(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】チャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20220328BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20220328BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20220328BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2020510124
(86)(22)【出願日】2017-10-23
(86)【国際出願番号】 CN2017107271
(87)【国際公開番号】W WO2019061606
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】201710880890.3
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518236395
【氏名又は名称】南通金源新材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】唐 偉
(72)【発明者】
【氏名】唐 栄成
(72)【発明者】
【氏名】周 成喜
(72)【発明者】
【氏名】秦 昌峰
(72)【発明者】
【氏名】羅 亮
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-503336(JP,A)
【文献】特表2015-503335(JP,A)
【文献】国際公開第2016/135331(WO,A1)
【文献】特表2016-538863(JP,A)
【文献】特表2017-500864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸状に順に接続された、煙生成材料を含有する煙草部、チャンバ型容器部及び、
唇近接部、並びに
前記煙草部、チャンバ型容器部及び唇近接部を固定する外部包装材料と、
を含
む非燃焼加熱式タバコであって、
前記チャンバ型容器部のチャンバ内に、水、風味を有する液体、香りを生成する粒子及び冷却機能を有する材料のうちの1種又は複数種が充填され、
前記チャンバ型容器部は、気流を上流と下流との間で通過させるための通気孔を有し、
前記チャンバ型容器部内に液体が充填されたチャンバは、前記タバコの軸方向の両端部に沿って通気性でかつ液体非透過性の薄膜を有する、
ことを特徴とするチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項2】
前記チャンバ型容器部は1つ以上のチャンバを有する容器である、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項3】
前記チャンバ型容器の材料は食品用プラスチック、生分解性プラスチック、又は全植物抽出物材料である、
ことを特徴とする請求項
1に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項4】
前記煙草部の芯部材料はアルミ箔複合成形紙又は耐油成形紙により包装される、
ことを特徴とする請求項
1に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項5】
前記アルミ箔複合成形紙は複合層構造を有し、内層はアルミ箔層であり、外層は成形紙層であり、前記内層と外層を一体的に接着して複合層構造を形成する、
ことを特徴とする請求項
4に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項6】
前記煙草部の芯部材料は再構成タバコ葉材料、オリジナルな煙草材料又は塗布された紙材料である、
ことを特徴とする請求項
1に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項7】
前記煙草部の前記芯部材料には、煙草抽出物、粒子状若しくは粉末状煙草材料、又はエッセンスと香料のうちの1種又は複数種が添加される、
ことを特徴とする請求項
6に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項8】
前記煙草部の芯部は、再構成タバコ葉材料、オリジナルな煙草材料又は塗布された紙材料により切断された複数の長尺状シートを縦方向に集積してなる、
ことを特徴とする請求項
6に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項9】
前記煙生成材料は、プロパンジオール、トリエチレングリコール、ブタンジオール及びグリセリンの少なくとも
1種を含むポリオール又はその混合物を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項10】
前記唇近接部の芯部はセルロースアセテートトウである、
ことを特徴とする請求項
1に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項11】
前記唇近接部に香りを高めるユニットが設置されている、
ことを特徴とする請求項
1に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項12】
前記香りを高めるユニットは内部に液体を含有する球状物、又は煙草の香り若しくはその他の特徴的な香りを有する粒子状又は粉末状材料である、
ことを特徴とする請求項
11に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項13】
前記唇近接部は中実部材、又は軸方向に沿って貫通孔を有する管状部材である、
ことを特徴とする請求項
1に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項14】
前記貫通孔の断面形状は円形、歯車形又はその他の形状である、
ことを特徴とする請求項
13に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【請求項15】
前記煙草部とチャンバ型容器部との間、又は前記チャンバ型容器部と唇近接部との間の少なくとも一方に、支持部又は機能部がさらに設置され、タバコ各部の端面は同軸状に順に一体的に接続されている、
ことを特徴とする請求項
1に記載のチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気加熱型タバコに関し、特に煙生成材料を含有し、チャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、煙草業界では電気加熱型タバコ(非燃焼加熱式タバコ)が開発されている。非燃焼加熱式タバコは、一般的には電気加熱システム(喫煙具とも呼ばれる)及びタバコ(煙草本体)を含み、電気加熱システムは加熱素子を備え、煙草本体は煙生成材料(又は煙生成剤、エアロゾル形成剤とも呼ばれる)を有する。煙草本体が電気加熱システムに設置して、加熱素子に電源を入れて加熱するように電気加熱システムを制御する。加熱素子は煙草本体内の煙生成材料を加熱し、煙生成材料を煙生成温度に昇温し、それにより煙が生じて使用者の喫煙に対する要求を満たす。このような加熱による煙生成製品は従来のタバコにおける煙草の燃焼及び熱分解により生じた有害なタバコ煙の成分を減少させることができる。
従来の煙生成材料を有する電気加熱型タバコには以下の問題が存在する。
【0003】
1.煙草本体内の煙生成材料は吸水性を有し、空気中の水分を吸収するため、タバコ内の煙草の含水量が増加する。このため、タバコ外部包装材料の芯部材料が水分を吸収することによって汚染及び変形が引き起こされる。
【0004】
2.電気加熱型タバコであるため、タバコの煙の温度が高く、冷却材料の降温効果が適切ではなく、タバコの煙が使用者の口に入る時に灼熱感が依然として強く、喫煙体験に影響を与える。
3.味がシンプルである。
4.タバコの煙の香りの濃度が不十分である。
また、消費者の消費水準及び需要の増加に伴い、消費者の様々な需要を満たすために、より多くの機能を有する非燃焼加熱式タバコが求められる。
【発明の概要】
【0005】
従来技術の上記課題に対し、本発明ではチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコを提供する。本発明では、使用者の様々な需要を満たすために、複数種の香りの特徴及び特別な機能を提供することができる。
【0006】
本発明にかかるチャンバ型容器部を有する非燃焼加熱式タバコは、前記タバコは同軸状に順に接続された、煙生成材料を含有する煙草部、チャンバ型容器部及び唇近接部、並びに前記煙草部、チャンバ型容器部及び唇近接部を固定する外部包装材料を含む。
好ましくは、前記チャンバ型容器部は1つ以上のチャンバを有する容器である。
【0007】
好ましくは、前記チャンバ型容器部の前記1つ以上のチャンバ内には水、風味がある液体、香りが発生する粒子及び冷却機能を有する材料における1種又は複数種が充填される。
好ましくは、前記チャンバ型容器部は、気流を上流と下流との間で通過させるための通気孔を有する。
【0008】
好ましくは、前記チャンバ型容器部内に液体が充填されたチャンバは、前記タバコの軸方向の両端部に沿って通気性でかつ液体非透過性の薄膜を有する。
好ましくは、前記チャンバ式容器の材料は食品用プラスチック、生分解性プラスチック、又は全植物抽出物材料である。
好ましくは、前記煙草部の芯部材料はアルミ箔複合成形紙又は耐油成形紙により包装される。
【0009】
好ましくは、前記アルミ箔複合成形紙は複合層構造を有し、内層はアルミ箔層であり、外層は成形紙層であり、前記内層と外層が一体的に接着されて複合層構造を形成する。
好ましくは、前記煙草部の芯部材料は再構成タバコ葉材料、オリジナル煙草材料又は塗布された紙材料である。
【0010】
好ましくは、前記煙草部の前記芯部材料には、煙草抽出物、粒子状若しくは粉末状煙草材料、エッセンス及び香料のうちの1種又は複数種が添加される。
【0011】
好ましくは、前記煙草部の芯部は再構成タバコ葉材料、オリジナル煙草材料又は塗布された紙材料を切断した複数の長尺状シートを縦方向に沿って集積してなる。
好ましくは、前記煙生成材料は、プロパンジオール、トリエチレングリコール、ブタンジオール及びグリセリンのうちの少なくとも1種を含むポリオール又はその混合物の少なくとも一方を含む。
【0012】
好ましくは、前記唇近接部の芯部はセルロースアセテートトウである。
好ましくは、前記唇近接部には香りを高めるユニットが設置されている。
【0013】
好ましくは、前記香りを高めるユニットは内部に液体を含有する球状物、煙草のオリジナルの香り又はその他の特徴的な香りを有する粒子状又は粉末状材料である。
好ましくは、前記唇近接部は中実部材、又はその軸方向に沿って貫通孔を有する管状部材である。
好ましくは、前記貫通孔の横断面形状は円形、歯車形又はその他の形状である。
【0014】
好ましくは、前記煙草部とチャンバ型容器部との間又は前記チャンバ型容器部と唇近接部との間の少なくともいずれかに、支持部又は機能部がさらに設置され、タバコ各部の端面は同軸状に順に一体的に接続される。
【発明の効果】
【0015】
1.マルチチャンバ型容器部の材料は煙草本体に良好な降温特性を与え、使用者が喫煙する時に灼熱感がない。
【0016】
2.マルチチャンバ型容器部を設置することによって、煙草本体の味が豊富になり、タバコの煙の香りが濃厚になり、タバコの煙を多量に発生させることができる。
【0017】
3.煙草部にアルミ箔複合成形紙を設置することによって、芯部材料が空気中の水分を吸収することによって引き起こされた外部包装材料の汚染及び変形の問題を減少させることができる。
【0018】
4.マルチチャンバ型容器部の中間チャンバ内に水又はその他の風味を有する液体を充填することによって、タバコの煙の温度と刺激性を低下させ、タバコの煙をより柔らかくし、同時に使用者に水タバコと類似する喫煙体験を与える。
【0019】
5.本発明にかかる非燃焼加熱式タバコは、使用時に点火する必要がなく、タバコの燃焼により生じた有害なタバコの煙成分を大幅に減少させ、より安全であり、ヘルシーである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施例による非燃焼加熱式タバコの軸方向の断面図である。
【
図2】本発明の一実施例による非燃焼加熱式タバコのマルチチャンバ型容器部の軸方向の断面図である。
【
図3】本発明の一実施例による非燃焼加熱式タバコの3チャンバ型容器部の軸方向の断面図である。
【
図4】本発明の一実施例による非燃焼加熱式タバコの容器底面の構成図である。
【
図5】本発明の一実施例による非燃焼加熱式タバコの煙草部の芯部の展開図である。
【
図6】本発明の他の実施例による非燃焼加熱式タバコの軸方向の断面図である。
【
図7】本発明の一実施例による非燃焼加熱式タバコの中実型唇近接部の端面を示す図である。
【
図8】本発明の一実施例による非燃焼加熱式タバコの中空型唇近接部の端面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、明細書の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本明細書に関する実施形態は網羅的ではなく、本発明の唯一の実施形態を表すものではない。以下の実施例は本発明の内容を明らかに説明するためのものに過ぎず、その実施形態を限定するものではない。当業者であれば、これらの実施例に対する説明に基づいてさらに様々な形式の変更や修正を行うことができ、本発明の技術的思想及び発明内容に属する変更や修正はいずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【0022】
本発明にかかる非燃焼加熱式タバコは、タバコ加熱器具と組み合わせて使用し、タバコ加熱器具に挿入して加熱した後、エアロゾルと香りを放出し、喫煙者が喫煙するのに用いられる。
【0023】
図1は本発明の典型的な実施例にかかる非燃焼加熱式タバコの軸方向の断面図である。
図1に示すように、本発明にかかる非燃焼加熱式タバコは同軸状に順に接続された煙草部1、マルチチャンバ型容器部6及び唇近接部4、並びに前記煙草部1、マルチチャンバ型容器部6及び唇近接部4を固定する外部包装材料5を含む。
【0024】
本発明にかかる非燃焼加熱式タバコは上流端部と下流端部の2つの端部を含む。「上流」と「下流」の文言は使用者の使用時の煙草本体の喫煙方向に対する煙草本体の各部材又は部材の一部の相対位置を説明するのに用いられる。使用中、使用者は下流端部を喫煙することができ、煙草本体により生じた香り及びエアロゾルは上流から下流方向に流れ、使用者の口に吸い込まれる。
【0025】
マルチチャンバ型容器部6は煙草部1に隣接する下流側に設置されている。マルチチャンバ型容器部6は任意の適切な材料又は材料の組み合わせにより構成することができる。マルチチャンバ型容器部6の材料は好ましくは食品用プラスチック、生分解性プラスチック、又は全植物抽出物材料である。食品用プラスチック又は生分解性プラスチックとしては、具体的には、例えばポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシ脂肪酸エステル(PHA)、ポリε-カプロラクトン(PCL)、二酸化炭素共重合体、水溶性PVA、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンサクシネート(PBS)等が挙げられる。これらは、人にとって安全な材料である。
【0026】
好ましくは、マルチチャンバ型容器部6はほぼ円筒形のプラスチック製部材である。煙草本体の中間段は使用者が煙草本体を把持する主な部分であり、使用者に快適な把持体験を与えるために該部分は一定の支持力を必要とする。該部分に設置されたマルチチャンバ型容器部6はほぼ円筒形のプラスチック製部材を用い、適切な支持力を設けることによって快適な把持体験を生じることができる。大きい把持力を加えるとしても、煙草本体の変形や断裂を引き起こすことはない。また、マルチチャンバ型容器部6のプラスチック材料は一定の熱を吸収することができ、煙草部からの高い温度(200~350℃)を有するエアロゾルと香りが該マルチチャンバ型容器部6を通過する時、一定の降温効果を奏することができる。これによりエアロゾルと香りが使用者の口に達する時に灼熱感を減少させ、又は灼熱感をなくすことができ、さらに喫煙効果を向上させることができる。
【0027】
マルチチャンバ型容器部6は複数のチャンバを有する容器である。
図1は2つのチャンバを有する構成を示す。別の実施形態においては、
図2(b)に示すように、3チャンバ型容器であってもよい。当然ながら、該容器部は必要に応じてシングルチャンバ型容器に形成されてもよく、その場合、
図2(a)に示すような構成になる。
【0028】
容器6は気流が上流と下流との間において該容器を通過するために1つ以上の通気孔を有する。具体的には、シングルチャンバの場合、空気に該シングルチャンバを通過させるために、通気孔は容器の両側の端面上(即ち上流側端面と下流側端面)に設置されてもよい。マルチチャンバの場合、空気が各チャンバを通過して上下流方向において自由に流れるために、通気孔は容器の両側の端面上(即ち上流側端面と下流側端面)及び各チャンバの間の仕切り壁に設置されてもよい。
【0029】
マルチチャンバ型容器部6の複数のチャンバ内に水、風味がある液体、香りが発生する粒子及び冷却機能を有する材料のうちの1種又は複数種が充填されてもよく、それにより使用者の様々な需要を満たすことができる。風味がある液体はハッカエッセンス、リンゴエッセンス、バラの香りエッセンス、モモエッセンス及びチンピエッセンス等の1種又は複数種の組み合わせを含む。粒子材料を充填する時、容器の通気孔の直径をその収容する機能性粒子の粒径より小さくするように設計することにより、該機能性粒子は通気孔から漏れることがない。シングルチャンバ型容器の場合、香りを発生する粒子と冷却機能を有する材料とを混合することができる。マルチチャンバ型容器の場合、香りが発生する粒子と冷却機能を有する材料とを異なるチャンバ内に分けて配置することができる。
【0030】
好ましくは、水、風味がある液体を充填し、又は様々な機能性粒子材料を入れやすくするために、該マルチチャンバ型容器部6は複数の互いに接続/解体可能なチャンバ(チャンバ部材)を含む。チャンバ部材はほぼ円筒形であり、軸方向の一端には開口を有し、他端には底壁又は端面を有する(チャンバ部材の形状はコップに類似する)。例えば、2チャンバの場合、第1チャンバ部材と第2チャンバ部材はスナップ接続によって一体的に固定される。具体的には、第1チャンバ部材の底壁は第2チャンバ部材の開口に挿入され、スナップによって固定して接続される。該底壁7は外径が第2チャンバ部材の開口内径より略小さい突出した縁部を有することにより、該突出した縁部を第2チャンバ部材の開口内に挿入させることができる。第1チャンバ部材の開口はさらにカバー9を有し、カバーは同様に外径が第1チャンバ部材の開口内径より略小さい突出した縁部を有し、該突出した縁部を第1チャンバ部材の開口に挿入し、両者をスナップによって固定して接続する。それにより、2チャンバ型容器部を形成することができる。3つ以上のチャンバの場合も類似した構成とすることができる。
図4はチャンバ部材の底壁(底部端面)7の構成図を示し、中央の「十」は補強リブであり、円形は通気孔を示す。チャンバ部材のカバーも
図4と類似する構造を有する。
【0031】
好ましくは、
図3(a)に示すように、マルチチャンバ型容器部の特定のチャンバ、例えば3チャンバ型容器12の中間チャンバ内に水を充填することができる。この構成では、吸い込む時に水タバコと類似する喫煙体験を得ることができる。この場合、該中間チャンバの前記煙草本体の軸方向に沿う両端部は通気性であるが液体非透過性(水)の薄膜12aを有する。該薄膜は例えばポリテトラフルオロエチレン薄膜、熱可塑性ポリウレタン薄膜、ポリエチレン薄膜であってもよい。中間チャンバ内に水が充填されるため、使用者がタバコを喫煙する時、エアロゾルと香りは煙草本体内に上流から下流へ該水が充填されたチャンバ12を通過し、喫煙者に水タバコを喫煙する感覚を与え、同時に、該充填された水はタバコ煙の温度と刺激性を低下させ、タバコ煙をより柔らかにすることができる。その他の実施例では中間チャンバ内の水を風味がある液体に置き換えることもできる。
【0032】
図3(b)は
図3(a)に示す構造の変形例を示す。即ち、中間チャンバの両側チャンバは底壁7及びカバー9を有し、両側チャンバの底壁7は中間チャンバにそれぞれ嵌められ3チャンバ型容器を形成する。このように、タバコが垂直状態である時、中間チャンバ内の水の重力により膜に圧力がかかるため、膜を破壊してタバコの耐用年数が低減する可能性がある。両側チャンバの底壁7は中間チャンバの両端部にの任意の一端の膜を支持する作用を果たすため、膜は水の重力により破壊されることがない。
【0033】
さらに、3チャンバ型容器12の中間チャンバの上流側チャンバに例えば香りが発生する粒子を充填することができ、下流側のチャンバに例えば冷却機能を有する材料を充填することができる。好ましくは、香りが発生する粒子は煙草のオリジナルの香り又はその他の特徴的な香りを有する粒子状又は粉末状材料である。煙草のオリジナルな香りを有する粒子状又は粉末状材料は雲煙ネットオイル、ジンバブエネットオイル、ダウノーネ、メチルシクロペンテノロン、ダマセノン、イオノネ、ジヒドロキウイラクトン等で調製された溶剤をタバコ葉、煙茎等の粒子又は粉末に添加することによって製造される。その他の特徴的な香りを有する粒子状又は粉末状材料はハッカエッセンス、リンゴエッセンス、バラの香りエッセンス等の1種又は複数種を組み合わせて調製された溶剤をタバコ葉、煙茎等の粒子又は粉末に添加することによって製造される。
好ましくは、冷却機能を有する材料は例えばポリエチレングリコール(PEG8000)又は結晶水を含有する塩である。
好ましくは、マルチチャンバ型容器部の厚さは0.5mmであってもよい。前記通気孔の直径は0.5mmであってもよい。
マルチチャンバ型容器部6は好ましくは煙草部1の外径とほぼ等しい外径を有する。
【0034】
好ましくは、マルチチャンバ型容器部6は少なくとも5ミリメートルの外径を有し、約5ミリメートル~約10ミリメートルの間の外径、さらに約6ミリメートル~約8ミリメートルの間の外径を有してもよい。好ましい実施例において、マルチチャンバ型容器部6は7ミリメートル±10%の外径を有する。
【0035】
マルチチャンバ型容器部6は約5ミリメートルから約30ミリメートルの範囲の長さを有してもよい。好ましい実施例において、マルチチャンバ型容器部6は約15又は20ミリメートルの長さを有してもよい。
【0036】
タバコ加熱器の加熱素子が本発明にかかる非燃焼加熱式タバコの煙草部に挿入される時、煙草部が加熱素子の挿入に対する抵抗を解消するために、使用者は力を加える必要がある。このようにすると、タバコの煙草部及び/又はタバコ加熱器の加熱素子を破壊する可能性がある。
【0037】
また、タバコ加熱器の加熱素子がタバコの煙草部に挿入されるときに加えた力によって煙草部をタバコの煙草本体内に移動させる可能性がある。タバコ加熱器の加熱素子により、煙草本体が煙草部内に十分に挿入されなくなることにより、煙草部の不均一と低効率の加熱を引き起こす可能性がある。
【0038】
好ましい実施例において、マルチチャンバ型容器部6はタバコ加熱器の加熱素子が煙草本体の煙草部に挿入される時に煙草部が下流へ移動することを阻止するように構成されている。これにより、タバコ加熱器の加熱素子が充分に煙草本体の煙草部に挿入されることを保証し、煙草部の不均一と低効率の加熱を回避することができる。同時に、マルチチャンバ型容器部6は使用者が喫煙する時に香りとエアロゾルが上流から下流へ流れる気流の通路に構成されている。
【0039】
煙草部1は非燃焼加熱式タバコの上流端部に設置され、芯部及び芯部を包装するアルミ箔複合成形紙2を含んでもよい。
【0040】
具体的には、アルミ箔複合成形紙2は複合層構造を有し、内層はアルミ箔層であり、外層は成形紙層であり、前記内層と外層を例えば接着剤により一体的に接着して複合層構造を形成する。煙草部にアルミ箔複合成形紙を設置することによって、煙生成材料が空気中の水分を吸収することによって引き起こされる外部包装材料の汚染及び変形を減少させることができる。別の実施例において、アルミ箔複合成形紙2は耐油成形紙で代替してもよい。
【0041】
好ましくは、煙草部1の芯部料は再構成タバコ葉材料、オリジナルな煙草材料又は塗布された紙材料である。煙草部1は加熱された後、エアロゾルと香りを生じ、通常の煙草本体を喫煙するときと類似する味を喫煙者に提供する。具体的には、煙草部1の芯部は前記再構成タバコ葉材料、オリジナルな煙草材料又は塗布された紙材料により切断された複数の長尺状シートを縦方向に沿って集積して構成する。本発明にかかる長尺状シートはほぼ平らな表面を有する。ここでの「縦方向」は煙草本体の上流端部と下流端部との間の方向を表す。
【0042】
図5は煙草部の芯部の展開図である。煙草部1の芯部は長尺状シート8を煙草本体の縦方向に沿って集積して構成される。用語「シート」は該部材がその厚さより顕著に大きい幅と長さを有することを表す。用語「集積する」は長尺状シートをタバコの縦方向の軸線とほぼ平行になるように集めて、収束させることを説明するのに用いられる。
【0043】
長尺状シート(煙草シート)8を含むタバコは、煙草材料スライスを含むタバコと比べると、煙草本体の端部が緩くなるリスクを低減することができる。端部の緩みの理由は煙草本体の端部の煙草材料スライスの損失である。煙草本体の端部の緩みは煙草本体とタバコ加熱器(喫煙具)をともに使用する時にタバコ加熱器を頻繁に洗浄する必要を引き起こし、それによりタバコ加熱器の耐用年数に影響を与える可能性がある。
【0044】
また、タバコ加熱器の加熱素子が煙草材料スライスを含むタバコに挿入され、又は煙草材料スライスを含むタバコから引き出される時に煙草材料スライスの移動を引き起こしす。これにより、落下した煙草スライスを除去するためにタバコ加熱器の加熱素子を頻繁に洗浄必要があるという不都合を引き起こす。逆に、タバコ加熱器の加熱素子が長尺状煙草シートを含むタバコに挿入され、又は長尺状煙草シートを含むタバコから引き出される時に煙草シートの移動を引き起こすことはない。
【0045】
また、特定の長さの長尺状シートの重量はシートの密度、幅及び厚さにより決定されるため、長尺状シートを集積してなる煙草部を含む特定の長さのタバコの重量は長尺状シートの密度とサイズを制御することによって調節することができる。これにより、同じサイズのタバコの間の重量の不一致を減少させ、煙草材料スライスを含むタバコと比べると、重量が許容範囲を超える比率を低下させる。
【0046】
煙草部1の芯部材料に煙草抽出物、粒子状又は粉末状煙草材料又はエッセンス、香料のうちの1種又は複数種が加えられる。煙草抽出物は、雲煙ネットオイル、ジンバブエネットオイル、ダウノーネ、メチルシクロペンテノロン、ダマセノン、イオノネ、ジヒドロキウイラクトン等を含むがこれらに限定されるものではない。エッセンスと香料は、ハッカエッセンス、リンゴエッセンス、バラ香りエッセンス等の1種又は複数種の組み合わせを含むがこれらに限定されるものではない。また、芯部材料は製紙法により形成されたシート材料である。本発明において、部材料芯に加えた物質には煙生成材料/煙生成剤を含まない。公知のように、該煙生成材料は、ポリオール及びの混合物を含むがこれらに限定されるものではない。ポリオールは例えばプロパンジオール、トリエチレングリコール、ブタンジオール及びグリセリン等である。
【0047】
好ましくは、煙草部1は少なくとも5ミリメートルの外径を有し、約5ミリメートル~約10ミリメートルの範囲の外径、さらに約6ミリメートル~約8ミリメートルの間の外径を有してもよい。好ましい実施例において、煙草部1は7ミリメートル±10%の外径を有する。
【0048】
煙草部1は約10ミリメートルから約22ミリメートルの範囲の長さを有してもよい。一実施例において、煙草部は約15ミリメートルの長さを有してもよい。好ましい実施例において、煙草部1は約18ミリメートルの長さを有する。
好ましくは、煙草部1はほぼ円筒形である。
【0049】
唇近接部4はマルチチャンバ型容器部6の隣接する下流側に設置され、非燃焼加熱式タバコの下流端部に位置する。唇近接部4は芯部及び芯部を包装する成形紙を含んでもよい。好ましくは、唇近接部4の芯部は酢酸セルロース材料である。
唇近接部4は好ましくは煙草部の外径とほぼ等しい外径を有する。
【0050】
唇近接部4は少なくとも5ミリメートルの外径を有し、約5ミリメートルから約10ミリメートルの範囲の外径、さらに約6ミリメートルから約8ミリメートルの範囲の外径を有してもよい。好ましい実施例において、唇近接部4は7ミリメートル±10%の外径を有する。
【0051】
唇近接部4は約5ミリメートルから約20ミリメートルの範囲の長さを有してもよい。好ましい実施例において、唇近接部4は約10又は15ミリメートルの長さを有してもよい。
図1に示す実施例において、唇近接部4は中実である。
図7は中実唇近接部の端面10を示す。
【0052】
好ましくは、唇近接部4には香りを高めるユニットが設置されてもよい。該香りを高めるユニットは内部に液体を含有する球状物、又は煙草のオリジナルな香り又はその他の特徴的な香りを有する粒子状又は粉末状材料であってもよい。内部に液体を含有する球状物は例えばポッピングビードである。煙草のオリジナルな香りを有する粒子状又は粉末状材料は雲煙ネットオイル、ジンバブエネットオイル、ダウノーネ、メチルシクロペンテノロン、ダマセノン、イオノネ、ジヒドロキウイラクトン等で調製された溶剤をタバコ葉、煙茎等の粒子又は粉末に添加することによって製造される。その他の特徴的な香りを有する粒子状又は粉末状材料はハッカエッセンス、リンゴエッセンス、バラ香りエッセンス等の1種又は複数種を組み合わせて調製された溶剤をタバコ葉、煙茎等の粒子又は粉末に添加することによって製造される。
【0053】
煙草部1、マルチチャンバ型容器部6及び唇近接部4は外部包装材料5により固定される。該外部包装材料は任意の適切な材料又は材料の組み合わせにより形成することができる。一実施例において、外部包装材料5はタバコ巻紙である。タバコ巻紙5の下流端部の一部はさらに接合紙テープ例えばティッピング紙3により固定されてもよい。さらに成形紙、タバコ巻紙及びティッピング紙を外部包装材料としてもよい。
【0054】
本発明にかかる非燃焼加熱式タバコは約5ミリメートルから約10ミリメートルの範囲の外径、さらに約6ミリメートルから約8ミリメートルの範囲の外径を有してもよい。好ましい実施例において、タバコは7ミリメートル±10%の外径を有する。
【0055】
本発明にかかる非燃焼加熱式タバコは約30ミリメートルから60ミリメートルの範囲の総長を有する。好ましい実施例において、タバコは約48ミリメートルの総長を有する。
【0056】
図6は本発明の非燃焼加熱式タバコのさらなる実施例による軸方向の断面図である。ここでは
図1に示す実施例との相違点のみを詳しく説明し、本実施例と
図1に示す実施例との同じ点は省略する。好ましい実施例において、非燃焼加熱式タバコは煙草部1、マルチチャンバ型容器部6及び中空型唇近接部13を含む。該中空型唇近接部13はその軸方向に貫通孔を有する中空管状部材である。好ましくは、貫通孔の直径は3mmであってもよい。
図8は中空型唇近接部の端面を示す図であり、中空型唇近接部の端面の略中央位置に前記貫通孔を設置する。ここで、
図8(a)は円形貫通孔の中空型唇近接部の端面14を示し、
図8(b)は歯車型貫通孔の中空型唇近接部の端面11を示す。
【0057】
本発明にかかる非燃焼加熱式タバコの別の実施形態として、前記煙草部と唇近接部との間、及び/又は前記唇近接部と支持部材との間に、必要に応じて追加した支持部又は機能部が設置されてもよい。この場合、煙草本体各部の端面は同軸状に順に一体的に接続さる。
【0058】
上記実施例は本発明を説明するものに過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲において、前述の実施例に対する変化、変形はいずれも本発明の特許請求の範囲に含まれることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0059】
明細書の図面において、各符号により示された部材の名称は以下のとおりである。
【0060】
1-煙草部、2-アルミ箔複合成形紙、3-ティッピング紙、4-中実型唇近接部、5-タバコ巻紙、6-マルチチャンバ型容器部、7-容器底部端面、8-縦方向長尺状シート、9-容器のカバー、10-中実型唇近接部端面、11-歯車型唇近接部端面、12-水が充填された3チャンバ型容器、12a-通気であるが液体非透過性の膜、13-中空型唇近接部、14-中空型唇近接部端面、16-シングルチャンバ型容器部、17-3チャンバ型容器部