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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】内視鏡洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20220328BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220328BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A61B1/12 510
G02B23/24 A
B08B3/02 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018085044
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019187886
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000162940
【氏名又は名称】興研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】結城 翼
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特許第3823171(JP,B2)
【文献】特開2009-165508(JP,A)
【文献】特開平11-128158(JP,A)
【文献】特開2009-226193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
G02B 23/24-23/26
B08B 3/00- 3/14
G01M 3/00- 3/40
F17D 1/00- 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給側から供給先へ処理液を供給する供給ポンプと、
前記供給側及び前記供給先の少なくとも一方に複数設置されて前記処理液を通過させる流路と、
前記供給側と前記供給先の流路を接続する接続経路と、
前記接続経路に設置され、前記処理液の通水時間を検出し、この通水時間があらかじめ設定した時間を超えた場合に正常と判定し、前記設定した時間以下の場合に異常と判定する流水センサと、
前記供給側の流路と前記供給先の流路との組合せを、互いに一部が共通するように複数選択し、これら選択した複数の流路が前記流水センサからの検出結果に基づいて共通して正常であるか、あるいは異常であるかを判定し、前記複数の流路から異常の流路を判定する判定部と、
前記供給側から前記供給先へ供給する前記処理液を導入して内視鏡を洗浄又は消毒する洗浄槽と、
を備えることを特徴とする内視鏡洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの内視鏡を洗浄するための内視鏡洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済みの内視鏡を洗浄槽に収納して洗浄や消毒を行う内視鏡洗浄装置が提案されている。このような内視鏡洗浄装置では、例えば特許文献1に記載された技術がある。
【0003】
特許文献1に記載された技術は、洗浄槽の外側に排出口につながる廃水用水槽と、この廃水用水槽から廃水を排出可能なポンプと、このポンプによる排出量を検出する手段とが設けられている。したがって、この技術では、一洗浄当たりの廃水量を、ポンプの稼働時間から検出することで、計算上の洗浄水使用量と対比して洗浄過程が正常であるか否かを通報するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3823171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載された技術は、廃水用水槽の初期貯水量によってポンプの動作開始タイミングが変化してしまうため、細かい異常は見落とされる可能性がある。また、特許文献1に記載された技術は、洗浄過程において、洗浄が正常に終了したか否かを判断することはできたとしても、異常があった場所を特定することができないという問題がある。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、1つのセンサで、複数の流路から異常の流路を特定可能な内視鏡洗浄装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を達成するために、本発明が特徴とするのは、供給側から供給先へ処理液を供給する供給ポンプと、前記供給側及び前記供給先の少なくとも一方に複数設置されて前記処理液を通過させる流路と、前記供給側と前記供給先の流路を接続する接続経路と、前記接続経路に設置され、前記処理液の通水時間を検出し、この通水時間があらかじめ設定した時間を超えた場合に正常と判定し、前記設定した時間以下の場合に異常と判定する流水センサと、前記供給側の流路と前記供給先の流路との組合せを、互いに一部が共通するように複数選択し、これら選択した複数の流路が前記流水センサからの検出結果に基づいて共通して正常であるか、あるいは異常であるかを判定し、前記複数の流路から異常の流路を判定する判定部と、前記供給側から前記供給先へ供給する前記処理液を導入して内視鏡を洗浄又は消毒する洗浄槽と、を備えるように構成されていることである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る内視鏡洗浄装置では、供給側の流路と供給先の流路との組合せを、互いに一部が共通するように複数選択し、これら選択した複数の流路が流水センサからの検出結果に基づいて共通して正常であるか、あるいは異常であるかを判定し、複数の流路から異常の流路を判定するため、1つのセンサで、複数の流路から異常の流路を特定することが可能になる。また、1つのセンサで済むため、コストを抑えて制御を簡素化することができる。
【0009】
また、供給側と供給先の流路を接続する接続経路を有し、この接続経路に流水センサを設置するため、1つの接続経路で済み、構造を簡素化することができる。
【0010】
また、流水センサは、処理液の通水時間を検出し、この通水時間があらかじめ設定した時間を超えた場合に正常と判定し、設定した時間以下の場合に異常と判定するため、流量を測定しなくても異常を判定できることから、高価なセンサを用いなくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の内視鏡洗浄装置において開閉カバーを取り除いた状態を示す概略斜視図である。
図2】同実施形態において開閉カバーを取り除いた状態を示す概略縦断面図である。
図3】本発明の実施形態の内視鏡洗浄装置を示す系統図である。
図4】本発明の実施形態の供給側と供給先の流路の組合せ例を示す説明図である。
図5】本発明の実施形態の供給側と供給先の流路の組合せの一例から異常を検出する場合を示す説明図である。
図6】本発明の実施形態の供給側と供給先の流路の組合せの他の例から異常を検出する場合を示す説明図である。
図7】本発明の実施形態の各種電磁弁において流水センサが検知した累計時間を示す図である。
図8】本発明の実施形態の内視鏡洗浄装置の実際の機器の運転工程における異常判定結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の内視鏡洗浄装置について図1及び図2を用いて説明する。
【0013】
(内視鏡洗浄装置)
本実施形態の内視鏡洗浄装置10は、内視鏡11の洗浄、消毒を自動的に行うものである。内視鏡洗浄装置10は、図1及び図2に示すように正面側が凹形状に形成され、内視鏡11が長手方向を鉛直方向として上下に向けて収容されて支持される洗浄槽13を備えている。この洗浄槽13は縦長形状を有し、正面開口13a及び底面壁13bは前下がりに傾斜して設けられ、上部側より下部側の勾配が大きく形成されている。また、正面開口13aは図示しない透明の開閉カバーにより覆われている。
【0014】
図2に示すように、洗浄槽13の底面壁13bには、内視鏡11を収納して支持する収納位置としての内視鏡支持部15が設けられている。この内視鏡支持部15は、操作部11aを上方、挿入部11bを下方にして内視鏡11を立てた状態で支持可能に形成されている。
【0015】
洗浄槽13の上部には、図2に示すように酸性電解水(以下、酸性水ともいう。)、アルカリ性電解水(以下、アルカリ水ともいう。)、水(以下、浄水ともいう。)等の洗浄液、エアー等の各種流動体、さらには図示しないワイヤブラシ等の洗浄部材を内視鏡11の内部に導入するための上部導入部17が設けられている。
【0016】
また、洗浄槽13内の所定位置には、図示しない噴射口が複数設置されている。これらの噴射口には、ホース等の供給手段が接続されている。この供給手段を通して上記噴射口には、ポンプを駆動することによってタンクから上記各種流動体が供給される。
【0017】
本実施形態では、上述した複数の噴出口から内視鏡11の外側に酸性電解水、アルカリ性電解水、水等の洗浄液を噴射して洗浄するように構成されている。
【0018】
このように構成された内視鏡洗浄装置10は、まず、内視鏡11を内視鏡支持部15に配置し、図示しない開閉カバーを閉じて、洗浄工程を開始する。この洗浄工程では、まず、内視鏡11の外側に対して複数の噴射口からそれぞれ水道水が所定時間噴射された後、同じく複数の噴射口からそれぞれアルカリ性電解水が所定時間噴射される。この間に、上部導入部17にて内視鏡内部の洗浄が同時に行われるが、詳細については省略する。
【0019】
内視鏡11の外側にアルカリ性電解水を噴射後、次に消毒工程を行う。この消毒工程では、同じく複数の噴射口からそれぞれ酸性電解水が所定時間噴射される。
【0020】
次いで、消毒工程の終了後、すすぎ工程を行う。このすすぎ工程では、同じく複数の噴射口からそれぞれ水道水が所定時間噴射される。その後、図示しない送風手段によりエアーを供給して乾燥工程を行い、全工程を終了する。
【0021】
(内視鏡洗浄装置の制御装置)
次に、図1及び図2に示す内視鏡洗浄装置10の制御装置について説明する。
【0022】
図3は本発明の実施形態の内視鏡洗浄装置を示す系統図である。なお、図3において、実線は処理液の流れを示し、破線は電気的な信号の流れを示している。また、図1及び図2に示す内視鏡洗浄装置10と同一の部分には、同一の符号を用いて説明する。
【0023】
本実施形態の制御装置20は、図2に示すように例えば内視鏡洗浄装置10内に設置されている。内視鏡洗浄装置10は、図3に示すように電気分解槽21を有する。この電気分解槽21は、所定濃度の食塩水を電気分解し、所定のpH値の酸性電解水(以下、酸性水という。)と、所定のpH値のアルカリ性電解水(以下、アルカリ水という。)を生成する。これらの酸性水とアルカリ水は、それぞれ酸性水槽22とアルカリ水槽23に供給される。内視鏡洗浄装置10は、水道水が供給源となる浄水槽24を備えている。なお、以下の説明において、酸性水、アルカリ水及び浄水を総称する場合には、処理液という。
【0024】
酸性水槽22は酸性水流路25を経て、アルカリ水槽23はアルカリ水流路26を経て、浄水槽24は浄水流路27を経て、それぞれ1つの接続経路28に接続されている。この接続経路28には、供給ポンプ29及び流水センサ30が設置されている。流水センサ30は、供給ポンプ29付近に設置されている。
【0025】
流水センサ30には、例えばフラッパ式センサが用いられる。このフラッパ式センサは、処理液が流れて設定流量になると、フラッパが押し上げられて開となり、フラッパ内の永久磁石がスイッチ板内のリードスイッチの接点を接触するように動作させる。また、流量が減少すると、フラッパは下降して閉じてリードスイッチの接点が離れるように動作する。
【0026】
本実施形態では、流水センサ30が開状態になっている時間、すなわち流水センサ30が処理液を検知した通水時間を計測し、この通水時間を通常時の通水時間と比較する。そして、通水時間が例えば通常時の半分以下になった場合には、異常と判定している。また、通水時間が例えば通常時の半分を超えている場合には、正常と判定する。
【0027】
ここで、流水センサ30は、図示しないタイマーを内蔵している。このタイマーは、流水センサ30が処理液を検知している時間、すなわち通水時間を計測する。流水センサ30の検出信号は、判定部としての機能を有する制御部50に出力される。
【0028】
酸性水流路25は、酸性水の供給側の流路となり、アルカリ水流路26は、アルカリ水の供給側の流路となり、そして浄水流路27は、浄水の供給側の流路となる。
【0029】
酸性水流路25は、配管と酸性水電磁弁31を備える。アルカリ水流路26は、配管とアルカリ水電磁弁32を備える。浄水流路27は、配管と浄水電磁弁33を備える。
【0030】
接続経路28は、複数(本実施形態では4つ)の供給先となる流路に分岐されている。具体的には、接続経路28は、管路流路34、採水流路35、第1ノズル流路36、及び第2ノズル流路37に分岐されている。
【0031】
管路流路34は、配管と管路電磁弁38を備える。採水流路35は、配管と採水電磁弁39を備える。第1ノズル流路36及び第2ノズル流路37は、それぞれ配管と第1ノズル電磁弁40、第2ノズル電磁弁41を備える。
【0032】
さらに、管路流路34は、5つの流路に分岐され、これらの流路を介して洗浄槽13に接続されている。採水流路35は、1つの流路を介して洗浄槽13に接続されている。第1ノズル流路36及び第2ノズル流路37は、それぞれ4つの流路に分岐され、これらの流路を介してそれぞれ洗浄槽13に接続されている。
【0033】
洗浄槽13内には、管路流路34に接続された管路部43、採水流路35に接続された採水部44、第1ノズル流路36に接続された第1ノズル45、及び第2ノズル流路37に接続された第2ノズル46が設置されている。
【0034】
管路部43は、洗浄槽13内に収納された内視鏡11にワイヤブラシ等の洗浄部材を内視鏡1の内部に導入する。採水部44は、浄水槽24からの浄水や気体を内視鏡11に供給する。第1ノズル45は、浄水、酸性水、アルカリ水を内視鏡11に供給する。第2ノズル46は、浄水槽24からの浄水や気体を内視鏡11に供給する。
【0035】
流水センサ30は、上述したように供給側の酸性水流路25、アルカリ水流路26、又は浄水流路27と、供給先の管路流路34、採水流路35、第1ノズル流路36又は第2ノズル流路37との間で処理液としての酸性水、アルカリ水又は浄水の流れが正常であるか、異常であるかを検出する。
【0036】
本実施形態の制御装置20は、流水センサ30と、供給側に設置された酸性水電磁弁31、アルカリ水電磁弁32、浄水電磁弁33と、供給先に設置された管路電磁弁38、採水電磁弁39、第1ノズル電磁弁40、及び第2ノズル電磁弁41と、制御部50と、を備える。そのため、酸性水、アルカリ水、又は浄水は、供給側に設置された電磁弁と、供給先に設置された電磁弁の2つの電磁弁を経て洗浄槽13に供給される。
【0037】
制御部50は、供給側に設置された酸性水電磁弁31、アルカリ水電磁弁32、及び浄水電磁弁33に制御信号を出力し、これらを開閉制御する。同様に、制御部50は、供給先に設置された管路電磁弁38、採水電磁弁39、第1ノズル電磁弁40、及び第2ノズル電磁弁41に制御信号を出力し、これらを開閉制御する。
【0038】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、記録媒体としてのROM(Read Only Memory)、I/O(Input / Output)等を備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成された制御装置である。
【0039】
このうち、上記ROMは、電源を切断しても記憶内容を保持する必要のあるデータやプログラムを記憶する。上記RAMは、データを一時的に格納する。上記CPUは、上記ROMにインストールされているプログラムを実行することで各機能を実現する。記録媒体には、上記ROM以外に例えば、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な電子媒体を含む。
【0040】
図4は本発明の実施形態の供給側と供給先の流路の組合せ例を示す説明図である。なお、本実施形態では、供給側の流路と供給先の流路とは、例えば6パターンの組合せが可能となる。
【0041】
具体的には、図4に示すように、供給側の浄水流路27は、供給先の第1ノズル流路36、第2ノズル流路37、採水流路35、及び管路流路34とそれぞれ組み合わせることができる。また、供給側の酸性水流路25及びアルカリ水流路26は、それぞれ供給先の第1ノズル流路36と組み合わせることができる。これらの組合せのデータは、制御部50のROMにあらかじめ記憶されている。同様に、組合せのデータ判定順序もROMにあらかじめ記憶されている。
【0042】
このように本実施形態では、供給側の流路と供給先の流路との組合せを互いに一部が共通するように複数選択する。そして、これら選択した複数の流路が流水センサ30からの検出結果に基づいて共通して正常であるか、あるいは異常であるかを判定し、複数の流路から異常の流路を判定するものである。
【0043】
次に、複数の流路から異常の流路を判定するための具体例を説明する。
【0044】
図5は本発明の実施形態の供給側と供給先の流路の組合せの一例から異常を検出する場合を示す説明図である。なお、図5において、〇は正常、×は異常であることを示している。
【0045】
図5に示すように、まず、制御部50は、第1の流路の組合せとして供給側の浄水流路27に設置された浄水電磁弁33が作動するように選択するとともに、供給先の管路流路34に設置された管路電磁弁38が作動するように選択する。そして、流水センサ30が異常であることを検出した場合には、制御部50は、供給側の浄水流路27又は供給先の管路流路34に異常があったと判定する。
【0046】
次いで、制御部50は、第2の流路の組合せとして供給側の浄水流路27に設置された浄水電磁弁33が作動するように選択するとともに、供給先の採水流路35に設置された採水電磁弁39が作動するように選択する。そして、流水センサ30が正常であることを検出した場合には、制御部50は、供給側の浄水流路27及び供給先の採水流路35の双方が正常であると判定する。
【0047】
この場合、供給側の浄水流路27は、互いに異なる第1の流路の組合せと第2の流路の組合せにおいて共通している。供給先の管路流路34と採水流路35とが非共通となる。そして、上記のように第2の流路の組合せにおいて供給側の浄水流路27及び供給先の採水流路35の双方が正常であると判定されていることから、管路流路34に異常があったと判定する。
【0048】
図6は本発明の実施形態の供給側と供給先の流路の組合せの他の例から異常を検出する場合を示す説明図である。なお、図6においても、〇は正常、×は異常であることを示している。
【0049】
図6に示すように、まず、制御部50は、第1の流路の組合せとして供給側の浄水流路27に設置された浄水電磁弁33が作動するように選択するとともに、供給先の管路流路34に設置された管路電磁弁38が作動するように選択する。そして、流水センサ30が異常であることを検出した場合には、制御部50は、供給側の浄水流路27又は供給先の管路流路34に異常があったと判定する。
【0050】
次いで、制御部50は、第2の流路の組合せとして供給側の酸性水流路25に設置された酸性水電磁弁31が作動するように選択するとともに、供給先の管路流路34に設置された管路電磁弁38が作動するように選択する。そして、流水センサ30が正常であることを検出した場合には、制御部50は、供給側の酸性水流路25及び供給先の管路流路34の双方が正常であると判定する。
【0051】
この場合、供給先の管路流路34は、互いに異なる第1の流路の組合せと第2の流路の組合せにおいて共通している。供給側の浄水流路27と酸性水流路25とが非共通となる。そして、上記のように第2の流路の組合せにおいて供給側の酸性水流路25及び供給先の管路流路34の双方が正常であると判定されていることから、浄水流路27に異常があったと判定する。
【0052】
したがって、本実施形態では、複数の流路の組合せにおいて、供給側の電磁弁と供給先の電磁弁の組合せを互いに一部が共通の電磁弁を複数選択する。これら選択した複数の電磁弁において、正常と異常が発生したときに、異常に含まれる非共通の流路に異常があると判定する。
【0053】
図7は本発明の実施形態の各種電磁弁において流水センサが検知した累計時間を示す図である。なお、図7における数値は、流水センサ30が処理液を検知した累計時間を示しており、0.1秒につき1カウントとして示している。また、図7の理論値は、理論上求められる数値である。
【0054】
なお、本実施形態では、上述したように流水センサ30が処理液を検知した通水時間を計測し、この通水時間を通常時の通水時間と比較し、通水時間が例えば通常時の半分以下になった場合には、異常と判定し、通水時間が例えば通常時の半分を超えている場合には、正常と判定している。
【0055】
図7に示すように、浄水電磁弁33は、その検知タイミングが浄水噴霧中2分間であり、流水センサ30の累計時間をカウント数として示すと、理論値が1200、通常時(実測値)が1220、電磁弁故障時には、23となる。
【0056】
酸性水電磁弁31及びアルカリ水電磁弁32は、その検知タイミングが酸噴霧及びアルカリ水噴霧でそれぞれ30秒間であり、それぞれ理論値が300、通常時(実測値)が279、電磁弁故障時には、15となる。
【0057】
管路電磁弁38は、その検知タイミングがブラシ目視確認の10秒間であり、理論値が100、通常時(実測値)が86、電磁弁故障時には、5となる。
【0058】
採水電磁弁39、第1ノズル電磁弁40、及び第2ノズル電磁弁41は、その検知タイミングがそれぞれ送気中5秒間であり、それぞれ理論値が50、通常時(実測値)が21、58、58、電磁弁故障時には、それぞれ0となる。
【0059】
図7によれば、流水センサ30が処理液を検知した累計時間において、実測値は理論値から著しく相違はしていない。しかし、各電磁弁が故障した場合の結果は、通常時から大幅に数値が減少していることが分かる。このように本実施形態の電磁弁は、通常時、閉じた状態のものを使用しているので、故障すると閉じた状態になる。
【0060】
このような結果に基づいて、各電磁弁が正常であるか、異常であるかの判定は、上述したように累計時間、すなわち通水時間が例えば通常時の半分以下になった場合には、異常と判定し、通水時間が例えば通常時の半分を超えている場合には、正常と判定する。
【0061】
この場合、正常か異常かの判定基準は、任意に設定可能であるが、洗浄のために必要な流量の最低値と通常時の流量を対比して決定すればよい。
【0062】
次に、実際の運転工程における異常判定結果の例について説明する。
【0063】
図8は本発明の実施形態の内視鏡洗浄装置の実際の機器の運転工程における異常判定結果の例を示す図である。なお、図8は運転工程中で異常を判定する場合を示している。図8において、〇印は各工程でその電磁弁が作動していることを示している。
【0064】
図8に示すように、実際の機器の運転工程では、浄水噴霧工程、酸性水噴霧工程、アルカリ水噴霧工程、目視確認工程、及び送気中を有している。浄水噴霧工程では、浄水電磁弁33又は各流路での異常を判定する。酸性水噴霧工程では、酸性水電磁弁31又は各流路での異常を判定する。アルカリ水噴霧工程では、アルカリ水電磁弁32又は各流路での異常を判定する。
【0065】
目視確認工程、送気中に異常がある場合は、それぞれの流路又は浄水電磁弁33に異常があると判定する。
【0066】
また、酸性水噴霧工程とアルカリ水噴霧工程において、図7に示すカウント数が同程度に減少している場合は、各流路での異常、流路毎に異常個所を特定することは、目視確認工程、送気中の判定結果から個別に判定する。
【0067】
なお、本実施形態では、図4に示す供給側と供給先の流路の最低限の組合せを、洗浄工程とは別に実施してもよいが、図8に示すように洗浄工程内の差異を利用することで、確認時間を短縮することができる。
【0068】
このように本実施形態によれば、供給側の流路と供給先の流路との組合せを、互いに一部が共通するように複数選択し、これら選択した複数の流路が流水センサ30からの検出結果に基づいて共通して正常であるか、あるいは異常であるかを判定し、複数の流路から異常の流路を判定するため、1つのセンサで、複数の流路から異常の流路を特定することが可能になる。また、1つのセンサで済むため、コストを抑えて制御を簡素化することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、供給側と供給先の流路を接続する接続経路28を有し、この接続経路28に流水センサ30を設置するため、1つの接続経路28で済み、構造を簡素化することができる。
【0070】
また、流水センサ30は、処理液の通水時間を検出し、この通水時間があらかじめ設定した時間を超えた場合に正常と判定し、設定した時間以下の場合に異常と判定するため、流量を測定しなくても異常を判定できることから、高価なセンサを用いなくて済む。
【0071】
また、流水センサ30は、流路の異常を判定する判定基準を流路毎に変更可能となるため、大まかな異常から細かい異常まで幅広い範囲の異常を判定することが可能となる。
【0072】
また、制御部50は、各電磁弁に制御信号を出力して開閉制御し、供給側と供給先の流路の組合せを複数選択するため、供給側と供給先の流路の組合せの選択を容易に行うことができる。
【0073】
また、供給側から供給先へ供給する処理液を複数の種類の処理液としたので、処理液の適用範囲が広くなり、汎用性を高めることができる。
【0074】
また、上記系統異常検出装置と、供給側から供給先へ供給する処理液を導入して内視鏡を洗浄又は消毒する洗浄槽と、を備えることにより、1つのセンサで、複数の流路から異常の流路を特定することが可能になるため、異常時に確実かつ容易に対応することが可能になる。
【0075】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0076】
なお、上記実施形態では、流水センサ30が処理液を検知した通水時間を計測し、この通水時間を通常時の通水時間と比較し、通水時間が例えば通常時の半分以下になった場合には、異常と判定し、通水時間が例えば通常時の半分を超えている場合には、正常と判定したが、これに限定されない。異常、正常の判定基準は、通水時間があらかじめ設定した時間以下の場合に異常と判定し、設定した時間を超えた場合に正常と判定すればよい。
【0077】
また、上記実施形態では、供給側と供給先の流路の組合せを2通り選択した例について説明したが、これに限定することなく、それ以上の複数の組合せを選択してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10…内視鏡洗浄装置
11…内視鏡
13…洗浄槽
15…内視鏡支持部
17…上部導入部
20…制御装置
21…電気分解槽
22…酸性水槽
23…アルカリ水槽
24…浄水槽
25…酸性水流路
26…アルカリ水流路
27…浄水流路
28…接続経路
29…供給ポンプ
30…流水センサ
31…酸性水電磁弁
32…アルカリ水電磁弁
33…浄水電磁弁
34…管路流路
35…採水流路
36…第1ノズル流路
37…第2ノズル流路
38…管路電磁弁
39…採水電磁弁
40…第1ノズル電磁弁
41…第2ノズル電磁弁
43…管路部
44…採水部
45…第1ノズル
46…第2ノズル
50…制御部(判定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8