(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】ユーザ機器、方法および第1の基地局
(51)【国際特許分類】
H04W 28/04 20090101AFI20220325BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20220325BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20220325BHJP
H04W 76/15 20180101ALI20220325BHJP
H04W 92/20 20090101ALN20220325BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04W72/04 111
H04W48/18 111
H04W76/15
H04W92/20
(21)【出願番号】P 2019534654
(86)(22)【出願日】2017-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2017079896
(87)【国際公開番号】W WO2018127322
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-07-31
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャー リキン
(72)【発明者】
【氏名】ロアー ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】堀 貴子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
【審査官】小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0234726(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0337916(US,A1)
【文献】国際公開第2013/126859(WO,A2)
【文献】特開2009-246966(JP,A)
【文献】特表2016-535556(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0104128(US,A1)
【文献】Overview of RRC architecture options for the LTE-NR tight interworking,3GPP TSG-RAN WG2#94 R2-164005,2016年05月13日
【文献】UL Support for LWA,3GPP TSG-RAN WG2#94 R2-163572,2016年05月27日
【文献】Flow Control for DC based on PDCP status report,3GPP TSG-RAN WG3♯83bis R3-140665,2014年04月04日
【文献】3GPP TS 36.323 V14.1.0(2016-12),3GPP,2016年12月,第15-17,20頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システムにおけるユーザ機器であって、前記ユーザ機器が、
動作時に、第1の基地局がデータパケットを前記ユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを決定する処理回路であって、前記ユーザ機器が、第1の無線リンクを介しての前記第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である、前記処理回路と、
動作時に、無線リンク選択メッセージを前記第1の基地局に送信する送信機であって、前記無線リンク選択メッセージが、どの少なくとも1つの無線リンクを介して前記データパケットを前記ユーザ機器に転送するかを前記第1の基地局に指示するための、前記決定された少なくとも1つの無線リンクに関する情報、を含む、前記送信機と、
を備えて
おり、
前記処理回路が、動作時に、前記第1の基地局および前記第2の基地局から受信される一連のデータパケットの受信報告の送信を制御するために、報告タイマを動作させ、前記報告タイマが、前記一連のデータパケットにおけるデータパケットが消失したものと最初に検出されたときに起動され、
前記処理回路が、動作時に、前記報告タイマが切れた時点で、前記第1の基地局に受信報告を送信することを決定して前記受信報告を生成し、前記受信報告が、前記第1の基地局および前記第2の基地局から正常に受信されたデータパケットを示し、
前記送信機が、動作時に、前記生成された受信報告を前記第1の基地局に送信し、
前記処理回路が、動作時に、
・ 前記第1の無線リンクおよび/または前記第2の無線リンクの測定されたパラメータが、それぞれの以前に測定されたパラメータと比較して、少なくとも特定の量だけ変化したときに、
前記受信報告を送信することをさらに決定し、
前記処理回路が、動作時に、前記受信報告を介して報告されるデータパケットが低い関連性であるとき、または、正常に受信されていないデータパケットの数が特定の数より小さいとき、前記受信報告を送信しないことを決定する、
ユーザ機器。
【請求項2】
前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクが、異なる無線技術に基づいて
いる、請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項3】
前記処理回路が、動作時に、前記第1の無線リンクおよび/または前記第2の無線リンクのパラメータを測定し、前記測定されたパラメータをしきい値と比較し、前記処理回路が、動作時に、前記比較の結果に基づいて、無線リンク選択メッセージを送信することを決定する、および/または、
前記処理回路が、動作時に、前記第1の無線リンクおよび/または前記第2の無線リンクのパラメータを測定し、前記測定されたパラメータを、以前に測定されたパラメータと比較し、前記処理回路が、動作時に、前記比較の結果に基づいて、無線リンク選択メッセージを送信することを決定
する、
請求項1または請求項2に記載のユーザ機器。
【請求項4】
前記送信機が、動作時に、媒体アクセス制御(MAC)制御要素の中で前記無線リンク選択メッセージを送信する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項5】
前記処理回路が、動作時に、前記第1の基地局が、
・ 前記第1の無線リンクのみを介して、または、
・ 前記第2の無線リンクのみを介して、または、
・ 前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクの両方を介して、
データパケットを転送するべきことを決定
する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項6】
前記処理回路が、前記第1の基地局が前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクの両方を介してデータパケットを転送するべきことを決定した場合に、
前記処理回路が、動作時に、前記第1の無線リンクを介して転送されるデータパケットと、前記第2の無線リンクを介して転送されるデータパケットとの間の比率、をさらに決定し、前記比率が前記無線リンク選択メッセージに含められる、または、
前記処理回路が、動作時に、前記データパケットが前記第1の無線リンクおよび前記第2の無線リンクを介して重複して転送されるべきことをさらに決定し、前記無線リンク選択メッセージが、前記重複に関する情報を含む、
請求項5に記載のユーザ機器。
【請求項7】
前記第1の無線リンクに割り当てられる、第1の無線リンクの識別情報が、前記第2の無線リンクに割り当てられる、第2の無線リンクの識別情報とは異なり、前記無線リンク選択メッセージに含まれている、前記少なくとも1つの無線リンクに関する前記情報が、前記第1の無線リンクの識別情報、および/または、前記第2の無線リンクの識別情報、を含
む、
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項8】
前記ユーザ機器の受信機が、動作時に、前記第1の無線リンクの識別情報、および/または、前記第2の無線リンクの識別情報、を前記第1の基地局から受信する、
請求項7に記載のユーザ機器。
【請求項9】
前記ユーザ機器が、前記第1の基地局と前記第2の基地局の間で分割されるスプリットベアラを使用して、前記第1の基地局および前記第2の基地局に接続可能であ
る、または、
前記ユーザ機器が、前記第1の基地局および前記第2の基地局に、2つのベアラを介して個別に接続可能である、
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項10】
前記送信機が、動作時に、前記受信報告を、前記無線リンク選択メッセージと一緒に前記第1の基地局に送信する、請求項
1から請求項9
のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項11】
移動通信システムにおいてユーザ機器を動作させる方法であって、前記ユーザ機器によって実行される以下のステップ、すなわち、
第1の基地局がデータパケットを前記ユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを決定するステップであって、前記ユーザ機器が、第1の無線リンクを介しての前記第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である、ステップと、
前記第1の基地局および前記第2の基地局から受信される一連のデータパケットの受信報告の送信を制御するために、報告タイマを動作させるステップであって、前記報告タイマが、前記一連のデータパケットにおけるデータパケットが失われたものと最初に検出されたときに起動される、ステップと、
前記報告タイマが切れた時点で、前記第1の基地局に受信報告を送信することを決定し、前記受信報告を生成するステップであって、前記受信報告が、前記第1の基地局および前記第2の基地局から正常に受信されたデータパケットを示す、ステップと、
前記受信報告を、無線リンク選択メッセージ
と一緒に前記第1の基地局に送信するステップであって、前記無線リンク選択メッセージが、どの少なくとも1つの無線リンクを介して前記データパケットを前記ユーザ機器に転送するかを前記第1の基地局に指示するための、前記決定された少なくとも1つの無線リンクに関する情報、を含む、ステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
移動通信システムにおける第1の基地局であって、前記第1の基地局が、
動作時に、ユーザ機器から無線リンク選択メッセージを受信する受信機であって、前記ユーザ機器が、第1の無線リンクを介しての前記第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能であり、前記無線リンク選択メッセージが、前記第1の基地局がデータパケットを前記ユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクに関する情報、を含む、前記受信機と、
動作時に、前記データパケットを前記ユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを、前記受信された無線リンク選択メッセージに基づいて決定する処理回路と、
動作時に、前記決定された少なくとも1つの無線リンクを介して前記データパケットを前記ユーザ機器に転送する送信機と、
を備えて
おり、
前記受信機が、動作時に、前記第1の基地局および前記第2の基地局から前記ユーザ機器によって正常に受信された前記データパケットを示す受信報告を、前記ユーザ機器から受信し、
前記処理回路が、動作時に、前記データパケットを転送するために介する前記少なくとも1つの無線リンクの決定を、前記受信された受信報告に基づいて行い、
前記受信機が、動作時に、前記ユーザ機器から、前記受信報告を、前記無線リンク選択メッセージと一緒に受信する、
第1の基地局。
【請求項13】
前記処理回路が、動作時に、前記ユーザ機器によって正常に受信されていないデータパケットを送信するか、およびどの無線リンクを介して送信するかを、前記受信された受信報告に基づいて決定する、
請求項
12に記載の第1の基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム(3GPP通信システムなど)においてデータを転送する方法、装置および構成を対象としている。
【背景技術】
【0002】
現在、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:3rd Generation Partnership Project)は、次世代のセルラ技術(第5世代(5G)とも称される)の技術仕様の次のリリース(リリース15)に取り組んでいる。3GPPの技術仕様グループ(TSG:Technical Specification Group)の無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access network)会合#71(2016年3月、Gothenburg)において、RAN1、RAN2、RAN3、およびRAN4が関与する、5Gの最初の検討項目「Study on New Radio Access Technology(新しい無線アクセス技術に関する検討)」が承認され、5Gの最初の標準規格を定義するリリース15の作業項目になるものと予測される。
【0003】
この検討項目の目的は、RANの要件の検討時に定義されたように、最大100GHzの周波数範囲で動作し、かつ広範なユースケースをサポートする「NR:New Radio」アクセス技術(RAT)を開発することである(例えば非特許文献1(3GPPのウェブサイトで入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれている)を参照)。
【0004】
1つの目的は、非特許文献1に定義されているすべての使用シナリオ、要件、および配置シナリオに対処し、少なくとも、高度モバイルブロードバンド(eMBB:enhanced mobile broadband)、超高信頼・低遅延通信(URLLC:ultra-reliable low-latency communications)、大規模マシンタイプ通信(mMTC:massive machine type communication)を含む、単一の技術的枠組みを提供することである。例えば、eMBBの配置シナリオには、屋内のホットスポット、密集都市部、郊外、都市部、および高速が含まれうる。URLLCの配置シナリオには、産業制御システム、モバイル健康管理(遠隔モニタリング、診断、および治療)、車両のリアルタイム制御、スマートグリッドの広域監視・制御システムが含まれうる。mMTCには、スマートウェアラブルやセンサネットワークなど遅延の影響が小さいデータ伝送による多数の装置を使用するシナリオが含まれうる。第2の目的は、上位互換性を達成することである。ロングタームエボリューション(LTE、LTE-A)セルラシステムとの下位互換性は要求されず、これにより、まったく新しいシステムの設計および/または新規の特徴の導入が促進される。
【0005】
物理層の基本的な信号波形は、OFDMに基づいており、非直交波形およびマルチアクセスがサポートされる可能性がある。例えば、OFDMに加えての追加機能(DFT-S-OFDM、および/または、DFT-S-OFDMのバリエーションなど)、および/または、フィルタリング/ウィンドウ化、がさらに考慮されている。LTEでは、ダウンリンク送信の波形としてサイクリックプレフィックス(CP)ベースのOFDMが使用され、アップリンク送信の波形としてDFT-S-OFDMが使用されている。新無線(NR)における設計目標の1つは、ダウンリンク、アップリンク、およびサイドリンクのための、できる限り共通の波形を模索することである。
【0006】
上に挙げた目的を達成するため、波形に加えて、いくつかの基本フレーム構造およびチャネル符号化方式が開発される。検討では、上に挙げた目的を達成するために、無線プロトコルの構造およびアーキテクチャに関する要求事項についての共通の認識も模索される。さらには、上に挙げた目的を満たすために新しいRAT(無線アクセス技術)を可能にするうえで必要である技術的機能(同じ連続する周波数ブロックにおいて、複数の異なるサービスおよびユースケースのトラフィックを効率的に多重化することを含む)が検討される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】3GPP TR 38.913 “Study on Scenarios and Requirements for Next Generation Access Technologies”, current version 14.0.0
【文献】3GPP TR 38.801 v1.0.0
【文献】TR 38.301
【文献】TS 36.323 v14.0.0
【文献】TS 36.322 v13.2.0
【文献】TS 36.300, v14.1.0
【文献】TS 36.213 v14.1.0
【文献】TS 36.331 V 14.0.0
【文献】3GPP TS 36.321, v14.1.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
3GPPの第5世代システムの新無線(NR)の標準化は開始されたばかりであるため、依然として明らかになっていないいくつかの課題が存在する。例えば、(1基または複数基の)UEが、以前の通信技術(3GPPのLTEまたはLTE-Aなど)を使用するセルと、3GPP第5世代の新しい通信技術(NR)を使用するセルの両方に接続されるマルチコネクティビティ(multi-connectivity)のシナリオにおいて、データ提供をどのように効率的に実施するかは、明らかになっていないままである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明を制限することのない例示的な一実施形態は、改良されたデータ提供手順を提供することを促進する。
【0010】
1つの一般的な第1の態様においては、本明細書に開示されている技術は、移動通信システムにおけるユーザ機器、を提供する。本UEは、動作時に、第1の基地局がデータパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを決定する処理回路、を備えている。ユーザ機器は、第1の無線リンクを介しての第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である。本UEは、動作時に無線リンク選択メッセージを第1の基地局に送信する送信機、をさらに備えている。無線リンク選択メッセージは、どの少なくとも1つの無線リンクを介してデータパケットをユーザ機器に転送するかを第1の基地局に指示するための、決定された少なくとも1つの無線リンクに関する情報、を含む。
【0011】
1つの一般的な第1の態様においては、本明細書に開示されている技術は、移動通信システムにおいてユーザ機器を動作させる方法、を提供する。本方法は、ユーザ機器によって実行される以下のステップを含む。第1の基地局がデータパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンク、を決定する。ユーザ機器は、第1の無線リンクを介しての第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である。無線リンク選択メッセージを第1の基地局に送信する。無線リンク選択メッセージは、どの少なくとも1つの無線リンクを介してデータパケットをユーザ機器に転送するかを第1の基地局に指示するための、決定された少なくとも1つの無線リンクに関する情報、を含む。
【0012】
1つの一般的な第1の態様においては、本明細書に開示されている技術は、移動通信システムにおける第1の基地局、を提供する。第1の基地局の受信機は、動作時に、ユーザ機器から無線リンク選択メッセージを受信する。ユーザ機器は、第1の無線リンクを介しての第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である。無線リンク選択メッセージは、第1の基地局がデータパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンク、に関する情報を含む。第1の基地局の処理回路は、動作時に、データパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを、受信された無線リンク選択メッセージに基づいて決定する。第1の基地局の送信機は、動作時に、決定された少なくとも1つの無線リンクを介してデータパケットをユーザ機器に転送する。
【0013】
1つの一般的な第2の態様においては、本明細書に開示されている技術は、移動通信システムにおけるユーザ機器、を提供する。本ユーザ機器の処理回路は、動作時に、第1の無線リンクに関する無線リンク情報および第2の無線リンクに関する無線リンク情報、を生成する。ユーザ機器は、データパケットを交換するために、第1の無線リンクを介しての第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である。ユーザ機器の送信機は、動作時に、データパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを決定するために第1の基地局によって使用されるように、生成された無線リンク情報を第1の基地局に送信する。
【0014】
1つの一般的な第2の態様においては、本明細書に開示されている技術は、移動通信システムにおいてユーザ機器を動作させる方法、を提供する。本方法は、以下のステップを含む。第1の無線リンクに関する無線リンク情報および第2の無線リンクに関する無線リンク情報、を生成する。ユーザ機器は、データパケットを交換するために、第1の無線リンクを介しての第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である。データパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを決定するために第1の基地局によって使用されるように、生成された無線リンク情報が第1の基地局に送信される。
【0015】
1つの一般的な第3の態様においては、本明細書に開示されている技術は、移動通信システムにおける第1の基地局、を提供する。第1の基地局の受信機は、動作時に、第1の無線リンクに関する無線リンク情報および第2の無線リンクに関する無線リンク情報を、ユーザ機器から受信する。ユーザ機器は、データパケットを交換するために、第1の無線リンクを介しての第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続される。第1の基地局の処理回路は、動作時に、データパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを決定する。第1の基地局の送信機は、動作時に、決定された少なくとも1つの無線リンクを介してデータパケットをユーザ機器に転送する。
【0016】
なお、一般的な実施形態または特定の実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組合せとして、実施できることに留意されたい。
【0017】
開示されている実施形態のさらなる恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面のさまざまな実施形態および特徴によって個別に得ることができ、ただしこのような恩恵および/または利点の1つまたは複数を得るために、これらの特徴すべてを設ける必要はない。
【0018】
以下では、例示的な実施形態について、添付の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】UEがgNBおよびLTE eNBの両方に接続されている、3GPP NRシステムの例示的なアーキテクチャを示している。
【
図2】LTE eNB、gNB、およびUEの例示的なユーザプレーンアーキテクチャを示している。
【
図3】プロトコルデータユニット(PDU)およびサービスデータユニット(SDU)の関係と、これらの層間の交換とを示している。
【
図4】PDCP層、RLC層、およびMAC層におけるさまざまな機能の概要を示しており、さらに、さまざまな層によるSDU/PDUの処理を例示的に示している。
【
図5】PDCP制御PDUのフォーマットを示している。
【
図6】デュアルコネクティビティにおけるMeNBおよびSeNBのユーザプレーンアーキテクチャを示している。
【
図7】デュアルコネクティビティにおける特定のUEのためのMeNBおよびSeNBの制御プレーンのコネクティビティを示している。
【
図8】デュアルコネクティビティにおける特定のUEのためのMeNBおよびSeNBのユーザプレーンのコネクティビティを示している。
【
図9】UEおよびeNB(LTE eNBまたはgNB)の例示的かつ単純化された構造を示している。
【
図10】本開示のさまざまな解決策による、UEの挙動の単純化された例示的な流れ図である。
【
図11】本開示のさまざまな解決策による、UEの挙動の単純化された例示的な流れ図である。
【
図12】本開示のさまざまな解決策による、UEの挙動の単純化された例示的な流れ図である。
【
図13】本開示の別の解決策による、UEの挙動の単純化された例示的な流れ図である。
【
図14】解決策の1つのバリエーションによる、UEからLTE eNodeBにチャネル状態のフィードバックを提供するための異なるオプションを示している。
【
図15】解決策の1つのバリエーションによる、UEからLTE eNodeBにチャネル状態のフィードバックを提供するための異なるオプションを示している。
【
図16】本開示のさらに別の解決策による、スプリットベアラのPDCP PDUのダウンリンクデータ提供と、UEからLTE eNodeBへの対応するACK状態報告フィードバックを示している。
【
図17】本開示のさらに別の解決策による、スプリットベアラのPDCP PDUのダウンリンクデータ提供と、UEからLTE eNodeBへの対応するACK状態報告フィードバックを示している。
【
図18】ACK状態報告の例示的なフォーマットを示している。
【
図19】本開示の1つの解決策によるUEの挙動の単純化された例示的な流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[本開示の基礎]
背景技術のセクションに示したように、3GPPは、第5世代セルラ技術(簡潔に5Gと称される)の次のリリース(最大100GHzの周波数範囲で動作する新しい無線アクセス技術(NR)の開発を含む)に取り組んでいる。
【0021】
例えば非特許文献2(その全体が参照により本明細書に組み込まれている)に反映されているように、現在、さまざまな異なる配置シナリオが、サポートされるかに関して検討されている。この文献には、非中央集中型の配置シナリオ(非特許文献2の5.2節)が提示されており、このシナリオでは、5G NRをサポートする基地局を配置することができる。
図1は、例示的な非中央集中型の配置シナリオを示しており、非特許文献3の
図5.2.-1に基づいており、LTE eNBとユーザ機器(UE)とを、さらに示しており、ユーザ機器(UE)は、gNBおよびLTE eNB(このeNBはLTEおよびLTE-Aなど以前の3GPP標準リリースによるeNBとして理解されたい)の両方に接続されている。
【0022】
eLTE eNB(非特許文献2に例示的に定義されている)は、EPC(進化型パケットコア(Evolved Packet Core))およびNGC(次世代コア(Next Generation Core))のコネクティビティをサポートするeNBの進化型である。
【0023】
このRANアーキテクチャは、新しいRAT(無線アクセス技術)とLTEとの間の密接なインターワーキングをサポートすることができる。これに関連して、LTEと新しい無線アクセス技術NR 5Gとの間のマルチコネクティビティをサポートすることができ、このマルチコネクティビティは、デュアルコネクティビティのコンセプト(LTEおよびLTE-Aの以前の3GPPリリースからすでに公知であり、後から簡潔に説明する)に基づくことができる。マルチコネクティビティとは、接続モード(Connected Mode)にあるマルチ受信/送信UE(multiple-Rx/Tx UE)が、非理想的なバックホールリンクを介して接続されている複数の個別のスケジューラ(例:LTE eNBおよびgNB)によって提供される、E-UTRAおよびNRの中の無線リソースを利用するように構成される動作モードとして定義することができる。マルチコネクティビティは、UEがLTE(-A)ネットワークと新しい5Gネットワークとに同時に接続することを可能にすることができる(例示的にLTE-NRマルチコネクティビティと称する)。
【0024】
デュアルコネクティビティのすでに公知のコンセプトに従って、LTE(-A)eNBをマスターeNB(MeNB)とみなすことができ、その一方で、5Gの新しいeNB(例示的にgNBと称する)をセカンダリeNB(SeNB)とみなすことができる。これに代えて、マルチコネクティビティのシナリオでは、LTE eNBをSeNBとし、gNBをMeNBとすることができる。しかしながら、NR-NRマルチコネクティビティ(MeNBとSeNBの両方がgNBである)もサポートできることにも留意されたい。
【0025】
図2は、LTE-NRマルチコネクティビティに関連して現在検討されている例示的かつ一般的なユーザプレーンアーキテクチャを示しており、LTE eNBを介してのMCG(マスターセルグループ:Master Cell Group)ベアラと、LTE eNBとgNBとの間で分割されるベアラと、gNBを介してのSCG(セカンダリセルグループ:Secondary Cell Group)ベアラとを有する(例えば非特許文献2の10.1節(参照により本明細書に組み込まれている)を参照)。さらに
図2は、UEの例示的なユーザプレーンアーキテクチャも示しており、LTE eNBおよびgNBからこれらのベアラを介して受信されるデータパケットを処理する、UEにおけるさまざまな層を示している。
【0026】
現時点で5Gシステムにおいて例示的に想定される新しいNR層は、簡潔さと説明を目的として、LTE(-A)通信システムにおいて現在使用されているユーザプレーンの層構造に基づくことができる。したがって複数の異なる層は、NR MAC層、NR RLC層、およびNR PDCP層と称され、これらの層を、一般的に知られているLTEの層(MAC、RLC、およびPDCP)に対応させることができるが、これらのNR層を、LTE層に基づいているが上記とは異なる層とすることもできることを示している。しかしながら、現時点ではNR層に関して最終的な合意に達していないことに留意されたい。
【0027】
本明細書において以下で使用される、サービスデータユニット(SDU)およびプロトコルデータユニットという用語について、
図3に関連して説明する。OSIモデルにおける層(上に挙げたMAC、RLC、およびPDCPなど)の間でのパケットの交換を一般的かつ形式的に説明する目的で、SDUエンティティおよびPDUエンティティが導入された。SDUは、層Nに位置するプロトコルからのサービスを要求する層N+1におけるプロトコルから、いわゆるサービスアクセスポイント(SAP)を介して送られる情報の単位(データ/情報ブロック)である。PDUは、同じ層Nに位置する同じプロトコルの、送信機および受信機におけるピアプロセスの間で交換される情報の単位である。
【0028】
PDUは、一般的には、受信された(1つまたは複数の)SDUの処理済みバージョン(先頭に層Nの固有なヘッダが付加され、オプションとして最後にトレーラが付加されている)からなるペイロード部によって形成される。これらのピアプロセスの間には(層1を除いて)直接的な物理的接続が存在しないため、PDUは、層N-1に渡されて処理される。したがって層NのPDUは、層N-1の観点からはSDUである。
【0029】
図2に示したように、LTEのレイヤ2のユーザプレーンのプロトコルスタックは、3つの副層PDCP、RLC、およびMACから構成されている。さらなる層は、
図2には示していないが、LTEのレイヤ1(物理層)である。
図4は、リンク層プロトコルから物理層までのIPパケットのデータの流れを例示的に描いている。この図は、各プロトコル副層がデータユニットに自身のプロトコルヘッダを付加することを示している。
【0030】
送信側においては、各層は、自身がサービスを提供する対象の上の層からSDUを受け取り、下の層にPDUを出力する。RLC層はPDCP層からパケットを受け取る。これらのパケットは、PDCPの観点からはPDCP PDUと称することができ、RLCの観点からはRLC SDUである。RLC層は、下の層(すなわちMAC層)に提供されるパケットを作成する。RLCによってMAC層に提供されるパケットは、RLCの観点からはRLC PDUであり、MACの観点からはMAC SDUである。受信側においては、このプロセスが逆に行われ、各層はSDUを上の層に渡し、上の層ではこれらのSDUをPDUとして受け取る。
【0031】
物理層は、本質的に、ターボ符号化および巡回冗長検査(CRC)によって保護されたビットパイプ(bitpipe)を提供する。リンク層のプロトコル(MAC、RLC、およびPDCP)は、増大した信頼性、セキュリティ、および完全性によって、上位層へのサービスを向上させる。これに加えて、リンク層は、マルチユーザの媒体アクセスおよびスケジューリングの役割を担う。パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP:Packet Data Convergence Protocol)副層は、主として、IPヘッダの圧縮および暗号化の役割を担う。これに加えて、PDCP副層は、eNB間のハンドオーバーの場合に消失のない(ロスレス)モビリティをサポートし、上位層の制御プロトコルに完全性保護を提供する。無線リンク制御(RLC)副層は、主としてARQ機能を備えており、また、データの分割および連結をサポートする。データの分割および連結によって、データレートとは無関係にプロトコルのオーバーヘッドが最小になる。最後に、媒体アクセス制御(MAC)副層は、HARQ(ハイブリッド自動再送要求)を提供し、また、スケジューリング動作やランダムアクセスなど、媒体へのアクセスに必要な機能を担う。
【0032】
以下ではレイヤ2の副層についてさらに詳しく説明する。
【0033】
LTEシステムにおいては、PDCP層は、制御プレーンにおける無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)メッセージと、ユーザプレーンにおけるIPパケットを処理する。PDCP層の主たる機能は、無線ベアラに応じて以下のとおりである。
- ユーザプレーンデータのヘッダの圧縮および復元
- セキュリティ機能:
○ ユーザプレーンデータおよび制御プレーンデータの暗号化および復号
○ 制御プレーンデータの完全性の保護および検証
- ハンドオーバーのサポート機能:
○ ハンドオーバー時における上の層のためのPDUの順次配信および並べ替え
○ RLC確認モード(AM)においてマッピングされたユーザプレーンデータのロスレスハンドオーバー
- タイムアウトによるユーザプレーンデータの破棄
【0034】
PDCP層は、ユーザプレーンにおけるデータストリームと、制御プレーンにおけるデータストリームを管理する。LTEでは、2つの異なるタイプのPDCP PDUとして、PDCPデータPDUとPDCP制御PDUが定義されている。PDCPデータPDUは、制御プレーンデータおよびユーザプレーンデータの両方に使用される。PDCP制御PDUは、ヘッダ圧縮のフィードバック情報と、PDCP状態報告のフィードバック情報)を伝送するために使用することができ、PDCP状態報告は、ハンドオーバーの場合に使用され、したがってユーザプレーン内でのみ使用される。
【0035】
PDCP制御PDU(そのフォーマットは
図5に例示的に示してある)は、ユーザプレーンデータを扱うPDCPエンティティによって使用される。2つのタイプのPDCP制御PDUがあり、PDCPヘッダ内のPDUタイプフィールドによって区別される。PDCP制御PDUは、ロスレスハンドオーバーの場合のPDCP「状態報告」、またはROHCヘッダ圧縮プロトコルによって作成されるROHC(ロバストヘッダ圧縮)フィードバックのずれかを伝える。ROHCフィードバックを伝えるPDCP制御PDUは、RLC UMまたはRLC AMのいずれかにマッピングされたユーザプレーン無線ベアラに使用され、PDCP状態報告を伝えるPDCP制御PDUは、RLC AMにマッピングされたユーザプレーン無線ベアラにのみ使用される。
【0036】
ロスレスハンドオーバーの場合のPDCP状態報告を伝えるPDCP制御PDUは、すでに正常に受信されたPDCP SDUの再送信を防止するためと、正常に受信されたがヘッダの復元に失敗したPDCP SDUの再送信を要求するために使用される。
【0037】
LTEセルラシステムにおいて現在定義されているPDCP層は、3GPP技術規格である非特許文献4(参照により本明細書に組み込まれている)に規定されている。
【0038】
RLC層は、PDCP層(RLCの観点からは「上位」層)と、MAC層(RLCの観点からは「下位」層)との間に位置する。RLC層は、サービスアクセスポイント(SAP)を通じてPDCP層と通信し、論理チャネルを介してMAC層と通信する。RLC層は、PDCP PDU(すなわちRLC SDU)を、MAC層によって示されるサイズにちょうど収まるように再フォーマットする。すなわち、送信側のRLCはPDCP PDUの分割および/または連結を行い、受信側のRLCはRLC PDUを組み立て直してPDCP PDUを再構築する。これに加えて、RLCは、MAC層において実行されるHARQ動作に起因してRLC PDUが正しくない順序で受信された場合、RLC PDUを並べ替える。
【0039】
RLC層の機能は、「RLCエンティティ」によって実行される。RLCエンティティは、3つのデータ伝送モード、すなわち、透過モード(TM)、非確認モード(UM)、確認モード(AM)のうちの1つに設定される。確認モード(AM)では、再送信をサポートするための特殊な機能が定義されており、そのうちの1つはRLC状態報告からなり、このRLC状態報告は、RLC AM受信側エンティティが、RLC PDU(またはそれらの一部)の肯定応答および/または否定応答をフィードバックとしてピアRLC AM送信側エンティティに提供するために使用される。
【0040】
LTEセルラシステムにおいて現在定義されているRLC層は、3GPP技術規格である非特許文献5(参照により本明細書に組み込まれている)に規定されている。RLC層の状態報告は、例えば、非特許文献5の5.2.3節に記載されており、STATUS PDUは、非特許文献5の6.2.1.6節に詳しく説明されている。
【0041】
前回の3GPP会合RAN2 #96では、5G NRにおけるRLC(無線リンク制御)リオーダリングおよびPDCP(パケットデータコンバージェンスプロトコル)リオーダリングの機能に関してさらなる合意に達した。特に、PDCP PDUの正しくない順序での復号を禁止すべきではないことが合意された。NR PDCP層は、リオーダリング機能(T-リオーダリング)をサポートすることができる。NR RLC AM(確認モード)は、RLC状態報告の内容を求める目的で、T-リオーダリング(T-reordering)に似た機能をサポートすることができる。NR RLCは、RLC SDU(サービスデータユニット)を組み立て直して、それらを、受け取った順序で上位層に渡す。
【0042】
前述したように、LTEネットワークと5G NRネットワークのインターワーキングのためのマルチコネクティビティは、LTEから公知であるデュアルコネクティビティのコンセプトに基づくことができる。LTEにおけるいわゆる「デュアルコネクティビティ」コンセプトは、マスターセルグループ(MCG)およびセカンダリセルグループ(SCG)を有するように設定される、(RRC_CONNECTED状態にある)UEの動作のモードを意味する。デュアルコネクティビティは、主として、3GPP技術規格である非特許文献6(参照により本明細書に組み込まれている)の例えば4.9節、6.5節、7.6節、10.1.2.3.4節、10.1.2.8節、および付録Mに定義されている。MCGは、デュアルコネクティビティに関連して使用される用語であり、MeNBに関連付けられるサービングセルのグループ(PCellおよびオプションとして1つまたは複数のSCellを含む)として理解することができる。SCGは、SeNBに関連付けられるサービングセルのグループ(PSCellおよびオプションとして1つまたは複数のSCellを含む)として理解することができる。MCGベアラは、その無線プロトコルがMeNBにのみ位置しており、MeNBのリソースのみを使用するベアラである。SCGベアラは、その無線プロトコルがSeNBにのみ位置しており、SeNBのリソースを使用するベアラである。スプリットベアラは、その無線プロトコルがMeNBおよびSeNBの両方に位置しており、MeNBのリソースおよびSeNBのリソースの両方を使用するベアラである。
【0043】
E-UTRAN(LTE)は、デュアルコネクティビティ(DC)動作をサポートし、それによって、RRC_CONNECTED状態にあるマルチ受信/送信UEが、X2インタフェースを通じて非理想的なバックホールを介して接続されている2基のeNB内に位置している2つの個別のスケジューラによって提供される無線リソースを利用するように構成される。特定のUEのデュアルコネクティビティ(DC)に関与するeNBは、2つの異なる役割を担い、すなわちeNBは、MeNBまたはSeNBのいずれかとして機能することができる。デュアルコネクティビティ(DC)では、UEは、少なくとも1基のMeNBと1基のSeNBとに接続されており、特定のベアラが使用する無線プロトコルアーキテクチャは、そのベアラがどのように確立されるかに依存する。3つのベアラタイプ、すなわち、MCGベアラ、SCGベアラ、およびスプリットベアラが存在する。これらのベアラタイプは
図6に示してある。デュアルコネクティビティにおけるeNB間の制御プレーンシグナリングは、X2インタフェースシグナリングによって実行される。MMEへの制御プレーンシグナリングは、S1インタフェースシグナリングによって実行される。
【0044】
MeNBとMMEとの間には、DC UEあたり1つのみのS1-MME接続が存在する。各eNBは独立してUEを処理する(すなわち、いくつかのUEにPCellを提供する一方で、別のUEにSCGの(1つまたは複数の)SCellを提供する)ことができるべきである。特定のUEのデュアルコネクティビティ(DC)に関与する各eNBは、自身の無線リソースを管理し、自身のセルの無線リソースを割り当てる役割を主として担う。MeNBとSeNBとの間のそれぞれの調整は、X2インタフェースシグナリングによって実行される。
図7は、特定のUEのデュアルコネクティビティ(DC)に関与するeNBの制御プレーンのコネクティビティを示している。S1-MMEはMeNBにおいて終了し、MeNBとSeNBはX2-Cを介して相互接続されている。
【0045】
デュアルコネクティビティの場合、2つの異なるユーザプレーンアーキテクチャが可能である。一方のアーキテクチャでは、S1-UがMeNBのみにおいて終了し、ユーザプレーンデータはX2-Uを使用してMeNBからSeNBに伝送され、第2のアーキテクチャでは、S1-UがSeNBにおいて終了することができる。
図8は、特定のUEのデュアルコネクティビティ(DC)に関与するeNBの、ユーザプレーンのコネクティビティの複数の異なるオプションを示している。MCGベアラについては、S-GWへの対応する(1つまたは複数の)ベアラのためのS1-U接続は、MeNBにおいて終了する。SeNBは、Uuを通じてのこのタイプのベアラのユーザプレーンデータの伝送に関与しない。スプリットベアラについては、S-GWへのS1-U接続は、MeNBにおいて終了する。PDCPデータは、X2-Uを介してMeNBとSeNBの間で伝送される。SeNBおよびMeNBが、Uuを通じてのこのベアラタイプのデータの送信に関与する。SCGベアラについては、SeNBがS1-Uを介してS-GWに直接接続される。MeNBは、Uuを通じてのこのタイプのベアラのユーザプレーンデータの伝送に関与しない。
【0046】
デュアルコネクティビティ(DC)の場合、UEは、2つのMACエンティティ、すなわちMeNBのための1つのMACエンティティと、SeNBのための1つのMACエンティティ、を有するように構成される。
【0047】
図9は、ユーザ機器(通信装置とも称される)およびスケジューリング装置(ここでは基地局(例えばLTE eNBおよびgNB)内に位置しているものと想定する)の一般的かつ単純化された例示的なブロック図を示している。UEとeNBは、それぞれ送受信機を使用して(無線)物理チャネルを通じて互いに通信している。
【0048】
通信装置は、送受信機および処理回路を備えていることができる。送受信機は、受信機および送信機を備えていることができる。処理回路は、1つまたは複数のハードウェア(1個または複数個のプロセッサやLSIなど)とすることができる。送受信機と処理回路との間には、入力/出力点(またはノード)が存在しており、処理回路は、動作時に、この入力/出力点を通じて送受信機を制御して(すなわち受信機および/または送信機を制御して)、受信/送信データを交換することができる。送受信機は、1つまたは複数のアンテナ、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRFフロントエンドを含むことができる。処理回路は、処理回路によって提供されるユーザデータおよび制御データを送信するように送受信機を制御する、および/または、処理回路によってさらに処理されるユーザデータおよび制御データを受信するように送受信機を制御するなどの、制御タスクを実施することができる。
【0049】
5Gセルラシステムのための新しい無線技術は、ノイズおよび誤りの影響を受けやすい高周波数帯域(実に最大100GHz)でも動作する。したがってユーザは、不良なチャネル条件を長時間にわたり経験することがあり、これによりパケットロスの確率が増大しうる。このことは、さまざまな点で不利である。例えば、gNB(より具体的にはgNB内のNR RLC層)が、必ずしもRLC状態報告を受信しないことがあり、したがってNR gNBから(バックホールリンクを介して)LTE eNBへの対応するフィードバックも失われる、または少なくとも遅延する。さらには、パケットロスに起因して、PDCPリオーダリングプロセスが遅延し、なぜなら正しくない順序で受信されたPDCP PDUは、正しい順序になるまでリオーダリングバッファ内に格納されているためである。PDCP PDUのより多くの再送信が必要となるため、無線リソースが非効率的に使用されてエネルギが無駄になる。
【0050】
したがって本開示は、上に挙げた欠点の1つまたは複数を克服することを促進する解決策を提示する。
【0051】
[本開示の詳細な説明]
以下では、5G移動通信システムにおいて予想される新しい無線アクセス技術のための、UE、基地局、および手順について説明する。複数の異なる実装形態および変形形態も説明する。以下の詳細な開示は、前のセクション「本開示の基礎」に基づいている。
【0052】
しかしながら、一般的には、5Gセルラ通信システムに関して実際に合意されたことはごくわずかであり、したがって以下では、本開示の基礎をなす原理を説明することができるように、多くの想定を行わなければならないことに留意されたい。しかしながら、これらの想定は、本開示の範囲を制限することのない単なる例として理解されたい。本開示の、請求項に記載されている原理を、さまざまなシナリオに、本明細書に明示的に説明されていない方法で適用できることが、当業者には認識されるであろう。
【0053】
さらに、次の3GPP 5G通信システムのための新しい無線アクセス技術に関連して使用される特定の専門用語はまだ完全には決定されていないが、以下で使用されている用語は、LTE/LTE-Aシステムに密接に関係している。したがって、本発明およびその保護範囲は、より新しい専門用語が存在しない理由で本明細書において例示的に使用されている特定の用語に制限されるべきではなく、本開示の機能・動作および原理の基礎をなす機能およびコンセプトに関して広義に理解されるべきであることが、当業者には認識されるであろう。
【0054】
例えば、「移動局(mobile station)」、「移動ノード(mobile node)」、「ユーザ端末(user terminal)」、または「ユーザ機器(UE)」は、通信ネットワーク内の物理エンティティである。1つのノードがいくつかの機能エンティティを有することができる。機能エンティティとは、所定の一連の機能を実施する、および/または、所定の一連の機能をノードまたはネットワークの別の機能エンティティに提供する、ソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュールを意味する。ノードは、通信機器または通信媒体にノードをアタッチする1つまたは複数のインタフェースを有することができ、ノードはこれらのインタフェースを通じて通信することができる。同様に、ネットワークエンティティは、機能エンティティを通信機器または通信媒体にアタッチする論理インタフェースを有することができ、ネットワークエンティティは論理インタフェースを通じて別の機能エンティティまたは通信相手ノードと通信することができる。
【0055】
用語「基地局」は、本明細書においては、通信ネットワーク内の物理エンティティを意味する。この物理エンティティは、通信装置に関していくつかの制御タスク(スケジューリングおよび設定の1つまたは複数を含む)を実行する。なお、基地局の機能および通信装置の機能を、1つの装置内に統合してもよいことに留意されたい。例えば、移動端末が、他の端末に対して基地局の機能を実施してもよい。
【0056】
図1に示したように、簡単かつ例示的なシナリオを想定し、このシナリオでは、UEは、LTE eNBおよびgNBの両方に接続されており、例えばUEと各基地局との間のそれぞれ対応する無線リンクを介して、これら2基の基地局とデータパケットを交換する。言い換えれば、LTE-NRマルチコネクティビティのシナリオが例示的に想定されており、例えば前に説明したようにデュアルコネクティビティのコンセプトを再利用する。さらなる例示的な想定として、LTE eNBがMeNBであり、その一方で、gNBがSeNBの役割を担う。なお以下の説明では、
図1の上述したシナリオを主として使用するが、本開示は別のマルチコネクティビティのシナリオ(NR-NRマルチコネクティビティのシナリオ、またはNR-LTEコネクティビティのシナリオ(LTE eNBがSeNBであり、gNBがMeNBの役割を担う)など)にも適用可能であることに留意されたい。
【0057】
いずれの場合にも、データは、例えば
図2に示したように、MCGベアラ、スプリットベアラ、およびSCGベアラを使用して、両方の基地局(LTE eNB、gNB)からUEに送信されるものとさらに例示的に想定する。以下では、データは、別のLTE(-A)セルラ通信システムからすでに公知である一般的なコンセプトに従って、データパケットとして(より具体的にはPDCP PDUとして)送信されるものと例示的に想定する。この送信は、例えば、
図9に図解されて上にさらに詳しく説明されている送受信機、受信機、および/または送信機を使用することによって、行うことができる。PDCP層において分割されるベアラの場合、LTE eNBは、(PDCP層におけるPDCP PDUの形の)データを、LTE eNBまたはgNBのいずれかにおける下のRLC層に送る。
【0058】
本開示は、基地局(LTE eNB、gNB)とUEとの間のデータ提供を改良する目的で、手順と、関与するエンティティ(例:UE、LTE eNB、gNB)とを提供する。この目的のため、UEは、どの少なくとも1つの無線リンクを介して2基の基地局からUEにPDCP PDUを転送するべきかを決定することができ、それに対応して、データパケットがどのように転送されるかを変更するように、責務を担う基地局(例えば
図2のシナリオではLTE eNB)に指示する。UEへのデータパケットの転送方法の責務を担う基地局は、デュアルコネクティビティにおいて使用されている用語に従って、例示的にマスター基地局と称することができる。
【0059】
例えば、
図2におけるスプリットベアラの場合に明らかであるように、このベアラのデータパケット(特にPDCP層におけるPDCP PDU)は、両方の無線リンクを介して(すなわちUEをLTE eNBに接続している無線リンクを介してと、UEをgNBに接続している無線リンクを介して)UEに転送される。スプリットベアラのデータパケットの転送は、LTE eNBが制御するものと例示的に想定し、さらに、LTE eNBはSeNBとしてのgNBの使用を制御するものと想定することができる。これに対応して、LTE eNBは、このベアラのデータパケットを、例えばコアネットワーク(EPCまたはNGCである)からS1インタフェースを介して受信する。次にこのベアラは、LTE eNBのPDCP層において分割され、一方のベアラ区間(bearer leg)がgNBを介して延び、他方のベアラ区間がLTE eNBを介して延びる。
【0060】
これに対応して、2つの無線リンクの一方のみ(LTE eNBとUEとの間のLTE無線リンク、またはgNBとUEとの間のNR無線リンクのいずれか)を介して、または両方の無線リンクを介して、データパケットを転送することができる。両方の無線リンクを使用する場合、データパケットの転送を、例えば特定の比率(例:その60%をLTE無線リンクを介し、かつ、残り40%をNR無線リンクを介する、または任意の別の適切な比率)に従って、2つの無線リンクの間で分散させることができる。これに代えて、データパケットそれぞれ(またはいくつかの特定のデータパケットのみ)を両方の無線リンクを介して送信することができ、これによってデータパケットが重複し、したがってUEは、同じデータパケットを両方の経路を介して受信する。したがってUEは、これらの転送オプションのいずれかを決定して、LTE eNBに指示することができる。この指示は、必要な場合、転送が両方の無線リンクを通じて行われるときのデータパケットの分配比率または重複に関する情報を含むことができる。
【0061】
次にUEは、決定した少なくとも1つの無線リンク(決定した転送オプション)に関する情報を含む、LTE eNBへの対応するメッセージ(以下では例示的に無線リンク選択メッセージと称する)を生成することができる。これに対応して、UEは、この無線リンク選択メッセージを、例えば送受信機を使用してLTE eNBに送信することができる。
【0062】
無線リンク選択メッセージの送信方法に関する1つの例示的なオプションは、MAC(媒体アクセス制御)層を使用することである。例えば、無線リンク選択メッセージの関連情報を伝えるために、専用のアップリンクMAC制御要素(MAC CE)を定義することができる。このような専用アップリンクMAC CEは1オクテットを有することができ、この場合、そのMAC CEを無線リンク選択メッセージとして識別するために5ビットのLC-IDフィールドを使用し、その一方で、後から詳しく説明するように、決定した転送オプションを示すために残りの3ビットを使用することができる。無線リンク選択メッセージを送信するためにMAC CEを使用することは、例えば、この点に関してPDCP手順の使用時に伴う遅延と比較したとき、情報がすぐにLTE eNBにおいて利用可能であるという利点を有しうる。別の可能な利点として、無線リンク選択メッセージを送信するために数ビットが必要であるのみである。
【0063】
これに加えて、またはこれに代えて、別の理由ですでに送信されるMAC CEの中で、無線リンク選択メッセージの情報を送信することができ、したがって、LTE eNBによって使用されるべき転送オプションの情報をピギーバックすることができる。この方法は、無線リンク選択メッセージを伝える目的に専用のMAC CEを定義する必要がないという利点を有する。
【0064】
無線リンク選択メッセージの送信方法に関するさらなるオプションは、PDCP制御PDUを使用することであり、PDCP制御PDUは、例示的に、1ビットのD/Cフィールド(例:0は、そのPDUが制御PDUであることを示し、1は、そのPDUがデータPDUであることを示す)と、3ビットのPDUタイプフィールド(例:ビット011~111(現在の標準仕様において予約されると考えられる)のいずれかを使用して、そのPDCP制御PDUを無線リンク選択メッセージとして識別する)を有するオクテットからなり、残りの4ビットを、(後から説明するように3ビットを使用する場合のように)決定された転送オプションを示すために使用することができる。
【0065】
無線リンク選択メッセージの内容に関して、さまざまなオプションが存在する。無線リンク選択メッセージは、例えば、決定された(1つまたは複数の)無線リンクの適切な識別情報を含むことができ、両方の無線リンクを通じてデータパケットを転送するときには、適用される比率に関する情報、または(一部またはすべての)データパケットを重複させるための適切な指示を、追加的に含めることが可能である。無線リンクの識別情報は、例えば、LTE eNBによって割り当ててUEに提供することができる。これに代えて、無線リンクの識別情報を、あらかじめ基地局とUEとにすでに既知とすることができる(例えば、対応する標準仕様によって定義しておくことができる)。
【0066】
別の例示的な実装形態においては、さまざまな転送オプションを、例えば3ビットを使用することによって符号化することができ、3ビットでは、最大で8つの異なる転送オプションを区別することができる(例えば、LTE無線リンクのみ、NR無線リンクのみ、比率20-80でのLTE+NR無線リンク、比率40-60でのLTE+NR無線リンク、比率50-50でのLTE+NR無線リンク、比率60-40でのLTE+NR無線リンク、比率80-20でのLTE+NR無線リンク、重複したデータパケットでのLTE+NR無線リンク)。コードポイントを使用することにより、無線リンクのIDが送信される別の実装形態と比較して、より少ないビットを使用して、決定された転送オプションをLTE eNBに効率的に指示することができる。なお、決定された転送オプションをLTE eNBに知らせるために、より多くの、またはより少ないビットも予測され得ることに留意されたい。
【0067】
図10は、1つの解決策によるUEの挙動を示す、単純化された例示的な流れ図である。図から明らかであるように、この流れ図は、責務を担うマスター基地局(LTE eNB)がデータパケットを転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを、UEが決定するステップを示している。次に、決定された少なくとも1つの無線リンクに関する対応する情報が、UEによってマスター基地局(例:LTE eNB)に送信され、したがってマスター基地局は、データ転送を変更することができるか、および/またはデータ転送をどのように変更することができるかを、受信した指示に基づいて適切に決定することができる。
【0068】
すでに説明したように、LTE eNBは、UEから無線リンク選択メッセージを受信すると、次に、現在使用されているデータ転送を変更することができるか、および/または、どのように変更することができるかを、決定することができる。1つの例示的な実装形態においては、無線リンク選択メッセージは、実際には、無線リンク選択メッセージの中でUEによって指示されたようにLTE eNodeBがデータ転送を適合させるための直接的な命令とみなすことができ、したがってLTE eNodeBが、受信した指示に従わないことは許可されない。これに代えて、LTE eNodeBは、データ転送を適合させるか、および/または、どのように適合させるかを決定するときに、指示された転送オプションに加えて、別の情報を考慮することもできる。例えばLTE eNBは、一方または両方の無線リンクにおけるチャネル測定値を追加的に使用して決定を下すことができる。特に、本出願の後のセクションにおいて詳しく説明するように、フィードバック情報として測定報告およびCQI(チャネル品質情報)を基地局に提供するように、UEを構成することができる。LTE eNBは、無線リンク選択メッセージを受信したとき、データ転送を適合させるか、および/または、どのように適合させるかを最終的に決定するために、これらのフィードバック情報の一部またはすべてを考慮することができる。
【0069】
したがってこの解決策は、マスター基地局によって(ここではLTE eNBであり、例えばスプリットベアラが分割されるPDCP層において)実行されるデータ転送を、例えばLTE無線リンクおよび/またはNR無線リンクのチャネル条件に応じて適合させるための柔軟かつ簡単なメカニズムを提供する。さらなるPDCP PDUを送信するときにデータ転送を適切に適合させることによって、例えば不良なチャネルを回避できるため、全体的なパケットロスの確率を減らすことができる。結果として、データ(特にPDCP PDU)が正しい順序で受信される可能性が高まり、したがって正しい順序になるまでPDCP PDUをバッファに格納しなければならないことが回避される。無線リソースがより効率的に使用され、なぜなら上述した無線リンク選択メカニズムでは、データ転送を適合させることができ、したがって不良なチャネル条件におけるデータの送信を避けることができるためである。フィードバック(RLC状態報告など)が正常に送信される可能性が高まり、結果としてgNBが適切なフィードバックをLTE eNBに送ることができる。
【0070】
UEが転送オプションを決定してそれをLTE eNodeBに指示する正確なタイミングの問題に関しては、上の開示のさらなる変形形態が考えられる。一般的には、(異なる)転送オプションの決定は、必要なときに行うことができる。これに対応して、
図11(UEの挙動の例示的かつ単純化された流れ図であり、前の
図10に基づいている)は、無線リンクの選択がトリガーされるか否かをUEが追加的にチェックすることを示している。
【0071】
最良のデータ転送オプションが何であるかは、1つまたは2つの無線リンクのチャネル条件に依存し、したがって1つの変形形態によれば、UEは、現在使用されている転送オプションよりも別の転送オプションが適切であるか否かを判定するために、チャネル条件を考慮に入れることができる。無線リンクのチャネル条件は、さまざまな方法で、1つまたは複数の適切なパラメータ(基準信号受信電力(RSRP)、基準信号受信品質(RSRQ)、信号対雑音比(SNR)、および場合によっては他のパラメータなど)を使用して、評価することができる。したがってUEは、転送オプションを変更するか否かを決めるために、一方または両方の無線リンクにおいて適切な測定(上記のチャネルパラメータの1つまたは複数を使用する)を実行することができる。例えばUEは、測定された無線リンクのパラメータを、それぞれ適切なしきい値と比較することができる。例えば、少なくとも1つの無線リンクのチャネル品質が特定の値(例:RSRP)を下回る場合、UEは、続いて(別の)転送オプションを決定し、それに応じてデータ転送を変更するようにLTE eNodeBに指示する。例えば、NR無線リンクのチャネル条件が(例えば測定されるRSRPもしくはRSRQ、またはSNRの低下によって示されるように)著しく悪化したと想定すると、可能であればそのNR無線リンクを通じてさらなるデータパケットを送信するべきではなく、LTE eNBはデータパケットをLTE無線リンク(より良好なチャネル条件を有するものと想定する)を介して転送するべきである。
【0072】
これに加えて、またはこれに代えて、UEは、測定された無線リンクのパラメータを、それぞれ前に測定された無線リンクのパラメータと比較することもでき、それによってチャネル条件の相当な変化が判定される場合、続いてUEは、(別の)転送オプションを決定し、それに応じてデータ転送を変更するようにLTE eNodeBに指示することができる。
【0073】
図12(説明したUEの挙動の例示的かつ単純化された流れ図である)は、UEが両方の条件をチェックし、続いて、2つの条件の一方が満たされている(すなわち「はい」)とみなされるときに適切な転送オプションを決定することを示している。
【0074】
上の説明は、
図2に示したようなスプリットベアラのシナリオに焦点をあてており、このシナリオでは、ベアラがLTE eNBのPDCP層において分割されており、したがって、スプリットベアラのデータ(PDCP PDU)をどのように転送するかを決定する責務は、LTE eNBが担う。しかしながら上の開示は、このようなスプリットベアラのシナリオに限定されず、スプリットベアラ以外のシナリオにおいても(すなわち
図2に示したMCGベアラおよびSCGベアラなどの相異なる個別のベアラを使用してのデータ提供に関しても)、有利に使用することができる。ここでは、マスター基地局が、セカンダリ基地局の設定をある程度制御するものと例示的に想定する。これに対応して、マスター基地局は、UEから無線リンク選択メッセージを受信したとき、問題のある状況が存在するものと推測することができ、それに基づいて、特定のベアラを再設定することができる。例えば、NR無線リンクが悪化しているものと想定すると、マスター基地局は、必要に応じてSeNBを追加/修正/除外することができる。このことは、例えば、SCGベアラがもはやセカンダリ基地局を介して延びず、代わりにマスター基地局を介して延びるように、SCGベアラが再設定されることを含む。
【0075】
以下では、データ提供を改良するために、さらなる手順と、関与するエンティティ(例:UE、LTE eNB、およびgNB)を提示する。以下の解決策においても、
図1および
図2に関連して前にすでに説明した同じ例示的なシナリオを想定することができる。簡潔に言えば、LTE-NRマルチコネクティビティのシナリオを主として想定し、このシナリオでは、UEは、LTE eNBおよびgNBの両方に接続されており、これら2基の基地局とデータパケットを交換する。例示的に、LTE eNBがマスター基地局(MeNB)であり、gNBがセカンダリ基地局(SeNB)である。
図2から明らかであるように、2つの個別のベアラと、LTE eNBのPDCP層において分割されているベアラとが、データを伝えるものと想定する。これに対応して、LTE eNBが、LTE無線リンクおよび/またはNR無線リンクを介しての、スプリットベアラに対応するデータ転送を制御する役割を担う。
【0076】
この解決策においては、UEは、スプリットベアラのデータ転送を変更するか、および/または、どのように変更するかを、(前の解決策におけるように)自身で決定する代わりに、マスター基地局(すなわちデータ転送を制御する役割を担う基地局であり、
図2の例示的なシナリオにおいてはLTE eNB)が決定するのを支援することができる。LTE eNBを支援する目的で、UEは、適切なチャネル情報をLTE eNBに送信することができ、したがってLTE eNBは、この情報を使用して、データパケット(PDCP PDU)をどのようにルーティングするかを決定することができる。この手順は
図13に示してあり、
図13は、この解決策によるUEの挙動の単純化された例示的な流れ図である。
【0077】
両方の無線リンク(LTE eNBへのLTE無線リンクと、gNBへのNR無線リンク)に関するチャネル情報を取得するため、UEは、これらの無線リンクにおいて適切な測定を実行することができる。1つの変形形態においては、UEは、前の解決策に関して前述した測定と同じかまたは類似する測定を実行することができ、すなわち無線リンクのチャネル条件を、1つまたは複数の適切なパラメータ(基準信号受信電力(RSRP)、基準信号受信品質(RSRQ)、信号対雑音比(SNR)、および場合によっては他のパラメータなど)を使用して評価することができる。
【0078】
これに代えて、UEは、チャネル条件を測定してLTE eNodeBに報告するために、以前のLTE仕様からすでに公知である手順を再利用することができる。特に、パラメータCQI(チャネル品質インジケータ)(チャネル状態情報(CSI)またはチャネル品質情報とも称する)は、UEによって受信される信号の品質に関する情報を与える。LTEでは、ダウンリンク送信に使用する適切な変調・符号化方式の選択においてeNodeBを支援するため、CQIを報告するようにUEを構成することができる。CQI報告は、ダウンリンクの受信信号の品質から(一般にはダウンリンク基準信号の測定値に基づいて)導かれる。なお、報告されるCQIは、SINR(信号対干渉雑音比:Signal-to-Interference plus Noise Ratio)を直接示すものではないことに留意されたい。そうではなくUEは、CQIを使用して、10%を超えないBLER(ブロック誤り率:Block Error Rate)確率で復号することのできる最も高い変調・符号化方式を報告する。したがってCQI情報は、無線チャネルの品質だけではなく、UEの受信機の特性を考慮する。CQIを報告するためにUEが使用するべき周期および周波数解像度(frequency resolution)は、いずれもeNodeBによって制御することができる。異なるCQIインデックス値は、変調方式と符号化率の異なる組合せを示す。LTEによるCSI(CQI)に関するさらなる詳細は、例えば3GPP技術規格である非特許文献7(およびそれ以前のバージョン)の7.2.0節(その全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。
【0079】
これに加えて、またはこれに代えて、UEは、いわゆる測定報告をマスター基地局に送信することができ、測定報告は、以下に説明するように、LTEシステムからすでに公知である。3GPP技術規格である非特許文献8の5.5節(その全体が参照により本明細書に組み込まれている)に定義されているように、LTEでは、UEは、E-UTRANによって提供される測定設定(measurement configuration)に従って測定情報を報告し、次のタイプの測定、すなわち、E-UTRAの周波数内測定、E-UTRAの周波数間測定、RAT間測定(UTRAの周波数、GERANの周波数、CDMA2000 1xRTTまたはHRPDの周波数、またはWLANの周波数)、のうちの少なくとも1つまたは複数を実行するようにUEに要求することができる。UEにおいては、物理層が測定を実行し、測定データをRRC層に報告する。次に、報告をトリガーするべきであるか否かを判定するため、測定データを、測定設定によって設定される報告基準に関して評価することができる。報告がトリガーされると、UEは測定設定に従って測定結果を報告する。測定設定は、簡潔に言えば、測定対象(一連の周波数または一連のセルなど)、報告の設定(例:報告の基準および報告のフォーマット)、測定の識別情報、品質の設定、および測定ギャップを定義する。上に挙げた報告のフォーマットは、基準信号受信電力(RSRP)や基準信号受信品質(RSRQ)など、測定報告に含めることのできる数量に対応する。RSRPは、一般には(E-UTRA)セルの信号強度に対応する。RSRQは、受信信号強度インジケータ(RSSI)に対するRSRPの比率から求められる。RSSIは、干渉を含む受信された広帯域電力であり、したがってLTEにおける干渉を考慮するために、RSRQが追加の測度として使用される。RAT間測定の場合、数量は、受信信号コード電力(RSCP)(これはRSRPに相当する)、UTRAのEc/no、およびGERANのRSSIである。さらに詳細な情報については、上に挙げた非特許文献8の5.5節を参照されたい。
【0080】
したがって両方の無線リンクに関するチャネル情報は、提示したように、UEによってさまざまな方法で取得することができる。次に、集められた情報を、UEによってLTE eNodeBに送信することができる。
図14および
図15は、CQI情報および測定報告をUEからLTE eNBにどのように送信するかに関する2つの例示的なオプションを示している。一方のオプションでは、UEは、gNBに関するチャネル情報(この図ではCQI gNB)もLTE eNBに直接送信し、gNBに送信した後にgNBによってLTE eNBに転送されるのではない。gNBが通常動作においてCQI gNBフィードバックを必要とする場合、オプションとしてUEは、この情報を通常どおりにgNBに提供することができ、あるいは提供しなくもよい。
【0081】
UEは、2つの無線リンクに関する必要なチャネル情報を、RRC層を使用してLTE eNBに送信する。例えばUEは、RRC仕様の非特許文献8の5.3.3節および5.3.5節に現在定義されているように、RRC接続再設定(RRC Connection Reconfiguration)メッセージまたはRRC接続確立(RRC Connection Setup)メッセージを使用することができる。
【0082】
2つの図から理解できるように、LTE eNBには、両方の無線リンクに関するチャネル情報が提供され、LTE eNBはこれらの情報を使用して適切な転送オプションを決定することができる。前にすでに説明したように、データパケットは、2つの無線リンクのうちの一方のみ(LTE eNBとUEの間のLTE無線リンク、またはgNBとUEの間のNR無線リンクのいずれか)を介して転送することができる、または両方の無線リンクを介して転送することができる。両方の無線リンクを使用する場合、転送されるデータパケットを、2つの無線リンクの間で、例えば特定の比率(例:60%をLTE無線リンクを介し、かつ40%をNR無線リンクを介する、または任意の別の適切な比率)に従って分散させることができる。これに代えて、データパケットそれぞれ(またはいくつかの特定のデータパケットのみ)を両方の無線リンクを介して送信することができ、これによってデータパケットを重複させ、したがってUEは、両方の経路を介して同じデータパケットを受信する。したがってLTE eNBは、UEに転送されるように新たに到着するデータを扱うために、これらの転送オプションのいずれかを決定することができる。
【0083】
この解決策は、無線リンクの選択をUEが制御する上述した解決策と同様に、(例えばスプリットベアラが分割されるPDCP層において)LTE eNBによって実行されるデータ転送を、例えばLTE無線リンクおよび/またはNR無線リンクのチャネル条件に応じて適合させるための柔軟かつ簡単なメカニズムを提供する。新たに到着するデータのデータ転送を適切に適合させることによって、全体的なパケットロスの確率を減らすことができ、なぜなら不良なチャネルを回避することができ、この結果として、PDCP PDUの送信がよりロバストになり、無線リソースがより効率的に利用され、フィードバック情報(RLC状態報告など)が正常に送信される可能性が高まるためである。
【0084】
上の説明は、
図2に示したようにスプリットベアラのシナリオに焦点をあてており、このシナリオでは、ベアラはLTE eNBのPDCP層で分割され、したがってLTE eNBは、スプリットベアラのデータ(PDCP PDU)をどのように転送するかを決定する役割を担う。しかしながら上の開示は、このようなスプリットベアラのシナリオに限定されず、スプリットベアラ以外のシナリオにおいても(すなわち
図2に示したMCGベアラおよびSCGベアラなどの相異なる個別のベアラを使用してのデータ提供に関しても)、有利に使用することができる。ここでは、マスター基地局が、セカンダリ基地局の設定をある程度制御するものと例示的に想定する。これに対応して、マスター基地局は、2つの無線リンクに関するチャネル情報をUEから受信したとき、問題のある状況が存在するものと推測することができ、それに基づいて、特定のベアラを再設定することができる。例えば、NR無線リンクが悪化しているものと想定すると、マスター基地局は、必要に応じてSeNBを追加/修正/除外することができる。このことは、例えば、SCGベアラがもはやセカンダリ基地局を介して延びず、マスター基地局を介して延びるように、SCGベアラが再設定されることを含む。
【0085】
以下では、データ提供を改良するために、さらなる手順と、関与するエンティティ(例:UE、LTE eNB、およびgNB)を提示する。この解決策は、単独の改善策として使用することができ、または、UEあるいはLTE eNBが適切な転送オプションを決定する、上に提示した開示(
図10~
図17に関連する対応する説明を参照)と組み合わせて使用してもよい。例えば以下に説明するように、無線リンク選択メッセージをACK状態報告メッセージと一緒に送信することができる。
【0086】
以下の解決策においても、
図1および
図2に関連して前にすでに説明した同じ例示的なシナリオを想定することができる。簡潔に言えば、LTE-NRマルチコネクティビティのシナリオを主として想定し、このシナリオでは、UEがLTE eNBおよびgNBの両方に接続されており、これら2基の基地局とデータパケットを交換する。例示的に、LTE eNBがマスター基地局(MeNB)であり、gNBがセカンダリ基地局(SeNB)である。
図2から明らかであるように、2つの個別のベアラと、LTE eNBのPDCP層において分割されているベアラとが、データを伝えるものと想定する。これに対応して、LTE eNBが、LTE無線リンクおよび/またはNR無線リンクを介しての、スプリットベアラに対応するデータ転送を制御する役割を担う。
【0087】
この解決策では、UEは、両方の無線リンクを介して(すなわちLTE eNBおよびgNBから)受信されるスプリットベアラのPDCP PDUの受信(ACK)状態に関する追加のフィードバックを、マスター基地局(LTE eNodeB)に提供する。この目的のため、UEは、専用のタイマ(以下では例示的にACK状態報告タイマと称する)を動作させ、この追加フィードバック手順のトリガーは、このタイマに基づいてUEによって制御される。より詳細には、ACK状態報告タイマは、例えばLTEセルラシステムにおけるPDCPの動作からすでに公知であるT-リオーダリングタイマに加えての、PDCP層の追加のタイマとみなすことができる。
【0088】
簡潔に言えば、LTEでは、PDCPのT-リオーダリングタイマは、受信機(ここでは例えばUE)がシーケンス番号(SN:sequence number)の空白を有するときに起動され、したがってPDCP PDUの消失を検出するために使用することができる。T-リオーダリングタイマは、消失しているPDUが受信されたときに停止され、次に受信ウィンドウが前に移動する。T-リオーダリングタイマが切れたが、消失しているSN PDCP PDUが受信されなかった場合、上位層に最後に渡されたPDUまで、または次の消失PDUまで、受信機ウィンドウが前に移動する。PDCP層、特にT-リオーダリングタイマの動作に関するさらなる詳細については、3GPP技術規格である非特許文献4(参照により本明細書に組み込まれている)の例えば、7.2節のb)「t-Reordering(T-リオーダリング)」、5.1.2.1.4節「Procedures for DRBs mapped on RLC AM and for LWA bearers when the reordering function is used(リオーダリング機能が使用されるときのRLC AMにマッピングされるDRB(データベアラ)の手順およびLWAベアラの手順)」に記載されている。
【0089】
PDCP層に定義される新しいACK状態報告タイマは、例えばT-リオーダリングタイマと同時に(すなわちPDCP PDUが正しくない順序で受信された場合のシーケンス番号の空白をUEが検出したときに)起動することができる。新しいACK状態報告タイマのトリガーイベントは、例えば、T-リオーダリングタイマの開始とすることができる。これに加えて、またはこれに代えて、1つまたは複数のトリガーイベントを、LTE T-リオーダリングタイマ用にすでに定義されているトリガーイベントと同じにする、または類似したものとすることができる(例えば非特許文献4の5.1.2.1.4節の副節を参照)。
【0090】
ACK状態報告タイマをトリガーするための追加のトリガーイベントを定義することができる。例えば、チャネル条件が少なくとも特定の量だけ著しく変化するとき、ACK状態報告のフィードバックがLTE eNodeBにとって興味深いことがある。これに対応して、LTE無線リンクおよび/またはNR無線リンクにおけるチャネル条件が少なくとも特定の量だけ変化したことをUEが判定することを可能にする、UEによって実行される測定に基づいて、ACK状態報告をトリガーすることができる。
【0091】
ACK状態報告のトリガーを、UEによって受信されていないPDCP PDUの数に依存させることもできる。これに対応して、特定の数のPDCP PDUが受信されていないことをUEが判定した後に、ACK状態報告を送ることができる。これによって得ることのできる1つの利点として、ACK状態報告がより少ない頻度で送信される一方で、最小限の数のPDCP PDUに対してフィードバック情報が効率的に提供される。
【0092】
別の代替または追加のオプションは、ACK状態報告のトリガーを、PDCP PDUの関連性(relevancy)に依存させることである。例えば、UEにおいてPDCP PDUのQoS情報が利用可能であり、このQoS情報からPDCP PDUの関連性を導くことができる。このオプションによれば、例えば、関連性が十分に高い(特定の値より大きい)PDCP PDUのみにトリガーを制限するために、ACK状態報告のトリガーにおいて、PDCP PDUの関連性を考慮に入れる。これによって得ることのできる1つの利点として、ACK状態報告がより少ない頻度で送信される一方で、十分に高い関連性のPDCP PDUに対してフィードバック情報が利用可能であるようにされる。
【0093】
新しいACK状態報告タイマのタイマ値は、T-リオーダリングタイマのタイマ値より小さく選択することができる。このことは有利であり、なぜならUEは、T-リオーダリングタイマが切れる前に消失パケットを回復することがあるためである。T-リオーダリングタイマが切れた時点で、より多くのPDCP PDUを上位層に渡すことができる。ACK状態報告タイマおよびT-リオーダリングタイマの値は、例えば上位層によって設定することができる。例えば、T-リオーダリングタイマが40msの値を有する場合、ACK状態報告タイマは例えば20msの値をとることができる。
【0094】
ACK状態報告タイマが切れた時点で、UEは、どのPDCP PDUがすでに正常に受信されたかに関する情報を得ることによって、対応するACK状態報告を生成する。したがってACK状態報告の内容は、受信側(LTE eNodeB)が、UEにおいてすでに正常に受信されたPDCP PDUを導くことができるように、適切に生成するべきである。1つの例示的な変形形態によれば、ACK状態報告は、UEにおいて正常に受信されたPDCP PDUのシーケンス番号をリストすることができる。ACK状態報告の適切な例示的なフォーマットは、
図18に示してあり、このフォーマットでは、1ビットのD/Cフィールドが、制御PDUとデータPDUとを区別し、3ビットのPDUタイプフィールドが、その報告をACK状態報告として識別し、その一方で、UEによって正常に受信されたPDCP PDUの各シーケンス番号用に1オクテットを使用することができる。正常に受信されたPDCP PDUを別の方法で報告してもよく、例えば、正しい順序で正常に受信された最初のPDCP PDUおよび最後のPDCP PDUと、これに加えて、正しくない順序で正常に受信されたさらなるPDCP PDU(存在時)を示すことによる。
【0095】
LTE eNBは、ACK状態報告を受信すると、スプリットベアラのPDCP PDUのデータ転送を最適化する目的で、この情報を使用することができる。前の解決策においてすでに説明したように、いくつかの転送オプションが存在する。データパケットは、2つの無線リンクのうちの一方(LTE eNBとUEの間のLTE無線リンク、またはgNBとUEの間のNR無線リンクのいずれか)のみを介して転送する、または両方の無線リンクを介して転送することができる。両方の無線リンクを使用する場合、データパケットの転送を、例えば特定の比率(例:60%をLTE無線リンクを介して、かつ40%をNR無線リンクを介して、または任意の別の適切な比率)に従って、2つの無線リンクの間で分散させることができる。これに代えて、データパケットそれぞれ(またはいくつかの特定のデータパケットのみ)を両方の無線リンクを介して送信することができ、これによってデータパケットが重複し、したがってUEは、同じデータパケットを両方の経路を介して受信する。
【0096】
さらに、LTE eNodeBは、PDCPの回復のために、ACK状態報告から得られる情報を使用することができ、これは、UEに正常に送信されなかったPDCP PDUを識別し、これらのPDCP PDUをどのように再びUEに送信するかを制御することによる。
【0097】
したがってLTE eNodeBは、新たに到着するPDCP PDUと、(ACK状態報告から導かれる)まだUEに正常に送信されていないPDCP PDUを対象に、データ転送を制御することができる。
【0098】
図16には、UEへのPDCP PDU 1~10のダウンリンクのデータ提供を示した例示的なシナリオを提示してある。図から明らかであるように、ダウンリンクデータ提供は両方の無線リンクを介して均等に(比率50-50)分散されるものと例示的に想定し、したがって10個のPDCP PDUのうちの5個ずつが、2つの無線リンクを介して送信される。
図16はさらに、NR無線リンクを介して送信されるPDCP PDU 4,6,8,10が、例えばNR無線リンクにおける強い干渉のために、正常に送信されないものと想定することを示している。したがって、シーケンス番号5の、正しくない順序の最初のPDCP PDUの受信(シーケンス番号の空白が生じる)によって、ACK状態報告タイマをトリガーすることができ、このACK状態報告タイマが切れた時点で(例えばシーケンス番号9のPDCP PDUが受信されている時点で)、
図16に示したように、対応するACK状態報告がUEによってLTE eNodeBに直接送信される。ACK状態報告は、例えば、正常に受信されたPDCP PDU 1,2,3,5,7,9を示すことができる。
【0099】
LTE eNodeBは、NR無線リンクを使用するときのPDCP PDUのさらなる消失を回避するため、ACK状態報告によって提供される情報を使用して、UEによってまだ正常に受信されていないPDCP PDU(4,6,8,10)と、新たに到着するさらなるPDCP PDU(この例では例えばシーケンス番号11のPDCP PDUのみ)とが、LTE無線リンクのみを介して送信されるように、データ提供を変更することができる。このことは
図17に示してある。
【0100】
前述したように(かつ
図16および
図17に示したように)、UEは、基本的にACK状態報告タイマと同時に起動されるT-リオーダリングタイマを動作させることもできる。T-リオーダリングタイマが切れた時点で、UEは、空白を含む正常に受信されたPDCP PDU(および消失したシーケンス番号)を上位層に渡すことができる。
【0101】
図19は、上に提示した解決策によるUEの挙動の単純化された例示的な流れ図である。したがってUEは、PDCP PDUが消失しているかを判定し、消失している場合、ACK状態報告タイマ(およびオプションとしてさらにT-リオーダリングタイマ)を起動する。このACK状態報告タイマが切れた時点で、UEは、上に説明したようにACK状態報告を生成してLTE eNodeBに送信することができる。
【0102】
以下では、特定のシナリオを想定する。特に、NR無線リンクをTDD(時分割複信)に従って動作させることができる。LTE TDDでは、アップリンクおよびダウンリンクに同じ周波数帯域を使用する。
【0103】
MAC PHRは、LTEセルラシステムから一般的にすでに公知であり(例えば非特許文献9の5.4.6節(参照により本明細書に組み込まれている)を参照)、UEがより高い送信電力で送信できるか否かを知らせるために使用される。簡潔に言えば、MAC PHRは、UEにおいて余裕のある相対的な送信電力を示す。したがって、LTEにおける電力ヘッドルーム(Power Headroom)の単純な式は以下である。
電力ヘッドルーム=UEの最大送信電力-PUSCH電力=Pmax-P_pusch
【0104】
したがって、電力ヘッドルームが正の値である場合、そのことは、UEが依然としてより高い送信電力で送信することができる、または、UEがより高いスループットで送信することができる、ことを意味する。この値が負である場合、UEはすでに最大送信電力で送信している。正の電力ヘッドルームの場合、ネットワークによって、そのUEにより多くのリソースブロックを割り当てることができるが、負の電力ヘッドルームの場合には、UEはすでに最大リソースブロックを使用しており、それ以上割り当てる必要はないものと想定される。報告される電力ヘッドルームは、1サブフレーム全体にわたり推定される。電力ヘッドルームは、PUSCHが送信されるサブフレームにおいてのみ推定される。
【0105】
MAC PHRは、例えば、1)ダウンリンクの経路損失のしきい値に達したとき(dl-PathlossChange)、2)periodicPHR-Timer(電力ヘッドルーム報告の周期タイマ)が設定されている(したがってUEが電力ヘッドルーム報告(Power Headroom Report)を周期的にネットワークに送る)ときに、送ることができる。LTE仕様に定義されている例示的に提示したMAC PHR(電力ヘッドルーム報告)制御要素は、ダウンリンクのNR無線リンクの問題をLTE eNBに暗黙的に示すために使用することができる。
【0106】
eNBは、UEによって計算されたPHR値に基づいて、より少ないデータ、または、より多くのデータをUEに転送することができる。
【0107】
[さらなる態様]
第1の態様によれば、移動通信システムにおけるユーザ機器、を提供する。本UEは、動作時に、第1の基地局がデータパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンク、を決定する処理回路、を備えている。本ユーザ機器は、第1の無線リンクを介しての第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である。本UEは、送信機であって、動作時に、無線リンク選択メッセージを第1の基地局に送信する、送信機、をさらに備えている。無線リンク選択メッセージは、どの少なくとも1つの無線リンクを介してデータパケットをユーザ機器に転送するかを第1の基地局に指示するための、決定された少なくとも1つの無線リンクに関する情報、を含む。第1の態様に加えて提供される第2の態様によれば、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクは、異なる無線技術に基づいている。1つのオプションによれば、第1の無線リンクが、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)のロングタームエボリューション(LTE)技術、または、3GPPの第5世代(5G)の新しい無線技術、に基づいている。さらに、オプションとして、第2の無線リンクは、3GPPの第5世代(5G)の新しい無線技術、に基づいている。
【0108】
第1の態様または第2の態様の1つに加えて提供される第3の態様によれば、処理回路は、動作時に、第1の無線リンクおよび/または第2の無線リンクのパラメータを測定し、測定されたパラメータをしきい値と比較する。さらに、処理回路は、動作時に、比較の結果に基づいて、無線リンク選択メッセージを送信することを決定する。これに加えて、またはこれに代えて、処理回路は、動作時に、第1の無線リンクおよび/または第2の無線リンクのパラメータを測定し、測定されたパラメータを、以前に測定されたパラメータと比較する。処理回路は、動作時に、比較の結果に基づいて、無線リンク選択メッセージを送信することを決定する。オプションとして、第1の無線リンクのパラメータおよび第2の無線リンクのパラメータは、以下のパラメータ、すなわち、
・ 基準信号受信電力(RSRP)
・ 基準信号受信品質(RSRQ)
・ 信号対雑音比(SNR)
の少なくとも1つを含む。
【0109】
第1の態様から第3の態様の1つの態様に加えての第4の態様によれば、送信機は、動作時に、媒体アクセス制御(MAC)制御要素の中で無線リンク選択メッセージを送信する。
【0110】
第1の態様から第4の態様の1つの態様に加えての第5の態様によれば、処理回路は、動作時に、第1の基地局が、データパケットを、
・ 第1の無線リンクのみを介して、または、
・ 第2の無線リンクのみを介して、または、
・ 第1の無線リンクおよび第2の無線リンクの両方を介して、
転送するべきことを決定する。
【0111】
処理回路が、第1の基地局が第1の無線リンクおよび第2の無線リンクの両方を介してデータパケットを転送するべきことを決定した場合に、
処理回路が、動作時に、第1の無線リンクを介して転送されるデータパケットと、第2の無線リンクを介して転送されるデータパケットとの間の比率、をさらに決定し、この比率が無線リンク選択メッセージに含められる、または、
処理回路が、動作時に、データパケットが第1の無線リンクおよび第2の無線リンクを介して重複して転送されるべきことをさらに決定し、無線リンク選択メッセージが、この重複に関する情報を含む。
【0112】
第1の態様から第5の態様の1つの態様に加えての第6の態様によれば、第1の無線リンクに割り当てられる、第1の無線リンクの識別情報が、第2の無線リンクに割り当てられる、第2の無線リンクの識別情報とは異なる。無線リンク選択メッセージに含まれている、少なくとも1つの無線リンクに関する情報は、第1の無線リンクの識別情報、および/または、第2の無線リンクの識別情報、を含む。オプションとして、ユーザ機器の受信機は、動作時に、第1の無線リンクの識別情報、および/または、第2の無線リンクの識別情報、を第1の基地局から受信する。
【0113】
第1の態様から第6の態様の1つの態様に加えての第7の態様によれば、本ユーザ機器は、第1の基地局と第2の基地局の間で分割されるスプリットベアラを使用して、第1の基地局および第2の基地局に接続可能である。オプションとして、ユーザ機器のパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)層が、スプリットベアラの場合に共有され、データパケットが、PDCPプロトコルデータユニット(PDCP PDU)である。これに代えて、ユーザ機器は、第1の基地局および第2の基地局に、2つのベアラを介して個別に接続可能である。
【0114】
第1の態様から第7の態様の1つの態様に加えての第8の態様によれば、処理回路は、動作時に、第1の基地局および第2の基地局から受信される一連のデータパケットの受信報告の送信を制御するために、報告タイマを動作させる。報告タイマは、一連のデータパケットにおけるデータパケットが消失したものと最初に検出されたときに起動される。処理回路は、動作時に、報告タイマが切れた時点で、第1の基地局に受信報告を送信することを決定して受信報告を生成する。生成される受信報告は、第1の基地局および第2の基地局から正常に受信されたデータパケットを示す。送信機は、動作時に、生成された受信報告を第1の基地局に送信する。
【0115】
第8の態様に加えての第9の態様によれば、処理回路は、動作時に、第1の無線リンクおよび/または第2の無線リンクの測定されたパラメータが、それぞれの以前に測定されたパラメータと比較して、少なくとも特定の量だけ変化したときに、受信報告を送信することをさらに決定する。処理回路は、動作時に、受信報告を介して報告されるデータパケットが低い関連性であるとき、または、正常に受信されていないデータパケットの数が特定の数より小さいとき、受信報告を送信しないことを決定する。
【0116】
第8の態様または第9の態様に加えての第10の態様によれば、送信機は、動作時に、受信報告を、無線リンク選択メッセージと一緒に第1の基地局に送信する。
【0117】
第11の態様によれば、移動通信システムにおいてユーザ機器を動作させる方法を提供する。本方法は、ユーザ機器によって実行される以下のステップを含む。第1の基地局がデータパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを決定する。ユーザ機器は、第1の無線リンクを介しての第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である。無線リンク選択メッセージを第1の基地局に送信する。無線リンク選択メッセージは、どの少なくとも1つの無線リンクを介してデータパケットをユーザ機器に転送するかを第1の基地局に指示するための、決定された少なくとも1つの無線リンクに関する情報、を含む。
【0118】
第11の態様に加えての第12の態様によれば、本方法は、ユーザ機器によって実行される以下のステップをさらに含む。第1の基地局および第2の基地局から受信される一連のデータパケットの受信報告の送信を制御するために、報告タイマを動作させる。この報告タイマは、一連のデータパケットにおけるデータパケットが消失したものと最初に検出されたときに起動される。UEは、報告タイマが切れた時点で、第1の基地局に受信報告を送信することを決定し、受信報告を生成する。受信報告は、第1の基地局および第2の基地局から正常に受信されたデータパケットを示す。次に、生成された受信報告を第1の基地局に送信する。
【0119】
第13の態様によれば、移動通信システムにおける第1の基地局を提供する。第1の基地局の受信機は、動作時に、ユーザ機器から無線リンク選択メッセージを受信する。ユーザ機器は、第1の無線リンクを介しての第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である。無線リンク選択メッセージは、第1の基地局がデータパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクに関する情報、を含む。第1の基地局の処理回路は、動作時に、データパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを、受信された無線リンク選択メッセージに基づいて決定する。第1の基地局の送信機は、動作時に、決定された少なくとも1つの無線リンクを介してデータパケットをユーザ機器に転送する。
【0120】
第13の態様に加えての第14の態様によれば、受信機は、動作時に、第1の基地局および第2の基地局からユーザ機器によって正常に受信されたデータパケットを示す受信報告を、ユーザ機器から受信する。処理回路は、動作時に、データパケットを転送するために介する少なくとも1つの無線リンクの決定を、受信された受信報告に基づいて行う。オプションとして、処理回路は、動作時に、ユーザ機器によって正常に受信されていないデータパケットを送信するか、およびどの無線リンクを介して送信するかを、受信された受信報告に基づいて決定する。
【0121】
第15の態様によれば、移動通信システムにおけるユーザ機器を提供する。ユーザ機器の処理回路は、動作時に、第1の無線リンクに関する無線リンク情報および第2の無線リンクに関する無線リンク情報を生成する。ユーザ機器は、データパケットを交換するために、第1の無線リンクを介しての第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である。ユーザ機器の送信機は、動作時に、データパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを決定するために第1の基地局によって使用されるように、生成された無線リンク情報を第1の基地局に送信する。
【0122】
第15の態様に加えての第16の態様によれば、第1の無線リンクおよび第2の無線リンクは、異なる無線技術に基づいており、オプションとして、第1の無線リンクが、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)のロングタームエボリューション(LTE)技術、または、3GPPの第5世代(5G)の新しい無線技術、に基づいており、かつオプションとして、第2の無線リンクが、3GPPの第5世代(5G)の新しい無線技術、に基づいている。
【0123】
第15の態様または第16の態様に加えての第17の態様によれば、無線リンク情報は、少なくとも1つの無線リソース制御(RRC)メッセージの中で送信される。
【0124】
第15の態様から第17の態様の1つの態様に加えての第18の態様によれば、無線リンク情報は、以下、すなわち、
・ チャネル品質情報(CQI)、
・ 基準信号受信電力(RSRP)、基準信号受信品質(RSRQ)、または信号対雑音比(SNR)などのチャネル条件パラメータを含む測定報告、
の少なくとも1つを含む。
【0125】
第19の態様によれば、移動通信システムにおいてユーザ機器を動作させる方法、を提供する。本方法は以下のステップを含む。第1の無線リンクに関する無線リンク情報および第2の無線リンクに関する無線リンク情報を生成する。ユーザ機器は、データパケットを交換するために、第1の無線リンクを介しての第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である。生成された無線リンク情報は、データパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンクを決定するために第1の基地局によって使用されるように、第1の基地局に送信される。
【0126】
第20の態様によれば、移動通信システムにおける第1の基地局を提供する。第1の基地局の受信機は、動作時に、第1の無線リンクに関する無線リンク情報および第2の無線リンクに関する無線リンク情報をユーザ機器から受信する。ユーザ機器は、データパケットを交換するために、第1の無線リンクを介しての第1の基地局と、第2の無線リンクを介しての第2の基地局の両方に、接続可能である。第1の基地局の処理回路は、動作時に、データパケットをユーザ機器に転送するために介する少なくとも1つの無線リンク、を決定する。第1の基地局の送信機は、動作時に、データパケットを、決定された少なくとも1つの無線リンクを介してユーザ機器に転送する。
【0127】
第20の態様に加えての第21の態様によれば、処理回路は、動作時に、第1の基地局が、
・ 第1の無線リンクのみを介して、または、
・ 第2の無線リンクのみを介して、または、
・ 第1の無線リンクおよび第2の無線リンクの両方を介して、
データパケットを転送するべきことを決定する。
【0128】
処理回路が、第1の基地局が第1の無線リンクおよび第2の無線リンクの両方を介してデータパケットを転送するべきことを決定した場合に、
処理回路が、動作時に、第1の無線リンクを介して転送されるデータパケットと、第2の無線リンクを介して転送されるデータパケットとの間の比率、をさらに決定する、または、
処理回路が、動作時に、データパケットが第1の無線リンクおよび第2の無線リンクを介して重複して転送されるべきことをさらに決定する。
【0129】
[ハードウェアおよびソフトウェアによる本開示の実施]
本開示は、ソフトウェアによって、ハードウェアによって、またはハードウェアと協働するソフトウェアによって、実施することができる。上に記載した各実施形態の説明において使用される各機能ブロックは、その一部または全体を、集積回路などのLSIによって実施することができ、各実施形態において説明した各プロセスは、その一部または全体を、同じLSIまたはLSIの組合せによって制御することができる。LSIはチップとして個別に形成することができ、または、機能ブロックの一部またはすべてが含まれるように1個のチップを形成することができる。LSIは、自身に結合されたデータ入出力部を含むことができる。LSIは、本明細書においては、集積度の違いに応じて、IC(集積回路)、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIと称される。しかしながら、集積回路を実施する技術は、LSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを使用することによって実現されていてもよい。さらには、LSIの製造後にプログラムすることのできるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)や、LSI内部に配置されている回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブルプロセッサを使用してもよい。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実施することができる。半導体技術または別の派生技術が進歩する結果として将来の集積回路技術がLSIに置き換わる場合、その将来の集積回路技術を使用して機能ブロックを集積化することができる。バイオテクノロジを適用することもできる。
【0130】
さらに、様々な実施形態は、ソフトウェアモジュールによっても実施され得る。これらのソフトウェアモジュールは、プロセッサによって実行される、または、ハードウェアにおいて直接実行される。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装の組合せも可能である。ソフトウェアモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、例えば、RAMやEPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD-ROM、DVDなどに格納され得る。さらには、複数の異なる実施形態の個々の特徴は、個々に、または任意の組合せにおいて、別の実施形態の主題とすることができることに留意されたい。
【0131】
具体的な実施形態に示した本開示には、広義に記載されている本発明の概念または範囲から逸脱することなく、様々な変更および/または修正を行うことができることが、当業者には理解されるであろう。したがって、本明細書に示した実施形態は、あらゆる点において例示的であり、本発明を制限するものではないものとみなされる。