(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】電動シート及びその角度調節装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/225 20060101AFI20220325BHJP
A47C 1/025 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
B60N2/225
A47C1/025
(21)【出願番号】P 2020544086
(86)(22)【出願日】2018-08-03
(86)【国際出願番号】 CN2018098498
(87)【国際公開番号】W WO2019114286
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】201711321068.X
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201721748382.1
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521052388
【氏名又は名称】湖北中航精机科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、 ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リー、 ビン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン、 チョン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、 シェンクン
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0239694(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106388368(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0072194(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/225
A47C 1/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに噛合する内歯板(11)と外歯板(12)とを含み、前記内歯板(11)と外歯板(12)の間には偏心キャビティが形成され、前記偏心キャビティ内には前記偏心キャビティの正方向偏心領域を埋め尽くす偏心リング(13)が設けられ、前記偏心リング(13)が周方向に沿って第1収容領域(131)と第2収容領域(132)とを有し、前記偏心リング(13)を回動させるように駆動する駆動部材(4)を含む、電動シートの角度調節装置において、
前記第1収容領域(131)及びまたは前記第2収容領域(132)内に設けたダンパー部材(15)が、前記駆動部材(4)の作動過程で圧縮状態にあり、
前記第1収容領域(131)の内部には楔形ブロック(2)が設けられ、
前記駆動部材(4)が、前記楔形ブロック(2)または前記偏心リング(13)を駆動し、前記偏心リング(13)を回動させるように駆動し、
前記偏心リング(13)と前記楔形ブロック(2)を押し付ける弾性部材(3)を含み、
前記駆動部材(4)が、前記第1収容領域(131)と前記第2収容領域(132)にそれぞれ入り込む第1駆動ブロック(42)と第2駆動ブロック(43)とを含み、
前記第1駆動ブロック(42)と第2駆動ブロック(43)とが、いずれも駆動作動面(44)と非駆動作動面(45)とを有し、
前記ダンパー部材(15)が、前記第1収容領域(131)と前記第2収容領域(132)にそれぞれ設けられる第1ダンパー素子と第2ダンパー素子とを含み、
前記第1ダンパー素子と第2ダンパー素子の一端が、対応する前記駆動ブロックの前記非駆動作動面(45)に当接され、他端が、対応する収容領域の側壁に当接されることを特徴とする角度調節装置。
【請求項2】
前記第1駆動ブロック(42)と前記第1ダンパー素子とが、前記第1収容領域(131)を埋め尽くし、
前記第2駆動ブロック(43)と前記第2ダンパー素子とが、前記第2収容領域(132)を埋め尽くすことを特徴とする請求項1に記載の角度調節装置。
【請求項3】
前記第1ダンパー素子と前記第2ダンパー素子とが、別体型の構成であることを特徴とする請求項1に記載の角度調節装置。
【請求項4】
前記第1ダンパー素子が、ゴムブロックまたはバネであり、
前記第2ダンパー素子が、ゴムブロックまたはバネであることを特徴とする請求項3に記載の角度調節装置。
【請求項5】
前記ダンパー部材(15)が、一体成型の弾性構成であり、凹溝が開設され、
前記凹溝が、前記偏心リング(13)に係止し、
前記凹溝の両側が、それぞれ前記第1ダンパー素子と第2ダンパー素子であることを特徴とする請求項1に記載の角度調節装置。
【請求項6】
前記第1収容領域(131)と前記第2収容領域(132)との側壁が、いずれも、対応するダンパー素子を係止する収容溝(14)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の角度調節装置。
【請求項7】
前記第1ダンパー素子と前記第2ダンパー素子とが、いずれもブロック状の構成であり、
前記第1ダンパー素子と前記第2ダンパー素子の外周には、オイルガイド溝(151)が開設されていることを特徴とする請求項1に記載の角度調節装置。
【請求項8】
電動シートであって、座席と背もたれとを含み、
前記座席と背もたれとの間が、請求項1~請求項7のいずれかの1項に記載の角度調節装置を介して接続されていることを特徴とする電動シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年12月12日にて中国特許局に提出され、出願番号が、201711321068.Xであり、発明名称が、「電動シート及びその角度調節装置」であり、及び、出願号が201721748382.1であり、発明名称が、「電動シート及びその角度調節装置」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、援用されることで本出願に結合される。
本発明は、自動車部品の技術分野に関わり、特に、電動シート及びその角度調節装置に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
自動車シートの角度調整器は、自動車シートの座席と背もたれを接続するために用いられ、乘客は、自動車シートの角度調整器によって背もたれの角度を最適な位置に調節し、最も快適及び最も馴染んだ乗り角度を取得する。
運転手にとって、背もたれの角度を調節することで、最高の視野を取得し、及び、ステアリングホイール、ペダルとギアシフトなどの操作部品を容易に操作することができる。
自動車産業の発展に連れて、顧客の、角度調整器及び自動車シートの快適性性能に対する要求がだんだん高くなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、電動シートの角度調整器は、遊星歯車伝動原理を採用して、各々部材を組み立てる場合、ある程度の加工と組立との誤差が存在するから、駆動部材と駆動係合面との間には、一定の距離があり、両者の間の距離が、前述した電動シートの角度調整器の操作空行程を形成する。
【0004】
前記操作空行程の存在のため、座席と背もたれとの方向転換操作の際、駆動部材は、前述した操作空行程を経て駆動係合面に接触できるので、方向転換操作の過程で駆動の非同期、背もたれの調節遅延、方向転換衝突の騒音などの問題が生じて、電動シートの快適性が悪くなる。
【0005】
これに鑑みると、駆動部材の操作空行程を無くしまたは減少させ、電動シートの快適性を向上させるために、如何に電動シートの角度調整器を提供するかということは、当業者が解決しようとする技術的な問題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような技術的な問題を解決するために、本発明は、電動シートの角度調節装置を提供することを目的として、前記角度調節装置は、互いに噛合する内歯板と外歯板とを有し、両者の間には、偏心キャビティが形成され、この偏心キャビティ内には、前記偏心キャビティの正方向偏心領域を埋め尽くす偏心リングが設けられ、前記偏心リングが周方向に沿って第1収容領域と第2収容領域とを有し、さらに、前記偏心リングを回動させるように駆動する駆動部材を含み、前記第1収容領域及びまたは第2収容領域内には、ダンパー部材が設けられ、前記駆動部材の作動過程で、前記ダンパー部材が圧縮状態にある。
【0007】
本発明において、ダンパー部材を配置した後、このダンパー部材が、角度調節装置の操作空行程を充填することで、駆動部材と駆動係合面とが係合する前に、ダンパー部材が圧縮状態にあり、駆動部材と駆動係合面とが係合した後、偏心リングを回動させるように駆動し、角度の調節を実現する。
従って、このダンパー部材の配置は、操作空行程をなくし、電動シートの座席と背もたれとの方向転換調節過程で乘客が感じた調節の遅延をなくし、このダンパー部材の配置は、駆動部材が駆動係合面に接触する際のエネルギーを消費し、電動シートの座席と背もたれとの方向転換調節の際の騒音を低減させ、さらに、電動シートの快適性を向上させる。
【0008】
好ましくは、第1収容領域の内部には、楔形ブロックが設けられ、駆動部材が楔形ブロックまたは偏心リングを駆動することができ、さらに、偏心リングを回動させるように駆動し、
さらに、前記角度調節装置は、偏心リングと楔形ブロックを押し付けるための弾性部材を含む。
【0009】
好ましくは、駆動部材は、第1収容領域と第2収容領域にそれぞれ入り込む第1駆動ブロックと第2駆動ブロックとを含み、これらの第1駆動ブロックと第2駆動ブロックとがいずれも駆動作動面と非駆動作動面とを有し、
前記ダンパー部材は、第1収容領域と第2収容領域にそれぞれ設けられる第1ダンパー素子と第2ダンパー素子とを含み、これらの第1ダンパー素子と第2ダンパー素子の一端が、対応する前記駆動ブロックの非駆動作動面に当接され、他端が、対応する収容領域の側壁に当接される。
【0010】
好ましくは、第1駆動ブロックと第1ダンパー素子とは、第1収容領域を埋め尽くし、第2駆動ブロックと第2ダンパー素子とは、第2収容領域を埋め尽くす。
【0011】
好ましくは、第1ダンパー素子と第2ダンパー素子とは、別体型の構成である。
【0012】
好ましくは、第1ダンパー素子は、ゴムブロックまたはバネであり、第2ダンパー素子は、ゴムブロックまたはバネである。
【0013】
好ましくは、前記ダンパー部材は、一体成型の弾性構成であり、凹溝が開設され、この凹溝が、前記偏心リングに係止し、前記凹溝の両側が、それぞれ第1ダンパー素子と第2ダンパー素子である。
【0014】
好ましくは、第1収容領域と第2収容領域との側壁は、いずれも対応するダンパー素子を係止するための収容溝を備える。
【0015】
好ましくは、第1ダンパー素子と第2ダンパー素子とは、いずれも、ブロック状の構成であり、その外周には、オイルガイド溝が開設される。
【0016】
また、本発明は、さらに、電動シートを提供し、この電動シートは、座席と背もたれとを含み、これらの座席と背もたれとの間は、角度調節装置を介して接続され、前記角度調節装置は、以上に記載の角度調節装置である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の角度調節装置におけるダンパー部材が除去された場合の分解図。
【
図5】
図4における楔形ブロック、ダンパー部材、駆動ブロックと偏心リングの間の係合関係図。
【
図6】
図5における偏心リングに第1種のダンパー部材が設けられる場合の模式図。
【
図7】
図5における偏心リングに第2種のダンパー部材が設けられる場合の模式図。
【
図8】
図5における偏心リングに第3種のダンパー部材が設けられる場合の模式図。
【
図9】
図5におけるダンパー部材が除去された場合の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明をよりよく理解するために、以下は、図面と実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
【0019】
図1~
図10を参照し、
図1は、本発明の角度調節装置のダンパー部材が除去された場合の分解図であり、
図2は、
図1におけるギヤ機構の原理図であり、
図3は、本発明の角度調節装置の分解図であり、
図4は、本発明の角度調節装置の平面図であり、
図5は、
図4における楔形ブロック、ダンパー部材、駆動ブロックと偏心リングの間の係合関係を示し、
図6は、
図5における偏心リングには第1種のダンパー部材が設けられる場合の模式図であり、
図7は、
図5における偏心リングには第2種のダンパー部材が設けられる場合の模式図であり、
図8は、
図5における偏心リングには第3種のダンパー部材が設けられる場合の模式図であり、
図9は、
図5におけるダンパー部材が除去された場合の模式図であり、
図10は、
図9の横断面図である。
【0020】
具体的な実施例において、本発明は、電動シートの角度調節装置を提供し、
図1に示すように、内リングギア111を有する内歯板11と外リングギア121を有する外歯板12とを含み、内歯板11が電動シートの座席に接続されるために用いられ、外歯板12が電動シートの背もたれに接続されるために用いられる。
内歯板11の中部には、カラー112が設けられ、外歯板12の中部には、中心孔122が設けられ、これらの内歯板11と外歯板12とが内リングギア111と外リングギア121を介して偏心噛合し、噛合した後、カラー112と中心孔122との間には、偏心キャビティが形成され、この偏心キャビティ内には、偏心キャビティの正方向偏心領域を埋め尽くすための偏心リング13が設けられ、正方向偏心領域は、偏心キャビティ内の径方向のサイズが大きい領域を指す。
【0021】
本発明において、内歯板11、外歯板12及び偏心リング13が、ギヤ機構1を構成し、このギヤ機構1は、低歯差遊星歯車伝動機構であり、ギヤ機構1は、伝動を実現し、構成がコンパクトであるという利点を有し、電動シートに適用されることができる。
【0022】
図1および
図2に示すように、前述した偏心リング13は、周方向に沿って第1収容領域131と第2収容領域132とを有し、第1収容領域131及びまたは第2収容領域132内には、偏心リング13を回動させるように駆動する駆動部材4が設けられ、この駆動部材4の駆動により、偏心リング13が回動することで、内歯板11が外歯板12に対して回動し、さらに、座席と背もたれとの間の角度の調節を実現する。
【0023】
本実施例において、駆動部材4は、第1収容領域131及びまたは第2収容領域132の側壁を駆動することにより、偏心リング13の回動を実現するが、
図2に示すように、駆動部材4と第1収容領域131及びまたは第2収容領域132の駆動係合面との間には、一定の操作空行程aと操作空行程bがあり、即ち、駆動部材4と駆動係合面との間には、一定の距離がある。
前述した角度調節装置が作動する際、駆動部材4が駆動して駆動係合面と当接する前に、操作空行程aと操作空行程bを経た限り、駆動係合面と係合できる。
【0024】
従って、前記角度調節装置において、前述した操作空行程aと操作空行程bの存在のため、電動シートの座席と背もたれとの方向転換調節の場合に、乘客は、調節過程で明らかな遅延が存在することを感じて、電動シートの転換の際の快適性に影響する。
同時に、駆動部材4が、前述した操作空行程aと操作空行程bを経た後、駆動係合面と係合する時、両者が高い速度で接触するから、電動シートの座席と背もたれとの方向転換調節の際に騒音が発生し、同じように電動シートの快適性に影響する。
【0025】
前記技術的問題を解決するために、本発明の角度調節装置において、駆動部材以外、前述した第1収容領域131及びまたは第2収容領域132内には、ダンパー部材15が設けられる。
【0026】
本発明において、ダンパー部材15を配置した後、このダンパー部材15は、角度調節装置の操作空行程を充填し、駆動部材4と駆動係合面とが係合する前に、ダンパー部材15は、圧縮状態にあり、駆動部材4と駆動係合面とが係合した後、前述したダンパー部材15は、偏心リング13を回動させるように駆動し、角度の調節を実現する。
従って、ダンパー部材15の配置は、操作空行程をなくし、電動シートの座席と背もたれとの方向転換調節過程で、乘客が感じた調節の遅延をなくし、ダンパー部材15の配置は、駆動部材4が、駆動係合面に接触する際のエネルギーを消費し、電動シートの座席と背もたれとの方向転換調節際の騒音を低減させ、電動シートの快適性を向上させる。
【0027】
さらに、偏心リング13の第1収容領域131内には、楔形ブロック2が設けられ、第1収容領域131内において、駆動部材4が楔形ブロック2を駆動することで、偏心リング13を回動させるように駆動する。
同時に、角度調節装置は、弾性部材3を含み、この弾性部材3の弾力によって偏心リング13と楔形ブロック2を押し付ける。
【0028】
前述した角度調節装置が作動する時、弾性部材3による付与された周方向の弾力が、偏心リング13と楔形ブロック2に作用することで、偏心リング13が、外歯板12の中心孔122の孔壁に当接され、楔形ブロック2が、内歯板11のカラー112に当接され、これによって、内リングギア111と外リングギア121との噛合歯の間の隙間をなくし、電動シートの快適性をさらに向上させる。
【0029】
前述した弾性部材3は、捩りバネ3であってもよく、この捩りバネ3は、同方向に配置される二つの軸方向支脚を有し、組み立てる場合に、捩りバネ3の一方の支脚がロックプレート5のロック孔53を通過した後、楔形ブロック2の固定孔内に装着され、他方の支脚がロック孔53を通過した後、楔形ブロック2の内壁に当接され、これによって、捩りバネ3を介して偏心リング13と楔形ブロック2を締め付ける。
【0030】
さらに、
図5に示すように、前述した駆動部材4は、それぞれ第1収容領域131と第2収容領域132内に入り込む第1駆動ブロック42と第2駆動ブロック43とを含み、これらの第1駆動ブロック42と第2駆動ブロック43とは、いずれも駆動輪4の端面に配置される突起である。
具体的には、第1駆動ブロック42と第2駆動ブロック43とが、ロックプレート5の両駆動孔52を通過した後、それぞれ偏心リング13の第1収容領域131と第2収容領域132内に入り込み、周方向に沿って第1駆動ブロック42と第2駆動ブロック43とは、いずれも、駆動作動面44と非駆動作動面45とを有している。
さらに、前述したロックプレート5は、他の部材に接続される固定孔51を備えている。
【0031】
同時に、前述した駆動部材4と駆動係合面との間の操作空行程aと操作空行程bをさらになくすために、第1収容領域131と第2収容領域132内には、いずれも、ダンパー部材15が設けられ、第1収容領域131に位置するダンパー部材15が、第1ダンパー素子であり、第2収容領域132に位置するダンパー素子15が、第2ダンパー素子である。
前記両駆動ブロックにおいて、一方が駆動モードにあり、他方が非駆動モードにあり、第1収容領域131と第2収容領域132内のダンパー部材15の一端が、対応する駆動ブロックの非駆動作動面45に当接され、他端が、対応する収容領域の周方向の側壁に当接される。
【0032】
具体的には、
図6~
図9に示すように、第1収容領域131において、ダンパー部材15(第1ダンパー素子)の周方向に沿う両端が、それぞれ第1駆動ブロック42と第1収容領域131の第1緩衝係合面134に当接され、第2収容領域132内において、ダンパー部材15(第1ダンパー素子)における周方向に沿う両端が、それぞれ第2駆動ブロック43と第2収容領域132の第2緩衝係合面134に当接される。
【0033】
図5に示すように、第1駆動ブロック42が駆動端である場合、回転軸41が駆動輪4を回動させる過程で、第1駆動ブロック42が第1駆動係合面21に接触する前に、第2駆動ブロック43が、ダンパー部材15(第2ダンパー素子)に向かって運動するとともに、このダンパー部材15を圧縮し、圧縮過程で、前述したダンパー部材15(第2ダンパー素子)は、第1駆動ブロック42が第1駆動係合面21に接触し得るように変形すると、楔形ブロック2によって偏心リング13を回動させるように駆動する。
第2駆動ブロック43が駆動端である場合、回転軸41によって駆動輪4を逆方向に回動させ、第2駆動ブロック43が第2駆動係合面135に接触する前に、第1駆動ブロック42が、ダンパー部材15(第1ダンパー素子)に向かって運動するとともに、このダンパー部材15を圧縮し、圧縮過程で、ダンパー部材15は、(第1ダンパー素子)第2駆動ブロック43が第2駆動係合面135に接触し得るように変形すると、第2駆動ブロック43が、偏心リング13を逆方向に回動させるように駆動する。
【0034】
同時に、前述した転換操作を実現するために、ダンパー部材15が、十分な変形量を有するように保証しなければならない。
【0035】
さらに、第1駆動ブロック42とダンパー部材15(第1ダンパー素子)とが、第1収容領域131を埋め尽くし、第2駆動ブロック43とダンパー部材15(第2ダンパー素子)とが、第2収容領域132を埋め尽くす。
【0036】
本実施例において、ダンパー部材15のサイズを制御することで、駆動ブロックとダンパー部材15とが対応する収容領域をなるべく埋め尽くすことを実現し、これによって、駆動端の駆動ブロックが対応する駆動係合面に接触する際に、必要なダンパー部材15の変形量が小さくなり、さらに、ダンパー部材15の使用寿命を向上させる。
【0037】
また、
図2に示すように、ダンパー部材が配置されていない場合に、操作空行程aと操作空行程bとがランダム的に分布され、両者は、異なる場合も同じ場合もあり、両者が異なる場合に、偏心リング13の二つの方向の偏心方向が異なり、これによって、角度調節装置が二つの方向に沿って調節する場合に、必要な駆動力が異なる。
【0038】
本発明において、
図10に示すように、両収容領域内のダンパー部材15のサイズを制御することで、両駆動ブロックと対応する駆動係合面との間の距離を調節可能にするから、両者が等しくなるように人為的に制御し得て、偏心リング13の両側の偏心方向が一致になる。
【0039】
具体的には、
図6に示すように、第1収容領域131と第2収容領域132内のダンパー部材15は、いずれもゴムブロックであってもよく、即ち、第1ダンパー素子と第2ダンパー素子が、いずれもゴムブロックであり、且つ、ゴムブロックが角度調節装置の作動過程で、常に弾性変形という段階にあり、降伏と圧潰との発生を避け、角度調節装置が、正常に作動するように保証する。
【0040】
図7に示すように、ダンパー部材15は、バネであってもよく、また、第1収容領域131と第2収容領域132内のダンパー部材15は、異なる場合も同じ場合もあり、即ち、第1ダンパー素子と第2ダンパー素子とが、同じ構成であってもよく、異なる構成であってもよく、例えば、第1ダンパー素子が、ゴムブロックであり、第2ダンパー素子が、バネである。
【0041】
図8に示すように、第1収容領域131と第2収容領域132内のダンパー部材15は、一体成型の弾性構成であってもよく、即ち、第1ダンパー素子と第2ダンパー素子とは、さらに、一体成型の弾性構成であってもよく、且つ、ダンパー部材15の中部には、凹溝が開設され、この凹溝の両端が、それぞれ両収容領域内に位置し、即ち、ダンパー部材15の凹溝の両端が、それぞれ第1ダンパー素子と第2ダンパー素子を形成し、同時に、ダンパー部材15を偏心リング13に係合させる。
【0042】
さらに、
図9に示すように、ダンパー部材15の装着の確実性を向上させるために、第1収容領域131と第2収容領域132との側壁は、いずれも、ダンパー部材15を係止するための収容溝14を有し、ダンパー部材15が、この収容溝14内に収容される。
【0043】
以上の実施例において、
図6に示すように、第1ダンパー素子と第2ダンパー素子とは、いずれも、ブロック状構成である場合に、その外周には、オイルガイド溝151が開設される。
【0044】
本実施例において、ダンパー部材15の外周にオイルガイド溝151を配置し、角度調節装置には、潤滑油が導入されることで、各々部材が、相対的に運動する時の摩耗を減少させ、角度調節装置の使用寿命を向上させ、作動する際の騒音をさらに低減させる。
【0045】
さらに、本発明は、電動シートを提供し、この電動シートは、座席と背もたれとを含み、これらの座席と背もたれとの間が角度調節装置を介して接続され、角度調節装置によって座席と背もたれとの間の角度を変更する。
角度調節装置は、いずれかの実施例に記載の角度調節装置である。
角度調節装置は、前述したような技術効果を有するから、角度調節装置を含む電動シートも同様な技術効果を有している。
【0046】
以上は、本発明の電動シート及びその角度調節装置に対して、詳しく紹介している。
本明細書において、具体的な例を利用して本発明の原理及び実施形態を説明し、以上の実施例に対する説明は、本発明の理解のために用いられる。
さらに、本発明の原理から離脱していない前提で、本発明に対して改良及び修飾を行ってもよく、これらの改良及び修飾も、本発明の請求項の保護範囲に該当する。
【符号の説明】
【0047】
1 ・・・ギヤ機構
11 ・・・内歯板
111 ・・・内リングギア
112 ・・・カラー
12 ・・・外歯板
121 ・・・外リングギア
122 ・・・中心孔
13 ・・・偏心リング
131 ・・・第1収容領域
132 ・・・第2収容領域
133 ・・・フランジ
134 ・・・第1緩衝係合面
135 ・・・第2駆動係合面
136 ・・・第2緩衝係合面
14 ・・・収容溝
15 ・・・ダンパー部材
151 ・・・オイルガイド溝
2 ・・・楔形ブロック
21 ・・・第1駆動係合面
3 ・・・捩りバネ
4 ・・・駆動輪
41 ・・・回転軸
42 ・・・第1駆動ブロック
43 ・・・第2駆動ブロック
44 ・・・駆動作動面
45 ・・・非駆動作動面
5 ・・・ロックプレート
51 ・・・固定孔
52 ・・・駆動孔
53 ・・・ロック孔