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特許7046106輸液ポンプラッチ機構および関連する自由流れ防止デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】輸液ポンプラッチ機構および関連する自由流れ防止デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/175 20060101AFI20220325BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
A61M5/175
A61M5/142 502
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019568709
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 US2017047262
(87)【国際公開番号】W WO2019005181
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2019-12-12
(31)【優先権主張番号】15/634,143
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510180692
【氏名又は名称】カーリン・メディカル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】アザパジック,アズール
(72)【発明者】
【氏名】バークリー,モハン・ジョナサン
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0036322(US,A1)
【文献】特表2011-516162(JP,A)
【文献】特表2002-504971(JP,A)
【文献】米国特許第6164921(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/175
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由流れ防止デバイスであって、
管材案内路と、前記管材案内路に交差するプランジャチャネルとを規定する本体と、
前記プランジャチャネルによって摺動可能に受け入れられるプランジャであって、前記プランジャは、前記プランジャを通る管材通路を規定し、前記管材通路と前記管材案内路との間の位置合わせの度合いを変動させるように、前記本体に対して移動可能である、プランジャと、
前記管材通路と前記管材案内路との間の前記位置合わせの度合いを低減する方向に前記プランジャを付勢するばねと、
を備え、
前記プランジャは、前記プランジャチャネルから突出する湾曲した作動面を含み、
前記プランジャの前記管材通路は第1の軸に沿って延び、前記湾曲した作動面は、前記第1の軸に直交する第2の軸の周りの弧状の部分形状を含み、
前記湾曲した作動面は、ラッチ部材の湾曲したカム面と協働するように構成されている、
自由流れ防止デバイス。
【請求項2】
投与セットであって、
(i)管材案内路と、前記管材案内路に交差するプランジャチャネルとを規定する本体と、(ii)プランジャを通る管材通路を規定する前記プランジャであって、前記プランジャは、前記プランジャチャネルによって摺動可能に受け入れられ、前記管材通路と前記管材案内路との間の位置合わせの度合いを変動させるように、前記本体に対して移動可能である、プランジャと、(iii)前記管材通路と前記管材案内路との間の前記位置合わせの度合いを低減する方向に前記プランジャを付勢するばねと、を備える自由流れ防止デバイスと、
前記管材案内路および前記管材通路を通って延びる、弾性管材と、
を備え、
前記プランジャは、前記プランジャチャネルから突出する湾曲した作動面を含み、
前記プランジャの前記管材通路は第1の軸に沿って延び、前記湾曲した作動面は、前記第1の軸に直交する第2の軸の周りの弧状の部分形状を含み、
前記湾曲した作動面は、ラッチ部材の湾曲したカム面と協働するように構成されている、
投与セット。
【請求項3】
前記自由流れ防止デバイスの前記本体は前記弾性管材に取り付けられる、請求項2に記載の投与セット。
【請求項4】
輸液ポンプ装置であって、
)弾性管材と、
B)輸液ポンプであって、
ポンプハウジングと、
前記ポンプハウジングによって支持されるポンピング機構と、
前記ポンプハウジングに対し移動可能なポンプ扉であって、前記ポンプ扉は、前記弾性管材が前記ポンピング機構に隣接して前記輸液ポンプ内に装填されることを可能にする開位置まで動き、前記ポンプ扉は、前記弾性管材を覆う閉位置まで動く、ポンプ扉と、
前記ポンプ扉に対し枢動可能に装着されるラッチ部材であって、前記ラッチ部材は、ラッチ枢動軸の周りで前記ポンプ扉に対し枢動可能である、ラッチ部材と、
前記ポンプハウジングに対し固定された場所にあるラッチピンと、
を備える、輸液ポンプと、
C)前記弾性管材を通る流体の流れを停止するように閉じられた前記弾性管材を挟持するように付勢された自由流れ防止デバイスと、
を備え、
前記ラッチ部材は、前記ラッチ部材が前記ラッチピンと係合し、前記ポンプ扉を前記閉位置に固定するようにさせるための、係止方向における前記ラッチ枢動軸の周りの第1の範囲の枢動運動と、前記ラッチ部材が、前記弾性管材の挟持を解除し、前記弾性管材を通る流体の流れを可能にするように前記付勢に対抗して前記自由流れ防止デバイスを作動させるようにするための、前記係止方向における前記ラッチ枢動軸の周りの第2の範囲の枢動運動とを有し、前記ラッチ部材は、前記第2の範囲の枢動運動を通じて枢動を開始する前に、前記第1の範囲の枢動運動の少なくとも一部分を通じて枢動し、
前記ラッチ部材は、前記第1の範囲の枢動運動の開始を規定する係止解除限界位置を有し、前記第2の範囲の枢動運動は、前記ラッチ部材が、前記係止解除限界位置から、前記ラッチ枢動軸の周りの所定の角度を通じて前記係止方向に枢動した後に開始する、
輸液ポンプ装置。
【請求項5】
前記第2の範囲の枢動運動の少なくとも一部分は、前記第1の範囲の枢動運動の一部分と重複する、請求項4に記載の輸液ポンプ装置。
【請求項6】
前記所定の角度は、少なくとも45°である、請求項4に記載の輸液ポンプ装置。
【請求項7】
前記ラッチ部材は、前記第1の範囲の枢動運動の終了時に係止限界位置を有し、前記係止限界位置は、前記第2の範囲の枢動運動の終了を更に規定する、請求項4に記載の輸液ポンプ装置。
【請求項8】
前記ポンプ扉は、前記ポンプ扉が前記閉位置にあるとき、前記自由流れ防止デバイスと接触しない、請求項4に記載の輸液ポンプ装置。
【請求項9】
前記ポンプ扉はプラテン面を含み、前記ポンピング機構は、前記ポンプ扉が前記閉位置にあるときに前記プラテン面の反対側にある複数の蠕動ポンピングフィンガと、前記プラテン面に対し前記管材を弾性に変形させるように前記複数の蠕動ポンピングフィンガを変位させるように動作可能なモーター駆動式カムとを含み、前記複数の蠕動ポンピングフィンガのうちの少なくとも1つは、前記プラテン面に対抗して前記管材を挟持するように配置され、これにより前記ポンプ扉が前記閉位置にあり前記ポンピング機構が動作していないときに前記管材を通る流れを阻止する、請求項4に記載の輸液ポンプ装置。
【請求項10】
前記ラッチ部材は湾曲したカム面を含み、前記自由流れ防止デバイスは、前記湾曲したカム面と協働するための湾曲した作動面を含み、前記湾曲したカム面は、前記ラッチ部材が前記第2の範囲の枢動運動を通じて前記自由流れ防止デバイスを作動させるように枢動されている間、前記湾曲した作動面と係合する、請求項4に記載の輸液ポンプ装置。
【請求項11】
前記ラッチ部材は、キーホール部分と、前記キーホール部分につながる通路面とを有するスロットを含み、前記ラッチ部材が前記第1の範囲の枢動運動を通じて枢動されている間、前記通路面、および次に前記キーホール部分は、連続して前記ラッチピンと係合する、請求項4に記載の輸液ポンプ装置。
【請求項12】
前記自由流れ防止デバイスは、前記弾性管材に取り付けられる、請求項4に記載の輸液ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、輸液ポンプの扉またはプラテン部材をしっかりと閉じるためのラッチ機構、およびラッチ機構と協働する自由流れ防止デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]経腸栄養法のための流動食、および疼痛管理等の様々な目的のための医薬の、制御された輸送を遂行するためにプログラム可能な輸液ポンプが使用されている。一般的な構成では、輸液ポンプは、輸液ポンプのポンピング機構によって係合されるように設計されている管材セグメントを有する可撓性管材を備えている、使い捨て式投与セットを受け入れる。投与セットは、管材セグメントの両端のまたは両端付近の既定場所において可撓性管材へ固定的に付着されている一対の装着用構成要素を更に備えている場合もあり、それにより、装着用構成要素は、ポンピング機構による作動的な係合のために、適正な位置に管材セグメントを固定する輸液ポンプ上のそれぞれの嵌め合い機構によって、受け入れ可能になっている。装着用構成要素のうちの一方は、管材セグメントを正しく位置付けるのを支援することを超えて、追加の機能性を提供する場合もある。例えば、装着用構成要素のうちの一方が、管材を通る輸注液の流れを、選択的に停止および許容するように動作可能な自由流れ防止デバイスとして構成される場合もある。投与セットがポンプに装填されると、自由流れ防止デバイスは、それの通常の流れを停止する閉位置から、流れを可能にするそれの開位置へ、作動させられる。上述の構成の一例が、Moubayed他の米国特許第6,164,921号に開示されている。
【0003】
[0003]従来技術の構成では、ポンプの扉またはプラテン部材は、投与セットが装填された後、閉位置に枢動する。閉鎖中、扉またはプラテン部材は、自由流れ防止デバイスを、その閉位置からその開位置まで作動させる。例えば、自由流れ防止デバイスは、弁本体と、閉じた管材を挟持するようにばね付勢されたプランジャとを備えることができ、扉またはプラテン部材は、プランジャと係合し、プランジャをばね付勢に対抗して動かし、管材における流れを開くことができる。扉またはプラテン部材が完全に閉じられると、ポンピング機構が、開かれた自由流れ防止デバイスに代わり、管材を通る意図しない流れを阻止する。
【0004】
[0004]このタイプの構成では、自由流れ防止デバイスは、扉またはプラテン部材が完全に閉じる前、およびポンピング機構が流れを阻止することができる前に開き始める。結果として、扉またはプラテン部材が僅かに開いたままになっているとき、ポンピング機構のプログラムされた動作ではなく、重力によって、液体が患者に注入され得るリスクがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本開示は、自由流れ防止デバイスと、輸液ポンプの扉が完全に閉じられた後にのみ自由流れ防止デバイスを作動させるように設計されたラッチ機構とを提供する。自由流れ防止デバイスは、或る長さの弾性管材を含む使い捨て式投与セットの一部であってもよく、自由流れ防止デバイスは、弾性管材を通る流体の流れを停止するように閉じられた弾性管材を挟持するように付勢され得る。1つの実施形態では、ポンプ扉は、輸液ポンプのポンピング機構の上で閉じ、ポンピング機構の反対側のプラテン面を定義し、ラッチ機構は、ラッチ部材および対応するラッチピンを含み、ラッチ部材は、ポンプ扉に枢動可能に取り付けられ、ラッチピンは、ポンプハウジングに対し固定された場所にある。ラッチ部材は、ラッチ部材がラッチピンと係合し、ポンプ扉を閉位置に固定するようにさせるための、係止方向におけるラッチ枢動軸の回りの第1の範囲の枢動運動と、ラッチ部材が、弾性管材の挟持を解除し、弾性管材を通る流体の流れを可能にするように、付勢に対抗して自由流れ防止デバイスを作動させるようにするための、係止方向におけるラッチ枢動軸の回りの第2の範囲の枢動運動とを有する。ラッチ部材は、第2の範囲の枢動運動を通じて枢動を開始する前に第1の範囲の枢動運動の少なくとも一部分を通じて枢動する。
【0006】
[0006]自由流れ防止デバイスは、本体と、プランジャと、付勢ばねとを備えることができる。本体は、管材案内路と、管材案内路に交差するプランジャチャネルとを定義することができ、プランジャは、プランジャチャネルによって摺動可能に受け入れられる。プランジャは、プランジャを通る管材通路を定義することができ、プランジャは、管材通路と管材案内路との間の位置合わせの度合いを変動させるように、本体に対して移動可能であり得る。ばねは、通常、閉じた状態で弾性管材を挟持するために、管材通路と管材案内路との間の位置合わせの度合いを低減する方向にプランジャを付勢するように配置され得る。プランジャは、ラッチ部材の湾曲したカム面によってプランジャを作動させるように作用され、それによって自由流れ防止デバイスを開いて管材を通る流れを可能にする、プランジャチャネルから突出する湾曲した作動面を含むことができる。
【0007】
[0007]ここで、添付の図面を参照して、本発明の以下の詳細な説明において本発明の性質および動作モードがより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[0008]本発明の実施形態に従って形成される輸液ポンプを示す斜視図である。
図2】[0009]本発明の実施形態に従って形成される投与セットの斜視図である。
図3】[0010]図2に示す投与セットの自由流れ防止デバイスを示す詳細な斜視図である。
図4】[0011]自由流れ防止デバイスの展開斜視図である。
図5A】[0012]輸液ポンプの扉が閉位置に固定される前に輸液ポンプに装填される投与セットを示す正面断面図である。
図5B】輸液ポンプの扉が閉位置に固定される前に輸液ポンプに装填される投与セットを示す正面断面図である。
図6A】[0013]輸液ポンプのラッチ部材が、ポンプ扉を閉位置に固定し、流れを許容するように自由流れ防止デバイスを作動させる枢動動作を示す一連の詳細図である。
図6B】輸液ポンプのラッチ部材が、ポンプ扉を閉位置に固定し、流れを許容するように自由流れ防止デバイスを作動させる枢動動作を示す一連の詳細図である。
図6C】輸液ポンプのラッチ部材が、ポンプ扉を閉位置に固定し、流れを許容するように自由流れ防止デバイスを作動させる枢動動作を示す一連の詳細図である。
図6D】輸液ポンプのラッチ部材が、ポンプ扉を閉位置に固定し、流れを許容するように自由流れ防止デバイスを作動させる枢動動作を示す一連の詳細図である。
図6E】輸液ポンプのラッチ部材が、ポンプ扉を閉位置に固定し、流れを許容するように自由流れ防止デバイスを作動させる枢動動作を示す一連の詳細図である。
図6F】輸液ポンプのラッチ部材が、ポンプ扉を閉位置に固定し、流れを許容するように自由流れ防止デバイスを作動させる枢動動作を示す一連の詳細図である。
図7】[0014]蠕動輸液ポンプのポンピングフィンガのうちの1つによる管材の遮蔽を示す、図6Fに対応するズームアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0015]図1は、輸液ポンプ10を示し、図2は、輸液ポンプ10によって取り外し可能に受け入れられるように設計された使い捨て式投与セット12を示す。投与セット12は、輸注液を運ぶための管材14と、管材14を通る輸注液の流れを選択的に停止および許容するように動作可能な自由流れ防止デバイス16とを備える。投与セット12は、ロケータピン18も備えることができる。自由流れ防止デバイス16およびロケータピン18は、管材に沿った別々の場所において、管材14へ固定的に取り付けられ得る。例えば、自由流れ防止デバイス16とロケータピン18は、結合剤によって管材14に結合され得る。投与セット12は、管材14の各端部に1つずつ、一対のコネクタ19A、19Bも備えることができる。
【0010】
[0016]示される実施形態では、輸液ポンプ10は、自由流れ防止デバイス16を取り外し可能に受け入れるサイズの第1の陥凹20と、ロケータピン18を取り外し可能に受け入れるサイズの第2の陥凹22とを有する。投与セット12は、管材14のセグメント15がポンプ10のハウジング26によって支持されるポンピング機構24に隣接するようにして、自由流れ防止デバイス16を第1の陥凹20の中へ、そしてロケータピン18を第2の陥凹22の中へ挿入することによって、輸液ポンプ10へ装填される。
【0011】
[0017]図1からわかるように、輸液ポンプ10は、ハウジング26に対し、管材セグメント15がポンピング機構24に隣接して輸液ポンプ内に装填されることを可能にする開位置、および管材セグメント15を覆う閉位置に移動可能な扉28を備える。示される実施形態では、扉28は、ヒンジピン30において枢動可能にハウジング26に装着されているが、扉28は、本発明から逸脱することなく、ハウジング26に摺動可能に装着されてもよい。図に示すように、ポンピング機構24は、液体が管材14を通してポンプされるように、順次蠕動式に管材セグメント15に係合し、一時的に管材セグメント15を変形するよう、モーター駆動式偏心カム34の回転によって動かされる複数の伸展可能で引込可能なポンピングフィンガ32を有する曲線状の蠕動ポンピング機構であってもよい。ポンピング機構24は、回転シャフト上に装着されたそれぞれのカムによって動かされる軸方向に離間されたフィンガを有する線形蠕動ポンピング機構、またはロータ上でのポンピング要素による係合のために管材セグメント15がその回りに部分的に巻かれるモーター駆動式ロータを有する回転ポンピング機構等の他の形態をとってもよい。ポンピング機構24が蠕動ポンピング機構である場合、扉28は、扉28がその閉位置にあるときに、ポンピングフィンガ32に向かい合う管材セグメント15に接触するプラテン面36を含むことができる。
【0012】
[0018]輸液ポンプ10は、枢動ピン40によって定義される横方向に延びるラッチ枢動軸41の回りの回転のために、枢動ピン40によってポンプ扉28に枢動可能に装着されたラッチ部材38を更に含む。ポンプ10は、ポンプハウジング26の前壁から内方に突出するように装着されたラッチピン42も備える。ラッチピン42は、ポンプハウジング26に対し固定された場所に据え付けられる。以下で詳細に説明されるように、ラッチ部材38は、輸液ポンプ10上でその閉位置にポンプ扉28を固定し、流体が管材セグメント15を通って流れることを可能にするよう自由流れ防止デバイス16を作動させるように動作可能である。
【0013】
[0019]自由流れ防止デバイス16の実施形態が図3および図4に詳細に示される。自由流れ防止デバイス16は、通常、本体44と、プランジャ46と、付勢ばね48とを備える。本体44は、管材案内路50と、管材案内路に交差するプランジャチャネル52とを定義する。プランジャ46は、プランジャチャネル52によって摺動可能に受け入れられ、プランジャを通って軸55に沿って延びる管材通路54を定義する。プランジャ46は、プランジャ46の管材通路54と本体44の管材案内路50との間の位置合わせの度合いを変動させるように、本体44に対して移動可能である。ばね48が、管材通路54と管材案内路50との間の位置合わせの度合いを低減する方向にプランジャ46を付勢するように配置される。理解することができるように、ばね48の付勢により、弾性管材セグメント15は、本体44およびプランジャ46によって閉じられた状態で挟持され、それによって、輸注液が管材セグメントを通って流れることを防ぐ。プランジャ46は、湾曲した作動面47を備えることができる。本明細書に記載の例示的な実施形態では、湾曲した作動面47は、管材通路54の軸55に直交する軸49の回りの弧状セグメントプロファイルを含む。自由流れ防止デバイス16は、投与セット12が出荷され、実際の使用の前に格納されている間、ばね48の付勢に対抗して自由流れ防止デバイス16を開状態に維持するための分離戻り止めタブ17を含むことができる。分離戻り止めタブ17は、ポンプ10における投与セット12の装填の直前に永久的に取り除かれる。
【0014】
[0020]図5Aおよび図5Bは、ポンプ扉28がその閉位置に固定される前に輸液ポンプ12内に装填される投与セット12を示すポンプ10の正面断面図である。図5Aに示すように、扉28は、ヒンジピン30の軸を中心に開位置まで枢動し、ユーザが自由流れ防止デバイス16を第1の陥凹20に挿入し、ロケータピン18を第2の陥凹22に挿入することを可能にすることができ、それによって管材セグメント15は、ポンピング機構24のポンピングフィンガ32に隣接して僅かに張力をかけて保持される。図5Bは、投与セット12がポンプに装填された後の扉28の部分的閉鎖を示す。図5Bでは、扉28はほとんどその完全に閉じた位置にあるが、その完全に閉じた位置においてまだ固定されていない。扉28は、扉28が閉じられる前にも後にも自由流れ防止デバイス16に接触しておらず、それによって、流れ防止デバイス16は、扉28と完全に独立して動作する。したがって、管材セグメント15は、本体44とプランジャ46との間で作用するばね48の付勢作用に起因して、閉じた状態で挟持されたままである。扉28の閉鎖は、完全なものであろうと、部分的なものであろうと、管材セグメント15を通る流れを開くように自由流れ防止デバイス16を作動させることはない。むしろ、以下で説明されるように、ラッチ部材38の動作が、管材セグメント15を通る流れを開くように自由流れ防止デバイス16を作動させる。
【0015】
[0021]ここで、輸液ポンプ10においてポンプ扉28をその閉位置に固定し、管材セグメント15を通る流体の流れを可能にするように自由流れ防止デバイス16を作動させるためのラッチ部材38の動作を説明するために図6A図6Fが参照される。図6Aにおいて、扉28はほとんどその完全に閉じた位置にあり、ラッチ部材38は、扉28に対するラッチ枢動軸41の回りの枢動運動のその範囲において、係止解除限界位置にある。係止解除限界位置は、例えば、ラッチ部材38の当接部分56と、扉28の当接面58との係合によって定義することができ、それによって、1つの角度方向(例えば、図6Aのビューにおける反時計回りの方向)におけるラッチ部材の更なる枢動運動が阻止される。ラッチ部材38は、ラッチ部材38がラッチピン42と係合し、ポンプ扉28を閉位置に固定するようにさせるための係止方向(例えば、図6Aのビューにおける時計回りの方向)におけるラッチ枢動軸41の回りの第1の範囲の枢動運動と、ラッチ部材38が、弾性管材15の挟持を解除し、管材を通る流体の流れを可能にするように、ばね48の付勢に対抗して自由流れ防止デバイス16を作動させるようにするための、係止方向におけるラッチ枢動軸41の回りの第2の範囲の枢動運動とを有する。
【0016】
[0022]ラッチ部材38の第1の範囲の枢動運動が図6A図6Fに示される。ラッチ部材38は、ラッチ枢動軸41の回りのラッチ部材の手動枢動を容易にするハンドルまたはステム39を含む。ラッチ部材38は、キーホール部分64につながる通路面62を有するスロット60を更に含む。ラッチ部材38が図6Aに示す係止解除限界位置にあるとき、スロット60の通路面62は、ラッチピン42とまだ係合していない。図6Bに示すように、ラッチ部材38がラッチ枢動軸41の回りを、係止方向に枢動されるとき、スロット60の通路面62は、ラッチピンの下でラッチピン42と係合する。ラッチ部材38が係止方向に更に枢動されるとき、通路面62はラッチピン42の下に沿って図6Cに示す位置まで進み、それによってポンプ扉28に、ヒンジピン30の軸の回りを、その完全に閉じた位置まで僅かに更に枢動させる。図6Dおよび図6Eに示すように、係止方向にラッチ部材38を枢動させ続けることにより、キーホール部分64がラッチピン42に密接し、それによって、キーホール部分64は、ラッチピン42を受け入れる寸前になっている。ラッチ部材38を図6Fに示す位置まで更に枢動させることにより、キーホール部分64がラッチピン42を受け入れ、それによってポンプ扉28を輸液ポンプ10においてその閉位置に固定する。図6Fに示すラッチ部材38の位置は、ラッチ部材38の係止限界位置に対応することができ、この位置において、ラッチ部材38は、ラッチ部材とポンプ扉28との係合により、係止方向における更なる枢動運動が阻止される。係止限界位置は、第1の範囲の枢動運動の終了を定義する。図6Fに示すように、ラッチ部材が係止限界位置にあるとき、ラッチハンドル39は、ラッチハンドル39の上面39Aが実質的にポンプ扉28の上面28Aと同一平面上に有るように構成することができる。
【0017】
[0023]自由流れ防止デバイス16を作動させるためのラッチ部材38の第2の範囲の枢動運動が図6D図6Fに示される。図6Dに示すように、ラッチ部材38は、プランジャ46の湾曲した作動面47と協働するための湾曲したカム面66を含むことができる。図6Dに示すラッチ部材38の枢動位置において、湾曲したカム面66は、プランジャ46の湾曲した作動面47と接触し、それによって、ラッチ部材38の第2の範囲の枢動運動の開始を定義する。ラッチ部材38が、ラッチ枢動軸41の回りを図6Eに示す位置まで係止方向に更に枢動されるとき、湾曲したカム面66と湾曲した作動面47との係合が、ばね48の付勢に対抗して、プランジャ46を本体44に対し下方に変位させ始める。ラッチ部材38を係止方向に図6Fに示す位置まで枢動させ続けることにより、プランジャ46の管材通路54と本体44の管材案内路50とが実質的に互いに位置合わせされるまで、ばね48の付勢に対抗してプランジャ46の更なる変位が生じる。結果として、管材セグメント15は、挟持を解除され、ポンピングプロトコルの開始の準備において流体が管材を通って流れることが可能になる。本実施形態において、係止限界位置は、第2の範囲の枢動運動の終了を更に定義するが、ラッチ部材38が、第2の範囲の枢動運動を通じて枢動を開始する前に第1の範囲の枢動運動の少なくとも一部分を通じて枢動する限り、他の構成が可能である。第2の範囲の枢動運動の少なくとも一部分は、第1の範囲の枢動運動の一部分と重複することができる。第2の範囲の枢動運動は、ラッチ部材38が係止解除限界位置からラッチ枢動軸41の回りの所定の角度を係止方向に枢動した後に開始することができる。自由流れ防止デバイス16の作動を開始する前に扉28を完全に閉じるのを容易にするために、所定の角度が少なくとも45°である場合、有利である。例えば、本明細書に記載の実施形態では、第2の範囲の枢動運動は、ラッチ部材38が係止解除限界位置から約53°の角度を枢動された後に開始する。
【0018】
[0024]投与セット12は、図6Fに示す係止限界位置から係止方向と反対の逆枢動方向にラッチ部材38を枢動することによって輸液ポンプ10から外すことができる。理解されるように、これにより、ラッチ部材38がラッチピン42から離れる前に、管材セグメント15を挟持するばね48の付勢によって、プランジャ46が本体44に対し上方に変位されることが可能になり、それにより、ポンプ扉28が係止解除されてヒンジ軸30の回りで開放され得るときに、自由流れが生じることを阻止する。
【0019】
[0025]本開示の別の態様では、自由流れ防止の冗長性が提供される。ポンプ扉28が図7に示す閉位置にあるとき、複数の蠕動ポンピングフィンガ32のうちの少なくとも1つが、プラテン面36に対抗して管材15を挟持するように配置され、これにより、ポンピング機構が動作していない(すなわち、モーター駆動式カム34が静止している)ときに管材を通る流れを阻止する。
【0020】
[0026]本発明を例示的な実施形態に関連付けて説明してきたが、詳細な説明は、発明の範囲を示されている特定の形態に限定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲の範囲内に含まれ得るような、説明されている実施形態のそのような代替形態、変更形態、および等価物を網羅することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7