(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 61/00 20220101AFI20220328BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20220328BHJP
H04W 76/11 20180101ALI20220328BHJP
【FI】
H04L61/00
H04W64/00
H04W76/11
(21)【出願番号】P 2021078471
(22)【出願日】2021-05-06
【審査請求日】2021-05-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515310397
【氏名又は名称】GMOアドマーケティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】渡部 謙太郎
(72)【発明者】
【氏名】星野 正樹
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-178644(JP,A)
【文献】特開2014-143563(JP,A)
【文献】特開2019-186694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 61/00
H04W 64/00
H04W 76/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイント装置に割り当てられたIPアドレスと、ユーザ端末を所持して該アクセスポイント装置のアクセス圏内に移動した上で該アクセスポイント装置に該ユーザ端末を介してアクセスしたユーザを識別するためのユーザ識別情報と、を含む複数のアクセスログを取得する取得部と、
前記複数のアクセスログから、位置情報が未知である第1IPアドレスを含む第1アクセスログを抽出する第1抽出部と、
前記複数のアクセスログから、位置情報が既知である第2IPアドレスと、前記第1アクセスログに含まれるユーザ識別情報と同一のユーザ識別情報と、を含む第2アクセスログを抽出する第2抽出部と、
抽出された前記第2アクセスログに含まれる前記第2IPアドレスの位置情報
のそれぞれに、抽出された前記第2アクセスログのうち該位置情報が含まれる前記第2アクセスログの割合を乗じた値の合計値を、前記第1アクセスログに含まれる前記第1IPアドレスの位置情報
の推定
値として算出する推定部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記複数のアクセスログは、ユーザがアクセスポイント装置にユーザ端末を介してアクセスした時刻に基づく情報である時刻情報を更に含み、
前記第2抽出部が抽出する前記第2アクセスログは、更に、前記第1アクセスログに含まれる時刻情報との差分が所定の閾値以内である時刻情報を含む、請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2抽出部が抽出する前記第2アクセスログは、更に、前記第1アクセスログに含まれるユーザ識別情報と同一のユーザ識別情報を含むアクセスログのうち、前記第1アクセスログに含まれる時刻情報に対して直前又は直後の時刻情報を含むアクセスログである、請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記第1アクセスログに含まれる前記第1IPアドレスの位置情報の推定値を、前記第1アクセスログに含める、請求項1から
3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータが、
アクセスポイント装置に割り当てられたIPアドレスと、ユーザ端末を所持して該アクセスポイント装置のアクセス圏内に移動した上で該アクセスポイント装置に該ユーザ端末を介してアクセスしたユーザを識別するためのユーザ識別情報と、を含む複数のアクセスログを取得するステップと、
前記複数のアクセスログから、位置情報が未知である第1IPアドレスを含む第1アクセスログを抽出するステップと、
前記複数のアクセスログから、位置情報が既知である第2IPアドレスと、前記第1アクセスログに含まれるユーザ識別情報と同一のユーザ識別情報と、を含む第2アクセスログを抽出するステップと、
抽出された前記第2アクセスログに含まれる前記第2IPアドレスの位置情報
のそれぞれに、抽出された前記第2アクセスログのうち該位置情報が含まれる前記第2アクセスログの割合を乗じた値の合計値を、前記第1アクセスログに含まれる前記第1IPアドレスの位置情報
の推定
値として算出するステップと、を実行する、情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
アクセスポイント装置に割り当てられたIPアドレスと、ユーザ端末を所持して該アクセスポイント装置のアクセス圏内に移動した上で該アクセスポイント装置に該ユーザ端末を介してアクセスしたユーザを識別するためのユーザ識別情報と、を含む複数のアクセスログを取得する取得部と、
前記複数のアクセスログから、位置情報が未知である第1IPアドレスを含む第1アクセスログを抽出する第1抽出部と、
前記複数のアクセスログから、位置情報が既知である第2IPアドレスと、前記第1アクセスログに含まれるユーザ識別情報と同一のユーザ識別情報と、を含む第2アクセスログを抽出する第2抽出部と、
抽出された前記第2アクセスログに含まれる前記第2IPアドレスの位置情報
のそれぞれに、抽出された前記第2アクセスログのうち該位置情報が含まれる前記第2アクセスログの割合を乗じた値の合計値を、前記第1アクセスログに含まれる前記第1IPアドレスの位置情報
の推定
値として算出する推定部と、として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、屋内外を問わず様々な施設においてアクセスポイント装置が設置されている。アクセスポイント装置は、スマートフォン等の情報処理端末と無線通信を行い、当該情報処理端末に対してIP(Internet Protocol)通信による通信ネットワークへの接続を提供することが可能である。無線通信システムでは、アクセスポイント装置に対して、EMSサーバ等がIP(Internet Protocol)アドレスを割り当てる場合がある。例えば、特許文献1には、このようなアクセスポイント装置を管理する方法として、アクセスポイント装置の位置情報をデータベースで管理することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクセスポイント装置に割り当てられるIPアドレスに対応付けられる位置情報は、様々な利用が期待される。しかしながら、アクセスポイント装置へのIPアドレスの割り当てを管理している者以外にとっては、アクセスポイント装置から収集可能なデータが限定的な場合、IPアドレスの位置情報を把握することは困難となる。
【0005】
そこで、本発明は、位置情報が未知のIPアドレスの当該位置情報を推定することの可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、アクセスポイント装置に割り当てられたIPアドレスと、アクセスポイント装置にアクセスしたユーザを識別するためのユーザ識別情報と、を含む複数のアクセスログを取得する取得部と、複数のアクセスログから、位置情報が未知である第1IPアドレスを含む第1アクセスログを抽出する第1抽出部と、複数のアクセスログから、位置情報が既知である第2IPアドレスと、第1アクセスログに含まれるユーザ識別情報と同一のユーザ識別情報と、を含む第2アクセスログを抽出する第2抽出部と、第2アクセスログに含まれる第2IPアドレスの位置情報に基づいて、第1アクセスログに含まれる第1IPアドレスの位置情報を推定する推定部と、を備える。
【0007】
この態様によれば、位置情報が未知である第1IPアドレスを含む第1アクセスログと、位置情報が既知である第2IPアドレスを含む第2アクセスログとを含む複数のアクセスログから、第1アクセスログに含まれるユーザ識別情報と同一のユーザ識別情報を含む第2アクセスログが抽出された上で、第2アクセスログに含まれる第2IPアドレスの位置情報に基づいて、第1アクセスログに含まれる第1IPアドレスの位置情報が推定される。そのため、位置情報が未知のIPアドレスの位置情報を推定することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、位置情報が未知のIPアドレスの当該位置情報を推定することの可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る通信システム1の構成の一例を示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係る管理サーバ装置10の機能構成の一例を示す概略図である。
【
図3】IPアドレス管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】アクセスログテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る通信システム1による動作処理の一例を示す動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0011】
(1)概要
図1を参照して、本実施形態に係る通信システム1の概要を説明する。
図1は、本実施形態に係る通信システム1の構成の一例を示す概略図である。通信システム1は、例えば、管理サーバ装置10と、複数のアクセスポイント装置20と、少なくとも1つのユーザ端末30と、少なくとも1つのサービス提供サーバ装置40とを含む。本開示では、各アクセスポイント装置20を区別するために「20a」、「20b」などの符号をつける場合がある。また、通信システム1は、複数のユーザ端末30を含んでもよい。
【0012】
管理サーバ装置10、アクセスポイント装置20、及びサービス提供サーバ装置40は、互いに情報を送受信可能にインターネット等の通信ネットワークNに接続される。アクセスポイント装置20は、例えば、1つ又は複数のコンピュータによって構成され、Wi-Fi等の無線通信を所定のアクセス圏内に提供するアクセスポイントとして機能することができる。アクセスポイント装置20には、例えば、通信ネットワークNを介して、不図示のEMS(Element Management System)サーバ等からIP(Internet Protocol)アドレスが割り当てられる。
【0013】
ユーザ端末30は、ユーザが利用するスマートフォン、タブレット端末、PC等の情報処理端末である。サービス提供サーバ装置40は、各種の情報や便益を含む所定のサービスを、ユーザ端末30等を介して各ユーザに対して提供するためのサーバ装置である。通信システム1が含むサービス提供サーバ装置40の数は、1つに限らず、複数であってもよい。ユーザ端末30は、任意のアクセスポイント装置20が提供するアクセス圏内において、当該アクセスポイント装置20を介して通信ネットワークNに接続した上で、サービス提供サーバ装置40にアクセスすることができる。アクセスポイント装置20は、ユーザ端末30によるアクセスがあった場合、例えば、HTTP等のプロトコルに従って生成されるデータをユーザ端末30及びサービス提供サーバ装置40の間で中継する。これにより、サービス提供サーバ装置40から、通信ネットワークN及びアクセスポイント装置20を介して、ユーザ端末30に対して所定のサービスが提供される。更にユーザは、ユーザ端末30を所持しながら移動する。これにより、ユーザ端末30は、各アクセスポイント装置20のアクセス圏の内外を移動する。
【0014】
管理サーバ装置10は、アクセスポイント装置20に対して割り当てられるIPアドレスについて、位置情報等の各種の情報を管理するためのサーバ装置である。管理サーバ装置10は、サービス提供サーバ装置40からアクセスログを収集する。ここで、アクセスログは、例えば、位置情報を含まない第1アクセスログと、位置情報を含む第2アクセスログとを含む。換言すれば、第1アクセスログは、位置情報が未知であるIPアドレス(第1IPアドレス)を含み、第2アクセスログは、位置情報が既知であるIPアドレス(第2IPアドレス)を含む。管理サーバ装置10は、第1アクセスログに含まれるユーザIDと同一のユーザIDを少なくとも含む第2アクセスログを抽出した上で、第2アクセスログに含まれる第2IPアドレスの位置情報に基づいて、第1アクセスログに含まれる第1IPアドレスの位置情報を推定する。具体的には、例えば、第2IPアドレスの位置情報の平均値が、第1IPアドレスの位置情報の推定値として算出される。なお、抽出される第2IPアドレスは、第1IPアドレスの時刻情報との差分が所定の閾値以内である時刻情報を含む、という条件が更に課されてもよい。このように、本実施形態に係る通信システム1では、管理サーバ装置10は、位置情報が未知のIPアドレスの当該位置情報を推定することが可能となる。
【0015】
(2)管理サーバ装置10の構成
図2は、本実施形態に係る管理サーバ装置10の機能構成の一例を示す概略図である。管理サーバ装置10は、情報処理装置の一例であって、例えば、1つ又は複数のコンピュータにより構成され、通信部11と、操作部12と、出力部13と、記憶部14と、処理部15とを有する。
【0016】
通信部11は、通信インターフェース回路を備え、管理サーバ装置10を通信ネットワークNに接続する。通信部11は、処理部15から供給されたデータを、通信ネットワークNを介してアクセスポイント20、ユーザ端末30、及びサービス提供サーバ装置40等に送信する。また、通信部11は、各アクセスポイント20、ユーザ端末30、及びサービス提供サーバ装置40等から通信ネットワークNを介して受信したデータを処理部15に供給する。
【0017】
操作部12は、管理サーバ装置10の操作が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネルやキーボタン等である。管理サーバ装置10の管理者は、操作部12を用いて、文字や数字、記号等を入力することができる。操作部12は、管理者により操作されると、その操作に対応する信号を発生する。そして、発生した信号は、管理者の指示として、処理部15に供給される。
【0018】
出力部13は、例えば、表示部や音声出力部を備える。表示部は、映像や画像等の表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等である。表示部は、処理部15から供給された映像データに応じた映像や、画像データに応じた画像等を表示する。また、音声出力部は、例えば、スピーカとして構成され、処理部15から供給された音声データに基づいて音声を出力する。
【0019】
記憶部14は、例えば、半導体メモリ装置、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置等により構成される。記憶部14は、処理部15での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部14は、ドライバプログラムとして、操作部12を制御する入力デバイスドライバプログラム、出力部13を制御する出力デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、記憶部14は、アプリケーションプログラムとして、管理サーバ装置10を管理するためのプログラム等を記憶する。各種プログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部14にインストールされてもよい。また、記憶部14は、IPアドレス管理テーブル、及びアクセスログ等を記憶してもよい。
【0020】
<IPアドレス管理テーブル>
図3は、IPアドレス管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。IPアドレス管理テーブルは、IPアドレスの各種情報を管理するためのテーブルである。
図3に示すように、IPアドレス管理テーブルは、例えば、「IPアドレス」と、「位置情報に関する情報」と、「その他」とを含む。
【0021】
「IPアドレス」には、例えば、不図示のEMSサーバ等により各アクセスポイント装置20に割り当てられたIPアドレスが登録される。
【0022】
「位置情報に関する情報」には、例えば、IPアドレスの位置情報や、当該位置情報に関するカテゴリが登録される。IPアドレスの位置情報は、アクセスログに基づいて推定される当該IPアドレスの位置情報である。カテゴリやその分類基準は、管理者が任意に設定してよい。表1に、カテゴリ及び分類基準の一例を示す。
【0023】
【0024】
表1に示す例では、IPアドレスのカテゴリとして、「第1カテゴリ」、「第2カテゴリ」、及び「第3カテゴリ」が含まれる。また、表1に示す例では、分類基準として、「日毎の位置情報平均値のズレ」が含まれる。「日毎の位置情報平均値のズレ」は、後述するアクセスログ収集部151により収集されたアクセスログについての、日毎の位置情報平均値のズレの範囲を示す。ここで、位置情報平均値とは、アクセスログに含まれる位置情報を、アクセスログの数で重み付けをした平均値である。「日毎の位置情報平均値のズレ」には、任意の2つの日にちについての位置情報平均値の差分の最大値が登録される。なお、分類基準は、上述したものに限らず、他の1つ又は複数の条件であってもよい。
【0025】
「その他」には、IPアドレスに関する任意の情報が登録される。当該任意の情報は、例えば、IPアドレスが割り当てられたアクセスポイント装置20のMACアドレスやBSSID等を含んでもよい。なお、
図3に示したIPアドレス管理テーブルのデータ構造は一例であり、例えばアクセスポイント装置20に任意のアドレス(物理アドレスか論理アドレスかは問わない)等の他のデータがIPアドレス管理テーブルに含まれてもよい。
【0026】
<アクセスログテーブル>
図4は、アクセスログテーブルのデータ構造の一例を示す図である。各レコードは、アクセスポイント装置20に対するユーザ端末30によるアクセスに関する1つのアクセスログに対応している。当該アクセスログは、例えば、各サービス提供サーバ装置40が生成し記憶しているものを、アクセスログ収集部151により収集された上でアクセスログテーブルに記録される。
図4に示すように、アクセスログテーブルは、例えば、「アクセス開始時刻」と、「アクセス終了時刻」と、「ユーザID」と、「BSSID」と、「IPアドレス」と、「位置情報」とを含む。なお、
図4に示す「ログNo.」は、説明の便宜上設けたアクセスログを特定するための列であり、例えば「ログNo.」が「1」のアクセスログを「アクセスログ1」などと称する場合がある。
【0027】
「アクセス開始時刻」は、時刻情報の一例であって、管理サーバ装置10、アクセスポイント装置20、及びサービス提供サーバ装置40等に対するアクセスが開始された時刻(日付を含んでもよい)を示す情報である。また、「アクセス終了時刻」は、時刻情報の他の一例であって、管理サーバ装置10、アクセスポイント装置20、及びサービス提供サーバ装置40等に対するアクセスが終了した時刻(日付を含んでもよい)を示す情報である。
【0028】
「ユーザID」は、アクセスポイント装置20にアクセスすることによりサービス提供サーバ装置40にアクセスしたユーザ端末30を利用するユーザの識別情報である。ユーザIDは、管理サーバ装置10が取得可能なものであれば特に限定されないが、例えば、サービス提供サーバ装置40が提供する任意のサービスにおいて設定されるユーザIDであってもよい。
【0029】
「BSSID」は、アクセスの対象となったアクセスポイント装置20に割り当てられたBSSID(Basic Service Set Identifier)である。アクセスポイント装置20は、例えば、アクセスポイント装置20が予め記憶しているBSSIDをサービス提供サーバ装置40に送信する。
【0030】
「IPアドレス」は、アクセスの対象となったアクセスポイント装置20に割り当てられたIPアドレスである。アクセスポイント装置20は、例えば、予めEMSサーバ等から割り当てられたIPアドレスを予め記憶しており、当該IPアドレスをサービス提供サーバ装置40に送信する。
【0031】
「位置情報」は、アクセスの対象となったアクセスポイント装置20の位置情報である。位置情報の形式は、特に限定されないが、例えば経度及び緯度であってもよいし、建物名、地域名、住所等であってもよい。位置情報は、ユーザ端末30又はアクセスポイント装置20が有するGPS等の位置情報取得機能により取得される位置情報であってもよいし、アクセスポイント装置20が予め記憶した位置情報であってもよい。アクセスポイント装置20は、例えば、位置情報をサービス提供サーバ装置40に送信する。なお、サービス提供サーバ装置40及び管理サーバ装置10等は、位置情報をアクセスポイント装置20から取得できない場合等には、所定のテーブル等を参照して例えばBSSID等の情報に紐付けられた位置情報を、当該アクセスポイント装置20の位置情報として、アクセスログに含めてもよい。なお、「位置情報」には、例えばアクセスログに位置情報が含まれていない場合に、サービス提供サーバ装置40及び管理サーバ装置10等が、位置情報が不明であることを示す情報を登録してもよい。
図4に示す例では、IPアドレス「A003」に対応付けられた「位置情報」には、当該IPアドレスが不明であることを示す情報として「不明」が登録されている。なお、
図4に示したアクセスログテーブルのデータ構造は一例であり、他のデータがアクセスログテーブルに含まれてもよい。
【0032】
図2を再び参照する。処理部15は、1つ又は複数のプロセッサ及びその周辺回路を備える。処理部15は、管理サーバ装置10の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。処理部15は、管理サーバ装置10の各種処理が記憶部14に記憶されているプログラムや操作部12の操作等に基づいて適切な手順で実行されるように、通信部11や出力部13等の動作を制御する。処理部15は、記憶部14に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラムやドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部15は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0033】
処理部15は、例えば、アクセスログ収集部151と、IPアドレス分類部152と、第1抽出部153と、第2抽出部154と、位置情報推定部155とを含んでもよい。
【0034】
アクセスログ収集部151は、例えば、各サービス提供サーバ装置40からアクセスログを収集し、アクセスログテーブルを更新する。アクセスログ収集部151によるアクセスログの収集は、任意のタイミングで実行されてよく、例えば、所定周期(時間ごと、日ごと、週ごと等)のバッチ処理として実行されてもよいし、管理者等が操作部12を介してアクセスログの収集を実行するための操作を行ったことに応じて実行されてもよい。
【0035】
IPアドレス分類部152は、例えば、複数のアクセスログに含まれるIPアドレスを、予め設定されたカテゴリに分類する。例えば、IPアドレス分類部152は、上述した表1の分類基準に基づいて、収集されたアクセスログに含まれるIPアドレスを、表1のカテゴリに分類する。
【0036】
第1抽出部153は、例えば、複数のアクセスログから、位置情報が未知であるIPアドレス(第1IPアドレス)を含むアクセスログ(第1アクセスログ)を抽出する。抽出するアクセスログ(第1アクセスログ)の数は、1つ又は複数であってよい。
【0037】
第2抽出部154は、例えば、複数のアクセスログから、位置情報が既知であるIPアドレス(第2IPアドレス)を含み、第1アクセスログと所定の関係にあるアクセスログ(第2アクセスログ)を抽出する。抽出するアクセスログ(第2アクセスログ)の数は、1つ又は複数であってよい。第2アクセスログは、位置情報を含み、且ついずれかの第1アクセスログに対してユーザIDが共通する(当該第1アクセスログに含まれるユーザIDと同一のユーザIDを含む)アクセスログであってよい。第2アクセスログは、更に、時刻情報が当該第1アクセスログと所定の近さにある(当該第1アクセスログに含まれる時刻情報との差分が所定の閾値以内である時刻情報を含む)アクセスログであってよい。所定の閾値は、特に限定されないが、例えば、10分であってもよい。
【0038】
位置情報推定部155は、例えば、第2アクセスログに含まれる第2IPアドレスの位置情報に基づいて、第1アクセスログに含まれる第1IPアドレスの位置情報を推定する。位置情報推定部155は、例えば、第1IPアドレスの位置情報の推定値として、第2IPアドレスの位置情報の平均値を算出してもよい。ここで、第2IPアドレスの位置情報の平均値は、第2IPアドレスの位置情報のそれぞれに所定の重み係数を乗じた値の合計値であってもよい。所定の重み係数は、第2抽出部154に抽出された第2アクセスログの総数に対する、各位置情報が含まれる第2アクセスログの数の割合であってもよい。また、所定の重み係数は、第1アクセスログと第2アクセスログとのアクセス時刻の差分に基づいて補正してもよい。アクセス時刻がアクセス開始時刻及びアクセス終了時刻を含む場合、アクセス時刻の差分は、先のアクセスログのアクセス終了時刻から、後のアクセスログのアクセス開始時刻までの間隔であってよい。重み係数の値は、アクセス時刻の差分差分が短いほど、大きくなるように設定されてもよい。
【0039】
なお、処理部15は、広告配信サービスや、Wi-Fi等の無線通信への接続補助機能のサービス等を提供する機能を有していてもよい。
【0040】
(3)動作処理
図5は、本実施形態に係る通信システム1による動作処理の一例を示す動作フロー図である。
【0041】
(S101)まず、アクセスログ収集部151は、各サービス提供サーバ装置40からアクセスログを収集する。アクセスログは、例えば、アクセスポイント装置20に割り当てられたIPアドレスと、アクセスポイント装置20のBSSIDと、ユーザ端末30から取得されたユーザIDとを含む。更に、アクセスログは、位置情報を選択的に含む。アクセスログ収集部151によるアクセスログの収集は、任意のタイミングで実行されてよく、例えば、所定周期(時間ごと、日ごと、週ごと等)のバッチ処理として実行されてもよいし、管理者等が操作部12を介してアクセスログの収集を実行するための操作を行ったことに応じて実行されてもよい。アクセスログの収集には、集計期間(例えば、90日)を設けてもよく、アクセスログ収集部151は、「アクセス時刻」が集計期間に含まれるアクセスログのみを収集してもよい。なお、アクセスログ収集部151は、アクセスログに含まれない情報がある場合、BSSID等が共通する他のアクセスログに含まれる情報によって、当該含まれない情報を補完してもよい。例えば、IPアドレスが含まれないアクセスログがあった場合、BSSIDが共通する他のアクセスログのIPアドレスによって、当該アクセスログのIPアドレスを補完してもよい。また、例えば、位置情報が含まれないアクセスログがあった場合、BSSIDが共通する他のアクセスログの位置情報によって、当該アクセスログの位置情報を補完してもよい。
【0042】
(S102)次に、IPアドレス分類部152は、収集されたアクセスログに含まれるIPアドレスを、予め設定されたカテゴリに分類する。これは、同じIPアドレスであっても、ユーザ端末30によって測定される位置情報にズレが生じこともあり、また、例えば所定の地域内に含まれる複数のアクセスポイント装置20に付与されるIPアドレスもあるため、精度別にIPアドレスを予め設定されたカテゴリに分類し、後述する位置情報の推定時に、精度の高いIPアドレスの位置情報を優先的に利用できるようにするためである。具体的には、例えば、IPアドレス分類部152は、上述した表1の分類基準に基づいて、収集されたアクセスログに含まれるIPアドレスを、表1のカテゴリに分類する。IPアドレス分類部152は、分類結果を、記憶部14に記憶されたIPアドレス管理テーブルに記録する。なお、IPアドレス分類部152は、他の分類基準に基づいて、収集されたアクセスログに含まれるIPアドレスを、カテゴリに分類してもよい。また、このとき、位置情報が大きく外れているアクセスログについては、外れ値であるものとして、一定の割合を考慮しなくてもよい。以上の処理により、収集したアクセスログに含まれるIPアドレスのカテゴリを把握することが可能となり、IPアドレスのカテゴリに応じた情報の配信及び収集等が可能となる。
【0043】
(S103)次に、第1抽出部153は、収集されたアクセスログから、第1アクセスログとして、位置情報が未知であるIPアドレスを含むアクセスログを少なくとも1つ抽出する。なお、第1抽出部153は、抽出の対象となるアクセスログについて、所定の条件を設けてもよい。所定の条件は、例えば上述した「必須アクセス期間」に準じて規定してもよい。具体的には、例えば、直近の7日間に任意のユーザIDによって1度以上アクセスされたこと、且つ、直近の90日のうち3日以上において任意のユーザIDによって1度以上アクセスされたこと、という条件が設けられてもよい。
【0044】
例えば、
図4に示すアクセスログがアクセスログ収集部151により収集された場合、アクセスログ1、5、及び6のIPアドレス「A3」に対する位置情報はいずれも「不明」であるため、第1抽出部153は、これらアクセスログ1、5、及び6それぞれを第1アクセスログとして抽出する。
【0045】
(S104)次に、第2抽出部154は、抽出された第1アクセスログそれぞれについて、位置情報が既知であるアクセスログのうち、第1アクセスログに含まれるユーザIDと同一のユーザIDを含むアクセスログを、第2アクセスログとして抽出する。第2抽出部154が各第1アクセスログに対して抽出する第2アクセスログの数は、1つ又は複数であってもよい。更に、第2抽出部154は、第2アクセスログの条件として、第1アクセスログと第2アクセスログとのアクセス時刻の差分が、所定の閾値(例えば、10分)以内であることを加えてもよい。なお、第1アクセスログとのアクセス時刻の差分が所定の閾値以内であるアクセスログが複数ある場合、第1アクセスログのアクセス時刻に対して直前又は直後の時刻情報を含むアクセスログを第2アクセスログとしてもよい。
【0046】
例えば、
図4に示す例の場合、第1アクセスログであるアクセスログ1に対しては、位置情報が既知の「L4」であり且つユーザIDがアクセスログ1のユーザIDと同一の「U2」であるアクセスログ7が、第2アクセスログとなる。同様に、第1アクセスログであるアクセスログ5に対しては、アクセスログ2及び10それぞれが第2アクセスログとなり、第1アクセスログであるアクセスログ6に対しては、アクセスログ3が第2アクセスログとなる。
【0047】
(S105)次に、位置情報推定部155は、抽出された第2アクセスログに含まれるIPアドレス(第2IPアドレス)の位置情報に基づいて、抽出された第1アクセスログに含まれるIPアドレス(第1IPアドレス)の位置情報を推定する。第1IPアドレスの位置情報の推定値は、例えば、第2IPアドレスの位置情報の平均値であってもよい。ここで、第2IPアドレスの位置情報の平均値は、第2IPアドレスの位置情報のそれぞれに所定の重み係数を乗じた値の合計値であってもよい。所定の重み係数は、第2抽出部154に抽出された第2アクセスログの総数に対する、各位置情報が含まれる第2アクセスログの数の割合であってもよい。また、所定の重み係数は、第1アクセスログと第2アクセスログとのアクセス時刻の差分に基づいて補正してもよい。具体的には、当該差分が短いほど、重み係数の値を大きくしてもよい。
【0048】
以降は、位置情報が不明な他のIPアドレス毎に、ステップS103からS105までのループ処理を順次繰り返してもよい。この場合、位置情報推定部155は、ステップS105において算出した第1IPアドレスの位置情報の推定値を、アクセスログテーブルに登録してもよい。これにより、位置情報が未知であった当該第1IPアドレスを含む第1アクセスログは、次のループ処理以降では、位置情報が既知の第2IPアドレスを含む第2アクセスログとして扱われることとなる。
【0049】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。また、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、1ステップとして記載されているステップを、複数ステップに分けて実行してもよいし、複数ステップに分けて記載されているものを、1ステップとして把握することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1…通信システム、10…管理サーバ装置、11…通信部、12…操作部、13…出力部、14…記憶部、15…処理部、151…アクセスログ収集部、152…IPアドレス分類部、153…第1抽出部、154…第2抽出部、155…位置情報推定部、20…アクセスポイント装置、30…ユーザ端末、40…サービス提供サーバ装置
【要約】
【課題】位置情報が未知のIPアドレスの当該位置情報を推定する。
【解決手段】本発明の一態様に係る情報処理装置は、アクセスポイント装置に割り当てられたIPアドレスと、アクセスポイント装置にアクセスしたユーザを識別するためのユーザ識別情報と、を含む複数のアクセスログを取得する取得部と、複数のアクセスログから、位置情報が未知である第1IPアドレスを含む第1アクセスログを抽出する第1抽出部と、複数のアクセスログから、位置情報が既知である第2IPアドレスと、第1アクセスログに含まれるユーザ識別情報と同一のユーザ識別情報と、を含む第2アクセスログを抽出する第2抽出部と、第2アクセスログに含まれる第2IPアドレスの位置情報に基づいて、第1アクセスログに含まれる第1IPアドレスの位置情報を推定する推定部と、を備える。
【選択図】
図2