(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】トップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタを製造するためのパターニング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20220328BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220328BHJP
C08L 53/02 20060101ALI20220328BHJP
C08F 297/04 20060101ALI20220328BHJP
C08G 61/00 20060101ALI20220328BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20220328BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
H01L29/78 617T
H01L29/78 618B
H01L29/78 617U
H01L29/78 617V
C08L53/02
C08F297/04
C08G61/00
C07D487/04 137
C07D519/00 301
(21)【出願番号】P 2020546459
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2019054778
(87)【国際公開番号】W WO2019170481
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-09-04
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520139099
【氏名又は名称】クラップ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CLAP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】リン,ウェイシャン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ミ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュンミン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ギソク
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,ステファン
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-035475(JP,A)
【文献】国際公開第2015/076334(WO,A1)
【文献】特表2007-500452(JP,A)
【文献】特表2017-530558(JP,A)
【文献】特表2012-528476(JP,A)
【文献】特表2014-503987(JP,A)
【文献】特開2012-049225(JP,A)
【文献】特表2019-530776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/336
C08L 53/02
C08F 297/04
C08G 61/00
C07D 487/04
C07D 519/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタを製造する方法であって、
前記有機電界効果トランジスタは、ソース及びドレイン電極、半導電層、硬化した第1誘電層並びにゲート電極を含んでおり、前記方法は、
i)有機半導電性材料を含む組成物を塗工して半導電層を形成する段階、
ii)第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基(azide group)を有する架橋剤を含む組成物を塗工して第1誘電層を形成する段階、
iii)光処理(light treatment)によって、第1誘電層の一部を硬化させる段階、
iv)第1誘電層の未硬化部分を除去する段階、及び
v)硬化した第1誘電層によってカバーされていない半導電層部分を除去する段階
を含み、
前記第1誘電性材料は、少なくとも1つのポリマーブロックA及び少なくとも2つのポリマーブロックBで構成された星型ポリマー(star-shaped polymer)を含み、
前記それぞれのポリマーブロックBは、ポリマーブロックAに付着されており、前記ポリマーブロックBの繰り返し単位の60mol%以上は、
【化1】
【化2】
からなる群より選択され、
前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、互いに独立して、また各出現において、H又はC
1-10-アルキルである、
基板上にトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタを製造する方法。
【請求項2】
前記ポリマーブロックBのモノマー単位の80mol%以上は、
【化3】
からなる群より選択され、
前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、Hである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマーブロックAのモノマー単位の80mol%以上は、
【化4】
【化5】
からなる群より選択され、
前記R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25及びR
26は、互いに独立して、また各出現において、H、C
6-14-アリール、5~14員のヘテロアリール及びC
1-30-アルキルからなる群より選択され、
前記R
aは、C(O)OH、C(O)OC
1-30-アルキル、C(O)-H、C(O)C
6-14-アリール、C(O)N(C
1-30-アルキル)
2、C(O)N(C
6-14-アリール)
2、C(O)N(C
1-30-アルキル)(C
6-14-アリール)、C(O)-C
6-14-アリール、C(O)-C
1-30-アルキル、O-C
6-14-アリール、O-C
1-30-アルキル、OC(O)C
1-30-アルキル、OC(O)C
6-14-アリール又はCNであり、
前記C
6-14-アリール及び5~14員のヘテロアリールは、C
1-10-アルキル、C(O)OH、C(O)OC
1-10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1-10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1-10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1-10-アルキル、OH、O-フェニル、O-C
1-10-アルキル、OC(O)C
1-10-アルキル、OC(O)-フェニル、CN及びNO
2からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換され得て、
前記C
1-30-アルキルは、フェニル、C(O)OH、C(O)OC
1-10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1-10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1-10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1-10-アルキル、O-フェニル、O-C
1-10-アルキル、OC(O)C
1-10-アルキル、OC(O)-フェニル、Si(C
1-10-アルキル)
3、Si(フェニル)
3、CN及びNO
2からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換され得て、
nは、1~3の整数であり、
L
20は、C
1-10-アルキレン、C
2-10-アルケニレン、C
2-10-アルキニレン、C
6-14-アリーレン又はS(O)である、
請求項1及び2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーブロックAのモノマー単位の90mol%以上は、
【化6】
からなる群より選択されたモノマー単位であり、
前記R
20及びR
21は、互いに独立して、H及びC
6-14-アリールからなる群より選択され、
前記C
6-14-アリールは、1つ以上のC
1-10-アルキルで置換され得て、
L
20は、C
6-14-アリーレンである、
請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記星型ポリマーは、1つのポリマーブロックA及び2つのポリマーブロックBで構成されたトリブロックポリマーであり、
前記それぞれのポリマーブロックBは、ポリマーブロックAに付着されており、前記ポリマーブロックBのモノマー単位の60mol%以上は、
【化7】
【化8】
からなる群より選択され、
前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、互いに独立して、また各出現において、H又はC
1-4-アルキルであり、
ただし、モノマー単位(1A)及び(1B)のうち1つ以上が存在し、[モノマー単位(1A)及び(1B)のモル(mols)]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)のモル(mols)]の比は、30%以上である、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記トリブロックポリマーのポリマーブロックBのモノマー単位の80mol%以上は、
【化9】
からなる群より選択され、
前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、Hであり、
ただし、モノマー単位(1A)及び(1B)のうち1つ以上が存在し、[モノマー単位(1A)及び(1B)のモル(mols)]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)のモル(mols)]の比は、70%以上である、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記トリブロックポリマーのポリマーブロックAのモノマー単位の80mol%以上は、
【化10】
からなる群より選択され、
前記R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25及びR
26は、互いに独立して、また各出現において、H、C
6-14-アリール、5~14員のヘテロアリール及びC
1-30-アルキルからなる群より選択され、
前記R
aは、C(O)OH、C(O)OC
1-30-アルキル、C(O)-H、C(O)C
6-14-アリール、C(O)N(C
1-30-アルキル)
2、C(O)N(C
6-14-アリール)
2、C(O)N(C
1-30-アルキル)(C
6-14-アリール)、C(O)-C
6-14-アリール、C(O)-C
1-30-アルキル、O-C
6-14-アリール、O-C
1-30-アルキル、OC(O)C
1-30-アルキル、OC(O)C
6-14-アリール又はCNであり、
前記C
6-14-アリール及び5~14員のヘテロアリールは、C
1-10-アルキル、C(O)OH、C(O)OC
1-10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1-10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1-10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1-10-アルキル、OH、O-フェニル、O-C
1-10-アルキル、OC(O)C
1-10-アルキル、OC(O)-フェニル、CN及びNO
2からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換され得て、
前記C
1-30-アルキルは、フェニル、C(O)OH、C(O)OC
1-10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1-10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1-10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1-10-アルキル、O-フェニル、O-C
1-10-アルキル、OC(O)C
1-10-アルキル、OC(O)-フェニル、Si(C
1-10-アルキル)
3、Si(フェニル)
3、CN及びNO
2からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換され得て、
nは、1~3の整数である、
請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記トリブロックポリマーのポリマーブロックAのモノマー単位の80mol%以上は、
【化11】
からなる群より選択されたモノマー単位であり、
前記R
20及びR
21は、互いに独立して、H及びC
6-14-アリールからなる群より選択され、
前記C
6-14-アリールは、1つ以上のC
1-10-アルキルで置換され得る、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーブロックA/総ポリマーブロックBの重量比は、60/40~96/4である、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記星型ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography)での測定時、60000g/mol以上の数平均分子量Mn、及び70000g/mol以上の重量平均分子量Mwを有する、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤は、2つのアジド基を有する架橋剤であり、下記式(2)で表される、請求項1~10のいずれかに記載の方法:
【化12】
前記式(2)において、
aは、0又は1であり、
R
50は、各出現において、H、ハロゲン、SO
3M及びC
1-20-アルキルからなる群より選択され、
前記C
1-20-アルキルは、1つ以上のハロゲンで置換され得て、
前記Mは、H、Na、K又はLiであり、
L
50は、連結基(linking group)である。
【請求項12】
前記有機半導電性材料は、少なくとも1つのジケトピロロピロール系材料(diketopyrrolopyrrole-based material)であり、
前記ジケトピロロピロール系材料は、
i)下記式(7)で表される単位を含むジケトピロロピロール系ポリマー、もしくは
ii)下記式(8)又は下記式(9)で表されるジケトピロロピロール系小分子である、
請求項1~11のいずれかに記載の方法:
【化13】
前記式(7)において、
R
30は、各出現において、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル又はC
2-30-アルキニルであり、前記C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル及びC
2-30-アルキニルは、1つ以上の-Si(R
b)
3又はOSi(R
b)
3で置換され得るか、又はC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル及びC
2-30-アルキニルの1つ以上のCH
2基が-Si(R
b)
2-又は[Si(R
b)
2-O]a-Si(R
b)
2-で代替され得て、
前記R
bは、各出現において、C
1-10-アルキルであり、aは、1~20の整数であり、
o及びmは、互いに独立して、0又は1であり、
Ar
1及びAr
2は、互いに独立して、アリーレン(arylene)又はヘテロアリーレン(heteroarylene)であり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
L
1及びL
2は、互いに独立して、
【化14】
【化15】
からなる群より選択され、
Ar
3は、各出現において、アリーレン又はヘテロアリーレンであり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、隣接したAr
3は、CR
cR
c、SiR
cR
c又はGeR
cR
cリンカーを介して連結され得て、前記R
cは、各出現において、H、C
1-30-アルキル又はアリールであり、ここで、C
1-30-アルキル及びアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
pは、各出現において、1~8の整数であり、
Ar
4は、各出現において、アリール又はヘテロアリールであり、前記アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-30-アルキル、O-C
1-30-アルキル又はフェニルで置換され得て、ここで、フェニルは、C
1-20-アルキル又はO-C
1-20-アルキルで置換され得る;
【化16】
【化17】
前記式(8)及び式(9)において、
R
31は、各出現において、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル又はC
2-30-アルキニルであり、前記C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル及びC
2-30-アルキニルは、1つ以上の-Si(R
d)
3又はOSi(R
d)
3で置換され得るか、又はC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル及びC
2-30-アルキニルの1つ以上のCH
2基が-Si(R
d)
2-又は[Si(R
d)
2-O]
a-Si(R
d)
2-で代替され得て、
前記R
dは、各出現において、C
1-10-アルキルであり、aは、1~20の整数であり、
R
32は、H、CN、C
1-20-アルキル、C
2-20-アルケニル、C
2-20-アルキニル、O-C
1-20-アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、C
1-20-アルキル、C
2-20-アルケニル、C
2-20-アルキニル、O-C
1-20-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-6-アルキル、O-C
1-6-アルキル又はフェニルで置換され得て、
x及びyは、互いに独立して、0又は1であり、
Ar
5及びAr
6は、互いに独立して、アリーレン又はヘテロアリーレンであり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
L
3及びL
4は、互いに独立して、
【化18】
【化19】
からなる群より選択され、
Ar
7は、各出現において、アリーレン又はヘテロアリーレンであり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、隣接したAr
7は、CR
eR
e、SiR
eR
e又はGeR
eR
eリンカーを介して連結され得て、前記R
eは、各出現において、H、C
1-30-アルキル又はアリールであり、ここで、C
1-30-アルキル及びアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
qは、各出現において、1~8の整数であり、
Ar
8は、各出現において、アリール又はヘテロアリールであり、前記アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-30-アルキル、O-C
1-30-アルキル又はフェニルで置換され得て、フェニルは、C
1-20-アルキル又はO-C
1-20-アルキルで置換され得る。
【請求項13】
vi)硬化した第1誘電層の上部に第2誘電性材料を含む組成物を塗工し、第2誘電層を形成する段階
をさらに含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記硬化した第1誘電層及び半導電層は、ソース及びドレイン電極の間の経路(path)をカバーし
、ソース及びドレイン電極を部分的に又は完全にカバーする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記硬化した第1誘電層及び半導電層が前記第2誘電層に埋め込まれるように、前記第2誘電性材料を含む組成物を硬化した第1誘電層の上部に塗工する、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
基板上のトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタであって、
前記トップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタは、ソース及びドレイン電極、半導電層、硬化した第1誘電層、第2誘電層並びにゲート電極を含んでおり、
i)硬化した第1誘電層及び半導電層は、ソース及びドレイン電極の間の経路をカバーし
、ソース及びドレイン電極を部分的に又は完全にカバーしており、
ii)硬化した第1誘電層及び半導電層は、第2誘電層に埋め込まれて
おり、
前記硬化した第1誘電層は、第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基(azide group)を有する架橋剤を含む組成物を硬化した物であり、
前記第1誘電性材料は、少なくとも1つのポリマーブロックA及び少なくとも2つのポリマーブロックBで構成された星型ポリマー(star-shaped polymer)を含み、
前記それぞれのポリマーブロックBは、ポリマーブロックAに付着されており、前記ポリマーブロックBの繰り返し単位の60mol%以上は、
【化20】
【化21】
からなる群より選択され、
前記R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
、R
7
及びR
8
は、互いに独立して、また各出現において、H又はC
1-10
-アルキルである、
基板上のトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トップゲート・ボトムコンタクト(top-gate,bottom-contact)有機電界効果トランジスタの製造方法及びトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界効果トランジスタ(OFETs)は、ディスプレイ、大面積(large-area)センサ、RFID(radio-frequency identification)タグのような電子機能が要される多くの応用分野で使用され得る。OFETsは、トップゲート(top-gate)又はボトムゲート(bottom-gate)構造を有することができる。トップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタは、基板(substrate)、ソース及びドレイン電極(source and drain electrodes)、1つの有機半導電層(organic semiconducting layer)、1つ以上の誘電層(dielectric layer)及びゲート電極(gate electrode)を順次含むことができる。
【0003】
米国特許第7384814号明細書には、パターニングされたトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタを製造する方法が記載されており、記載された方法には有機半導電層及び半導電層の上部の誘電層は1つの段階でパターニングされる。好ましい実施例において、誘電層は光硬化性であって、半導電層及び誘電層のパターニングはマスク(mask)を通じて適切な光を誘電層に露出させ、光によって硬化しない誘電層部分を除去することによって遂行される。その後、硬化した誘電層によってカバーされない半導電層部分をエッチング(etching)して除去する。光硬化性誘電層の一例として、エチルラクテート(ethyl lactate)、ノボラック樹脂(novolac resin)及び1-ナフタレンスルホン酸(1-naphthalenesulfonic acid)で構成されたHPR504、6-ジアゾ-5,6-ジヒドロ-5-オキソ-(6-diazo-5,6-dihydro-5-oxo-)、1,1’,1“-(1,3,5-ベンゼントリイル)エステル(1,1’,1”-(1,3,5-benzenetriyl)ester)及びサイクリックポリイソプレン(cyclic polyisoprene)であるSC100がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、向上した性能のトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタの製造方法を提供することであって、大気条件下(under ambient conditions)で、半導電層と1つ以上の誘電層とは、低線量UV光処理(low dosage UV light treatment)によって共にパターニングされ得る。
【0006】
このような目的は、請求項1の方法及び請求項16のトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタによって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の方法は、基板上にトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタを製造する方法であり、前記有機電界効果トランジスタは、ソース及びドレイン電極、半導電層、硬化した第1誘電層並びにゲート電極を含んでおり、前記方法は、
i)有機半導電性材料を含む組成物を塗工して半導電層を形成する段階、
ii)第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基(azide group)を有する架橋剤を含む組成物を塗工して第1誘電層を形成する段階、
iii)光処理(light treatment)によって、第1誘電層の一部を硬化させる段階、
iv)第1誘電層の未硬化部分を除去する段階、及び
v)硬化した第1誘電層によってカバーされていない半導電層部分を除去する段階
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の、基板上にトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタを製造する方法により、大気条件下で、半導電層と誘電層とが低線量UV光処理によって共にパターニングされている、向上した性能のトランジスタが製造されるという利点がある。該トップゲート有機電界効果トランジスタは、高い電荷キャリア移動度(high charge carrier mobility)、低いゲート漏洩電流(low gate leakage current)及び/又は高いIon/Ioff比等の向上した性能を示す。
【0009】
半導電層は、有機半導電性材料を含む組成物から溶液処理技術(solution processing techniques)により形成され得て、第1誘電層はまた、第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を含む組成物から溶液処理技術により形成され得る。このように、本発明の、基板上にトップゲート有機電界効果トランジスタを製造する方法は、フレキシブル基板上のトランジスタの大規模生産に適している。
【0010】
本発明のトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタは、低いゲート漏洩電流を示すという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明のトップゲート有機電界効果トランジスタを製造するための例示的な方法を示す図面である。第1段階では、ソース及びドレイン電極を基板に塗工する。第2段階では、有機半導電層を形成するために、有機半導電性材料を含む組成物を塗工する。第3段階では、第1誘電層を形成するために、第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を含む組成物を塗工する。第4段階では、硬化した第1誘電層を形成するために、第1誘電層(1
stGI)の一部を光で処理する。第5段階では、第1誘電層の未硬化部分を除去する。第6段階では、硬化した第1誘電層によってカバーされていない有機半導電層部分を除去する。第7段階では、第1誘電層及び有機半導電層が第2誘電層に埋め込まれるように、第2誘電層(2
ndGI)を塗工する。第8段階では、第2誘電層の上部にゲート電極を塗工する。
【
図2】
図2は、現像(development)後の、硬化した第1誘電層を示す図面である。
【
図3】
図3は、硬化した第1誘電層によってカバーされていない半導電層部分を除去した後の、レジスト(resist)としての硬化した第1誘電層を示す図面である。
【
図4】
図4は、Keithley 4200-SCS半導体特性評価システムで測定した、実施例3のトップゲート有機電界効果トランジスタの特性を示すグラフである。
図4aに、-3V及び-30Vそれぞれのソース電圧V
dsでの、有機電界効果トランジスタのゲート電圧V
gsに対するドレイン電流I
dsの転移曲線(transfer curve)を示す。
図4bに、0V、-10V、-20V及び-30Vのゲート電圧V
gsでの、有機電界効果トランジスタのドレイン電圧V
dsに対するドレイン電流I
dsの出力曲線(output curve)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の方法は、基板上にトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタを製造する方法であり、前記有機電界効果トランジスタは、ソース及びドレイン電極(source and drain electrodes)、半導電層(semiconducting layer)、硬化した第1誘電層(cured first dielectric layer)並びにゲート電極(gate electrode)を含んでおり、前記方法は、
i)有機半導電性材料(orqanic semiconductinq material)を含む組成物を塗工して半導電層を形成する段階、
ii)第1誘電性材料(first dielectric material)及び少なくとも2つのアジド基(azide group)を有する架橋剤(crosslinking agent)を含む組成物を塗工して第1誘電層(first dielectric layer)を形成する段階、
iii)光処理(light treatment)によって、第1誘電層の一部を硬化させる段階、
iv)第1誘電層の未硬化部分を除去する段階、及び
v)硬化した第1誘電層によってカバーされていない半導電層部分を除去する段階
を含んでおり、
前記第1誘電性材料は、少なくとも1つのポリマーブロックA(polymer block A)及び少なくとも2つのポリマーブロックB(polymer blockB)で構成された星型ポリマー(star-shaped polymer)を含み、
前記それぞれのポリマーブロックBは、ポリマーブロックAに付着されており、前記ポリマーブロックBの繰り返し単位(repeat unit)の60mol%以上は、
【化1】
【化2】
からなる群より選択され、
前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、互いに独立して、また各出現において、H又はC
1-10-アルキルである。
【0013】
星型ポリマーが1つのポリマーブロックA及び2つのポリマーブロックBで構成されたポリマーである場合、星型ポリマーは、トリブロックポリマー(triblock polymer)とも言われる。
【0014】
C1-4-アルキル、C1-6-アルキル、C1-10-アルキル、C1-20-アルキル、C1-30-アルキル及びC6-30-アルキルは、分岐状(branched)又は非分岐状(unbranched)(線形)であり得る。分岐状の場合、C1-4-アルキル、C1-6-アルキル、C1-10-アルキル、C1-20-アルキル及びC1-30-アルキルは、好ましくはC2-原子で分枝する。C1-4-アルキルの一例は、メチル(methyl)、エチル(ethyl)、ブチル(butyl)、イソブチル(iso-butyl)、sec-ブチル(sec-butyl)及びtert-ブチル(tert-butyl)である。C1-6-アルキルの一例は、メチル(methyl)、エチル(ethyl)、n-プロピル(n-propyl)、イソプロピル(isopropyl)、n-ブチル(n-butyl)、sec-ブチル(sec-butyl)、イソブチル(isobutyl)、tert-ブチル(tert-butyl)、n-ペンチル(n-pentyl)、ネオペンチル(neopentyl)、イソペンチル(isopentyl)、n-(1-エチル)プロピル(n-(1-ethyl)propyl)及びn-ヘキシル(n-hexyl)である。C1-10-アルキルの一例は、C1-6-アルキル及びn-ヘプチル(n-heptyl)、n-オクチル(n-octyl)、n-(2-エチル)ヘキシル(n-(2-ethyl)hexyl)、n-ノニル(n-nonyl)、n-デシル(n-decyl)である。C1-20-アルキルの一例は、C1-10-アルキル及びn-ウンデシル(n-undecyl)、n-ドデシル(n-dodecyl)、n-ウンデシル(n-undecyl)、n-ドデシル(n-dodecyl)、n-トリデシル(n-tridecyl)、n-テトラデシル(n-tetradecyl)、n-(2-ブチル)デシル(n-(2-butyl)decyl)、n-ペンタデシル(n-pentadecyl)、n-ヘキサデシル(n-hexadecyl)、n-ヘプタデシル(n-heptadecyl)、n-オクタデシル(n-octadecyl)、n-ノナデシル(n-nonadecyl)、n-(2-ヘキシル)テトラデシル(n-(2-hexyl)tetradecyl)及びn-イコシル(n-icosyl)(C20)である。C1-30-アルキルの一例は、C1-20-アルキル及びn-ドコシル(n-docosyl)(C22)、n-(2-デシル)ドデシル(n-(2-decyl)dodecyl)、n-テトラコシル(n-tetracosyl)(C24)、n-ヘキサコシル(n-hexacosyl)(C26)、n-オクタコシル(n-octacosyl)(C28)及びn-トリアコンチル(n-triacontyl)(C30)である。C6-30-アルキルの一例は、n-ヘキシル(n-hexyl)、n-ヘプチル(n-heptyl)、n-オクチル(n-octyl)、n-(2-エチル)ヘキシル(n-(2-ethyl)hexyl)、n-ノニル(n-nonyl)、n-デシル(n-decyl)、n-ウンデシル(n-undecyl)、n-ドデシル(n-dodecyl)、n-ウンデシル(n-undecyl)、n-ドデシル(n-dodecyl)、n-トリデシル(n-tridecyl)、n-テトラデシル(n-tetradecyl)、n-(2-ブチル)デシル(n-(2-butyl)decyl)、n-ペンタデシル(n-pentadecyl)、n-ヘキサデシル(n-hexadecyl)、n-ヘプタデシル(n-heptadecyl)、n-オクタデシル(n-octadecyl)、n-ノナデシル(n-nonadecyl)、n-(2-ヘキシル)テトラデシル(n-(2-hexyl)tetradecyl)、n-イコシル(n-icosyl)、n-ドコシル(n-docosyl)(C22)、n-(2-デシル)ドデシル(n-(2-decyl)dodecyl)、n-テトラコシル(n-tetracosyl)(C24)、n-ヘキサコシル(n-hexacosyl)(C26)、n-オクタコシル(n-octacosyl)(C28)及びn-トリアコンチル(n-triacontyl)(C30)である。
【0015】
C6-14-アリール(aryl)の一例は、フェニル(phenyl)及びナフチル(naphthyl)である。
【0016】
5~14員のヘテロアリール(5 to 14 membered heteroaryl)の一例は、
【化3】
である。
【0017】
C1-10-アルキレン(alkylene)の一例は、メチレン(methylene)、エチレン(ethylene)、プロピレン(propylene)、ブチレン(butylene)、ペンチレン(pentylene)、へキシレン(hexylene)、ヘプチレン(heptylene)、オクチレン(octylene)、ノニレン(nonylene)及びデシレン(decylene)である。
【0018】
C2-10-アルキレン(alkylene)の一例は、エテニレン(ethenylene)、プロペニレン(propenylene)、ブテニレン(butenylene)、ペンテニレン(pentenylene)、ヘキセニレン(hexenylene)、ヘプテニレン(heptenylene)、オクテニレン(octenylene)、ノネニレン(nonenylene)及びデセニレン(decenylene)である。
【0019】
C2-10-アルキニレン(alkynylene)の一例は、エチニレン(ethynylene)、プロピニレン(propynylene)、ブチニレン(butynylene)、ペンチニレン(pentynylene)、ヘキシニレン(hexynylene)、ヘプチニレン(heptynylene)、オクチニレン(octynylene)、ノニリレン(nonynylene)及びデシニレン(decynylene)である。
【0020】
C
6-14-アリーレン(arylene)の一例は、
【化4】
である。
【0021】
C5-8-シクロアルキレン(cycloalkylene)の一例は、シクロペンチレン(cyclopentylene)、シクロへキシレン(cyclohexylene)、シクロヘプチレン(cycloheptylene)及びシクロオクチレン(cyclooctylene)である。
【0022】
5~14員のヘテロアリーレン(5 to 14 membered heteroarylene)の一例は、
【化5】
である。
【0023】
C
6-14-芳香族環(aromatic ring)及び5~14員のヘテロ芳香族環(5 to 14 membered heteroaromatic ring)からなる群より選択された1つ以上の環を含む多環系(polycyclic system)の一例は、
【化6】
である。
【0024】
ハロゲンの一例は、F、Cl、Br及びIである。
【0025】
好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、互いに独立して、また各出現において、H又はC1-4-アルキル(alkyl)である。さらに好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、Hである。
【0026】
好ましくは、ポリマーブロックBのモノマー単位(monomer unit)の60mol%以上は、
【化7】
【化8】
からなる群より選択され、前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、互いに独立して、また各出現において、H又はC
1-4-アルキル(alkyl)である。
【0027】
式(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)で表されるモノマー単位の一例は、
【化9】
である。
【0028】
式(1E)及び(1F)で表されるモノマー単位の一例は、
【化10】
である。
【0029】
さらに好ましくは、ポリマーブロックBのモノマー単位の70mol%以上は、
【化11】
からなる群より選択され、前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、また各出現において、H又はC
1-4-アルキル(alkyl)である。
【0030】
さらに好ましくは、ポリマーブロックBのモノマー単位の80mol%以上は、
【化12】
からなる群より選択され、前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、Hである。
【0031】
ポリマーブロックBは、例えば、モノマー単位(4A)、(4C)、(4D)、(4E)又は(4F)等のモノマー単位をさらに含むことができる。しかしながら、最も好ましくは、ポリマーブロックBは、(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)及び(1I)からなる群より選択されたモノマー単位から本質的に構成される。
【0032】
ポリマーブロックAは、いずれかの適したモノマー単位から構成され得る。
【0033】
好ましくは、ポリマーブロックAのモノマー単位の80mol%以上は、
【化13】
【化14】
からなる群より選択され、
前記R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25及びR
26は、互いに独立して、また各出現において、H、C
6-14-アリール、5~14員のヘテロアリール及びC
1-30-アルキルからなる群より選択され、
前記R
aは、C(O)OH、C(O)OC
1-30-アルキル、C(O)-H、C(O)C
6-14-アリール、C(O)N(C
1-30-アルキル)
2、C(O)N(C
6-14-アリール)
2、C(O)N(C
1-30-アルキル)(C
6-14-アリール)、C(O)-C
6-14-アリール、C(O)-C
1-30-アルキル、O-C
6-14-アリール、O-C
1-30-アルキル、OC(O)C
1-30-アルキル、OC(O)C
6-14-アリール又はCNであり、
前記C
6-14-アリール及び5~14員のヘテロアリールは、C
1-10-アルキル、C(O)OH、C(O)OC
1-10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1-10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1-10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1-10-アルキル、OH、O-フェニル、O-C
1-10-アルキル、OC(O)C
1-10-アルキル、OC(O)-フェニル、CN及びNO
2からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換され得て、
前記C
1-30-アルキルは、フェニル、C(O)OH、C(O)OC
1-10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1-10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1-10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1-10-アルキル、O-フェニル、O-C
1-10-アルキル、OC(O)C
1-10-アルキル、OC(O)-フェニル、Si(C
1-10-アルキル)
3、Si(フェニル)
3、CN及びNO
2からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換され得て、
nは、1~3の整数であり、
L
20は、C
1-10-アルキレン、C
2-10-アルケニレン、C
2-10-アルキニレン、C
6-14-アリーレン又はS(O)である。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
さらに好ましくは、ポリマーブロックAのモノマー単位の80mol%以上は、
【化18】
【化19】
からなる群より選択され、
前記R
20、R
21及びR
22は、互いに独立して、H、C
6-14-アリール、5~14員のヘテロアリール及びC
1-30-アルキルからなる群より選択され、
前記R
aは、C(O)OC
1-30-アルキルであり、
前記C
6-14-アリール及び5~14員のヘテロアリールは、1つ以上のC
1-10-アルキルで置換され得て、
前記C
1-30-アルキルは、Si(C
1-10-アルキル)
3及びSi(フェニル)
3からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換され得て、
nは、1~3の整数であり、
L
20は、C
1-10-アルキレン又はC
6-14-アリーレンである。
【0038】
さらに好ましくは、ポリマーブロックAのモノマー単位の90mol%以上は、
【化20】
からなる群より選択されたモノマー単位であり、
前記R
20及びR
21は、互いに独立して、H及びC
6-14-アリールからなる群より選択され、
前記C
6-14-アリールは、1つ以上のC
1-10-アルキルで置換され得て、
L
20は、C
6-14-アリーレンである。
【0039】
最も好ましくは、ポリマーブロックAのモノマー単位の90mol%以上は、
【化21】
からなる群より選択されたモノマー単位であり、
前記R
20及びR
21は、互いに独立して、H及びフェニルからなる群より選択され、
L
20は、フェニレンである。
【0040】
ポリマーブロックAは、例えば、モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)又は(1I)等のモノマー単位をさらに含むことができる。しかしながら、最も好ましくは、ポリマーブロックAは、(4A)、(4B)、(4C)、(4D)、(4E)及び(4F)からなる群より選択されたモノマー単位から本質的に構成され得る。
【0041】
本発明の一実施態様において、星型ポリマーは、1つのポリマーブロックA及び2つよりも多いポリマーブロックBで構成される。
【0042】
本発明の他の一実施態様において、星型ポリマーは、1つのポリマーブロックA及び2つのポリマーブロックBで構成されたトリブロックポリマーである。
【0043】
好ましくは、星型ポリマーは、1つのポリマーブロックA及び2つのポリマーブロックBで構成されたトリブロックポリマーであり、
前記それぞれのポリマーブロックBは、ポリマーブロックAに付着されており、前記ポリマーブロックBのモノマー単位の60mol%以上は、
【化22】
【化23】
からなる群より選択され、
前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、互いに独立して、また各出現において、H又はC
1-4-アルキルであり、
ただし、モノマー単位(1A)及び(1B)のうち1つ以上が存在し、[モノマー単位(1A)及び(1B)のモル(mols)]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)のモル(mols)]の比は、30%以上である。
【0044】
好ましくは、トリブロックポリマーのポリマーブロックBのモノマー単位の70mol%以上は、
【化24】
からなる群より選択され、
前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、また各出現において、H又はC
1-4-アルキルであり、
ただし、モノマー単位(1A)及び(1B)のうち1つ以上が存在し、[モノマー単位(1A)及び(1B)のモル(mols)]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)のモル(mols)]の比は、50%以上である。
【0045】
さらに好ましくは、トリブロックポリマーのポリマーブロックBのモノマー単位の80mol%以上は、
【化25】
からなる群より選択され、
前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、Hであり、
ただし、モノマー単位(1A)及び(1B)のうち1つ以上が存在し、[モノマー単位(1A)及び(1B)のモル(mols)]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)のモル(mols)]の比は、70%以上である。
【0046】
トリブロックポリマーのポリマーブロックBは、例えば、モノマー単位(4A)、(4C)、(4D)、(4E)又は(4F)等のモノマー単位をさらに含むことができる。しかしながら、最も好ましくは、ポリマーブロックBは、(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)及び(1I)からなる群より選択されたモノマー単位から本質的に構成され得る。
【0047】
好ましくは、トリブロックポリマーのポリマーブロックAのモノマー単位の80mol%以上は、
【化26】
からなる群より選択され、
前記R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25及びR
26は、互いに独立して、また各出現において、H、C
6-14-アリール、5~14員のヘテロアリール及びC
1-30-アルキルからなる群より選択され、
前記R
aは、C(O)OH、C(O)OC
1-30-アルキル、C(O)-H、C(O)C
6-14-アリール、C(O)N(C
1-30-アルキル)
2、C(O)N(C
6-14-アリール)
2、C(O)N(C
1-30-アルキル)(C
6-14-アリール)、C(O)-C
6-14-アリール、C(O)-C
1-30-アルキル、O-C
6-14-アリール、O-C
1-30-アルキル、OC(O)C
1-30-アルキル、OC(O)C
6-14-アリール又はCNであり、
前記C
6-14-アリール及び5~14員のヘテロアリールは、C
1-10-アルキル、C(O)OH、C(O)OC
1-10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1-10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1-10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1-10-アルキル、OH、O-フェニル、O-C
1-10-アルキル、OC(O)C
1-10-アルキル、OC(O)-フェニル、CN及びNO
2からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換され得て、
前記C
1-30-アルキルは、フェニル、C(O)OH、C(O)OC
1-10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1-10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1-10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1-10-アルキル、O-フェニル、O-C
1-10-アルキル、OC(O)C
1-10-アルキル、OC(O)-フェニル、Si(C
1-10-アルキル)
3、Si(フェニル)
3、CN及びNO
2からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換され得て、
nは、1~3の整数である。
【0048】
さらに好ましくは、トリブロックポリマーのポリマーブロックAのモノマー単位の80mol%以上は、
【化27】
からなる群より選択され、
前記R
20、R
21及びR
22は、互いに独立して、H、C
6-14-アリール、5~14員のヘテロアリール及びC
1-30-アルキルからなる群より選択され、
前記R
aは、C(O)OC
1-30-アルキルであり、
前記C
6-14-アリール及び5~14員のヘテロアリールは、1つ以上のC
1-10-アルキルで置換され得て、
前記C
1-30-アルキルは、Si(C
1-10-アルキル)
3及びSi(フェニル)
3からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換され得て、
nは、1~3の整数である。
【0049】
最も好ましくは、トリブロックポリマーのポリマーブロックAのモノマー単位の80mol%以上は、
【化28】
からなる群より選択されたモノマー単位であり、
前記R
20及びR
21は、互いに独立して、H及びC
6-14-アリールからなる群より選択され、
前記C
6-14-アリールは、1つ以上のC
1-10-アルキルで置換され得る。
【0050】
トリブロックポリマーのポリマーブロックAは、例えば、モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)及び(1I)等のモノマー単位をさらに含むことができる。しかしながら、最も好ましくは、トリブロックポリマーのポリマーブロックAは、(4A)、(4B)、(4C)、(4D)、(4E)及び(4F)からなる群より選択されたモノマー単位から本質的に構成され得る。
【0051】
さらに好ましくは、星型ポリマーは、1つのポリマーブロックA及び2つのポリマーブロックBで構成されたトリブロックポリマーであり、
前記ポリマーブロックBのモノマー単位の70mol%以上は、
【化29】
からなる群より選択され、
前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、また各出現において、H又はC
1-4-アルキルであり、
ただし、モノマー単位(1A)及び(1B)のうち1つ以上が存在し、[モノマー単位(1A)及び(1B)のモル(mols)]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)のモル(mols)]の比は、50%以上であり、
前記ポリマーブロックAのモノマー単位の80mol%以上は、
【化30】
で表されるモノマー単位であり、
前記R
20は、Hであり、
前記R
21は、各出現において、C
6-14-アリールであり、
前記C
6-14-アリールは、1つ以上のC
1-10-アルキルで置換され得る。
【0052】
よりさらに好ましくは、本発明の星型ポリマーは、1つのポリマーブロックA及び2つのポリマーブロックBで構成されたトリブロックポリマーであり、
前記ポリマーブロックBのモノマー単位の80mol%以上は、
【化31】
からなる群より選択され、
前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、Hであり、
ただし、モノマー単位(1A)及び(1B)のうち1つ以上が存在し、[モノマー単位(1A)及び(1B)のモル(mols)]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)のモル(mols)]の比は、70%以上であり、
前記ポリマーブロックAのモノマー単位の90mol%以上は、
【化32】
で表されるモノマー単位であり、
前記R
20は、Hであり、
前記R
21は、フェニルである。
【0053】
ポリマーブロックB及びポリマーブロックAに係る定義及び製造方法を含んだポリマーに係る以下の定義及び製造方法は、トリブロックポリマーを含んだ星型ポリマーにも適用される。
【0054】
好ましくは、ポリマーブロックA/総ポリマーブロックBの重量比は、60/40~96/4である。さらに好ましくは、ポリマーブロックA/総ポリマーブロックBの重量比は、70/30~96/4である。最も好ましくは、ポリマーブロックA/総ポリマーブロックBの重量比は、76/24~94/4である。
【0055】
好ましくは、星型ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography)での測定時、60000g/mol以上の数平均分子量Mn、及び70000g/mol以上の重量平均分子量Mwを有する。
【0056】
さらに好ましくは、星型ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーでの測定時、100000g/mol以上の数平均分子量Mn、及び120000g/mol以上の重量平均分子量Mwを有する。
【0057】
最も好ましくは、星型ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーでの測定時、120000g/mol以上の数平均分子量Mn、及び150000g/mol以上の重量平均分子量Mwを有する。
【0058】
ポリマーブロックBの製造に使用された総モノマーは、ポリマーブロックBに含まれるものと仮定する。
【0059】
モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)のモル%は、
【化33】
で表されるモノマーのモル%と同じであると仮定し、前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)について定義された通りであり、ポリマーブロックBの製造に使用されたモノマーの総モル(mols)を基準としている。
【0060】
[モノマー単位(1A)及び(1B)のモル(mols)]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)のモル(mols)]の比は、シグナルの完全な緩和(full relaxation of the signals)に充分な時間が許容された1H-NMRによって得られたシグナル積分値(integrated signals)から決定され得る。このデータから、[モノマー単位(1A)及び(1B)のモル(mols)]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)のモル(mols)]の比が計算され得る。
【0061】
ポリマーブロックBにおけるモノマー単位(1E)及び(1F)のモル%は、
【化34】
で表されるモノマーのモル%と同じであると仮定し、前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、モノマー単位(1E)及び(1F)について定義された通りであり、ポリマーブロックBの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0062】
ポリマーブロックBにおけるモノマー単位(1G)のモル%は、
【化35】
で表されるモノマーのモル%と同じであると仮定し、ポリマーブロックBの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0063】
ポリマーブロックBにおけるモノマー単位(1H)のモル%は、
【化36】
で表されるモノマーのモル%と同じであると仮定し、ポリマーブロックBの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0064】
ポリマーブロックBにおけるモノマー単位(1I)のモル%は、
【化37】
で表されるモノマーのモル%と同じであると仮定し、ポリマーブロックBの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0065】
ポリマーブロックAの製造に使用された全モノマーは、ポリマーブロックAに含まれるものと仮定する。
【0066】
このように、ポリマーブロックAにおけるモノマー単位(4A)のモル%は、
【化38】
で表されるモノマーのモル%と同じであると仮定し、前記R
20及びR
21は、モノマー単位(4A)について定義された通りであり、ポリマーブロックAの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0067】
ポリマーブロックAにおけるモノマー単位(4B)のモル%は、
【化39】
で表されるモノマーのモル%と同じであると仮定し、前記L
20は、モノマー単位(4B)について定義された通りであり、ポリマーブロックAの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0068】
ポリマーブロックAにおけるモノマー単位(4C)のモル%は、
【化40】
で表されるモノマーのモル%と同じであると仮定し、前記R
22及びR
aは、モノマー単位(4C)について定義された通りであり、ポリマーブロックAの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0069】
ポリマーブロックAにおけるモノマー単位(4D)のモル%は、
【化41】
で表されるモノマーのモル%と同じであると仮定し、前記nは、モノマー単位(4D)について定義された通りであり、ポリマーブロックAの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0070】
ポリマーブロックAにおけるモノマー単位(4E)のモル%は、
【化42】
で表されるモノマーのモル%と同じであると仮定し、前記R
23、R
24、R
25及びR
26は、モノマー単位(4E)について定義された通りであり、ポリマーブロックAの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0071】
ポリマーブロックAにおけるモノマー単位(4F)のモル%は、
【化43】
で表されるモノマーのモル%と同じであると仮定し、前記R
23、R
24、R
25及びR
26は、モノマー単位(4F)について定義された通りであり、ポリマーブロックAの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0072】
少なくとも1つのポリマーブロックA及び少なくとも2つのポリマーブロックBで構成された星型ポリマーは、当該技術分野で公知の重合方法によって製造され得る。
【0073】
例えば、ポリマーブロックAは、
【化44】
からなる群より選択されたモノマーを80モル%以上使用するアニオン重合方法(anionic polymerisation method)により製造することができ、前記R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
a及びnは、モノマー単位(4A)、(4B)、(4C)、(4D)、(4E)及び(4F)について定義された通りであり、ポリマーブロックAの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0074】
例えば、ポリマーブロックBは、
【化45】
からなる群より選択されたモノマーを60モル%以上使用するアニオン重合方法により製造することができ、前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)について定義された通りであり、ポリマーブロックBの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0075】
アニオン重合方法は、通常、n-BuLi又はsec-BuLi等の単官能開始剤又は1,4-ジリチオ-1,1,4,4-テトラフェニルブタン(1,4-dilithio-1,1,4,4-tetraphenylbutane)等の二官能開始剤により開始される。
【0076】
アニオン重合方法は、通常、適した非プロトン性溶媒又は非プロトン性溶媒の混合物において行われる。非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)等の極性溶媒、もしくはトルエン(toluene)又はシクロヘキサン(cyclohexane)等の非極性溶媒であり得る。
【0077】
総モノマー/溶媒の重量比は、通常、1/100~40/100(重量/重量)の範囲、さらに好ましくは、5/10~300/100(重量/重量)の範囲である。
【0078】
アニオン重合は、通常、30~80℃、好ましくは50~80℃の温度で行われる。
【0079】
アニオン重合は、通常、水又はイソプロパノール(isopropanol)等のプロトン性溶媒の添加によって停止する。
【0080】
アニオン重合についての実務的な詳細は、例えば、Maurice Morton in「Anionic Polymerization:Principles and Practice」、Academic Press、New York、1983、及びHenry Hsieh、Roderic Ρ.Quirk Anionic Polymerization:Principles and Practical Applications、Marcel Dekker、New York、1996に記載されている。
【0081】
例えば、ポリマーブロックBは、
【化46】
からなる群より選択されたモノマーを60モル%以上使用する開環メタセシス重合(ring-opening metathesis polymerisation、ROMP)により製造することができ、ポリマーブロックBの製造に使用されたモノマーの総モルを基準としている。
【0082】
開環メタセシス重合方法は、通常、Schrock触媒又はGrubbs’触媒等の適した触媒下で行われる。開環メタセシス重合方法は、アルデヒド(aldehyde)の添加によって停止され得る。
【0083】
触媒の適切な選択及びROMPの進行は、「Handbook of Metathesis、Volume 1-3」by Robert Η.Grubbs et al. 2015、Wiley-VCH、Weinheim、and Robert Η.Grubbs in Handbook of Metathesis(Wiley-VCH、Weinheim、2003)から得ることができる。
【0084】
星型ポリマーが1つのポリマーブロックA及び2つのポリマーブロックBで構成されたトリブロックポリマーである場合、以下の示す「モノマーの逐次添加(sequential addition of monomers)」、「二官能性開始(bifunctional initiation)」又は「二官能性カップリング(bifunctional coupling)」の製造方法が採用され得る。
【0085】
アニオン重合による「モノマーの逐次添加」では、n-BuLi又はsec-BuLi等の単官能開始剤を提供した後、第1ポリマーブロックBのためのモノマーを添加し、引き続き第1ポリマーブロックAのためのモノマーを添加した後、第2ポリマーブロックBのためのモノマーを添加し、プロトン性溶媒で停止させる。
【0086】
アニオン重合による「二官能性開始」は、1,4-ジリチオ-1,1,4,4-テトラフェニルブタン(1,4-dilithio-1,1,4,4-tetraphenylbutane)等の二官能開始剤を提供した後、ポリマーブロックAのためのモノマーを添加し、引き続きポリマーブロックBのためのモノマーを添加した後、プロトン性溶媒で停止させる。最終ポリマーにおいて、二官能開始剤はポリマーブロックAの一部となる。
【0087】
「二官能性カップリング」は、2個の末端CH=O基を有するポリマーブロックAと、単官能開始剤を用いたアニオン重合又は開環メタセシス重合(ROMP)により製造されたポリマーブロックBとのカップリングを含むことができる。
【0088】
「二官能性カップリング」はまた、二官能開始剤を用いたアニオン重合により製造されたポリマーブロックAと、CH=O基を有するポリマーブロックBとのカップリングを含むことができる。
【0089】
2個の末端CH=O基を有するポリマーブロックAは、二官能開始剤を用いたアニオン重合により製造された後、停止を起こす基と共にアルデヒド基(aldehyde group)又は保護アルデヒド基(protected aldehyde group)をさらに含む試薬で反応を停止させることができ、保護アルデヒド基が存在していれば、保護アルデヒド基は脱保護され得る。
【0090】
CH=O基を有するポリマーブロックBは、単官能開始剤を用いたアニオン重合又は開環メタセシス重合(ROMP)により製造された後、停止を起こす基と共にアルデヒド基又は保護アルデヒド基をさらに含む試薬で反応を停止させることができ、保護アルデヒド基が存在していれば、保護アルデヒド基は脱保護され得る。
【0091】
停止を起こす基及びアルデヒド基をさらに含む試薬の一例は、O=CH-(CH2)2-Cl、O=CH-フェニレン-CH2Cl及びO=CH-CH2-Si(Me)2Clである。
【0092】
停止を起こす基及び保護アルデヒド基をさらに含む試薬の一例は、O=CH-(CH2)2-C(OCH3)2又はO=CH-フェニレン-C(OCH3)2である。保護アルデヒド基は、酢酸の存在下で加水分解によって脱保護され得る。
【0093】
保護官能化停止剤(protected functionalized termination agent)及び開始剤によって末端官能化ポリマー(end-functionalized polymer)を製造するための包括的な概要は、A.Hirao and Μ.Hayashi in「Recent advance in syntheses and applications of well-defined endfunctionalized polymers by means of anionic living polymerization」、Acta Polymerica 1999、Vol.50、page 219 to 231によって提供される。
【0094】
ポリマーが、1つのポリマーブロックA及び2つ以上のポリマーブロックBで構成されたポリマー、いわゆる「星型ポリマー」である場合、「多官能性開始(multifunctional initiation)」又は「多官能性カップリング(multifunctional coupling)」の製造方法が採用され得る。
【0095】
例えば、アニオン重合による「多官能性開始」は、多官能開始剤を提供した後、ポリマーブロックAのためのモノマーを添加し、引き続きポリマーブロックBのためのモノマーを添加することを含むことができる。最終ポリマーにおいて、多官能開始剤はポリマーブロックAの一部となる。例えば、ポリマーブロックAが主に式(1A)で表されるモノマー単位を含む場合、多官能開始剤は、例えばn-BuLi又はsec-BuLi等の通常のリチウム有機化合物といった単官能開始剤の存在下で、ジビニルベンゼン(divinylbenzene)、ジフェニルベンゼン(diphenylethylene)及びスチレン(styrene)の重合によって得られたオリゴマー(oligomer)であり得る。
【0096】
例えば、アニオン重合による「多官能性カップリング」は、例えばn-BuLi又はsec-BuLi等の通常のリチウム有機化合物といった単官能開始剤を提供した後、ポリマーブロックBのためのモノマーを添加し、引き続きポリマーブロックAのためのモノマーを添加した後、1,2-ビス-(トリクロロシリル)エタン(1,2-bis-(trichlorosilyl)ethane)等の多官能カップリング剤を添加することができる。
【0097】
ポリマーブロックA及びポリマーブロックBのモノマー単位により、適切な製造方法が選択され得る。
【0098】
好ましくは、少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤は、2つのアジド基を有する架橋剤である。
【0099】
好ましくは、2つのアジド基を有する架橋剤は、下記式(2)で表される。
【化47】
前記式(2)において、
aは、0又は1であり、
R
50は、各出現において、H、ハロゲン、SO
3M及びC
1-20-アルキルからなる群より選択され、
前記C
1-20-アルキルは、1つ以上のハロゲンで置換され得て、
前記Mは、H、Na、K又はLiであり、
L
50は、連結基(linking group)である。
【0100】
好ましくは、aは、0である。
【0101】
好ましくは、R50は、各出現において、F、SO3M及びC1-20-アルキルからなる群より選択され、前記C1-20-アルキルは、1つ以上のFで置換され得て、前記Mは、Na、K又はLiである。
【0102】
さらに好ましくは、R50は、各出現において、Fである。
【0103】
L50は、いずれかの適した連結基であり得る。
【0104】
好ましくは、L
50は、下記式(3)で表される連結基である。
【化48】
前記式(3)において、
b、c、d、e、f、g及びhは、互いに独立して、0又は1で、ただし、b、c、d、e、f、g及びhの全てが同時に0ではなく、
W
1、W
2、W
3及びW
4は、互いに独立して、C(O)、C(O)O、C(O)-NR
51、SO
2-NR
51、NR
51、N
+R
51R
51、CR
51=CR
51及びエチニレン(ethynylene)からなる群より選択され、
R
51は、各出現において、H又はC
1-10-アルキルであるか、もしくは、異なるW
1、W
2、W
3及びW
4基からのものであり得る2個のR
51基は、連結原子とともに5、6又は7員環を形成し、R
51は、1~3個のC
1-6-アルキルで置換され得て、
Z
1、Z
2及びZ
3は、互いに独立して、C
1-10-アルキレン、C
5-8-シクロアルキレン、C
6-14-アリーレン、5~14員のヘテロアリーレン並びにC
6-14-芳香族環及び5~14員のヘテロ芳香族環からなる群より選択される1つ以上の環を含む多環系(polycyclic system)からなる群より選択され、
前記C
1-10-アルキレン、C
5-8-シクロアルキレン、C
6-14-アリーレン、5~14員のヘテロアリーレン並びにC
6-14-芳香族環及び5~14員のヘテロ芳香族環からなる群より選択される1つ以上の環を含む多環系は、1~5個のC
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得る。
【0105】
連結基L
50の一例は、
【化49】
【化50】
【化51】
である。
【0106】
さらに好ましくは、L
50は、下記式(3)で表される連結基である。
【化52】
前記式(3)において、
b、c、d、e、f、g及びhは、互いに独立して、0又は1で、ただし、c、e及びgのうち1つ以上が1であり、
W
1、W
2、W
3及びW
4は、互いに独立して、C(O)、C(O)O、C(O)-NR
51、SO
2-NR
51、NR
51、N
+R
51R
51、CR
51=CR
51及びエチニレンからなる群より選択され、
R
51は、各出現において、H又はC
1-10-アルキルであるか、もしくは、異なるW
1、W
2、W
3及びW
4基からのものであり得る2個のR
51基は、連結原子とともに5、6又は7員環を形成し、R
51は、1~3個のC
1-6-アルキルで置換され得て、
Z
1、Z
2及びZ
3は、互いに独立して、C
1-10-アルキレン、C
5-8-シクロアルキレン、C
6-14-アリーレン、5~14員のヘテロアリーレン並びにC
6-14-芳香族環及び5~14員のヘテロ芳香族環からなる群より選択される1つ以上の環を含む多環系からなる群より選択され、
前記C
1-10-アルキレン、C
5-8-シクロアルキレン、C
6-14-アリーレン、5~14員のヘテロアリーレン並びにC
6-14-芳香族環及び5~14員のヘテロ芳香族環からなる群より選択される1つ以上の環を含む多環系は、1~5個のC
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
ただし、Z
1、Z
2及びZ
3のうち1つ以上が、C
6-14-アリーレン、5~14員のヘテロアリーレン又はC
6-14-芳香族環及び5~14員のヘテロ芳香族環からなる群より選択される1つ以上の環を含む多環系である。
【0107】
最も好ましくは、L
50は、下記式(3)で表される連結基である。
【化53】
前記式(3)において、
b、c、d、e、f、g及びhは、互いに独立して、0又は1で、ただし、c、e及びgのうち1つ以上が1であり、
W
1、W
2、W
3及びW
4は、互いに独立して、C(O)、CR
51=CR
51及びエチニレンからなる群より選択され、
R
51は、Hであり、
Z
1、Z
2及びZ
3は、互いに独立して、C
1-10-アルキレン、C
6-14-アリーレン、5~14員のヘテロアリーレン並びにC
6-14-芳香族環及び5~14員のヘテロ芳香族環からなる群より選択される1つ以上の環を含む多環系からなる群より選択され、
前記C
1-10-アルキレン、C
6-14-アリーレン、5~14員のヘテロアリーレン並びにC
6-14-芳香族環及び5~14員のヘテロ芳香族環からなる群より選択される1つ以上の環を含む多環系は、1又は2個のC
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
ただし、Z
1、Z
2及びZ
3のうち1つ以上が、C
6-14-アリーレン、5~14員のヘテロアリーレン又はC
6-14-芳香族環及び5~14員のヘテロ芳香族環からなる群より選択される1つ以上の環を含む多環系である。
【0108】
特に、L
50は、
【化54】
(ここで、R
12は、C
1-20-アルキルである)である。
【0109】
少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤の製造は、種々の出版物に記載されており、例えば、WO 2015/004563、Cai、S.X.;Glenn、D.J.;Kanskar、M.;Wybourne、M.N.;Keana、J.F.W.Chem.Mater.1994、6、1822-1829、Yan、M.;Cai、S.X.;Wybourne、M.N.;Keana、J.F.W.J.Mater.Chem.1996、6、1249-1252、Touwslager、F.J.;Willard、N.P.;Leeuw、D.M.Applied Physics Letters 2002、81,4556、WO 2004/100282、WO 2007/004995、WO 2009/068884、Png、R.-Q.;Chia、P.-J.;Tang、J.-C.;Liu、B.;Sivaramakrishnan S.;Zhou、M.;Khong、S.-H.;Chan、H.S.O.;Burroughes、J.H.;Chua、L.-L.;Friend、R.H.;Ho、P.K.H.Nature Materials 2010、9(2)、152-152、及びWO 2011/068482に記載されている。
【0110】
第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を含む組成物は、溶媒をさらに含むことができる。溶媒は、いずれかの適した溶媒又は溶媒の混合物であり得る。好ましくは、溶媒は、極性非プロトン性溶媒又は極性非プロトン性溶媒の混合物である。極性非プロトン性溶媒の一例は、エチルアセテート(ethyl acetate)、ブチルアセテート(butyl acetate)、アセトン(acetone)、シクロペンタノン(cyclopentanone)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate)、アセトニトリル(acetonitrile)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)及びジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)である。好ましい極性非プロトン性溶媒は、ブチルアセテート(butyl acetate)、シクロペンタノン(cyclopentanone)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate)であり、特には、シクロペンタノン(cyclopentanone)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate)である。
【0111】
好ましくは、第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を含む組成物は、溶液であり、
i)組成物1000mgを基準として、0.1~500mgの第1誘電性材料、
ii)第1誘電性材料の重量を基準として、0.1~20重量%の少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤、及び
iii)溶媒
を含む。
【0112】
さらに好ましくは、第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を含む組成物は、溶液であり、
i)組成物1000mgを基準として、0.1~250mgの第1誘電性材料、
ii)第1誘電性材料の重量を基準として、0.1~15重量%の少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤、及び
iii)溶媒
を含む。
【0113】
最も好ましくは、第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を含む組成物は、溶液であり、
i)組成物1000mgを基準として、10~100mgの第1誘電性材料、
ii)第1誘電性材料の重量を基準として、1~10重量%の少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤、及び
iii)溶媒
を含む。
【0114】
第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を含む組成物は、第1誘電性材料、少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤及び任意の溶媒を混合することによって製造され得る。
【0115】
有機半導電性材料(organic semiconducting material)は、当該技術分野で公知のいずれかの有機半導電性材料であり得る。有機半導電性材料は、小分子(small molecule)又はポリマーであり得る。
【0116】
有機半導電性材料の一例は、アントラセン(anthracene)、ペンタセン(pentacene)及びこれらの誘導体等の線形縮合芳香族環(linearly-fused aromatic ring)からなる多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon)、ペリレン(perylene)、ペリレンジイミド誘導体(perylene diimide derivatives)、ペリレン無水物誘導体(perylene dianhydride derivatives)及びナフタレンジイミド誘導体(naphthalene diimide derivatives)等の2次元縮合芳香族環(two-dimensional fused aromatic ring)からなる多環芳香族炭化水素、トリフェニルアミン誘導体(triphenylamine derivatives)、オリゴチオフェン(oligothiophene)、オリゴフェニレンビニレン(oligophenylenevinylene)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリチエニレンビニレンポリパラフェニレン(polythienylenevinylene polyparaphenylene)、ポリピロール(polypyrrole)及びポリアニリン(polyaniline)等の芳香族単位を含むオリゴマー及びポリマー、ポリアセチレン(polyacetylenes)等の炭化水素鎖、並びにジケトピロロピロール系材料(diketopyrrolopyrrole-based material)である。
【0117】
例えば、線形縮合芳香族環からなるビス-アルキニル置換多環芳香族炭化水素(bis-alkinyl substituted polycyclic aromatic hydrocarbon)は、WO2007/068618に記載されている。
【0118】
例えば、ペリレンジイミド誘導体、ペリレン無水物誘導体及びナフタレンジイミド誘導体は、WO2007/074137、WO2007/093643、WO2009/024512、WO2009/147237、WO2012/095790、WO2012/117089、WO2012/152598、WO2014/033622、WO2014/174435及びWO2015/193808に記載されている。
【0119】
例えば、チオフェン(thiophene)単位を含むポリマーは、WO2010/000669に記載されており、ベンゾチアジアゾール-シクロペンタジチオフェン(benzothiadiazol-cyclopentadithiophene)単位を含むポリマーは、WO2010/000755に記載されており、ジチエノベンザチエノチオフェン(dithienobenzathienothiophene)単位を含むポリマーは、WO2011/067192に記載されており、ジチエノフタルイミド(dithienophthalimide)単位を含むポリマーは、WO2013/004730に記載されており、チエノチオフェン-2,5-ジオン(thienothiophene-2,5-dione)単位を含むポリマーは、WO2012/146506に記載されており、イソインディゴ系(Isoindigo-based)単位を含むポリマーは、WO2009/053291に記載されている。
【0120】
例えば、ジケトピロロピロール系材料及びこれらの合成は、WO2005/049695、WO2008/000664、WO2010/049321、WO2010/049323、WO2010/108873、WO2010/136352、WO2010/136353、WO2012/041849、WO2012/175530、WO2013/083506、WO2013/083507及びWO2013/150005に記載されている。
【0121】
半導電性材料として適切なジケトピロロピロール(DPP)系ポリマーに対する要旨も、Christian B.Nielsen、Mathieu Turbiez and lain McCulloch、Advanced Materials 2013、25、1859 to 1880に提示されている。
【0122】
好ましくは、有機半導電性材料は、少なくとも1つのジケトピロロピロール系材料(diketopyrrolopyrrole-based material)である。
【0123】
好ましくは、ジケトピロロピロール系材料は、
i)下記式(7)で表される単位を含むジケトピロロピロール系ポリマー、もしくは
ii)下記式(8)又は下記式(9)で表されるジケトピロロピロール系小分子である。
【化55】
前記式(7)において、
R
30は、各出現において、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル又はC
2-30-アルキニルであり、前記C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル及びC
2-30-アルキニルは、1つ以上の-Si(R
b)
3又はOSi(R
b)
3で置換され得るか、又はC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル及びC
2-30-アルキニルの1つ以上のCH
2基が-Si(R
b)
2-又は[Si(R
b)
2-O]a-Si(R
b)
2-で代替され得て、
前記R
bは、各出現において、C
1-10-アルキルであり、aは、1~20の整数であり、
o及びmは、互いに独立して、0又は1であり、
Ar
1及びAr
2は、互いに独立して、アリーレン(arylene)又はヘテロアリーレン(heteroarylene)であり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
L
1及びL
2は、互いに独立して、
【化56】
【化57】
からなる群より選択され、
Ar
3は、各出現において、アリーレン又はヘテロアリーレンであり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、隣接したAr
3は、CR
cR
c、SiR
cR
c又はGeR
cR
cリンカーを介して連結され得て、前記R
cは、各出現において、H、C
1-30-アルキル又はアリールであり、ここで、C
1-30-アルキル及びアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
pは、各出現において、1~8の整数であり、
Ar
4は、各出現において、アリール又はヘテロアリールであり、前記アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-30-アルキル、O-C
1-30-アルキル又はフェニルで置換され得て、ここで、フェニルは、C
1-20-アルキル又はO-C
1-20-アルキルで置換され得る;
【化58】
【化59】
前記式(8)及び式(9)において、
R
31は、各出現において、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル又はC
2-30-アルキニルであり、前記C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル及びC
2-30-アルキニルは、1つ以上の-Si(R
d)
3又はOSi(R
d)
3で置換され得るか、又はC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル及びC
2-30-アルキニルの1つ以上のCH
2基が-Si(R
d)
2-又は[Si(R
d)
2-O]
a-Si(R
d)
2-で代替され得て、
前記R
dは、各出現において、C
1-10-アルキルであり、aは、1~20の整数であり、
R
32は、H、CN、C
1-20-アルキル、C
2-20-アルケニル、C
2-20-アルキニル、O-C
1-20-アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、C
1-20-アルキル、C
2-20-アルケニル、C
2-20-アルキニル、O-C
1-20-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-6-アルキル、O-C
1-6-アルキル又はフェニルで置換され得て、
x及びyは、互いに独立して、0又は1であり、
Ar
5及びAr
6は、互いに独立して、アリーレン又はヘテロアリーレンであり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
L
3及びL
4は、互いに独立して、
【化60】
【化61】
からなる群より選択され、
Ar
7は、各出現において、アリーレン又はヘテロアリーレンであり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、隣接したAr
7は、CR
eR
e、SiR
eR
e又はGeR
eR
eリンカーを介して連結され得て、前記R
eは、各出現において、H、C
1-30-アルキル又はアリールであり、ここで、C
1-30-アルキル及びアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
qは、各出現において、1~8の整数であり、
Ar
8は、各出現において、アリール又はヘテロアリールであり、前記アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-30-アルキル、O-C
1-30-アルキル又はフェニルで置換され得て、フェニルは、C
1-20-アルキル又はO-C
1-20-アルキルで置換され得る。
【0124】
線形C6-14-アルキルの一例は、n-ヘキシル(n-hexyl)、n-ヘプチル(n-heptyl)、n-オクチル(n-octyl)、n-ノニル(n-nonyl)、n-デシル(n-decyl)、n-ウンデシル(n-undecyl)、n-ドデシル(n-dodecyl)、n-ウンデシル(n-undecyl)、n-ドデシル(n-dodecyl)、n-トリデシル(n-tridecyl)及びn-テトラデシル(n-tetradecyl)である。
【0125】
線形C2-12-アルキルの一例は、エチル(ethyl)、n-プロピル(n-propyl)、イソプロピル(isopropyl)、n-ブチル(n-butyl)、n-ペンチル(n-pentyl)、n-ヘキシル(n-hexyl)、n-ヘプチル(n-heptyl)、n-オクチル(n-octyl)、n-ノニル(n-nonyl)、n-デシル(n-decyl)、n-ウンデシル(n-undecyl)及びn-ドデシル(n-dodecyl)である。
【0126】
C2-30-アルケニルは、分岐状又は非分岐状であり得る。C2-30-アルケニルの一例は、ビニル(vinyl)、プロぺニル(propenyl)、シス-2-ブテニル(cis-2-butenyl)、トランス-2-ブテニル(trans-2-butenyl)、3-ブテニル(3-butenyl)、シス-2-ペンテニル(cis-2-pentenyl)、トランス-2-ペンテニル(trans-2-pentenyl)、シス-3-ペンテニル(cis-3-pentenyl)、トランス-3-ペンテニル(trans-3-pentenyl)、4-ペンテニル(4-pentenyl)、2-メチル-3-ブテニル(2-methyl-3-butenyl)、ヘキセニル(hexenyl)、ヘブテニル(heptenyl)、オクテニル(octenyl)、ノネニル(nonenyl)、ドセニル(docenyl)、リノレイル(linoleyl(C18)、リノレニル(linolenyl)(C18)、オレイル(oleyl)(C18)、及びアラチドニル(arachidonyl)(C20)、及びエルシル(erucyl)(C22)である。
【0127】
C2-30-アルキニルは、分岐状又は非分岐状であり得る。C2-30-アルキニルの一例は、エチニル(ethynyl)、2-プロピニル(2-propynyl)、2-ブチニル(2-butynyl)、3-ブチニル(3-butynyl)、ペンチニル(pentynyl)、ヘキシニル(hexynyl)、ヘブチニル(heptynyl)、オクチニル(octynyl)、ノニニル(nonynyl)、テシニル(decynyl)、ウンデシニル(undecynyl)、トデシニル(dodecynyl)、ウンデシニル(undecynyl)、トデシニル(dodecynyl)、トリデシニル(tridecynyl)、テトラデシニル(tetradecynyl)、ペンタデシニル(pentadecynyl)、ヘキサデシニル(hexadecynyl)、ヘプタデシニル(heptadecynyl)、オクタデシニル(octadecynyl)、ノナデシニル(nonadecynyl)及びイコシニル(icosynyl)(C20)である。
【0128】
アリーレンは、1つの芳香族環又は2~8個の縮合芳香族環からなる2価芳香族環系であり、ここで、全ての環は、炭素原子から形成される。好ましくは、アリーレンは、1つの芳香族環又は2~4個の縮合芳香族環からなる2価芳香族環系であり、ここで、全ての環は、炭素原子から形成される。
【0129】
【0130】
ヘテロアリーレンは、1つの芳香族環又は2~8個の縮合芳香族環からなる2価芳香族環系であり、ここで、1つ以上の芳香族環は、S、O、N及びSeからなる群より選択された1つ以上のヘテロ原子を含む。好ましくは、ヘテロアリーレンは、1つの芳香族環又は2~4個の縮合芳香族環からなる2価芳香族環系であり、ここで、1つ以上の芳香族環は、S、O、N及びSeからなる群より選択された1つ以上のヘテロ原子を含む。
【0131】
ヘテロアリーレンの一例は、
【化64】
【化65】
である。
【0132】
前記Rkは、H、C1-20-アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、C1-20-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC1-6-アルキル、O-C1-6-アルキル又はフェニルで置換され得る。
【0133】
隣接するAr
3は、CR
cR
c、SiR
cR
c又はGeR
cR
cリンカーを介して連結され、R
cは、各出現において、H、C
1-30-アルキル又はアリールであり、ここで、C
1-30-アルキル及びアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、bは、各出現において、1~8の整数である。隣接するAr
3の一例は、
【化66】
である。
【0134】
隣接するAr
7は、CR
eR
e、SiR
eR
e又はGeR
eR
eリンカーを介して連結され、R
eは、各出現において、H、C
1-30-アルキル又はアリールであり、ここで、C
1-30-アルキル及びアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、cは、各出現において、1~8の整数である。隣接するAr
7の一例は、
【化67】
である。
【0135】
アリールは、1つの芳香族環又は2~8個の縮合芳香族環からなる1価芳香族環系であり、ここで、全ての環は、炭素原子から形成される。好ましくは、アリールは、1つの芳香族環又は2~4個の縮合芳香族環からなる1価芳香族環系であり、ここで、全ての環は、炭素原子から形成される。
【0136】
アリールの一例は、
【化68】
【化69】
である。
【0137】
ヘテロアリールは、1つの芳香族環又は2~8個の縮合芳香族環からなる1価芳香族環系であり、ここで、1つ以上の芳香族環は、S、O、N及びSeからなる群より選択された1つ以上のヘテロ原子を含む。好ましくは、ヘテロアリールは、1つの芳香族環又は2~4個の縮合芳香族環からなる1価芳香族環系であり、ここで、1つ以上の芳香族環は、S、O、N及びSeからなる群より選択された1つ以上のヘテロ原子を含む。
【0138】
ヘテロアリールの一例は、
【化70】
【化71】
【化72】
であり、
前記R
mは、H、C
1-20-アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、C
1-20-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-6-アルキル、O-C
1-6-アルキル又はフェニルで置換され得る。
【0139】
L
1、L
2、L
3及びL
4の一例は、
【化73】
【化74】
【化75】
【化76】
である。
【0140】
より好ましくは、ジケトピロロピロール系材料は、前記定義された通り、式(7)で表される単位を含むジケトピロロピロール系ポリマーである。
【0141】
式(7)で表される単位を含むジケトピロロピロール系ポリマーは、他の共役単位(conjugated unit)を含むことができる。式(7)で表される単位を含むジケトピロロピロール系ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。コポリマーは、ランダム又はブロックであり得る。
【0142】
好ましくは、ジケトピロロピロール系ポリマーは、ポリマーの重量を基準として式(7)で表される単位を、50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含む。最も好ましくは、ジケトピロロピロール系ポリマーは、本質的に式(7)で表される単位で構成される。本質的に式(7)で表される単位で構成されるジケトピロロピロール系ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。
【0143】
より好ましくは、ジケトピロロピロール系材料は、本質的に下記式(7)で表される単位で構成されるジケトピロロピロール系ポリマーである。
【化77】
【0144】
前記式(7)において、
R
30は、C
6-30-アルキルであり、
o及びmが共に0ではないという条件で、o及びmは、互いに独立して、0又は1であり、
Ar
1及びAr
2は、互いに独立して、
【化78】
であり、
L
1及びL
2は、互いに独立して、
【化79】
【化80】
からなる群より選択され、
Ar
3は、各出現において、アリーレン又はヘテロアリーレンであり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C
1-30-アルキル、C
2-30-アルケニル、C
2-30-アルキニル、O-C
1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、隣接するAr
3は、CR
cR
c、SiR
cR
c又はGeR
cR
cリンカーを介して連結され得て、前記R
cは、各出現において、H、C
1-30-アルキル又はアリールであり、ここで、C
1-30-アルキル及びアリールは、1つ以上のC
1-20-アルキル、O-C
1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
pは、各出現において、1~8の整数であり、
Ar
4は、各出現において、アリール又はヘテロアリールであり、前記アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC
1-30-アルキル、O-C
1-30-アルキル又はフェニルで置換され得て、ここで、フェニルは、C
1-20-アルキル又はO-C
1-20-アルキルで置換され得る。
【0145】
最も好ましくは、ジケトピロロピロール系材料は、本質的に下記式(7)で表される単位で構成されるジケトピロロピロール系ポリマーである。
【化81】
【0146】
前記式(7)において、
R
30は、
【化82】
であり、
R
fは、線形C
6-14-アルキルであり、
R
gは、線形C
2-12-アルキルであり、
o及びmが共に0ではないという条件で、o及びmは、互いに独立して、0又は1であり、
Ar
1及びAr
2は、
【化83】
であり、
L
1及びL
2は、互いに独立して、
【化84】
からなる群より選択され、
R
h及びR
iは、互いに独立して、C
6-30-アルキルであり、
r及びsは、互いに独立して、0又は1である。
【0147】
特に、ジケトピロロピロール系材料は、本質的に下記式(7a)で表される単位及び下記式(7b)で表される単位で構成されるジケトピロロピロール系ポリマーである。
【化85】
【0148】
有機半導電性材料を含む組成物は、溶媒をさらに含むことができる。溶媒は、いずれかの適した溶媒又は溶媒の混合物であり得る。好ましくは、溶媒は、非極性非プロトン性溶媒(nonpolar aprotic solvent)又は非極性非プロトン性溶媒の混合物である。非極性非プロトン性溶媒の一例は、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)及びメシチレン(mesitylene)である。
【0149】
好ましくは、有機半導電性材料を含む組成物は、溶媒をさらに含み、組成物の重量を基準として、0.01~10重量%の有機半導電性材料を含む。さらに好ましくは、有機半導電性材料を含む組成物は、溶液であり、組成物を基準として、0.1~5重量%の有機半導電性材料を含む。
【0150】
トップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタのための基板は、ガラス等のいずれかの適切な基板、又はポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスルホン(polysulfone)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチック基板であり得る。
【0151】
ソース及びドレイン電極は、スパッタリング(sputtering)等のいずれかの適切な技術によって基板に塗工され得て、一例として、リソグラフィ(lithography)によりパターニングされ得る。ソース及びドレイン電極は、いずれかの適切な材料で製造され得る。適切な材料の一例は、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)又は銅(Cu)、及びこれらの金属のうち1つ以上を含む合金である。ソース及びドレイン電極は、1~100nmの厚さ、好ましくは20~70nmの厚さを有することができる。
【0152】
ソース及びドレイン電極間の距離である有機電界効果トランジスタのチャネル長(L)は、代表的には5~100μmの範囲である。
【0153】
有機半導電性材料を含む組成物は、当該技術分野で公知のいずれかの適切な技術によって、ソース/ドレイン電極の上部に塗工され得る。好ましくは、有機半導電層を含む組成物は、スピンコート(spin coating)、ブレード(blading)、スロットダイコート(slot-die coating)、ドロップコート(drop-coating)、スプレーコート(spray-coating)、インクジェット(ink-jetting)又は組成物への電子デバイスの基板の浸漬(soaking)等の液体処理技術によって塗工される。好ましくは、有機半導電層を含む組成物は、スピンコートによって塗工される。
【0154】
半導電層は、40~120℃の温度、好ましくは70~100℃の温度で熱処理され得る。
【0155】
半導電層は、5~500nm、好ましくは10~100nmの厚さを有することができる。
【0156】
第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を含む組成物は、当該技術分野で公知のいずれかの適切な技術によって、半導電層の上部に塗工され得る。好ましくは、第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を含む組成物は、スピンコート、ブレード、スロットダイコート、インクジェット又は組成物への電子デバイスの基板の浸漬等の液体処理技術によって塗工される。好ましくは、第1誘電性材料及び2つのアジド基を有する架橋剤を含む組成物は、スピンコートによって塗工される。
【0157】
第1誘電層は、40~120℃の温度、好ましくは70~100℃の温度で熱処理され得る。
【0158】
第1誘電層は、10~2000nm、好ましくは50~1000nm、さらに好ましくは100~500nmの厚さを有することができる。
【0159】
第1誘電層の一部は、マスク(mask)を用いた光処理(light treatment)により硬化され得る。
【0160】
光処理は、好ましくは5~300mJ/cm2、さらに好ましくは20~150mJ/cm2、最も好ましくは50~100mJ/cm2の低線量(low dosage)で行われる。好ましくは、光処理は、大気条件下(under ambient conditions)で行われる。大気条件は、一般的な空気、湿度及び温度条件を示す。好ましくは、光処理は、UV光処理であり、さらに好ましくは、365nmの波長でのUV光処理である。
【0161】
第1誘電層の未硬化部分は、例えばプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)等の適切な溶媒で処理することによって除去され得て、これは、ウェットエッチング(wet-etching)とも言われる。
【0162】
溶媒処理後、トップゲート有機電界効果トランジスタの前駆体は、窒素でブローイング(blowing)し、例えば70~100℃の範囲の高温で加熱することにより、乾燥され得る。
【0163】
硬化した第1誘電層によってカバーされていない半導電層部分は、例えば、酸素プラズマ処理(oxygen plasma treatment)(100sccm、40W、2分間)を行ってエッチングすることにより、除去され得る。
【0164】
有機電界効果トランジスタのチャネル長(L)は、代表的には3~2000μmの範囲であり、好ましくは3~20μmの範囲である。
【0165】
有機電界効果トランジスタの幅(W)/長さ(L)の比は、通常、3/1~10/1である。
【0166】
任意に、第2誘電性材料を含む組成物を第1誘電層の上部に塗工し、第2誘電層を形成させることができる。第2誘電層を含む組成物は、当該技術分野で公知の技術によって塗工され得る。好ましくは、第2誘電性材料を含む組成物は、スピンコート、ブレード、スロットダイコート、スプレーコート、インクジェット又は組成物への電子デバイスの基板の浸漬等の液体処理技術によって塗工される。好ましくは、第2誘電性材料を含む組成物は、スピンコートによって塗工される。
【0167】
第2誘電層は、40~120℃の温度、好ましくは70~100℃の温度で熱処理され得る。
【0168】
第2誘電層は、10~2000nm、好ましくは50~1000nm、さらに好ましくは100~500nmの厚さを有することができる。
【0169】
第2誘電性材料は、当該技術分野で公知のいずれかの誘電性材料又はこれらの混合物であり得る。誘電性材料は、ポリスチレン(PS)及びポリスチレン由来ポリマー、ポリ(メチルメタアクリレート)(PMMA)、ポリ(4-ビニルフェノール)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ベンゾシクロブテン(BCB)又はポリイミド(PI)、もしくは先に定義した星型ポリマーであり得る。好ましくは、第2誘電性材料は、ポリスチレン、ポリスチレン由来ポリマー又は先に定義した星型ポリマーである。さらに好ましくは、第2誘電性材料は、先に定義した星型ポリマーである。第2誘電性材料が先に定義した星型ポリマーである場合、第2誘電性材料を含む組成物はまた、少なくとも2つのアジド基を有する第2架橋剤及び溶媒をさらに含むことが好ましい。第1誘電性材料を含む組成物中の少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤及び溶媒に対して前述した定義は、第2誘電性材料を含む組成物中の少なくとも2つのアジド基を有する第2架橋剤及び溶媒にも適用される。
【0170】
第2誘電層が第2誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基を有する第2架橋剤を含む組成物から形成される場合、第2誘電層もまた、光処理により硬化され得る。
【0171】
第2誘電層の光処理は、好ましくは5~300mJ/cm2、さらに好ましくは20~150mJ/cm2、最も好ましくは50~100mJ/cm2の低線量で行われる。好ましくは、光処理は、大気条件下で行われる。大気条件は、一般的な空気、湿度及び温度条件を示す。好ましくは、光処理は、UV光処理であり、さらに好ましくは、365nmの波長でのUV光処理である。
【0172】
ゲート電極は、第1誘電層の上部又は第2誘電層の上部に塗工され得て、塗工は、例えばマスクを使った蒸着(evaporation using a mask)によって行われ得る。ゲート電極は、高濃度でドーピングされたシリコン、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、インジウム錫酸化物(indium tin oxide)又は金(Au)、もしくはこれらの金属のうち1つ以上を含む合金等のいずれかの適切なゲート材料で製造され得る。ゲート電極は、1~200nm、好ましくは5~100nmの厚さを有することができる。
【0173】
第2誘電層が第1誘電層の上部に形成される実施態様において、光処理によって第1誘電層の一部を硬化させる段階は、硬化した第1誘電層がソース及びドレイン電極の間の経路(path)をカバーし、また任意にソース及びドレイン電極を部分的に又は完全にカバーするように行われることが、好ましい。硬化した第1誘電層が、ソース及びドレイン電極の間の経路をカバーし、ソース及びドレイン電極を部分的にカバーすることが、さらに好ましい。硬化した第1誘電層はまた、半導電層をパターニングするための「レジスト」として機能するので、硬化した第1誘電層及び半導電層が、ソース及びドレイン電極の間の経路をカバーし、また任意にソース及びドレイン電極を部分的に又は完全にカバーすることがまた、好ましい。硬化した第1誘電層及び半導電層が、ソース及びドレイン電極の間の経路をカバーし、ソース及びドレイン電極を部分的にカバーすることが、さらに好ましい。この好ましい実施態様において、硬化した第1誘電層及び半導電層は、ソース及びドレイン電極を超える範囲には拡張しない。
【0174】
第2誘電層が硬化した第1誘電層の上部に形成される実施態様において、第2誘電性材料を含む組成物は、硬化した第1誘電層及び半導電層が第2誘電層に埋め込まれる(embed)ように、硬化した第1誘電層の上部に塗工されることが好ましい。
【0175】
また、本発明の一部は、基板上のトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタに関するものであり、該有機電界効果トランジスタは、ソース及びドレイン電極、半導電層、硬化した第1誘電層、第2誘電層並びにゲート電極を含んでおり、
i)硬化した第1誘電層及び半導電層は、ソース及びドレイン電極の間の経路をカバーし、任意にソース及びドレイン電極を部分的に又は完全にカバーしており、
ii)硬化した第1誘電層及び半導電層は、第2誘電層に埋め込まれている。
【0176】
好ましくは、基板上のトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタにおいて、硬化した第1誘電層は、
i)第1誘電層を形成するために、第1誘電性材料及び少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を含む組成物を塗工すること、及び
ii)硬化した第1誘電層を形成するために、光処理によって第1誘電層の一部を硬化させること
によって得られ、
前記第1誘電性材料は、少なくとも1つのポリマーブロックA及び少なくとも2つのポリマーブロックBで構成された星型ポリマーを含み、
前記それぞれのポリマーブロックBは、ポリマーブロックAに付着されており、前記ポリマーブロックBの繰り返し単位の60mol%以上は、
【化86】
【化87】
からなる群より選択され、
前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、互いに独立して、また各出現において、H又はC
1-10-アルキルである。
【0177】
さらに好ましくは、基板上のトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタにおいて、硬化した第1誘電層及び半導電層は、ソース及びドレイン電極の間の経路をカバーし、ソース及びドレイン電極を部分的にカバーする。
【0178】
本発明の、基板上にトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタを製造する方法は、大気条件下で、低線量UV光処理(5~300mJ/m2)によって高い膜保持率(film retention)を有する硬化した第1誘電層を製造できる利点がある。大気条件は、大気空気、湿度及び温度条件を示す。このように、第1誘電層は低線量UV照射で硬化されるので、不活性ガス雰囲気を必要としない。
【0179】
硬化した第1誘電層の膜保持率は、d2/d1の比を指す。ここで、d1は、洗浄(現像)前の硬化した誘電層の厚さであり、d2は、洗浄(現像)後の硬化した誘電層の厚さである。
【0180】
硬化した第1誘電層は、溶媒溶解(solvent dissolution)に対して非常に安定している。したがって、硬化した第1誘電層を溶解させることなく、次の層、例えば電極材料層(electrode material layer)又は他の誘電層を塗工することができる。
【0181】
少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を用いることによって、365nmの波長でのUV光処理が採用され得る。
【実施例】
【0182】
<実施例1>
トリブロックポリマーである星型ポリマーの製造
[スチレン:ブタジエン(質量比)が90:10である、1つのスチレン系内部ブロック(styrene-based inner block)及び2つのブタジエン系外部ブロック(butadiene-based outer block)を有しており、ポリブタジエンブロックにおけるブタジエンの総量を基準として、ポリブタジエンブロックにおけるブタジエンの1,2-付加量が73%である]
クロスバー撹拌機が装着された10L容のステンレススチール反応器で、4872mL(3800g)のシクロヘキサン、256mL(200g)のTHF及び1gの1,1-ジフェニルエチレン(DPE)を30℃に加熱し、安定した橙赤色が残存するまでs-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)で滴定した(ca.1.8mL)。その後、7.14mLのs-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)を反応混合物に添加し、直ちに、76mL(50g)のブタジエンを撹拌しながら添加した。反応器ジャケット温度によって温度を60℃に維持し、20分後、990mL(900g)のスチレンをゆっくりと添加し、ジャケットカウンター冷却によって温度を50℃に維持した。25分後、76mL(50g)のブタジエンをさらに添加した。20分後、1.15mLのイソプロパノールを添加し、さらに10分間撹拌した。無色の溶液を2個の5L容のキャニスタに移し、酸性化のために、25mLの水及び50gのドライアイスと共に揺すった。
【0183】
(後処理(Workup))
酸性化した混合物(固形分20%)をエタノール(0.1%のケロビット(Kerobit)TBKを含み、ポリマーに対して10倍体積)に沈殿させ、ブフナー漏斗で、5Lのエタノールで3回、1Lの蒸溜水で3回洗浄した。最後に、白色パウダーを、2.5Lのエタノールで2回、250mLのエタノールで4回洗浄し、最終的に真空下で、50℃の温度で24時間に亘って乾燥させた。得られた白色パウダーであるトリブロックポリマーP1は、次のような特徴を有する。
・Mn:220000g/mol
・Mw:330000g/mol
(いずれも、ポリスチレン標準ゲル浸透クロマトグラフィーにて測定)
・PDI:1.5
・ポリブタジエンブロックにおけるブタジエンの総量を基準とした、ポリブタジエンブロックにおけるブタジエンの1,2-付加量:73%
(1H-NMRで測定)
【0184】
<実施例2>
組成物A及びBの製造
組成物Aは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びシクロペンタノン(CP)(70/30)の混合物における、実施例1で製造されたP1(8重量%、第1誘電性材料)と2,7-ビス[2-(4-アジド-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)エチニル]-9-ヘプチル-9-ヘキシル-フルオレン(P1の重量を基準として4重量%、少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤)との溶液である。P1、架橋剤及び溶媒を混合して組成物Aを製造した。
【0185】
組成物Bは、トルエンにおける、WO2010/049321に記載の実施例4のジケトピロロピロールポリマー(0.75重量%、有機半導電性材料)の溶液である。組成物Bは、0.45マイクロメータのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を通して濾過した。
【0186】
<実施例3>
組成物A及び組成物Bを用いたトップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタの製造
ポリエチレンテレフタレート(PET)基板上に金をスパッタリングし、リソグラフィを用いてパターニングした。得られたソース及びドレイン電極の厚さは、約50nmであった。チャネル長は10μmであり、チャネル幅は250μmであった。実施例2で製造した組成物Bをスピンコート(1000rpm、30秒)によりソース及びドレイン電極上に塗工し、90℃のホットプレート上で1分間乾燥させて、厚さ50nmの半導電層を形成した。実施例2で製造した組成物Aをスピンコート(8000rpm、30秒)により半導電層上に塗工し、80℃のホットプレート上で2分間乾燥させて、厚さ180nmの第1誘電層を形成した。リソグラフィフォトマスクを第1誘電層の上部に整列させ、第1誘電層の露出した部分を、大気条件下で、365nmの光(照射線量:20mJ/cm2、Suss Mask aligner MA6)を用いて硬化させた。硬化した第1誘電層をプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)に1分間浸漬させて現像した後、窒素を吹き込み、90℃で15分間加熱した。硬化した第1誘電層によってカバーされていない半導電層部分を、酸素プラズマ処理(100sccm、40W、2分)によりエッチングした。実施例2で製造した組成物Aをスピンコート(1500rpm、30秒)により塗工して第2誘電フィルムを形成し、80℃のホットプレート上で2分間乾燥させて、厚さ500nmの第2誘電層を形成した。第2誘電層を、大気条件下で、365nmの光(照射線量:20mJ/cm2、Suss Mask aligner MA6)を用いて硬化させた。厚さ略50nmの金のゲート電極を、シャドーマスクを通して誘電層の上部に蒸着させた。
【0187】
トップゲート・ボトムコンタクト有機電界効果トランジスタの特性を、Keithley 4200-SCS半導体特性評価システムで測定した。
図4aに、-3V及び-30Vそれぞれのソース電圧V
dsでの、有機電界効果トランジスタのゲート電圧V
gsに対するドレイン電流I
dsの転移曲線を示す。
図4bに、0V、-10V、-20V及び-30Vのゲート電圧V
gsでの、有機電界効果トランジスタのドレイン電圧V
dsに対するドレイン電流I
dsの出力曲線を示す。
【0188】
表1に、有機電界効果トランジスタ(OFET)についての、電荷キャリア移動度μ、Ion/Ioff比(Vgs=-30V)、オンセット電圧(onset voltage)Von及びゲート漏洩電流Ig[Vgs=-30V、Vds=-30Vにて]の平均値を示す。
【0189】
【0190】
実施例3のOFETは、非常に低いゲート漏洩電流Igを示す。
【0191】
<実施例4>
組成物Aから形成された層から形成された硬化した第1誘電層の保持に対する、放射線の影響の評価
実施例2で製造した組成物Aを、1マイクロメータフィルターを通して濾過し、スピンコート(1800rpm、30秒)により二酸化ケイ素基板上に塗工した。湿式誘電層(wet dielectric layer)を、90℃のホットプレート上で2分間予備焼成して、厚さ400nmの層を得た。誘電層は、大気条件下で、365nmの光(線量:20mJ/cm2)を用いてUV硬化させた。
【0192】
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びシクロペンタノン(CP)(70/30)の混合物に、誘電層を1分間浸漬させて現像した後、90℃で5分間加熱した。硬化後の誘電層について、Veeco Dektak 150を用いて、現像前の厚さ(d1)及び現像後の厚さ(d2)を測定し、膜保持率(d2/d1)を得た。膜保持率(d2/d1)を決定し、その結果を表2に示す。
【0193】
【0194】
組成物Aから形成された硬化した誘電層は、高い膜保持率を示す。