ユニットと、を備える、
装置。
【請求項2】
前記開放装置が、5≦d≦20mmである直径dを有する円に実質的に沿って延びる切断先端部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記円が、前記主軸に対して垂直な平面内に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記卵ホルダが、卵をその主軸に対して実質的に平行に両側においてクランプするためのクランプ装置を備え、前記クランプ装置は、実質的に水平な軸周りで回転可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記クランプ装置が、2つのクランプ・ハンドを備えることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記卵開放装置が、レーザ・ビームを含む切断先端部を使用するように構成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、前記レーザ・ビームを提供するためのレンズのシステムを含むことを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
レンズの前記システムが、少なくともアキシコン・レンズを含むことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記レーザ・ビームが、CO2レーザ装置によって生成されることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記レーザ・ビームが、Nd:YAGレーザ装置によって生成されることを特徴とする、請求項6から8に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、卵殻片吸引口と、ガス・ブロー口をさらに備え、これらはそれぞれ、前記卵の両端部に対して移動することによって、切り離された殻片をその後除去し、卵液を切断された卵から外方向にブローして、前記卵液を付勢して前記卵から下方向に流して落下させ、滴下させるように構成されたことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、卵切断先端部を提供するための超音波振動発生装置を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記発生装置が、ホーン・タイプの振動装置であることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ホーンが、超音波振動によって切断すると共に、卵殻片を吸引するために使用されることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記グリッパ回転ユニットは、前記卵ホルダを180°の角度にわたって回転させるように構成されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
家禽卵から卵液を収集するための方法であって、各卵に対する以下の連続する工程、すなわち、
前記卵をその主軸に対して平行に実質的に前記卵の両側において把持する工程であって、前記卵は、その主軸に沿って実質的に縦方向に位置決めされる、工程と、
前記卵を両端部において切り落とす工程と、
上方から前記両端部内にブローして、前記液体を付勢して下方向に流し、落下させて少なくとも1つの液体収集リザーバに入れる工程と、
前記卵をその上端部において切り落とす工程であって、前記卵は、第1の切り落としの後で前記卵の短軸周りで、特に実質的に180度の回転で回転される、工程と、
を含む、方法。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の装置を使用して実施される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家禽から卵液を得るための装置に関する。さらに、本発明は、家禽卵から卵液を得るための方法、およびそのような方法を実施するための対応するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、卵白および卵黄を第1の工程で回収し、第2の工程で別個に処理するように家禽卵を破砕装置内で割ることが一般的であるこの工業用途分野では広く知れ渡っており、よく知られている。
【0003】
たとえば、卵を割る破砕装置が存在しており、この破砕装置には、別々の卵黄収集カップおよび卵白収集カップが設けられており、これは、たとえば欧州特許第1988805号に開示されている。
卵黄および卵白を収集する別の例は、NL1010910に示されている。この文献では、液体を僅かに下方向に移動させるように斜めに配置されたガッタ内に卵黄および卵白の両方が一緒に受けられるように卵を割ることが開示されている。そのような組立体は、しばしばシュートと呼ばれる。その後卵白および卵黄を分離するために、ガッタ壁が僅かに分離されてスリーブを形成し、その間を通って卵白が下方向に流れ、滴下し、落下し、一方で卵黄はガッタの遠位端部に移動し、そこで大きな容器内に落下する。
明らかなことに、液体成分を収集する両方の方法、すなわち割ることおよび分離することをほとんど同時に行う第1のもの、および割ることおよび分離することを順次行う第2のものは、適切な結果を得ることが示されている。
【0004】
上記では、詳細には卵黄および卵白を得て収集するためのルートに対処されている。高い関心がもたれる別の問題は、卵を開く方法である。上記の文献でも読み取ることができるように、そこでは卵は、上方向運動でそのような卵の下方から打ち破るナイフによって切断される。結果として生じた主に2つの卵殻の半体が、側部保持部分内に保持され、一方で液体は下方向に落下し、流れ、滴下する。
この方法は長年使用されてきているが、平均的にいくらかの液体が常に失われており、一方で卵殻片がしばしば液体内に混合されることが明確になり得る。
【0005】
別の開く方法が、たとえば、DE102009052976、米国特許第5285750号、DE12004021315、DD291471、または国際公開第0219881号に提示されており、そのような卵殻をレーザ切断するためのレーザの使用を開示している。
米国特許第5285750号では、CO2レーザまたはNd-YAG-レーザが、接種目的で非常に小さい穴(0.5-1mm)を卵殻内に開けることから使用される。
DD291471および国際公開第0219881号では、レーザは、卵の主(すなわち長い)軸の約半分のところの通常の場所で卵殻を切断している。
【0006】
DE102004021315では、家禽卵から卵白および卵黄を分離するための機械が開示されている。2つの側を開いた後、液体は外にブローされ、その後収集される。
明確には、次の方策および工程順序が説明され、特許請求されている。
- 卵を加速器内に配置した後、前記卵は、そのような卵内の卵黄が卵の鈍角側に移動されるように加速される。
- そのような加速の後、卵はくぼみ内に実質的に縦方向に置かれ、それによって先端を下側に鈍角側を上側にして円錐シート内に載置する。
- 前記下側をナイフ先端部またはレーザで切り落とす。
- 上側の少なくとも1つの位置で、卵殻を貫き適切な(according)ピン穴を作り出す。
- すべての液体を前記卵から付勢するために、たとえば空気をブローして前記ピン穴に通す。
- 卵から外にブローした後、前記液体をすべて収集する。
ここでは、装置のセット・アップの性能は、以下の特徴の組み合わせに大きく依存する。
- 卵を位置決めし、配向すること、
- 適切なブロー穴の配置をうまく行うこと、および
- そのような穴に通すブロー、たとえばブロー時間。
この破砕機のセット・アップは明確に定められた液体収集をもたらすが、多くの改良の余地が明らかである。
たとえば、卵を位置決めする方法では、このセット・アップ内に残される自由度は多すぎる。
さらに、きちんと決められた液体取り出し穴を得るには、卵殻処理もまた改良されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、知られているシステムのそのような欠点を解消することを目的とする。本発明の一態様によれば、この目的のために、装置であって、
- そのような卵をその主軸に沿って実質的に縦方向に固定式に保持し、位置決めするための卵ホルダと、
- 卵開放装置であって、縦方向に位置決めされた後で家禽卵を両端部において切り落とし、それによって液体を下方向に流して落下させ、卵ホルダの下方に配置された少なくとも1つの液体収集リザーバに入れる、卵開放装置と、
- 家禽卵の位置決めならびに前記開放装置および前記卵ホルダの駆動を制御するための制御装置とを備える、装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明を適用することにより、卵液を収集することにおいて良好な結果が得られ、非常に有利で効率的かつ確実な卵液処理パラメータおよび改善された衛生状態を与えることが明らかである。
【0009】
本発明の装置の別の実施形態は、次のさらなる有利な特徴の1つまたは複数を特徴とする:
前記開放装置は、5≦d≦20mmである直径dを有する円に実質的に沿って延びる切断先端部を備え、
前記円は、前記主軸に対して実質的に垂直な平面内に配置され、
前記卵ホルダは、卵をその主軸に対して実質的に平行に両側でクランプするためのクランプ装置を備え、
卵ホルダは、特に実質的に水平な軸の周りで回転可能である回転可能なクランプ装置を備える、
前記クランプ装置は、2つのクランプ・ハンドを備え、
前記切断先端部は、レーザ・ビームを含み(またはこれによってもたらされる)、
前記レーザ・ビームは、レンズ(およびたとえばレーザ源)のシステムによって得られ、
レンズの前記システムは、少なくともアキシコン・レンズを備え、
前記レーザ・ビームは、CO2レーザ装置によって生成され、
前記レーザ・ビームは、Nd:YAGレーザ装置によって生成され、
前記装置は、卵殻片吸引口をさらに備え、
装置は、ガス・ブロー口をさらに備える。
卵殻片吸引取付体およびガス・ブロー口はそれぞれ、卵端部に対して(およびこれから離れるように)移動することによって、切り離された殻片をその後除去し、卵液を切断された卵から外方向にブローして、卵液を付勢して卵から下方向に流し、落下させ、滴下させる。
前記切断先端部は、超音波振動発生装置である(またはこれによってもたらされる)。
前記発生装置は、ホーン・タイプの振動装置である。
前記ホーンは、超音波振動によって切断すると共に、卵殻片を吸引するために使用される。
【0010】
そのようなコンパクトなレーザ切断装置または超音波切断装置を有することで、本発明のセット・アップは、これまで使用されてきた従来技術のナイフ破砕ユニットと置き換わるのに非常に適していることが明らかである。
【0011】
これまで利用可能であり、上記で言及したような装置の作業方法を有する卵を切断するための方法を改良するために、本発明による方法は、次の連続する工程、すなわち、
- 卵をその主要軸に対して平行に実質的に卵の両側において把持する工程であって、卵は、その主要軸に沿って実質的に縦方向に位置決めされる、工程と、
- 卵を両端において切り落とす工程と、
- 上方からそのような端部内にブローして、液体を付勢して下方向に流し、落下させて少なくとも1つの液体収集リザーバに入れる工程とを含む。
【0012】
本発明の実施形態による装置および方法の別の大きな利点として、特にこうした種類の殻片の切断および除去のさらにより正確な処理が生じる場合に、衛生状態が極めて改善される。一方では、液体内に残存する殻片はかなり低減され、その一方で他方では、連続する卵上で続けて何回も使用される破砕機ナイフ(従来技術の方法で使用されるもの)による相互汚染が完全に回避される。
【0013】
さらに、本発明の作業方法の結果として良好に縁取りされた開口穴を有することで、結果として、前記ブローはより効率的かつ適切となり、それにより、卵液取り出し量に関する性能をこれに対応して改善する。
【0014】
本発明の方法の別の実施形態は、卵をその上端部において切り落とす工程であって、前記卵は、第1の切り落としの後で卵の短軸周りで回転される、工程を特徴とする。
【0015】
本発明は、さらに、
家禽卵から卵液を収集するためのシステムであって、
- 卵供給装置と、
- 卵開放装置と、
- 卵液受け取り装置と、
- 対応する全卵液収集カップ内に卵を流し、落下させた後、卵液内容物を検出するためのカメラ・システムと、
- 卵白-卵黄分離装置と、
- 卵黄収集リザーバと、
- 卵白収集リザーバと、
- 全液卵収集リザーバとを備える、システムをさらに備える。
特に、そのようなシステムは、液体を卵からカップ内に流出させるためのブロー装置を用いることを特徴とする。
【0016】
本発明のシステムは、設置面積、液体産出量、ならびにとりわけ、液体生成物に関する、および現在では洗浄の回数が極めて低減されたシステム部材に関する両方の衛生状態に関して、利点を与えることが明らかである。
【0017】
これ以後、本発明は、図を参照することによって詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】レーザ切断によって卵を開くための第1の状況にある本発明の装置の非限定的な実施形態を示す図である。
図2】第2の状況にある図1の装置を示す図である。
図3】第3の状況にある図1、2の装置を示す図である。
図4】超音波振動切断によって卵を開くための状況にある本発明の装置の別の実施形態を示す図である。
図5】先行する図1、2、3または4の1つに示すような装置を備える、本発明によるシステムの実施形態を提示する図である。
図6】複数の卵をレーザ切断するための高出力レーザ・ビーム分岐システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
それぞれの図では、同じ部材または表示は、同一に番号付けされ、または標識される。
【0020】
図1では、本発明の一例による卵開放装置1の第1の実施形態の等角図が示され、第1の作業状況を提示している。装置1は、
- 卵を実質的に縦方向の配向で(すなわち卵の中央主軸を図のように実質的に縦方向の配向にして)保持するように構成された卵ホルダ5a、5bと、
- ホルダ5a、5bによって保持された卵を両端において切り落とすための卵開放装置と、
- 卵液を収集するための少なくとも1つの液体収集リザーバ14(図5を参照)であって、卵ホルダの下方に配置された、液体収集リザーバと、
- そのような卵の位置決めならびに前記開放装置および前記卵ホルダの駆動を制御するための制御装置6とを含む。
【0021】
より具体的には、第1の実施形態のこの装置は、卵Eを両端においてレーザ光によって切り落とすためのレーザ切断装置1である。この第1の状況では、そのようなレーザ光は、実質的に水平に入来する光ビーム2aとして供給され、その後鏡またはビーム・スプリッタ3によって曲げられ、レンズ・システム4によって処理され、切断光ビーム2bとして前記卵に露出される。
この図1に示すように、装置1は、グリッパ回転ユニットに装着されたグリッパ半体5a、bを備えた、グリッパ・コントロール6を有する卵グリッパまたはホルダと、ガス供給導管81を備えた液体ブロー・ユニットと、吸引ガイド71を備えた卵殻片吸引ユニット7とをさらに備える。
図1に見ることができるように、グリッパ半体5aの設計は、半体5bの設計とは異なる。http://www.moba.net/page/nl/Packing/Moba-Farmpackers/Mopack-100に参照される、MO PACK 100製品の所有者である出願者にとって、この設計は非常に適しており、より具体的には、非常に適した特定の方法の把持および保持方法を有することを示している。しかし、異なる設計も同様に適し得る。卵Eは、その長い軸を実質的に縦方向にして把持される。
【0022】
当業者には、レンズ・システム4の数多くの構成、たとえばアキシコン・レンズ・システム(たとえば入来するレーザ・ビームをリングに、すなわち前記卵殻切断先端部に変えるように構成されたレンズまたは光学要素)を含んで適用することができることが明確になり得る。同じことが光、任意選択のブロー・ガス、たとえば空気または窒素、ならびにたとえば約室温で、最大1.5バールおよび最大2秒までの、上記で参照したような周波数範囲の光など、作用温度、ガス圧力、およびブロー時間にも言える。
【0023】
図2は、その後の作業状況、すなわち卵Eの一端が切断された後の同じ装置1を示しており、光ビームは停止または遮断され、一方で卵殻片吸引ユニットの吸引口71は、吸い出される切断部上に位置決めされる。
【0024】
図3に見ることができるように、卵Eは回転され、ここではグリッパ半体5bが見える方向にある。これは、グリッパ・コントロール6の一部であるグリッパ回転部61を、180度の角度にわたって回転させることによって達成され、ここでもその長い軸は実質的に縦方向にある。
【0025】
光ビームを停止させた後、図2に関して説明した吸引が繰り返され、こうして第2の開口部を与え、その後、ブロー口端部を備えたブロー・ユニット8が、ブロー・ガスを下方向にブローするために前記第2の開口部上に位置決めされ、それによってほとんどすべての卵液を流出させる。
【0026】
こうして上記から、装置1は、以下の工程、
- 卵Eを第1の実質的に縦方向の配向で位置決めする工程、
- 卵の一端、特に上方向を向く卵端部を切り落とす工程、
- 卵Eを第1の実質的に縦方向の配向から第2の実質的に縦方向の配向(すなわち約180度の回転角度にわたって)回転させる工程、
- 卵の他方の端部(たとえば卵の回転によって上方向を向く他方の端部)を切り落とす工程、
- 卵流体を切り落とされた卵Eから収集する工程を適切な順序で実施するように構成できるという結果となる。
【0027】
本明細書では、卵流体の流れは、切り落とし後、流れ誘発剤によって、たとえば前記ブロー剤、たとえばガスまたは空気によって強化されるか、または誘発される。また、好ましくは、各切断された卵端部は、たとえば前記吸引口71によって卵から能動的に除去される。
【0028】
図4は、卵Eを両側において切り落とすための本発明の装置100の別の実施形態、すなわち超音波振動コントロールを有する超音波切断ユニット100を示す。上記で説明したのと同じようにして、卵Eは、前記グリッパ半体5a、bによって位置決めされる。
【0029】
切り落とすプロセスを開始するために、前記ユニットは、空気式駆動装置によって卵Eに滑らかに押し込まれ、その後ユニットは、その超音波振動モードに切り替えられて、このユニット100の超音波ホーン103の端部である傾斜した切断縁1031において超音波振動を与える。振動モードをオフに切り替えた後、この同じホーンは、吸引チューブ104を通る吸引ガイドとして使用される。その後、卵Eは、Eの他方の端部を超音波切断ユニット100に露出させるために、前に説明したようにグリッパ回転ユニット61によって回転される。
したがって、そのような超音波振動ユニットのさらなる詳細がそのようにして、特開2003-266388およびHikaru MIURA、 Eggshell Cutter Using Ultrasonic Vibration、 Jpn .J.Appl.Phys.Vol42(2003)、pp.2996-2999に詳細に説明され記載されている。
【0030】
当業者には、空気式駆動装置を制御することが、適切な切断を得るための高い関心事であることが明確になり得る。たとえば、ばね装着された縁部が、そのような切断に好ましい。さらに、前記コントロールは、たとえば欧州特許第738888号による卵殻特性同時検出に基づくことができる。
【0031】
図5では、本明細書の上記で説明した複数の装置1、100を備えるシステムが、概略的に提示される。説明を容易にするために、卵ホルダ・コンベヤまたは卵供給コンベヤ11の1つのレーンに沿って供給される卵に対して1つの装置1のみが使用されるように示されている。卵は、卵取り上げステーション10から前記供給コンベヤ11によって取り上げられ、このコンベヤ11は、卵を直列の卵の列として輸送するエンドレス・コンベヤである。
そのような取り上げセクションは、たとえばMobaの上述したウエブサイトで公開され、説明されているようなMOPACK 100 egg packerからよく知られている。
そのような卵が装置1、100によって切り落とされた後、卵黄および卵白の両方を含む液体は、好ましくは下方向に外にブローされて、たとえば前記装置1、100の下方を通る、この例では、対応する1つのレーンの収集カップ・コンベヤ13の一部である、カップ(または異なるリザーバ)に入れられる。このコンベヤ13はまた、たとえば、カップを直列のカップの列として輸送するエンドレス・コンベヤでもある。
それぞれのコンベヤ11、13の輸送方向が標識され、TEは卵コンベヤ輸送方向であり、TLは卵液輸送コンベヤである(図5を参照)。
コンベヤ11、13の位置決めは、その縦方向のエンドレス・コンベヤ平面が実質的に垂直であり、一方でこれらのコンベヤ平面の交差部に、切断装置1、100が配置されるようなものである。
そのような卵からの液体が受け取られ、収集された後、液体は、好ましくは、たとえば卵黄、卵殻片の破損、変色に関してカメラ・システム12によって観察され確認され、それによって信号および対応するデータを得て、これらの信号およびデータは、中央処理ユニット(CPU)内で処理される。
【0032】
液体を含むカップを処理することは、
- 卵黄が無傷またはほぼ無傷であり、殻片を有さない場合、液体は卵黄-卵白(YA)分離ユニットに放出され、
- 他のすべての場合、液体は、さらなる処理のためにいわゆる全液卵(LWE)リザーバ15に放出されるようにプログラムすることができる。
【0033】
より具体的には、そのようなYAおよびLWE処理は、たとえば上記で参照したNL1010910に説明したように実施される。
当業者に明確であるように、通常、前記コンベヤはそれぞれ、2本以上のレーン、たとえば4本、または6本または9本、またはそれ以上のレーンを備えることができる。この図では、さらに抜け殻収集リザーバ16も示される。
【0034】
マルチエッグ・カッタ・システムをできるだけ、組織化し、簡単にし、保護するために、単一の高出力レーザLが好ましくは使用される。従来的に、高出力レーザは、1から10kWの間の出力性能を有する。
そのようなシステムの一実施形態が、図6に提示される。この特有のシステムをいわゆる16レーンの破砕装置に使用するために、(レーザ源Lからの)単一レーザ・ビームL0が、16個のレーザ切断ビームC1~C2、…C16に細分される。すべてのC1~C16のビームに対して、4つのビーム・スプリッタSが使用される。分割後のビームをいくつかのルートに変更する必要があるため、追加の鏡Mも使用される。複数レーン破砕装置を、16本より多いまたは少ないレーンおよびそれぞれのレーザ切断ビームに関連付けることもでき、適切なレーザ切断ビームが所望の卵カッタに所望の卵切断時間において存在するようにレーザ・ビームL0を細分し、または切り替えるために、さまざまな光学手段または光学要素が存在することができることを当業者は理解するであろう。
【0035】
図6では、簡単にするために、一部のルートに関してのみスプリッタSおよび鏡Mが示されている。この図6のルートのツリーの平面に関して、切断ビームC1~C16は、卵コンベヤのレーンの平面および液体コンベヤの平面に対して垂直に選択され、このとき輸送方向TEおよびTLは、図5を参照して説明された通りである。この図6では、液体コンベヤの1つのレーンのみが示される。当業者には、「液体」検出に複数のレーンが可能であることも明確になり得る。
【0036】
このようにして、相対的に多数の卵を確実に効率的に極めて衛生的な方法で処理する(特に空にする)ことができる。
【0037】
本発明は上記で説明した実施形態に限定されないことが、当業者に明確になるはずである。多くの代替策が、以下の特許請求の範囲に述べるような保護の範囲内で可能である。
【0038】
たとえば、装置は、卵開放装置が卵を、これが単一の実質的に縦方向の配向にあるときに(たとえば卵の中間回転無しに)両端において切り落とすように、または卵が回転前後に切り落とされるように配置され得る。
【0039】
また、たとえば、制御装置は、さまざまな方法で構成することができ、制御装置によってとられるそれぞれの制御工程を実施するのに適した1つまたは複数の制御手段を含むことができ、これは当業者に理解されるであろう。
【符号の説明】
【0040】
-E 輸送方向 卵コンベヤ
-L 輸送方向 液体コンベヤ
E 卵
L レーザ源
L0 高出力レーザ・ビーム
C1…C16 レーザ切断ビーム
S ビーム・スプリッタ
M 鏡
10 卵取り上げステーション
11 卵ホルダ・コンベヤ
12 カメラ・システム
13 収集カップ・コンベヤ
14 AY分離ユニット
15 LWEリザーバ
16 抜け殻収集リザーバ
1 光切断ユニット
2a 入来光ビーム
2b 切断光ビーム
3 鏡、ビーム・スプリッタ
4 レンズ・システム
5a、b グリッパ半体
6 グリッパ・コントロール
61 グリッパ回転ユニット
7 卵殻片吸引ユニット
71 吸引ガイド
72 吸引口
8 卵液ブロー・ユニット
81 ガス供給ガイド
100 超音波切断ユニット
101 空気式駆動装置
102 超音波振動コントロール
103 超音波ホーン
1031 傾斜した切断縁
104 吸引チューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6