(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】低周波治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20220328BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2017188447
(22)【出願日】2017-09-28
【審査請求日】2020-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】399043288
【氏名又は名称】日光精器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】田尻 完光
(72)【発明者】
【氏名】他谷 義隆
(72)【発明者】
【氏名】中山 享一良
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3203533(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0015213(US,A1)
【文献】特開2008-029585(JP,A)
【文献】特開2015-163145(JP,A)
【文献】実開平06-061255(JP,U)
【文献】特開平04-102463(JP,A)
【文献】特開平03-159657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/18- 1/36
A61N 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより操作される第1操作部を有し、前記第1操作部に対する操作内容に応じて制御情報を送出する操作器と、
低周波施療を施すための一対の電極パッドと、ユーザにより操作される第2操作部と、前記一対の電極パッド間にパルス施療電流を出力する出力回路と、前記パルス施療電流を制御するための制御部とを備えた施療ユニットと、を備え、
前記操作器は、前記第1操作部を電源投入操作すると第1電源投入通知信号を前記施療ユニットに送出し、前記施療ユニットは、前記第2操作部を電源投入操作すると第2電源投入通知信号を生成し、前記施療ユニットの前記制御部は、前記操作器からの前記第1電源投入通知信号又は前記第2操作部からの前記第2電源投入通知信号に基づいて、前記第1操作部の入力操作を優先する第1操作優先モードを設定し、前記操作器から受信した制御情報に対応した制御信号を生成して前記出力回路に出力することを特徴とする低周波治療装置。
【請求項2】
前記施療ユニットの前記制御部は、ユーザにより前記第2操作部に対して予め設定された入力操作がなされると、前記第1操作優先モードをキャンセルし、前記施療ユニットの前記第2操作部の入力操作を優先する第2操作優先モードを設定し、前記第2操作部からの制御情報に対応した制御信号を生成して前記出力回路に出力することを特徴とする請求項1に記載の低周波治療装置。
【請求項3】
前記施療ユニットは、蓄電部からの出力電圧を昇降制御して前記出力回路から出力される前記パルス施療電流を変調するための電圧変換回路を更に備え、前記施療ユニットの前記制御部は、前記出力回路から出力される前記パルス施療電流が第1周期でもって出力されるように制御するとともに、複数のパルス施療電流を含む施療電流全体の大きさが前記第1周期よりも長い第2周期でもって変動されるように変調制御し、かくして、前記一対の電極パッド間に流れる前記パルス施療電流の大きさが前記第2周期でもって変動することを特徴とする請求項1又は2に記載の低周波治療装置。
【請求項4】
前記施療ユニットの前記出力回路から出力される前記パルス施療電流は、所定周期間隔で生成される低周波の主パルス電流と、前記所定周期間隔よりも短い時間間隔で生成される中周波の副パルス電流とを含み、前記主パルス電流の電圧は前記副パルス電流の電圧よりも高く、前記施療ユニットの前記制御部は、前記所定周期間隔毎に前記主パルス電流を出力した後に一つ又は二つ以上の前記副パルス電流を出力するように前記出力回路を制御することを特徴とする
請求項1~3のいずれかに記載の低周波治療器。
【請求項5】
前記施療ユニットは、ケーブルを介して電気的に接続された第1施療子及び第2施療子を備え、前記第1施療子は、前記一対の電極パッドのうちの一方の第1電極パッドと、前記出力回路と、前記制御部とを有し、前記第2施療子は、前記一対の電極パッドのうちの他方の第2電極パッドと、前記出力回路及び前記制御部へ電気を供給する蓄電部とを有することを特徴とする
請求項1~4のいずれかに記載の低周波治療装置。
【請求項6】
前記操作器は、前記施療ユニットを操作するための専用リモコン又は前記施療ユニットを操作するためのアプリケーションソフトをインストールした携帯情報端末装置であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の低周波治療装置。
【請求項7】
前記施療ユニットの前記第1施療子は、円盤状の第1施療子本体を有し、前記第2施療子は、円盤状の第2施療子本体を有し、前記施療ユニットの前記第2操作部は、前記第1施療子本体及び前記第2施療子本体のいずれか一方の外周面に配設されていることを特徴とする請求項5に記載の低周波治療装置。
【請求項8】
前記施療ユニットの前記第2操作部は、前記第1施療子の前記第1施療子本体に設けられ、前記施療ユニットへ電源を投入する際に押下される電源釦と、前記一対の電極パッド間に流れるパルス施療電流の大きさを上昇させる際に押下される電流上昇釦と、前記一対の電極パッド間に流れるパルス施療電流の大きさを下降させる際に押下される電流下降釦とを含んでおり、
前記電源釦は、前記第1施療子本体の外周面の特定箇所に設けられ、前記電流上昇釦は、前記特定箇所を基準に所定方向に第1所定角度離れた第1角度位置に設けられ、前記電流下降釦は、前記特定箇所を基準に所定方向と反対方向に第2所定角度離れた第2角度位置に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の低周波治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低周波を利用して肩などの施療を行う低周波治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低周波治療装置として、治療装置本体と、一対の電極パッドと、治療装置本体と一対の電極パッドとを電気的に接続するためのコードとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。一対の電極パッドの各々は複数の電極を備え、治療装置本体は一対の電極パッドの複数の電極を切り替えるための電極切替回路を含んでいる。この低周波治療装置では、身体に装着された一対の電極パッド間に微弱な低周波(例えば、1Hz以上1200Hz未満の周波数)のパルス施療電流が通電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、低周波治療装置として、一対の施療子と、低周波のパルスを出力するための各種回路を備えたものが提供されつつある。一対の施療子の各々は施療子ハウジングと、この施療子ハウジングに取り付けられた電極パッドとを備え、各種回路が小型化されて各施療子ハウジングに収納されている。この種の低周波治療装置は、入力操作するための操作リモコンを更に備えているとともに、施療子ハウジングに各種回路を制御するための制御部が内蔵され、操作リモコンからの操作情報が施療子ハウジング内の制御部に送信され、この操作情報に基づいて、この制御部により制御されたパルス施療電流が一対の施療子(一対の電極パッド)間に流れる。
【0005】
しかしながら、このような操作リモコンにより操作を行う低周波治療装置では、リモコンを紛失したり、施療中に操作リモコンを置いたまま離れた場所に移動したり、操作リモコンの電池の消耗や故障により動作しなくなったり、このような場合、低周波治療装置を動作制御することができなくなり、ユーザが不便を感じることがある。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、使い勝手の良い低周波治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の低周波治療装置は、ユーザにより操作される第1操作部を有し、前記第1操作部に対する操作内容に応じて制御情報を送出する操作器と、
低周波施療を施すための一対の電極パッドと、ユーザにより操作される第2操作部と、前記一対の電極パッド間にパルス施療電流を出力する出力回路と、前記パルス施療電流を制御するための制御部とを備えた施療ユニットと、を備え、
前記操作器は、前記第1操作部を電源投入操作すると第1電源投入通知信号を前記施療ユニットに送出し、前記施療ユニットは、前記第2操作部を電源投入操作すると第2電源投入通知信号を生成し、前記施療ユニットの前記制御部は、前記操作器からの前記第1電源投入通知信号又は前記第2操作部からの前記第2電源投入通知信号に基づいて、前記第1操作部の入力操作を優先する第1操作優先モードを設定し、前記操作器から受信した制御情報に対応した制御信号を生成して前記出力回路に出力することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の低周波治療装置では、前記施療ユニットの前記制御部は、ユーザにより前記第2操作部に対して予め設定された入力操作がなされると、前記第1操作優先モードをキャンセルし、前記施療ユニットの前記第2操作部の入力操作を優先する第2操作優先モードを設定し、前記第2操作部からの制御情報に対応した制御信号を生成して前記出力回路に出力することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載の低周波治療装置では、前記施療ユニットは、蓄電部からの出力電圧を昇降制御して前記出力回路から出力される前記パルス施療電流を変調するための電圧変換回路を更に備え、前記施療ユニットの前記制御部は、前記出力回路から出力される前記パルス施療電流が第1周期でもって出力されるように制御するとともに、複数のパルス施療電流を含む施療電流全体の大きさが前記第1周期よりも長い第2周期でもって変動されるように変調制御し、かくして、前記一対の電極パッド間に流れる前記パルス施療電流の大きさが前記第2周期でもって変動することを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の低周波治療装置では、前記施療ユニットの前記出力回路から出力される前記パルス施療電流は、所定周期間隔で生成される低周波の主パルス電流と、前記所定周期間隔よりも短い時間間隔で生成される中周波の副パルス電流とを含み、前記主パルス電流の電圧は前記副パルス電流の電圧よりも高く、前記施療ユニットの前記制御部は、前記所定周期間隔毎に前記主パルス電流を出力した後に一つ又は二つ以上の前記副パルス電流を出力するように前記出力回路を制御することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項5に記載の低周波治療装置では、前記施療ユニットは、ケーブルを介して電気的に接続された第1施療子及び第2施療子を備え、前記第1施療子は、前記一対の電極パッドのうちの一方の第1電極パッドと、前記出力回路と、前記制御部とを有し、前記第2施療子は、前記一対の電極パッドのうちの他方の第2電極パッドと、前記出力回路及び前記制御部へ電気を供給する蓄電部とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項6に記載の低周波治療装置では、前記操作器は、前記施療ユニットを操作するための専用リモコン又は前記施療ユニットを操作するためのアプリケーションソフトをインストールした携帯情報端末装置であることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項7に記載の低周波治療装置では、前記施療ユニットの前記第1施療子は、円盤状の第1施療子本体を有し、前記第2施療子は、円盤状の第2施療子本体を有し、前記施療ユニットの前記第2操作部は、前記第1施療子本体及び前記第2施療子本体のいずれか一方の外周面に配設されていることを特徴とする。
【0015】
更に、本発明の請求項8に記載の低周波治療装置では、前記施療ユニットの前記第2操作部は、前記第1施療子の前記第1施療子本体に設けられ、前記施療ユニットへ電源を投入する際に押下される電源釦と、前記一対の電極パッド間に流れるパルス施療電流の大きさを上昇させる際に押下される電流上昇釦と、前記一対の電極パッド間に流れるパルス施療電流の大きさを下降させる際に押下される電流下降釦とを含んでおり、
前記電源釦は、前記第1施療子本体の外周面の特定箇所に設けられ、前記電流上昇釦は、前記特定箇所を基準に所定方向に第1所定角度離れた第1角度位置に設けられ、前記電流下降釦は、前記特定箇所を基準に所定方向と反対方向に第2所定角度離れた第2角度位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に記載の低周波治療装置によれば、ユーザにより操作される第1操作部及び第2操作部が設けられ、第1操作部は操作器に設けられ、第2操作部は施療ユニットに設けられているので、第1操作部又は第2操作部でもって入力操作することができ、ユーザは、操作器を紛失したり、電池切れなどにより操作器を動作できなくなった場合でも、第2操作部を入力操作することにより、施療ユニットの動作を制御することができ、ユーザの利便性が向上する。
また、施療ユニットの制御部は、操作器からの第1電源投入通知信号又は第2操作部からの第2電源投入通知信号に基づいて、操作器の入力操作を優先する第1操作優先モードを設定するので、その後の施療ユニットの制御は、操作器の第1操作部の入力操作が優先され、この操作器を主操作手段として機能させることができる。
また、本発明の請求項2に記載の低周波治療装置によれば、ユーザにより第2操作部に対して予め設定された入力操作がなされると、制御部は、第1操作優先モードをキャンセルして第2操作部の入力操作を優先する第2操作優先モードを設定するので、その後の施療ユニットの制御は、この第2操作部の入力操作が優先され、この施療ユニットを主操作手段として機能させることができる。
また、本発明の請求項3に記載の低周波治療装置によれば、施療ユニットは、出力回路から出力されるパルス施療電流を変調するための電圧変換回路を更に備え、施療ユニットの制御部は、出力回路から出力される複数のパルス施療電流を含む施療電流全体の大きさがこのパルス施療電流の第1周期よりも長い第2周期で変動するように変調制御するので、一対の電極パッド間に流れるパルス施療電流のパルスを維持しながら消費電力を抑えることができる。
また、本発明の請求項4に記載の低周波治療装置によれば、施療ユニットの出力回路から出力されるパルス施療電流は、所定周期間隔で生成される低周波の主パルス電流と、この所定周期間隔よりも短い時間間隔で生成され且つ主パルス電流よりも電圧が低い中周波の副パルス電流とを含み、この所定周期間隔毎に主パルス電流の出力の後に一つ又は二つ以上の副パルス電流が出力されるので、一対の電極パッド間を流れる低周波の主パルス電流により、たたき、もみ、おしなどの施療効果を得ることができ、また主パルス電流の後に出力される副パルス電流により、たたき、もみ、おしなどの施療効果に深み(換言すると、身体の深部に届くように体感する効果の深み)を持たせることができる。
【0017】
また、本発明の請求項5に記載の低周波治療装置によれば、施療ユニットは、ケーブルを介して電気的に接続された第1施療子及び第2施療子を備え、第1施療子は、第1電極パッド、出力回路及び制御部を有し、第2施療子は、第2電極パッド及び蓄電部を有するので、低周波治療装置の各種構成要素を第1及び第2施療子に所要の通りに分けてコンパクトに内蔵することができる。
【0018】
また、本発明の請求項6に記載の低周波治療装置によれば、この操作器として、施療ユニットを操作するための専用リモコン又は施療ユニットを操作するためのアプリケーションソフトをインストールした携帯情報端末装置(例えば、スマートホンなど)を好都合に用いることができる。
【0023】
また、本発明の請求項7に記載の低周波治療装置によれば、施療ユニットの第2操作部は、第1施療子の第1施療子本体及び第2施療子の第2施療子本体のいずれか一方の外周面に配設されているので、第2操作部の操作性に優れた低周波治療装置を提供することができる。
【0024】
更に、本発明の請求項8に記載の低周波治療装置によれば、施療ユニットの操作部は第1施療子の第1施療子本体に設けられ、電源釦は、第1施療子本体の外周面の特定箇所に設けられ、電流上昇釦は、この特定箇所を基準に所定方向に第1所定角度離れた第1角度位置に設けられ、電流下降釦は、この特定箇所を基準に所定方向と反対方向に第2所定角度離れた第2角度位置に設けられているので、第2操作部の操作性に関して非常に優れた低周波治療装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る低周波治療装置の概略構成図である。
【
図2】
図1の低周波治療装置における施療子を示し、
図2(a)は施療子本体と電極パッドとを分離した状態を示す図であり、
図2(b)は施療子の斜視図である。
【
図3】
図1の低周波治療装置における制御回路を示すブロック図である。
【
図4】
図3の低周波治療装置による制御回路により実行される制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5(a)は、
図3の回路系における出力回路から出力されるパルス施療電流の波形の一例を示す図であり、
図5(b)は、
図5(a)のパルス施療電流の一部を拡大して示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に従う低周波治療装置の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2において、図示の形態に係る低周波治療装置は、施療ユニット1と、この施療ユニット1と無線通信可能な操作器2とを備え、施療ユニット1は、二つの施療子、即ち第1施療子11及び第2施療子12を備えている。第1施療子11及び第2施療子12は、電源線を含むケーブル13を介して相互に電気的に接続され、第1施療子11には、片方の電極パッド(第1電極パッド)11pが設けられ、第2施療子12には他方の電極パッド12p(第2電極パッド)が設けられている。
【0027】
この形態では、片方の施療子、即ち第1施療子11に、ユーザが入力操作する操作部131(この形態では、第2操作部を構成する)が設けられ、この操作部131は、電源釦11b、電流上昇釦11c及び電流下降釦11dを有している。電源釦11bは、施療ユニット1へ電源を投入する際に押下される。電流上昇釦11cは、一対の電極パッド11p、12p間に流れるパルス施療電流の大きさを上昇させる際に押下される。また、電流下降釦11dは、一対の電極パッド11p、12p間に流れるパルス施療電流の大きさを下降させる際に押下される。
【0028】
この低周波治療装置では、施療モードとして、身体の深部への施療効果が得られるモードとしての「ふかもみ」、首及び肩への施療に適したモードとしての「首肩」、腰及び背中への施療に適したモードとしての「腰背中」及び腕及び足への施療に適したモードとしての「腕足」の4つのモードを選択できるように構成され、また電源釦11bはモード選択釦としても機能し、例えば電源釦11bを長押しすると電源が入り、例えば「ふかもみ」モードが設定される。そして、この電源釦11bを押圧する毎に施療モードが切り替わり、この状態から「首肩」、「腰背中」、「腕足」及び「ふかもみ」とこの順に切り替わり、この切り替わりが繰り返し行われる。また、この状態にて、電源釦11bを再度長押しすると電源がオフとなる。尚、施療モードについては、「ふかもみ」、「首肩」、「腰背中」及び「腕足」の4つのモードのうち任意の一つ、二つ又は三つを設定するようにしてもよく、或いはこれら4つのモードに加えて更に新たなモードを追加設定するようにしてもよい。
【0029】
この形態では、第1施療子11(第1施療子本体11a)は、円盤状であり、この第1施療子本体11の外周面に第2操作部132が設けられている。
図1に示すように、電源釦11bは、平面視における第1施療子本体11aの外周面の特定の一箇所(即ち、特定箇所)に設けられている。電流上昇釦11c及び電流下降釦11dは、それぞれ、平面視において、この電源釦11bを基準として所定方向及び所定方向と反対方向に離れた角度位置に向けられている。この形態では、電流上昇釦11cは、電源釦11bを基準にして
図1において反時計方向に第1角度α1(例えば、90度)離れた第1角度位置に配設され、電流下降釦11dは、この電源釦11bを基準にして
図1において時計方向に第2角度α2(例えば、90度)離れた第2角度位置に配設され、このように配置することにより、第2操作部131の操作性が向上し、その誤操作を少なくすることができる。
【0030】
また、第1施療子11の第1施療子本体11aには、平面視において、その外周面における、電源釦11bと対向する部位に、ケーブル13の一端部が接続されている。この第1施療子本体11aは、
図2(a)に示すように、円盤状であり、その中央部に通電端子11qが突設された第1電極パッド11pを備えている。この第1電極パッド11pは、ゲル状の柔らかい導電性材料から形成されている。そして、第1施療子本体11aにおける第1電極パッド11pが取り付けられる側の面の中央部には、出力端子11eが設けられている。第1電極パッド11pは、その通電端子11qが出力端子11eに嵌入された状態で第1施療子本体11aに装着される。
【0031】
この形態では、更に、第1施療子本体11aには、電源がオン状態になっていることを点灯してその旨を通知する発光部11fが設けられ、この発光部11fは、例えばLED(Light Emitting Diode)から構成される。
【0032】
また、他方の施療子、即ち第2施療子12は、
図1に示すように、第2施療子本体12aと、電源端子12bとを有している。電源端子12bは、平面視における施療子本体12aの外周面の所定部位に設けられている。また、この第2施療子本体12aには、平面視において、その外周面における、電源端子12bと対向する部位に、ケーブル13の他端部が接続されている。
【0033】
この第2施療子12(第2施療子本体12a)は、
図2(a)及び(b)に示すように、第1施療子本体11と同様に、円盤状であり、その中央部に通電端子12qが突設された電極パッド12q(第2電極パッド)を備えている。また、第2施療子本体12aにおける第2電極パッド12pが取り付けられる側の面の中央部には、出力端子12eが設けられている。第2電極パッド12pは、第1施療子11と同様に、第2施療子本体12aの出力端子12eに装着される。
【0034】
この施療ユニット1は、
図3に示すように、蓄電部である蓄電池122と、この蓄電池122を充電するための充電回路121とを有し、この充電回路121は、電源端子12bを介して外部電源としてのACアダプタ3に電気的に接続される。従って、ACアダプタ3からの電力は、電源端子12bを介して充電回路121に供給され、この充電回路121により蓄電池122が充電される。この蓄電池122は、例えばリチウムイオン電池から構成される。
【0035】
また、施療ユニット1は、電圧変換回路112と、第1及び第2電極パッド11p、12p間にパルス施療電流を出力する出力回路113と、電圧変換回路112及び出力回路113を制御するための制御部114とを有する。電圧変換回路112は、蓄電池122から供給される直流電流を昇圧又は降圧して出力回路113へ出力する。出力回路113は、後述するパルス施療電流を生成して出力し、かかるパルス施療電流が一対の電極パッド、即ち第1及び第2電極パッド11p,12pに送給される。
【0036】
電圧変換回路112は、例えばスイッチング素子を含む昇降圧チョッパ回路から構成され、出力回路113は、例えばスイッチング素子を含むハーフブリッジコンバータから構成される。また、制御部114は、電圧変換回路112及び出力回路113に含まれるスイッチング素子の動作を制御する。
【0037】
この施療ユニット1は、更に、第1及び第2電極パッド11p,12pのユーザへの装着状態を検出する装着状態判定回路115と、操作器2から送出される制御情報を受信する通信部116を含んでいる。装着状態判定回路115は、例えば第1及び第2電極パッド11p、12p間に流れる電流を検出するカレントプローブを有し、電極パッド11p、12p間に流れる電流の電流値が予め設定された電流閾値以上のときに装着検出信号を制御部114へ出力する。また、通信部116は、例えばアンテナと無線モジュールとを有し、操作器2から後述する制御情報、例えば電源投入通知情報(第1電源投入通知情報)などを受信すると、受信した制御情報、例えば電源投入通知情報に応じた制御信号を制御部114へ出力する。
【0038】
この制御部114は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)を含み、制御情報、例えば電源投入通知情報(第2電源投入通知情報)に応じた制御信号、また電源釦11b、電流上昇釦11c及び電流下降釦11dに対する操作内容に応じた制御信号を生成し、この生成された制御信号に基づいて、電圧変換回路112及び出力回路113に含まれるスイッチング素子へ制御信号、例えばPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。
【0039】
この制御部114は、装着状態判定回路115から装着検出信号が入力されるとPWM信号を出力し、また操作器2からの電源投入通知情報を受信するとPWM信号を出力し、このPWM信号に基づいて出力回路113は第1及び第2電極パッド11p、12p間へ後述するパルス施療電流を出力する。
【0040】
施療ユニット1への電源投入後にユーザにより第2操作部131の例えば電源釦11bが押下されると、操作器2から受信した制御情報(即ち、第1操作部の入力操作)に代えて、第2操作部131の入力操作に対する操作内容が優先的に許容され、電源釦11b、電流上昇釦11c及び電流下降釦11dに対する操作内容に基づいて、第1及び第2電極パッド11p、12p間に流れるパルス施療電流が制御される。例えば、施療ユニット1への電源投入後に電源釦11bを操作して施療モード(この形態では、「ふかもみ」、「首肩」、「腰背中」又は「腕足」の施療モード)を設定したときには、設定した施療モードに対応するパルス施療電流が生成されるように出力回路113を制御し、また電流上昇釦11c(又は電流下降釦11d)を操作して体感が強くなる(又は弱くなる)ように設定したときには、パルス施療電流が大きくなる(又は小さくなる)ように出力回路113を制御する。
【0041】
この施療ユニット1においては、
図3に示すように、電圧変換回路112、出力回路113、制御部114、装着状態判定回路115及び通信部116は、第1施療子11(第1施療子本体11a)に内蔵され、充電回路121及び蓄電池122は、第2施療子12(第2施療子本体12a)に内蔵され、このように構成することにより、施療ユニット1の各種構成要素をコンパクトに収容して小型化を図ることができるとともに、比較的大容量の蓄電池122を採用することが可能となる。
【0042】
ここで、
図5(a)及び(b)を参照して、パルス施療電流について説明する。制御部114からの制御信号に基づいて制御される出力回路113からの出力電流、即ちパルス施療電流は、低周波の主パルス電流Aと中周波の副パルス電流Aとを組み合わせた施療電流が出力される。この形態では、主パルス電流Aは、例えば15~50Hz程度の低周波、例えば、20Hzの低周波が利用され、この主パルス電流Aの周期(第1周期T1)は0.005secであり、この第1周期T1がパルス施療電流の周期となる。また、副パルス電流Bは、例えば1600~2500Hz程度の中周波、例えば2000Hzの中周波が利用され、主パルス電流Aの後に、例えば0.00125sec後に副パルス電流Bが出力される。
【0043】
このように主パルス電流A及び副パルス電流Bを組み合わせてパルス施療電流を生成する場合、
図5(a)及び(b)に示すように、主パルス電流Aの電圧V1を副パルス電流Bの電圧V2よりも大きくするのが望ましく、このように構成することにより、低周波治療装置を用いた「ふかもみ」などの施療において、その施療効果を身体の深部まで至らせることができる。
【0044】
この実施形態では、パルス施療電流の1パルスは、一つの主パルス電流Aと、この主パルス電流A(例えば、20Hz)に続く一つの副パルス電流B(例えば、2000Hz)とから構成されているが、このような構成に限定されず、主パルス電流Aに続く複数(例えば、2つ又は3つ)の副パルス電流Bから構成するようにしてもよい。
【0045】
この実施形態では、更に、制御部114から制御信号に基づいて出力回路113から出力されるパルス施療電流は、パルス施療電流の周期、即ち第1周期T1よりも長い第2周期T2で変動するように制御される。この第2周期T2は、例えば0.1~1.7sec程度、例えば1secに設定され、このように制御することにより、制御部114は、第1及び第2電極パッド11p、12p間に流れるパルス施療電流の振幅を第2周期Tで変動させ、このようにAM変調させることにより、低周波及び中周波を組み合わせたパルス施療電流を用いているにもかかわらず、消費電力を少なく抑えることができる。尚、この形態では、パルス施療電流の振幅が上述のように第2周期T2でもって変調されるので、パルス施療電流の電圧とは、その電圧振幅の最大電圧値をいい、また主パルス電流A(副パルス電流B)の電圧とは、その電圧振幅の最大電圧値をいう。
【0046】
図3に戻って、第1及び第2施療子11,12は、相互に電気的に接続するケーブル13を介して接続されている。第2施療子12側の蓄電池122と第1施療子11側の電圧変換回路112とは、第2施療子本体12aに設けられた端子台123、ケーブル13に含まれる電源線L131および第1施療子本体11aに設けられた端子台111を介して電気的に接続されている。また、第1施療子11側の出力回路113と第2施療子12側の電極パッド12pの通電端子12qに接続される出力端子12eとは、第1施療子本体11aに設けられた端子台111、ケーブル13に含まれる出力線L132および第2施療子本体12aに設けられた端子台123を介して電気的に接続されている。
【0047】
次に、
図1に戻って操作器2について説明すると、図示の操作器2は、例えば施療ユニット1の操作専用のリモコン装置から構成され、施療ユニット1の動作状態を表示するディスプレイ2eが設けられた操作器本体2aと、操作器本体2aに設けられた第1操作部132とを備え、この第1操作部132は、電源釦2b、モード変更釦2c及びボリューム釦2dを有する。電源釦2bは、操作器2へ電源を投入する際に押下される。モード変更釦2cは、施療ユニット1の施療モードを切り替える際に押下される。ボリューム釦2dは、第1及び第2電極パッド11p、12p間に出力されるパルス施療電流の大きさを調節するときに押下される。
【0048】
この操作器2は、ユーザによる電源釦2b、モード変更釦2c及びボリューム釦2dに対する操作内容に応じて、制御情報を施療ユニット1に向けて送出する。施療ユニット1の施療モードとしては、上述したように、「ふかもみ」、「首肩」、「腰背中」及び「腕足」の4つモードとが設定されている。
【0049】
この操作器2は、更に、制御情報を生成するための制御部(図示せず)及び通信部(図示せず)を備えている。この制御部は、モード変更釦2c又はボリューム釦2dの操作内容に応じて制御情報(制御情報信号)を生成し、通信部は、この制御部が生成した制御情報を施療ユニット1に送信する。尚、この通信部は、例えばアンテナと無線モジュールとから構成される。
【0050】
操作器2の制御部(図示せず)により生成される制御情報には、施療ユニット1の施療モードの変更を指令するモード変更指令情報と、施療ユニット1の第1及び第2電極パッド11p,12p間に印加されるパルス施療電流の電圧の変更を指令するボリューム変更指令情報とが含まれる。また、電源釦2bが押下されると、この制御部は操作器2に電源が投入されたことを通知する電源投入通知情報(第1電源投入通知情報)を生成し、生成した電源投入通知情報が通信部を介して送出される。更に、電源釦2bが押下された後、再度電源釦2bが押下されると、この制御部は、施療ユニット1の電源をオフするよう指令する電源オフ指令情報を生成し、生成した電源オフ指令情報が通信部を介して送出され、その後、操作器2の電源がオフとなる。
【0051】
次に、この実施形態に係る施療ユニット1の制御部114が実行する制御処理について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。この施療ユニット1による制御処理は、例えば施療ユニット1への電源が投入されたことを契機として開始される。例えば、操作器2の第1操作部132の電源釦2bを押下すると、その制御部(図示せず)が第1電源投入通知情報(第1電源投入通知信号)を生成し、この第1電源投入通知情報が通信機116を介して施療ユニット1の制御部114に送られる。また、施療ユニット1の第2操作部131の電源釦11bを押下すると、制御部114は第2電源投入通知情報
(第2電源投入通知信号)を生成する。
【0052】
このように電源投入通知情報(第1電源投入通知情報又は第2電源投入通知情報)が生成されると、ステップ101からステップS102に進み、操作器2の操作優先モードが設定され、その後の入力操作は、操作器2による入力操作が優先する(ステップS102)。
【0053】
このように電源投入が行われると、第1及び第2施療子11,12の装着状態の検知が行われる(ステップS103)。この装着状態の検知は、第1及び第2電極パッド11p,12p間に流れる電流を検知することにより行われ、かかる電流の電流値が予め設定された電流閾値以上のときに身体に適切に装着されているとして装着検出信号を生成して制御部114に送給し、かかる装着検出信号に基づいて、パルス施療電流が出力回路113から第1及び第2施療子11,12(第1及び第2電極パッド11p,12p)に送給される(ステップS104)。
【0054】
施療ユニット1の制御部114は、装着状態判定回路115からの装着検出信号に基づいて、電圧変換回路112及び出力回路113へPWM信号を出力し、かかるPWM信号により、第1及び第2電極パッド11p,12p間へのパルス施療電流が出力される。具体的には、制御部114は、施療モードとしての「ふかもみ」に対応するパルス施療電流を第1及び第2電極パッド11p,12p間へ出力する。このパルス施療電流は、
図5(a)及び(b)を参照して説明したように、低周波数(例えば、20Hz)の主パルス電流Aと中周波(例えば、2000Hz)の副パルス電流Bとを組み合わせた施療電流であって、この施療電流の全体が主パルス電流の第1周期T1(例えば、0.05sec)よりも長い第2周期T2(例えば、1sec)でもって変動されたものであり、これにより、第1及び第2電極パッド11p,12p間に流れるパルス施療電流の電圧波形は、パルス電圧の最大値がAM変調された波形となる。
【0055】
電源投入後に第2操作部132(例えば、電源釦11b)を再度押下すると、ステップS105からステップS106に進み、操作器2の操作優先モードがキャンセルされ、第2操作部131の操作優先モードが設定され、その後は、この第2操作部131による入力操作が優先される。尚、電流上昇釦11c又は電流下降釦11dを押下したときにも第2操作部131の操作優先モードが設定されるようにしてもよい。
【0056】
このようにして第2操作部131の操作優先モードに切り替えられた後に、電源釦11bを押下すると、ステップS107からステップS108に進み、施療ユニット1の施療モードが変更される。例えば、電源釦11bを1回(又は2回、3回)押下すると、施療モードは「ふかもみ」から「首肩」(又は「腰背中」、「腕足」)に切り替わる。
【0057】
また、この第2操作部131の操作優先モードにおいて、電流上昇釦11cを押下すると、ステップS109からステップS110に進み、制御部114は、パルス施療電流の最大電圧値が上限値かを判定する。そして、この最大電圧値が上限値に達していないときには、ステップS111に進み、制御部114は、パルス施療電流の最大電圧値を1段階上昇し、出力が1段階大きくなったパルス施療電流が、出力回路113から出力されて第1及び第2施療子11,12(第1及び第2電極パッド11p,12p)に送られ、1段階アップした施療効果が得られる。尚、この最大電圧値が上限値に達していると、更に大きくすることができないので、ステップS110からステップS112に移る。
【0058】
また、この第2操作部131の操作優先モードにおいて、電流下降釦11dを押下すると、ステップS112からステップS113に進み、制御部114は、パルス施療電流の最大電圧値が下限値かを判定する。そして、この最大電圧値が下限値に達していないときには、ステップS114に進み、制御部114は、パルス施療電流の最大電圧値を1段階下降し、出力が1段階小さくなったパルス施療電流が、出力回路113から出力されて第1及び第2施療子11,12(第1及び第2電極パッド11p,12p)に送られ、1段階ダウンした施療効果が得られる。尚、この最大電圧値が下限値に達していると、更に小さくすることができないので、ステップS113からステップS115に移る。
【0059】
そして、この施療中に電源釦11bを長押しすると、ステップSS115からステップS116に移り、制御部114は、出力回路113からのパルス施療電流の出力を停止し、施療ユニット1による施療が終了する。一方、この施療中に電源釦11bを長押しない場合、ステップS117に移り、電源投入後基準時間(例えば、10~15分程度に設定される)経過したかが判定され、この基準時間が経過するまではステップS117からステップS107に戻り、施療ユニット1による上述した施療が継続して行われ、その後この基準時間が経過すると、ステップS117からのステップS116に進み、上述したようにして施療ユニット1による施療が終了する。
【0060】
また、操作器2の操作優先モード中においては、モード変更指令情報(モード変更指令信号)を受信したかが判定され、(ステップS118)、モード変更指令情報を施療ユニット1が受信したときには施療モードの変更が行われる(ステップS119)。ユーザが操作器2のモード変更釦2cを押下すると、操作器2の制御部がモード変更指令情報(モード変更指令信号)を生成し、このモード変更指令情報が施療ユニット1に送信され、施療ユニット1側の制御部114がこのモード変更指令情報を受領すると、このモード変更指令情報に基づいて施療モードの変更が行われる。
【0061】
この形態では、モード変更釦2cを押下する毎にモード変更指令情報(モード変更指令信号)が生成され、このモード変更指令情報が生成される毎に、施療ユニット1の施療モードが一つずつ変更される。例えば、制御部114は、モード変更指令情報を受信する毎に、施療モードを「ふかもみ」から「首肩」、「腰背中」及び「腕足」とこの順に変更し、この順に繰り返し変更する。例えば、施療ユニット1の施療モードが「ふかもみ」に設定されている状態で、モード変更指令情報を受信すると、施療ユニット1の施療モードが「首肩」に切り替わる。尚、モード変更指令情報を受信しないときには、ステップS118からステップS120に移る。
【0062】
次に、操作器2からの制御情報であるボリューム変更指令情報(ボリューム変更指令信号)を受信したかが判定され(ステップS120)、施療ユニット1の制御部114がボリューム変更指令情報を受信すると、後述するようにステップS121に進み、更にステップS122に進んでして第1及び第2施療子11,12(第1及び第2電極パッド11p,12p)に送給されるパルス施療電流の大きさが変更される。
【0063】
例えば、ユーザが操作器2のボリューム変更釦2dの上昇側を押下すると、操作器2の制御部が上昇側のボリューム変更指令情報(ボリューム変更指令信号)を生成し、このボリューム変更指令情報が施療ユニット1に送信される。そして、施療ユニット1側の制御部114がこの上昇側のボリューム変更指令情報を受領すると、この上昇側のボリューム変更指令情報に基づいてパルス施療電流の変更が行われる。このとき、パルス施療電流の電圧最大値が上限値であるかが判定され、この電圧最大値が上限値に達していない場合、ステップS121からステップS122に進み、パルス施療電流の電圧最大値が1段階上昇され、1段階大きくなったパルス施療電流が、出力回路113から出力されて第1及び第2施療子11,12(第1及び第2電極パッド11p,12p)に送られる。尚、この最大電圧値が上限値に達していると、更に大きくすることができないので、ステップS121からステップS123に移る。
【0064】
また、ユーザが操作器2のボリューム変更釦2dの下降側を押下すると、操作器2の制御部が下降側のボリューム変更指令情報(ボリューム変更指令信号)を生成し、このボリューム変更指令情報が施療ユニット1に送信される。そして、施療ユニット1側の制御部114がこの下降側のボリューム変更指令信号を受領すると、この下降側のボリューム変更指令情報に基づいてパルス施療電流の変更が行われる。このとき、パルス施療電流の電圧最大値が下限値であるかが判定され、この電圧最大値が下限値に達していない場合、ステップS121からステップS122に進み、パルス施療電流の電圧最大値が1段階下降され、1段階小さくなったパルス施療電流が、出力回路113から出力されて第1及び第2施療子11,12に送られる。尚、この最大電圧値が下限値に達していると、更に小さくすることができないので、ステップS121からステップS123に移る。
【0065】
ステップ123では、施療ユニット1の制御部114が電源オフ指令情報(電源オフ指令信号)を受信したかが判定され、この電源オフ指令情報を受信するまでは、ステップ123からステップS105に戻り、上述した施療処理が繰り返し遂行される。
【0066】
一方、施療ユニット1の制御部114が電源オフ指令情報(電源オフ指定信号)を受信する、換言すると操作器2の電源釦2bを押下して電源オフ指令情報が生成されて施療ユニット1に送信されると、ステップS123からステップ116に移り、パルス施療電流の出力が停止し、施療ユニット1による施療が終了する。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態に係る低周波治療装置によれば、施療ユニット1の制御部114が、操作器2の第1操作部132が送出する制御情報又は施療ユニット1の第1操作部131(電源釦11b、電流上昇釦11c及び電流下降釦11d)に対する操作内容に基づいて、出力回路113へPWM信号を出力することにより、出力回路113から電極パッド11p、12p間へ出力されるパルス電流が制御される。
【0068】
また、この制御部114は、ユーザにより第2操作部131(例えば、電源釦11b)に対して予め設定された操作を行う、例えば施療ユニット1へ電源投入した後に再度電源釦11bを押下操作すると、操作器2(第1操作部132)の入力操作よりも施療ユニット1の第2操作部131の入力操作を優先する第2操作部131の操作優先モードとなるので、第2操作部131を操作した後の入力操作の誤操作を少なくし、入力操作の安全性を高めることができる。また、このように操作優先モードを設定するので、操作器2を紛失したり、操作器2の電池切れなどで操作器2の動作が不安定になったりした場合でも、この第2操作部131を入力操作することにより、施療ユニット1を所要の通りに制御することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0069】
以上、本発明に従う低周波治療装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0070】
例えば、図示の実施形態では、施療ユニット1の一対の施療子、即ち第1及び第2施療子11,12に第1及び第2電極パッド11p,12pを設けた形態の低周波治療装置に適用して説明したが、1つの施療ユニット本体に一対の電極パッド(第1及び第2電極パッド11p、12p)を電気的に接続した形態のものにも同様に適用することができる。
【0071】
また、図示の実施形態では、第2操作部131の電源釦11b、電流上昇釦11c及び電流下降釦11dの全てが、円盤状の第1施療子本体11aの周面に配設されているが、このような構成に限定されず、例えば電源釦11b、電流上昇釦11c及び電流下降釦11dのいずれかが一つ又は二つを第1施療子本体12aの外周面に配設するようにしてもよい。また、第1及び第2施療子本体11a,12aは、円盤状であるが、このような形状に限定されず、平面視において、例えば矩形状、楕円状などの適宜の形状でよい。
【0072】
また、図示の実施形態では、操作器2と施療ユニット1とが無線通信を介して通信接続されるが、操作器2と施療ユニット1とが赤外線通信などのその他の通信方法で通信接続されるようにしてもよい。
【0073】
更に、図示の実施形態では、操作器2が施療ユニット1の専用のリモコン装置から構成されているが、このような専用リモコン装置に代えて(或いは、専用リモコンに加えて)、操作器2として機能させるためのアプリケーションソフトがインストールされたスマートフォンのような携帯情報端末装置から構成してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 施療ユニット
2 操作器
11,12 施療子
11a,12a 施療子本体
11p,12p 電極パッド
112 電圧変換回路
113 出力回路
114:制御部
131 第2操作部
132 第1操作部