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特許7046236電流が効果的に分散される高信頼性の垂直型発光ダイオード構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】電流が効果的に分散される高信頼性の垂直型発光ダイオード構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/14 20100101AFI20220325BHJP
   H01L 33/38 20100101ALI20220325BHJP
【FI】
H01L33/14
H01L33/38
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021000596
(22)【出願日】2021-01-05
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】511207730
【氏名又は名称】聯嘉光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 復邦
(72)【発明者】
【氏名】黄 國欣
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-050392(JP,A)
【文献】特開2006-140297(JP,A)
【文献】特開2011-171743(JP,A)
【文献】特開2013-214700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0102355(US,A1)
【文献】特開2007-287757(JP,A)
【文献】特開2011-114240(JP,A)
【文献】特開2011-199111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
P型電極と、
片側に前記P型電極が設けられ、他側は中央領域と、前記中央領域に隣接する側縁領域とを備える導電性基板と、
前記導電性基板の前記中央領域に設けられ、且つ、前記導電性基板上に設けられるP型半導体層と、前記P型半導体層上に設けられる量子井戸層と、前記量子井戸層上に設けられるN型半導体層とを備える発光半導体層と、
前記N型半導体層にオーミック接触するように前記N型半導体層の中心に設けられるオーミック接触金属層と、
前記N型半導体層と前記導電性基板の前記側縁領域を横断するように設けられ、且つ前記オーミック接触金属層のすぐ隣に位置するブリッジ絶縁層と、前記ブリッジ絶縁層に設けられ、且つ一端は前記オーミック接触金属層に接続され、他端は前記導電性基板の前記側縁領域まで延伸するブリッジ導電層とを備えるN型電極ブリッジ構造と、
前記側縁領域の上方に位置するように前記ブリッジ導電層上に設けられるN型電極と、
前記導電性基板の前記側縁領域に設けられる二次P型電極と、を含む、
電流が効果的に分散され高信頼性の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項2】
前記側縁領域は前記中央領域を取り囲み、且つ前記二次P型電極と前記N型電極は前記中央領域の同側の前記側縁領域に位置する請求項に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項3】
前記側縁領域は前記中央領域を取り囲み、且つ前記二次P型電極と前記N型電極は前記中央領域の異なる側の前記側縁領域に位置する請求項に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項4】
前記P型電極、前記二次P型電極のいずれかは第1極とされ、前記N型電極は第2極とされ、前記第1極と前記第2極との間に動作電圧が供給される請求項に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項5】
前記P型電極及び前記二次P型電極の両方は第1極とされ、前記N型電極は第2極とされ、前記第1極と前記第2極の間に動作電圧が供給される請求項に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項6】
前記オーミック接触金属層に接続されるように前記N型半導体層に設けられ、且つそれぞれオーミック接触金属層によって前記N型半導体層に接続される少なくとも1つの二次導電回路をさらに含む請求項1に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項7】
複数の二次導電回路がそれぞれ前記発光半導体層の積層方向に対して垂直な方向に延伸する請求項に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項8】
前記導電性基板の前記発光半導体層に隣接する領域には導電金属光反射層が設けられる請求項1に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項9】
前記オーミック接触金属層と前記N型半導体層の接触面には前記N型半導体層に突出する電極反射層が設けられる請求項に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項10】
前記電極反射層の外形は凸面反射鏡の単体、凸面反射鏡の連続、チルトミラーの複合体のいずれか1種である請求項に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項11】
前記ブリッジ導電層と前記ブリッジ絶縁層の接触面には前記ブリッジ絶縁層に突出するブリッジ反射層が設けられる請求項に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項12】
前記ブリッジ反射層の外形は凸面反射鏡の単体、凸面反射鏡の連続、チルトミラーの複合体のいずれか1種である請求項11に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項13】
複数の二次N型電極をさらに含み、前記複数の二次N型電極は前記オーミック接触金属層を中心に前記N型半導体層に分散して設けられ、且つ前記複数の二次N型電極はそれぞれ前記N型半導体層に設けられたN型電極導電回路によって前記オーミック接触金属層に接続され、前記複数のN型電極導電回路と前記N型半導体層の接触面はそれぞれ回路絶縁層を備え、前記複数の二次N型電極はそれぞれオーミック接触金属層によって前記N型半導体層に接続される請求項1に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項14】
前記導電性基板の前記側縁領域に設けられる二次P型電極をさらに含む請求項13に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項15】
前記P型電極と前記導電性基板が複数の絶縁隔離通路によって分割されることで、前記P型電極は複数のP型サブ電極に分割され、前記複数のP型サブ電極の位置はそれぞれ前記複数の二次N型電極に対応し、且つ、1つの前記P型サブ電極が前記二次P型電極に接続され、且つ前記二次P型電極の前記P型サブ電極に接続され、前記複数の絶縁隔離通路に設けられた複数のP型導電回路が前記複数のP型サブ電極に選択的に接続されることで、前記二次P型電極に接続された前記複数のP型サブ電極は間隔を開けて配列される請求項14に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【請求項16】
前記導電性基板は緩衝層と、結合層と、代替基板とを含み、前記ブリッジ絶縁層及び前記発光半導体層は前記緩衝層に設けられ、前記P型電極は前記代替基板に設けられ、前記結合層は前記緩衝層と前記代替基板を接着して固定させる請求項1に記載の垂直型発光ダイオード構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオードに関し、特に、電流が効果的に分散される高信頼性の垂直型発光ダイオード構造に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直型発光ダイオードは発光効率が高く軸方向光を発するため、高動作電流と高照度が求められる用途に適する。関連の製品は高輝度殺菌(紫外線)、自動車のヘッドライト及びテールライト(青色光、黄色光、赤色光)、プロジェクター光源(青色光、緑色光、赤色光)、赤外線による危険検出(赤外線)に用いることができる。高性能の高出力発光ダイオード(LED)部品には高輝度と高照度だけでなく、高い信頼性が求められる。例えば、自動車のヘッドライトモジュールでは、LEDが動作しないと、夜間の安全走行に懸念事項がもたらされる。自動車用LEDの場合には、たとえ1ppmの小さな損失でも、業界基準からすれば改善が必要である。
【0003】
従来の高出力垂直型発光ダイオードにはサイズ約1mm×1mmのチップが使用され、動作電流は1A以上であり、一般的な構造設計には次の特徴がある。すなわち、電極パッドは発光半導体層の上方に位置してワイヤーボンディングに用いられ、且つ大電流でも流れるように電極パッドには太径の金線が用いられ、フィンガー状(Finger)の二次ワイヤーを備え、該二次ワイヤーは発光半導体層の上方に位置し、発光半導体層に設けられる二次ワイヤーが多いほど電流が効果的に分散されるが、その反面遮光面積が増え、P電極のパッケージとの接続材には、優れた導電特性と放熱効果を得るためにAuSn(金錫合金)を使う必要があり、且つ接続材の底部には、電流の集中低減と放熱効果の向上のために高い平坦度と低い孔隙率が要求される。
【0004】
電極パッドが発光半導体層の中心に形成された場合には、電流の分散効果が最も優れており、発光効率を高められるだけでなく、優れた放熱効果が得られ、電流の集中と局所的な過度発熱は避けられる。しかしながら、ワイヤーボンディング工程で電極パッドをパッケージングするために使用する太径の金線が遮光し射出光の均一性を損なってしまう。そのため従来の技術では一般に電極パッドを発光半導体層の最も側縁に設置するが、電極パッドが側縁に設置されると、高動作電流の場合に発光半導体層では発光と発熱が側縁に集中し、中央に設置するものと比べて電流分散効果が劣っている。
【0005】
従来、垂直型発光ダイオードが動作しないパターンとして次の4つが挙げられる:
(1)電極パッドが側縁に設置されるため、高動作電流の場合に発光半導体層では放熱不良とエッジでの熱集中により発光が不均一で電極が焼損される。
(2)ワイヤーボンディング工程は発光半導体層の表面の電極パッドに行うため、発光半導体層を傷つけ、信頼性が低下する恐れがある。
(3)パッケージ接着剤を牽引する時に、電極パッド上の金線を介して発光半導体層が引かれることで、亀裂が生じフィルムが剥がされると、パッケージが機能せず不安定になる恐れがある。
(4)P電極のパッケージとの接続が不平坦であったり多くの孔隙が存在したりする場合に、高動作電流により局所的に高温になり、材料が劣化し、部品が焼損されることがある。
【0006】
上記の実情に鑑みてなされたのが特許文献1であり、多導電柱による技術的解決手段を開示している。N電極を下方電極とし、側壁が絶縁で垂直の複数の導電柱がP型半導体層、量子井戸層を通過し、N型半導体層内に延伸することで、動作電流がN型半導体層内に均一に分散され、パッケージング工程でワイヤーボンディングに用いるP電極が側縁に設置される。このような設計では複数の導電柱によって動作電流が最適に分散され、しかもパッケージング工程でワイヤーボンディング時に発光半導体層に衝撃が与えられないため、垂直型発光ダイオードが動作しない上記の(1)、(2)、(3)パターンが解消される。しかし、この構造は精度の高い多くの導電柱を含み、直径は一般に20~30μmであり、円柱の内壁には絶縁物質が薄くコーティングされ、円柱の中心層には高導電性金属が堆積される。当該構造は精度が高い一方、脆弱性が高く、工程が複雑で、コストが高く、工程条件はハードルが高く、不良品の検出が難しく、特に外部から大きな応力(物理的な表面接触、パッケージ工程における変形応力)が加わって、導電柱に亀裂が生じてマイクロチャネルが形成されると、部品は直ちに動作しなくなり、長期的には信頼性が下がるなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第8319250B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたもので、軸方向光、高輝度及び高信頼性が要求される使用シーンに応じるために、電流が効果的に分散される高信頼性の垂直型発光ダイオード構造を開示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によれば、
P型電極と、
片側に当該P型電極が設けられ、他側は中央領域と、当該中央領域に隣接する側縁領域とを備える導電性基板と、
当該導電性基板の当該中央領域に設けられ、且つ、当該導電性基板上に設けられるP型半導体層と、当該P型半導体層上に設けられる量子井戸層(MQW)と、当該量子井戸層上に設けられるN型半導体層とを備える発光半導体層と、
当該N型半導体層にオーミック接触するように当該N型半導体層の中心に設けられるオーミック接触金属層と、
当該N型半導体層と当該導電性基板の当該側縁領域を横断するように設けられ、且つ当該オーミック接触金属層のすぐ隣に位置するブリッジ絶縁層と、当該ブリッジ絶縁層に設けられ、且つ一端は当該オーミック接触金属層に接続され、他端は当該導電性基板の当該側縁領域まで延伸するブリッジ導電層とを備えるN型電極ブリッジ構造と、
ワイヤーボンディング工程に用いられ、当該側縁領域の上方に位置するように当該ブリッジ導電層上に設けられるN型電極と、を含む、電流が効果的に分散される高信頼性の垂直型発光ダイオード構造が提供される。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明は従来技術と比べて次の利点を有する。垂直型発光ダイオードの構造設計を採用するので、軸方向光が得られる。N型電極が側縁領域の上方に設けられ、動作電流をN型半導体層の中心に導いて中心から拡散させることで、電流が効果的に分散され、N型電極を中央に設置するものと比べてパッケージの金線が干渉する問題や、N型電極をエッジに設置する設計で局所的に高電流になるなどの問題が避けられる。N型電極の下方に発光半導体層が設けられないため、ワイヤーボンディング工程中に発光半導体層が応力を受けて破損する問題はなく、後の工程でワイヤーボンディングや牽引で発光半導体層に亀裂が生じ、剥がされるといった問題もなく、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明の構造の断面模式図の一例である。
図2図2は本発明の一実施例の構造の上面模式図の一例である。
図3図3は本発明の別の実施例の構造の上面模式図の一例である。
図4図4は本発明で中・小電流に対応する回路の経路模式図の一例である。
図5図5は本発明で大電流に対応する回路の経路模式図の一例である。
図6図6は本発明に係る電流密度等高線の模式図の一例である。
図7図7は本発明に係る励起光の反射経路の模式図の一例である。
図8図8は本発明の別の実施例に係る励起光の反射経路の模式図の一例である。
図9図9は本発明の更なる実施例に係る励起光の反射経路の模式図の一例である。
図10図10は本発明による大サイズのチップのN電極の構造の上面模式図の一例である。
図11図11は本発明による大サイズのチップのP電極の構造の下面模式図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態のいくつかを詳細に説明する。
図1及び図2に例示的に参照されるとおり、本発明は電流が効果的に分散される高信頼性の垂直型発光ダイオード構造に関するものあり、その一実施例は、P型電極10と、導電性基板20と、発光半導体層30と、オーミック接触金属層40と、N型電極ブリッジ構造50と、N型電極60とを含む。導電性基板20の片側にP型電極10が設けられ、導電性基板20の他側は中央領域21と、中央領域21に隣接する側縁領域22とを備える。
【0013】
発光半導体層30は、導電性基板20の中央領域21に設けられ、P型半導体層31と、量子井戸層32(Multiple-Quantum Well、略称MQW)と、N型半導体層33とを含み、P型半導体層31は導電性基板20上に設けられ、量子井戸層32(MQW)はP型半導体層31上に設けられ、N型半導体層33は量子井戸層32上に設けられる。
【0014】
本実施例において、オーミック接触金属層40はN型半導体層33にオーミック接触するようにN型半導体層33の中心上に設けられる。N型電極ブリッジ構造50はブリッジ絶縁層51と、ブリッジ導電層52とを備え、ブリッジ絶縁層51は、N型半導体層33と導電性基板20の側縁領域22を横断するように設けられ、且つオーミック接触金属層40のすぐ隣に位置し、ブリッジ導電層52はブリッジ絶縁層51上に設けられ、且つその一端はオーミック接触金属層40に接続され、その他端は導電性基板20の側縁領域22にまで延伸する。N型電極60は、ワイヤーボンディング工程に用いられ、側縁領域22の上方に位置するようにブリッジ導電層52上に設けられる。
【0015】
好ましい一実施例では、導電性基板20は緩衝層23と、結合層24と、代替基板25とを含んでもよく、ブリッジ絶縁層51及び発光半導体層30は緩衝層23上に設けられ、代替基板25はP型電極10上に設けられ、結合層24は緩衝層23と代替基板25を接着して固定させる。
【0016】
また、本発明のいくつかの実施例において、導電性基板20の側縁領域22に設けられる二次P型電極70をさらに含んでもよい。側縁領域22は中央領域21を取り囲み、且つ二次P型電極70とN型電極60は中央領域21の異なる側の側縁領域22に位置する(図2を参照)。
【0017】
また、一実施例では、側縁領域22は同じく中央領域21を取り囲むが、二次P型電極70とN型電極60は中央領域21の同側の側縁領域22に位置する(図3を参照)。
【0018】
図4に参照されるとおり、発光半導体層30の発光を駆動する場合、発光半導体層30に動作電流Iを発生させる。図1に示す構造では、動作電流Iが中・小電流で、当該垂直型発光ダイオードを駆動して低輝度用途で使用する場合には、P型電極10、二次P型電極70のいずれかは第1極とされてもよく(図4に示すのがP型電極10の使用例)、且つN型電極60は第2極とされ、当該第1極と当該第2極との間に(不図示の)動作電圧を供給することで、動作電流Iを生じ、オーミック接触金属層40から発光半導体層30に入る。
【0019】
図5に参照されるとおり、動作電流Iで当該垂直型発光ダイオードを駆動して高輝度用途で使用する場合には、P型電極10及び二次P型電極70の両方は第1極とされ、N型電極60は第2極とされ、且つ当該第1極と当該第2極との間に当該動作電圧(大電圧)を供給することで、動作電流I(大電流)を生じ、動作電流I(大電流)に2つの経路があるため、動作電流Iが分散して電流密度が低下し、局所的な高温で部品の劣化が加速されてさらには焼損されるという問題が避けられる。
【0020】
図2又は図3に参照されるとおり、本発明のいくつかの実施例において、電流が一層分散され且つ均一に発光半導体層30を流れるように、オーミック接触金属層40に接続されるようにN型半導体層33が設けられ(図1を参照)、且つそれぞれオーミック接触金属層421によってN型半導体層33に接続される少なくとも1つの二次導電回路42をさらに含む。一実施例では、少なくとも1つの二次導電回路42は四周に拡散してもよい。図6に参照されるとおり、電流密度等高線P1、P2が描かれており、電流密度等高線P1が電流密度等高線P2より大きく、即ち電流密度はN型半導体層33の中心で最高であり、四周に離れる方向に漸次低減する。
【0021】
図7図8及び図9に参照されるとおり、輝度を増すために、導電性基板20の発光半導体層30に隣接する領域にはP型半導体層31にオーミック接触する導電金属光反射層80が設けられてもよく、且つオーミック接触金属層40とN型半導体層33の接触面にはN型半導体層33の外側に突出する電極反射層81が設けられてもよく、電極反射層81はオーミック接触金属層40の高反射性金属と下方のN型半導体層33の組み合わせで外側に突出する反射面として構成される。電極反射層81の外形は凸面反射鏡の単体(図7)、凸面反射鏡の連続(図8)、チルトミラーの複合体(図9)のいずれか1種である。導電金属光反射層80と電極反射層81を組み合わせることで、発光半導体層30が励起光Lを発生させる時に、オーミック接触金属層40によって遮断されたはずの励起光Lが、導電金属光反射層80と電極反射層81の複数回の反射によって発光半導体層30の光射出面から射出され、励起光Lの取り出し効率が増し、発光輝度が向上する。同様に、N型電極ブリッジ構造50において当該方法で遮光を減らすことができ、ここで、ブリッジ導電層52とブリッジ絶縁層51の接触面にはブリッジ絶縁層51の外側に突出するブリッジ反射層82が設けられてもよい。具体的には、一実施例では、ブリッジ導電層52には高反射率の金属が用いられ、ブリッジ絶縁層51には高光透過率の絶縁材料(例えば、SiO、SiN)が用いられる。さらに、当該実施例ではエッチングによって、(透明の)高光透過率のブリッジ絶縁層51とブリッジ導電層52が接触する平面を下向きの凸面構造として構成してもよい。このように、ブリッジ導電層52は高反射金属として、N型電極ブリッジ構造50によって反射鏡が構成され、当該凸面構造の形状は凸面反射鏡の単体、凸面反射鏡の連続、チルトミラーの複合体のいずれか1種であり、導電金属光反射層80とブリッジ反射層82の複数回の反射によって、励起光Lの取り出し効率が増す。
【0022】
図10が参照されるとおり、発光半導体層30が大サイズ(例えば、3mm×3mm)のチップである場合に、モジュール化の手法で回路を構成してもよい。具体的には、本発明は複数の二次N型電極90をさらに含んでもよく、複数の二次N型電極90はオーミック接触金属層40を中心にN型半導体層33に分散して設けられ、且つ複数の二次N型電極90はそれぞれN型半導体層33に設けられたN型電極導電回路91によってオーミック接触金属層40に接続され、オーミック接触金属層40とN型電極導電回路91の接続関係を明瞭に示すために、オーミック接触金属層40の上方のブリッジ導電層52を省略する。複数の二次N型電極90はそれぞれオーミック接触金属層901によってN型半導体層33に接続される。(図10では不図示の)動作電流が一層分散されるように、複数のN型電極導電回路91とN型半導体層33の接触面はそれぞれ回路絶縁層92を備えてもよく、言い換えれば、オーミック接触金属層40又は複数の二次N型電極90からしか動作電流がN型半導体層33に入ることができず、動作電流の電流密度等高線P3から分かるように、一部の動作電流をN型半導体層33の四周、即ち複数の二次N型電極90に導くと、発光の均一性を改善できる。
【0023】
図11に参照されるとおり、大サイズのチップを用いる場合に同様に二次P型電極70を含んでもよく(図1を参照)、二次P型電極70は導電性基板20の側縁領域22に設けられる。電流を一層分散させるために、P型電極10と(図11では不図示の)導電性基板20は複数の絶縁隔離通路11によって分割されてもよく、複数の絶縁隔離通路11では半導体のエッチング工程でギャップを形成させることで絶縁の効果を得る。複数の絶縁隔離通路11によってP型電極10は複数のP型サブ電極101に分割され、且つ複数のP型サブ電極101の位置はそれぞれ複数の二次N型電極90に対応し、且つ、1つのP型サブ電極101が二次P型電極70に接続され、且つ複数の絶縁隔離通路11に設けられた複数のP型導電回路12が他の複数のP型サブ電極101に選択的に接続されることで、二次P型電極70に接続された複数のP型サブ電極101は間隔を開けて配列される。言い換えれば、複数のP型サブ電極101の一部のみが二次P型電極70に電気的に接続され、より高い動作電流と強制的なP側電流の一層分散が求められる使用シーンでは、電流がP型電極10又は二次P型電極70のみを流れるように設定してもよく、オーミック接触金属層40と組み合わせて動作電流を生じることで、電流が強制的に一層分散され、熱の発生源が一層分散されることになり、放熱効果が高められる。
【0024】
上述したように、本発明は少なくとも以下の利点を有する。
1.垂直型発光ダイオードの構造設計を採用するため、軸方向光が得られる。
【0025】
2.N型電極ブリッジ構造を設けることで、N型電極は側縁領域の上方に設けられ、動作電流をN型半導体層の中心に導いて中心から分散させることで、電流が効果的に分散され、N型電極を中央に設置するものと比べてパッケージの金線が干渉する問題や、N型電極をエッジに設置する設計では局所的に高電流になる問題が避けられ、発光効率が増すとともに、部品の信頼性が高められる。
【0026】
3.電極反射層及びブリッジ反射層と、導電金属光反射層とを組み合わせることで、遮断されたはずの光が、複数回の反射によって光射出面から射出され、励起光の取り出し効率が増す。
【0027】
4.N型電極の下方に発光半導体層が設けられないため、ワイヤーボンディング工程中に発光半導体層が応力を受けて破損する問題はなく、ワイヤーボンディング中にN型半導体層を傷つける問題は避けられ、ワイヤーボンディングにより大きな作用力が許容され、ワイヤーボンディングの接合効果に役立ち、長期的には信頼性が下がる恐れが低減される。
【0028】
5.後のパッケージング工程でパッケージ接着剤を牽引して応力が生じる時には、間接的に金属ワイヤーを引いて発光半導体層に亀裂が生じ、剥がされる恐れは避けられる。
【0029】
6.P型電極と二次P型電極という二重の電極設計により、動作電流を効果的に分散でき、より高い動作電流に対応し、P型電極と二次P型電極のパッケージとの接続部が不平坦であったり多くの孔隙が存在したりするために局所的な熱集中、部品が動作しないなどの恐れが避けられる。
【0030】
7.発光半導体層が大サイズ(例えば、3mm×3mm)のチップである場合に、モジュール化の手法で、複数の二次N型電極、複数のN型電極導電回路及び複数の回路絶縁層を設けることで、動作電流がオーミック接触金属層又は複数の二次N型電極からN型半導体層に入って分散するように導くことで、動作電流を効果的に分散し、発光の均一性を改善する。
【0031】
8.従来技術(例えば、特許文献1)と比べて、本発明は工程がシンプルで、コストが安いだけでなく、構造強度が高められるため、物理的な外部破壊に効果的に耐えられるようになり、P型電極の電流分散効果が高められる。
【符号の説明】
【0032】
10 P型電極
11 絶縁隔離通路
101 P型サブ電極
20 導電性基板
21 中央領域
22 側縁領域
23 緩衝層
24 結合層
25 代替基板
30 発光半導体層
31 P型半導体層
32 量子井戸層
33 N型半導体層
40 オーミック接触金属層
42 二次導電回路
421 オーミック接触金属層
50 N型電極ブリッジ構造
51 ブリッジ絶縁層
52 ブリッジ導電層
60 N型電極
70 二次P型電極
80 導電金属光反射層
81 電極反射層
82 ブリッジ反射層
90 二次N型電極
901 オーミック接触金属層
91 N型電極導電回路
92 回路絶縁層
L 励起光
P1 電流密度等高線
P2 電流密度等高線
【要約】      (修正有)
【課題】軸方向光、高輝度及び高信頼性が要求される使用シーンに対応する垂直型発光ダイオード構造を提供する。
【解決手段】垂直型発光ダイオード構造は、中央領域21と側縁領域22を備える導電性基板20と、中央領域に設けられる発光半導体層30と、発光半導体層の中心に設けられるオーミック接触金属層40と、側縁領域に設けられるN型電極60と、オーミック接触金属層とN型電極を接続させるN型電極ブリッジ構造50とを含む。動作電流を発光半導体層の中心から拡散させることで電流が効果的に分散され、N型電極をエッジに設置することで局所的な高電流になり放熱しにくい問題が避けられ、ワイヤーボンディングに用いるN型電極を側縁領域に設けることでパッケージの金線は干渉せず、発光半導体層が応力を受けて破損せず、ワイヤーボンディングや牽引で発光半導体層に亀裂が生じ剥がされる問題が避けられ、信頼性が向上する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11