(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】車室内照明制御装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/80 20170101AFI20220328BHJP
H05B 47/125 20200101ALI20220328BHJP
B60Q 3/74 20170101ALI20220328BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20220328BHJP
【FI】
B60Q3/80
H05B47/125
B60Q3/74
H05B47/165
(21)【出願番号】P 2018090047
(22)【出願日】2018-05-08
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】勝山 佳洋
(72)【発明者】
【氏名】立見 亮介
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-096413(JP,A)
【文献】特開平04-129856(JP,A)
【文献】特開2005-186664(JP,A)
【文献】特開平04-126639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/80
H05B 45/00、47/00
B60Q 3/74
B60Q 3/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両において、運転者を除く搭乗者の睡眠状態の有無を判定する睡眠判定手段と、
自車両の車室内を照明する照明手段と、
自車両の状態を判定する車両状態判定手段と、
自車両の停車地点を検出する停車地点検出手段と、
前記車両状態判定手段によって自車両が停車中に対応する車両状態であると判定されたとき
であって、前記停車地点検出手段によって検出された停車地点が、運転者以外の搭乗者全員が降車の対象となる地点である場合に、前記照明手段による照明状態を点灯状態に設定し、前記車両状態判定手段によって自車両が停車中に対応する車両状態であると判定されたときであって、前記停車地点検出手段によって検出された停車地点が、運転者以外の搭乗者全員が降車の対象となる地点以外の場合に、前記睡眠判定手段によって判定された搭乗者の睡眠状態に応じて、前記照明手段による照明状態を設定する照明制御手段と、
を備えることを特徴とする車室内照明制御装置。
【請求項2】
搭乗者が大人/子供のいずれであるかを判定する搭乗者判定手段をさらに備え、
前記照明制御手段は、前記搭乗者判定手段による判定結果に応じて照明状態を設定することを特徴とする請求項1に記載の車室内照明制御装置。
【請求項3】
前記照明手段は、車室内の複数箇所に設置された複数の照明機器を有し、
前記照明制御手段は、前記複数の照明機器のそれぞれについて個別に照明状態を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の車室内照明制御装置。
【請求項4】
前記睡眠判定手段は、複数の搭乗者のそれぞれについて睡眠状態の有無を判定し、
前記照明制御手段は、複数の搭乗者のそれぞれの睡眠状態に応じて、前記複数の照明機器のそれぞれについて個別に照明状態を設定することを特徴とする請求項3に記載の車室内照明制御装置。
【請求項5】
前記車両状態判定手段は、自車両のドアの開閉状態を前記車両状態として判定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の車室内照明制御装置。
【請求項6】
前記車両状態判定手段は、自車両のイグニッションスイッチのオン/オフを前記車両状態として判定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の車室内照明制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に備わった照明機器の動作状態を制御する車室内照明制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、脈波センサと心電センサの出力に基づいて入眠制御ECUによって搭乗者の睡眠状態の有無を検出し、シート空調装置や照明などの車載装置を制御することにより、車両内部において搭乗者が快適に入眠できるようにした入眠装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、夜間走行時に自宅に車両が到着した際であって、乳幼児等が車内で寝ているときにはこの寝た状態を維持しながら自宅の寝室まで運びたい場合がある。ドアを開けたときに室内灯を点灯させてしまうとその明るさの変化に応じて目を覚ましてしまうことがあるため、室内灯を点灯させないようにするためには予め室内灯の手動スイッチを常時オフ状態にする必要がある。しかし、このように常時オフ状態にしておくと、乳幼児等を載せていない場合における夜間時の搭乗者の乗り降りがしづらいため、状況に応じて室内灯の手動スイッチをオン/オフすることが望ましいが、操作が煩雑になるという問題があった。
【0005】
これに対し、上述した特許文献1に開示された入眠装置では、睡眠状態に入った搭乗者がより快適に入眠できるようにするものであるため、上述したような自宅等に到着した際の室内灯の照明状態を制御するものではなく、手動スイッチのオン/オフ操作の煩雑さを改善することはできない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、停車時において室内灯の照明状態を搭乗者の睡眠状態に応じて可変設定する際の操作の煩雑さを低減することができる車室内照明制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の車室内照明制御装置は、自車両において、運転者を除く搭乗者の睡眠状態の有無を判定する睡眠判定手段と、自車両の車室内を照明する照明手段と、自車両の状態を判定する車両状態判定手段と、自車両の停車地点を検出する停車地点検出手段と、車両状態判定手段によって自車両が停車中に対応する車両状態であると判定されたときであって、停車地点検出手段によって検出された停車地点が、運転者以外の搭乗者全員が降車の対象となる地点である場合に、照明手段による照明状態を点灯状態に設定し、車両状態判定手段によって自車両が停車中に対応する車両状態であると判定されたときであって、停車地点検出手段によって検出された停車地点が、運転者以外の搭乗者全員が降車の対象となる地点以外の場合に、睡眠判定手段によって判定された搭乗者の睡眠状態に応じて、照明手段による照明状態を設定する照明制御手段とを備えている。
【0008】
自車両が停車した際に搭乗者の睡眠状態に応じて照明状態を自動的に設定することができるため、自車両の運転者や搭乗者自身が照明状態を手動設定する必要がなく、手動設定する場合に比べて操作の煩雑さを低減することが可能となる。また、停車地点が自宅等なのか、コンビニエンスストアなどの自宅等以外の施設なのかによって、搭乗者の睡眠状態を維持した方がよいか否かが変わってくることが考えられるため、検出した停車位置を考慮することにより、これらの状況に応じた適切な照明状態の設定が可能となる。
【0009】
また、搭乗者が大人/子供のいずれであるかを判定する搭乗者判定手段をさらに備え、照明制御手段は、搭乗者判定手段による判定結果に応じて照明状態を設定することが望ましい。これにより、搭乗者が睡眠状態にある子供の場合に照明を非点灯状態あるいは減光状態に制御することを、特別な操作を行うことなく実現することができる。
【0010】
また、上述した照明手段は、車室内の複数箇所に設置された複数の照明機器を有し、照明制御手段は、複数の照明機器のそれぞれについて個別に照明状態を設定することが望ましい。これにより、複数の照明機器のそれぞれの照明状態を自動的に設定することができ、個別に操作する場合に比べて操作の煩雑さを大幅に低減することが可能となる。
【0011】
また、上述した睡眠判定手段は、複数の搭乗者のそれぞれについて睡眠状態の有無を判定し、照明制御手段は、複数の搭乗者のそれぞれの睡眠状態に応じて、複数の照明機器のそれぞれについて個別に照明状態を設定することが望ましい。これにより、各搭乗者の睡眠状態に合わせて個別に各照明機器の照明状態を設定することができる。
【0012】
また、上述した車両状態判定手段は、自車両のドアの開閉状態を車両状態として判定することが望ましい。これにより、停車時にドアを開けた際の搭乗者の睡眠状態に応じて照明状態を設定することが可能となる。
【0013】
また、上述した車両状態判定手段は、自車両のイグニッションスイッチのオン/オフを車両状態として判定することが望ましい。これにより、停車してイグニッションスイッチをオンからオフにした際の搭乗者の睡眠状態に応じて照明状態を設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態の車室内照明制御装置の構成を示す図である。
【
図2】本実施形態の車室内照明制御装置を機能ブロックで示した構成図である。
【
図3】本実施形態の車室内照明制御装置の動作手順を示す流れ図である。
【
図4】車室内照明制御装置の動作手順の変形例を示す流れ図である。
【
図5】車室内照明制御装置の動作手順の他の変形例を示す流れ図である。
【
図6】変形例の車室内照明制御装置を機能ブロックで示した構成図である。
【
図7】
図6に示した変形例の車室内照明制御装置の動作手順を示す流れ図である。
【
図8】他の変形例の車室内照明制御装置を機能ブロックで示した構成図である。
【
図9】
図8に示した変形例の車室内照明制御装置の動作手順を示す流れ図である。
【
図10】他の変形例の車室内照明制御装置を機能ブロックで示した構成図である。
【
図11】
図10に示した変形例の車室内照明制御装置の動作手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した一実施形態の車室内照明制御装置について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、一実施形態の車室内照明制御装置の構成を示す図である。
図1に示す車室内照明制御装置100は、室内灯10F、10R、ドアスイッチ20FR、20FL、20RR、20RL、カメラ30、入出力インタフェース部(I/O IF)40、CPU50、メモリ60を備えている。この車室内照明制御装置100は、車両に搭載されており、室内灯10、12の照明状態(点灯状態、非点灯状態、減光状態)を設定する。
【0018】
室内灯10F、10Rは、車室内の所定位置に設置されており、光源とカバーレンズを含んで構成されている。例えば、一方の室内灯10Fが運転席と助手席の間の天井であってルームミラー近傍に設置されており、他方の室内灯10Rが後部座席中央の天井に設置されている。
【0019】
ドアスイッチ20FR、20FL、20RR、20RLは、車両のドアの開閉状態に応じてオン/オフされるスイッチである。例えば、ドアスイッチ20FRは、運転席側のドアを開いたときにオンされ、閉じたときにオフされる。ドアスイッチ20FLは、助手席側のドアを開いたときにオンされ、閉じたときにオフされる。ドアスイッチ20RRは、右後部座席側のドアを開いたときにオンされ、閉じたときにオフされる。ドアスイッチ20RLは、左後部座席側のドアを開いたときにオンされ、閉じたときにオフされる。
【0020】
カメラ30は、運転者以外の搭乗者(以後、「同乗者」と称する)の顔を撮像するためのものであり、天井の所定位置に設置されている。ドライブレコーダに備わったカメラをこのカメラ30として用いるようにしてもよい。また、全ての同乗者の顔を撮像できるよういに複数台のカメラ30を用いるようにしてもよい。なお、本実施形態では、同乗者が睡眠状態にあるか否かを判定するためにカメラ30によって撮像された顔画像を用いるため、車室内が暗い環境下でもこの判定が可能な程度に鮮明な顔画像が得られるようにカメラ30の感度等が設定されている。
【0021】
入出力インタフェース部40は、各種の入出力機器との間で信号(データ)の入出力処理を行う。本実施形態では、信号の処理対象となる入出力機器として、室内灯10F、10R、ドアスイッチ20FR、20FL、20RR、20RL、カメラ30の他に、車両のイグニッションスイッチ(IGSW)70やナビゲーション装置80などが含まれる。
【0022】
CPU50は、メモリ60に格納された所定の動作プログラムを実行することにより、車室内照明制御装置100としての各種の制御動作を行う。この制御動作の詳細については後述する。メモリ60は、CPU50の動作プログラムを格納するとともに、CPU50の動作に必要な各種データを格納する作業領域として用いられる。例えば、ROMやRAM等の半導体メモリによって構成されており、これら以外にハードディスク装置などを含むようにしてもよい。
【0023】
図2は、本実施形態の車室内照明制御装置を機能ブロックで示した構成図であり、メモリ60に格納された動作プログラムをCPU50で実行することにより行われる制御動作の各機能が示されている。これらの各機能には、睡眠判定部110、車両状態判定部120、照明制御部130が含まれている。
【0024】
睡眠判定部110は、同乗者の睡眠状態の有無を判定する。車両状態判定部120は、車両の状態を判定する。具体的には、車両状態判定部120は、ドアスイッチ20FR、20FL、20RR、20RLのそれぞれのオン/オフを監視することにより、ドアの開閉状態を車両状態として判定する。例えば、ドアスイッチ20FR、20FL、20RR、20RLの少なくとも一つがオンされことを検出したときに、ドアが開状態になった旨の判定が行われる。
【0025】
照明制御部130は、車両状態判定部120によって自車両が停車中に対応する車両状態(ドアの開状態)であると判定されたときに、睡眠判定部110によって判定された同乗者の睡眠状態に応じて、室内灯10F、10Rの照明状態を設定する。例えば、同乗者の中に睡眠状態の者がいる場合に、ドアが開状態になっても、車室内10F、10Rを非点灯状態に維持したり、減光状態にて点灯させるなどの制御が行われる。
【0026】
上述した睡眠判定部110が睡眠判定手段に、室内灯10F、10Rが照明手段に、車両状態判定部120が車両状態判定手段に、照明制御部130が照明制御手段にそれぞれ対応する。
【0027】
本実施形態の車室内照明制御装置100Aはこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。
【0028】
図3は、本実施形態の車室内照明制御装置100Aの動作手順を示す流れ図である。車両状態判定部120は、ドアスイッチ20FR、20FL、20RR、20RLのそれぞれのオン/オフを監視することにより、いずれかのドアが開いたか否かを判定する(ステップ100)。ドアの閉状態が継続している場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。
【0029】
また、いずれかのドアが開かれるとステップ100の判定において肯定判断が行われる。次に、カメラ30によって同乗者の顔が撮像されると(ステップ102)、睡眠判定部110は、この顔画像に基づいて各同乗者の睡眠状態を判別する(ステップ104)。例えば、各同乗者の瞼の開閉状態に基づいて、具体的には所定時間瞼の閉状態が継続している場合には睡眠状態にあると判別され、それ以外の場合には睡眠状態にないと判別される。
【0030】
次に、照明制御部130は、いずれかの同乗者が睡眠状態にあるか否かを判定する(ステップ106)。睡眠状態にない場合(同乗者全員が起きている場合)には否定判断が行われ、照明制御部130は、室内灯10F、10Rを点灯させる(ステップ108)。また、睡眠状態にある場合にはステップ106の判定において肯定判断が行われ、照明制御部130は、室内灯10F、10Rの消灯状態を維持する、あるいは減光状態で点灯させる(ステップ110)。
【0031】
このように、本実施形態の車室内照明制御装置100Aでは、自車両が停車した際に同乗者の睡眠状態に応じて室内灯10F、10Rの照明状態(オン/オフ)を自動的に設定することができるため、自車両の運転者や同乗者自身が照明状態を手動設定する必要がなく、手動設定する場合に比べて操作の煩雑さを低減することが可能となる。特に、ドアの開閉状態を車両状態として判定することにより、停車時にドアを開けた際の同乗者の睡眠状態に応じて照明状態を設定することが可能となる。
【0032】
(変形例1)
図4は、車室内照明制御装置100Aの動作手順の変形例を示す流れ図である。
図4に示した動作手順は、
図3に示した動作手順に対して、ステップ106における肯定判断の次にステップ109とステップ110Bを追加するとともに、ステップ110をステップ110Aに置き換えた点が異なっている。以下では、これらの追加あるいは置き換えられたステップに着目して説明を行う。
【0033】
いずれかの同乗者が睡眠状態にあってステップ106の判定において肯定判断が行われると、次に、照明制御部130は、運転席以外のドア(同乗者側のドア)が開いたか否かを判定する(ステップ109)。同乗者側のドアが開いた場合には肯定判断が行われ、照明制御部130は、室内灯10F、10Rを減光状態で点灯させる(ステップ110A)。また、運転席側のドアのみが開いた場合にはステップ109の判定において否定判断が行われる。次に、照明制御部130は、室内灯10F、10Rの消灯状態を維持する(ステップ110B)。
【0034】
このように、運転席側のドアのみが開いたのか、同乗者側のドアが開いたのかを区別して照明を非点灯/減光とすることにより、睡眠状態にある同乗者をできるだけ起こさないように照明状態を設定することが可能となる。
【0035】
(変形例2)
図5は、車室内照明制御装置100Aの動作手順の他の変形例を示す流れ図である。
図5示した動作手順は、
図3に示した動作手順に対して、ステップ106における肯定判断の次にステップ200、202、110Dを追加するとともに、ステップ110をステップ110Cに置き換えた点が異なっている。以下では、これらの追加あるいは置き換えられたステップに着目して説明を行う。
【0036】
いずれかの同乗者が睡眠状態にあってステップ106の判定において肯定判断が行われると、次に、照明制御部130は、一部の同乗者のみが睡眠状態か否かを判定する(ステップ200)。全ての同乗者が睡眠状態の場合には否定判断が行われ、照明制御部130は、全ての室内灯10F、10Rの消灯状態を維持する、あるいは減光状態で点灯させる(ステップ110C)。また、一部の同乗者のみが睡眠状態の場合にはステップ200の判定において肯定判断が行われる。次に、照明制御部130は、睡眠状態にある同乗者に対応する室内灯の消灯状態を維持する、あるいは減光状態で点灯させるとともに(ステップ202)、残りの同乗者に対応する室内灯を点灯させる(ステップ110D)。
【0037】
この変形例では、一方の室内灯10Fが助手席の同乗者に対応しており、他方の室内灯10Rが後部座席の同乗者に対応している。そして、助手席の同乗者が睡眠状態にある場合には、いずれかのドアが開いたときに、この助手席の同乗者に対応する一方の室内灯10Fが消灯状態あるいは減光状態に制御される。また、後部座席の同乗者が一人でも睡眠状態にある場合には、いずれかのドアが開いたときに、後部座席の同乗者に対応する他方の室内灯10Rが消灯状態あるいは減光状態に制御される。また、これらのいずれにも該当しない場合には、室内灯10Fおよび/または10Rが点灯状態に制御される。
【0038】
このように、2つの室内灯10F、10Rの点灯/減光/非点灯状態を別々に設定することにより、これら2つの室内灯10F、10Rのそれぞれの照明状態を各同乗者の睡眠状態に合わせて自動的に設定することができ、個別に操作する場合に比べて操作の煩雑さを大幅に低減することが可能となる。
【0039】
(変形例3)
図6は、他の変形例の車室内照明制御装置100Bを機能ブロックで示した構成図である。
図6に示した各機能は、
図2に示した各機能と同様に、
図1に示したメモリ60に格納された動作プログラムをCPU50で実行することにより実現される。
【0040】
図6に示す機能ブロックは、
図2に示した機能ブロックに対して、搭乗者判定部140が追加されている。この搭乗者判定部140が搭乗者判別手段に対応する。搭乗者判定部140は、同乗者が大人か子供かを判別する。同乗者が複数の場合には、各同乗者毎に大人/子供の判別が行われる。この判別は、例えば、カメラ30によって撮像された各同乗者の顔の位置(各座席の着座面からの高さ)に基づいて行う場合や、チャイルドシート使用の有無などに基づいて行う場合が考えられる。なお、本明細書で判別対象となる大人と子供の境界は必ずしも明確である必要はない。例えば、小学生までを子供とし、中学生以上を大人とするような年齢的な区別を意図するものではなく、背丈が明らかに小さい子供とそれ以外とを区別できればよい。
【0041】
図7は、
図6に示した変形例の車室内照明制御装置100Bの動作手順を示す流れ図である。
図7に示した動作手順は、
図3に示した動作手順に対して、ステップ106とステップ110の間にステップ210とステップ212を追加した点が異なっている。以下では、これらの追加したステップに着目して説明を行う。
【0042】
いずれかの同乗者が睡眠状態にあってステップ106の判定において肯定判断が行われた後、搭乗者判定部140は、各同乗者が大人/子供のいずれであるかを判別する(ステップ210)。次に、照明制御部130は、睡眠状態の同乗者の中に子供が含まれているか否かを判定する(ステップ212)。子供が含まれない場合には否定判断が行われ、照明制御部130は、室内灯10F、10Rを点灯させる(ステップ108)。また、睡眠状態の子供がいる場合にはステップ212の判定において肯定判断が行われ、照明制御部130は、室内灯10F、10Rの消灯状態を維持する、あるいは減光状態で点灯させる(ステップ110)。
【0043】
このように、同乗者が大人/子供のいずれであるかを判別することにより、同乗者が睡眠状態の子供の場合に照明を非点灯状態あるいは減光状態に制御することを、特別な操作を行うことなく実現することが可能となる。
【0044】
(変形例4)
図8は、他の変形例の車室内照明制御装置100Cを機能ブロックで示した構成図である。
図8に示した各機能は、
図2や
図6に示した各機能と同様に、
図1に示したメモリ60に格納された動作プログラムをCPU50で実行することにより実現される。
【0045】
図8に示した機能ブロックは、
図2に示した機能ブロックに対して、停車地点検出部150が追加されている。この停車地点検出部150が停車地点検出手段に対応する。停車地点検出部150は、車両の停車地点を検出する。具体的には、停車地点検出部150は、同乗者全員が降車の対象となる地点(例えば、自宅や目的地など)に停車したことや、必ずしも同乗者全員ではないが、運転者あるいは一部の同乗者が降車する可能性のある地点(例えば、コンビニエンスストアや高速道路上のパーキングエリア、サービスエリアなど)に停車したことを検出する。例えば、検出対象となる停車地点の詳細情報(登録された自宅、経路探索の目的地、コンビニエンスストアやパーキングエリア、サービスエリアなどに関する情報やこれらの地点に対する到着の有無)は、ナビゲーション装置80から送られてくるものとする。
【0046】
図9は、
図8に示した変形例の車室内照明制御装置100Cの動作手順を示す流れ図である。
図9に示した動作手順は、
図3に示した動作手順に対して、ステップ100とステップ102の間にステップ101を追加した点が異なっている。以下では、この追加したステップに着目して説明を行う。
【0047】
いずれかのドアが開かれてステップ100の判定において肯定判断が行われると、次に、停車位置点検出部150は、同乗者全員が降車の対象となる地点に到着したか否かを判定する(ステップ101)。自宅や目的地等の同乗者全員が降車の対象となる地点に到着した場合にはこの判定において肯定判断が行われ、照明制御部130は、室内灯10F、10Rを点灯させる(ステップ108)。また、到着した地点がコンビニエンスストア等の同乗者全員が降車の対象となる地点以外の場合にはステップ101の判定において否定判断が行われる。この場合にはステップ102に移行し、搭乗者の顔の撮像以降の動作が行われる。
【0048】
停車地点が自宅等なのか、コンビニエンスストアなどの自宅等以外の施設なのかによって、同乗者の睡眠状態を維持した方がよいか否かが変わってくることが考えられるため、検出した停車位置を考慮することにより、これらの状況に応じた適切な照明状態の設定が可能となる。
【0049】
(変形例5)
図10は、他の変形例の車室内照明制御装置100Dを機能ブロックで示した構成図である。
図10に示した各機能は、
図2や
図6、
図8に示した各機能と同様に、
図1に示したメモリ60に格納された動作プログラムをCPU50で実行することにより実現される。
【0050】
図10に示した機能ブロックは、
図2に示した機能ブロックに対して、搭乗者判定部140と停車地点検出部150が追加されている。これら搭乗者判定部140と停車地点検出部150のそれぞれは、
図6あるいは
図8に示したものと同じである。
【0051】
図11は、
図10に示した変形例の車室内照明制御装置100Dの動作手順を示す流れ図である。
図11に示した動作手順は、
図3に示した動作手順に対して、ステップ106とステップ110の間にステップ220、222、224を追加した点が異なっている。以下では、これらの追加したステップに着目して説明を行う。
【0052】
いずれかの同乗者が睡眠状態にあってステップ106の判定において肯定判断が行われた後、停車位置点検出部150は、同乗者全員が降車の対象となる地点に到着したか否かを判定する(ステップ220)。到着した地点がコンビニエンスストア等の同乗者全員が降車の対象となる地点以外の場合にはステップ220の判定において否定判断が行われ、照明制御部130は、室内灯10F、10Rの消灯状態を維持する、あるいは減光状態で点灯させる(ステップ110)。また、自宅や目的地等の同乗者全員が降車の対象となる地点に到着した場合にはこの判定において肯定判断が行われる。次に、搭乗者判定部140は、各同乗者が大人/子供のいずれであるかを判別する(ステップ222)。また、照明制御部130は、睡眠状態の同乗者の中に子供が含まれているか否かを判定する(ステップ224)。子供が含まれない場合には否定判断が行われ、照明制御部130は、室内灯10F、10Rを点灯させる(ステップ108)。また、睡眠状態の子供がいる場合にはステップ224の判定において肯定判断が行われ、照明制御部130は、室内灯10F、10Rの消灯状態を維持する、あるいは減光状態で点灯させる(ステップ110)。
【0053】
停車地点の内容と子供の有無を考慮することにより、これらの組み合わせに応じた適切な照明状態の設定が可能となる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、自車両が停車してドアが開いたときに室内灯10F、10Rを点灯させる場合の制御について説明したが、ドアが開いたことを検出する代わりに、自車両が停車してイグニッションスイッチがオフされたときに室内灯10F、10Rを点灯させる場合についても本発明を適用することができる。この場合には、イグニッションスイッチのオン/オフ信号(例えば、エンジン制御装置から送られてくるものとする)に応じて車両状態判定部120がイグニッションスイッチがオフされたことを判定すればよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、カメラ30によって撮像された同乗者の顔画像に基づいて同乗者が睡眠状態にあるか否かを判定するようにしたが、他の方法で睡眠状態にあることを判定してもよい。例えば、体温センサによって検出した体温が低下したことに対応して睡眠状態に入った旨の判定を行ったり、脈拍センサーによって検出した脈拍数が低下したことに対応して睡眠状態に入った旨の判定を行うようにしてもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、照明手段として室内灯10F、10Rの2つを考えたが、この室内灯は、1つ、あるいは、ドア数や最大搭乗者数に合わせて例えば4つを備えるようにしてもよい。各搭乗者に対応するように室内灯を設けた場合には、対応する搭乗者の睡眠状態に合わせて各室内灯の点灯状態(点灯/減光/非点灯)を設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
上述したように、本発明によれば、自車両が停車した際に搭乗者の睡眠状態に応じて照明状態を自動的に設定することができるため、自車両の運転者や搭乗者自身が照明状態を手動設定する必要がなく、手動設定する場合に比べて操作の煩雑さを低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
10F、10R 室内灯
20FR、20FL、20RR、20RL ドアスイッチ
30 カメラ
40 入出力インタフェース部(I/O IF)
50 CPU
60 メモリ
70 イグニッションスイッチ(IGSW)
80 ナビゲーション装置
100、100A、100B、100C、100D 車室内照明制御装置
110 睡眠判定部
120 車両状態判定部
130 照明制御部
140 搭乗者判定部
150 停車地点検出部