(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの新規発泡体
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20220325BHJP
C08J 9/14 20060101ALI20220325BHJP
C08G 18/06 20060101ALI20220325BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20220325BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20220325BHJP
【FI】
C08G18/00 H
C08J9/14 CFF
C08G18/06
C09K3/00 111B
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2019513343
(86)(22)【出願日】2017-09-20
(86)【国際出願番号】 US2017052420
(87)【国際公開番号】W WO2018057571
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-23
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーネスト バイロン ワイソン
(72)【発明者】
【氏名】ブルース ピー.ヒッチェンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ エム.トスィロスキー
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-091973(JP,A)
【文献】特表2011-508020(JP,A)
【文献】特表2015-502429(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0210818(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08J 9/14
C09K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
15.0重量%
以下のZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンと、
2.4~2.7重量%の水と、ギ酸メチル、メチラール又はトランス-ジクロロエチレンのうちの少なくとも1つと、を含む発泡体形成組成物から得られ、0.0212W/m・K(0.147BTU・in/hr・ft
2・°F)未満のk因子
および1立方メートルあたり32kg(1立方フィートあたり2.0ポンド)未満の密度を有する、主に独立気泡のポリマー発泡体。
【請求項2】
前記発泡体のポリマーが、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ギ酸メチルが2重量%~4.5重量%の量で存在し、
メチラールが2重量%~4.5重量%の量で存在し、および/または、トランス-ジクロロエチレンが2重量%~5.5重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記k因子が、
0.0209W/m・K(0.145BTU・in/hr・ft
2・°F)未満である、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン発泡体、発泡体の製造方法,並びに他の共発泡剤と水とを用いたZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2011/0144216号は、0のオゾン層破壊係数(ozone depletion potential、ODP)及び超低の地球温暖化係数(global warming potential、GWP)を示す他の化合物と混合した、Z-HFO-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含有する非共沸組成物を開示する。米国特許出願公開第2011/0144216号の表1は、100種を超える他の化合物及びそれらの好ましい量を開示する。米国特許出願公開第2011/0144216号はまた、Z異性体と共に使用される好ましい共発泡剤組成物及びその他の化合物の量も開示する。1つの好ましい組成物は、シクロペンタンと組合わされた水である([0035])。別の好ましい実施形態は、5~90重量%の共発泡剤、好ましくは、5~65重量%の共発泡剤を含み、共発泡剤は、水、HFC、炭化水素、アルコール、CO2、及びその組み合わせを含む([0036])。HFCは、HFC-32、HFC-161、HFC-152、HFC-143、HFC-134、HFC-125、HFC-245、HFC-236、HFC-227ea、HFC-365mfc、HFC-356、及びその全ての異性体として開示される([0021])。
【0003】
共発泡剤が水である好ましい組成物では、その量は5~50重量%であり、好ましくは10~40重量%又は10~20重量%である([0037])。共発泡剤がCO2である好ましい組成物では、その量は5~60重量%であり、好ましくは20~50重量%又は40~50重量%である([0038])。共発泡剤がアルコールであるときの好ましい組成物では、その量は5~40重量%であり、好ましくは10~40重量%又は15~25重量%である([0039])。共発泡剤がHFC、好ましくはHFC-152a又はHFC-245であり、HFC-245faが好ましいC3HFCであるときの好ましい組成物では、その量は、5~80重量%、10~75重量%又は25~75重量%である([0040])。共発泡剤が炭化水素(hydrocarbon、HC)である好ましい組成物では、その量は5~80重量%であり、好ましくは20~60重量%である([0041])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2011/0144216号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
米国特許出願公開第2010/0144216号における膨大な開示とは別に、Z-HFO-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(Z-1336mzz)と、二酸化炭素と、ギ酸メチル、メチラール又はトランス-ジクロロエチレンのうちの1つと、の混合物を用いて発泡させた発泡体は、改善された断熱性能をもたらすことが明らかになっているが、このことは、Z-HFO-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン及び二酸化炭素だけを用いて発泡させた発泡体よりも低いk因子によって証明されており、そして、このような発泡体を製造するために使用されるポリオール組成物中には、13.5重量%以下のZ-1336mzzが含まれる。このような組み合わせで発泡させた発泡体は、特にスプレー塗布によって、低密度かつ低熱伝導率である高品質の発泡体を提供する。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、13.5%未満のZ-1336mzzと、二酸化炭素と、ギ酸メチル、メチラール及びトランス-ジクロロエチレンのうちの1つ以上と、を含み、かつ0.0212W/m・K未満(0.147BTU・in/hr・ft2・°F)未満のk因子を有する、主な独立気泡のポリマー発泡体が提供される。気泡ポリマー発泡体は、ポリイソシアネート及び活性水素含有化合物反応物質の同一性、並びにそれらの相対量に応じた発泡ポリウレタン又は発泡ポリイソシアヌレートである。「活性水素」は、水素がポリイソシアネート反応物質のイソシアネートと反応性であることを意味する。活性水素含有化合物は、イソシアネートと反応性がある活性水素(原子)を含む少なくとも2つの基を含む。本発明のプロセスから得られる(発泡)ポリウレタン及びポリイソシアヌレート反応生成物は、ポリマーである。反応生成物は、これらのポリマーの混合物とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
0.0212W/m・K(0.147BTU・in/hr・ft2・°F)未満のk因子を有し、Z-1336mzzと、二酸化炭素と、ギ酸メチル、メチラール及びトランス-ジクロロエチレンのうちの1つ以上と、を含む発泡剤組成物を含む好ましい気泡ポリマー発泡体であって、Z-1336mzzは、発泡体を調製するために使用されるポリオール組成物中に15.0重量%以下で存在する、気泡ポリマー発泡体が本明細書に記載される。別の実施形態では、Z-1336mzzは13.5重量%で存在する。イソシアネート成分と、発泡剤組成物を含む活性水素含有成分と、を組み合わせて混合することを含む、0.0212W/m・K(0.147BTU・in/hr・ft2・°F)未満のk因子を有する発泡体の製造方法であって、上記発泡剤組成物は、該組成物の13.5重量%未満のZ-1336mzzと、二酸化炭素を発生させるための3.0重量%未満の水と、ギ酸メチル、メチラール及びトランス-ジクロロエチレンのうちの1つ以上と、を含む、製造方法も本明細書に記載される。
【0008】
一実施形態では、発泡剤組成物は、活性水素含有成分の最大15.0重量%の量のZ-1336mzzと、イソシアネートと混合時にCO2を発生させるための3.0重量%未満の水と、共発泡剤としてのギ酸メチル、メチラール及びトランス-ジクロロエチレンのうちの1つ以上と、を含む。別の実施形態では、発泡剤組成物は、活性水素含有成分の最大13.5重量%の量のZ-1336mzzを含む。一実施形態では、水は、典型的には活性水素含有成分の2重量%~3重量%の量で使用される。別の実施形態では、水は、2.4重量%~2.7重量%で使用される。一実施形態では、共発泡剤は、活性水素含有成分の2重量%~6重量%で使用される。別の実施形態では、共発泡剤は、2重量%~5重量%で使用される。更に別の実施形態では、共発泡剤は、2重量%~4重量%で使用される。一般に、Z-1336mzzの量が減少するにつれて、共発泡剤の量は増加し、同様の発泡体密度をもたらす。メチラールは、一般にジメトキシメタンと呼ばれる。
【0009】
本発明のプロセスにおける活性水素含有化合物反応物質は、米国特許第4,394,491号及び国際公開第2014/113379号に記載されているもの(イソシアネート反応性基)を含む。そのような化合物の例は、分子1個当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、より具体的には、ポリエーテル又はポリエステルポリオール等のポリオールを含む。一部のヒドロキシル基は、アミン基によって置換することができ、それによって、活性水素含有化合物は、ヒドロキシル基及びアミン基の両方を含む。好ましくは、この化合物は、それによって、化合物がポリオールである少なくとも2つのヒドロキシル基を含む。そのようなポリオールの例は、約50~約700、通常は約70~約300、より典型的には約90~約270の等価重量を有し、かつ少なくとも2つのヒドロキシル基、通常は3~8つのそのような基を有するものである。
【0010】
好適なポリオールの例には、芳香族ポリエステルポリオール等のポリエステルポリオール、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)スクラップとジエチレングリコール等のグリコールとのエステル交換によって作製されるもの、又はフタル酸無水物とグリコールとを反応させることによって作製されるものが含まれる。結果として得られるポリエステルポリオールを、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと更に反応させて、追加の内部アルキレンオキシ基を含有する伸長ポリエステルポリオールを形成してもよい。
【0011】
更なる好適なポリオールの例にはまた、とりわけ、末端ヒドロキシル基を有する、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、混合ポリエチレン-プロピレンオキシド等のポリエーテルポリオールが含まれる。他の好適なポリオールは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを、例えば、グリセロール、ペンタエリスリトール、及び炭水化物、例えばソルビトール、グルコース、スクロース等、ポリヒドロキシ化合物中に存在する2~16、一般的には3~8つのヒドロキシル基を有する開始剤と反応させることによって、調製することができる。好適なポリエーテルポリオールはまた、脂肪族又は芳香族アミン系ポリオールも含むことができる。
【0012】
アミンも含むポリオールの例は、マンニッヒポリオールである。ポリイソシアネート構成成分(反応物質)に関しては、通常、イソシアネート基の当量と活性水素基の当量との比率、すなわち、発泡インデックスが、約0.9~約10となり、ほとんどの場合では約1~約4となるような、活性水素含有化合物に対する比率で選択される。
【0013】
任意の好適なポリイソシアネートを本プロセスで用いることができるが、ポリイソシアネート系発泡体を作製するのに有用であるポリイソシアネートの例には、とりわけ、芳香族、脂肪族、及び環状脂肪族のポリイソシアネートのうちの少なくとも1つが含まれる。これらの化合物の代表的なメンバーには、とりわけ、ジイソシアネート(メタ若しくはパラフェニレンジイソシアネートなど)、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート(及び異性体)、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、1-メチルフェニル-2,4-フェニルジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4-ジイソシアネート、4,4-ビフェニレンジイソシアネート、及び3,3-ジメチオキシ-4,4-ビフェニレンジイソシアネート、並びに3,3-ジメチルジフェニルプロパン-4,4-ジイソシアネート、トリイソシアネート(トルエン-2,4,6-トリイソシアネートなど)、並びにポリイソシアネート(4,4-ジメチルジフェニルメタン-2,2,5,5-テトライソシアネートなど)、並びに多様なポリメチレンポリ-フェニロポリイソシアネート、それらの混合物が含まれる。
【0014】
トルエンジアミンを含む混合物をホスゲン化することにより得られる粗製トルエンジイソシアネート、又は粗製ジフェニルメタンジアミンをホスゲン化することにより得られる粗製ジフェニルメタンジイソシアネートといった粗製ポリイソシアネートもまた、本発明の実施で使用されてもよい。そのような化合物の具体的な例には、ポリウレタンと架橋する能力に起因して、メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートが含まれる。
【0015】
ポリイソシアネート反応物質は、異なるポリイソシアネートの混合物とすることができ、また活性水素含有化合物は、異なる活性水素含有化合物の混合物とすることができる。
【0016】
典型的には、好適なポリイソシアネートと反応させる前に、活性水素含有化合物及び場合によっては他の添加剤が、発泡剤と混合されて、発泡体形成組成物を形成する。そのような発泡体形成組成物は、典型的には、イソシアネート反応性プリブレンド、又はB側組成物として、当該技術分野で周知である。B側組成物は、活性水素含有化合物を含有し、好ましくは本発明の発泡剤組成物も含有する。A側組成物は、ポリイソシアネートを含む。A側組成物及びB側組成物を含む発泡体形成組成物は、当業者にとって便宜的な任意の方式で調製することができ、これには、各構成成分(成分)の所望される量を単純に計量し、その後で所望の温度及び圧力でそれらを適切な容器内で合わせることが含まれる。
【0017】
B側組成物に、少量の添加剤を用いることが望ましい場合が多い。これらの添加剤の中でも、当該技術分野で周知のものの中でもとりわけ、触媒、界面活性剤、TCPPなどの難燃剤、保存剤、着色剤、酸化防止剤、補強剤、充填剤、及び帯電防止剤からなる群から、1つ以上のメンバーを含む。
【0018】
組成に応じて、硬化中の発泡反応混合物を安定化させるために、界面活性剤を用いてもよい。そのような界面活性剤は、通常、液体又は固体の有機シリコーン化合物を含む。界面活性剤は、発泡反応混合物を崩壊に対して安定化させ、かつ大きく不均一な気泡の形成を防止するのに充分な量で用いられる。本発明の一実施形態では、全ての発泡成分(すなわち、発泡剤+活性水素含有化合物+ポリイソシアネート+添加剤)の合計重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%の界面活性剤が使用される。本発明の別の実施形態では、全ての発泡成分(すなわち、発泡性の組成物)の合計重量に基づいて、約1.5重量%~約3重量%の界面活性剤が使用される。
【0019】
活性水素含有化合物(例えば、ポリオール)と、ポリイソシアネートとの反応のための1つ以上の触媒も用いられてもよい。反応物質と一緒に触媒を選択することは、本発明のプロセスの実施における発泡ポリイソシアネートの代わりの又はそれと混合した発泡ポリイソシアヌレートの形成に好ましい可能性がある。任意の好適なウレタン触媒を用いてもよいが、特定の触媒は、第三級アミン化合物及び有機金属化合物を含む。例示的なそのような触媒は、例えば、米国特許第5,164,419号に開示されており、その開示は、参照により本明細書に援用される。例えば、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属カルボキシレート、又は第四級アミン化合物といったポリイソシアネートの三量体形成のための触媒もまた、任意に、本明細書で用いてもよい。こうした触媒は、ポリイソシアネートの反応速度をある程度増大させる量で用いられる。触媒の典型的な量は、全ての発泡成分の合計重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%である。
【0020】
本発明のプロセスは、ポリイソシアネート及び活性水素含有化合物反応物質並びにA側又はB側組成物中に存在する添加物に関して、上記に開示される特定のものに限定されない。ポリイソシアネートと活性水素含有化合物反応物質との相対量を変化させることにより、所望の発泡体、好ましくは硬質発泡体を得ることができる。過剰なポリイソシアネート反応物質により、ポリウレタンとポリイソシアヌレートの両方の発泡構造を提供することができる。これらは、本発明の従来の態様であり、本発明は、反応生成物に発泡を生成するために使用される発泡剤及び高い発泡温度の使用に属する。したがって、本発明は、ポリイソシアネートと活性水素含有化合物との反応から生じる任意の発泡性組成物に適用することができる。
【0021】
ポリウレタン系若しくはポリイソシアヌレート系発泡体、又はポリウレタン/ポリイソシアヌレート系発泡体の製造プロセスでは、活性水素含有化合物、ポリイソシアネート、及び他の構成成分を、接触させ、充分に混合し、かつ気泡ポリマーへと膨張及び硬化させる。混合装置は重要ではなく、様々な従来的なタイプのミキシングヘッド及びスプレー装置が使用される。従来的な装置とは、フルオロトリクロロメタン(CCl3F、CFC-11)等の従来的なイソシアネート系発泡体発泡剤が用いられる、イソシアネート系発泡体の調製に従来的に用いられる装置、機器、及び手順を意味する。このような従来装置は、H.Bodenらの論文、Polyurethane Handbook,edited by G.Oertel,Hanser Publishers,New York,1985の4章、H.Grunbauerらによる「Fine Celled CFC-Free Rigid Foam-New Machinery with Low Boiling Blowing Agents」と題する論文(published in Polyurethanes 92 from the Proceedings of the SPI 34th Annual Technical/Marketing Conference,October 21-October 24,1992,New Orleans,Louisiana)、及びM.Tavernaらによる「Soluble or Insoluble Alternative Blowing Agents? Processing Technologies for Both Alternatives,Presented by the Equipment Manufacturer」と題する論文(published in Polyurethanes World Congress 1991 from the Proceedings of the SPI/ISOPA September 24~26,1991,Acropolis,Nice,France)によって述べられている。
【0022】
ポリイソシアネートと活性水素含有化合物との間の反応温度は、混合装置に供給される反応物質の温度、すなわち反応開始時の反応物質の温度である。反応物質の温度は同一であることが好ましく、これにより、反応物質の完全な混合の一助となる反応物質の粘度の整合が補助される。反応物質の温度はまた、発泡温度とも考えられる。少なくとも100°F(37.7℃)の好ましい発泡温度において、この完全な混合が速やかに生じて、高温に付随する反応速度の増大に適応することが重要である。反応物質が異なる温度を有する場合、それらの温度の平均値が少なくとも100°F(37.7℃)であることが好ましい。粘度の整合は、反応物質が異なる温度であることによって達成することができる。
【0023】
発泡反応生成物の噴霧を生成するための装置の圧力は、低圧から高圧までの範囲とすることができる。低圧は、100psi(0.69MPa)以下、一般に少なくとも50psiであると考えられる。高圧は、1000psi(6.9MPa)~2000psi(13.8MPa)の範囲であると考えられる。これらの圧力はゲージ圧力である。
【0024】
本発明の組成物及びプロセスは、例えば、インテグラルスキン、RIM、及び可撓性発泡体を含む、全ての種類のポリウレタン及びポリイソシアヌレート発泡体の生成、また具体的にはスプレー断熱、現場注入型家電製品用発泡体(pour-in-place appliance foams)として、又は剛性断熱ボードストック及びラミネートとして有用な剛性の独立気泡ポリマー発泡体の生成に適用可能である。
【0025】
この本発明のプロセスはまた、独立気泡ポリウレタン又はポリイソシアヌレートポリマーを含む発泡反応生成物の製造も含む。良好な熱性能のために、好ましくは、発泡反応生成物内の発泡体気泡は、ASTM D 6226に基づいて定義されるように、平均少なくとも90%の独立気泡である。
【0026】
本発明の発泡剤組成物により、前述のように低密度かつ高%の独立気泡によって特徴づけられるだけでなく、発泡構造の厚さにわたる密度均一性によっても特徴づけられる、高品質の発泡構造を生成する。
【0027】
本発明で使用するとき、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又はこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、これらの要素に必ずしも限定されるものではなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置に対して明示的に記載されていない、又はこれらに固有のものではない、他の要素も含む場合がある。更に、明示的にこれに反する記載がない限り、「又は」は、包括的な又はを指し、排他的な又はを指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下、すなわち、Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)、及びA及びBの両方が真である(又は存在する)のいずれか1つによって満たされる。
【0028】
移行句「からなる」は、特定されていないいかなる要素、工程、又は成分も除外する。特許請求の範囲における場合には、材料に通常付随する不純物を除き、このような句は、列挙された材料以外の材料を含むことに対して特許請求の範囲を限ることになる。語句「からなる」がプリアンブルの直後ではなく請求項の本文の節内で現れるとき、この語句はその節の中に示される要素のみを制限するものであり、他の要素が特許請求の範囲全体から除外される訳ではない。移行句「から本質的になる」は、これらの追加的に含まれる材料、工程、特徴、構成成分、又は要素が、特許請求される発明の基本的及び新規の特徴(複数可)、特に本発明のプロセスのいずれかの所望の結果を達成するための作用機序に実質的に影響を及ぼさないことを条件に、文字通り開示されているものに加えて、材料、工程、特徴、構成成分、又は要素を含む、組成物、方法を定義するために使用される。用語「から本質的になる」は、「含む」と「からなる」との間の中間の立場を占める。
【0029】
出願人らが、発明又はその一部分を、「含む」などの非限定的な用語で定義していた場合、(特に明記しない限り)その記載は、用語「から本質的になる」又は「からなる」を使用するような発明も含むと解釈すべきであることが容易に理解されるべきである。
【実施例】
【0030】
これらの実施例では、厳密に制御された手動混合操作を選択した。発泡膨張剤及びA側(ポリイソシアネート)と予備混合する前に、B側配合物を10℃に冷却した。適切な垂直成形型(vertical molds)に添加する前に、構成成分を4000rpmで2秒間混合した。立ち上がり時間及びタックフリー時間を記録し、次いで発泡体を室温(25℃/78°F)で24時間放置した後、切り取ってそして次の方法による特性評価を行った。
密度 ASTM D1622
熱伝導率 ASTM C518
独立気泡含有量 ASTM D6226
圧縮強度 ASTM D1621
寸法安定性 ASTM D2126
【0031】
実施例1~16に使用されるB側組成物を、表1に記載する。
【0032】
【0033】
ポリエステルポリオールは、300mg KOH/gのヒドロキシル価、2.2の公称官能基数及び25℃で5000cpsの動的粘度を有する。
【0034】
マンニッヒポリオールは、470mg KOH/gのヒドロキシル価、4の公称官能基数及び25℃で10000cpsの動的粘度を有する。
【0035】
ポリエーテルポリオールは、360mg KOH/gのヒドロキシル価、4.5の公称官能基数及び25℃で3000cpsの動的粘度を有する。
【0036】
結果を
図5に示す。ここで、2.55%の一定の水量を炭化水素ブレンドに使用し、一方、一定の密度を維持するためにOpteon(商標)1100対照ではより高い水量を使用した。
【0037】
【0038】
実施例1~3は、増加する量のCO2(水から発生)と、対応する減少する量のZ-1336と、で発泡させた発泡体を示し、1336量(levels)の減少と共に増加するk因子を示す。実施例4~12は、Z-1336と、CO2と、様々な量の共発泡剤であるギ酸メチル、メチラール及びトランス-ジクロロエチレンと、で発泡させた発泡体を例示する。これらの発泡体は、1336の量の低い方で、有意に低い(より良い)k因子を示す。
【0039】
比較例
共発泡剤としてギ酸メチル又はメチラールのいずれかと、Z-1336mzzの代わりにHFC-245fa又はHFC-365mfcと、を使用する比較例を、下記表3の比較例1~12に示す。
【0040】
【0041】
ヒドロフルオロカーボン発泡剤HFC-245fa及びHFC-365mfcで発泡させた発泡体は、HFO-1336mzzを用いた実施例4~9で観察されたように、ギ酸メチル及びメチラールを用いた場合と同様のk因子の低下を示さない。