(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-24
(45)【発行日】2022-04-01
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20220325BHJP
B23Q 17/20 20060101ALI20220325BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
B23Q11/00 N
B23Q17/20 A
B23Q17/24 A
(21)【出願番号】P 2022001047
(22)【出願日】2022-01-06
【審査請求日】2022-01-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】西川 静雄
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-013182(JP,A)
【文献】特開2013-129036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B23Q 17/20、24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工する加工機構部と、該加工機構部による加工が完了したワークの機上計測を行う計測部とを備えた工作機械であって、
加工完了後のワークの計測対象部位に付着した異物を検出可能な異物検出部と、
加工完了後のワークの計測対象部位に付着した異物を除去する異物除去動作を実行可能な異物除去部と、
前記ワークの計測対象部位に異物が付着している旨を含む異物付着情報を報知可能な報知部と、
前記計測部、前記異物除去部及び前記報知部の作動制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記加工機構部により前記ワークの加工が完了すると、前記異物除去部に前記異物除去動作を実行させるとともに、当該異物除去動作の終了後のワークについて前記異物検出部に異物検出処理を実行させて、その処理結果を基に、前記ワークの計測対象部位に異物が付着しているか否かを判定する判定処理を実行し、該判定処理の結果、異物の付着が無いと判定した場合には、前記計測部に前記機上計測を実行させる一方、異物の付着が有ると判定した場合には、前記計測部による機上計測を非実行とするとともに、前記報知部に前記異物付着情報を報知させるように構成され
、
前記計測対象部位の数は複数であり、
前記異物検出部は、複数の前記計測対象部位のそれぞれに付着した異物を検出可能に構成され、
前記制御部は、複数の前記計測対象部位のそれぞれについて前記判定処理を実行し、当該判定処理の結果を基に、少なくとも1つの計測対象部位に異物が付着していると判定した場合には、前記異物付着情報として、前記異物が付着している旨に加えて、当該異物が付着している計測対象部位を特定可能な情報を含めて、前記報知部に当該異物付着情報を報知させるように構成され、
前記報知部は、前記異物付着情報を表示する表示部からなり、
前記異物付着情報は、前記ワークの形状を模擬した画像に前記計測部により計測されるワークの寸法の位置を表示し且つ表示した寸法に対応する計測対象部位に異物の付着が有るか否かを示した画像情報であることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
ワークを加工する加工機構部と、該加工機構部による加工が完了したワークの機上計測を行う計測部とを備えた工作機械であって、
加工完了後のワークの計測対象部位に付着した異物を検出可能な異物検出部と、
加工完了後のワークの計測対象部位に付着した異物を除去する異物除去動作を実行可能な異物除去部と、
前記ワークの計測対象部位に異物が付着している旨を含む異物付着情報を報知可能な報知部と、
前記計測部、前記異物除去部及び前記報知部の作動制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記加工機構部により前記ワークの加工が完了すると、前記異物除去部に前記異物除去動作を実行させるとともに、当該異物除去動作の終了後のワークについて前記異物検出部に異物検出処理を実行させて、その処理結果を基に、前記ワークの計測対象部位に異物が付着しているか否かを判定する判定処理を実行し、該判定処理の結果、異物の付着が無いと判定した場合には、前記計測部に前記機上計測を実行させる一方、異物の付着が有ると判定した場合には、前記計測部による機上計測を非実行とするとともに、前記報知部に前記異物付着情報を報知させるように構成され、
前記計測対象部位の数は複数であり、
前記異物検出部は、複数の前記計測対象部位のそれぞれに付着した異物を検出可能に構成され、
前記制御部は、複数の前記計測対象部位のそれぞれについて前記判定処理を実行し、当該判定処理の結果を基に、少なくとも1つの計測対象部位に異物が付着していると判定した場合には、前記異物付着情報として、前記異物が付着している旨に加えて、当該異物が付着している計測対象部位を特定可能な情報を含めて、前記報知部に当該異物付着情報を報知させるように構成され、
前記制御部は、前記判定処理の結果、少なくとも1つの計測対象部位に異物が付着していると判定した場合であっても、異物の付着が無いと判定した計測対象部位が存在する場合には、当該計測対象部位に対応する寸法の機上計測を前記計測部に実行させるとともに、その計測結果を表示部に表示させるように構成されていることを特徴とする工作機械。
【請求項3】
前記制御部は、前記判定処理の結果、前記
複数の計測対象部位
の少なくとも1つに異物の付着が有ると判定した場合には、前記異物除去部に前記異物除去動作を実行させた後に当該判定処理を再度実行する制御処理を、該判定処理にて
全ての計測対象部位に異物付着が無いと判定されるまで繰り返し実行し、該判定処理にて
全ての計測対象部位に異物付着が無いとの判定結果が得られた場合には前記計測部に機上計測を実行させる一方、前記制御処理を所定回数繰り返しても
全ての計測対象部位に異物付着が無いとの判定結果が得られない場合には、前記報知部に前記異物付着情報を報知させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項4】
前記制御部は、前記判定処理の結果、前記複数の計測対象部位の少なくとも1つに異物の付着が有ると判定した場合には、前記異物除去部に前記異物除去動作を実行させた後に当該判定処理を再度実行する制御処理を、該判定処理にて全ての計測対象部位に異物付着が無いと判定されるまで繰り返し実行し、該判定処理にて全ての計測対象部位に異物付着が無いとの判定結果が得られた場合には前記計測部に機上計測を実行させる一方、前記制御処理を所定回数繰り返しても全ての計測対象部位に異物付着が無いとの判定結果が得られない場合には、全ての計測対象部位に異物付着が有るか否かをさらに判定し、当該判定の結果、全ての計測対象部位に異物付着が有ると判定された場合にはその旨を、前記報知部に前記異物付着情報として報知させ、当該判定処理の結果、一部の計測対象部位については異物付着が無いと判定された場合には、当該計測対象部位に対応する寸法の機上計測を前記計測部に実行させるとともにその計測結果を表示部に表示させるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工が完了したワークの機上計測を行う計測部を備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
機械加工の分野では、加工後のワークを工作機械から取り外すことなく当該ワークの各種寸法を計測(以下、機上計測という)するといったことが従来から行われている。機上計測は、例えば工作機械の主軸に計測用のプローブを装着して、当該プローブを工作機械の送り機構を利用してワークの表面に沿って移動させることで実行される。機上計測には、大別すると接触方式と非接触方式との2つの方式がある。接触方式では、プローブの先端をワークの表面に接触させつつ計測を行う一方、非接触方式ではプローブの先端をワークの表面から僅かに離間させた状態で計測を行う。いずれの方式を採用した場合にも、ワークの表面に切屑等が付着していると、計測時に切屑がプローブの先端に付着したり、切屑をワーク表面形状として誤計測したりするという問題がある。このような問題を回避するべく、例えば特許文献1に示す工作機械では、機上計測を開始する前に、洗浄装置によってワークの洗浄処理を実行するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す工作機械では、機上計測を開始する前にワークの洗浄処理を実行するようにしているが、ワーク表面の異物の付着状況によっては、洗浄処理を行ったとしても異物を完全に除去することができない場合がある。ワーク表面に異物が残った状態で機上計測処理を実行すると、当該異物の影響でプローブによる計測値が異常な値を示して誤計測の原因になる。このような誤計測が生じると、例えばワークが実際には正常な寸法に加工されていたとしても、機上計測により異常な値が計測されて、作業者が当該ワークを機外に移動させて計測を手動でやり直す作業を強いられたり、ワークの加工寸法が設計要件を満たしていないにも拘わらず誤計測により設計要件を満たしていると判断されて不良品が流出したりする虞がある。
【0005】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであって、加工が完了したワークの機上計測を行う計測部を備えた工作機械において、その構成に工夫を凝らすこと、加工完了後のワークの表面に残った異物の影響で誤計測が生じるのを防止することを、その目的とする
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の一局面は、
ワークを加工する加工機構部と、該加工機構部による加工が完了したワークの機上計測を行う計測部とを備えた工作機械であって、
加工完了後のワークの計測対象部位に付着した異物を検出可能な異物検出部と、
加工完了後のワークの計測対象部位に付着した異物を除去する異物除去動作を実行可能な異物除去部と、
前記ワークの計測対象部位に異物が付着している旨を含む異物付着情報を報知可能な報知部と、
前記計測部、前記異物除去部及び前記報知部の作動制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記加工機構部により前記ワークの加工が完了すると、前記異物除去部に前記異物除去動作を実行させるとともに、当該異物除去動作の終了後のワークについて異物検出部に異物検出処理を実行させて、その処理結果を基に、前記ワークの計測対象部位に異物が付着しているか否かを判定する判定処理を実行し、該判定処理の結果、異物の付着が無いと判定した場合には、前記計測部に前記機上計測を実行させる一方、異物の付着が有ると判定した場合には、前記計測部による機上計測を非実行とするとともに、前記報知部に前記異物付着情報を報知させるように構成されている工作機械に係る。
【0007】
この工作機械によれば、加工機構部によるワークの加工が完了すると、制御部による制御の下、異物除去部が、ワークの計測対象部位に付着した異物を除去するための異物除去動作を実行する。異物除去部による異物除去動作が終了した後は、制御部による制御の下、異物検出部がワークの計測対象部位に付着した異物を検出するための異物検出処理を実行する。制御部では、この異物検出処理の結果を基に、ワークの計測対象部位に異物が付着しているか否かの判定処理を実行する。この判定処理の結果、ワークの計測対象部位への異物の付着が無いと判定された場合、つまり異物の影響による誤計測が発生しないと想定される場合には、制御部による制御の下、計測部がワークの機上計測を実行する。一方、前記判定処理の結果、ワークの計測対象部位への異物の付着が有ると判定された場合、つまり、異物の影響により誤計測が発生する可能性が高いと想定される場合には、制御部による制御の下、計測部が機上計測を非実行とするとともに、報知部が、ワークの計測対象部位に異物が付着している旨を異物付着情報として報知する。
【0008】
したがって、ワークの計測対象部位に異物が付着した状態で計測部による機上計測が実行されるのを防止することができる。延いては、異物の付着の影響で計測部による計測値が異常な値を示して誤計測が発生するのを防止することができる。また、作業者は、報知部より異物付着情報が報知された場合には、この報知を受けてワークの計測対象部位に異物が付着していることを認識し、ワークを機外に移動させて手動で寸法計測を行うなどの対策を講じることができる。
【0009】
前記制御部は、前記判定処理の結果、前記計測対象部位に異物の付着が有ると判定した場合には、前記異物除去部に前記異物除去動作を実行させた後に当該判定処理を再度実行する制御処理を、該判定処理にて異物付着が無いと判定されるまで繰り返し実行し、該判定処理にて異物付着が無いとの判定結果が得られた場合には前記計測部に機上計測を実行させる一方、前記制御処理を所定回数繰り返しても異物付着が無いとの判定結果が得られない場合には、前記報知部に前記異物付着情報を報知させるように構成されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、異物除去部による異物除去動作と、制御部における異物付着の判定処理が、当該判定処理で異物の付着が無いと判定されるまで繰返し実行される。したがって、例えば、ワークの計測対象部位に一回の異物除去動作では除去できないほど強固に付着した異物が存在する場合でも、異物除去動作を繰り返すことによりこれらの異物を簡単に除去することができる。また、仮に異物除去動作を所定回数繰り返してもこれらの異物が除去できない場合には、報知部によって計測対象部位に異物が付着している旨が異物付着情報として報知される。これにより、作業者は、計測対象部位に異物が付着していることを認識して、ワークを機外に移動させて手動計測を行うなどの対策を講じることができる。
【0011】
前記制御部は、前記計測対象部位の数は複数であり、前記異物検出部は、複数の前記計測対象部位のそれぞれに付着した異物を検出可能に構成され、前記制御部は、複数の前記計測対象部位のそれぞれについて前記判定処理を実行し、当該判定処理の結果を基に、少なくとも1つの計測対象部位に異物が付着していると判定した場合には、前記異物付着情報として、前記異物が付着している旨に加えて、当該異物が付着している計測対象部位を特定可能な情報を含めて、前記報知部に当該異物付着情報を報知させるように構成されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、複数の計測対象部位のそれぞれについて、異物検出部による異物検出処理の結果を基に異物の付着があるか否かの判定処理が制御部によって実行される。そして、制御部において、これらの判定処理の結果を基に、複数の計測対象部位の少なくとも一つに異物の付着があると判定された場合には、制御部による制御の下、報知部が、計測対象部位に異物が付着している旨及び異物が付着している計測対象部位を特定可能な情報を含む異物付着情報を報知する。これによれば、報知部により単に異物が付着している旨を報知する場合に比べて、作業者が異物の付着箇所を容易に特定することができる。よって、作業者は、ワークの寸法を手動計測する際に当該異物の除去作業を迅速に行うことができる。
【0013】
前記報知部は、前記報知部は、前記異物付着情報を表示する表示部からなり、前記異物付着情報は、前記ワークの形状を模擬した画像に、前記計測部により計測される寸法の位置を表示し且つ表示した寸法に対応する計測対象部位に異物の付着が有るか否かを示した画像情報であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、制御部による制御の下、表示部(報知部)に異物付着情報が表示される。そして、この異物付着情報は、ワークの形状を模擬した画像に、前記計測部により計測される寸法の位置を表示し且つ表示した寸法に対応する計測対象部位に異物の付着が有るか否かを示した画像情報からなる。これにより、作業者は、表示部に表示された画像情報(異物付着情報)を見て、複数の計測対象部位のうち異物が付着している部位を視覚を通じて容易に特定することができる。
【0015】
前記制御部は、前記判定処理の結果、少なくとも1つの計測対象部位に異物が付着していると判定した場合であっても、異物の付着が無いと判定した計測対象部位が存在する場合には、当該計測対象部位に対応する寸法の機上計測を前記計測部に実行させるとともに、その計測結果を表示部に表示させるように構成されている。
【0016】
これによれば、異物付着が無い計測対象部位に対応する寸法については計測部による機上計測が実行される。したがって、計測部による全寸法の機上計測が中止されるのを防止し、延いては、機上計測の計測効率を向上させることができる
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明に係る工作機械によれば、ワークの加工完了後に異物除去動作を実行した後、異物検出部により異物検出処理を実行して、その処理結果を基に、ワークの計測対象部位に異物が付着しているか否かを判定する判定処理を実行し、該判定処理の結果、異物の付着が無いと判定した場合には、計測部に機上計測を実行させる一方、異物の付着が有ると判定した場合には、計測部による機上計測を非実行とするとともに、計測対象部位に異物が付着している旨の異物付着情報を報知部に報知させるようにしたことで、加工完了後のワークの表面に残った異物の影響で寸法の誤計測が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態1に係る工作機械を示す斜視図である。
【
図2】工作機械の制御システムを示すブロック図である。
【
図3】機上計測により計測されるワークの各種寸法を示す概略斜視図である。
【
図4】機上計測前に実行される前処理制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態2を示す
図4相当図である。
【
図6】本発明の実施形態2に係る工作機械において、表示部に表示される異物付着情報の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態に係る工作機械1を示す斜視図であり、
図2は、該工作機械1の制御系の構成を示すブロック図である。この工作機械1は、加工完了後のワークWを機内にセットした状態で当該ワークWの各種寸法を計測可能な機上計測システム50(計測部の一例)を備えている。該工作機械1は、ワークWに切屑等の異物が付着した状態で機上計測システム50による計測が実行されるのを回避するべく、機上計測の実行前に前処理制御を実行するように構成されている。前処理制御の内容及び機上計測システム50の詳細については後述する。
【0021】
図3は、加工完了後のワークWの一例であり、本例では、ワークWは工作機械1の前側から見て凸型状をなす柱状体からなり、機上計測システム50は、図中に示す6つの寸法A~Fを計測する。機上計測システム50は、後述するレーザ計測ヘッド51を用いて予め定めた計測対象部位までの距離データを取得し、取得した距離データを基に各寸法A~Fを計測(算出)する。ここで、計測対象部位とは、各寸法A~Fを計測する際に位置情報を取得する必要がある部位であって、例えば寸法Bに対応する計測対象部位は、ワークWの幅方向(X軸方向)の両側面であり、寸法Eに対応する計測対象部位は、円孔13の内周面であり、寸法Fに対応する計測対象部位は、ワークWの奥行き方向(Y軸方向)の両側面である。尚、説明は省略するが、他の寸法A、C、Dについても同様の考え方で計測対象部位を決定することができる。
【0022】
図1に戻って、前記工作機械1は、ベッド2と、ベッド2上に配設されたコラム3と、コラム3に支持され、上下方向(Z軸方向)に移動自在となった主軸頭4と、軸線がZ軸と平行且つ軸線中心に回転自在に主軸頭4によって支持され、工具が装着される主軸5、ベッド2上に水平方向(Y軸方向)に移動自在に配設されたサドル6と、サドル6上にZ軸及びY軸の双方と直交するX軸方向に移動自在に配設され、上面にワークWが載置されるテーブル7とを備えている。前記主軸5は、先端面に開口したテーパ穴を備えており、このテーパ穴内には、工具を固定するためのコレット及びドローバなどが配設され、これらコレット及びドローバのZ軸方向への移動によって工具を着脱可能になっている。
【0023】
工作機械1はさらに、
図2に示すように、各軸方向の送り動作を行う送り機構部11と、主軸5に装着された工具を新たな工具と交換する工具交換装置10と、前処理制御時に作動するワーク洗浄装置30及び異物検出システム40(異物検出部の一例)と、前記機上計測システム50と、工作機械1の全体動作を制御する制御装置20とを備えている。
【0024】
前記送り機構部11は、制御装置20による制御の下、前記主軸5に装着された工具と、ワークWとの相対的な位置関係を変化させる。これにより、ワークWが所望の形状に加工される。また、主軸5には、工具に代えて後述するレーザ計測ヘッド51を装着可能になっている。レーザ計測ヘッド51は、後述するように機上計測システム50の一部であり、テーブル7上にセットされたワークWの計測対象部位との距離を計測可能に構成されている。
【0025】
前記工具交換装置10は、特に図示はしないが、複数の工具が格納される工具マガジンと、工具マガジンに格納された工具と主軸5に装着された工具とを交換する交換機構とを備えており、この交換機構は、まず、主軸5に装着されている工具を引き抜いた後、新たな工具を主軸5に装着する。また、工具マガジンには、工具の他に、前記レーザ計測ヘッド51が格納されており、工具交換装置10は、工具に代えてレーザ計測ヘッド51を主軸5に装着可能に構成されている。
【0026】
ワーク洗浄装置30は、ワークWの表面に向けてクーラントを吐出することで切屑等の異物を洗浄除去するように構成されている。具体的には、ワーク洗浄装置30は、主軸頭4に取付けられたマニホールドと、マニホールドから分岐してワーク表面に向けてクーラントを供給する配管と、工作機械1の背面側に設けられたクーラントタンクから前記マニホールドにクーラントを導くクーラントポンプ(いずれも図示省略)とを有して構成される。
【0027】
異物検出システム40は、テーブル7上にセットされた加工完了後のワークWの画像を撮像可能な一対の撮像カメラ41と、一対の撮像カメラ41による撮像画像を基にワーク表面の計測対象部位に付着した異物を検出する画像処理装置42とを有している。
【0028】
一対の撮像カメラ41は、
図1に示すように、工作機械1の外観を区画するスプラッシュガード12の天井壁に取付けられている。各撮像カメラ41は、例えばCCDカメラやCMOSカメラにより構成されていて、工作機械1の正面側から見ると、主軸頭4の軸線を挟んで左右対称に配置されている。そして、各撮像カメラ41は、それぞれの光軸が主軸頭4の下方を向くように傾斜して配置されている。各撮像カメラ41は、制御装置20より撮像指令を受信すると撮像動作を実行して、ワークWの左側半部及び右側半部の画像をそれぞれ撮像する。そして、各撮像カメラ41は、撮像したワークWの画像データを画像処理装置42(
図2参照)に送信する。
【0029】
画像処理装置42は、画像データ取得部42aと検出処理部42bとを有している。画像処理装置42は、CPU、ROM及びRAMを有するコンピュータにより構成され、画像データ取得部42a及び検出処理部42bは、コンピュータプログラムによってその機能が実現される
具体的には、画像データ取得部42aは、各撮像カメラ41により撮像された画像データを各画素の配列位置と輝度値とを対応させたデジタルデータとして取得する。
【0030】
検出処理部42bは、画像データ取得部42aが取得した各撮像カメラ41の撮像画像データを、基準画像と比較することでワークWの計測対象部位に異物が付着しているか否かを検出する。ここで、基準画像とは、計測対象部位に異物が付着していないワークWの画像であって予め記憶部(図示しない)に記憶されている。
【0031】
検出処理部42bは、撮像画像と基準画像との差分画像中における計測対象部位に対応する部分に切屑等の異物の画像が存在するか否かをパターンマッチングにより判定する。尚、異物の検出手法は、パターンマッチングに限ったものでななく、例えば、計測対象部位に異物が付着した画像と異物が付着していない画像とをコンピュータに入力して機械学習を行うことで異物検出用の学習モデルを生成し、生成した学習モデルを用いて異物検出を行うようにしてもよい。
【0032】
機上計測システム50は、レーザ変位計の原理を用いてワークWの各種寸法を非接触で計測する。具体的には、機上計測システム50は、主軸5に着脱可能に装着されるレーザ計測ヘッド51と、計測データ処理装置52とを有している。レーザ計測ヘッド51は、ヘッド本体に内蔵されたレーザ発振器51a、受光センサ51b及び無線通信部51cを有している。レーザ計測ヘッド51は、工具交換装置10の工具マガジン内に格納されており、ワークWの加工完了後に工具交換装置10により主軸5に装着され、制御装置20からの指令を受けて計測動作を開始する。この計測動作では、先ず、レーザ発振器51aよりワークWの表面に向けてレーザ光を照射し、ワークWの表面により反射されたレーザ光を受光センサ51bにより受光し、受光センサ51bによる受光位置の変化を基にワークWの表面との距離を算出し、算出した距離に係るデータを無線通信部51cを介して計測データ処理装置52に送信する。
【0033】
計測データ処理装置52は、レーザ計測ヘッド51から送信された距離データを受信して、受信した距離データと、制御装置20から取得した主軸5及びテーブル7のX軸,Y軸及びZ軸方向における相対移動位置データとを基に、計測対象部位の位置を算出し、算出した計測対象部位の位置を基にワークWの各種寸法A~Fを算出する。計測データ処理装置52は、算出したワークWの各種寸法A~Fの情報を制御装置20に送信する。そして、制御装置20は、計測データ処理装置52から受信した寸法情報を、工作機械1の操作パネルに設けられた表示部9に表示させる。
【0034】
制御装置20は、加工制御部20a、計測制御部20b、及び前処理制御部20cを有している。制御装置20は、CPU、ROM及びRAMを有するコンピュータにより構成され、加工制御部20a、計測制御部20b、及び前処理制御部20cは、コンピュータプログラムによってその機能が実現される。
【0035】
具体的には、加工制御部20aは、NCプログラムに基づいて、主軸5及び送り機構部11等からなる加工機構部8を制御することでワークWを所望の形状に加工する制御を実行する。
【0036】
計測制御部20bは、加工機構部8によるワークWの加工完了後に計測制御を実行する。この計測制御では、送り機構部11によってレーザ計測ヘッド51を所定の計測位置に順次移動させつつ、該レーザ計測ヘッド51に前記計測動作を実行させる。
【0037】
前処理制御部20cは、加工機構部8によるワークWの加工完了後、計測制御部20bによる計測制御が開始する前に、ワーク洗浄装置30及び異物検出システム40用いた前処理制御を実行する。
【0038】
図4を参照しながら、前処理制御部20cにより実行される前処理制御の詳細を説明する。前処理制御部20cは、先ず、加工制御部20aによるNCプログラムの実行状況を監視して、加工機構部8によるワークWの加工が完了したか否かを判定する(ステップSA1)。前処理制御部20cは、加工機構部8によるワークWの加工が完了していないと判定した場合には(ステップSA1でNO)、この判定処理を再度実行する一方、加工機構部8によるワークWの加工が完了したと判定した場合には(ステップSA1でYES)、ワーク洗浄装置30にワークWの洗浄動作を実行させる(ステップSA2)。
【0039】
そして、ワーク洗浄装置30によるワークWの洗浄動作が終了した後、前処理制御部20cは、異物検出システム40に異物検出処理を実行させるべく、各撮像カメラ41に撮像指令を出力する(ステップSA3)。各撮像カメラ41は、前処理制御部20cより撮像指令を受信すると、ワークWの撮像処理を実行してその撮像画像データを画像処理装置42に送信する。画像処理装置42では、受信した各撮像カメラ41からの撮像画像データを基に、検出処理部42bがワークWの計測対象部位に異物が付着しているか否かを検出する。この検出結果は、画像処理装置42から制御装置20の前処理制御部20cへと送信される。前処理制御部20cでは、画像処理装置42より受信した検出結果を基に、ワークWの複数の計測対象部位のうち少なくとも1つに異物の付着が有るか否かを判定する(ステップSA4)。
【0040】
そして、前処理制御部20cでは、この判定処理の結果、ワークWの全ての計測対象部位について異物の付着無しと判定した場合には(ステップSA4でNO)、計測制御部20bに対して計測開始指令を出力し、計測制御部20bによる制御の下、レーザ計測ヘッド51に計測動作を実行させる(ステップSA6)。この計測動作の開始後はステップSA1に戻る。
【0041】
一方、前処理制御部20cは、前記ステップSA4の判定処理で、少なくとも1つの計測対象部位に異物の付着が有ると判定した場合には(ステップSA4でYES)、現時点までに実行された洗浄動作の回数が所定回数未満であるか否かを判定し、所定回数未満であると判定した場合には(ステップSA5でYES)、ステップSA2に戻ってワーク洗浄装置30にワークWの洗浄動作を再度実行させる。この洗浄動作は、ステップSA4にてワークWの全ての計測対象部位について異物の付着無しと判定されるまで繰り返し実行されるが、異物の付着無しとの判定結果が得られずに洗浄動作の回数が所定回数に達した場合には(ステップSA5でNO)、前処理制御部20cは、ワーク表面に異物が付着している旨の情報(以下、異物付着情報という)を表示部9に表示させて(ステップSA7)、しかる後にステップSA1に戻る。
【0042】
[実施形態1の作用効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、制御装置20は、加工機構部8によるワークWの加工が完了すると(ステップSA1でYES)、ワーク洗浄装置30に洗浄動作(異物除去動作に相当)を実行させるとともに(ステップSA2)、当該洗浄動作の終了後のワークWについて異物検出システム40に異物検出処理を実行させて(ステップSA3)、その処理結果を基に、前記ワークWの計測対象部位に異物が付着しているか否かを判定する判定処理を実行し(ステップSA4)、該判定処理の結果、異物の付着が無いと判定した場合には(ステップSA4でNO)、レーザ計測ヘッド51に計測動作を実行させる一方(ステップSA6)、異物の付着が有ると判定した場合には(ステップSA4でYES)、レーザ計測ヘッド51による機上計測を非実行とするとともに、表示部9に異物付着情報を表示することでワークWの計測対象部位に異物が付着している旨を報知するように構成されている(ステップSA7)。
【0043】
この構成によれば、加工完了後のワークWの計測対象部位に異物が付着していることが異物検出システム40により検出された場合には、機上計測システム50による計測処理が開始する前に、ワーク洗浄装置30よる洗浄動作が実行される。よって、ワークWの計測対象部位に異物が付着した状態でレーザ計測ヘッド51による機上計測が実行されるのを防止することができる。延いては、レーザ計測ヘッド51より照射されるレーザ光が異物に反射する等して計測値に誤りが生じるのを防止することがきる。また、作業者は、表示部9に異物付着情報が表示された場合には、この表示を見て、ワークWの計測対象部位に異物が付着していることを容易に認識することができる。そして、作業者は、ワークWを機外に移動させて手動計測を行うなどの対策を講じることができる。
【0044】
また、本実施形態では、制御装置20は、異物の付着の有無に係る判定処理の結果、ワークWの計測対象部位に異物の付着が有ると判定した場合には(ステップSA4でYES)、ワーク洗浄装置30に洗浄動作を実行させた後に当該判定処理を再度実行する制御処理(ステップSA2~S4)を、該判定処理にて異物付着が無いと判定されるまで繰り返し実行し、該判定処理にて異物付着が無いとの判定結果が得られた場合には(ステップSA4でNO)、レーザ計測ヘッド51に計測動作を実行させる一方(ステップSA6)、前記制御処理を所定回数繰り返しても異物付着が無いとの判定結果が得られない場合に(ステップSA5でNO)、表示部9によって異物付着情報を報知するように構成されている。
【0045】
この構成によれば、ワークWの計測対象部位に付着した異物をワーク洗浄装置30による一回の洗浄動作では除去できない場合でも、洗浄動作を繰り返すことで簡単に除去することができる。また、仮に、洗浄動作を所定回数繰り返してもこれらの異物を除去できない場合には、さらなる洗浄動作は実行されず表示部9に異物付着情報が表示される。よって、異物除去動作が所定回数を超えて延々と繰り返されることもない。
【0046】
《実施形態2》
図5は、実施形態2を示している。この実施形態は、前処理制御部20cにより実行される前処理制御の内容が実施形態1とは異なっている。尚、以下の説明において、ステップSB1~SB6の処理は、実施形態1のステップSA1~SA6の処理と同様であるためその詳細な説明を省略し、主にステップSB7~SB9の処理内容を説明する。
【0047】
すなわち、ワーク洗浄装置30による洗浄動作の回数が所定回数に達した場合に進むステップSB7では、ワークWの全ての計測対象部位に異物が付着しているか否かを判定し、この判定がYESである場合にはステップSB9に進む一方、この判定がNOである場合にはステップSB8に進む。
【0048】
ステップSB8では、異物付着が無いと検知された計測対象部位に対応する寸法A~Fについてレーザ計測ヘッド51による機上計測を実行する。
【0049】
ステップSB9では、ワークWの形状を模擬した画像に、機上計測システム50により計測される寸法A~Fの位置を表示した寸法画像Iと、各寸法A~Fの計測結果をまとめた表データT(
図6参照)とを操作パネルの表示部9に表示させる。
【0050】
図6に示すように、寸法画像Iでは、ワークWの正面図と側面図とを用いて、各寸法A~FがワークWのどの部分に対応しているかを符号入り寸法線により図示している。尚、寸法画像Iは、例えばワークWの形状を模擬した3次元のCADモデルに寸法を表示して構成されていてもよい。
【0051】
表データTは、表示部9の画面左右方向に並ぶ3つの列により構成されており、画面左から1列目には計測対象の寸法A~Fが文字表示され、2列目には機上計測システム50により実際に計測した寸法A~Fの計測結果が表示され、3列目には、各寸法A~Fに対応する計測対象部位の異物付着状況が表示されている。
図6の例では、寸法Eについては、3列目の異物付着状況の欄に「異物付着有り」と表示されており、作業者はこの表示を見て、寸法Eに対応する計測対象部位(本例ではワークWの円孔13の内周面。
図4参照)に異物が付着していると特定することができる。また、寸法Eの2列目の計測結果には「未計測」と表示されており、作業者はこの表示を見て、寸法Eについは異物が付着しているために機上計測システム50による計測が実行されていないことを認識することができる。尚、寸法Eを除く他の寸法については、3列目の異物付着状況の欄に異物付着が無いことを示す「無し」との表示がされており、2列目の計測結果の欄には機上計測システム50による計測値が表示されている。したがって、作業者は、これらの表示を見て、寸法E以外の他の寸法については、機上計測システム50による計測が正常に実行されたと認識することができる。
【0052】
[実施形態2の作用効果]
以上説明したように、本実施形態では、制御装置20は、機上計測システム50により計測される寸法A~Fに対応する複数の計測対象部位のうち少なくとも一つに異物が付着しているか否かを判定し、少なくとも一つに異物が付着していると判定した場合には、表示部9に、各寸法A~Fごとに異物付着状況を示した表データT(異物が付着している計測対象部位を特定可能な情報の一例)を表示するように構成されている。
【0053】
これにより、作業者は、表データTを見て異物が付着している計測対象部位を容易に特定することができる。よって、作業者は、ワークWに付着した異物を迅速に除去して手動計測を円滑に行うことができる。
【0054】
本実施形態では、制御装置20は、前記表データTを表示部9に表示する際に、ワークWの正面図及び側面図(ワークWの形状を模擬した画像の一例)に、機上計測システム50により計測される寸法A~Fの位置を示した寸法画像Iを併せて表示するように構成されている。
【0055】
これによれば、作業者は、前記表データTに加えて寸法画像Iを参照することで、異物が付着している計測対象部位の位置を容易に認識することができる。
【0056】
また、本実施形態では、制御装置20は、異物の付着が無いと判定した計測対象部位に対応する寸法A~Fについては、機上計測システム50に機上計測を実行させるように構成されている(ステップSB8)。
【0057】
これによれば、異物付着が無い計測対象部位に対応する寸法A~Fについては機上計測システム50による機上計測が実行される。したがって、機上計測システム50による全ての寸法A~Fの計測が中止されるのを防止し、計測効率を可及的に向上させることができる。
【0058】
《他の実施形態》
前記各実施形態では、ワーク洗浄装置30による洗浄動作と異物検出システム40による異物検出処理とを、ワークWの計測対象部位に異物の付着が無いと判定されるまで所定回数繰り返すようにしているが、これに限ったものではなく、ワーク洗浄装置30による洗浄動作と異物検出システム40による異物検出処理とをそれぞれ一回だけ実行する(つまりステップSA5及びSB5の処理を廃止する)ようにしてもよい。
【0059】
前記各実施形態では、機上計測システム50により計測されるワークWの寸法A~Fは、ワークWの2つの面の間の距離又は円孔13の直径とされているが、これに限ったものではなく、例えば、ワークWの表面のある点の座標位置、ワークWの表面粗さ、ワークWの表面の傾きや平面度などであってもよい。
【0060】
前記各実施形態では、機上計測システム50は、レーザ変位計の原理を利用した計測システムとされているが、これに限ったものではなく、例えばCCDカメラを用いた画像処理によって計測を行うものであってもよい。この他にも、機上計測システム50として、例えば、タッチプローブやスキャニングプローブを使用した接触式の計測システムを採用するようにしてもよい。
【0061】
前記各実施形態では、異物除去部の一例として、ワークWの表面にクーラントを吐出することで異物を洗浄除去するワーク洗浄装置30を挙げて説明したが、これに限ったものではなく、例えばワークWの表面にエアーを吹き付けることで異物を除去する装置であってもよいし、エアーに限らず、磁力等を利用して異物を除去する装置であってもよい。また、例えば、主軸5を回転させつつ、主軸5に装着された工具を送り機構部11によってワークWの表面に沿って移動させるエアカット動作によって異物を除去するようにしてもよい。この場合、主軸5及び送り機構部11と、これらを駆動制御する制御装置20とが異物除去部として機能する。
【0062】
前記各実施形態では、異物付着情報を報知する報知部は、操作パネルに設けられた表示部9により構成されているが、これに限ったものではなく、例えば、スピーカ等を用いて音声により異物付着情報を報知するようにしてもよい。
【0063】
前記各実施形態では、3軸制御の工作機械1でワークWを計測したが、ワークWの計測を行う工作機械は、何ら限定されるものではなく、どのような工作機械であっても良い。
【0064】
前記各実施形態では、計測データ処理装置52は、工作機械1の制御装置20とは別体で構成されているが、これに限ったものではなく、計測データ処理装置52の機能を工作機械1の制御装置20に設けて、計測データ処理装置52と制御装置20とを一体的に構成するようにしてもよい。
【0065】
前記各実施形態では、画像処理装置42は、工作機械1の制御装置20とは別体で構成されているが、これに限ったものではなく、画像処理装置42の機能を工作機械1の制御装置20に設けて、画像処理装置42と制御装置20とを一体的に構成するようにしてもよい。また、撮像カメラ41は固定される物に限らず、自動工具交換機構を用いて機内に搬送、設置されるように構成されていてもよい。
【0066】
尚、上述した実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる
【符号の説明】
【0067】
1 工作機械
8 加工機構部
9 表示部(報知部)
20 制御装置(制御部)
30 ワーク洗浄装置(異物除去部)
40 異物検出システム(異物検出部)
50 機上計測システム(計測部)
A~F 寸法
I 寸法画像(異物付着情報、画像情報)
T 表データ(異物付着情報、画像情報)
W ワーク
【要約】
【課題】加工が完了したワークの機上計測を行う計測部を備えた工作機械において、加工完了後のワークの表面に残った異物の影響で誤計測が生じるのを防止する。
【解決手段】工作機械は、ワークの加工完了後に異物除去動作を実行した後(ステップSA2)、異物検出部により異物検出処理を実行して(ステップSA3)、その処理結果を基に、ワークの計測対象部位に異物が付着しているか否かを判定する判定処理を実行し(ステップSA4)、該判定処理の結果、異物の付着が無いと判定した場合には(ステップSA4でNO)、計測部に機上計測を実行させる一方(ステップSA6)、異物の付着が有ると判定した場合には(ステップSA4でYES)、計測部による機上計測を非実行とするとともに、計測対象部位に異物が付着している旨の異物付着情報を報知部に報知させるように構成されている(ステップSA7)。
【選択図】
図4