(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】少なくとも1つの索道器を有する海上構造体
(51)【国際特許分類】
B63B 21/04 20060101AFI20220325BHJP
B63B 21/16 20060101ALI20220325BHJP
B63B 21/18 20060101ALI20220325BHJP
B63B 21/00 20060101ALI20220325BHJP
B63B 35/44 20060101ALI20220325BHJP
B63B 21/20 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
B63B21/04 Z
B63B21/16
B63B21/18
B63B21/00 Z
B63B35/44 Z
B63B21/20 A
(21)【出願番号】P 2019503781
(86)(22)【出願日】2017-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2017058538
(87)【国際公開番号】W WO2017178423
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-03-10
(32)【優先日】2016-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518359683
【氏名又は名称】ナヴァル・エネルジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アルノー・トルーヴ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-リュック・メネ
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05934216(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0026796(US,A1)
【文献】特開昭53-083295(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02132158(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 21/04
B63B 21/16
B63B 21/18
B63B 21/00
B63B 35/44
B63B 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊構造体のような海上構造体(1)であって、
アンカーポイント(4)においてアンカー素子(3)を案内するための少なくとも1つの案内索道器(5)を有し、
前記案内索道器(5)が、
当該海上構造体(1)と前記アンカーポイント(4)との間で前記アンカー素子(3)の移動を案内できる案内手段(11)と、
前記案内手段において前記アンカー素子(3)を移動させ、それにより、張力を受けた状態で前記アンカー素子(3)を配置するための移動手段(26)と、
前記案内手段(11)において前記アンカー素子(3)が移動することを防止でき、当該海上構造体を前記アンカーポイントに係留させるためのロッキング手段(40)と、
を備え、
前記案内手段(11)において前記アンカー素子(3)を移動させるための前記移動手段(26)が、前記案内索道器の構造体(12)の残りの部分とは別の個別の部品(13、14)に一体化されており、
前記部品と前記案内索道器の前記構造体の前記残りの部分とが、退避式連結手段(15、16、17、18、19、20)を備え
、
前記アンカー素子の前記移動手段(26)が組み込まれている前記個別の部品(13)が、前記案内索道器(5)の残りの部分(12)に係合するのに適し、前記案内索道器(5)の前記残りの部分に対して前記部品(13)を中心合せするための中心合手段(15、16)及び前記部品を所定位置にロックするためのロック手段(17、18、19、20)を有する、前記移動手段のための支持フレーム(14)を有しており、
前記ロック手段が、第1アクチュエータ(22)によって、前記案内索道器の前記残りの部分(12)に対する前記支持フレーム(14)の作動連結位置と、前記部品を解放して前記部品を前記案内索道器(5)の前記残りの部分から取り外すことを可能とする退避位置と、の間で移動可能であり、
前記中心合手段が、前記案内索道器の前記残りの部分(12)と相補的であり、前記ロック手段の位置合わせ及び中心合せが可能な中心合素子(16)と協働できる中心合突起(15)を備え、
前記ロック手段が、前記第1アクチュエータ(22)によって、前記案内索道器の前記残りの部分における対応するロック穴部(23)内に突出する作動ロック位置と、解放退避位置と、の間で移動可能であるロックピン(21)を備えることを特徴とする海上構造体。
【請求項2】
前記アンカー素子を平行移動させるための前記移動手段が、前記アンカー素子(3)を移動させて張力をかけるための張力搬送体(26)を備え、
前記張力搬送体が、少なくとも1つの第2アクチュエータ(29、30)によって前記個別の部品の案内路(27、28)で往復移動可能であることを特徴とする
請求項1に記載の海上構造体。
【請求項3】
前記アンカー素子(3)を移動させて張力をかけるための前記張力搬送体(26)が、前記アンカー素子(3)を把持するための把持手段(31、32)を有し、
前記把持手段(31、32)が、少なくとも1つの第3アクチュエータ(33、34)によって、前記アンカー素子(3)を把持してそれにより少なくとも1つの前記第2アクチュエータ(29、30)の作動を受けて前記張力搬送体が所定方向で移動すると前記張力搬送体(26)によって前記アンカー素子を移動させることを可能とする作動把持位置と、前記張力搬送体を解放し、前記張力搬送体(26)が少なくとも1つの前記第2アクチュエータ(29、30)の作動を受けて前記張力搬送体(26)が他方向で戻るまたは前記案内索道器の前記残りの部分から前記個別の部品を解放することを可能とする退避位置と、の間で移動可能であることを特徴とする
請求項2に記載の海上構造体。
【請求項4】
前記ロッキング手段(40)が、前記案内手段における前記アンカー素子(3)の移動をロックでき、前記アンカー素子のための停止手段(41、42)を備え、
前記停止手段が、少なくとも1つの第4アクチュエータ(43)の制御下で、前記アンカー素子をロックする作動停止位置と、前記アンカー素子を解放するための退避位置と、の間で移動可能であることを特徴とする
請求項1から3のいずれか1項に記載の海上構造体。
【請求項5】
前記ロッキング手段(40)が、前記案内手段における前記アンカー素子(3)の移動をロックでき、前記アンカー素子のための停止手段(41、42)を備え、
前記停止手段が、少なくとも1つの第4アクチュエータ(43)の制御下で、前記アンカー素子をロックする作動停止位置と、前記アンカー素子を解放するための退避位置と、の間で移動可能であり、
前記第1アクチュエータ、少なくとも1つの前記第2アクチュエータ、少なくとも1つの前記第3アクチュエータ及び少なくとも1つの前記第4アクチュエータの制御手段(50、51)を有し、前記制御手段が、
-前記案内索道器(5)の前記残りの部分に対する前記個別の部品の前記作動ロック位置にある前記ロック手段(17~20)の前記第1アクチュエータを制御し、
-前記アンカー素子の前記作動把持位置にある前記把持手段の前記第3アクチュエータ(33、34)を制御し、
-前記アンカー素子の前記解放退避位置にある前記アンカー素子の前記ロッキング手段の前記第4アクチュエータ(43)を制御し、
-前記張力搬送体を移動させて前記アンカー素子に張力をかけるまたは弛緩させるための前記第2アクチュエータ(29、30)を制御し、
-前記作動当接位置にある前記アンカー素子の前記ロッキング手段の前記第4アクチュエータ(43)を制御して前記アンカー素子をロックし、
-前記アンカー素子の前記解放退避位置にある前記把持手段の前記第3アクチュエータ(33、34)を制御し、
-前記個別の部品の前記解放退避位置にある前記ロック手段(17~20)の前記第1アクチュエータを制御し、前記個別の部品を前記案内索道器の前記残りの部分から取り外すことを可能とする、ことを特徴とする
請求項3に記載の海上構造体。
【請求項6】
前記アクチュエータが、油圧式または空圧式のジャッキを備えることを特徴とする
請求項1から5のいずれか1項に記載の海上構造体。
【請求項7】
前記個別の部品(13、14)が、当該個別の部品の取扱手段に取り付けるための手段(60、61、62、63)を有することを特徴とする
請求項1から6のいずれか1項に記載の海上構造体。
【請求項8】
当該海上構造体の周囲に配設された複数の前記案内索道器(5)を有し、
前記個別の部品の前記取扱手段及び前記移動手段が、前記案内索道器のうちの少なくとも一部の間で前記個別の部品を移動させるのに適していることを特徴とする
請求項7に記載の海上構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上構造体に関する。
【0002】
より具体的には、このような海上構造体に、特に、この性質の浮遊構造体に関する。
【0003】
依然としてより詳しくは、本発明は、浮遊エネルギー生産支持体、建設プラットホーム、掘削プラットホーム、荷役ブイ、または、海上の風に基づいた設備または海洋熱エネルギーに基づいた発電所のような再生可能な海洋エネルギーのための浮遊プラットホーム、などのような海上構造体に関する。
【背景技術】
【0004】
このような浮遊構造体は、所定位置で維持されなければならない一方、これら浮遊構造体は、様々な力、特に例えば海流、うねり、風などから生じた漂流力を受ける。
【0005】
これら構造体を所定位置で、例えば作動場所で維持するために、例えばアンカー手段が使用されており、全体的にまたは一部において特にそれらの端部においてチェーンで形成された1組のアンカーラインを実施する。
【0006】
このようなラインは、通常、係留されるまたはアンカーされる構造体の周りに配設されており、上記構造体と例えば海底にある係留またはアンカーポイントそれぞれとの間で延在する。
【0007】
わかることは、係留またはアンカーラインが、チェーンの形態をなす第1端部が上記係留・アンカーポイントに取り付けられ、浮遊ユニットまで上昇し、チェーン進入案内手段を介してそれらと関連付けられていること、である。
【0008】
これら案内手段は、同様に、索道器としての技術分野において知られている。
【0009】
これら索道器は、実際には、浮遊構造体にある固定・取付手段と、チェーンのための案内手段と、を有する。
【0010】
これら索道器は、同様に、何らかの方法で、張力をかけている上記チェーンを配置するための手段と、上記構造体に係留するためにチェーンをロックするための手段と、に関連付けられている。
【0011】
張力手段は、例えばウインチまたは巻上機などを有し得る一方、チェーンをロックするためのシステムは、チェーンストッパとも称される。
【0012】
これら手段の様々な形態は、すでに従来知られている。
【0013】
このため、例えば、これらウインチまたは巻上機は、浮遊ユニットのデッキに配置され得る。
【0014】
他の形態は、上記張力手段及び上記チェーンロックシステムを索道器に直接一体化した形態をとる。
【0015】
一般的に、張力手段は、アンカーチェーンを所望の張力で配置することができるようにし、それにより、チェーンストッパが作動されてチェーンをロックしてチェーンを所定位置で維持する前に、浮遊構造体を正確に係留しアンカーし、このため、浮遊構造体を係留させることができるようになる。
【0016】
チェーンストッパは、通常、張力デバイスに問題が生じた場合に、張力をかけている間に継続して自己ロックしている。
【0017】
このような案内索道器の開示のために、例えば、特許文献1を参照し得る。
【0018】
特許文献1は、実際には、上述したように、張力手段とロック手段とを組み込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、わかることは、このような構造体が比較的複雑であり製造するのに高価であること、である。
【0021】
さらに、ほとんどの時間において、このような張力手段は、非常にまれにしか使用されない。
【0022】
実際に、例えば浮遊しているこのような海上構造体において、監視及び調整並びにアンカー手段の張力反作用は、例えば、毎年または5年ごとになされ得、わかることは、特許文献1に記載された索道器構造体が、費用対使用の比率の観点から全く有効ではないこと、である。
【0023】
したがって、本発明は、これら問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
そのために、本発明は、浮遊構造体のようなタイプの海上構造体に関し、この海上構造体は、アンカーポイントにおいてアンカー素子を案内するための少なくとも1つの索道器を有し、上記索道器が、構造体とアンカーポイントとの間でアンカー素子の平行移動を案内できる案内手段と、案内手段においてアンカー素子を移動させ、それにより、張力を受けた状態で上記アンカー素子を配置するための手段と、案内手段においてアンカー素子が移動することを防止でき、構造体をアンカーポイントに係留させるためのロック手段と、を備え、案内手段においてアンカー素子を移動させるための手段が、索道器の構造体の残りの部分とは別の個別の部品に一体化されており、この部品と索道器の構造体の残りの部分とが、退避式連結手段を備える。
【0025】
本発明にかかる組立体は、単独でまたは技術的に可能な組合せに従って考慮される以下の特徴のうちの1以上を備え得る。
-アンカー素子の移動手段が組み込まれている個別の部品が、案内索道器の残りの部分に係合するのに適し、索道器の残りの部分に対してこの部品を中心合せして部品を所定位置にロックするための手段を有する、移動手段のための支持フレームを有しており、ロック手段が、第1アクチュエータによって、案内索道器の残りの部分に対するフレームの作動連結位置と、部品を解放してこの部品を索道器の残りの部分から取り外すことを可能とする退避位置と、の間で移動可能である、
-中心合手段が、索道器の残りの部分と相補的であり、ロック手段の位置合わせ及び中心合せが可能な中心合素子と協働できる中心合突起を備え、ロック手段が、第1アクチュエータによって、索道器の残りの部分における対応するロック穴部内に突出する作動ロック位置と、解放退避位置と、の間で移動可能であるロックピンを備える、
-アンカー素子を移動させるための手段が、アンカー素子を移動させて張力をかけるための搬送体を備え、搬送体が、少なくとも1つの第2アクチュエータによって個別の部品の案内路で往復移動可能である、
-アンカー素子を移動させて張力をかけるための搬送体が、アンカー素子を把持するための手段を有し、手段が、少なくとも1つの第3アクチュエータによって、アンカー素子を把持してそれにより少なくとも1つの第2アクチュエータの作動を受けて搬送体が所定方向で移動すると張力搬送体によってアンカー素子を移動させることを可能とする作動位置と、搬送体を解放し、搬送体が少なくとも1つの第2アクチュエータの作動を受けて搬送体が他方向で戻るまたは索道器の残りの部分から個別の部品を解放することを可能とする退避位置と、の間で移動可能である、
-ロック手段が、案内手段におけるアンカー素子の移動をロックでき、アンカー素子のための停止手段を備え、停止手段が、少なくとも1つの第4アクチュエータの制御下で、アンカー素子をロックする作動停止位置と、アンカー素子を解放するための退避位置と、の間で移動可能である、
-アクチュエータの制御手段を有し、それにより、
-案内索道器の残りの部分に対する個別の部品のロック位置にあるロック手段の第1アクチュエータを制御し、
-アンカー素子の作動把持位置にある把持手段の第3アクチュエータを制御し、
-アンカー素子の解放退避位置にあるアンカー素子のロック手段の第4アクチュエータを制御し、
-搬送体を移動させてアンカー素子に張力をかけるまたは弛緩させるための第2アクチュエータを制御し、
-作動当接位置にあるアンカー素子のロック手段の第4アクチュエータを制御してアンカー素子をロックし、
-アンカー素子の退避解放位置にある把持手段の第3アクチュエータを制御し、
-個別の部品の退避解放位置にあるロック手段の第1アクチュエータを制御し、個別の部品を索道器の残りの部分から取り外すことを可能とする、
-アクチュエータが、ジャッキを備える、
-個別の部品が、当該個別の部品の取扱手段に取り付けるための手段を有する、
-海上構造体の周囲に配設された複数の案内索道器を有し、個別の部品の取扱移動手段が、索道器のうちの少なくとも一部の間で個別の部品を移動させるのに適している。
【0026】
本発明は、添付の図面を参照しながら、例としてのみ提供されている以下の説明を読むとより理解される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明にかかる海上構造体を示す概略斜視図である。
【
図2】このような海上構造体の一部を示す斜視図であって、索道器がこの海上構造体に設置されていることを示す、斜視図である。
【
図3】このような索道器を示す上方からの斜視図である。
【
図4】このような索道器を示す下方からの斜視図である。
【
図5】本発明にかかる海上構造体においてアンカー素子を移動させるための手段を組み込んだ部品を示す上方からの斜視図である。
【
図6】本発明にかかる海上構造体においてアンカー素子を移動させるための手段を組み込んだ部品を示す下方からの斜視図である。
【
図7】本発明にかかる海上構造体においてアンカー索道器の構成部材に含まれている把持手段を示す斜視図である。
【
図8】本発明にかかる海上構造体においてアンカー索道器の構成部材に含まれているロック手段を示す斜視図である。
【
図9】本発明にかかる構造体におけるアンカー索道器の構成部材に含まれているアクチュエータのための制御手段の構造及び動作を示す図である。
【
図10】本発明にかかる構造体におけるアンカー索道器の動作を示す図である。
【
図11】本発明にかかる構造体におけるアンカー索道器の動作を示す図である。
【
図12】本発明にかかる構造体におけるアンカー索道器の動作を示す図である。
【
図13】本発明にかかる構造体におけるアンカー索道器の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
これら図面、特に
図1は、参照符号1が付された浮遊構造体のような海上構造体を示す。
【0029】
この構造体1は、アンカー・係留手段を介して、海底2に係留されている。
【0030】
上記アンカー・係留手段は、例えば、チェーンなどで形成されたアンカーラインを備える。
【0031】
上記係留・アンカーチェーンのうちの1つには、例えば、参照符号3が付されている。
【0032】
上記チェーン3の一方の端部は、海底2にあるアンカー・係留ポイント4に関連付けられており、その他端部は、例えば上記
図1において参照符号5が付された案内索道器を通して、浮遊構造体に関連付けられている。
【0033】
このようなアンカー・係留ライン及びこのような索道器は、例えば、浮遊構造体1の周りに一定間隔で分布されており、浮遊構造体を海底に所定位置で維持することをできるようにする。
【0034】
図2において、このような索道器を設置することをより詳細に示す。
【0035】
この
図2には、例えば参照符号1が付された浮遊海上構造体と、参照符号3が付され、チェーンで形成されたアンカー・係留ラインと、参照符号5が付された索道器と、が示されている。
【0036】
この索道器5は、例えば、アンカー素子3を案内することをできるようにし、アンカー素子に張力をかけて所定位置でロックし、それにより、上述のように構造体を所定位置で維持する。
【0037】
以下で詳述するように、上記索道器は、アンカー素子を移動させることをできるようにしてそれによりアンカー素子に張力をかける手段と、上記アンカー素子を所望の張力で所定位置にロックしてアンカーポイント、例えばポイント4に構造体1を係留することをできるようにする手段と、を有する。
【0038】
図3及び
図4は、上記索道器の1つの可能性のある例示的な実施形態を示す。
【0039】
上記案内索道器には、これら図面において、依然として参照符号5が付される。
【0040】
上記案内索道器は、浮遊構造体に固定するための手段を有し、上記固定手段には、これら図面において、参照符号10が付される。
【0041】
上記固定手段10は、例えば溶接、ボトル締めなどによって浮遊構造体1に固定されることを意図した適切な取付盤を備える。
【0042】
アンカー構造体3のための案内手段11は、例えば、上記固定取付盤10にヒンジ取り付けられている。
【0043】
索道器は、案内手段11であって、上記アンカー素子に張力をかけるためにこの案内手段内でアンカー素子を移動させるための案内手段と、浮遊構造体を対応するアンカーポイントに係留させるために案内手段におけるアンカー素子の移動をロックできるロック手段と、を備える。
【0044】
このような構造体は、上記特許文献1から一般的な方法として知られている。
【0045】
本発明にかかる海上構造体、具体的にはこの海上構造体のアンカー・係留索道器それぞれにおいて、案内手段内でアンカー素子を移動させるための手段は、個別の部品として組み込まれており、索道器の構造体の残りの部分から分離しており、上記部品と索道器の構造体の残りの部分とは、これらの退避式連結手段を有する。
【0046】
これら図面において、索道器の残りの構造体には、参照符号12が付されており、アンカー素子を移動させるための手段が一体化されている個別のかつ分離した部品には、参照符号13が付されている。
【0047】
実際には、索道器の残りの部分とは別の上記個別の部品13は、アンカー・係留素子を移動させるための手段の支持フレームの形態をとる。
【0048】
上記支持フレームには、これら図面において、参照符号14が付されており、案内索道器の残りの構造体に係合して取り付けるのに適している。
【0049】
上記フレームは、索道器の残りの部分に対して位置合わせして中心合せし、所定位置にロックするための手段を有する。
【0050】
このため、例えば、
図4においてより明確に示すように、上記フレーム14を索道器の残りの構造体12に中心合せするための手段は、突起を備えており、これら突起のうちの1つには、上記
図4において、例えば参照符号15が付されており、この突起は、索道器の残りの部分の相補的な中心合素子16に係合して中心合素子と協働するのに適しており、上記部品を互いに位置合わせして中心合せすることをできるようにする。
【0051】
上記中心合素子は、例えば、対応する突起を受けることを意図した突出タブによって形成されている。
【0052】
このような中心合手段は、例えば、上記部品の各側に設けられている。
【0053】
個別のかつ分離した部品13は、同様に、索道器の残りの部分12にある組立位置に部品をロックするための手段を有する。
【0054】
例えば、上記ロック手段は、4つあり、これらロック手段には、
図4において、参照符号17、18、19及び20が付されている。
【0055】
上記ロック手段は、例えばフレーム14の各側において、例えば対になって分配されている。
【0056】
上記ロック手段は、案内索道器の残りの部分12にあるフレーム14の動作連結位置と、フレームを索道器の残りの部分から取り外すことを可能とするための上記フレームの退避解放位置と、の間で移動可能である。
【0057】
実際には、例えば
図4に示すように、部品13のロック手段それぞれ、例えばロック手段20は、ロックピンを有し、ロックピンの1つには、例えば上記ロック手段20に関して、参照符号21が付されている。
【0058】
ロック手段20のピン21及び第1アクチュエータ22の例において、上記ピンは、例えば電気機械の第1アクチュエータ22によって、索道器の残りの部分12に対して、フレーム14の退避解放位置と動作ロック位置との間で移動可能であり、フレームを所定位置に配置するまたは取り外すことを可能とし、この動作ロック位置において、上記ロックピン21は、索道器の対応するロック穴部内に突出し、上記穴部には、例えば参照符号23が付されている。
【0059】
わかることは、これらピン及びこれら第1アクチュエータが退避位置にあり、したがって、対応するピンが索道器の残りの部分の対応する穴部から解放されると、フレーム14は、索道器の残りの部分12から解放され得る。
【0060】
反対に、上記フレーム14が上記索道器の残りの部分12にある所定位置に配置されなければならない場合、中心合突起、例えば突起15を中心合突起の対応する中心合素子、例えば素子16に配置することは、フレーム14を正確に配置してフレームを索道器の残りの部分12に位置合わせすることをできるようにするのに十分である。
【0061】
いったんフレームがこの中心合わせした位置にかつ位置合わせした正確な位置にあると、アクチュエータ22のような第1アクチュエータは、作動され、ロックピン21のようなロックピンをロック穴部23のような対応するロック穴部内に移動させ、上記部品13を索道器の残りの部分にロックさせ、それにより、フレームを索道器に対して所定位置でロックする。
【0062】
同様に上述したように、この個別のかつ分離した部品13またはフレーム14は、同様に、アンカー素子3を移動させるための手段を有する。
【0063】
図5から
図7は、上記移動手段の例示的な実施形態を示す。
【0064】
これら図において、個別のかつ分離した部品13及びこの部品の構成部材フレーム14は、視認可能である。
【0065】
実際には、これら図において、アンカー素子3を移動させるための手段には、参照符号25が付されており、この移動手段は、例えば、アンカー素子を移動させて張力をかけるための搬送体を備える。
【0066】
この搬送体には、これら図において、参照符号26が付されており、この搬送体は、例えばフレーム14の対応する案内路27及び28上において往復移動で移動可能である。
【0067】
搬送体26の上記移動は、上記搬送体26とフレーム14の残りの部分との間に介装された少なくとも1つの第2アクチュエータによって付与されている。
【0068】
これら図に示す例には、このタイプの一対の第2アクチュエータが示されており、これら第2アクチュエータは、フレームと搬送体との間で上記フレームの両側に配設されている。上記第2アクチュエータそれぞれには、これら図において、参照符号29及び30が付されている。
【0069】
これらアクチュエータは、これらの電力供給命令に基づいて、案内路27及び28に沿って往復移動で前後に上記搬送体26を移動させることをできるようにする。
【0070】
上記アクチュエータの電力供給命令を以下で詳述する。
【0071】
上記搬送体26は、同様に、アンカー素子、すなわちチェーン3を把持するための手段を有する。
【0072】
上記把持手段には、上記
図5から
図7において、例えば参照符号31が付されている。
【0073】
上記把持手段31は、例えば、アンカー素子を把持するための部材を備え、この部材には、これら図において、参照符号32が付されている。
【0074】
上記把持手段32は、少なくとも1つの第3アクチュエータによって、アンカー素子を把持してそれにより上記少なくとも1つの第2アクチュエータの作用を受けて搬送体が所定方向に移動するときに張力搬送体26による上記アンカー素子の移動を許容する作動位置と、搬送体を解放して上記少なくとも2つの第2アクチュエータの作用を受けてまたは個別の部品13もしくはフレーム14の索道器の残りの部分12からの解放により搬送体26が他方向で戻ることを可能とする退避位置と、の間で移動可能である。
【0075】
実際には、この部品または把持部材32は、例えば、搬送体の残りの部分に連節して備え付けられており、例えば、これらの図において参照符号33及び34が付された一対の第3アクチュエータによって、その退避位置とその動作位置との間で移動可能である。
【0076】
この把持部品32は、チェーンを把持することまたは反対にチェーンを解放するためにチェーンをそのままにすることをできるようにする適切な形状を有する。
【0077】
これにより、上記手段は、張力への反作用または反対に張力を解放する必要に基づいて、索道器内でアンカー素子を移動させることによって、アンカー素子の張力を調整することが可能となる。
【0078】
上述のように、索道器は、同様に、案内手段11内でのアンカー素子3の移動をロックすることができるロック手段を有しており、アンカー素子を所定位置でロックし、したがって、浮遊構造体を係留させる。
【0079】
上記ロック手段は、例えば、少なくとも1つの第4アクチュエータの制御下で、アンカー素子をロックするための動作ロック位置と上記アンカー素子を解放するための退避位置との間で移動可能である手段を備える。
【0080】
実際には、
図8に例として示すように、この図において参照符号40が付されているロック手段
(ロッキング手段)は、例えば、クランプ形状部材を備える。
【0081】
上記部材40は、例えば、この
図8において参照符号41及び42が付された2つの両側にあるロック顎体を有し、これらロック顎体は、この図において参照符号43が付された少なくとも1つの第4アクチュエータの制御の下で、索道器内でアンカー素子3をロックするための閉鎖作動ロック位置と、上記アンカー素子を解放するための開放退避位置と、の間で移動可能である。
【0082】
これにより、索道器に対してアンカー素子をロックするまたは反対に解放することができるようになる。
【0083】
チェーンストッパは、張力装置に問題が生じた場合に、張力をかけている間ほぼ連続的に自己ロックする。
【0084】
これら様々なアクチュエータの動作は、電力制御システムによって制御されており、この電力制御システムは、観測コンピュータによって制御されている。
【0085】
これらアクチュエータは、例えばジャッキを備える。
【0086】
これらアクチュエータの電力供給の制御構造及びその動作を
図9に示し、この
図9においてわかることは、第1、第2、第3及び第4アクチュエータそれぞれは、符号17から符号20、符号29及び符号30、符号33及び符号34、並びに最後に符号43である。
【0087】
これらは、この図において参照符号50が付され、これらの電力供給を観測するためのシステムによって制御されており、このシステムは、観測コンピュータ51によって制御されている。
【0088】
図9及び
図10から
図13は、構造体の上述した様々なアクチュエータの様々なステップ及び位置を示しており、本発明にかかる構造体の構成に含まれる索道器の動作を例示して説明することをできるようにする。
【0089】
このため、まず第1に、ステップ60中において、個別の部品13は、索道器の残りの部分12における中心合位置に配設される。
【0090】
ステップ61において、第1アクチュエータ17、18、19及び20は、それらの作動位置に向けて操縦され、上記個別の部品を索道器の残りの部分上の所定位置にロックする。
【0091】
【0092】
ステップ62において、
図11に示すように、第3アクチュエータ33及び34は、それらの作動把持位置に向けて操縦され、アンカー素子3の把持手段31を移動させる。
【0093】
ステップ63において、アンカー素子3のロック手段40の第4アクチュエータ43は、開放位置に向けて操縦され、アンカー素子3を解放する。
【0094】
アンカー素子3は、把持手段31によって所定位置で維持される。
【0095】
ステップ64において、第2アクチュエータ29及び30は、搬送体26を移動させるために操縦され、アンカー素子3を搬送体と共に駆動させ、それにより、アンカー素子を索道器内で移動させ、例えばアンカー素子に張力をかける。
【0096】
ステップ65において、第4アクチュエータ43は、操縦されてロック手段40のクランプを閉じ、アンカー素子3を索道器内の所定位置でロックする。
【0097】
ステップ66において、第3アクチュエータ33及び34は、操縦されてアンカー素子3の把持手段31を把持手段の退避位置に向けて移動させる。
【0098】
これにより、搬送体26を解放させることができるようになり、それにより、第2アクチュエータ29及び30を操縦することによって、選択的に、搬送体をアンカー素子の把持位置に戻し、動作を開始させ、これにより、実際には、
図9に示すように、ステップ67によってループを閉じ、それにより、アンカー素子3の張力を調整することをできるようにする。
【0099】
この調整を完了し、アンカー素子3が正確な張力を受けてロック手段40によって索道器5内にロックされると、第1アクチュエータ17から20は、参照符号68に示すように、これらの退避位置に向けて操縦され、個別の部品13を索道器の残りの部分12から解放させる。
【0100】
これにより、例えば、この個別の部品13を解放することができるようになる。
【0101】
わかることは、この動作が特定数のステップを有すること、及び、アクチュエータの命令手段が以下のことをできること、である。
-制御索道器の残りの部分上で個別の部品のロック位置にあるロック手段の第1アクチュエータを制御すること、
-アンカー素子の作動把持位置にある把持手段の第3アクチュエータを制御すること、
-アンカー素子の解放退避位置にあるアンカー素子のロック手段の第4アクチュエータを制御すること、
-搬送体を移動させてアンカー素子に張力をかけるまたはアンカー素子を弛緩させるために第2アクチュエータを制御すること、
-アンカー素子の作動ロック位置にあるアンカー素子のロック手段の第4アクチュエータを制御すること、
-アンカー素子の退避解放位置にある把持手段の第3アクチュエータを制御すること、そして、最後に、
-例えば個別の部品の退避解放位置にあるロック手段の第1アクチュエータを制御して個別の部品を索道器の残りの部分から取り外すことを可能とすること。
【0102】
このため、いったんこの個別の部品を索道器の残りの部分から解放すると、例えば、この部品を少なくとも1つの他の索道器に向けて移動させ、例えば海上構造体を設置することができるようになる。
【0103】
実際には、上述したように、このような海上構造体は、例えば海上構造体の周囲に均等に配設された、複数の案内索道器などを有する。
【0104】
クレーンなどのような取扱手段を用いて複数の上記索道器のうちの少なくとも一部の間で上記別個の部品13を移動させてそこに取り付けることができるようになり、対応するアンカー素子の張力を調整することができるようになる。
【0105】
これにより、様々な索道器に対して1つの個別の部品のみを使用することができるようになり、上記部品には、アンカー素子の張力を設定するまたは調整することができる移動手段が備えられている。
【0106】
そのため、
図3に例として示すように、個別の部品13、特にこの部品のフレーム14は、アンカープレート、例えば取扱手段に関連付けられた取付手段を有する。
【0107】
これらプレートには、例えばこの
図3において、参照符号60、61、62及び63が付されている。
【0108】
このため、プレートは、例えば、この個別の部品13の各角部に設けられている。
【0109】
もちろん、他の実施形態を同様に想定し得る。
【0110】
これに関して留意することは、上述したアクチュエータが例えば様々なタイプのジャッキ、例えば油圧式、空圧式または他のジャッキを有し得ること、である。
【0111】
これらアクチュエータは、例えば、遠隔の制御ステーションに接続されており、また、例えば、海上構造体に配置されている。
【0112】
このような構造体は、海上構造体に関連付けられた索道器または索道器部品が構造を最も簡素で最も低減することが可能であるので、いくつかの利点を有する。
【0113】
張力を受けている対応するアンカー素子を配置することができる移動手段は、実際には、索道器の残りの部分とは別の個別の部品に組み込まれており、これにより、これら移動手段を上記部品と共にこれら様々な索道器間で移動させることをできるようにし、それにより、移動手段それぞれにおいてアンカー素子の張力を調整する。
【0114】
このため、この単一タイプの部品を使用し得、様々な索道器間で共有し得る。
【0115】
結果として、索道器の残りの部分の簡素化、及び、この機能のための製造コストの低下をもたらす。
【0116】
これにより、同様に、これら移動手段へのアクセスが非常に容易であるので、これら移動手段のための維持をより容易にする。
【0117】
もちろん、他の実施形態を同様に想定し得る。
【符号の説明】
【0118】
1 海上構造体,浮遊構造体、3 チェーン,アンカー素子,アンカー構造体、4 アンカー・係留ポイント、5 案内索道器、11 案内手段、12 案内索道器の残りの部分、13 個別の部品、14 構成部材フレーム,個別の部品、15 中心合突起,退避式連結手段、16 中心合素子,退避式連結手段、17,18,19,20 ロック手段,退避式連結手段、21 ロックピン、22 第1アクチュエータ、23 ロック穴部、26 張力搬送体,アンカー素子を配置するための手段、27,28 案内路、29,30 第2アクチュエータ、31 把持手段、32 把持手段,把持部材,把持部品、33,34 第3アクチュエータ、40 ロック手段、41,42 停止手段、43 第4アクチュエータ、50 制御手段、51 制御手段,観測コンピュータ、60,61,62,63 取り付けるための手段