(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】青汁原料の乾燥処理方法および乾燥処理設備
(51)【国際特許分類】
A23L 2/39 20060101AFI20220328BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20220328BHJP
A23N 12/08 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A23L2/39
A23L19/00 Z
A23N12/08 A
(21)【出願番号】P 2018063749
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】514137470
【氏名又は名称】株式会社センリファーム
(73)【特許権者】
【識別番号】507111885
【氏名又は名称】有限会社西製茶工場
(74)【代理人】
【識別番号】100133271
【氏名又は名称】東 和博
(72)【発明者】
【氏名】勝目 千里
(72)【発明者】
【氏名】西 利実
【審査官】吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-287469(JP,A)
【文献】特開2000-139392(JP,A)
【文献】特開2002-065204(JP,A)
【文献】特開2016-154527(JP,A)
【文献】特開2016-010391(JP,A)
【文献】特開2014-198039(JP,A)
【文献】特開2005-333929(JP,A)
【文献】特開平10-150961(JP,A)
【文献】特開2012-044982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄および破砕した青汁原料の生葉を蒸気により蒸した後に乾燥処理する方法であって、青汁原料の生葉を蒸した後に得られる蒸葉を表面の水分を除去しながら120℃以下の温風によって冷却する温風冷却工程と、温風冷却後の蒸葉を200℃~380℃の高温熱を用いて乾燥させる乾燥工程と、得られた乾燥葉を焙煎する焙煎工程を備えることを特徴とする、青汁原料の乾燥処理方法。
【請求項2】
乾燥工程が、温風冷却後の蒸葉を200℃~380℃の間で一定の高温に保持された乾燥炉の内部で1次乾燥させる1次乾燥工程と、1次乾燥後の蒸葉を200℃以下の高温を開始温度として段階的に乾燥温度を低下させる乾燥室の内部で2次乾燥させる2次乾燥工程を備えることを特徴とする、請求項1記載の青汁原料の乾燥処理方法。
【請求項3】
1次乾燥工程が、乾燥炉の内部に熱風を供給して、乾燥炉の内部を200℃~380℃の間で一定の高温に保持し、乾燥炉の内部を搬送される蒸葉を乾燥炉の内部の高温熱を用いて乾燥させることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の青汁原料の乾燥処理方法。
【請求項4】
2次乾燥工程が、複数段の搬送路を備える乾燥室の内部に熱風を供給して、乾燥室の内部の乾燥温度を、最初の段の開始温度を200℃以下の高温として、段階的に低下させるようにし、2次乾燥室の内部を最初の段から最後の段に搬送される蒸葉を、輻射伝熱および/または自然対流伝熱により、乾燥させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の青汁原料の乾燥処理方法。
【請求項5】
洗浄および破砕した青汁原料の生葉を蒸気により蒸した後に乾燥処理する設備であって、青汁原料の生葉を蒸した後に得られる蒸葉を表面の水分を除去しながら120℃以下の温風によって冷却する温風冷却機と、温風冷却後の蒸葉を200℃~380℃の高温熱を用いて乾燥させる高熱乾燥機と、得られた乾燥葉を焙煎する焙煎機を備えることを特徴とする青汁原料の乾燥処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大麦若葉、ケール、明日葉などの青汁原料の乾燥処理に関し、特に青汁原料の生葉から生成される蒸葉を乾燥処理する方法と設備に関する。
【背景技術】
【0002】
大麦若葉、ケール、明日葉、モリンガなどの緑葉野菜は、健康食品として飲料される青汁の原料として知られる。青汁は、野菜不足の解消、便秘の改善などが効能に挙げられるが、取扱いの利便性などから多くは粉末の状態で出荷または商品化されている。そして、出荷先の工場で青汁が製造され、また、店舗に置かれた粉末商品は購入者によって水に溶かされ飲料されるようになっている。近年は粉末以外に錠剤タイプもあり、粉末を他の食材に加えて使用する例もある。
【0003】
上記青汁の原料(緑葉野菜)は、収穫後の生葉が工場に搬入され、工場内で洗浄および破砕された後に蒸気により蒸葉とされ(殺青される)、その後に乾燥処理される。そして、乾燥後の乾燥葉は、工場内で梱包されて出荷されるか、粉末状に粉砕処理されて梱包または個装状態で出荷される。従来より、青汁原料の製造方法として、例えばケール青汁の造粒物の製造方法(特許文献1)、若葉組成物の製造方法(特許文献2)、大麦茎葉を用いた飲食用組成物の製造方法(特許文献3、4)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-218964号公報
【文献】特開2008-136391号公報
【文献】特開2015-126731号公報
【文献】特開2016-154527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1ではケールの乾燥に60℃以下の低温による温風乾燥を行い、上記特許文献2では小麦若葉の乾燥に80℃以下の温風乾燥を行っている。上記特許文献3、4では大麦茎葉の乾燥に40~140℃で温風乾燥を行っている。いずれの方法も、低温乾燥により乾燥粉末を得るようにしているため、生成後の粉末に若葉特有の臭さ(青臭さ)が残ったり、また、製造工程中に蒸葉に残る水分によって一般生菌が発生しやすいという課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、青汁原料となる生葉の本来の味、色、香りを残してさらに深い香りを引き出すことができ、また、製造工程中に発生する一般生菌数を大幅に減少させることが可能な、青汁原料の乾燥処理方法と設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る青汁原料の乾燥処理方法は、
洗浄および破砕した青汁原料の生葉を蒸気により蒸した後に乾燥処理する方法であって、青汁原料の生葉を蒸した後に得られる蒸葉を表面の水分を除去しながら120℃以下の温風によって冷却する温風冷却工程と、温風冷却後の蒸葉を200~380℃の高温熱を用いて乾燥させる乾燥工程と、得られた乾燥葉を焙煎する焙煎工程を備えることを主要な特徴とする。
【0008】
本発明に係る青汁原料の乾燥処理方法は、
乾燥工程が、温風冷却後の蒸葉を200~380℃の間で一定の高温に保持された乾燥炉の内部で1次乾燥させる1次乾燥工程と、1次乾燥後の蒸葉を200℃以下の高温を開始温度として段階的に乾燥温度を低下させる乾燥室の内部で2次乾燥させる2次乾燥工程を備えることを第2の特徴とする。
【0009】
本発明に係る青汁原料の乾燥処理方法は、
1次乾燥工程が、乾燥炉の内部に熱風を供給して、乾燥炉の内部を200~380℃の間で一定の高温に保持し、乾燥炉の内部を搬送される蒸葉を乾燥炉の内部の高温熱を用いて乾燥させることを第3の特徴とする。
【0010】
本発明に係る青汁原料の乾燥処理方法は、
2次乾燥工程が、複数段の搬送路を備える乾燥室の内部に熱風を供給して、乾燥室の内部の乾燥温度を、最初の段の開始温度を200℃以下の高温として、段階的に低下させるようにし、2次乾燥室の内部を最初の段から最後の段に搬送される蒸葉を、輻射伝熱および/または自然対流伝熱により、乾燥させることを第4の特徴とする。
【0011】
本発明に係る青汁原料の乾燥処理設備は、
洗浄および破砕した青汁原料の生葉を蒸気により蒸した後に乾燥処理する設備であって、青汁原料の生葉を蒸した後に得られる蒸葉を表面の水分を除去しながら120℃以下の温風によって冷却する温風冷却機と、温風冷却後の蒸葉を200~380℃の高温熱を用いて乾燥させる高熱乾燥機と、得られた乾燥葉を焙煎する焙煎機を備えることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、青汁原料となる生葉を蒸気により蒸した後の蒸葉を表面の水分を除去しながら120℃以下の温風によって冷却し、200~380℃の高温熱を用いて乾燥し、さらに得られた乾燥葉を焙煎するようにしたから、青汁原料から乾燥粉末を得るにあたり、青臭さを除去して、青汁原料となる生葉の本来の味、色、香りを残してさらに深い香りを引き出すことができるという効果を奏する。
【0013】
また、青汁原料の蒸葉を、200~380℃の高温熱を用いて乾燥させるから、製造工程中に発生する一般生菌数を大幅に減少させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る青汁原料の乾燥処理設備の概略説明図、
【
図2】本発明による青汁原料の乾燥処理において、前処理工程を示すフロー図、
【
図3】前処理工程後の乾燥処理工程を示すフロー図、
【
図4】乾燥処理工程後の仕上工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明による青汁原料の乾燥処理設備、
図2は乾燥処理工程の手順を示している。
【0016】
図1に示すように、青汁原料の乾燥処理設備Sは、収穫した青汁原料の生葉を蒸気で蒸して乾燥処理する設備であり、前処理部10と乾燥処理部20と仕上部30と梱包部40を備えている。
【0017】
前処理部10は、乾燥処理の前処理にあたるもので、計量部11、荒破砕機12、洗浄機13、温風乾燥機14、細破砕機15、蒸機16が連続して配置されている。計量部11は、工場に受け入れられた青汁原料の生葉、すなわち大麦若葉・ケール・明日葉・モリンダなどの緑葉野菜の生葉を計量する。荒破砕機12は、計量後の生葉を回転刃と固定刃により荒破砕(スライス)する。洗浄機13は、荒破砕後の生葉を洗浄し、生葉から土や付着物を除去する。温風乾燥機14は、洗浄後の生葉に付着する水分を約100℃の温風により除去する。細破砕機15は、洗浄水除去後の荒破砕の生葉を細破砕(スライス)する。蒸機16は、細破砕後の生葉を蒸気により蒸して殺青する。
【0018】
乾燥処理部20は、温風冷却機21、1次高熱乾燥機22、2次高熱乾燥機23、温風乾燥機24、焙煎処理機25が連続して配置されている。温風冷却機21は、蒸機16により殺青された蒸葉に温風を当てて蒸葉の表面の水分を除去し、蒸葉全体を冷却する。温風冷却機21は、より具体的には、バーナーの燃焼による燃焼空気と外気との熱交換により約120℃の温風を発生させ、得られた温風を乾燥室に供給し、乾燥室内を搬送コンベアにより搬送される蒸葉(約100℃)に温風を当て、これにより蒸葉の表面の水分を除去し、蒸葉全体を冷却する(目標温度約35℃)。
【0019】
1次高熱乾燥機22は、温風冷却機21を経て搬送された蒸葉に、200~380℃の間で一定の高温の熱風を短時間(約20~40秒間)当て、蒸葉内部の水分の大半を除去する(1次高熱乾燥)。1次高熱乾燥機22は、より具体的には、乾燥炉に200~380℃の高温の熱風を吹き込み、乾燥炉内を回転しながら短時間(約20~40秒間)の間に搬送される蒸葉から内部の水分の大半を除去し、蒸葉の含水率を約25~50%に低下させる。乾燥炉に吹き込む熱風はバーナーにより発生させた燃焼空気から生成する。
【0020】
2次高熱乾燥機23は、複数段(下段、中段、上段)の搬送路を備える乾燥室に高温(約200℃)の熱風を下から上に向けて供給し、乾燥室の内部の乾燥温度を、最初の下段の開始温度を約200℃とし、中段から上段にかけてより低い高温(約90℃)まで段階的に低下させるようにし、乾燥室の内部を下段から中段、上段と順次搬送される蒸葉(1次高熱乾燥後の蒸葉)を、輻射伝熱と自然対流伝熱により、じっくりと時間をかけて(約20~30分間)乾燥する(2次高熱乾燥)。この段階で蒸葉の含水率を5~7%に低下させる。2次高熱乾燥機23は例えば碾茶炉が使用される。
【0021】
殺青後の蒸葉から、高温(200~380℃)の熱風により内部の水分を短時間の間に表面から除去し(1次高熱乾燥)、その後の蒸葉を、やや低い高温(200~90℃)の熱風による輻射伝熱と自然対流電伝熱によりじっくりと時間をかけて乾燥させる(2次高熱乾燥)から、青汁原料の生葉本来の味、色、香りを残したまま、蒸葉を乾燥処理することができる。また、青汁原料の生葉に残る栄養分も損なうことがない。
【0022】
温風乾燥機24は、高熱乾燥後の乾燥葉に約80~120℃の温風を一定時間(約30分間)当てて、蒸葉の重なりなどによって乾燥葉に部分的に表面に生乾きがある場合に当該部分の表面付近の水分を除去する。温風乾燥機24の構造は前述の温風冷却機21と同様である。
【0023】
焙煎処理機25は、高熱乾燥後の乾燥葉を遠赤外線により焙煎処理する。焙煎処理機25は、炉内面に遠赤外線発生塗料を塗布しあるいはバーナーの前面にセラミックを配置し、バーナーにより発生させた燃焼熱により遠赤外線発生塗料やセラミックから遠赤外線を発生させる。そして、発生させた遠赤外線を、炉内を搬送される乾燥葉に照射する。遠赤外線の照射により炉内を搬送される乾燥葉が焙煎処理され、香りが強く引き出される。
【0024】
仕上部30は、乾燥および焙煎後の乾燥葉の仕上げを行うもので、第1異物除去機31、乾燥葉切断機32、第2異物除去機33、第3異物除去機34、乾燥葉粉砕機35、合組機36が連続して配置されている。第1異物除去機31は、焙煎後の乾燥葉から磁石により金属異物を除去する。乾燥葉切断機32は、金属異物除去後の乾燥葉を回転刃および固定刃によりさらに細かく切断する。第2異物除去機33は、篩からなり、篩により糸などの異物を除去する。第3異物除去機34は、金属探知機からなり、第1異物除去機31で除去できなかった金属異物を除去する。乾燥葉粉砕機35は、異物除去後の乾燥葉を粉状に粉砕して乾燥葉粉末を得る。合組機36は乾燥葉粉末を合組(ブレンド)する。
【0025】
梱包部40は、梱包機41が配置されている。梱包機41は、合組された青汁原料の乾燥葉粉末を包材により梱包する。梱包された乾燥葉粉末は倉庫に保管される。
【0026】
次に、上記乾燥処理設備Sを用いて、青汁原料を乾燥処理する手順について、
図2ないし
図4のフロー図を参照しながら以下に説明する。
【0027】
(前処理工程)
図2を参照し、まず、収穫された青汁原料(大麦若葉など)の生葉を工場で受け入れ(ステップS1)、搬送ラインLにより計量部11に搬送し、計量部11により計量する(ステップS2)。次に、計量した青汁原料の生葉を荒破砕機12に搬送し、荒破砕機12により粗破砕(スライス)する(ステップS3)。次に、粗破砕した青汁原料の生葉を洗浄機13に搬送し、洗浄機13により洗浄する(ステップS4)。これにより生葉から土や付着物、異物を除去する。搬送ラインLは例えば搬送コンベアを用いる。
【0028】
次に、洗浄された生葉を温風乾燥機14に搬送し、温風乾燥機14からの温風により、洗浄後の生葉に付着する水を除去する(ステップS5)。次に、付着された水が除去された生葉を、細破砕機15に搬送し、細破砕機15により細破砕(スライス)する(ステップS6)。次に、細破砕された青汁原料の生葉を蒸機16に搬送し、蒸機16の蒸気により殺青を行なう(ステップS7)。殺青により青汁原料の葉中の酵素の働きが止められ、発酵の進行が止められる。
【0029】
(乾燥処理工程)
次に、
図3を参照し、蒸機16により殺青された青汁原料の蒸葉を温風冷却機21に搬送し、殺青後の蒸葉に約120℃の温風を当てて蒸葉の葉表面の水分を除去する(ステップS8)。次に、温風冷却後の蒸葉を1次高熱乾燥機22に搬送し、高温(200~380℃)の熱風を短時間(約20~40秒間)当て、蒸葉内部の水分の大半を除去する(ステップS9)。乾燥炉に高温の熱風を吹き込みながら乾燥炉をゆっくりと回転させることにより、乾燥炉内を回転しながら搬送される蒸葉から短時間で内部の水分の大半を除去できる。
【0030】
次に、1次高熱乾燥機22から搬出された青汁原料の蒸葉を2次高熱乾燥機23に搬送し、2次高熱乾燥機23では乾燥室の下から高温(約200℃)の熱風を供給し、下段(約200℃)から中段にかけて、中段から上段(約90℃)にかけて搬送される蒸葉を、輻射伝熱と自然対流伝熱により、じっくりと時間をかけて(約20~30分間)乾燥する(ステップS10)。
【0031】
次に、2次高熱乾燥機23から搬出された乾燥葉を温風乾燥機24に搬入し、同乾燥葉に約80~120℃の温風を当てて、蒸葉の重なりなどによって乾燥葉に部分的に表面に生乾きがある場合に当該部分の表面付近の水分を除去する(ステップS11)。
【0032】
次に、温風乾燥機24から搬出された青汁原料の乾燥葉を焙煎処理機25に搬送し、乾燥葉を遠赤外線により焙煎処理する(ステップS12)。焙煎処理機25は、バーナーの燃焼熱で発生する遠赤外線を、炉内を搬送される乾燥葉に照射する。遠赤外線の照射により乾燥葉が焙煎処理され、青汁原料の本来の香りが強く引き出される。
【0033】
(仕上工程)
次に、
図4を参照し、焙煎処理された青汁原料の乾燥葉を、磁石を用いた第1異物除去機31に搬送し、金属異物を除去する(ステップS13)。次に、異物除去処理後の乾燥葉を乾燥葉切断機32に搬送し、青汁原料の乾燥葉をさらに細かく切断する(ステップS14)。次に、細かく切断した乾燥葉を篩からなる第2異物除去機33に搬送し、糸などの異物を除去する(ステップS15)。
【0034】
次に、異物除去後の乾燥葉を金属探知機からなる第3異物除去機34に送り、第1異物除去機31で除去できなかった金属異物を除去する(ステップS16)。次に、第3異物除去機34により金属異物が除去された乾燥葉を乾燥葉粉砕機35に送り、異物除去後の乾燥葉を粉状に粉砕し、乾燥葉粉末を得る(ステップS17)。次に、得られた青汁原料の乾燥葉粉末を合組機36に送り、合組(ブレンド)する(ステップS18)。
【0035】
次に、合組した青汁原料の乾燥葉粉末を梱包部40に搬送し、梱包機41により梱包する(ステップS19)。最後に、梱包した青汁原料の乾燥葉粉末を倉庫に保管する(ステップS20)。
【0036】
本実施形態によると、殺青後の青汁原料の蒸葉に対し、高温(200~380℃)の高温熱を用いる1次乾燥により、蒸葉内部の水分の大半を短時間の間に表面から除去し、その後の蒸葉を、やや低温(200℃以下)の高温熱を用いる2次乾燥の輻射伝熱と自然対流伝熱により、じっくりと時間をかけて乾燥させるから、青汁原料(例えば大麦若葉の若葉)特有の青臭さを除去し、また、青汁原料の生葉本来の味、色、香りを残して、乾燥処理することができ、さらに焙煎により、青汁原料の生葉本来の香りを強く引き出すことができる。また、青汁原料の生葉に残る栄養分も損なうことがない。
【0037】
本実施形態によると、殺青後の青汁原料の蒸葉に対し、低温乾燥後に高熱乾燥処理および焙煎を行うことにより、製造工程中に発生する一般生菌の発生を大幅に減少させることができ、これによって衛生面に優れた青汁原料粉末を製造し、衛生面に優れた青汁原料粉末を出荷することができる。検査したところ、一般生菌数をHACCP認証基準である3000個/g以下に減少できたことが分かった。
【0038】
なお、本発明の対象となる青汁原料は、大麦若葉、・ケール・明日葉・モリンダなどの緑葉野菜が代表的であるが、これに限らず、青汁原料となり得る野菜、植物に幅広く適用可能である。
【0039】
かくして、本発明によると、青汁原料の青臭さを除去して、生葉の本来の味、色、香りを残しさらに深い香りを引き出すことができ、さらに、製造工程中に発生する一般生菌数を大幅に減少させることができる、青汁原料の乾燥処理方法と設備を実現することができた。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、大麦若葉、ケール、明日葉などの青汁原料を乾燥処理する方法および設備として利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 前処理部
11 計量部
12 粗破砕機
13 洗浄機
14、24 温風乾燥機
15 細破砕機
16 蒸機
20 乾燥処理部
21 温風冷却機
22 1次高熱乾燥機
23 2次高熱乾燥機
25 焙煎処理機
30 仕上部
31 第1異物除去機
33 第2異物除去機
34 第3異物除去機
32 乾燥葉切断機
35 乾燥葉粉砕機
36 合組機
40 梱包部
41 梱包機
L 搬送ライン