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特許7046178白色光LEDパッケージ構造及び白色光源システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】白色光LEDパッケージ構造及び白色光源システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20220325BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20220325BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20220325BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20220325BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220325BHJP
   F21Y 113/17 20160101ALN20220325BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220325BHJP
【FI】
H01L33/50
F21V9/32
F21V9/38
F21V9/08 200
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21Y113:17
F21Y115:10 500
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020526212
(86)(22)【出願日】2018-11-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2018116768
(87)【国際公開番号】W WO2019120026
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-07-07
(31)【優先権主張番号】201711397732.9
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518281982
【氏名又は名称】廈門市三安光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】XIAMEN SAN’AN OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】5F., Zonghe Bldg., No.1721, Luling Rd., Siming Dist. Xiamen, Fujian 361009, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 平
(72)【発明者】
【氏名】▲時▼ ▲軍▼朋
(72)【発明者】
【氏名】黄 森▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】林 振端
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲順▼意
(72)【発明者】
【氏名】徐 宸科
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-079924(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0170370(US,A1)
【文献】特開2013-214735(JP,A)
【文献】特開2007-258202(JP,A)
【文献】特開2017-011098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、LEDチップと、波長変換材料層と、を備えた白色光LEDパッケージ構造であって、少なくとも2種類の波長のLEDチップにおける第1種類のLEDチップのピーク波長が385~425nmの間にあり、第2種類のチップのピーク波長が第1種類のLEDチップのピーク波長より長くなっており、前記波長変換材料層の放出スペクトルピーク波長は440~700nmの間にあり、前記波長変換材料層は前記LEDチップにより射出される光を吸収して白色光を放出し、
前記白色光の発光スペクトルをP(λ)とし、前記白色光と同じ色温度を持つ黒体放射の発光スペクトルをB(λ)とし、cosθで白色光LEDのスペクトルと黒体放射スペクトルとの相似程度を表すと、380~780nmの範囲内において、白色光は以下の式を満足することを特徴とする白色光LEDパッケージ構造。
【数11】
【請求項2】
基板と、LEDチップと、波長変換材料層と、を備えた白色光LEDパッケージ構造であって、少なくとも2種類の波長のLEDチップにおける第1種類のLEDチップのピーク波長が385~425nmの間にあり、第2種類のチップのピーク波長が第1種類のLEDチップのピーク波長より長くなっており、前記波長変換材料層は少なくとも2種類の波長変換材料を有し、そのうち1種類の波長変換材料は該第1種類のLEDチップにより励起され、放出スペクトルピーク波長が440~600nmの間にあり、他の1種類の波長変換材料は該第2種類のLEDチップにより励起され、放出スペクトルピーク波長が500~700nmの間にあり、
前記白色光の発光スペクトルをP(λ)とし、前記白色光と同じ色温度を持つ黒体放射の発光スペクトルをB(λ)とし、cosθで白色光LEDのスペクトルと黒体放射スペクトルとの相似程度を表すと、380~780nmの範囲内において、白色光は以下の式を満足することを特徴とする白色光LEDパッケージ構造。
【数12】
【請求項3】
前記白色光の発光スペクトルをP(λ)とし、前記白色光と同じ色温度を持つ黒体放射の発光スペクトルをB(λ)とし、cosαで白色光LEDのスペクトルと黒体放射スペクトルとの相似程度を表すと、510~610nmの範囲内において、白色光は以下の式を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【数13】
【請求項4】
前記白色光の発光スペクトルをP(λ)とし、前記白色光と同じ色温度を持つ黒体放射の発光スペクトルをB(λ)とし、380~780nmの範囲内における光の強さの最大値をP(λmax)とし、380~780nmの範囲内における黒体放射の光の強さの最大値をB(λmax)とし、白色光LEDのスペクトルと黒体放射のスペクトルとの差をD(λ)で表すと、510~610nmの範囲内において、白色光は以下の式を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【数14】
-0.15<D(λ)<0.15
【請求項5】
前記白色光の発光スペクトルをP(λ)とし、前記白色光と同じ色温度を持つ黒体放射の発光スペクトルをB(λ)とし、白色光LEDのスペクトルと黒体放射のスペクトルとの差をD(λ)で表すと、400~500nmの範囲内において、白色光は以下の式を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【数15】
-0.25<D(λ)<0.25
【請求項6】
前記第2種類のLEDチップのピーク波長は440~460nmの間にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【請求項7】
ピーク波長が550~570nmの間にある第3種類のLEDチップを更に有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【請求項8】
前記波長変換材料層は、少なくとも2種類の励起放出スペクトルピーク波長の蛍光パウダーを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【請求項9】
前記波長変換材料層は、励起スペクトルピーク波長が400~425nm及び425~460nmの2種類、又は400~425nm、425~460nmの2種類及び他の種類の蛍光パウダーを有することを特徴とする請求項8に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【請求項10】
前記波長変換材料層は、少なくとも第1種類、第2種類、第3種類の異なる放出スペクトルピーク波長の蛍光パウダーを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【請求項11】
前記波長変換材料層は、放出スペクトルピーク波長が、450~500nm、500~600nm及び600~700nmの3種類、又は450~500nm、500~600nm、600~700nmの3種類及び他の種類の蛍光パウダーを有することを特徴とする請求項10に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【請求項12】
前記波長変換材料層の励起スペクトルの波長範囲は比較的に狭く、前記波長範囲の幅は30~80nmの間にあることを特徴とする請求項1に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【請求項13】
前記波長変換材料層の第1種類のLEDチップのピーク波長における励起効率は70%以下であり、第2種類のLEDチップのピーク波長における励起効率は80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【請求項14】
前記少なくとも2種類の波長の波長変換材料は混ざり合っていることを特徴とする請求項2に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【請求項15】
前記少なくとも2種類の波長の波長変換材料は空間的に離れていることを特徴とする請求項2に記載の白色光LEDパッケージ構造。
【請求項16】
請求項1~請求項15のいずれか1つの請求項に記載の白色光LEDパッケージ構造を有する白色光源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体の技術分野に関し、特に、白色光LEDパッケージ構造及び白色光源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(英語略称LED)は固体半導体発光装置の一種である。現存のLED発光装置の多くは、青色光LEDで緑色、黄色、赤色の蛍光パウダーを励起して混合された白色光を得ているが、このような白色光はスペクトルが連続していないため、中には演色指数が90に満たないものもある。また、現存の青色光チップで作成した白色光LEDはブルーライトハザード(図1図2参照)が著しく、業界及び消費者における議論を引き起こしている。
【0003】
紫色光チップもしくは紫色に近い色のチップを採用してRGB3色蛍光パウダーを励起することにより、連続スペクトルを実現して太陽光のスペクトルに近い効果(図3図4参照)を得ることができる。しかし、紫色光チップに切り替えると紫色光から緑色光または赤色光までの波長の差が大きいため、ストークスロスが大きく、発光効率が低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の技術の不足を克服する白色光LEDパッケージ構造及び白色光源システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題に鑑みて、本発明は、基板と、LEDチップと、波長変換材料層と、を備えた白色光LEDパッケージ構造であって、少なくとも2種類の波長のLEDチップにおける第1種類のLEDチップのピーク波長が385~425nmの間にあり、第2種類のLEDチップのピーク波長が440~460nmの間にあり、前記波長変換材料層の放出スペクトルピーク波長は440~700nmの間にあり、前記波長変換材料層は前記LEDチップにより射出される光を吸収して白色光源を放出することを特徴とする白色光LEDパッケージ構造を提供する。
【0006】
また、本発明は、基板と、LEDチップと、波長変換材料層と、を備えた白色光LEDパッケージ構造であって、少なくとも2種類の波長のLEDチップにおける第1種類のLEDチップのピーク波長が385~425nmの間にあり、第2種類のチップのピーク波長が第1種類のLEDチップのピーク波長より長くなっており、前記波長変換材料層は少なくとも2種類の波長変換材料を有し、そのうち1種類の波長変換材料は該第1種類のLEDチップにより励起され、放出スペクトル波長が440~600nmの間にあり、他の1種類の波長変換材料は該第2種類のLEDチップにより励起され、放出スペクトル波長が500~700nmの間にあることを特徴とする白色光LEDパッケージ構造をも提供する。
【0007】
前記白色光源の発光スペクトルをP(λ)とし、前記白色光源と同じ色温度を持つ黒体放射の発光スペクトルをB(λ)とし、cosθで白色光LEDのスペクトルと黒体放射スペクトルとの相似程度を表すと、380~780nmの範囲内において、白色光源は以下の式を満足することが好ましい。
【0008】
【数1】

前記白色光源の発光スペクトルをP(λ)とし、前記白色光源と同じ色温度を持つ黒体放射の発光スペクトルをB(λ)とし、cosθで白色光LEDのスペクトルと黒体放射スペクトルとの相似程度を表すと、510~610nmの範囲内において、白色光源は以下の式を満足することが好ましい。
【0009】
【数2】
前記白色光源の発光スペクトルをP(λ)とし、前記白色光源と同じ色温度を持つ黒体放射の発光スペクトルをB(λ)とし、380~780nmの範囲内における光の強さの最大値をP(λmax)とし、380~780nmの範囲内における黒体放射の光の強さの最大値をB(λmax)とし、白色光LEDのスペクトルと黒体放射のスペクトルとの差をD(λ)で表すと、510~610nmの範囲内において、白色光源は以下の式を満足することが好ましい。
【0010】
【数3】
-0.15<D(λ)<0.15
前記白色光源の発光スペクトルをP(λ)とし、前記白色光源と同じ色温度を持つ黒体放射の発光スペクトルをB(λ)とし、白色光LEDのスペクトルと黒体放射のスペクトルとの差をD(λ)で表すと、400~500nmの範囲内において、白色光源は以下の式を満足することが好ましい。
【0011】
【数4】
-0.25<D(λ)<0.25
前記第2種類のLEDチップのピーク波長は440~460nmの間にあることが好ましい。
【0012】
ピーク波長が550~570nmの間にある第3種類のLEDチップを更に有することが好ましい。
【0013】
前記波長変換材料層は、少なくとも2種類の励起放出スペクトルピーク波長の蛍光パウダーを有することが好ましい。
【0014】
前記波長変換材料層は、励起スペクトルピーク波長が400~425nmまたは425~460nmの2種類、または他の種類の蛍光パウダーをも有することが好ましい。
【0015】
前記波長変換材料層は、少なくとも第1種類、第2種類、第3種類の異なる放出スペクトルピーク波長の蛍光パウダーを有することが好ましい。
【0016】
前記波長変換材料層は、放出スペクトルピーク波長が450~500nmまたは500~600nmまたは600~700nmの3種類、または他の種類の蛍光パウダーをも有するが好ましい。
【0017】
前記波長変換材料層の励起スペクトルは比較的に狭く、30~80nmの間にあることが好ましい。
【0018】
前記波長変換材料層の第1種類のLEDチップのピーク波長における励起効率は70%以下であり、第2種類のLEDチップのピーク波長における励起効率は80%以上であることが好ましい。
【0019】
前記いずれか1種類の波長変換材料層が放出した光が他の1種類の波長変換材料層により吸収される比率が50%以下であることが好ましい。
【0020】
前記1種類の波長変換材料層が放出した光が該波長変換材料層の放出のピーク波長にあって、他の波長変換材料層の励起効率は70%以下であることが好ましい。
【0021】
前記波長変換材料層は混ざり合っているまたは不完全に混ざり合っていることが好ましい。
前記少なくとも2種類の波長の波長変換材料層は空間的に離れていることが好ましい。
【0022】
上記の白色光LEDパッケージ構造を有する白色光源システムを提供することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
現存の技術と比べて、本発明が提供する白色光LEDパッケージ構造及び白色光源システムには、少なくとも以下の技術的効果が含まれている:
(1)紫色光チップだけのパッケージ構造と比べて、より少ないストークスロスを実現し、発光効率が従来より良い。
(2)演色性が高く、演色指数R1~R15はいずれも90を超えている。
(3)ブルーライトハザードを低減することができる。
【0024】
本発明の他の特徴及び利点については以下の明細書に説明する。また、部分的に明細書から明らかになり、または本発明を実施することにより理解されるようになる。本発明の他の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲、並びに添付の図面において特別に示された構成により実現し、獲得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付の図面は本発明に対する更なる理解を提供するため用いられたものであり、明細書を構成する一部でもあり、本発明の実施例と共に本発明を解釈するために用いられるが、本発明を制限するものではない。また、添付図面の数値は概要を描くものであり、正しくスケールに従って作成されたものではない。
図1】現在市場で主流的な白色光LEDパッケージ構造が示される説明図。
図2】主流的な白色光LEDのスペクトルと黒体放射スペクトルとの比較図。
図3】太陽光に近い白色光LEDパッケージ構造が示される説明図。
図4】太陽光に近い白色光LEDのスペクトルと黒体放射スペクトルとの比較図。
図5】実施例1の白色光LEDパッケージ構造が示される断面模式図。
図6】実施例1と比較例の発光スペクトルグラフ。
図7】実施例2の白色光LEDパッケージ構造が示される断面模式図。
図8】実施例2と比較例のD(λ)グラフ。
図9】実施例2と比較例のD(λ)グラフ。
図10】実施例3の白色光LEDパッケージ構造が示される断面模式図。
図11】実施例4の白色光LEDパッケージ構造が示される断面模式図。
図12】実施例5の白色光LEDパッケージ構造が示される断面模式図。
図13】実施例6の白色光LEDパッケージ構造が示される断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態
以下は図面を参照しながら本発明の白色光LEDパッケージ構造について詳しく説明する。本発明に関して説明する前に、特定の実施例に対して変更することが可能であるため、本発明は以下の実施例により制限されないことを理解すべきである。更に、本発明の範囲は特許請求の範囲のみにより制限されるので、以下の実施例は説明するために用いられたものに過ぎず、本発明を制限するものではないことも理解すべきである。
【0027】
他に定義があるものを除いて、本発明に関して使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の技術者が普通に理解する意味と同様の意味を持つものである。更に、本発明に関して用いられる用語は、本発明においてこのように明確に定義されたものを除いて、これらの用語がこの明細書における上下の文章及び関連する技術分野における意味と同様な意味を持つものとして解釈されるべきであり、本発明で明確に定義した場合を除いて、理想化又は正式すぎる意味で理解されるべきではない。
実施例1
図5に示されるように、本実施例が提供する白色光LEDパッケージ構造は、基板(Base)と、基板に位置するLEDチップと、LEDチップに位置する波長変換材料層と、が含まれている。LEDチップとしては紫色光チップ(Violet chip)と青色光チップ(Blue chip)とを選択し、紫色光チップの波長は385~425nmで、410~420nmが好ましい。青色光チップの波長は440~460nmで、445~460nmが好ましい。波長変換材料層は2種類の波長の波長変換材料を含むことが可能であり、そのうち1種類の波長変換材料は紫色光LEDチップにより励起され、放出スペクトル波長は440~600nmであり、他の1つの波長変換材料は青色光チップチップにより励起され、放出スペクトル波長は500~700nmであり、波長変換材料の放出スペクトルピーク波長は450~700nmの間にあり、波長変換材料層はLEDチップから射出される光を吸収して白色光源を射出する。
【0028】
具体的に言うと、前記LEDチップは基板(Base)に固定され、フリップチップと、フェイスアップ型チップと、垂直型実装チップと、高電圧チップとのいずれか1つまたはそれらの組み合わせを選択することができる。この実施例ではフリップチップが好ましく、基板(Base)は静電気及びサージ保護機能を備えた材料により作成され、ZnOまたはZnOを主体とする材料(他の金属をドープしたものを含む)またはCaSrZrOまたはBaTiOまたはBaSrTiOなどのチタン酸塩、ジルコニウム酸塩材料を使用することができ、構成としてはマルチレイヤバリスタ(Multilayer Varistor)もしくはマルチレイヤーセラミックキャパシタ(Multilayer Ceramic Capacitor)であることができる。
【0029】
LEDチップの上方に波長変換材料層が被布されている。波長変換材料層としては、異なる励起スペクトルピーク波長の蛍光パウダー、例えば励起スペクトルピーク波長が400~425nmまたは425~460nmの2種類、または更に多くの種類の蛍光パウダーを選択することができ、励起スペクトルは比較的に狭く、30~80nmの間にあり、異なる放出スペクトルピーク波長の蛍光パウダー、例えば放出スペクトルピーク波長が450~500nmまたは500~600nmまたは600~700nmの3種類、または更に多くの種類の蛍光パウダーを選択することができる。波長変換材料層はB(Blue、青色)とG(Green、緑色)とR(Red、赤色)の3種類の蛍光パウダーが好ましく、B蛍光パウダー、G蛍光パウダー、R蛍光パウダーは完全に混ざり合って紫色光チップと青色光チップとを覆っている。B蛍光パウダーとして励起波長が390nmのものを選択するとより良く紫色光を吸収することができ、放出波長が450~500nmで、460nm辺りの青色光波長が好ましい。G蛍光パウダーとしてLuAl12:Ce3+蛍光体(蛍光パウダー)を選択することができ、励起波長が450nm、LuAGは紫色光をほとんど吸収せず(吸収率は50%を大きく下回る)、放出波長は550nm辺り、もしくはEuをドープしたアルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体(蛍光パウダー)を選択し、最大励起波長は410nm、放出波長は500~600nmの間にあって、540~560nmが好ましい。R蛍光パウダーはAEC:Eu2+(AE=Ca and Sr)蛍光体(蛍光パウダー)を選択し、そのうちAE=Caの効果が最もよく、励起波長は450nm辺りで、410~420nmの条件において、波長の強度が比較的に小さく、即ちこの410~420nm波長において、該R蛍光パウダーの励起効率は70%以下で、放出波長600nm以上であり、600~700nmが好ましい。
【0030】
図6に示されているように、比較例は通常の青色光LED及び蛍光パウダーにより作成された白色光源であり、その青色光のピーク値が比較的に高いため、比較的に連続的なスペクトルを形成することが難しい。一方、本実施例は青色光と紫色光LED及び多種類の蛍光パウダーにより作成された白色光源を使用することを選択したので、発光スペクトルはより自然光に近い(Sunlike)。表1に示されるように、白色光源の発光スペクトルをP(λ)とし、該白色光源と同じ色温度を持つ黒体放射の発光スペクトルをB(λ)とし、cosθで白色光LEDのスペクトルと黒体放射スペクトルとの相似程度を表すと、380~780nmの範囲内において、本実施例で作成された白色光源は以下の式を満足する。
【0031】
【数5】
一方、比較例は現存の通常の青色光LED及び蛍光パウダーにより作成された通常の白色光源を選択し、比の値
【0032】
【数6】

cosαは白色光LED的スペクトルと黒体放射スペクトルの相似程度を表し、510~610nmの範囲内において、本実施例により作成された白色光源は以下の関係式を満足する。
【0033】
【数7】

ここで、510~610nmは人間の目の視覚関数の明所視スペクトル比視感度V(λ)のFWHMに対応する波長範囲で、比較例は現存の通常の青色光LED及び蛍光パウダーにより作成された通常の白色光源を選択し、比の値
【0034】
【数8】

このように、本実施例に作成される白色光源により放出される発光スペクトルはより自然光に近い(Sunlike)。
表1:本実施例で作成される白色光源と比較例で作成される白色光源の比の値cosθとcosαとの比較
【0035】
【表1】

本実施例により提供される白色光LEDパッケージ構造により作成される白色光源システムは紫色光チップだけのパッケージ構造と比べて、より少ないストークスロスを実現すると共に、発光効率がより良く、ブルーライトハザードを低減し、演色性が高く、演色指数R1~R15はいずれも90を超え、ている。陸路上または空中または海洋などに、局部照明や信号の識別などとして運用することができると共に、日常の応用、例えば液晶表示機器(LCD)及び一般的照明設備のバックライト、特に携帯電話やカメラのフラッシュライトに応用することができる。
【0036】
実施例2
図7に示されるように、実施例1との相違点は、本実施例はG蛍光パウダーとR蛍光パウダーとが混ざり合って青色光チップを覆い、B蛍光パウダーだけ紫色光チップを覆う。具体的に言うと、紫色光チップは波長が410~420nm、青色光チップは波長が445nm~460nmである。B蛍光パウダーとして励起波長が390nmのものを選択すると、より良く紫色光を吸収することができ、460nm辺りの青色光波長を放射する。G蛍光パウダーとしてLuAl12:Ce3+蛍光体を選択することができ、励起波長が450nm、LuAGは紫色光をほとんど吸収せず、放出波長は550nm辺りである。R蛍光パウダーはAEC:Eu2+(AE=Ca and Sr)蛍光体(蛍光パウダー)を選択し、そのうちAE=Caの効果が最もよく、励起波長は450nm辺りで、励起効率は比較的に高く(80%を上回る)、410~420nmの条件において、波長の強度が比較的に小さく、励起効率が比較的に低く(70%を下回る)、放出波長は600nmを超える。G蛍光パウダー励起波長は420nmより大きいため、G蛍光パウダーとR蛍光パウダーとを混合させた上で青色光チップを覆い、B蛍光パウダーだけ紫色光チップを覆うようにする。
【0037】
図8に示されるように、白色光源の発光スペクトルをP(λ)とし、白色光源と同じ色温度を持つ黒体放射の発光スペクトルをB(λ)とし、380~780nmの範囲内における光の強さの最大値をP(λmax)とし、380~780nmの範囲内における黒体放射の光の強さの最大値をB(λmax)とし、白色光LEDのスペクトルと黒体放射のスペクトルとの差をD(λ)で表すと、510~610nmの範囲内、即ち人間の目の明所視関数の半値幅範囲において、本実施例で作成される白色光源は以下の式を満足する:
【0038】
【数9】

-0.15<D(λ)<0.15
一方、比較例は現存の通常の青色光LED及び蛍光パウダーにより作成された通常の白色光源を選択し、その白色光LEDのスペクトルと黒体放射スペクトルとの差の値D(λ)は-0.4~-0.3の間にある。このように、本実施例は紫色光LEDと青色光チップ及びR、G、Bの多種類の蛍光パウダーで白色光源を作成したので、その白色光LEDのスペクトルと黒体放射スペクトルとの差の値D(λ)は-0.15~0.15の間にあり、即ち、比較例と比べて、D(λ)は明らかに小さく、発光スペクトルはより自然光に近い。
図9に示されているように、白色光源の発光スペクトルをP(λ)とし、白色光源と同じ色温度を持つ黒体放射の発光スペクトルをB(λ)とし、白色光LEDのスペクトルと黒体放射のスペクトルとの差をD(λ)で表すと、400~500nmの範囲内において、本実施例で作成される白色光源は以下の式を満足する:
【0039】
【数10】

-0.25<D(λ)<0.25。
【0040】
一方、比較例は現存の通常の青色光LED及び蛍光パウダーにより作成された通常の白色光源を選択し、その白色光LEDのスペクトルと黒体放射スペクトルとの差の値D(λ)は-0.5~0.7の間にある。このように、本実施例は紫色光LEDと青色光チップ及びR、G、Bの多種類の蛍光パウダーで白色光源を作成たので、その白色光LEDのスペクトルと黒体放射スペクトルとの差の値D(λ)は-0.15~0.15の間にあり、即ち、比較例と比べて、D(λ)は明らかに小さく、発光スペクトルはより自然光に近い。
通常の青色光LED及び蛍光パウダーにより作成された通常の白色光源は、青色光チップのエネルギー変換効率が高く、発光効率がより良いが、その青色光のピーク値が比較的に高いため、比較的に連続的なスペクトルを形成することが難しい。また、紫色光チップはSunlikeなスペクトルが得られるが、発光効率は比較的低い。したがって、本実施例はこれら2種類のチップを同一の基板(例えばカップ)に固定し、紫色光を吸収しないが青色光を吸収する蛍光パウダーを選択してパッケージを行い、且つSunlikeなスペクトルを達成すべく、励起波長が450nm辺りの赤色蛍光パウダーと黄緑色蛍光パウダーを選択して青色光チップに対してパッケージを行い、励起波長が410~420nmの青色蛍光パウダーを選択して紫色光チップに対してパッケージを行うことにより、白色光を得ることができる。
【0041】
実施例3
図10に示されるように、実施例1との相違点は、本実施例はGY(黄緑)蛍光パウダーとB蛍光パウダーとが混ざり合って紫色光チップを覆い、R蛍光パウダーだけ青色光チップを覆う。具体的に言うと、紫色光チップは波長が410~420nm、青色光チップは波長が445nm~460nmである。B蛍光パウダーとして励起波長が390nmのものを洗濯するとより良く紫色光を吸収することができ、460nm辺りの青色光波長を放射する。GY蛍光パウダーとしてEuがドープされたアルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体(蛍光パウダー)を選択することができ、最大励起波長は410nm、放出波長が500~600nmの間にあると励起効率が最大になる。R蛍光パウダーはAEC:Eu2+(AE=Ca and Sr)蛍光体(蛍光パウダー)を選択することができ、そのうちAE=Caの効果が最もよく、励起波長は450nm辺りで、410~420nmの条件において、波長の強度が比較的に小さく、励起効率が比較的に低く(70%を下回る)、放出波長は600nmを超える。GY最大励起波長は420nmより小さいため、GY蛍光パウダーとB蛍光パウダーとを混合させた上で紫色光チップを覆い、R蛍光パウダーだけ紫色光チップを覆うようにする。
【0042】
実施例4
図11に示されるように、実施例1との相違点は、本実施例はB蛍光パウダー、G蛍光パウダー、R蛍光パウダーがそれぞれVチップ、Bチップ、Gチップそれぞれを覆う。具体的に言うと、紫色光チップは波長が410~420nm、青色光チップは波長が445nm~460nm、緑色光チップは波長が520~670nmである。B蛍光パウダーとして励起波長が390nmのものを洗濯するとより良く紫色光を吸収することができ、460nm辺りの青色光波長を放射する。G蛍光パウダーとしてLuAl12:Ce3+蛍光体を選択することができ、励起波長が450nm、LuAGは紫色光をほとんど吸収せず(吸収率は50%を大きく下回る)、放出波長は550nm辺りである。R蛍光パウダーとしてはCaAlSiN3:Eu2+(CASN)蛍光体を選択することができ、比較的に大きい2つの励起波長は450nm辺り及び550nm辺りであり、放出波長は600nmを超える。B蛍光パウダーは410nmにおいて最大励起効率(80%を上回る)に到達し、G蛍光パウダーは450nm辺りにおいて最大励起効率(80%を上回る)に到達し、R蛍光パウダーは550nmにおいて最大励起効率(80%を上回る)に到達する。従って、B蛍光パウダー、G蛍光パウダー、R蛍光パウダーはそれぞれVチップ、Bチップ、Gチップそれぞれを覆う。
【0043】
実施例5
図12に示されるように、実施例1との相違点は、本実施例はG蛍光パウダーとR蛍光パウダーとC(シアン色)蛍光パウダーとが混ざり合って青色光チップを覆い、B蛍光パウダーだけ紫色光チップを覆う。具体的に言うと、紫色光チップは波長が410~420nm、青色光チップは波長が445nm~460nmである。B蛍光パウダーとして励起波長が390nmのものを選択するとより良く紫色光を吸収することができ、460nm辺りの青色光波長を放射する。C蛍光パウダーはLMGN~490~Bを選択し、励起波長は460nm,放出波長は500nm辺りである。G蛍光パウダーとしてLuAl12:Ce3+蛍光体を選択することができ、励起波長が450nm、LuAGは紫色光をほとんど吸収せず、放出波長は550nm辺りである。R蛍光パウダーはAEC:Eu2+(AE=Ca and Sr)蛍光体(蛍光パウダー)を選択することができ、そのうちAE=Caの効果が最もよく、励起波長は450nm辺りで、410~420nmの条件において、波長の強度が比較的に小さく、放出波長は600nmを超える。G蛍光パウダーの励起波長は420nmを超えるので、G蛍光パウダーと、R蛍光パウダーと、C蛍光パウダーとを混合させて上で青色光チップを覆い、B蛍光パウダーだけ紫色光チップの上を覆うようにする。ここで注意すべきなのは、B蛍光パウダー、G蛍光パウダー、C蛍光パウダー、R蛍光パウダーはそれぞれ個別に覆うこともでき、あるいは混合してパッケージすることも可能である。
【0044】
実施例6
図13に示されるように、実施例1との相違点は、本実施例はG蛍光パウダーとR蛍光パウダーは混ざり合って青色光チップを覆い、B蛍光パウダーだけ紫色光チップを覆う。このほか蛍光パウダーの上に湿気と空気とから隔離する保護層(Protection)を設置することにより、パッケージ基板(Base)上の金属を保護して硫化しないようにする。具体的に言うと、紫色光チップは波長が410~420nm、青色光チップは波長が445nm~460nmである。B蛍光パウダーとして励起波長が390nmのものを選択するとより良く紫色光を吸収することができ、460nm辺りの青色光波長を放射する。G蛍光パウダーとしてLuAl12:Ce3+蛍光体を選択することができ、励起波長が450nm、LuAGは紫色光をほとんど吸収せず(吸収率は50%を大きく下回る)、放出波長は550nm辺りである。RはAEC:Eu2+(AE=Ca and Sr)蛍光体(蛍光パウダー)を選択することができ、そのうちAE=Caの効果が最もよく、励起波長は450nm辺りで、410~420nmの条件において、波長の強度が比較的に小さく、放出波長は600nmを超える。G蛍光パウダーの励起波長は420nmを超えるので,G蛍光パウダーとR蛍光パウダーとを混合して青色光チップを覆い、B蛍光パウダーだけで紫色光チップの上を覆い、これにより各蛍光パウダーを空間的に離れさせることができる。
【0045】
理解すべきなのは、上記具体的な実施形態は本発明の一部の好ましい実施例であり、上記実施例は更に各種の組み合わせ、変化をすることができる。本発明の範囲は以上の実施例に制限されず、本発明に基づくあらゆる変化は、本発明の保護される範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13