(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20220325BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20220325BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20220325BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
H05K5/02 H
H05K5/02 M
F16C11/04 F
F16C11/10 C
(21)【出願番号】P 2021020757
(22)【出願日】2021-02-12
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森野 貴之
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0021762(US,A1)
【文献】特開2019-067279(JP,A)
【文献】米国特許第06223393(US,B1)
【文献】特開2020-091723(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0378203(US,A1)
【文献】米国特許第09557771(US,B1)
【文献】米国特許第09470404(US,B2)
【文献】特表2017-510065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
H05K 5/02
F16C 11/04
F16C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1筐体と、
前記第1筐体と隣接する第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを、互いに面方向で重なるように積層する0度姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ180度姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、
前記第1筐体と前記第2筐体との間に亘って設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動することに応じて折り曲げられる折曲領域を有するディスプレイと、
前記第1筐体の内面側に配置され、表面で前記ディスプレイの裏面を支持する第1プレートと、
前記第2筐体の内面側に配置され、表面で前記ディスプレイの裏面を支持する第2プレートと、
を備え、
前記ヒンジ装置は、
前記第1筐体及び前記第2筐体の隣接端部に沿って延在し、前記隣接端部を跨ぐように配置されると共に、表面で前記ディスプレイの裏面を支持するヒンジ本体と、
前記第1筐体の内面側で前記隣接端部に沿って延在し、前記ヒンジ本体と相対回転可能に連結されると共に、前記ヒンジ本体と前記第1プレートとの間に配置され、表面で前記ディスプレイの裏面を支持する第1サポートプレートと、
前記第2筐体の内面側で前記隣接端部に沿って延在し、前記ヒンジ本体と相対回転可能に連結されると共に、前記ヒンジ本体と前記第2プレートとの間に配置され、表面で前記ディスプレイの裏面を支持する第2サポートプレートと、
を有し、
当該電子機器は、さらに、
前記第1プレートの裏面に設けられ、該第1プレートと前記第1サポートプレートとの間の第1境界線を越えて前記第1サポートプレート側へと突出することで、前記180度姿勢時に前記第1サポートプレートの裏面に当接する第1係止片と、
前記第1サポートプレートの裏面に設けられ、前記第1境界線を越えて前記第1プレート側へと突出することで、前記180度姿勢時に前記第1プレートの裏面に当接する第1ヒンジ側係止片と、
前記第2プレートの裏面に設けられ、該第2プレートと前記第2サポートプレートとの間の第2境界線を越えて前記第2サポートプレート側へと突出することで、前記180度姿勢時に前記第2サポートプレートの裏面に当接する第2係止片と、
前記第2サポートプレートの裏面に設けられ、前記第2境界線を越えて前記第2プレート側へと突出することで、前記180度姿勢時に前記第2プレートの裏面に当接する第2ヒンジ側係止片と、
を備え
、
前記第1プレート及び前記第2プレートは、炭素繊維にマトリクス樹脂を含侵させた炭素繊維強化樹脂で形成され、
前記第1サポートプレート及び前記第2サポートプレートは、金属材料で形成され、
前記第1係止片及び前記第2係止片は、樹脂材料で形成され、
前記第1ヒンジ側係止片及び前記第2ヒンジ側係止片は、金属材料で形成されており、
前記第1プレートの裏面には、外縁部を囲むように第1金属フレームが取り付けられ、
前記第2プレートの裏面には、外縁部を囲むように第2金属フレームが取り付けられ、
前記第1係止片は、基端部が前記第1プレートと前記第1金属フレームとの間に挟み込まれ、
前記第2係止片は、基端部が前記第2プレートと前記第2金属フレームとの間に挟み込まれている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項
1に記載の電子機器であって、
前記第1係止片の基端部は、少なくとも前記第1金属フレームに対して接着され、
前記第2係止片の基端部は、少なくとも前記第2金属フレームに対して接着されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項
2に記載の電子機器であって、
前記第1係止片の基端部は、前記第1プレートの裏面には接着されず、
前記第2係止片の基端部は、前記第2プレートの裏面には接着されていない
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の電子機器であって、
さらに、前記第1プレートの裏面側から前記第2プレートの裏面側まで、前記第1サポートプレートの裏面側と、前記ヒンジ本体と、前記第2サポートプレートの裏面側とを通過するように設けられることで、前記第1筐体に搭載された電子部品と前記第2筐体に搭載された電子部品とを接続する配線部材を備え、
前記第1筐体及び前記第2筐体の厚み方向で、前記配線部材は、前記第1係止片、前記第1ヒンジ側係止片、前記第2係止片、及び前記第2ヒンジ側係止片とオーバーラップしない位置を通過している
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の筐体をヒンジ装置で連結した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、物理的なキーボードを持たないタブレット型PCやスマートフォン等の電子機器が急速に普及している。この種の電子機器のディスプレイは、使用時には大きい方が望ましい反面、非使用時には小型化できることが望まれている。そこで、有機EL(Electro Luminescence)等のフレキシブルディスプレイを用いることで、筐体だけでなくディスプレイまでも折り曲げ可能に構成した電子機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシブルディスプレイは、繰り返しの折曲動作に耐えなければならない。このため、電子機器は、ディスプレイを所望の曲率半径で折曲動作させることができる構成を備えることが求められる。また、フレキシブルディスプレイは非常に薄く、衝撃等にも弱い。このため、フレキシブルディスプレイの裏面は段差なく高い平面度で支持されている必要がある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、折り曲げされるディスプレイを安定して支持することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電子機器は、第1筐体と、前記第1筐体と隣接する第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを、互いに面方向で重なるように積層する0度姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ180度姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、前記第1筐体と前記第2筐体との間に亘って設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動することに応じて折り曲げられる折曲領域を有するディスプレイと、前記第1筐体の内面側に配置され、表面で前記ディスプレイの裏面を支持する第1プレートと、前記第2筐体の内面側に配置され、表面で前記ディスプレイの裏面を支持する第2プレートと、を備え、前記ヒンジ装置は、前記第1筐体及び前記第2筐体の隣接端部に沿って延在し、前記隣接端部を跨ぐように配置されると共に、表面で前記ディスプレイの裏面を支持するヒンジ本体と、前記第1筐体の内面側で前記隣接端部に沿って延在し、前記ヒンジ本体と相対回転可能に連結されると共に、前記ヒンジ本体と前記第1プレートとの間に配置され、表面で前記ディスプレイの裏面を支持する第1サポートプレートと、前記第2筐体の内面側で前記隣接端部に沿って延在し、前記ヒンジ本体と相対回転可能に連結されると共に、前記ヒンジ本体と前記第2プレートとの間に配置され、表面で前記ディスプレイの裏面を支持する第2サポートプレートと、を有し、当該電子機器は、さらに、前記第1プレートの裏面に設けられ、該第1プレートと前記第1サポートプレートとの間の第1境界線を越えて前記第1サポートプレート側へと突出することで、前記180度姿勢時に前記第1サポートプレートの裏面に当接する第1係止片と、前記第1サポートプレートの裏面に設けられ、前記第1境界線を越えて前記第1プレート側へと突出することで、前記180度姿勢時に前記第1プレートの裏面に当接する第1ヒンジ側係止片と、前記第2プレートの裏面に設けられ、該第2プレートと前記第2サポートプレートとの間の第2境界線を越えて前記第2サポートプレート側へと突出することで、前記180度姿勢時に前記第2サポートプレートの裏面に当接する第2係止片と、前記第2サポートプレートの裏面に設けられ、前記第2境界線を越えて前記第2プレート側へと突出することで、前記180度姿勢時に前記第2プレートの裏面に当接する第2ヒンジ側係止片と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、折り曲げされるディスプレイを安定して支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を閉じて0度姿勢とした状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電子機器を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す電子機器の内部構造を模式的に示す平面図である。
【
図4A】
図4Aは、0度姿勢での電子機器の内部構造を模式的に示す側面断面図である。
【
図4B】
図4Bは、45度姿勢での電子機器の内部構造を模式的に示す側面断面図である。
【
図4C】
図4Cは、180度姿勢での電子機器の内部構造を模式的に示す側面断面図である。
【
図5】
図5は、各プレートを各サポートプレートからX方向に離間させた状態での模式的な要部拡大平面図である。
【
図6】
図6は、各プレートと各サポートプレートとが当接した状態での模式的な要部拡大底面図である。
【
図7】
図7は、プレートの要部を拡大して上方から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、ヒンジ装置の要部を拡大して上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を閉じて0度姿勢とした状態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す電子機器10を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す平面図である。
図3は、
図2に示す電子機器10の内部構造を模式的に示す平面図である。
【0011】
図1~
図3に示すように、電子機器10は、第1筐体12A及び第2筐体12Bと、ヒンジ装置14と、ディスプレイ16とを備える。本実施形態の電子機器10は、本のように折り畳み可能なタブレット型PC或いはノート型PCを例示する。電子機器10は、携帯電話、スマートフォン、携帯用ゲーム機等であってもよい。
【0012】
各筐体12A,12Bは、互いに隣接して配置されている。各筐体12A,12Bは、例えば、それぞれヒンジ装置14で連結される辺(隣接端部12Aa,12Ba)以外の3辺に側壁を起立形成した矩形の板状部材で形成されている。各筐体12A,12Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属板、或いは炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。ヒンジ装置14は、筐体12A,12B間を相対的に回動可能に連結している。ヒンジ装置14は、
図1に示す0度姿勢で形成される隣接端部12Aa,12Ba間の隙間を隠す背表紙部材としても機能する。ディスプレイ16は、筐体12A,12B間に亘って延在している。
【0013】
図3に示すように、第1筐体12Aは、マザーボード17等の電子部品を搭載している。マザーボード17には、例えばCPU(Central Processing Unit)17a、通信モジュール17b、SSD(Solid State Drive)17c等の電子部品が実装されている。CPU17aは、電子機器10の主たる制御や処理に関する演算を行う。通信モジュール17bは、例えば第2筐体12Bに搭載されたアンテナ18を介して送受信される無線通信の情報処理を行うデバイスであり、例えばワイヤレスWANや第5世代移動通信システムに対応する。SSD17cは、半導体メモリを用いた記憶装置である。マザーボード17等の電子部品は、第1筐体12Aの内面12Abと、後述する第1プレート24Aとの間に形成された空間S1(
図4C参照)に配置されている。
【0014】
第2筐体12Bは、例えばアンテナ18、バッテリ装置19等の電子部品を搭載している。バッテリ装置19は、当該電子機器10の電源である。アンテナ18やバッテリ装置19等の電子部品は、第2筐体12Bの内面12Bbと、後述する第2プレート24Bとの間に形成された空間S2(
図4C参照)に配置されている。
【0015】
以下、電子機器10について、筐体12A,12Bの並び方向をX方向、これと直交する隣接端部12Aa,12Baに沿う方向をY方向、筐体12A,12Bの厚み方向をZ方向、と呼んで説明する。また、筐体12A,12B間の角度姿勢について、互いに面方向で重なるように積層された状態を0度姿勢(
図1及び
図4A参照)と呼び、互いに面方向と垂直する方向(X方向)に並んだ状態を180度姿勢(
図4C参照)と呼んで説明する。0度と180度の間の姿勢は適宜角度を刻んで呼び、例えば
図4Bに示す姿勢を45度姿勢と呼ぶ。これらの角度は説明の便宜上のものであり、実際の製品では角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じるものであり、これらのずれた角度位置も含めて、本実施形態では0度姿勢等と呼んで説明している。
【0016】
図4A、
図4B、
図4Cは、それぞれ0度姿勢、45度姿勢、180度姿勢での電子機器10の模式的な側面断面図である。
図4A~
図4Cに示すように、筐体12A,12B間は、ヒンジ装置14により、0度姿勢と180度姿勢との間で相対的に回動可能に連結されている。
【0017】
図4Aに示す0度姿勢において、筐体12A,12Bは、二つ折りに折り畳まれた状態となる。この際、ディスプレイ16は、第1筐体12A側の領域RAと、第2筐体12B側の領域RBとが対向するように配置され、領域RA,RB間の境界領域である折曲領域R1が円弧状に折り曲げられた状態となる。
図4Cに示す180度姿勢において、筐体12A,12Bは、互いに左右に並んで配置される。この際、ディスプレイ16は、領域RA,RB及び折曲領域R1がXY平面上に並んで配置され、全体として1枚の平板形状を成す(
図2も参照)。
【0018】
図4A~
図4Cに示すように、ディスプレイ16は、例えばディスプレイパネル20の裏面にシート状部材22を貼り付けた構造である。ディスプレイ16は、領域RAが第1筐体12Aに対して相対的に固定され、領域RBが第2筐体12Bに対して相対的に固定される。具体的には、領域RAの裏面16aは、第1プレート24A及び第1サポートプレート27Aで支持され、第1プレート24Aを介して第1筐体12Aと固定される。領域RBの裏面16aは、第2プレート24B及び第2サポートプレート27Bで支持され、第2プレート24Bを介して第2筐体12Bと固定される。サポートプレート27A,27Bは、ヒンジ装置14の構成部品である。
【0019】
図3~
図4Cに示すように、プレート24A,24Bは、炭素繊維にマトリクス樹脂、例えばエポキシ樹脂等の熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂を含侵させた炭素繊維強化樹脂で形成されたプレートである。プレート24A,24Bは、ヒンジ装置14を間に挟むように左右に配置され、それぞれの表面24Aa,24Baでディスプレイ16の裏面16aを支持する。
【0020】
プレート24A,24Bは、炭素繊維強化樹脂で形成されているため、高い平面度の確保と、薄型化及び軽量化とが可能である。但し、炭素繊維強化樹脂は、炭素繊維が外周端面(エッジ)から粉吹き状に脱落する懸念があり、また、形状加工やねじ加工等も難しい。そこで、本実施形態の第1プレート24Aは、外周端面及び裏面24Abの外縁部を囲む第1金属フレーム25Aが取り付けられている(
図3~
図4C参照)。同様に、第2プレート24Bの外周端面や裏面24Bbの外縁部には第2金属フレーム25Bが取り付けられている。金属フレーム25A,25Bは、例えばマグネシウム等の金属材料で形成された薄い枠体である。プレート24A,24Bは、金属フレーム25A,25Bに形成されたねじ穴等を利用して筐体12A,12Bに固定される。
【0021】
プレート24A,24Bは、炭素繊維強化樹脂ではなく、金属材料や樹脂材料で形成されてもよい。この場合、金属フレーム25A,25Bは省略してもよい。
【0022】
図4A~
図4Cに示すように、ディスプレイ16の折曲領域R1は、筐体12A,12Bに対して相対移動可能である。180度姿勢時、折曲領域R1の裏面16aは、ヒンジ本体26及びサポートプレート27A,27Bで支持される(
図4C参照)。0度姿勢時、折曲領域R1は、円弧状に折り曲げられ、裏面16aの一部がサポートプレート27A,27Bで支持され、大部分はヒンジ装置14から離間する(
図4A参照)。
【0023】
図3~
図4Cに示すように、本実施形態のヒンジ装置14は、ヒンジ本体26と、第1サポートプレート27Aと、第2サポートプレート27Bとを有する。
【0024】
ヒンジ本体26は、筐体12A,12Bの隣接端部12Aa,12Baを跨ぐ位置に設けられ(
図4C参照)、隣接端部12Aa,12Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している(
図1及び
図3参照)。ヒンジ本体26は、アルミニウム等の金属材料で形成されたブロック状部品である。ヒンジ本体26には、180度姿勢でX方向に並ぶ2本のヒンジ軸14A,14Bが支持されている。
【0025】
第1ヒンジ軸14Aは、例えば第1筐体12Aの内面12Abに固定された第1ブラケット28A(
図5参照)に対して第1回転リンク29Aを介して相対移動可能に連結されている。同様に、第2ヒンジ軸14Bは、例えば第2筐体12Bの内面12Bbに固定された第2ブラケット28B(
図5参照)に対して第2回転リンク29Bを介して相対移動可能に連結されている。ブラケット28A,28B及び回転リンク29A,29Bは、例えばY方向両端のそれぞれに設けられている(
図5参照)。これによりヒンジ本体26は、筐体11,12B間を相対的に回動可能に連結している。ヒンジ本体26内には、筐体12A,12B間の回動動作を同期させるギヤ機構や、筐体12A,12B間の回動動作に所定の回動トルクを付与するトルク機構等も設けられている。ヒンジ本体26の外面は、化粧用のカバー材26aで覆われている。
【0026】
0度姿勢から180度姿勢までの間、ヒンジ本体26は、その表面26bによってディスプレイ16の裏面16aを支持する。
図4Cに示す180度姿勢時、ヒンジ本体26は、筐体12A,12B内に収納され、互いに近接又は当接した隣接端部12Aa,12BaをX方向に跨ぐ。
図4Aに示す0度姿勢時、ヒンジ本体26は、大きく離間した隣接端部12Aa,12Ba間の隙間を塞ぐように配置され、本のように折り畳まれた電子機器10の背表紙となる。この際、カバー材26aが最外面に露出することで、折り畳まれた電子機器10の外観意匠が低下することを防止している(
図1参照)。
【0027】
サポートプレート27A,27Bは、アルミニウム等の金属材料で形成されたプレートであり、左右対称形状である。第1サポートプレート27Aは、第1筐体12Aの内面12Ab側に設けられ、隣接端部12Aaに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。第1サポートプレート27Aは、幅方向(X方向)の一端部が回転軸27Aaを用いてヒンジ本体26と相対回転可能に連結されている。第1サポートプレート27Aは、幅方向の他端部(境界端部27Ab)が第1筐体12Aに対して相対移動可能に設けられている。境界端部27Abは、第1プレート24Aの一端部(境界端部24Ac)と隣接する。これにより第1サポートプレート27Aは、180度姿勢時にヒンジ本体26と第1プレート24Aとの間に配置される。
【0028】
第2サポートプレート27Bは、第2筐体12Bの内面12Bb側に設けられ、隣接端部12Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。第2サポートプレート27Bは、一端部が回転軸27Baを用いてヒンジ本体26と相対回転可能に連結され、他端部(境界端部27Bb)が第2プレート24Bの境界端部24Bcと隣接する。これにより第2サポートプレート27Bは、180度姿勢時にヒンジ本体26と第2プレート24Bとの間に配置される。
【0029】
サポートプレート27A,27Bは、筐体12A,12B間の回動動作に応じて筐体12A,12Bの内面12Ab,12Bbに対してX方向及びZ方向に相対移動する。180度姿勢時、サポートプレート27A,27Bは、その表面27Ac,27Bcによってディスプレイ16の裏面16aを支持する。180度以外の角度姿勢では、サポートプレート27A,27Bは、ディスプレイ16との間に隙間を設けた状態、又はディスプレイ16を変形させない程度の僅かな力でディスプレイ16に接触する。サポートプレート27A,27Bは、180度以外の角度姿勢でもディスプレイ16の折曲領域R1を支持し、その形状を矯正する構成としてもよい。このように、サポートプレート27A,27Bは、180度姿勢時にはディスプレイ16の折曲領域R1を平面で安定して支持する一方、折曲領域R1の折曲動作を阻害することはない。
【0030】
図4Cに示す180度姿勢において、プレート24A,24Bの境界端部24Ac,24Bcと、サポートプレート27A,27Bの境界端部27Ab,27Bbとは、段差なく1枚の平面を形成する必要がある。
【0031】
仮に180度姿勢時に境界端部24Ac,27Ab間、或いは境界端部24Bc,27Bb間がZ方向に位置ずれし、表面24Aa,27Ac間、或いは表面24Ba,27Bc間に段差を生じると、この段差の影響がディスプレイ16に及ぶ。そうすると、ディスプレイ16が180度姿勢時に湾曲或いは波打ちし、視認不良や表示不良等の製品不良を生じる可能性がある。またディスプレイ16が湾曲等を生じていると、180度姿勢と0度姿勢との間の開閉動作時にディスプレイ16が設計上の開閉軌道で可動しない可能性がある。そうすると、ディスプレイ16は、特に折曲領域R1及びその付近で過度な負荷を受け、破損や不良を生じる懸念もある。
【0032】
そこで、当該電子機器10は、上記した段差の発生を抑制するための構成を備える。すなわち電子機器10は、第1係止片30Aと、第2係止片30Bと、第1ヒンジ側係止片31Aと、第2ヒンジ側係止片31Bとを備える。
【0033】
図5は、プレート24A,24Bをサポートプレート27A,27BからX方向に離間させた状態での模式的な要部拡大平面図である。
図6は、プレート24A,24Bとサポートプレート27A,27Bとが当接した状態での模式的な要部拡大底面図である。
図7は、第1プレート24Aの要部を拡大して上方から見た斜視図である。
図8は、ヒンジ装置14の要部を拡大して上方から見た斜視図である。
【0034】
第1係止片30A及び第2係止片30Bは、樹脂材料で形成された爪状部材である。
図5~
図7に示すように、第1係止片30Aは、第1プレート24Aの裏面24Abに設けられ、境界端部24Acから突出している。第1係止片30Aは、第1プレート24Aと第1サポートプレート27Aとの間の第1境界線B1を越えて第1サポートプレート27A側へと突出することで、180度姿勢時に第1サポートプレート27Aの裏面27Adに当接する(
図4C及び
図6参照)。第1係止片30Aの先端部は、境界端部24Acから例えば2mm程度突出している。第1係止片30Aは、Y方向で複数(例えば6個)が並ぶように設けられている。
【0035】
第1係止片30Aの先端には第1サポートプレート27Aの境界端部27Abへの干渉を抑制するためのテーパ面が形成されている(
図7参照)。なお、このようなテーパ面は、第2係止片30B及びヒンジ側係止片31A,31Bの先端にも同様に設けられている(
図7及び
図8参照)。
【0036】
図4C及び
図7に示すように、第1係止片30Aの基端部は、第1プレート24Aの裏面24Abと、第1金属フレーム25Aとの間に挟み込まれている。本実施形態では、第1係止片30Aは、先ず、第1金属フレーム25Aに接着剤で固定され、この状態で第1金属フレーム25Aと共に第1プレート24Aに接着剤で固定される。これにより第1係止片30Aの上面と第1プレート24Aの裏面24Abとの間には接着剤が介在せず、第1係止片30AのZ方向での位置決め精度が高まる。勿論、第1係止片30Aは、第1プレート24Aの裏面24Abに接着してもよいし、第1プレート24A及び第1金属フレーム25Aのそれぞれに接着してもよい。
【0037】
図5~
図7に示すように、第2係止片30Bは、第1係止片30Aと左右対称となる取付状態で第2プレート24Bに設けられているため、詳細な説明は省略する。すなわち第2係止片30Bは、第2プレート24Bの裏面24Bbに設けられ、第2プレート24Bと第2サポートプレート27Bとの間の第2境界線B2を越えて突出し、180度姿勢時に第2サポートプレート27Bの裏面27Bdに当接する(
図4C及び
図6参照)。また、第2係止片30Bについても、その基端部が第2プレート24Bと第2金属フレーム25Bとの間に挟み込まれた状態で、第2金属フレーム25Bに接着されている。第2係止片30Bについても、第1プレート24Aに接着してもよいし、第1プレート24A及び第1金属フレーム25Aのそれぞれに接着してもよい。第2係止片30BもY方向で複数(例えば6個)が並ぶように設けられている。
【0038】
図5~
図7中の参照符号32は、第1プレート24A及び第2プレート24Bの境界端部24Ac,24Bcからそれぞれ突出するスロープ部材である。スロープ部材32は、境界端部24Ac,24Bcに沿って複数(例えば6個)が並ぶように設けられている。スロープ部材32は、180度姿勢から0度姿勢に向かう回動時にディスプレイ16の裏面16aに摺動し、折曲領域R1を回動角度に応じた適切な形状(直線形状や湾曲形状)に矯正することを補助する部材である。各サポートプレート27A,27Bの境界端部27Ab,27Bbには、180度姿勢時にスロープ部材32が干渉することを回避するための凹状の逃げ部33が形成されている。
【0039】
第1ヒンジ側係止片31A及び第2ヒンジ側係止片31Bは、アルミニウムやステンレス等の金属材料で形成された爪状部材である。
図5、
図6及び
図8に示すように、第1ヒンジ側係止片31Aは、第1サポートプレート27Aの裏面27Adに設けられ、境界端部27Abから突出している。すなわち第1ヒンジ側係止片31Aは、第1境界線B1を越えて第1プレート24A側へと突出することで、180度姿勢時に第1プレート24Aの裏面24Abに当接する(
図4C及び
図6参照)。この際、第1プレート24Aは、第1ヒンジ側係止片31Aが当接する部分の第1金属フレーム25Aが凹状に切り欠かれている(
図6中の切欠部25Aa参照)。このため、金属製の第1ヒンジ側係止片31Aは、金属製の第1金属フレーム25Aではなく、樹脂表面で形成された第1プレート24Aの裏面24Abに当接する。第1ヒンジ側係止片31Aの先端部は、境界端部27bから例えば2mm程度突出している。第1ヒンジ側係止片31Aは、Y方向で複数(例えば4個)が並ぶように設けられている。
【0040】
図4C~
図6に示すように、第1ヒンジ側係止片31Aの基端部は、第1サポートプレート27Aの裏面27Adに対して例えば2本のねじ34で固定されている。これにより第1ヒンジ側係止片31Aは、Z方向に高い精度で位置決めされる。
【0041】
図5、
図6及び
図8に示すように、第2ヒンジ側係止片31Bは、第1ヒンジ側係止片31Aと左右対称となる取付状態で第2サポートプレート27Bの裏面27Bdに設けられているため、詳細な説明は省略する。すなわち第2ヒンジ側係止片31Bは、第2サポートプレート27Bの裏面27Bdに設けられ、第2境界線B2を越えて突出し、180度姿勢時に第2プレート24Bの裏面24Bb当接する(
図4C及び
図6参照)。また、第2ヒンジ側係止片31Bについても、その基端部が裏面27Bdに対してねじ34で固定されている。第2プレート24Bの第2金属フレーム25Bについても、第2ヒンジ側係止片31Bが当接する部分に切欠部25Baを有する。このため、金属製の第2ヒンジ側係止片31Bは、樹脂表面で形成された第2プレート24Bの裏面24Bbに当接する。第2ヒンジ側係止片31BもY方向で複数(例えば4個)が並ぶように設けられている。
【0042】
図5及び
図6に示すように、第1係止片30Aと第1ヒンジ側係止片31Aとは、Y方向で互い違いとなるように配置されている。同様に、第2係止片30Bと第2ヒンジ側係止片31Bとは、Y方向で互い違いとなるように配置されている。
【0043】
図3、
図5及び
図6に示すように、電子機器10は、第1筐体12Aに搭載されたマザーボード等の電子部品と、第2筐体12Bに搭載されたアンテナ18やバッテリ装置19等の電子部品との間を接続する配線部材36を備える。各図では、例えば3本の配線部材36を設けた構成を例示しているが、設置数は適宜変更可能である。
【0044】
各配線部材36は、フレキシブル基板やワイヤ状のケーブル等で形成され、左右の筐体12A,12Bの内面12Ab,12Bb間に亘って延在している。具体的には、各配線部材36は、第1プレート24Aの裏面24Ab側から第2プレート24Bの裏面24Bb側まで、第1サポートプレート27Aの裏面27Ad側と、ヒンジ本体26の内部と、第2サポートプレート27Bの裏面27Bd側とを通過するように設けられている。
【0045】
各配線部材36は、各係止片30A,30B及び各ヒンジ側係止片31A,31Bと上下方向(Z方向)にオーバーラップしない位置を通過している(
図5及び
図6参照)。すなわち
図6に示すように、互いに隣接する1つの第1係止片30Aと1つの第1ヒンジ側係止片31Aとの組は、所定の間隔(例えば15mm程度)を確保しつつ、可能な限り近接した配置とされている。この間隔は、後述する段差の抑制を安定して実現するために必要なものである。このため、隣接する組と組との間には、配線部材36を通すために十分なY方向のスペースが確保される。このスペースは、例えば
図6中で最も左側の第1係止片30Aと、この右側に配置される第1ヒンジ側係止片31Aとの間に形成されたものである。同様に、第2係止片30Bと第2ヒンジ側係止片31Bとの配置についても、第1係止片30Aと第1ヒンジ側係止片31Aとの配置の場合と同様にして配線部材36を通すためのY方向のスペースを確保している。
【0046】
さらに、各配線部材36が、各係止片30A,30B及び各ヒンジ側係止片31A,31Bとオーバーラップしないことで、筐体12A,12B間の回動時に各係止片30A,30B及び各ヒンジ側係止片31A,31Bが配線部材36に干渉し、これを破損させることも抑制できる。
【0047】
なお、
図5に示す構成例では、
図5中で最も左側の係止片30A,30B、及び最も右側の係止片30A,30Bは、上記のような組を構成していないが、上記した各組と同様なヒンジ側係止片との配置関係を適用してもよい。
【0048】
ところで、本実施形態の場合、各境界線B1,B2には、これら係止片30A,30B及びヒンジ側係止片31A,31Bの他に、スロープ部材32及び逃げ部33が設置されている。そこで、互いに隣接する1つの係止片30A(30B)と1つのヒンジ側係止片31A(31B)との組は、スロープ部材32及び逃げ部33を間に挟む位置に配置されることが好ましい。そうすると、各境界線B1,B2上では、互いに隣接する係止片30A(30B)とヒンジ側係止片31A(31B)との組が、スロープ部材32及び逃げ部33を間に挟んで集合した配置となり、配線部材36の設置スペースを最大限に確保できる。
【0049】
次に、筐体12A,12Bの回動動作と、その際の作用効果を説明する。
【0050】
先ず、
図4Aに示す0度姿勢時、筐体12A,12Bは互いの面方向が略平行して積層された意匠性の高い折り畳み状態となっている。この際、ディスプレイ16は、折曲領域R1が所望の曲率で湾曲したベル形状を成している。すなわちディスプレイ16は、所定の隙間を介して平行に積層されたプレート24A,24Bによって折曲領域R1が所望のベル形状に折り曲げられる。その結果、電子機器10は、筐体12A,12Bが可能な限り薄型化され、且つディスプレイ16の折曲時の破損も抑制される。
【0051】
次に、筐体12A,12B間が0度姿勢から180度姿勢に向かって回動される場合を説明する。この場合は、
図4A~
図4Cに示すように、筐体12A,12B間の開き動作に伴い、サポートプレート27A,27Bが回転軸27Aa,27Baを中心として揺動しつつ、筐体12A,12Bに対して相対移動する。ディスプレイ16の折曲領域R1は、筐体12A,12Bと一体的に動作するプレート24A,24Bによって折曲状態が次第に解除される。
【0052】
図4Cに示す180度姿勢となると、プレート24A,24B、ヒンジ本体26、及びサポートプレート27A,27Bは、それぞれ同一のXY平面上に並ぶ。これらは、それぞれの表面24Aa,24Ba,26b,27Ac,27Bcが面一に配置され、全体として1枚の平板を形成する。ディスプレイ16は、この平板上で裏面16a全体が支持され、1枚の平板状の大画面を形成する(
図2も参照)。これにより電子機器10は大画面のタブレット型PCとして機能する。
図2中の参照符号38はベゼル部材であり、ディスプレイ16の表面16bの周縁部にある非アクティブ領域を枠状にカバーする部材である。
【0053】
次に、筐体12A,12B間が180度姿勢から0度姿勢に向かって回動される場合を説明する。この場合は、
図4C~
図4Aに示すように、筐体12A,12B間の閉じ動作に伴い、再びサポートプレート27A,27Bが揺動し、筐体12A,12Bに対して相対移動する。ディスプレイ16は、筐体12A,12Bと一体的に動作するプレート24A,24Bからの折曲力を受け、折曲領域R1が次第に折り曲げられる。その結果、折曲領域R1は、180度姿勢において、再び
図4Aに示す略ベル形状を成す。
【0054】
このような回動動作に際し、係止片30,31は、プレート24A,24Bの境界端部24Ac,24Bcから張り出した位置にある先端部が、
図4Cに示す180度姿勢ではサポートプレート27A,27Bの裏面27Ad,27Bdに当接する。また係止片30,31は、
図4Aに示す0度姿勢では裏面27Ad,27Bdから離間する。同様に、ヒンジ側係止片31A,31Bは、サポートプレート27A,27Bの境界端部27Ab,27Bbから張り出した位置にある先端部が、
図4Cに示す180度姿勢ではプレート24A,24Bの裏面24Ab,24Bbに当接する。またヒンジ側係止片31A,31Bは、
図4Aに示す0度姿勢では裏面24Ab,24Bbから離間する。
【0055】
このように、筐体12A,12B間が0度姿勢から180度姿勢に動作した際、各係止片30A,30Bの上面は、対向するサポートプレート27A,27Bの裏面27Ad,27Bdに当接し、この裏面27Ad,27Bdを押し上げる。また各係止片30A,30Bと互い違いに配置されたヒンジ側係止片31A,31Bの上面は、対向するプレート24A,24Bの裏面24Ab,24Bbに当接し、この裏面24Ab,24Bbを押し上げる。
【0056】
これにより第1境界線B1では、第1係止片30Aが第1サポートプレート27Aを押し上げる力と、第1ヒンジ側係止片31Aが第1プレート24Aを押し上げる力とが互いに規制し合う。その結果、第1プレート24Aと第1サポートプレート27Aとは、互いの境界端部24Ac,27AbがZ方向で段差を生じず、互いの表面24Aa,27Acが面一に配置されて安定する。同様に、第2境界線B2では、第2係止片30Bが第2サポートプレート27Bを押し上げる力と、第2ヒンジ側係止片31Bが第2プレート24Bを押し上げる力とが互いに規制し合う。その結果、第2プレート24Bと第2サポートプレート27Bとは、互いの境界端部24Bc,27BbがZ方向で段差を生じず、互いの表面24Ba,27Bcが面一に配置されて安定する。
【0057】
なお、ヒンジ本体26とサポートプレート27A,27Bとは、互いに回転軸27Aa,27Baで連結され、段差を生じることはない。従って、電子機器10は、
図4Cに示す180度姿勢において、ディスプレイ16を支持する表面24Aa,24Ba,26b,27Ac,27Bcが1枚の平面を安定して形成する。このため、電子機器10は、180度姿勢時にディスプレイ16を安定して支持することができ、ディスプレイ16の変形や製品不良等を生じることを抑制できる。第1係止片30Aと第1ヒンジ側係止片31Aとの組、及び第2係止片30Bと第2ヒンジ側係止片31Bとの組は、それぞれ少なくとも1組あればよい。
【0058】
また、電子機器10では、プレート24A,24bが炭素繊維強化樹脂で形成され、これに当接するヒンジ側係止片31A,31Bが金属材料で形成されている。また、サポートプレート27A,27Bが金属材料で形成され、これに当接する係止片30A,30Bが樹脂材料で形成されている。このため、筐体12A,12B間が0度姿勢から180度姿勢へと回動した際、係止片30A,30Bとサポートプレート27A,27Bとの間、及びヒンジ側係止片31A,31Bとプレート24A,24Bとの間で金属同士の衝突がなく、衝突音の発生を抑制できる。
【0059】
当該電子機器10では、第1係止片30Aは、基端部が第1プレート24Aと第1金属フレーム25Aとの間に挟み込まれている。また第2係止片30Bは、基端部が第2プレート24Bと第2金属フレーム25Bとの間に挟み込まれている。これにより係止片30A,30Bは、炭素繊維強化樹脂で形成されたプレート24A,24Bに対してねじ等を用いずに強固に固定できる。また、本実施形態のプレート24A,24Bは、上記したように炭素繊維強化樹脂製であることから外縁部に金属フレーム25A,25Bを取り付けている。そこで、係止片30A,30Bは、上記した挟み込みでの取付構造を採用したことで、金属フレーム25A,25Bの表面ではなく、プレート24A,24Bの裏面24Ab,24Bbに直接固定でき、Z方向での位置決め精度が向上する。勿論、位置決め精度等の問題が小さい場合等では、係止片30A,30Bを金属フレーム25A,25Bの表面(下面)に固定してもよい。
【0060】
この際、係止片30A,30Bの基端部は、プレート24A,24Bの裏面24Ab,24Bbには接着されていない。このため、係止片30A,30Bとプレート24A,24Bとの間に接着剤のように、厚みの制御が難しい部材が介在しない。その結果、係止片30A,30Bは、Z方向での位置決め精度が向上する。勿論、この位置決め精度が確保できれば、係止片30A,30Bをプレート24A,24Bに接着し、その固定強度を高めてもよい。
【0061】
また、第1係止片30Aは、複数設置されるが、それぞれ独立しており、第2係止片30Bについても同様である。このため、各係止片30A,30Bは、必要最小限の大きに構成でき、その下にあるマザーボード17やバッテリ装置19等の設置スペースを侵食することも抑制できる。勿論、このようなスペースの問題等が小さい構成等では、各係止片30A,30Bは、例えばフォーク状に一体構造としてもよく、ヒンジ側係止片31A,31Bについても同様である。
【0062】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0063】
例えば各係止片30A,30Bは、プレート24A,24Bに一体に形成してもよい。同様に、各ヒンジ側係止片31A,31Bは、サポートプレート27A,27Bに一体に形成してもよい。
【0064】
上記では、本のように二つ折りに折り畳み可能な電子機器10を例示したが、本発明は、同形の筐体同士を二つ折りに折り畳む構成以外、例えば大形の筐体の左右縁部にそれぞれ小形の筐体を折り畳み可能に連結した観音開きの構成、1つの筐体の左右縁部にそれぞれ折り畳み方向の異なる筐体を連結したS型の折り畳み構成、大形の筐体の左右一方の縁部に小形の筐体を折り畳み可能に連結したJ型の折り畳み構成等、各種構成に適用可能であり、筐体の連結数は4以上としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 電子機器
12A 第1筐体
12B 第2筐体
14 ヒンジ装置
16 ディスプレイ
24A 第1プレート
24B 第2プレート
25A 第1金属フレーム
25B 第2金属フレーム
26 ヒンジ本体
27A 第1サポートプレート
27B 第2サポートプレート
30A 第1係止片
30B 第2係止片
31A 第1ヒンジ側係止片
31B 第2ヒンジ側係止片
36 配線部材
【要約】
【課題】折り曲げされるディスプレイを安定して支持することができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、第1筐体と第2筐体とを0度姿勢と180度姿勢との間で相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、折曲領域を有するディスプレイと、第1プレートと、第2プレートとを備える。ヒンジ装置は、ヒンジ本体と、第1サポートプレートと、第2サポートプレートとを有する。電子機器はさらに、第1プレートに設けられ、180度姿勢時に第1サポートプレートの裏面に当接する第1係止片と、第1サポートプレートに設けられ、180度姿勢時に第1プレートの裏面に当接する第1ヒンジ側係止片と、第2プレートに設けられ、180度姿勢時に第2サポートプレートの裏面に当接する第2係止片と、第2サポートプレートに設けられ、180度姿勢時に第2プレートの裏面に当接する第2ヒンジ側係止片とを備える。
【選択図】
図4C