(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】駆動部の精密予知保全方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
G05B23/02 302Z
(21)【出願番号】P 2019562397
(86)(22)【出願日】2018-12-04
(86)【国際出願番号】 KR2018015283
(87)【国際公開番号】W WO2019177236
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2019-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0029575
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519132458
【氏名又は名称】アイティーエス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ITS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】3,Daesong-gil,Seosaeng-myeon,Ulju-gun,Ulsan,45015,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヨン ギュ
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-305618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 -23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の設備に使用される駆動部の予知保全方法において、
前記駆動部の正常な駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報を
エネルギー大きさが最大値に形成されるピーク区間と
一定範囲のエネルギー値が連続的に維持される定速区間に区分し、前記ピーク区間でエネルギー大きさが最大な値をピーク値とし、前記定速区間の最後のエネルギー値を定速値として抽出し、前記駆動部の時間によるエネルギー大きさの変化情報は、前記ピーク値と定速値が含まれる駆動区間が繰り返し形成され、前記駆動区間のピーク値と繰り返した他の駆動区間のピーク値とを互いに連結して駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集する第1ベース情報収集段階(S10)と、
前記駆動部の故障が発生する前の前記駆動部の駆動状態で駆動区間のピーク値と繰り返した他の駆動区間のピーク値とを互いに連結して駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集する第2ベース情報収集段階(S20)と、
前記ベース情報収集段階(S10、S20)で収集された傾き情報を基盤として駆動区間の間のピーク値に対する警報傾き値を設定する設定段階(S30)と、
前記駆動部のリアルタイム駆動状態で設定された単位時間間隔で測定される駆動区間の間のピーク値に対する平均傾き値が前記設定段階(S30)で設定された警報傾き値を超えれば前記駆動部の異常状態と検出する検出段階(S40)とからなり、
前記単位時間は、少なくとも二つ以上の駆動区間を含む時間に設定され、
前記駆動部を通じて測定されるエネルギーは、前記駆動部の駆動に消耗する電流、前記駆動部の駆動時に発生する振動、前記駆動部の駆動時に発生する騷音、前記駆動部の供給電源の周波数、前記駆動部の駆動時における駆動部の温度、湿度、圧力のいずれか一つを選択して使用され
、
前記第1ベース情報収集段階(S10)では、前記駆動部の正常な駆動状態で駆動区間の定速値と繰り返した他の駆動区間の定速値とを互いに連結して駆動区間の間の定速値に対する傾き情報を収集し、
前記第2ベース情報収集段階(S20)では、前記駆動部の故障が発生する前の前記駆動部の駆動状態で駆動区間の定速値と繰り返した他の駆動区間の定速値とを互いに連結して駆動区間の間の定速値に対する傾き情報を収集し、
前記設定段階(S30)では、前記ベース情報収集段階で収集された傾き情報を基盤として駆動区間の間の定速値に対する警報傾き値を設定し、
前記検出段階(S40)では、前記駆動部のリアルタイム駆動状態で設定された単位時間間隔で測定される駆動区間の間の定速値に対する平均傾き値が前記設定段階(S30)で設定された警報傾き値を超えれば前記駆動部の異常状態と検出し、
前記単位時間は、少なくとも二つ以上の駆動区間を含む時間に設定されることを特徴とする駆動部の精密予知保全方法。
【請求項2】
前記駆動区間は、設定されるオフセット(off set)値を前記駆動部のエネルギー値が超えていく点を開始点とし、前記オフセット値未満に下がる点を終了点として前記開始点から終了点までの区間を前記駆動区間に設定して繰り返した前記駆動区間を抽出するか、
前記駆動部の時間によるエネルギー大きさの変化情報を設定された時間間隔によって強制区画し、その区画された区間を前記駆動区間に設定して繰り返した前記駆動区間を抽出するようにすることを特徴とする請求項1に記載の駆動部の精密予知保全方法。
【請求項3】
各種の設備に使用される駆動部の予知保全方法において、
前記駆動部の正常な駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報をエネルギー大きさが最大値に形成されるピーク区間と一定範囲のエネルギー値が連続的に維持される定速区間に区分し、前記ピーク区間でエネルギー大きさが最大な値をピーク値とし、前記定速区間の最後のエネルギー値を定速値として抽出し、前記駆動部の時間によるエネルギー大きさの変化情報は、前記ピーク値と定速値が含まれる駆動区間が繰り返し形成され、前記駆動区間のピーク値と繰り返した他の駆動区間のピーク値とを互いに連結して駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集する第1ベース情報収集段階(S10)と、
前記駆動部の故障が発生する前の前記駆動部の駆動状態で駆動区間のピーク値と繰り返した他の駆動区間のピーク値とを互いに連結して駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集する第2ベース情報収集段階(S20)と、
前記ベース情報収集段階(S10、S20)で収集された傾き情報を基盤として駆動区間の間のピーク値に対する警報傾き値を設定する設定段階(S30)と、
前記駆動部のリアルタイム駆動状態で設定された単位時間間隔で測定される駆動区間の間のピーク値に対する平均傾き値が前記設定段階(S30)で設定された警報傾き値を超えれば前記駆動部の異常状態と検出する検出段階(S40)とからなり、
前記単位時間は、少なくとも二つ以上の駆動区間を含む時間に設定され、
前記駆動部を通じて測定されるエネルギーは、前記駆動部の駆動に消耗する電流、前記駆動部の駆動時に発生する振動、前記駆動部の駆動時に発生する騷音、前記駆動部の供給電源の周波数、前記駆動部の駆動時における駆動部の温度、湿度、圧力のいずれか一つを選択して使用され、
前記駆動区間は、設定されるオフセット(off set)値を前記駆動部のエネルギー値が超えていく点を開始点とし、前記オフセット値未満に下がる点を終了点として前記開始点から終了点までの区間を前記駆動区間に設定して繰り返した前記駆動区間を抽出するか、
前記駆動部の時間によるエネルギー大きさの変化情報を設定された時間間隔によって強制区画し、その区画された区間を前記駆動区間に設定して繰り返した前記駆動区間を抽出するようにすることを特徴とす
る駆動部の精密予知保全方法。
【請求項4】
各種の設備に使用される駆動部の予知保全方法において、
前記駆動部の正常な駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報をエネルギー大きさが最大値に形成されるピーク区間と一定範囲のエネルギー値が連続的に維持される定速区間に区分し、前記ピーク区間でエネルギー大きさが最大な値をピーク値とし、前記定速区間の最後のエネルギー値を定速値として抽出し、前記駆動部の時間によるエネルギー大きさの変化情報は、前記ピーク値と定速値が含まれる駆動区間が繰り返し形成され、前記駆動区間のピーク値と繰り返した他の駆動区間のピーク値とを互いに連結して駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集する第1ベース情報収集段階(S10)と、
前記駆動部の故障が発生する前の前記駆動部の駆動状態で駆動区間のピーク値と繰り返した他の駆動区間のピーク値とを互いに連結して駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集する第2ベース情報収集段階(S20)と、
前記ベース情報収集段階(S10、S20)で収集された傾き情報を基盤として駆動区間の間のピーク値に対する警報傾き値を設定する設定段階(S30)と、
前記駆動部のリアルタイム駆動状態で設定された単位時間間隔で測定される駆動区間の間のピーク値に対する平均傾き値が前記設定段階(S30)で設定された警報傾き値を超えれば前記駆動部の異常状態と検出する検出段階(S40)とからなり、
前記単位時間は、少なくとも二つ以上の駆動区間を含む時間に設定され、
前記駆動部を通じて測定されるエネルギーは、前記駆動部の駆動に消耗する電流、前記駆動部の駆動時に発生する振動、前記駆動部の駆動時に発生する騷音、前記駆動部の供給電源の周波数、前記駆動部の駆動時における駆動部の温度、湿度、圧力のいずれか一つを選択して使用され、
前記第1ベース情報収集段階(S10)では、前記駆動部の正常な駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報でピーク値と定速値に対する情報をそれぞれ収集し、
前記第2ベース情報収集段階(S20)では、前記駆動部の故障が発生する前の前記駆動部の駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報でピーク値と定速値に対する情報をそれぞれ収集し、
前記設定段階(S30)では、前記ベース情報収集段階(S10、S20)で収集された情報を基盤としてピーク値と定速値に対する警報上限値と警報下限値をそれぞれ設定し、
前記検出段階(S40)では、前記駆動部のリアルタイム駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報でピーク値または定速値が前記設定段階(S30)で設定したピーク値または定速値の警報上限値を超えるか警報下限値未満であれば前記駆動部を異常状態と検出するようにすることを特徴とす
る駆動部の精密予知保全方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部の精密予知保全方法に関し、さらに詳しくは、正常状態の駆動部駆動情報と故障が発生する前の駆動部駆動情報でピーク区間のピーク値と定速区間の定速値を測定収集し、その収集された情報を基盤としてピーク値と定速値に対する警報上限値と下限値及び警報傾き値を設定して、駆動部の駆動を通じてリアルタイムで収集されるピーク及び定速値と傾き値を警報上限値と下限値及び警報傾き値と対比して駆動部の異常兆候が疑われる条件が満たされれば警報して、適合した時期に駆動部の整備及び交替を行うように誘導して、駆動部の故障による莫大な損失を予め予防することができる駆動部の精密予知保全方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に設備の自動化工程のために使用される駆動部(モータ、ポンプ、コンベヤ、コンプレッサーど)は、安定した駆動が非常に重要である。
【0003】
一例として、大規模の移送工場の設備には数百個の駆動部が設置されて、互いに連動動作しながら移送しようとする資材を連続移送するが、もし多数の駆動部の中でいずれか一つの駆動部に故障が発生すると、設備の動作が全体的に中断されるというとんでもない状況が発生し得る。
【0004】
この時は、駆動部の故障によるダウンタイムの発生により、駆動部の修理費用だけでなく、設備が中断される間に浪費される運営費とビジネス効果により莫大な損失が発生するしかない。
【0005】
最近、雇用労動部と産業安全管理公団の資料によると、年間産業安全事故による死傷者は、総10万人水準で集計されており、これを費用に換算すると、年間18兆ウォンの損失が発生していると集計されている。
【0006】
このような予期せぬダウンタイム費用を避けるための方法として、事前予知保全システムの導入が至急な実情である。既に予知保全という名目下で問題点を改善しようと努力しているが、より効率的な予知保全のために、さらに高次元の予知保全方法の開発が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような諸問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、正常状態の駆動部駆動情報と故障が発生する前の駆動部駆動情報でピーク区間のピーク値と定速区間の定速値を測定収集し、その収集された情報を基盤としてピーク値と定速値に対する警報上限値と下限値及び警報傾き値を設定して、駆動部の駆動を通じてリアルタイムで収集されるピーク及び定速値と傾き値を警報上限値と下限値及び警報傾き値と対比して駆動部の異常兆候が疑われる条件が満たされれば警報して、適合した時期に駆動部の整備及び交替を行うように誘導して、駆動部の故障による莫大な損失を予め予防することができる駆動部の精密予知保全方法を提供することにある。
【0008】
また、駆動部で発生し得る多様な異常兆候を検索するために多様な検出条件を提示し、その検出条件を満たす場合に使用者に警報することで、駆動部で発生する多様な異常兆候を容易に検出できるだけでなく、検出結果に対する優れた信頼度を確保することができる駆動部の精密予知保全方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による駆動部の精密予知保全方法は、駆動部の正常な駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報をピーク区間と定速区間に区分し、前記ピーク区間でエネルギー大きさが最大な値をピーク値とし、前記定速区間の最後のエネルギー値を定速値として抽出し、前記駆動部の時間によるエネルギー大きさの変化情報は、前記ピーク値と定速値が含まれる駆動区間が繰り返し形成され、前記駆動区間のピーク値と繰り返した他の駆動区間のピーク値とを互いに連結して駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集する第1ベース情報収集段階(S10)と、前記駆動部の故障が発行する前の前記駆動部の駆動状態で駆動区間のピーク値と繰り返した他の駆動区間のピーク値とを互いに連結して駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集する第2ベース情報収集段階(S20)と、前記ベース情報収集段階(S10、S20)で収集された傾き情報を基盤として駆動区間の間のピーク値に対する警報傾き値を設定する設定段階(S30)と、前記駆動部のリアルタイム駆動状態で設定された単位時間間隔で測定される駆動区間の間のピーク値に対する平均傾き値が前記設定段階(S30)で設定された警報傾き値を超えれば前記駆動部の異常状態と検出する検出段階(S40)とからなり、前記単位時間は、少なくとも二つ以上の駆動区間を含む時間に設定され、前記駆動部を通じて測定されるエネルギーは、前記駆動部の駆動に消耗する電流、前記駆動部の駆動時に発生する振動、前記駆動部の駆動時に発生する騷音、前記駆動部の供給電源の周波数、前記駆動部の駆動時における駆動部の温度、湿度、圧力のいずれか一つを選択して使用されることを特徴とする駆動部の精密予知保全方法。
【0010】
また、前記第1ベース情報収集段階(S10)では、前記駆動部の正常な駆動状態で駆動区間の定速値と繰り返した他の駆動区間の定速値とを互いに連結して駆動区間の間の定速値に対する傾き情報を収集し、前記第2ベース情報収集段階(S20)では、前記駆動部の故障が発行する前の前記駆動部の駆動状態で駆動区間の定速値と繰り返した他の駆動区間の定速値とを互いに連結して駆動区間の間の定速値に対する傾き情報を収集し、前記設定段階(S30)では、前記ベース情報収集段階で収集された傾き情報を基盤として駆動区間の間の定速値に対する警報傾き値を設定し、前記検出段階(S40)では、前記駆動部のリアルタイム駆動状態で設定された単位時間間隔で測定される駆動区間の間の定速値に対する平均傾き値が前記設定段階(S30)で設定された警報傾き値を超えれば前記駆動部の異常状態と検出し、前記単位時間は、少なくとも二つ以上の駆動区間を含む時間に設定されることを特徴とする。
【0011】
また、前記駆動区間は、設定されるオフセット値を前記駆動部のエネルギー値が超えていく点を開始点とし、前記オフセット値未満に下がる点を終了点として前記開始点から終了点までの区間を前記駆動区間に設定して繰り返した前記駆動区間を抽出するか、前記駆動部の時間によるエネルギー大きさの変化情報を設定された時間間隔によって強制区画し、その区画された区間を前記駆動区間に設定して繰り返した前記駆動区間を抽出するようにすることを特徴とする。
【0012】
また、前記第1ベース情報収集段階(S10)では、前記駆動部の正常な駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報でピーク値と定速値に対する情報をそれぞれ収集し、前記第2ベース情報収集段階(S20)では、前記駆動部の故障が発行する前の前記駆動部の駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報でピーク値と定速値に対する情報をそれぞれ収集し、前記設定段階(S30)では、前記ベース情報収集段階(S10、S20)で収集された情報を基盤としてピーク値と定速値に対する警報上限値と警報下限値をそれぞれ設定し、前記検出段階(S40)では、前記駆動部のリアルタイム駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報でピーク値または定速値が前記設定段階(S30)で設定したピーク値または定速値の警報上限値を超えるか警報下限値未満であれば前記駆動部を異常状態と検出するようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明による駆動部の精密予知保全方法によると、正常状態の駆動部駆動情報と故障が発生する前の駆動部駆動情報でピーク区間のピーク値と定速区間の定速値を測定収集し、その収集された情報を基盤としてピーク値と定速値に対する警報上限値と下限値及び警報傾き値を設定して駆動部の駆動を通じてリアルタイムで収集されるピーク及び定速値と傾き値を警報上限値と下限値及び警報傾き値と対比して駆動部の異常兆候が疑われる条件が満たされれば警報して、適合した時期に駆動部の整備及び交替を行うように誘導して、駆動部の故障による莫大な損失を予め予防することができるという効果がある。
【0014】
また、駆動部で発生し得る多様な異常兆候を検索するために多様な検出条件を提示し、その検出条件を満たす場合に使用者に警報することで、駆動部で発生する多様な異常兆候を容易に検出できるだけでなく、検出結果に対する優れた信頼度が確保可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例による駆動部の精密予知保全方法のブロック図である。
【
図2】駆動区間のピーク及び定速区間でピーク及び定速値を抽出する図面である。
【
図3】駆動部の繰り返した駆動区間でピーク値を抽出する図面である。
【
図4】
図3に示したピーク値を数値で示した図面である。
【
図5】
図4に示したピーク値を基盤として傾き値を抽出する図面である。
【
図6】単位時間間隔で測定される駆動区間の間のピーク値の平均傾き値を抽出する図面である。
【
図7】駆動と休止が繰り返される駆動部から駆動区間を抽出する図面である。
【
図8】連続駆動される駆動部から駆動区間を抽出する図面である。
【
図9】駆動部の繰り返した駆動区間で定速値を抽出する図面である。
【
図10】
図9に示した定速値を基盤として傾き値を抽出する図面である。
【
図11】単位時間間隔で測定される駆動区間の間の定速値の平均傾き値を抽出する図面である。
【
図12】駆動部のリアルタイム駆動状態で測定したピーク値で駆動部の異常状態を検出する図面である。
【
図13】駆動部のリアルタイム駆動状態で測定した定速値で駆動部の異常状態を検出する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、駆動部の精密予知保全方法に関し、その構成は、駆動部の正常な駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報をピーク区間と定速区間に区分し、前記ピーク区間でエネルギー大きさが最大な値をピーク値とし、前記定速区間の最後のエネルギー値を定速値として抽出し、前記駆動部の時間によるエネルギー大きさの変化情報は、前記ピーク値と定速値が含まれる駆動区間が繰り返し形成され、前記駆動区間のピーク値と繰り返した他の駆動区間のピーク値とを互いに連結して駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集する第1ベース情報収集段階(S10)と、前記駆動部の故障が発行する前の前記駆動部の駆動状態で駆動区間のピーク値と繰り返した他の駆動区間のピーク値とを互いに連結して駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集する第2ベース情報収集段階(S20)と、前記ベース情報収集段階(S10、S20)で収集された傾き情報を基盤として駆動区間の間のピーク値に対する警報傾き値を設定する設定段階(S30)と、前記駆動部のリアルタイム駆動状態で設定された単位時間間隔で測定される駆動区間の間のピーク値に対する平均傾き値が前記設定段階(S30)で設定された警報傾き値を超えれば前記駆動部の異常状態と検出する検出段階(S40)とからなることを特徴とする。
【実施例】
【0017】
本発明の好ましい実施例による駆動部の精密予知保全方法を添付の図面に基づいて詳しく説明する。本発明の要旨を不要に曖昧にし得ると判断される公知機能及び構成に対する詳しい記述は省略する。
【0018】
図1~
図13は、本発明の実施例による駆動部の精密予知保全方法を示した図面であり、
図1は、本発明の実施例による駆動部の精密予知保全方法のブロック図を、
図2は、駆動区間のピーク及び定速区間でピーク及び定速値を抽出する図面を、
図3は、駆動部の繰り返した駆動区間でピーク値を抽出する図面を、
図4は、
図3に示されたピーク値を数値で示した図面を、
図5は、
図4に示されたピーク値を基盤として傾き値を抽出する図面を、
図6は、単位時間間隔で測定される駆動区間の間のピーク値の平均傾き値を抽出する図面を、
図7は、駆動と休止が繰り返される駆動部から駆動区間を抽出する図面を、
図8は、連続駆動される駆動部から駆動区間を抽出する図面を、
図9は、駆動部の繰り返した駆動区間で定速値を抽出する図面を、
図10は、
図9に示された定速値を基盤として傾き値を抽出する図面を、
図11は、単位時間間隔で測定される駆動区間の間の定速値の平均傾き値を抽出する図面を、
図12は、駆動部のリアルタイム駆動状態で測定したピーク値で駆動部の異常状態を検出する図面を、
図13は、駆動部のリアルタイム駆動状態で測定した定速値で駆動部の異常状態を検出する図面をそれぞれ示したものである。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施例による駆動部の精密予知保全方法100は、第1ベース情報収集段階(S10)と、第2ベース情報収集段階(S20)と、設定段階(S30)と、検出段階(S40)とを含んでいる。
【0020】
前記第1ベース情報収集段階(S10)は、駆動部の正常な駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報をピーク区間と定速区間に区分し、前記ピーク区間でエネルギー大きさが最大な値をピーク値とし、前記定速区間の最後のエネルギー値を定速値として抽出し、前記駆動部の時間によるエネルギー大きさの変化情報は、前記ピーク値と定速値が含まれる駆動区間が繰り返し形成され、前記駆動区間のピーク値と繰り返した他の駆動区間のピーク値とを互いに連結して駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集する段階である。
【0021】
ここで、前記駆動部のエネルギーを前記駆動部の作動に消耗する電流と仮定してみると、通常、駆動部の駆動が始まる時点では高い電流の使用が要求されて前記駆動部のエネルギー大きさが最大値に形成されるが、このような区間をピーク区間とみて、前記駆動部が安定化して一定範囲のエネルギー値が連続的に維持されるが、このような区間を定速区間とみることができる。
【0022】
即ち、
図2に示すように、本発明の駆動部の精密予知保全方法100では、基本的に駆動部の駆動区間をピーク区間と定速区間に設定し、ピーク区間ではピーク値を抽出し、定速区間では定速値を抽出収集する。
【0023】
このように収集される前記駆動区間の間のピーク値を通じてピーク値に対する傾きを測定するが、これに対する説明は下記で詳述する。
【0024】
上記のように収集される情報は、後述する前記設定段階(S30)及び検出段階(S40)で駆動部の異常兆候を検出するために設定される多様な警報値の基盤となる。
【0025】
一方、前記駆動部を通じて測定されるエネルギーは、前記駆動部の駆動に消耗する電流、前記駆動部の駆動時に発生する振動、前記駆動部の駆動時に発生する騷音、前記駆動部の供給電源の周波数、前記駆動部の駆動時における駆動部の温度、湿度、圧力のいずれか一つが選択されて使用されるが、もちろんこのような種類に限定して使用するものではない。
【0026】
前記第2ベース情報収集段階(S20)は、前記駆動部の故障が発行する前の前記駆動部の駆動状態で駆動区間のピーク値と繰り返した他の駆動区間のピーク値とを互いに連結して駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集する段階である。
【0027】
このように収集される情報も前記第1ベース情報収集段階(S10)で収集される情報のように、前記設定段階(S30)及び検出段階(S40)で駆動部の異常兆候を検出するために設定される多様な警報値の基盤となる。
【0028】
前記設定段階(S30)は、前記ベース情報収集段階(S10、S20)で収集された傾き情報を基盤として駆動区間の間のピーク値に対する警報傾き値を設定する段階である。
【0029】
即ち、前記駆動区間の間のピーク値に対する警報傾き値は、前記ベース情報収集段階(S10、S20)で長期間収集された情報を基盤として前記駆動部の故障が発生する前の駆動区間の間のピーク値に対する傾きが非正常的に変化する値、即ち、前記駆動部の劣化、老朽、異物の引っかかりによる負荷などの状況で、前記駆動区間の間のピーク値に対する傾き値が非正常的に変化する値を基盤として設定することは勿論である。
【0030】
前記検出段階(S40)は、前記駆動部のリアルタイム駆動状態で設定された単位時間間隔で測定される駆動区間の間のピーク値に対する平均傾き値が前記設定段階(S30)で設定された警報傾き値を超えれば前記駆動部の異常状態と検出し、前記単位時間は、少なくとも二つ以上の駆動区間を含む時間に設定される。
【0031】
即ち、
図3に示すように、前記第1ベース情報収集段階(S10)では前記駆動部の繰り返した駆動区間でピーク値をそれぞれ収集し、そのそれぞれの駆動区間が有するピーク値を時間によって表し、説明の便宜のために、繰り返した前記駆動区間を順次に第1駆動区間、第2駆動区間、・・・第n駆動区間と決めれば、
図4に示すように表すことができる。
【0032】
その後、
図5に示すように、前記駆動区間のピーク値を互いに連結すれば所定の傾き値を獲得することができ、このような傾き値は、傾きが上昇する上昇傾き値(正数)と傾きが下降する下降傾き値(負数)に区分することができるが、いずれも絶対値であり傾き値を数値化して収集する。
【0033】
このように収集される傾き値に対する情報は、前記駆動部が正常状態で安定して駆動される情報と認知する。
【0034】
前記第2ベース情報収集段階(S20)では、前記第1ベース情報収集段階(S10)と同一の方式で前記駆動部の故障が発生する前の前記駆動部の駆動区間の間のピーク値に対する傾き情報を収集し、前記設定段階(S30)では、前記ベース情報収集段階(S10、S20)で収集された傾き情報を基盤として駆動区間の間のピーク値に対する警報傾き値を設定する。
【0035】
従って、
図6に示すように、前記検出段階(S40)は、前記駆動部のリアルタイム駆動状態で設定される単位時間間隔で測定される駆動区間の間のピーク値を連結した平均傾き値が前記設定段階(S30)で設定された警報傾き値を超えれば前記駆動部の異常状態と検出する。
【0036】
ここで、前記単位時間は、少なくとも二つ以上の駆動区間が含まれるように前記設定段階(S30)で設定される時間であり、前記駆動部の駆動条件、周辺環境などを考慮して、少なくは数秒、多くは日、月、年などの単位で設定することができる。
【0037】
また、前記駆動区間は、前記設定段階(S30)で設定されるオフセット(off set)値を前記駆動部のエネルギー値が超えていく点を開始点とし、前記オフセット値未満に下がる点を終了点として、前記開始点から終了点までの区間を前記駆動区間に設定して、
図7に示すように、駆動と休止が繰り返して行われる前記駆動部から繰り返される駆動区間を明確に抽出することができ、前記駆動部の容易な予知保全を誘導することができる。
【0038】
さらに、
図7に示すように、前記オフセット値の設定を通じて、前記駆動部が休止した時に完全停止されていない場合も、前記駆動部のエネルギー値が前記オフセット値未満に下がる点を終了点として前記駆動部の駆動区間を強制抽出することができ、多様な駆動条件を有する駆動部の容易な予知保全が行われるように誘導することができる。
【0039】
また、前記駆動区間は、前記駆動部の時間によるエネルギー大きさの変化情報を設定された時間間隔によって強制区画し、その区画された区間を前記駆動区間に設定して繰り返した前記駆動区間を抽出することができる。
【0040】
即ち、
図8に示すように、前記駆動部が一度駆動されて休止なく連続的に駆動する場合は、繰り返した駆動区間を抽出することができないので、前記設定段階(S30)で設定された時間間隔によって定速区間を強制区画して多数の駆動区間に抽出して多様な駆動条件を有する前記駆動部の容易な予知保全が行われるように誘導することができる。
【0041】
ここで、前記オフセット値や時間間隔の設定を通じて前記駆動部の駆動区間を抽出する方式は、下記で説明する前記駆動部の予知保全方式でも共に適用して使用可能なことは言うまでもない。
【0042】
また、前記第1ベース情報収集段階(S10)では、前記駆動部の正常な駆動状態で駆動区間の定速値と繰り返した他の駆動区間の定速値とを互いに連結して駆動区間の間の定速値に対する傾き情報を収集し、前記第2ベース情報収集段階(S20)では、前記駆動部の故障が発行する前の前記駆動部の駆動状態で駆動区間の定速値と繰り返した他の駆動区間の定速値とを互いに連結して駆動区間の間の定速値に対する傾き情報を収集し、前記設定段階(S30)では、前記ベース情報収集段階で収集された傾き情報を基盤として駆動区間の間の定速値に対する警報傾き値を設定し、前記検出段階(S40)では、前記駆動部のリアルタイム駆動状態で設定された単位時間間隔で測定される駆動区間の間の定速値に対する平均傾き値が前記設定段階(S30)で設定された警報傾き値を超えれば前記駆動部の異常状態と検出し、前記単位時間は、少なくとも二つ以上の駆動区間を含む時間に設定されるようにする。
【0043】
即ち、
図9に示すように、前記第1ベース情報収集段階(S10)では、前記駆動部の繰り返した駆動区間で定速値と他の駆動区間の定速値を収集し、説明の便宜のために、繰り返した前記駆動区間を順次に第1駆動区間、第2駆動区間、・・・第n駆動区間と決めれば、
図10に示すように表すことができる。
【0044】
その後、
図10に示すように、前記駆動区間の定速値を互いに連結すれば所定の傾き値を獲得することができ、このような傾き値は、傾きが上昇する上昇傾き値(正数)と傾きが下降する下降傾き値(負数)に区分することができるが、いずれも絶対値であり傾き値を数値化して収集する。
【0045】
このように収集される傾き値に対する情報は、前記駆動部が正常状態で安定的に駆動される情報と認知する。
【0046】
前記第2ベース情報収集段階(S20)では、前記第1ベース情報収集段階(S10)と同一の方式で前記駆動部の故障が発生する前の前記駆動部の駆動区間の間の定速値に対する傾き情報を収集し、前記設定段階(S30)では、前記ベース情報収集段階(S10、S20)で収集された傾き情報を基盤として駆動区間の間の定速値に対する警報傾き値を設定する。
【0047】
従って、
図11に示すように、前記検出段階(S40)は、前記駆動部のリアルタイム駆動状態で設定される単位時間間隔で測定される駆動区間の間の定速値を連結した平均傾き値が前記設定段階(S30)で設定された警報傾き値を超えれば前記駆動部の異常状態と検出する。
【0048】
ここで、前記単位時間は、少なくとも二つ以上の駆動区間が含まれるように前記設定段階(S30)で設定する時間であり、前記駆動部の駆動条件、周辺環境などを考慮して、少なくは数秒、多くは日、月、年などの単位で設定することができる。
【0049】
また、前記第1ベース情報収集段階(S10)では、前記駆動部の正常な駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報でピーク値と定速値に対する情報をそれぞれ収集し、前記第2ベース情報収集段階(S20)では、前記駆動部の故障が発行する前の前記駆動部の駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報でピーク値と定速値に対する情報をそれぞれ収集し、前記設定段階(S30)では、前記ベース情報収集段階(S10、S20)で収集された情報を基盤としてピーク値と定速値に対する警報上限値と警報下限値をそれぞれ設定し、前記検出段階(S40)では、前記駆動部のリアルタイム駆動状態で測定した時間によるエネルギー大きさの変化情報でピーク値または定速値が前記設定段階(S30)で設定したピーク値または定速値の警報上限値を超えるか警報下限値未満であれば前記駆動部を異常状態と検出する。
【0050】
即ち、前記ピーク値と定速値に対するそれぞれの警報上限値及び下限値は、前記ベース情報収集段階(S10、S20)で長期間収集された情報を基盤として前記駆動部の故障が発生する前に前記駆動部のピーク値と定速値が非正常的に変化する値を基盤として設定することは言うまでもない。
【0051】
従って、
図12と
図13に示すように、前記駆動部のリアルタイム駆動状態で測定したピーク値または定速値が警報上限値を超えるか警報下限値未満で形成される場合は、前記駆動部を異常状態と検出して、前記駆動部の故障が発生する前に予め交替や修理などの管理を行って前記駆動部の故障により設備の稼動が中断されて発生する経済的損失を予め防止する。
【0052】
上記のような過程により駆動部の異常兆候を検出する本発明の駆動部の精密予知保全方法100は、正常状態の駆動部駆動情報と故障が発生する前の駆動部駆動情報でピーク区間のピーク値と定速区間の定速値を測定収集し、その収集された情報を基盤としてピーク値と定速値に対する警報上限値と下限値及び警報傾き値を設定して駆動部の駆動を通じてリアルタイムで収集されるピーク及び定速値と傾き値を警報上限値と下限値及び警報傾き値と対比して駆動部の異常兆候が疑われる条件が満たされれば警報して、適合した時期に駆動部の整備及び交替を行うように誘導して、駆動部の故障による莫大な損失を予め予防することができるという効果がある。
【0053】
また、駆動部で発生し得る多様な異常兆候を検索するために多様な検出条件を提示し、その検出条件を満たす場合に使用者に警報することで、駆動部で発生する多様な異常兆候を容易に検出できるだけでなく、検出結果に対する優れた信頼度が確保可能であるという効果がある。
【0054】
一方、本発明の実施例による駆動部の精密予知保全方法100は、駆動部のエネルギー値を収集、検出、対比、警報することができる各種の電子機器とプログラムなどの組み合わせを通じて具現可能なことは勿論である。
【0055】
本発明は、添付の図面に図示された実施例を参考として説明されたが、これは例示的なものであり上述した実施例に限定されず、当該分野で通常の知識を持った者であればこれから多様な変形及び均等な実施例が可能であるという点が理解できるであろう。また、本発明の思想を損なわない範囲内で当業者による変形が可能なことは言うまでもない。従って、本発明で権利を請求する範囲は、詳細な説明の範囲内に定まるものではなく、後述する請求の範囲とその技術的思想によって限定されるであろう。
【符号の説明】
【0056】
S10:第1ベース情報収集段階
S20:第2ベース情報収集段階
S30:設定段階
S40:検出段階
100:駆動部の精密予知保全方法