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  • 特許-改善されたマグネシウムイオン選択膜 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】改善されたマグネシウムイオン選択膜
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/333 20060101AFI20220325BHJP
   G01N 33/49 20060101ALI20220325BHJP
   G01N 27/27 20060101ALI20220325BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20220325BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
G01N27/333 331C
G01N33/49 Z
G01N27/27 C
G01N27/416 351A
C08J5/18 CER
C08J5/18 CEZ
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020160856
(22)【出願日】2020-09-25
(62)【分割の表示】P 2017559277の分割
【原出願日】2016-02-01
(65)【公開番号】P2021028633
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】62/111,293
(32)【優先日】2015-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/239,492
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】べンコ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バーグクイスト、ロバート
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0139638(US,A1)
【文献】Rudolf Eugster et al.,Plasticizers for liquid polymeric membranes of ion-selective chemical sensors, Analytica Chimica Acta,1994年,Vol.289,pp.1-13
【文献】Ursula E.Spichiger et al.,Critical parameters and optimization of a magnesium-selective liquid membrane electrode for application to human bloof serum,Fresenius J Anal Chem,1991年,Vol.341,pp.727-731
【文献】M.Rouilly et al.,Neutral Ionophore-Based Selective Electrode for Assaying the Activity of Magnesium in Undilluted Blood Serum,CLIN. CHEM.,1990年,Vol.36/3,pp.466-469,citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.594.713&rep=rep1&type=pdf
【文献】Urs Oesch et al.,Life Time of Neutral Carrier Based Ion-Selective Liquid-Membrane Electrodes,Anal. Chem.,1980年,Vol.52,pp.692-700
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
C08J 5/00-5/22
B01D 53/22,61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウムイオン選択性膜であって、
ポリマー材料と、
イオノフォアを含有し、前記イオノフォアが以下の構造式:
【化1】
で表されるトリアミド化合物を含むマグネシウム選択性材料と、
7~9の測定logP値を有する可塑剤と、
を含有し、
前記可塑剤は、ニトロフェニル基及びそこから延びる疎水性鎖を含む下の構造式
【化2】
(式中、Rは、10~14の炭素を有する直鎖アルキル基又は12-(4-エチル-フェニル)-ドデシル基を含む)
で表される化合物を含み
前記マグネシウムイオン選択性膜が、カルシウムに対してマグネシウム選択性を有する、マグネシウムイオン選択性膜。
【請求項2】
前記ポリマー材料がポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、酢酸ビニル及び上記の任意のものの共重合体からなる群から選ばれるものを含有してなる、請求項1に記載のマグネシウムイオン選択性膜。
【請求項3】
前記可塑剤が8の測定logP値を有する、請求項1又は2に記載のマグネシウムイオン選択性膜。
【請求項4】
前記マグネシウム選択性材料がイオン交換材料を含有してなる、請求項1~3のいずれか1項に記載のマグネシウムイオン選択性膜。
【請求項5】
前記イオン交換材料がテトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウムを含有してなる、請求項4に記載のマグネシウムイオン選択性膜。
【請求項6】
前記可塑剤の構造式中のRが、12-(4-エチル-フェニル)-ドデシル基である、請求項1~5のいずれか1項に記載のマグネシウムイオン選択性膜。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のマグネシウムイオン選択性膜を含有してなるマグネシウムイオン選択性電極。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載のマグネシウムイオン選択性膜を含有するマグネシウムイオン選択性センサ。
【請求項9】
タンパク質含有試料中のマグネシウムの量を測定するための請求項8に記載のセンサ及び前記タンパク質含有試料中の追加の目標被検体の量を測定するための少なくとも1つの追加のセンサを含有してなるセンサアレイ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの追加のセンサが、pH、二酸化炭素分圧、酸素分圧、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、ヘマトクリット、ヘモグロビン、グルコース、乳酸エステル、ビリルビン及びCOオキシメーター分画からなる群から選ばれるものの分析のために設計されている請求項9に記載のセンサアレイ。
【請求項11】
タンパク質系試料をマグネシウムについて分析する方法であって、
マグネシウムイオン選択性膜を含有するセンサを準備し、
前記マグネシウムイオン選択性膜は、
ポリマー材料と、
イオノフォアを含有し、前記イオノフォアが以下の構造式:
【化3】
で表されるトリアミド化合物を含むマグネシウム選択性材料と、
7~9の測定logP値を有する可塑剤と、
を含有し、
前記可塑剤が、ニトロフェニル基及びそこから延びる疎水性鎖を含む以下の構造式
【化4】
(式中、Rは、10~14の炭素を有する直鎖アルキル基又は12-(4-エチル-フェニル)-ドデシル基を含む)
で表される化合物を含み
前記マグネシウムイオン選択性膜が、カルシウムに対してマグネシウム選択性を有するものであって、
前記センサにタンパク質含有試料を導入し、
前記タンパク質含有試料中のマグネシウムの存在を決定する
方法。
【請求項12】
前記タンパク質含有試料が全血を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー材料がポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、酢酸ビニル及び上記の任意のものの共重合体からなる群から選ばれるものを含む請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記可塑剤は、ETH8045とニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)とのブレンドを含む請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
更に、前記試料中の追加の被検体又はpH、二酸化炭素分圧、酸素分圧、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、ヘマトクリット、ヘモグロビン、グルコース、乳酸エステル、ビリルビン及びCOオキシメーター分画からなる群から選ばれる特性の存在を検知するための1以上の追加のセンサを準備し、前記試料中の前記追加の被検体又は前記特性の存在を検知する請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法119条(e)のもとで、2015年2月3日出願の米国仮出願No.62/111,293及び2015年10月9日出願の米国仮出願No.62/239,492の利益を主張する。上記参照特許出願の全内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、診断検査の分野、より詳細には、臨床用途において使用するための改善されたマグネシウム(Mg2+)選択膜に関する。膜を始めとするセンサは、マグネシウムイオンに対する優れた選択性及び全血のようなタンパク質系マトリクスにおいて適切な使用寿命の両方を示す。
【背景技術】
【0003】
ポイントオブケア検査とは、一般に、救急治療室のような患者ケアの場所又はその近くにおける医療用検査を指す。そのような検査の所望の成果は、患者ケアにおける次の行動の道筋を決定するための迅速で精確な分析結果である。ポイントオブケア又は「救命救急」分析者は、数多くの被検体について立て続けに分析結果を提供する。これらの機器の数多くには、それぞれ、センサを通り過ぎる試料中の特別の目標被検体/特性を検出するための多数の異なるセンサが配置されたディスポーザブルカートリッジが用いられている。センサは、例えば、pH、二酸化炭素分圧(pCO)、酸素分圧(pO)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、塩素化物イオン(Cl)、ヘマトクリット(Hct)、ヘモグロビン(Hb)、グルコース、乳酸エステル、ビリルビン、CO-オキシメーター分画(fOHb、fCOHb、fMetHb、fHHb)等の検出及び/又は測定に適切なものでありうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7384523号明細書
【文献】米国特許第6767450号明細書
【文献】米国特許第5102527号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0158536号明細書
【文献】国際公開公報第2014/092543A1号パンフレット
【非特許文献】
【0005】
【文献】W.Zhang、Am.J.Biomed.Sci.2011,3(4),301-312
【文献】R.Eugsterら、Plasticizers for liquid polymeric membranes of ion-selective chemical sensors、Analytica Chimica Acta 289(1994)1-13
【文献】Philippe Buehlmann及びLi D.Chen、Supramolecular Chemistry:From Molecules to Nanomaterials.Ion-Selective Electrodes With Ionophore-Doped Sensing Membranes、2012 John Wiley&Sons,Ltd.
【文献】U.Oesch及びW.Simon、Anal.Chem.,52(1980)692
【文献】U.E.O.Dintenら、Anal.Chem.,63(1991)596
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マグネシウムセンサ、例えば電位差イオン化マグネシウム(iMg)センサ、が知られているが、臨床設定における使用は限られている。1つの理由としては、臨床用の既知のマグネシウムセンサは、タンパク質系マトリクスにおける他のカチオンに対するマグネシウムの選択性が十分ではない。更に、臨床用のiMgセンサは、センサパネルを頻繁に(例えば、毎日)交換することなく、その使用寿命に亘って一貫した性能を示さなければならない。例えば、可塑剤等の材料のマグネシウムセンサからの浸出は、保存寿命を短くする。
【0007】
このセンサの不安定性及び乏しい選択性のもう1つの主たる原因は、センサのイオノフォアによって供給される他のカチオンよりも大きいMg2+の動力学的結合反応速度及びマグネシウムカチオンの高い水性脱溶媒和エネルギである。利用可能なイオノフォアは多いが、殆どのものは、理想条件下でさえカルシウムに対して10:1のオーダーでしか差別化できない。臨床診断条件下では、タンパク質系マトリクスによって、マグネシウム検出に難題及び変数が提供されるので、更に、差別化が困難になる。例えば、既知のセンサについて、差別化は1:1のオーダーであるが、臨床設定に必要とされる差別化は、ほぼ100:1である(非特許文献1)。この必要性から、他のカチオンとの干渉を是正するために計量化学技法の使用が必要とされる。化学計量技法は、有用であるけれど、そのような手法では、実際の臨床用途において欠くことのできない血液のようなタンパク質系マトリクスにおける長期安定性又は感度を改善することができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、臨床用のマグネシウム選択膜の調製にタンパク質系マトリクスと共に使用される可塑剤(又は可塑剤の混合物)の親油性がタンパク質系マトリクスにおけるマグネシウムに対する膜の感度に逆比例し、その使用寿命に正比例することを見出した。タンパク質系マトリクスにおけるマグネシウムの感度は、イオン化マグネシウム濃度の関数としてのセンサ出力の勾配として定義され、この勾配は、イオン化マグネシウム濃度の対数における変化に対するセンサ電圧出力の変化の指標である。マグネシウムイオン選択膜の性能を改善しようとする従来の試みにより、入手可能な殆どの親油性可塑剤により、最善の選択性、及び、従って、タンパク質系マトリクスにおけるマグネシウムに対する最善の感度が、最長の使用寿命と共に与えられることが示唆されてきた(非特許文献2)。従来の思考とは対照的に、本発明者らは、可塑剤についてlogPの値が増加すると、マグネシウムに対する感度が減少し、一方、使用寿命が改善されたマグネシウムイオン選択膜が得られることを見出した。即ち、本発明者らは、臨床用のマグネシウムイオン選択膜の最適の性能は、可塑剤を注意深く選択することによってより良く理解し制御することができ、選択性、タンパク質系マトリクス中のマグネシウムの感度及びそのlogP値に基づく使用寿命の間のバランスを改善できることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、個別の膜及びブレンドした膜のMgについての全血感度を、logPの計算値に対してプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一側面によれば、ポリマー材料、マグネシウム選択性材料及び測定logP値が5.8超、12.8未満の可塑剤の混合物を含有してなるマグネシウムイオン選択膜が提供される
【0011】
本発明のもう1つの側面によれば、ポリマー材料、マグネシウム選択性材料及び測定logP値が5.8超、12.8未満の可塑剤の混合物を含有してなるマグネシウムイオン選択膜を含有するマグネシウムイオン選択センサが提供される。
【0012】
本発明のもう1つの側面によれば、ポリマー材料、マグネシウム選択性材料及び可塑剤の混合物を含有してなるセンサを準備することを含むタンパク質系試料をマグネシウムに関して分析する方法であって、前記可塑剤が5.8超、12.8未満の測定logP値を有する方法が記載される。その方法は、更に、タンパク質含有試料をセンサに導入することを含む。1つの実施態様では、タンパク質系試料は、全血である。
【0013】
本明細書において、用語「約」は、記載された数値の±10%である値をいう。
【0014】
本明細書において、用語「logP」は、平衡状態にある2つの混合不可能な相(例えば水と1-オクタノール)の混合物中の化合物の濃度比の指標をいう。
【0015】
本明細書において、用語「被験体」は、任意のヒト又はヒトでない哺乳動物をいう。
【0016】
マグネシウムイオン選択膜の性能は、そのMg2+に対する選択性及びその使用寿命に関して、それが曝露されるマトリクスにより少なくとも部分的に影響される。従って、文献により報告された水性環境における膜の特性は、血液のようなタンパク質含有マトリクスについての同じ膜の性能とは著しく異なることがあり得る。
【0017】
本明細書で記述するマグネシウムイオン選択膜の種々の実施態様は、当技術分野でよく知られている適切なイオン選択電極及び/又はセンサに、任意の適切な形態で、導入することができる。ある実施態様では、膜は、マグネシウムを検出するための装置に、層として、ポリマー層、電極層、導体層及び/又は変換器層と共に、基板上に設けられてもよい。マグネシウムイオン選択膜を導入することができる例示的構造は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5に開示されている。
【0018】
膜に導入すべき試料は、一定量のマグネシウムを有すると推測されるものであれば、いかなる試料でもよい。ある実施態様では、試料は、被験体から当技術分野で知られている任意の適切な方法又は装置で収集された生物学的流体を含有してなる。限定するものではないが、生物学的試料は、尿、全血、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、鼻咽頭スワブ、膣スワブ、涙、組織等の任意の1つを含有し又はそれから誘導されてよい。試料は、更に、特別の型の試料に必要な又は要求される任意の適切な緩衝剤、希釈剤等を含有していてよい。
【0019】
特別な実施態様では、試料は、血液試料を含有してなり、これは、血漿及び全血球を含有してなる全血試料;血漿試料;又は血清試料であってよい。試料が全血試料である場合、該全血試料は、白血球、赤血球、血小板等を含有していてもよい。他の実施態様では、血液試料は、遠心分離又は市販の多孔膜等の既知の方法及び装置を用いて複数の全血球を除去処理された血漿試料を含有していてよい。
【0020】
電極又は電極層は、当技術分野で公知の任意の適切な材料を含有していてよい。限定するわけではないが、電極又は電極層は、銀、銀/塩化銀、銅、チタン、クロム、金、白金
、パラジウム、パラジウム/銀、白金黒、白金黒/パラジウム、白金酸化物、イリジウム、イリジウム二酸化物、及びこれらの組み合わせを含有していてもよい。
【0021】
1つの実施態様では、マグネシウムイオン選択膜は、ポリマー、1以上の可塑剤(以後、「可塑剤」という。)及びマグネシウム選択性材料を含有してなる。ポリマーは、任意の適切な不活性で相対的に安定な材料を含有していてよい。膜内において使用するポリマー材料の例は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン若しくはポリビニル材料又はこれらの共重合体を含む。
【0022】
一側面では、ポリマー及び可塑剤は、マグネシウム選択性材料と混合されてマグネシウムに対する選択性を有する膜を提供する。マグネシウム選択性材料は、イオノフォア、イオン交換材料又はこれらの組合せを含有していてよい。1つの実施態様では、可塑剤は、ポリマー及び試料中のイオン化マグネシウムに対して選択的に結合するための官能基を有するイオノフォアと混合される。もう1つの実施態様では、マグネシウム選択層は、ポリマー、可塑剤、ポリマー及び/又は可塑剤に添加されたイオン交換体の混合物を含有してなり、マグネシウムに対する必要な選択性を提供する。例えば、イオン交換体は、可塑剤中に溶解されるか又は可塑剤と混合される。
【0023】
もし存在するならば、膜と共に使用するイオノフォアは、任意の適切な材料を含有していてよい。1つの実施態様では、イオノフォアは、下記及び非特許文献3(その全体を参照により本明細書に組み入れる。)に示されたようなトリアミド化合物を含有してなる。
【化1】
【0024】
更にもう1つの実施態様では、イオノフォアは、非特許文献3に開示された以下の化合物を含有していてもよい。
【化2】
【0025】
もし存在するならば、イオン交換材料は、任意の適切な材料を含有していてよい。1つの実施態様では、イオン交換材料は、当技術分野で公知の親油性イオン交換塩を含有してなる。例えば、特別な実施態様において、イオン交換材料は、テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウムを含有してなる。
【0026】
本発明者らは、マグネシウムイオン選択膜の構成に用いられる可塑剤のlogPが使用寿命及びタンパク質系マトリクス中のMg2+に対する感度に対して、当技術分野で従来認識されていたよりも、遥かに大きく異なる影響を与えることを見出した。上述のように
、伝統的な知識によれば、当業者は、マグネシウムセンサにおける選択性及び使用寿命について、より高いlogPを有する可塑剤を選定することになる。しかしながら、本発明者らは、使用する可塑剤の親油性が、実際には、タンパク質系試料についてここで記述する膜の使用寿命及び選択性に反比例することを見出した。本発明者らは、また、可塑剤の親油性が本明細書に記述する膜を導入したセンサの使用寿命に正比例することを確認した。1つの実施態様において、「使用寿命」とは、28日間のような期間に亘って再現性のある結果を与えるセンサの能力をいう。或る実施態様では、「使用寿命」は、可塑剤がセンサから浸出する程度に、少なくとも部分的に支配される。
【0027】
上述の記載に鑑みると、文献が教示するような高度に親油性の可塑剤を選択することは、実際には、所望の使用寿命が得られるとしても、感度を低下させる。従って、マグネシウムに対するセンサの高選択性に対する必要性と臨床応用における十分な使用寿命とをバランスさせるアプローチが必要となる。本発明者らの知識によれば、十分な選択性、タンパク質マトリクスにおける感度、及び臨床設定における使用寿命に対する要求をバランスさせるために、個々の可塑剤又は複数の可塑剤のブレンドについてのlogP値の最適化が重要であるとは、今日まで、認識されてこなかった。というのは、logP値、選択性、感度及び使用寿命の間の関連がタンパク質含有マトリクスについて十分には理解されていなかったからである。
【0028】
可塑剤は、或る実施態様では、約5.8~約12.8、特別な実施態様では約7.0~約9.0、特異的な実施態様では約8.0の測定logP値を有する。12.8より大きい測定logP値を有する可塑剤は、臨床用途には一般的に不十分なマグネシウム感度しか有しないセンサ10を与える。他方、もし可塑剤が5.8未満の測定logP値を有するならば、血液試料(例えば、全血)中のマグネシウムに対する層16の感度は、臨床用途には十分であるが、使用寿命が短くされており、センサの多日間使用には不適である。
【0029】
可塑剤は、1以上の市販の又は合成された可塑剤を、所望のlogP(約5.8~約12.8の測定logP値)を有する膜を提供するのに効果的な量で、含有していてもよい。一側面では、可塑剤は、1以上の市販可塑剤からなっていてもよい。市販の可塑剤の例は、これらに限られないが、ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)又は当技術分野で知られているように、ETH番号で呼ばれている、例えばETH217(1-ドデシルオキシ-2-ニトロベンゼン)のような、任意の適切な化合物を含む。他のETH化合物の例としては、これらに限られないが、ETH220、264、2041、2480、2481,2485、3832、4190、4302、4305、4306、4314、4315、4332、4354、4358、5367、5372、5373、5382、5389、5392、5401、5406、5504、5506、7025、7132、8028、8030、8031、8032、8033、8034、8035、8036、8037、8045、8050、8053、8055、8057、8059、8063、8064、8065及びこれらの組合せが挙げられる。多数のこれらの例示可塑剤、その他の可塑剤及びそれらの調製は、非特許文献及び非特許文献に記載されていている。これらの各々の全体を参照により、本明細書に組み入れる。
【0030】
本発明のもう1つの側面によれば、選択された可塑剤は、マグネシウムイオン選択膜における使用のための所望のlogP値を有するように合成してもよい。即ち、可塑剤は、市場から入手不可能な合成可塑剤を、含有し又は市販の可塑剤とのブレンドで含有してもよい。或る実施態様では、合成可塑剤は、ニトロフェニル基及びそれから伸びるアルキルエーテル又はフェニルエーテルのような疎水性鎖を含有していてもよい。特別な実施態様では、可塑剤は、下記のような化合物を含有していてもよい。
【化3】


ニトロフェニルデシルエーテル(NPDE)
【化4】


ニトロフェニルウンデシルエーテル(NPUDE)
【0031】
或る実施態様では、可塑剤は、非特許文献及び非特許文献に開示されている1以上の方法に従って合成してもよい。
【0032】
任意の可塑剤(個々の可塑剤又はブレンド)のlogP値の測定は、薄層クロマトグラフィーのような当技術分野で公知の方法によって行なわれる。例示的な測定プロセスは、非特許文献及びに開示されており、これらの全体を参照により本明細書に組み入れる。或いは、この目的のために、任意の個々の可塑剤又は可塑剤のブレンドのlogP値を当技術分野で公知の方法、例えばAdvanced Chemistry Development,Inc.(ACD)から入手可能なソフトウエア、により計算してもよい。
【0033】
もう1つの実施態様によれば、最初にブレンドを調製し、個々の可塑剤を得、及び/又はセンサを調製することなく、可塑剤のlogPを既知の文献ソースから計算して、膜及びセンサの結合についての突出した性能プロファイルを提供してもよい。或る実施態様では、1以上の可塑剤は、約5.0~約13.0、特別の実施態様では約5.0~約10.0、約7.0~約9.0、又は約8.0のlogP計算値を有する。
【0034】
1つの実施態様では、可塑剤が2以上の材料のブレンドからなるとき、可塑剤のブレンドのlogP値は、下式(I)により、logP小区分データの合計から決定してもよい。
logP=(logP×X)+(logP×X) (I)
(式中、Xは、可塑剤の重量分率である。)
追加の可塑剤、例えば、(logP×X)、(logP×X)等を式に追加することができることが認識されている。
【0035】
上記式で使用される値は、測定logP値でも、本明細書に記述した文献から得られた又は適切なソフトウエアから計算された値でもよい。
【0036】
例示として、特別の実施態様において、可塑剤は、ETH8045とNPOEとの50:50~66:34の比のブレンドからなる。ETH8045は、10の計算logP値を有し、NPOEは、5.5の計算logP値を有する。これから、下式(II)及び(III)に示すように、部分(ブレンドされた)合計logP値が得られる。
ETH8045/NPOEの50:50ブレンドについて
logP=(10×0.5)+(5.5×0.5)=7.75 (II)
ETH8045/NPOEの66:34ブレンドについて
logP=(10×0.66)+(5.5×0.34)=8.47 (III
【0037】
従って、ブレンドにより、種々の可塑剤それぞれから得られるlogP値の間のlogP値が得られる。また、ブレンドにより、マグネシウムのための膜の使用寿命と感度との間のバランスを効果的に達成するlogP値を得ることができる。実際の測定logP値は、測定法及び計算法に因り文献から計算された値とは異なり得ることが認識される。
【0038】
本明細書に記載するマグネシウムイオン選択膜を含有してなるマグネシウム選択センサは、当技術分野で知られているように、1以上の追加の被検体の検出のための複数の追加のセンサを採用するカートリッジ内に導入されてもよい。追加のセンサは、例えば、pH、二酸化炭素分圧(pCO)、酸素分圧(pO)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、塩素化物イオン(Cl)、ヘマトクリット(Hct)、ヘモグロビン(Hb)、グルコース、乳酸エステル、ビリルビン、CO-オキシメーター分画(fOHb、fCOHb、fMetHb、fHHb)等の検出に適切なものであってよい。
【0039】
更に、本明細書で記載したセンサは、当技術分野で知られているようなカートリッジに導入されてもよく、ポイントオブケア器具内で使用されてもよい。例示的なポイントオブケア器具、例えば血中ガス分析器、は、シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティクス社から入手可能であり、現在、RAPIDLab 1200、RapidLab 348EX、RAPIDPoint 500、RAPIDLab 248/348、RAPIDPoint 400/405及びRAPIDPoint 340/350 システムの商標名で販売されている。
【0040】
本明細書に記載したセンサは、全血のような、タンパク質系マトリクス中のマグネシウムイオン濃度の測定に有用である。マグネシウムの異常な濃度は、腎疾患、高血圧、子癇前症、糖尿病、及びその他の病的状態に結びついている。非特許文献を参照せよ。かくして、本明細書に開示した装置、システム及びプロセスは、これらの病的状態の同定及び処置を有利に改善することができる。
【0041】
本発明の一側面によれば、タンパク質系試料について、試料中のマグネシウムの存在を分析するプロセスが記述される。この方法は、タンパク質含有試料を本明細書に記載のマグネシウム選択膜に接触させることを含む。一実施態様において、マグネシウムイオン選択膜は、ポリマー、マグネシウム選択材料及び5.8超、12.8未満の測定logP値を有する可塑剤の混合物を含有してなる。この方法は、更に、接触後の試料中のマグネシウムの存在を決定することを含む。
【0042】
前記測定は、当業者であればよく理解できるであろう公知の標準及び対照の使用により、定性的、半定性的又は定量的に行なうことができる。例えば、当技術分野でよく知られているように、結果を、所定の濃度を有する複数の標準試料から求められた較正曲線の値と比較してもよい。測定値は、上述の医学的判断レベルのような所定の閾値と比較してもよい。
【0043】
これらの目的を達成するために、センサは、システムの一部であってよく、システムは、膜(及びもし提供されるならば追加のセンサ)を導入したセンサからのデータを受け取り、データから少なくとも1つの結果を決定するように設計された1以上のモジュールを含有してなる計算ユニットを含有していてもよい。計算ユニットは、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、工業用コントローラ、プログラマブルロジックコントローラ、ディスクリート論理回路又は他の適切な制御装置を含有する専用のコンピュータを含有していてよい。或る実施態様では、計算ユニットは、更に、1以上のインプットチ
ャネル、メモリ及びアウトプットチャネルを有していてよい。メモリは、コンピュータ可読媒体又は記憶装置、例えば、フロッピディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)等を含有してよい。或る実施態様では、計算ユニットは、方法の如何なる側面をも実行するための又は本明細書で記載した部品のあらゆる側面をも制御するコンピュータ可読命令を含有していてもよい。
【0044】
以下に、実施例を示す。しかしながら、本明細書の記述は、その適用において、特定の実験、結果及び実験手順に限定されないことを理解すべきである。むしろ、実施例は、単に、種々の実施態様の1つとして提供されるのであり、例示的なものであって、網羅的なものではない。
【実施例
【0045】
(実施例1)
[全血感度と可塑剤との相関]
混合された可塑剤を有する複数のセンサを以下のように調製した。
一連の可塑剤、ポリ塩化ビニル、マグネシウムイオノフォア及び親油性イオン交換塩を用いて、膜配合物を準備した。材料は、10%の固形分比で適切な有機溶媒に溶解した。溶液をセンサ基板上に堆積し、溶媒を蒸発させて膜を形成させた。配合物は、カルシウムに対して最高のマグネシウム選択性(一般に1:1より大きかった)を有する膜を生成するように最適化した。配合物は、単一の可塑剤を有しているか又は中間のlogP計算値を有する膜を生じる2つの可塑剤のブレンドを有していた。
【0046】
表1は、試験した可塑剤、選択性文献値、logP計算値及びそれらに対応するマグネシウム感度勾配(mV/dec)を示す。このデータを図1にプロットした。
【表1】

【0047】
図1は、それぞれ単一の可塑剤及びブレンドした可塑剤で調製した複数のセンサについて、logP又はブレンドのlogPの部分合計に対するMg2+についての全血勾配(mV/dec)を示すグラフである。図1に表わされているように、驚くべきことに、これらの結果から、logP値が増加するにつれて、対照的に選択性はlogPと共に増加するけれども、マグネシウムに対する感度が対応して減少していることが示される。感度が低くなるほど、誤差が大きくなり測定がより精確ではなくなる。臨床及び分析診断の当
業者にとって、患者にとって最良の結果を生じるには、可能な限り最高の感度を有することが決定的に重要であることが理解できるであろう。膜中の可塑剤をブレンドすることにより、単一の可塑剤で構成した膜と同じ挙動を示す中間のlogP値が達成できる。
【0048】
(実施例2)
NPOE又はETH217をポリ塩化ビニル、マグネシウムイオノフォア及び親油性イオン交換塩を用いて、膜配合物を調製した。材料を固形分比10%で適切な有機溶媒に溶解した。溶液をセンサ基板上に堆積し溶媒を蒸発させて膜を形成させた。配合物は、カルシウムに対するマグネシウム選択性が得られる限り最良となるように、最適化され、全般的に少なくとも1:1より大きかった。
【0049】
センサをRAPIDPointシステム(シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティクス社から入手可能)に導入し、25日以上に亘って試験した。この間、センサは、マグネシウム含有試薬で較正し、営業日当たり約10の全血試料に曝露した。更に、マグネシウム含有品質制御溶液を、毎日少なくとも1回、25日に亘って、運転した。試験後、センサ基板から膜を除去し、残存する可塑剤の量を、UPLCで測定し、経時的に失われた可塑剤の量を計算した。表2は経時的に失われた可塑剤の量を表わし、NPOEを配合した膜がその含有量の50%以上を失ったことを示す。
【0050】
可塑剤の損失は、センサの性能に負の影響を与える。これは、多くのやり方で、例えば、使用寿命に亘る品質制御溶液の精確さで、測定することができる。表3は、試験の少なくとも25日間に亘る0.7mMマグネシウム品質制御溶液の全変動係数(CV)の平均を示す。より多く抽出され得るNPOEを用いて配合されたセンサは、より高いCVを示し、従って、臨床的及び分析的に、より高いlogPを有する可塑剤を用いて配合されたセンサよりも劣ることが分かる。
【表3】
【0051】
本発明の種々の実施態様を示し記載してきたが、そのような実施態様が例示のためだけに提供されていることは明らかであろう。ここに開示した本発明から離れることなく、多数の変動、変化及び置換が、可能である。従って、本発明は添付の請求項の精神及び範囲によってのみ限定される。
【0052】
以下に、上に開示した本発明の概念の例示的実施態様の非制限的なリストである。
【0053】
1.ポリマー材料、マグネシウム選択性材料及び約5.8超、約12.8未満の測定logP値を有する可塑剤を含有してなるマグネシウムイオン選択性膜。
【0054】
2.前記ポリマー材料がポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニル材料、酢酸ビニル及び
上記の任意のものの共重合体からなる群から選ばれるものを含有してなる、請求項1に記載の膜。
【0055】
3.前記可塑剤が2以上の可塑剤のブレンドである、例示的実施態様1~2のいずれかに記載の膜。
【0056】
4.前記可塑剤のブレンドが、ETH8045及びニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)のブレンドである、例示的実施態様3に記載の膜。
【0057】
5.ETH8045のNPOEに対する比率が約50:50~約66:34である、例示的実施態様4に記載の膜。
【0058】
6.前記可塑剤が約7~約9の測定logP値を有する、例示的実施態様1~5のいずれか1項に記載の膜。
【0059】
7.前記可塑剤が約8の測定logP値を有する、例示的実施態様6に記載の膜。
【0060】
8.前記マグネシウム選択性材料が1つのイオノフォア、複数のイオノフォア、1以上のイオン交換材料及びこれらの組合せからなる群から選ばれる1つを含有してなる、例示的実施態様1~7のいずれか1項に記載の膜。
【0061】
9.前記マグネシウム選択性材料がイオン交換材料を含有してなる、例示的実施態様1~8のいずれか1項に記載の膜。
【0062】
10.前記イオン選択性材料が親油性イオン交換塩を含有してなる、例示的実施態様9に記載の膜。
【0063】
11.前記イオン選択性材料がテトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウムを含有してなる、例示的実施態様9に記載の膜。
【0064】
12.前記マグネシウム選択性材料がイオノフォアを含有してなる、例示的実施態様1~8のいずれか1項に記載の膜。
【0065】
13.前記イオノフォアが、トリアミド化合物を含有してなる例示的実施態様12に記載の膜。
【0066】
14.更に、有機溶媒をも含有してなる、例示的実施態様1~13のいずれか1項に記載の膜。
【0067】
15.例示的実施態様1~14のいずれか1項に記載の膜を含有してなるマグネシウムイオン選択性電極。
【0068】
16.例示的実施態様1~14のいずれか1項に記載の膜を含有してなるマグネシウムイオン選択性センサ。
【0069】
17.タンパク質含有試料中のマグネシウムの量を測定するための請求項15又は16のいずれかに記載のセンサ;及び前記タンパク質含有試料中の追加の目標被検体の量を測定するための少なくとも1つの追加のセンサを含有してなるセンサアレイ。
【0070】
18.前記少なくとも1つの追加のセンサが、pH、二酸化炭素分圧、酸素分圧、ナト
リウム、カリウム、カルシウム、塩化物、ヘマトクリット、ヘモグロビン、グルコース、乳酸エステル、ビリルビン及びCOオキシメーター分画からなる群から選ばれるものの分析のために設計されている、例示的実施態様17に記載のアレイ。
【0071】
19.例示的実施態様16のセンサを含有してなるポイントオブケア分析器。
【0072】
20.例示的実施態様17のアレイを含有してなるポイントオブケア分析器。
【0073】
21.ポリマー材料;マグネシウム選択性材料;及びNPOEのlogP値より大きいがETH8045のそれより小さいlogP値を有する可塑剤を含有してなるマグネシウムイオン選択性膜。
【0074】
22.前記ポリマー材料がポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニル材料、酢酸ビニル及び上記の任意のものの共重合体からなる群から選ばれるものを含有してなる、例示的実施態様21に記載の膜。
【0075】
23.前記可塑剤が2以上の可塑剤のブレンドを含有してなる、例示的実施態様21又は22のいずれか1項に記載の膜。
【0076】
24.前記可塑剤のブレンドがETH8045とニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)とのブレンドを含有してなる、例示的実施態様21に記載の膜。
【0077】
25.NPOEに対するETH8045の比が約50:50~約66:34である例示的実施態様24の膜。
【0078】
26.前記可塑剤が約5.0~約13.0のlogP計算値を有する、例示的実施態様21~25のいずれか1項に記載の膜。
【0079】
27.前記可塑剤が約5.8超、約12.8未満のlogP計算値を有する、例示的実施態様21~25のいずれか1項に記載の膜。
【0080】
28.前記可塑剤が約7~約9のlogP計算値を有する、例示的実施態様27に記載の膜。
【0081】
29.前記測定logP値が薄層クロマトグラフィーによって測定される例示的実施態様27又は28のいずれか1項に記載のセンサ。
【0082】
30.前記マグネシウム選択性材料が1つ以上のイオノフォア、1以上のイオン交換材料及びこれらの組合せからなる群から選ばれる1つを含有してなる、例示的実施態様21~29のいずれか1項に記載の膜。
【0083】
31.前記マグネシウム選択性材料がイオン交換材料を含有してなる例示的実施態様30に記載の膜。
【0084】
32.前記イオン交換材料が親油性イオン交換塩を含有してなる、例示的実施態様31に記載の膜。
【0085】
33.前記イオン交換材料がテトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウムを含有してなる、例示的実施態様31に記載の膜。
【0086】
34.前記マグネシウム選択性材料がイオノフォアを含有してなる、例示的実施態様30に記載の膜。
【0087】
35.前記イオノフォアがトリアミド化合物を含有してなる、例示的実施態様34に記載の膜。
【0088】
36.更に有機溶媒をも含有してなる、例示的実施態様21~35のいずれか1項に記載の膜。
【0089】
37.例示的実施態様21~36のいずれか1項に記載の膜を含有してなるマグネシウムイオン選択電極。
【0090】
38.例示的実施態様21~36のいずれか1項に記載の膜を含有してなるマグネシウムイオン選択センサ。
【0091】
39.タンパク質含有試料中のマグネシウムの量を測定するための例示的実施態様38に記載のセンサ;及び前記タンパク質含有試料中の追加の目標被検体の量を測定するための少なくとも1つの追加のセンサを含有してなるセンサアレイ。
【0092】
40.前記少なくとも1つの追加のセンサが、pH、二酸化炭素分圧、酸素分圧、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、ヘマトクリット、ヘモグロビン、グルコース、乳酸エステル、ビリルビン及びCOオキシメーター分画からなる群から選ばれるものの分析のために設計されている、例示的実施態様39に記載のセンサ。
【0093】
41.例示的実施態様38に記載のセンサを含有してなるポイントオブケア分析器。
【0094】
42.例示的実施態様39に記載のアレイを含有してなるポイントオブケア分析器。
【0095】
43.ポリマー材料;マグネシウム選択性材料;及び5.8超、12.8未満の測定logP値を有する可塑剤を含有してなるマグネシウムイオン選択性膜を含有するセンサを準備し、前記センサにタンパク質含有試料を導入し、そして、前記接触後の試料中のマグネシウムの存在を決定することからなる、タンパク質系試料をマグネシウムについて分析する方法。
【0096】
44.前記タンパク質含有試料が全血を含有してなる例示的実施態様43に記載の方法。
【0097】
45.前記ポリマー材料がポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニル材料、酢酸ビニル及び上記の任意のものの共重合体からなる群から選ばれるものを含有してなる例示的実施態様43~44のいずれか1項に記載の方法。
【0098】
46.前記可塑剤が2以上の可塑剤のブレンドを含有してなる例示的実施態様43~45のいずれか1項に記載の方法。
【0099】
47.可塑剤の前記ブレンドがETH8045とニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)とのブレンドを含有してなる例示的実施態様46に記載の方法。
【0100】
48.ETH8045:NPOEの比が約50:50~66:34である例示的実施態
様47に記載の方法。
【0101】
49.前記可塑剤が約7~約9の測定logP値を有する例示的実施態様43~48のいずれか1項に記載の方法。
【0102】
50.更に、前記試料中の追加の被検体又はpH、二酸化炭素分圧、酸素分圧、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、ヘマトクリット、ヘモグロビン、グルコース、乳酸エステル、ビリルビン及びCOオキシメーター分画からなる群から選ばれる特性の存在を検知するための1以上の追加のセンサを準備し、前記試料中の前記追加の被検体又は特性の存在を検知する例示的実施態様43~49のいずれか1項に記載の方法。
【0103】
50.タンパク質含有試料を例示的実施態様1~14及び21~36のいずれか1項に記載の膜を含有してなるセンサに接触させ、接触後の前記試料中のマグネシウムの存在を決定することからなるタンパク質系試料をマグネシウムについて分析する方法。
【0104】
51.前記タンパク質に基づく試料が全血を含有してなる例示的実施態様50に記載の方法。
【0105】
52.更に、前記試料中の追加の被検体又はpH、二酸化炭素分圧、酸素分圧、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、ヘマトクリット、ヘモグロビン、グルコース、乳酸エステル、ビリルビン及びCOオキシメーター分画からなる群から選ばれる特性の存在を検知するための1以上の追加のセンサを準備し、前記試料中の前記追加の被検体又は特性の存在を検知する例示的実施態様50~51のいずれ1項に記載の方法。
図1