IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ぱちんこ部品株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図1
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図2
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図3
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図4
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図5
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図6
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図7
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図8
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図9
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図10
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図11
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図12
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図13
  • 特許-演出装置、入賞装置、及び遊技機 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】演出装置、入賞装置、及び遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220328BHJP
【FI】
A63F7/02 311A
A63F7/02 312Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018057414
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019166177
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591150270
【氏名又は名称】日本ぱちんこ部品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原 敬介
(72)【発明者】
【氏名】大原 和哉
(72)【発明者】
【氏名】野々村 誠司
(72)【発明者】
【氏名】足立 義一
【審査官】中野 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231890(JP,A)
【文献】特開2003-010434(JP,A)
【文献】特開2004-141219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の遊技盤に直接又は他部材を介して間接的に回転自在に軸支される回転体によって遊技球が移送される演出装置であって、
前記遊技盤の前面に沿って流下する遊技球を受けて前記回転体に誘導する誘導手段と、
前記回転体を所定の回転軸を中心に回転させる駆動源と、
前記回転体の外周面に設けられ、前記誘導手段によって誘導された遊技球を保持するとともに、前記回転体の回転に応じて前記回転軸の軸周りに移動する保持部と、
前記駆動源による前記回転体の前記回転軸を中心とする回転に連動して、前記回転体を揺動させる揺動手段と、
を備え、
前記回転体は、前記駆動源によって前記回転軸を中心に回転する内回転体と、
前記内回転体の外方に位置し、前記保持部を具備し、前記揺動手段によって揺動する外回転体と、を有し、
前記駆動源からの駆動力に基づいて前記外回転体を揺動させる伝達手段を備え、
前記保持部に保持された遊技球は、前記回転体の回転及び揺動により蛇行移動する
ことを特徴とする演出装置。
【請求項2】
前記回転体の外周に沿って設けられ、前記誘導手段によって誘導された遊技球が遊動する遊動路を備えることを特徴とする請求項1に記載の演出装置。
【請求項3】
前記誘導手段は、前記回転体の上方に位置し、遊技球を前記遊動路へ誘導する入球口を有することを特徴とする請求項2に記載の演出装置。
【請求項4】
前記保持部は、遊技球の少なくとも一部が入り込む凹部であり、
前記凹部と所定間隔離間して、前記回転体を覆う保護体を備え、前記凹部に入り込んだ遊技球の前記凹部からの離脱方向への移動を規制することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の演出装置。
【請求項5】
前記保護体は、前記回転体の少なくとも前方側の一部を覆うとともに、前記保持部に保持された遊技球を視認可能に透明に形成されていることを特徴とする請求項に記載の演出装置。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の演出装置を備え、
前記回転体によって遊技球が入賞口に移送されることを特徴とする入賞装置。
【請求項7】
前記誘導手段は、前記回転体の上方に位置し、遊技球を前記保持部へと導く複数の入球口を有し、
複数の前記入球口のうち少なくとも1つは、遊技球を直接的に前記入賞口に移動させる前記保持部へと導くことを特徴とする請求項に記載の入賞装置。
【請求項8】
前記保持部は、
保持した遊技球を前記入賞口へと移動させる第1保持部と、
保持した遊技球を前記入賞口とは異なる外れ口へと移動させる第2保持部と、
保持した遊技球を前記入賞口又は前記外れ口へと移動させる第3保持部と、
を含むことを特徴とする請求項又は請求項に記載の入賞装置。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の演出装置、又は請求項から請求項のいずれか一項に記載の入賞装置を備えていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演出装置、入賞装置、及び遊技機
【背景技術】
【0002】
近年の遊技機では、遊技者の興趣を高めることを目的として、様々な装飾部品を遊技機内に配置する構成となっている。例えば、モータからの駆動力を受けて回転する回転ドラムを備え、遊技盤を流下する遊技球を回転ドラムに設けられた磁石で吸着して上方に回転移送するような演出装置が用いられている。特許文献1の入賞装置は、入賞ケースの作動窓孔内において、周面に磁石が内蔵され、作動窓孔に流入した玉を外周面で吸着して上方へ移送する円筒形移送体を備えている。そして、円筒形移送体によって移送された遊技球が、特定入賞口内に捕捉されると、大当りとなり一対の開閉翼片の往復開放操作が開始される。特許文献2の入賞装置は、遊技球を吸着する磁石が埋設された回転体を備えている。そして、回転体は、後ろ向きの回転により遊技球を上方に移送し、仕切板の上に放球する。仕切板上に放球された遊技球は、仕切板上で振り分けられて特別入賞口に入球する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-47145号公報
【文献】特許第3668258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2では、遊技球を保持して回転する部材(回転部材という)が、左右方向に沿う所定の回転軸の周りに回転する構成である。そのため、回転部材に形成された遊技球を保持する磁石(保持部という)は、上記回転軸周りに回転するのみであり、その回転軌道が単純で一目見て分かり易い。また、特許文献2においては、回転部材が正逆回転するものの、保持部の回転軌道は変わらず単純である。したがって、回転部材の保持部に保持された遊技球の動的変化が乏しく、遊技者に飽きられ易くなっている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、遊技者に単調感や飽き等を覚えさせることなく遊技に対する興味を持続させ、変化に富んだ演出装置、入賞装置、及び遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の演出装置は、
遊技機の遊技盤に直接又は他部材を介して間接的に回転自在に軸支される回転体によって遊技球が移送される演出装置であって、
前記遊技盤の前面に沿って流下する遊技球を受けて前記回転体に誘導する誘導手段と、
前記回転体を所定の回転軸を中心に回転させる駆動源と、
前記回転体の外周面に設けられ、前記誘導手段によって誘導された遊技球を保持するとともに、前記回転体の回転に応じて前記回転軸の軸周りに移動する保持部と、
前記駆動源による前記回転体の前記回転軸を中心とする回転に連動して、前記回転体を揺動させる揺動手段と、
を備え、
前記回転体は、前記駆動源によって前記回転軸を中心に回転する内回転体と、
前記内回転体の外方に位置し、前記保持部を具備し、前記揺動手段によって揺動する外回転体と、を有し、
前記駆動源からの駆動力に基づいて前記外回転体を揺動させる伝達手段を備え、
前記保持部に保持された遊技球は、前記回転体の回転及び揺動により蛇行移動することを特徴とする。
【0007】
本発明の入賞装置は、
上記演出装置を備え、
前記回転体によって遊技球が入賞口に移送されることを特徴とする。
【0008】
本発明の遊技機は、
上記演出装置、又は上記入賞装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の演出装置、入賞装置、及び遊技機は、揺動手段が、駆動源による回転体の回転軸を中心とする回転に連動して、回転体を揺動させる構成である。これにより、回転体の回転に応じて回転軸の軸周りに移動する保持部は、揺動しながら回転移動することになる。そのため、保持部の回転軌道は、単純に回転軸を中心に回転する軌道に比べて複雑になり、遊技者が予測することが難しくなる。このように保持部で保持された遊技球が動的変化に富む動作を行うことで、遊技者に単調感や飽き等を覚えさせることなく遊技に対する興味を持続させることができる。
【0010】
本発明の演出装置は、回転体の外周に沿って誘導手段によって誘導された遊技球が遊動する遊動路を備えていてもよい。
【0011】
この構成によれば、誘導手段によって誘導された遊技球が、遊動路で遊動するため、遊技球が保持部に保持されるまで遊技者に興趣を与えることができる。
【0012】
本発明の演出装置は、誘導手段が、回転体の上方に位置し、遊技球を遊動路へ誘導する入球口を有していてもよい。
【0013】
この構成によれば、入球口を介して演出装置に入球した遊技球は、回転体によって移送される前に、遊動路で遊動する状態を遊技者に視認させることができ、演出効果を高めることができる。
【0014】
本発明の演出装置は、回転体が、駆動源によって回転軸を中心に回転する内回転体と、内回転体の外方に位置し、保持部を具備し、揺動手段によって揺動する外回転体と、を有していてもよい。
【0015】
この構成によれば、回転軸を中心に回転する構成の内回転体に対して、揺動する構成の外回転体を組み合わせることで、外回転体に設けられた保持部を回転軸周りに回転させつつ揺動させる構成を容易に実現することができる。
【0016】
本発明の演出装置は、駆動源からの駆動力に基づいて外回転体を揺動させる伝達手段を備えていてもよい。
【0017】
この構成によれば、伝達手段を設けることで、外回転体を揺動させるために駆動源を別途設ける必要がなく、演出装置の構成を簡略化することができる。
【0018】
本発明の演出装置は、保持部を、遊技球の少なくとも一部が入り込む凹部に形成し、凹部と所定間隔離間して回転体を覆うとともに、凹部に入り込んだ遊技球の凹部からの離脱方向への移動を規制する保護体を備えていてもよい。
【0019】
この構成によれば、凹部に保持された遊技球を回転体の回転によって移送する際に、保護体によって遊技球が凹部から離脱することを防ぐことができる。そのため、回転体は、遊技球を良好に移送することができる。
【0020】
本発明の演出装置は、保護体が、回転体の少なくとも前方側の一部を覆うとともに、保持部に保持された遊技球を視認可能に透明に形成されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、回転体が保護体に覆われていても、保持部に保持された遊技球の動きを視認することができる。
【0022】
本発明の入賞装置は、誘導手段が、回転体の上方に位置し、遊技球を保持部へと導く複数の入球口を有し、複数の入球口のうち少なくとも1つは、遊技球を直接的に入賞口に移動させる保持部へと導いてもよい。
【0023】
この構成によれば、複数の入球口のうち少なくとも1つは、遊技球を保持部へと導くため、誘導手段における複数の入球口のうちのいずれの入球口に遊技球が入球するかによって一種の抽選を行うことができる。
【0024】
本発明の入賞装置は、保持部が、保持した遊技球を入賞口へと移動させる第1保持部と、保持した遊技球を入賞口とは異なる外れ口へと移動させる第2保持部と、保持した遊技球を入賞口又は外れ口へと移動させる第3保持部と、を含んでいてもよい。
【0025】
この構成によれば、遊技球がいずれの保持部に保持されるかによって、遊技球が入賞口に移送されるか否かが決まるため、このような抽選によって遊技者の興趣を高めることができる。特に、第3保持部に保持された遊技球は、入賞口に移送されるか外れ口へ移送されるか分からないため、より一層遊技者の興趣を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る遊技機を例示する斜視図である。
図2図2(A)は、図1の入賞装置を前方側且つ斜め上方側から見た斜視図であり、図2(B)は、後方側且つ斜め上方側から見た斜視図である。
図3図3(A)は、図1の入賞装置の平面図であり、図3(B)は、正面図である。
図4図4は、図1の入賞装置を構成する上側の一部について、前方側且つ斜め上方側から見た分解斜視図である。
図5図5は、図4に繋がる図であり、図1の入賞装置を構成する下側の一部について前方側且つ斜め上方側から見た分解斜視図である。
図6図6は、回転体の前方側且つ斜め上方側から見た分解斜視図である。
図7図7は、図3(B)のA-A断面を示す断面図である。
図8図8は、回転体の正面から見た断面図である。
図9図9は、図3(B)のB-B断面を示す断面図である。
図10図10(A)~(D)は、回転体の揺動動作を説明する平面図である。
図11図11は、回転体の外面の展開模式図である。
図12図12は、図1の入賞装置の動作を概略的に説明する断面図である。
図13図13(A)は、第2実施形態に係る回転体の外面の展開図を概略的に説明する説明図であり、図13(B)は、第3実施形態に係る回転体の外面の展開図を概略的に説明する説明図である。
図14図14は、第4実施形態に係る入賞装置の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る演出装置、入賞装置、及び遊技機を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1に示す遊技機1は、いわゆるパチンコ機として構成されており、遊技者側に配される前面枠2に形成された窓部3に透明板(ガラス板等)が配置されている。また、透明板の後方(奥側)には、遊技盤4が配置され、この遊技盤4上にガイドレール等によって区画された遊技領域4a(遊技球が流下可能な領域)が形成され、遊技者が透明板を介して遊技領域4aを視認できるように構成されている。遊技領域4aの中央付近には、それぞれ後述する電動チューリップ9、振分装置10、及び入賞装置20が設けられている。入賞装置20は、振分装置10とともに遊技領域4aの中央付近に中央役物12として配置されている。遊技領域4aの中央領域の下方には、作動口5a,5bが設けられている。作動口5a,5bの下方には、アタッカーとして構成される大入賞口6が設けられている。また、窓部3の下方には、遊技球を受ける遊技球受皿7が設けられており、この遊技球受皿7の右側下方には回転操作によって球を打ち出す発射ハンドル8が設けられている。
【0029】
なお、本明細書では、遊技盤4の前面(盤面)と直交する方向を前後方向とし、遊技盤4の前面(盤面)に対し遊技者が位置するべき側を前方側、それとは反対側(即ち、遊技機1奥側)を後方側とする。また、遊技領域4aを遊技球が流下する方向(鉛直方向)を上下方向とする。また、上記「前後方向」及び「上下方向」と直交する方向を左右方向とし、遊技機1前方側から見て左側を左方向、右側を右方向とする。
【0030】
作動口5a,5bは、遊技領域4aを流下する遊技球を入球させて、入球した遊技球を検出するように機能する。作動口5a,5bは、入球した遊技球を検出すると、図示しない制御装置(CPUやメモリ等を備えた装置)に球検知信号を送信する。作動口5a,5bから球検知信号を受信した制御装置は、所定個数の賞球の払い出しの制御と、後述する電動チューリップ9の開放動作の制御を行う。なお、作動口5aに遊技球が入球した場合、電動チューリップ9の羽根9aの開放動作が1回行われ、作動口5bに遊技球が入球した場合、電動チューリップ9の羽根9aの開放動作が2回行われる。
【0031】
電動チューリップ9は、図示しないソレノイドの動作に応じて、遊技球が入賞口9bに入賞し易い状態と、遊技球が入賞口9bに入賞し難い状態とに変化するように羽根9aが開閉する構成である。遊技領域4aを流下して入賞口9bに入り込んだ遊技球は、図示しない球検出センサで入球が検出されて、排出流路11を介して下方の振分装置10に排出されるようになっている。
【0032】
排出流路11は、管状に構成され、電動チューリップ9に入賞した遊技球を振分装置10として後述する皿部材21に導く誘導手段としての役割をなす。
【0033】
以下、入賞装置20について詳しく説明する。
図2図9に示す入賞装置20は、遊技盤4に固定される枠体61に回転自在に軸支される回転体30によって、遊技球を入賞口62a(図2(B)、図7参照)または外れ口61fに移送する装置である。入賞装置20は、図4図5に示すように、回転体30、皿部材21、保護体22、枠体61、通路枠62、及び駆動ユニット70を備えている。また、演出装置25は、回転体30、皿部材21、保護体22、枠体61、及び駆動ユニット70によって構成されている。以下、入賞装置20を構成する部材について詳しく説明する。
【0034】
回転体30は、図6に示すように、内回転体40、外回転体50、一対の固定リング54、回転軸31、傘歯車32、リンクギア33、及び球体リンク34を備えている。内回転体40は、モータ71によって回転軸31を中心に回転する。内回転体40は、第1内回転部41、及び第2内回転部42を備えている。第1内回転部41及び第2内回転部42は、ともに中空の半球ドーム状であり、球面部の頂部に揺動軸41a,42aが互いに同軸上となるように、球面から外方に突出する円柱状に形成されている。また、第1内回転部41には、揺動軸41aの隣において、揺動軸41aの軸方向(図8において上下方向)に貫通する軸受部41bが形成されている。第1内回転部41と第2内回転部42の半球が組み合わされることで、内回転体40が形成される。
【0035】
回転軸31は、細長い円柱状の棒であり、内回転体40の回転軸となる。回転軸31は、図8に示すように、一端(左端部)がビスTを用いて内回転体40に固定されている。これにより、回転軸31と内回転体40が一体的に回転する。また、回転軸31の他端(右端部)において、傘歯車32が挿通支持され、内回転体40(第1内回転部41,第2内回転部42)に挟持されている。傘歯車32は、図8に示すように、筒状部32a及び歯部32bが形成されている。筒状部32aには、回転軸31がブッシュを介して回動自在に挿通されている。歯部32bは、筒状部32aの左端部において、リング形状で左側に向かうにつれて内側へと傾斜する円錐台形面に形成されている。
【0036】
内回転体40には、図8に示すように、リンクギア33、及び球体リンク34が組み付けられている。リンクギア33は、傘歯車32と噛合する歯車として構成され、円錐台形の下側側面に歯部33aが形成されている。リンクギア33は、図6に示す上端部に略小判形状の軸受け凹部33bが形成されている。球体リンク(本発明の「揺動手段」に相当する)34は、モータ71による回転体30(内回転体40)の回転軸31を中心とする回転に連動して、回転体30(外回転体50)を揺動させるように機能する。球体リンク34は、略円板状であり、第1軸部34a、及び第2軸部34bが形成されている。第1軸部34aは、球体リンク34の一方面(図8では下面)の中心から円筒状に突出し、先端部が断面略小判形状に切削されている。第2軸部34bは、球体リンク34の他方面(図8では上面)における中心からずれた偏心位置(第1軸部34aの軸線とは異なる軸線上の位置)から突出する円柱状である。球体リンク34の第1軸部34aは、図8に示すように、内回転体40の軸受部41bに回転自在に挿通され、リンクギア33の軸受け凹部33bに入り込んでビスTを用いて第1内回転部41にリンクギア33と一体的に回転するように固定される。
【0037】
内回転体40は、傘歯車32が組み付けられた回転軸31を、リンクギア33、及び球体リンク34が組み付けられた第1内回転部41と、第2内回転部42とによって挟み込むようにして形成される。このとき、傘歯車32の歯部32bは、図8に示すように、内回転体40に内在してリンクギア33の歯部33aに噛み合っており、回転軸31の回転方向を90°変換し、球体リンク34が回転軸31(回転軸線G3)と交差する第1軸部34a(回転軸線G1)で回転するようにしている。また、回転軸31の右端部には、図4及び図9に示すように、回転ギア61iが回転軸31と一体的に回転するように固定されている。回転ギア61iには回転体30の回転を検知する検知片611が一体的に設けられている。
【0038】
外回転体50は、複数の凹部(本発明の「保持部」に相当)53を有し、内回転体40の外方に位置し、球体リンク34によって内回転体40に対して揺動させられる。凹部53は、外回転体50の外周面に設けられ、遊技球の一部(実施例では約半球)を入り込ませて保持する。外回転体50は、図6に示すように、第1外回転部51、及び第2外回転部52を備えている。第1外回転部51及び第2外回転部52は、ともに中空の半球ドーム状であり、それぞれに複数の凹部53及び軸受部51a(軸受部52a)が形成されている。軸受部51a,52aは、第1外回転部51及び第2外回転部52の球面部の頂部において、互いに同軸上となるように中空内側に突出する円筒状に形成されている。また、第1外回転部51には、軸受部51aに隣接して、回転軸31の軸方向(図8において左右方向)に延びる溝部51b(本発明の「揺動手段」に相当)が形成されている。溝部51bは、下端部の高さが回転軸31に対して一定になっている。
【0039】
外回転体50は、第1外回転部51及び第2外回転部52の中空部に、リンクギア33等が組み付けられた内回転体40を収納するように挟み込んで合体形成される。このとき、揺動軸41a,42aがそれぞれ軸受部51a,52aに回転自在に入り込み、第2軸部34bが溝部51bに対して変位自在に入り込んでいる。また、組み合わされた第1外回転部51と第2外回転部52に対して、リング形状の一対の固定リング54を回転軸31の両端から挟むように取付けることで第1外回転部51と第2外回転部52が固定され、図4及び図8に示すように回転体30が組み付けられる。
【0040】
枠体61は、回転体30を回転自在に軸支する土台として構成され、中央役物12の開口凹部12aに固定されている(図1参照)。枠体61は、図5に示すように、一対の壁部61a,61a、軸受凹部61b,61c、通路受部61d、及び一対の外れ通路61e,61e(図2(B)参照)が形成されている。一対の壁部61aは、左右方向で互いに対向するように配置されている。軸受凹部61b,61cは、左右の壁部61aのそれぞれの上端部において、下方に凹むように半円筒状に形成されている。軸受凹部61bは、回転軸31の左端部を回転自在に軸受する軸受部材61g(図4参照)が組み付けられる。軸受凹部61cは、半円筒状の軸受部材61h(図4参照)とともに傘歯車32の筒状部32aを上下方向で挟み込んで、傘歯車32が回転しないように枠体61に固定し、回転軸31の右端部を回転自在に軸受する。通路受部61dは、上方に開口する枠状部分であり、通路枠62が組み付けられる。通路枠62は、箱状であり、前側上方に開口した入賞口62aと、入賞口62aに入賞した遊技球を後方に続く通路62bと、入賞口62aの後開口端側に上方に延出した後壁部62cを備えている。入賞口62aの開口端及び後壁部62cは、回転体30(外回転体50)の曲面に沿うように湾曲している。枠体61には、図7に示すように、通路62bの後端部に続くように検出スイッチ63が設けられている。検出スイッチ63は、検出孔63aを通過する遊技球を検出する。一対の外れ通路61e,61eは、図2(B)に示すように、通路受部61d(通路枠62)を左右両側から挟むように形成され、それぞれ前方から後方へ傾斜する底壁を有している。外れ通路61e,61eには、図2(B)及び図5に示すように、上端部に外れ口61fが形成されている。
【0041】
回転体30は、通路枠62が組み付けられた枠体61において、軸受部材61gと軸受部材61hによって軸受凹部61b,61cに回転自在に組み付けられている。そして、回転軸31の回転により、回転体30が回転するのに伴って傘歯車32の歯部32bに噛合しているリンクギア33が第1軸部34a(回転軸線G1)で回転することで外回転体50が揺動するようになっている。
【0042】
保護体22は、回転体30の上方を所定の間隔をもって覆うように設けられ、排出流路11からの遊技球を受けるとともに、凹部53に入り込んだ遊技球の凹部53からの離脱方向への移動を規制するように機能する。保護体22は、図4に示すように、保護部22a、遊動路22b、停留部22cを備えている。保護部22aは、半球ドーム状であり、図2図3に示すように、回転体30の上端側のほぼ半球を覆っている。保護部22aは、凹部53に保持された遊技球を視認可能に透明に形成されている。保護部22aには、前面側及び上端部にそれぞれ開口部22d,22eが形成されている。開口部22dは、保護部22aの前端部を停留部22cの範囲(停留部22cの遊技球を外回転体50の外周で支持する範囲)に対応して切り欠くように形成され、停留部22cの遊技球を凹部53に保持させるようにしている。開口部22eは、保護部22aの上端部に図2(B)において左右方向に遊技球が2個入る長孔に形成され上下方向に貫通する貫通孔である。遊動路22bは、保護部22aの下端部外周に沿うように溝状に形成され、後方側から前方側に向かって下方に傾斜して皿部材21によって誘導された遊技球を遊動させながら停留部22cに導くように機能する。停留部22cは、遊動路22bの一部を構成し、開口部22dの前方側において、遊動路22bと連続するように段差をもって形成されており、後方(回転体30側)に向かうにつれて低位置となるように傾斜して、停留部22cの遊技球が開口部22dから回転体30(外回転体50)に向けて流出するようにしている。
【0043】
保護体22は、図2図3に示すように、枠体61に組み付けられた回転体30を上方から半球を覆うように枠体61に固定される。このとき、遊動路22bは、図7に示すように、回転軸31より上方の位置で回転体30の外周を周回するように配置される。開口部22dは、図2(A)、図7に示すように、回転体30の外面に前方から対向するように、回転体30に所定の隙間を介して形成されている。停留部22cは、図2(A)、図3(A)、図7に示すように、円弧状の後端部が回転体30の外面に沿うように、開口部22dから入り込むように回転体30に対して所定の隙間を介して近接しており、停留部22cの遊技球は、回転体30の凹部53に受け入れられるまで外回転体50の周面に支持されながら停留部22cに停留する。遊動路22b(停留部22c)が、回転軸31より上方に位置することにより、図7に示すように、凹部53が遊技球を受け入れる際に、凹部53がやや上向き状態となるため、遊技球を確実に受け入れ保持するようにしている。
【0044】
皿部材(本発明の「誘導手段」に相当)21は、遊技盤4の前面に沿って流下する遊技球を受けて回転体30に誘導するように機能する。皿部材21は、図4に示すように、底部分に3つの入球口21a~21cが形成されている。皿部材21は、図2図3に示すように、回転体30の上方に位置するように、保護体22の上面側に固定されている。
【0045】
入球口21aは、図2(A)、図7に示すように、開口部22eの上方に僅かな隙間を介して近接するように対向している。そのため、入球口21aに入球した遊技球は、開口部22eを介して回転体30の外面へと流下する。入球口21b、21cは、図2に示すように、保護部22aの上方の開口部22e後端側の上面に位置している。そのため、入球口21b、21cに入球した遊技球は、保護部22aの上面を流下して、遊動路22bへと導かれる。そして、遊動路22bの傾斜により前方へと流下する遊技球は、停留部22cへと誘導され、停留部22cを介して回転体30の外面へと流下する。
【0046】
駆動ユニット70は、回転体30を回転軸31を中心に回転させとともに、回転体30を揺動軸41aを中心に揺動させるように機能する。駆動ユニット70は、図5に示すように、モータ71、モータベース72、モータカバー73、モータギア74、減速ギア75、従動ギア76、及びセンサ77を備えている。モータ(本発明の「駆動源」に相当)71は、公知のステッピングモータとして構成され、駆動軸となる軸部71aが図5に示す右方向に突出している。軸部71aには、図9に示すように、モータギア74が組み付けられている。モータベース72は、板状であり、枠体61の右側の壁部61aに固定されている。モータベース72は、図5に示すように、貫通孔72a、軸部72b,72c及びギア収納部72dが形成されており、上端には回転ギア61iが臨む凹部72eが切欠き形成されている。貫通孔72aには、モータ71の軸部71aが貫挿される。軸部72bには、従動ギア76が回動自在に組み付けられている。軸部72cには、減速ギア75が回動自在に組み付けられている。ギア収納部72dはダルマ型に凹設され、モータギア74及び減速ギア75が噛合して収納される。モータカバー73は、モータベース72とともにモータギア74、減速ギア75、従動ギア76のギア群、及びセンサ77を覆うようにモータベース72に組み付けられている。センサ77は、フォトセンサ等の公知の位置検出センサによって構成されている。センサ77は、後述する回転ギア61iの検知片611を検知して回転ギア61iの回転位置を検出する。
【0047】
減速ギア75は、大歯車751と小歯車752とからなる二段ギアで、図9に示すように、減速ギア75の大歯車751にモータギア74が噛み合っている。また、減速ギア75の小歯車752は、従動ギア76に噛み合っている。従動ギア76は、回転ギア61iに噛み合っている。モータ71が駆動するとモータギア74が図9の矢印で示す反時計回りに回転し、歯部の噛合により減速ギア75、従動ギア76、回転ギア61iへとモータ71の駆動力が伝達し、回転軸31が時計回りに回転することにより回転体30(内回転体40)が後方に回転すると共に、リンクギア33(本発明の「伝達手段」に相当)も回転軸31(回転軸線G3)周りに回転移動する。そして、リンクギア33が傘歯車32(本発明の「伝達手段」に相当)との噛合により回転軸線G1周りに自転するため球体リンク34が回転し、モータ71からの駆動力に基づいて外回転体50を揺動させるように機能する。
【0048】
次に、回転体30の動作について説明する。
回転体30(外回転体50)は、図10(A)~(D)に示すように、揺動動作を行う。図10(A)~(D)は、外回転体50が内回転体40に対して相対的に揺動する状態を、第1外回転部51を正面から見るように示している。球体リンク34は、モータ71からの駆動力に基づいて回転軸線G1(第2軸部34bに沿って延びる軸線)を中心に反時計回りに回転する。球体リンク34の第2軸部34bは、図10(A)に示すように溝部51bの右端部付近に位置する状態から、溝部51bの壁面(図10に示す上壁面)を押圧して、図10(B)に示すように、溝部51bの左右方向の中央付近に移動する。このとき、外回転体50は、揺動軸線G2(揺動軸41a,42aに沿って延びる軸線)を中心として反時計回りに回転する。
【0049】
続いて、さらに球体リンク34が、回転軸線G1を中心に反時計回りに回転すると、球体リンク34の第2軸部34bは、溝部51bの壁面(図10に示す下壁面)を押圧して、図10(C)に示すように溝部51bの左端部付近に移動する。すると、外回転体50は、第2軸部34bから次第に押圧力を受けなくなりつつ、揺動軸線G2を中心として時計回りに回転する。続いて、さらに球体リンク34が、回転軸線G1を中心に反時計回りに回転すると、球体リンク34の第2軸部34bは、溝部51bの壁面(図10に示す下壁面)を押圧して、図10(D)に示すように溝部51bの左右方向の中央付近に移動する。このとき、外回転体50は、揺動軸線G2を中心として時計回りに回転する。続いて、さらに球体リンク34が、回転軸線G1を中心に反時計回りに回転すると、球体リンク34の第2軸部34bは、溝部51bの壁面(図10に示す上壁面)を押圧して、図10(A)に示すように溝部51bの右端部付近に移動する。このとき、外回転体50は、揺動軸線G2を中心として反時計回りに回転する。以上のようにして、外回転体50が揺動軸線G2を中心として内回転体40に対して相対的に揺動することで、回転体30(外回転体50)が揺動動作する。
【0050】
図11は、回転体30(外回転体50)の外面の展開模式図である。複数の凹部53は、図11に示すように、第1凹部(本発明の「第1保持部」に相当)53aの領域群53aR、及び第2凹部(本発明の「第2保持部」に相当)53bの領域群53bRを含んでいる。第1凹部53aは、保持した遊技球を入賞口62aへと移動させる。第1凹部53aは、回転体30の外面において、左右方向の中央位置に配置されている。第2凹部53bは、保持した遊技球を外れ口61fへと移動させる。第2凹部53bは、回転体30の外面において、左右方向の両端部付近に配置されている。そして、回転体30の外面において、周方向に沿って(回転軸線G3周りに)第1凹部53a、一対の第2凹部53bが順に繰り返し現れるような配置になっている。
【0051】
次に、入賞装置20の動作について、図12を用いて説明する。
まず、入球口21aに入球した遊技球B1の移動について説明する。皿部材21の入球口21aに入球した遊技球B1は、開口部22eを介して回転体30の外面へと流下する。そして、回転体30(外回転体50)の回転により開口部22eの直下に第1凹部53aが位置した場合には、図12(A)に示すように、入球口21aに入球した遊技球B1が直接第1凹部53aへと導かれて第1凹部53aに保持される。なお、開口部22eの直下に第1凹部53aが位置していない場合には、遊技球B1が開口部22eに入り込んだ状態で、開口部22eの直下に第1凹部53aが位置するようになるまで回転体30の回転に基づいて回転体30(外回転体50)の外面上を転動する。すなわち、入球口21aは、第1凹部53aの移動経路上の所定位置に、上下方向で重なるように配置されている。
【0052】
第1凹部53aに保持された遊技球B1は、図12(B)に示すように、回転体30の回転軸線G3(回転軸31に沿って延びる軸線)を中心とした回転に応じて、後方(図12では反時計回り方向)に移動させられる。ここで、第1凹部53aに保持された遊技球B1は、保護体22の下に入り込むように移動し、保護体22及び後壁部62cに覆われることで第1凹部53aから離脱しないようになっている。このとき、遊技球B1は、揺動軸線G2上に位置する第1凹部53a(図10で回転体30の中心に位置する第1凹部53a)に保持された遊技球B1を除いて、回転体30(外回転体50)の揺動動作によって蛇行しながら移動する。揺動軸線G2上に位置する第1凹部53aに保持された遊技球B1は、回転体30の揺動動作によって回転軸線G3周りに回転移動する。言い換えれば、第1凹部53aを揺動軸線G2上からずらして設けることにより、第1凹部53aに保持された遊技球B1は、回転体30の揺動動作によって蛇行しながら移動することになる。
【0053】
回転体30が回転軸線G3を中心としてさらに回転すると、第1凹部53aが図12(C)に示すように、入賞口62aに対向するようになる。第1凹部53aが入賞口62aに対向する位置まで到達すると、図12(C)に示すように、遊技球B1が後壁部62cの支持から外れて第1凹部53aから入賞口62aに落下して通路枠62を通過し、検出スイッチ63によって検出される。そして、遊技機1は、大入賞口6が開放する大当たり状態となる。なお、入賞口62aの開口幅は第1凹部53aの揺動幅と略同幅に設定されており、第1凹部53aに保持された遊技球B1は揺動移動しながら、必ず入賞口62aに落下し入賞することになる。
【0054】
次に、入球口21b,21cに入球した遊技球B2の移動について説明する。皿部材21の入球口21b,21cに入球した遊技球B2は、保護部22aの上面を流下して、遊動路22bへと導かれる。そして、遊動路22bを前方へと流下する遊技球B2は、停留部22cへと誘導され、図12(A)に示すように、開口部22dを介して回転体30の外面へと流下する。遊動路22bを流下した遊技球B2は、回転体30が上述した揺動動作(図10参照)を行うため、第1凹部53a又は第2凹部53bのいずれかに入り込む。図12(A)は、遊技球B2が第1凹部53aに入り込んだ状態を示している。なお、開口部22dに対向するように第1凹部53a及び第2凹部53bが位置していない場合には、遊技球B2が回転体30の外面上に接触した状態で、第1凹部53a又は第2凹部53bが開口部22dに対向するまで回転体30の回転に基づいて停留部22cを転動しながら停留する。すなわち、開口部22dは、少なくとも第1凹部53a及び第2凹部53bの配置領域幅を有して、それぞれの移動経路上の所定位置に、前後方向で重なるように配置されている。
【0055】
遊動路22b(停留部22c)から開口部22dを介して第1凹部53aに保持された遊技球B2は、上述した入球口21aに入球した遊技球B1と同様に、回転体30の回転によって蛇行しながら通路枠62まで運ばれて、入賞口62aに入球する。そして、遊技機1は、大入賞口6が開放する大当たり状態となる。
【0056】
一方で、遊動路22b(停留部22c)から開口部22dを介して第2凹部53bに保持された遊技球B2は、回転体30の回転軸線G3を中心とした回転に応じて、後方(図12では反時計回り方向)に移動させられる。ここで、第2凹部53bに保持された遊技球B2は、保護体22の下に入り込むように移動し、保護体22及び後壁部62cに覆われることで第2凹部53bから離脱しないようになっている。このとき、遊技球B2は、回転体30(外回転体50)の揺動動作によって蛇行しながら移動する。
【0057】
回転体30が回転軸線G3を中心としてさらに回転すると、第2凹部53bが外れ口61fに対向するようになる。第2凹部53bが外れ口61fに対向する位置まで到達すると、遊技球B2が保護体22及び後壁部62cの支持から外れて第2凹部53bから落下して外れ通路61eを通過し、入賞装置20から排出される。
【0058】
(第1実施形態の主な効果)
本第1実施形態の遊技機1は、球体リンク34が、モータ71による回転体30の回転軸31を中心とする回転に連動して、回転体30を揺動させる構成である。これにより、回転体30の回転に応じて回転軸31の軸周りに移動する凹部53は、揺動しながら回転移動することになる。そのため、凹部53の回転軌道は、単純に回転軸31を中心に回転する軌道に比べて複雑になり、遊技者が予測することが難しくなる。このように凹部53で保持された遊技球が動的変化に富む動作を行うことで、遊技者に単調感や飽き等を覚えさせることなく遊技に対する興味を持続させることができる。
【0059】
特に、複数の入球口21a,21b,21cを備えた皿部材21を介することで、入球口21aに入球した遊技球は、開口部22eを介して第1凹部53aに入り込み入賞口62aに導かれるため、遊技者はいつどの入球口21a,21b,21cに入り込むかの抽選機構に興趣を高めることができる。また、入球口21b,21cに入球した遊技球は、遊動路22bから停留部22cに導かれ、開口部22dを介して蛇行移動する第1凹部53a又は第2凹部53bに入り込むため、遊技者は入球口21aから第1凹部53aに入り込むチャンスを逃しても、再度第1凹部53aに入り込むチャンスを得られ、いつどの凹部53に入り込むか予測し難くなるが期待感が高まる。また、遊技球は、入賞口62a又は外れ口61fに対して、蛇行する凹部53から落下するため、入賞口62a又は外れ口61fのいずれに入球するか予測し難くなる。したがって、遊技者に一層単調感や飽き等を覚えさせ難くなり、遊技に対する興味を持続させることができる。
【0060】
また、入賞装置20は、回転体30の外周に沿って皿部材21によって誘導された遊技球が遊動する遊動路22bを備えている。
これにより、皿部材21によって誘導された遊技球が、遊動路22bで遊動するため、遊技球が凹部53に保持されるまで遊技者に興趣を与えることができる。
【0061】
また、皿部材21は、回転体30の上方に位置し、遊技球を遊動路22bへ誘導する入球口21b,21cを有している。
これにより、入球口21b,21cを介して演出装置25に入球した遊技球は、回転体30によって移送される前に、遊動路22bで遊動する状態を遊技者に視認させることができ、演出効果を高めることができる。
【0062】
また、回転体30は、モータ71によって回転軸31を中心に回転する内回転体40と、内回転体40の外方に位置し、凹部53を具備し、球体リンク34によって揺動する外回転体50と、を有する。
これにより、回転軸31を中心に回転する構成の内回転体40に対して、揺動する構成の外回転体50を組み合わせることで、外回転体50に設けられた凹部53を回転軸31周りに回転させつつ揺動させる構成を容易に実現することができる。
【0063】
また、内回転体40を回転させるモータ71からの駆動力に基づいて外回転体50を揺動させる傘歯車32、及びリンクギア33を備えている。
これにより、傘歯車32及びリンクギア33を設けることで、外回転体50を揺動させるためにモータを別途設ける必要がなく、演出装置25の構成を簡略化することができる。
【0064】
また、凹部53は、遊技球の一部が入り込む。入賞装置20は、凹部53と所定間隔離間して回転体30を覆うとともに、凹部53に入り込んだ遊技球の凹部53からの離脱方向への移動を規制する保護体22を備えている。
これにより、回転体30によって遊技球を移送する際に、保護体22によって遊技球が凹部53から離脱することを防ぐことができる。そのため、回転体30は、遊技球を良好に移送することができる。
【0065】
また、保護体22は、回転体30の少なくとも前方側の一部を覆うとともに、凹部53に保持された遊技球を視認可能に透明に形成されている。
これにより、回転体30が保護体22に覆われていても、凹部53に保持された遊技球の動きを視認することができる。
【0066】
また、皿部材21は、回転体30の上方に位置し、遊技球を凹部53へと導く複数の入球口21a~21cを有している。入球口21aは、遊技球を直接的に入賞口62aに移動させる第1凹部53aへと導く。
これにより、入球口21aは、遊技球を第1凹部53aへと導くため、皿部材21における複数の入球口21a~21cのうちのいずれの入球口に遊技球が入球するかによって一種の抽選を行うことができる。
【0067】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態の入賞装置20は、回転体30における凹部53の配置が主に第1実施形態の入賞装置20と異なっている。したがって、第1実施形態と同一の部分については第1実施形態と同一の符号を付し、適宜、図1~12を参照し、詳細な説明は省略する。
【0068】
図13(A)は、第2実施形態の回転体30(外回転体50)の外面の展開模式図である。複数の凹部53は、図13(A)に示すように、第1凹部53aの領域群53aR及び第2凹部53bの領域群53bRを含んでいる。第1凹部53aは、保持した遊技球を入賞口62aへと移動させる。第1凹部53aは、回転体30の外面において、左右方向の中央位置に配置されている。第2凹部53bは、保持した遊技球を外れ口61fへと移動させる。第2凹部53bは、回転体30の外面において、左右方向の両端部付近に配置されている。そして、回転体30の外面において、周方向に沿って(回転軸線G3(図12参照)周りに)第1凹部53a、一対の第2凹部53b、一対の第2凹部53bが順に繰り返し現れるような配置になっている。
【0069】
入球口21aに入球した遊技球の移動は、第1実施形態と同様であり、開口部22eを通過して第1凹部53aに保持され、入賞口62aへと移動する。入球口21b,21cに入球した遊技球の移動は、第1実施形態と同様に、遊動路22b及び停留部22cを流下し、開口部22dを通過して第1凹部53a又は第2凹部53bに保持される。第2凹部53bに保持された遊技球は、外れ口61fへと移動する。
【0070】
このような構成では、回転体30における凹部53の配置が、第1実施形態に比べて複雑であるため、遊技者は入球口21a~21cに入球した遊技球がどの凹部53に保持されるか予測し難くなる。したがって、遊技者に単調感や飽き等を覚えさせることなく遊技に対する興味をより持続させることができる。
【0071】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
第3実施形態の入賞装置20は、回転体30における凹部53の配置が主に第1実施形態の入賞装置20と異なっている。したがって、第1実施形態と同一の部分については第1実施形態と同一の符号を付し、適宜、図1~12を参照し、詳細な説明は省略する。
【0072】
図13(B)は、第3実施形態の回転体30(外回転体50)の外面の展開模式図である。複数の凹部53は、図13(B)に示すように、第1凹部53a、第2凹部53c及び第3凹部53dを含んでいる。第1凹部53aは、保持した遊技球を入賞口62aへと移動させる。第1凹部53aは、回転体30の外面において、左右方向の中央位置に配置されている。第2凹部53cは、保持した遊技球を外れ口61fへと移動させる。第2凹部53cは、回転体30の外面において、左右方向における両端部付近から僅かに中央寄りの位置に至るまで、様々な位置に配置されている。第3凹部53d(本発明の「第3保持部」に相当)は、保持した遊技球を入賞口62a又は外れ口61fへと移動させる。第3凹部53dは、回転体30の外面において、左右方向における第2凹部53cよりも中央寄りの位置に配置されている。具体的には、第3凹部53dは、左右方向において第1凹部53a(第1凹部53aの領域群53aR)の移動経路(揺動経路)と一部が重なる入賞経路領域AR1に配置されている。
【0073】
入球口21aに入球した遊技球の移動は、第1実施形態と同様であり、開口部22eを通過して第1凹部53aに保持され、入賞口62aへと移動する。入球口21b,21cに入球した遊技球の移動は、第1実施形態と同様に、遊動路22b及び停留部22cを流下し、開口部22dを通過して第1凹部53a、第2凹部53c及び第3凹部53dのいずれかに保持される。第2凹部53cに保持された遊技球は、外れ口61fへと移動する。第3凹部53dに保持された遊技球は、回転体30の回転軸線G3(図12参照)を中心とした回転に応じて、保護体22、及び後壁部62cに覆われつつ蛇行しながら後方へ移動する。そして、第3凹部53dは、入賞口62aまたは外れ口61fに対向するようになる。具体的には、回転体30が回転して保護体22及び後壁部62cの支持から外れる位置に到達した時点で、回転体30がどういう揺動状態(図10参照)かによって、第3凹部53dが入賞口62aまたは外れ口61fのいずれかに対向し、遊技球が第3凹部53dから落下して入賞口62aまたは外れ口61fを通過する。
【0074】
この構成によれば、遊技球がいずれの凹部53に保持されるかによって、遊技球が入賞口62aに移送されるか否かが決まるため、このような抽選によって遊技者の興趣を高めることができる。特に、第3凹部53dに保持された遊技球は、入賞口62aに移送されるか外れ口61fへ移送されるか分からないため、より一層遊技者の興趣を高めることができる。
【0075】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。
第4実施形態の入賞装置20Aは、第1実施形態の入賞装置20と枠体61及び通路枠62の構成が異なっている。したがって、第1実施形態と同一の部分については第1実施形態と同一の符号を付し、適宜、図1~12を参照し、詳細な説明は省略する。
【0076】
枠体61Aは、図14に示すように、通路枠62A(通路受部61d)の前方側に通路61j及び入賞口61kが形成されている。通路61jは、前側下方へ傾斜する入賞用の球通路である。通路61jは、遊技盤4の前方側から視認可能になっている。入賞口61kは、通路61jの下端部に形成されている。入賞口61kの下方には、検出スイッチ63が設けられている。検出スイッチ63は、通路61jを流下して入賞口61kを介して検出孔63aを通過する遊技球を検出する。
【0077】
通路枠62Aは、第1実施形態の通路枠62とは異なり入賞口62aが形成されておらず、上壁部62dが形成されている。上壁部62dは、回転体30の球面に沿って後方側から前方側へ滑らかに湾曲し、通路61jにつながる。
【0078】
このような構成によって、入球口21aまたは遊動路22bから開口部22d,22eを介して入球して第1凹部53aに保持された遊技球は、入賞装置20における遊技盤4側で入賞口61kに入球することになる。すなわち、第1凹部53aに保持された遊技球は、回転体30の回転軸線G3を中心とした回転に応じて移動する際に、保護体22及び上壁部62dに覆われることで第1凹部53aから離脱しないようになっている。そして、上壁部62dに支持されながら前方に転動することで、通路61jに流下し、入賞口61kに入球する。通路61jが遊技盤4の前方側から視認可能になっているため、遊技者が通路61jを通過して入賞する遊技球(入賞口61kに入球する遊技球)を見ることができ、大当たりの実感も直接的に感じられ演出効果を高めることができる。
【0079】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0080】
上述した実施形態において、凹部53の数や配置は、上記したものに限らない。例えば、保持した遊技球を入賞口62a又は外れ口61fへと移動させる凹部(第3凹部53dのような凹部)のみを設ける構成であってもよい。
【0081】
上述した第1~第4実施形態において、回転体30が図10(A)~(D)に示すような揺動動作とは異なる揺動動作を行ってもよい。例えば、傘歯車32等のギアの歯数が第1実施形態と異なっており、凹部53が遊技球を落下させる際に、回転体30の回転に応じて、凹部53に対向する部分が入賞口62aと外れ口61fとで変わる構成であってもよい。このような構成によって、例えば、第1凹部53aに保持された遊技球であっても、外れ口61fに入球させることも可能になる。
【0082】
上述した第1~第4実施形態において、保持部の一例として、凹部53を例示したが、磁石を用いて遊技球を吸着保持する構成であってもよい。このような場合、保持部からの遊技球の落下は、例えば、通路枠62の入賞口62aの開口端の前壁で吸着を解除したり、枠体61等に別途形成した突起部分等に干渉させたりすることで磁石による保持力に抗するように行うことができる。
【0083】
上述した第1~第4実施形態において、外回転体50は、球状の外形であったが、円筒状や紡錘形の外形であってもよい。
【0084】
上述した第1~第4実施形態において、回転体30の揺動動作は、内回転体40と外回転体50の間に配置された球体リンク34の回転によって行ったが、その他の機構を用いてもよい。例えば、回転体30の回転時に、回転体30の外面に形成された突起部分が、保護体22の保護部22aの内面に形成された溝部に沿って蛇行するように移動することで、回転体30の揺動動作を行ってもよい。また、例えば、回転軸31自体が枠体61に対して揺動するように枠体61に支持される構成とすることで、回転体30の揺動動作を行ってもよい。
【0085】
上述した第1~第4実施形態において、保護部22aは、透明に形成されていたが、凹部53に保持された遊技球が視認不能となるように透明でなくてもよい。これにより、遊技球が開口部22d,22eを介して凹部53に保持される際に、いずれの凹部53に保持されたか分かり難くなるため、演出効果を高めることができる。
【0086】
上述した第1~第4実施形態において、入賞装置20は、演出装置25を備える構成であったが、演出装置25が遊技領域4aに単独で配置される構成であってもよい。すなわち、演出装置25は、遊技領域4aにおいて、回転体30によって遊技球を移送して演出効果を高める構成であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…遊技機
4…遊技盤
11…排出流路(誘導手段)
20…入賞装置
21…皿部材(誘導手段)
21a~21c…入球口
22…保護体
22b…遊動路
25…演出装置
30…回転体
31…回転軸
32…傘歯車(伝達手段)
33…リンクギア(伝達手段)
34…球体リンク(揺動手段)
40…内回転体(回転体)
50…外回転体(回転体)
51b…溝部(揺動手段)
53…凹部(保持部)
53a…凹部(第1保持部)
53b,53c…凹部(第2保持部)
53d…凹部(第3保持部)
62a…入賞口
71…モータ(駆動源)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14