(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】X線コンピュータ断層撮影装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220328BHJP
【FI】
A61B6/03 321K
(21)【出願番号】P 2016253014
(22)【出願日】2016-12-27
【審査請求日】2019-11-11
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 安沙子
(72)【発明者】
【氏名】松澤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】大石 圭佑
【合議体】
【審判長】福島 浩司
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-141577(JP,A)
【文献】特開2011-240066(JP,A)
【文献】特開2006-122548(JP,A)
【文献】特開2003-052689(JP,A)
【文献】米国特許第10595811(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管とX線検出器とを装備する架台本体と、
前記架台本体をチルト可能に支持する基台と、
被検体が載置される天板を長手方向に移動可能に支持する第1支持部と、
前記第1支持部を前記長手方向に移動可能に支持する第2支持部と、
前記架台本体のチルトと前記第1支持部による前記天板の移動と前記第2支持部による前記第1支持部の移動とを制御する移動制御部と、
前記架台本体のチルト角に応じて、第1の角度範囲で前記架台本体をチルトする第1チルトモードと、前記第1の角度範囲よりもチルト角が大きい第2の角度範囲で前記架台本体をチルトする第2チルトモードとを切り替える切替部と、
を具備し、
前記第1の角度範囲は、第1の下限チルト角から第1の上限チルト角までの角度範囲を含み、
前記第2の角度範囲は、前記第1の上限チルト角から、前記第1の上限チルト角よりもチルト角が大きい第2の上限チルト角までの角度範囲であり、
前記第1の上限チルト角は、前記第1支持部の現在高さにおいて、前記第1支持部と前記架台本体とを
物理的干渉なく接近可能な所定距離だけ空けて配置することが可能な最大チルト角であ
り、
前記第2の上限チルト角は、前記第1支持部の現在高さにおいて、前記第1支持部を前記架台本体から最大限退避させた場合において、前記架台本体が前記第1支持部及び前記天板に物理的干渉なくチルト可能な最大チルト角であり、
前記第1支持部は、前記第2チルトモードにおいて、構造上、前記架台本体に物理的干渉なく前記所定距離よりも接近させることはできず、
前記移動制御部は、前記第1支持部を、前記第1チルトモードにおいて、前記架台本体に対して前記所定距離まで接近した第1位置に配置し、前記第2チルトモードにおいて、前記架台本体が前記第2の上限チルト角に到達しても前記架台本体に干渉しない第2位置に配置する、
X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記切替部は、前記架台本体のチルト角と前記天板又は前記第1支持部の高さとに応じて前記第1チルトモードから前記第2チルトモードに切り替える、請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記架台本体の下部が前記第1支持部に向かう第1方向へのチルトを指示する第1スイッチと、
前記架台本体のチルト角を計測する計測部と、を更に備え、
前記移動制御部は、前記第1チルトモードにおいて前記第1スイッチにより前記第1方向へのチルトが指示された場合、前記架台本体を前記第1方向にチルトさせ、前記計測されたチルト角が所定角度に到達した場合、前記架台本体のチルトを停止する、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記移動制御部は、前記計測されたチルト角が前記所定角度に到達する前に前記第1スイッチによるチルトの指示が終了した場合、前記第1支持部を前記架台本体に所定距離まで接近させる、請求項3記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記第1スイッチに設けられた光源を制御する光源制御部を更に備え、
前記光源制御部は、前記計測されたチルト角が前記所定角度に到達しない場合、前記光源を点灯させ、前記計測されたチルト角が前記所定角度に到達した場合、前記光源を点滅させる、
請求項3記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記切替部は、前記架台本体の前記第1方向へのチルトの停止時において前記第1スイッチにより更に前記第1方向へのチルトが指示された場合、前記第1チルトモードから前記第2チルトモードに切り替える、
請求項3記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記移動制御部は、前記第2チルトモードへの切り替え後、前記架台本体が前記第2の角度範囲にてチルト可能なように前記第1支持部を退避させて前記架台本体を前記第1方向に更にチルトする、請求項6記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
前記第1スイッチに設けられた光源を制御する光源制御部を更に備え、
前記光源制御部は、前記第1支持部が退避している間、前記光源を点滅させ、前記第1支持部の退避後において前記架台本体が前記第1方向に更にチルトしている間、前記光源を点灯させる、
請求項7記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
前記架台本体の下部が前記第1支持部に向かう前記第1方向へのチルト以外の他の動作を指示する第2スイッチと、
前記移動制御部は、前記架台本体の前記第1方向へのチルトの停止時において前記第2スイッチにより前記他の動作が指示された場合、前記他の動作を実行する、
請求項3記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
前記移動制御部は、前記他の動作が終了した場合又は前記架台本体の前記第1方向へのチルトの停止時において前記第2スイッチにより前記他の動作が指示されなかった場合、前記第1の角度範囲内において前記第1支持部を前記架台本体に所定距離まで接近させる、請求項9記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項11】
前記第1支持部及び前記第2支持部を上下動可能に支持する第3支持部を更に有し、
前記切替部は、前記第2チルトモードにおいて前記天板がスキャン不可高さまで下降した場合、前記第2チルトモードから前記第1チルトモードに切り替える、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項12】
前記移動制御部は、前記第1チルトモードへの切替後、前記天板がスキャン可能高さまで上昇した場合、前記第1支持部を前記架台本体に所定距離まで接近させる、請求項11記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項13】
前記移動制御部は、前記天板をスキャン可能高さからスキャン不可高さまでの下降が指示された場合、前記架台本体をチルト角ゼロ度までチルトさせた後、前記天板を前記スキャン不可高さまで下降させる、請求項11記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項14】
スキャンプランを選択する選択部と、
前記第1支持部及び前記第2支持部を上下動可能に支持する第3支持部と、を更に有し、
前記切替部は、前記第2チルトモードにおいて前記天板がスキャン不可高さまで下降しておらず且つ前記選択されたスキャンプランが前記第1の角度範囲内のチルト角を要する場合、前記第2チルトモードから前記第1チルトモードに切り替える、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項15】
スキャンの実行を指示する実行スイッチと、
前記第1支持部及び前記第2支持部を上下動可能に支持する第3支持部と、を更に有し、
前記切替部は、前記第2チルトモードにおいて前記天板がスキャン不可高さまで下降しておらず且つ前記架台本体のチルト角が前記第1の角度範囲内に位置している場合において前記実行スイッチによりスキャンの実行が指示されたとき、前記第2チルトモードから前記第1チルトモードに切り替える、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項16】
前記移動制御部は、前記第1チルトモードにおいて前記第1支持部の移動と前記架台本体のチルトとを交互に実行する、請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項17】
前記架台本体のチルト角が前記第1の角度範囲内にある場合、スキャン時における前記第1支持部と前記架台本体との間の距離は、第1距離に設定され、
前記架台本体のチルト角が前記第2の角度範囲内にある場合、スキャン時における前記第1支持部と前記架台本体との間の距離は、前記第1距離よりも長い第2距離に設定され、
前記第1の角度範囲と前記第2の角度範囲とは、前記天板の床面からの高さに応じて変化する、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高精細のCT画像を得るために天板のたわみを低減することが考えられる。天板のたわみを低減するための一つの方法として、天板をスライド可能に支持するフレームを架台に最大限接近させる手法がある。しかし、この手法によれば、架台とフレームとの間のクリアランスが狭まるため、動作可能なチルト角範囲が制限されてしまう。チルト角やフレームの位置等に制限を設けることにより干渉を回避することができるが、当該寝台を備えるX線コンピュータ断層撮影装置の能力を最大限に発揮することはできなくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-141577号公報
【文献】特開2013-123595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、天板のたわみを軽減しつつ架台及び寝台の位置決めを簡便に行うことが可能なX線コンピュータ断層撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線管とX線検出器とを装備する架台本体と、前記架台本体をチルト可能に支持する基台と、被検体が載置される天板を長手方向に移動可能に支持する第1支持部と、前記第1支持部を前記長手方向に移動可能に支持する第2支持部と、前記架台本体のチルトと前記第1支持部による前記天板の移動と前記第2支持部による前記第1支持部の移動とを制御する移動制御部と、前記架台本体と前記第1支持部との位置に応じて、第1の角度範囲で前記架台本体をチルトする第1チルトモードと、前記第1の角度範囲よりもチルト角が大きい第2の角度範囲で前記架台本体をチルトする第2チルトモードとを切り替える切替部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る架台と寝台との外観を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、
図1の入力回路に設けられる操作パネルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る寝台の側面を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る寝台の迫り出しを示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る架台本体と上段フレームとを側方から見た模式図に、たわみ低減モードとチルト優先モードとの角度範囲を重ねて示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る架台/寝台駆動系と架台制御回路との一構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7の架台制御回路の制御のもとに行われるたわみ低減モードの典型的な処理の流れを示す図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す処理の流れにおける架台本体、天板及び上段フレームの動きを模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、
図7の架台制御回路の制御のもとに行われるチルト優先モードの典型的な処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わるX線コンピュータ断層撮影装置を説明する。
【0008】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台10とコンソール100とを有する。例えば、架台10はCT検査室に設置され、コンソール100はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台10とコンソール100とは互いに通信可能に接続されている。架台10は、被検体PをX線CTスキャンするためのスキャン機構を搭載する。コンソール100は、架台10を制御するコンピュータである。
【0009】
図1に示すように、架台10は、開口が形成された略円筒形状の回転フレーム11を有する。
図1に示すように、回転フレーム11には、開口を挟んで対向するように配置されたX線管13とX線検出器15とが取付けられている。回転フレーム11は、アルミ等の金属により円環形状に形成された金属枠である。
【0010】
X線管13は、高電圧発生器17に接続されている。高電圧発生器17は、例えば、回転フレーム11に取付けられている。高電圧発生器17は、架台制御回路35による制御に従いX線管13に印加する高電圧を発生しフィラメント加熱電流を供給する。高電圧発生器17とX線管13とは高圧ケーブル(図示せず)を介して接続されている。高電圧発生器17により発生された高電圧は、高圧ケーブルを介してX線管13に印加される。また、高電圧発生器17により発生されたフィラメント加熱電流は、高圧ケーブルを介してX線管13に印加される。
【0011】
回転フレーム11は、回転駆動装置21からの動力を受けて中心軸AR回りに一定の角速度で回転する。回転駆動装置21としてダイレクトドライブモータやサーボモータ等の任意のモータが用いられる。回転駆動装置21は、例えば、架台10に収容されている。回転駆動装置21は、架台制御回路35からの駆動信号を受けて回転フレーム11を回転させるための動力を発生する。
【0012】
回転フレーム11の開口内には寝台23に支持された天板が挿入される。天板には被検体Pが載置される。寝台23は、例えば、2段スライド型である。寝台23は、架台/寝台駆動系25からの動力を受けて天板を自在に移動する。天板は、載置された被検体Pの撮像部位がFOV内に含まれるように天板が位置決めされる。
【0013】
図2は、架台10と寝台23との外観を模式的に示す図である。
図2に示すように、架台10は、略円筒形の開口41が形成された架台本体43を有する。架台本体43には、開口41を挟んでX線管13とX線検出器15とが設けられた回転フレーム11が収容されている。架台本体43は、床面に設置された基台45にチルト軸AT回りにチルト可能に支持されている。チルト軸ATは、回転軸ARに水平に直交する。ここで、架台本体43の下部が寝台23に近づくようにチルトする方向を+チルト方向、架台本体43の下部が寝台23から遠ざかるようにチルトする方向を-チルト方向と呼ぶことにする。
【0014】
図2に示すように、架台10の前方には寝台23が設置されている。寝台23は、天板51と上段フレーム61と支持台55とを装備する。天板51は、天板51の長軸A1が開口41の中心軸ARに平行するように配置される。上段フレーム61は、天板51を天板51の長軸A1に沿ってスライド可能に支持する。支持台55は、上段フレーム61を長軸A1に平行な軸に沿ってスライド可能な且つ長軸A1に鉛直に直交する鉛直軸A2に沿って昇降可能に支持している。支持台55は、片持ち支持構造を有する。すなわち、支持台55は、天板51及び上段フレーム61を長軸A1方向に関して片側からのみで支持する。ここで長軸A1に平行する軸をZ軸に規定し、鉛直軸A2に平行する軸をY軸に規定する。Z軸とY軸とに直交する軸をX軸に規定する。XYZ座標系は直交座標系をなす。また、以下、天板51の長軸A1に平行する方向を長軸方向又はZ方向、鉛直軸A2に平行する方向を鉛直方向又はY方向と呼ぶことにする。また、寝台23が架台10に接近する方向を+Z方向、寝台23が架台10から離れる方向を-Z方向、寝台23が上昇する方向を+Y方向、寝台23が下降する方向を-Y方向とする。
【0015】
図1に示すように、架台/寝台駆動系25は、架台10のチルト等の架台10の移動に関する駆動装置と寝台23の移動に関する駆動装置とを含む。架台/寝台駆動系25は、架台制御回路35からの駆動信号を受けて動力を発生する。架台/寝台駆動系25の詳細については後述する。
【0016】
インタロック回路27は、架台10と寝台23との可動範囲に関するモード(以下、インタロックモードと呼ぶ)をたわみ低減モードとチルト優先モードとの間で切り替える。たわみ低減モードとチルト優先モードとについては後述する。
【0017】
X線検出器15は、X線管13から発生されたX線を検出する。具体的には、X線検出器15は、2次元湾曲面上に配列された複数の検出素子を有している。各検出素子は、シンチレータと光電変換素子とを有する。シンチレータは、X線を蛍光に変換する物質である。シンチレータは、入射X線を、当該入射X線の強度に応じた個数の蛍光光子に変換する。光電変換素子は、蛍光を増幅して電気信号に変換する回路素子である。光電変換素子としては、例えば、光電子増倍管やフォトダイオード等が用いられる。なお、検出素子は、上記の通りX線を光に変換してから検出する間接検出型でも良いし、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型であっても良い。直接検出型の検出素子としては、例えば、半導体の両端に電極が取り付けられてなる半導体ダイオードを含むタイプが適用可能である。
【0018】
X線検出器15にはデータ収集回路19が接続されている。データ収集回路19は、X線検出器15から、X線検出器15により検出されたX線の強度に応じたデータ(以下、生データと呼ぶ)をビュー毎に収集する。具体的には、データ収集回路19は、例えば、検出素子毎に積分回路(図示せず)とA/D変換器(図示せず)とを有する。積分回路は、検出素子からの電気信号をビュー毎に積分する。A/D変換器は、積分された電気信号をアナログ信号からデジタル信号(生データ)に変換する。これにより、ビュー毎の生データが収集される。生データは、生成元の検出素子のチャンネル番号、列番号及び収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線の強度を示すデジタル値のセットである。生データは、例えば、架台10に収容された非接触データ伝送装置(図示せず)を介してコンソール100に供給される。なお、データ収集回路19には前置増幅器やIV変換器等の他の回路素子が実装されていても良い。データ収集回路19は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の半導体集積回路を有し、当該半導体集積回路に上記の積分回路やA/D変換器等の回路素子が実装される。
【0019】
入力回路31は、架台10及び寝台23の操作のための複数のスイッチを有する操作パネルを有する。操作パネルは、架台本体43の前面側に設けられる。入力回路31は、押下されたスイッチからの出力信号を架台制御回路35に供給する。
【0020】
図3は、操作パネル310の一例を示す図である。
図3に示すように、操作パネル310は、例えば、寝台23の操作に関する寝台スイッチSTと架台本体43の操作に関する架台スイッチSGとを有する。寝台スイッチSTとして、例えば、天板UPスイッチST1、天板DOWNスイッチST2、天板INスイッチST3、天板OUTスイッチST4が設けられる。架台スイッチSGとして、例えば、チルト+スイッチSG1、チルト-スイッチSG2が設けられる。
【0021】
チルト+スイッチSG1は、軸AT回り+方向に架台本体43をチルトさせるための機能が割り当てられたスイッチである。チルト+スイッチSG1が押下された場合、架台制御回路35は、+方向へのチルトを指示する制御信号を架台/寝台駆動系25に供給し、架台/寝台駆動系25は、当該制御信号の供給を受けて架台本体43を+方向にチルトする。チルト-スイッチSG2は、軸AT回り-方向に架台本体43をチルトさせるための機能が割り当てられたスイッチである。チルト-スイッチSG2が押下された場合、架台制御回路35は、-方向へのチルトを指示する制御信号を架台/寝台駆動系25に供給し、架台/寝台駆動系25は、当該制御信号の供給を受けて架台本体43を-方向にチルトする。
【0022】
天板UPスイッチST1は、天板51を+Y方向に移動、すなわち、上昇させるための機能が割り当てられたスイッチである。天板UPスイッチST1が押下された場合、架台制御回路35は、上昇を指示する制御信号を架台/寝台駆動系25に供給し、架台/寝台駆動系25は、当該制御信号の供給を受けて天板51を上昇する。天板DOWNスイッチST2は、天板51をD1方向に沿って下向き(-Y方向)に移動、すなわち、下降させるための機能が割り当てられたスイッチである。天板DOWNスイッチST2が押下された場合、架台制御回路35は、下降を指示する制御信号を架台/寝台駆動系25に供給し、架台/寝台駆動系25は、当該制御信号の供給を受けて天板51を下降する。天板INスイッチST3は、天板51を架台本体43に接近するように+Z方向に移動、すなわち、前進するための機能が割り当てられたスイッチである。天板INスイッチST3が押下された場合、架台制御回路35は、前進を指示する制御信号を架台/寝台駆動系25に供給し、架台/寝台駆動系25は、当該制御信号の供給を受けて天板51を前進する。天板OUTスイッチST4は、天板51を架台本体43から離間するように-Z方向に移動、すなわち、後進するための機能が割り当てられたスイッチである。天板OUTスイッチST4が押下された場合、架台制御回路35は、後進を指示する制御信号を架台/寝台駆動系25に供給し、架台/寝台駆動系25は、当該制御信号の供給を受けて天板51を後進する。
【0023】
当該スイッチSG1、SG2、ST1、ST2、ST3及びST4には光源が設けられている。各光源は、光源制御回路33からの駆動信号に従い点灯、点滅及び消灯する。なお、上記操作パネル310一例であり、搭載されるスイッチは上記に限定されず、他の如何なるスイッチが搭載されても良い。
【0024】
図1に示すように、光源制御回路33は、入力回路31に設けられたスイッチに設けられた光源に駆動信号を供給する。駆動信号としては点灯を指示する点灯信号、点滅を指示する点滅信号、消灯を指示する消灯信号が挙げられる。光源制御回路33は、架台制御回路35からの指令に従い点灯信号、点滅信号及び消灯信号を選択的に光源に供給する。
【0025】
架台制御回路35は、コンソール100により選択されたスキャンプランに従いX線CTスキャンを実行するために高電圧発生器17、データ収集回路19、回転駆動装置21及び架台/寝台駆動系25を同期的に制御する。また、架台制御回路35は、架台/寝台駆動系25を制御し、天板のたわみが少ない架台10と寝台23との位置決めを実現するために架台10と寝台23とを連動して移動させる。ハードウェア資源として、架台制御回路35は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の処理装置(プロセッサ)とROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、架台制御回路35は、ASICやフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されても良い。架台制御回路35の詳細については後述する。
【0026】
図1に示すように、コンソール100は、画像処理回路101、演算回路103、表示回路107、入力回路109、記憶回路111及びシステム制御回路113を有する。画像処理回路101、演算回路103、表示回路107、入力回路109、記憶回路111及びシステム制御回路113間のデータ通信は、バス(bus)を介して行われる。
【0027】
画像処理回路101は、ハードウェア資源として、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等の記憶装置とを有する。画像処理回路101は、前処理機能121、再構成機能123及び画像処理機能125を有する。前処理機能121において画像処理回路101は、架台10から伝送された生データに対数変換等の前処理を施す。前処理後の生データは投影データとも呼ばれている。再構成機能123において画像処理回路101は、前処理後の生データに基づいて被検体Pに関するCT値の空間分布を表現するCT画像を発生する。画像再構成アルゴリズムとしては、FBP(filtered back projection)法や逐次近似再構成法等の既存の画像再構成アルゴリズムが用いられれば良い。画像処理機能125において画像処理回路101は、CT画像に種々の画像処理を施す。例えば、画像処理回路101は、当該CT画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を生成する。
【0028】
演算回路103は、ハードウェア資源として、CPU等のプロセッサとROMやRAM等の記憶装置とを有する。演算回路103は、例えば、スキャンプラン選択機能131を有する。スキャンプラン選択機能131において演算回路103は、被検体Pを対象とするX線CTスキャンに関するスキャンプランを、ユーザによる入力回路109を介した指示に従って又は自動的に選択する。
【0029】
表示回路107は、2次元のCT画像や表示画像等の種々のデータを表示する。具体的には、表示回路107は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表すビデオ信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0030】
入力回路109は、ユーザからの各種指令を入力する。具体的には、入力回路109は、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介してシステム制御回路113に供給する。
【0031】
記憶回路111は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、記憶回路111は、CD-ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、記憶回路111は、CT画像や表示画像のデータを記憶する。また、記憶回路111は、本実施形態に係るX線CTスキャンに関する制御プログラム等を記憶する。
【0032】
システム制御回路113は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。また、システム制御回路113は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。システム制御回路113は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の中枢として機能する。具体的には、システム制御回路113は、記憶回路111に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線コンピュータ断層撮影装置の各部を制御する。
【0033】
以下、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の動作について詳細に説明する。
【0034】
まず、
図4を参照しながら寝台23の構造について説明する。
図4は、本実施形態に係る寝台23の側面を模式的に示す図である。なお、
図4において寝台23の筐体は図示していない。
図4に示すように、寝台23は、天板51、上段フレーム61及び支持台55を有する。天板51は、柔軟性を有する板状構造体である。天板51は、例えば、発泡ウレタンやカーボン等のX線透過率が比較的高い材質により形成される。
【0035】
図4に示すように、天板51は、上段フレーム61によりZ方向に関してスライド可能に支持されている。上段フレーム61は、上段フレーム61と下段フレーム63とを有する。上段フレーム61は、天板51をスライド可能であれば如何なる構造を有しても良い。例えば、上段フレーム61は、天板51を支持する頑強な枠状フレーム(図示せず)と、当該枠状フレームに設けられ、天板51をZ方向に案内する案内レール(図示せず)とを有している。上段フレーム61には、天板51をZ方向にスライドするための動力を発生する天板駆動制御装置62が設けられている。天板駆動制御装置62は、サーボモータ等の既存のモータにより実現される。天板駆動制御装置62は、架台制御回路35の制御により作動する。
【0036】
図4に示すように、下段フレーム63は、上段フレーム61をZ方向に関してスライド可能に支持している。下段フレーム63は、上段フレーム61をスライド可能であれば如何なる構造を有しても良い。例えば、下段フレーム63は、ボールねじにより実現される。下段フレーム63には、上段フレーム61をZ方向に関してスライドするための動力を発生するフレーム駆動制御装置64が設けられている。フレーム駆動制御装置64は、サーボモータ等の既存のモータにより実現される。フレーム駆動制御装置64は、架台制御回路35の制御により作動する。
【0037】
図4に示すように、支持台55は、床面に設置される。支持台55は、下段フレーム63をY方向に関して上昇又は下降しつつ架台10に対して接近又は離間することが可能な支持構造を有している。例えば、支持台55は、Xリンク65と基台67とを有する。Xリンク65は、下段フレーム63と基台67とに接続されている。基台67には、Xリンク65により下段フレーム63をY方向に関して昇降するための動力を発生する昇降駆動制御装置66が設けられている。昇降駆動制御装置66は、サーボモータ等の既存のモータにより実現される。昇降駆動制御装置66は、架台制御回路35の制御により作動する。
【0038】
次に、
図5を参照しながら、Xリンク65を搭載した2段スライド型の寝台23の迫り出しについて説明する。
図5は、寝台23の迫り出しを示す図である。
図5においては、下限高さに配置された寝台23は点線で示されており、上昇後の寝台23は実線で示されている。
【0039】
図5に示すように、Xリンク65は、X形状に枢支された一対の可動リンク651と固定リンク652とを有する。可動リンク651と固定リンク652とは、支点75を中心に回転可能に設けられている。可動リンク651と固定リンク652との各々は、例えば、略同一長さを有する一対の板状形状を有する金属板により形成される。固定リンク652の端部656は基台67に固定される。当該端部656は、例えば、締結具等により基台67に固定される。固定リンク652の他の端部655は枠状フレーム631に固定される。可動リンク651の端部654は、基台67にZ方向に関してスライド可能に支持される。可動リンク651の他の端部653は、枠状フレーム631にZ方向に関してスライド可能に支持される。
【0040】
昇降駆動制御装置66の駆動軸が順方向に回転した場合、当該回転に連動して可動リンク651が+Z方向に移動し、可動リンク651と固定リンク652とのZ方向に関する間隔を狭めることにより下段フレーム63を+Y方向に上昇させる。昇降駆動制御装置66の駆動軸が逆方向に回転した場合、当該回転に連動して可動リンク651が-Z方向に移動し、可動リンク651と固定リンク652とのZ方向に関する間隔が広がることにより下段フレーム63を-Y方向に下降させる。
【0041】
図5に示すように、下限高さにおいて下段フレーム63のZ方向に関する端部、より詳細には、下段フレーム63のZ方向に関する端部は、Z方向に関する位置PE1に配置されているものとする。上記の通り、可動リンク651の端部653は下段フレーム63にZ方向に関してスライド可能に設けられ、端部654は基台67にZ方向に関してスライド可能に設けられている。固定リンク652の端部655は下段フレーム63に固定され、端部656は基台67に固定されている。このため、可動リンク651の+Z方向への移動により、端部655は、端部656を支点とし端部655と端部656とを結ぶ直線を半径とする円弧PRに沿って移動する。当該移動の前後において下段フレーム63での端部655の位置と基台67での端部656の位置とは不動である。よって下段フレーム63のZ方向に関する端部は、+Z方向、すなわち、架台10側に迫り出す。例えば、天板が目標高さまで上昇した場合、下段フレーム63のZ方向に関する端部は、下限高さにおける位置PE1よりも架台10側に近いPE2まで迫り出すこととなる。このように下段フレーム63が架台10に向けて迫り出すことにより、上段フレーム61を架台本体43に最大限接近させることができる。
【0042】
上記の通り、架台10と寝台23とは、たわみ低減モードとチルト優先モードとの2つのインタロックモードを有している。本実施形態に係る架台制御回路35は、架台本体43と上段フレーム61との位置に応じてたわみ低減モードとチルト優先モードとを自動的に切り替える。架台本体43と上段フレーム61との距離は、具体的には、上段フレーム61の高さと架台本体43のチルト角とに基づいて決定される。これに限定されず、例えば、上段フレーム61の高さと架台本体43の左右動位置とに基づいて架台本体43と上段フレーム61との距離が決定されるとすることも可能である。
【0043】
図6は、架台本体43と上段フレーム61とを側方から見た模式図に、たわみ低減モードとチルト優先モードとの角度範囲を重ねて示す図である。
図6に示すように、架台本体43は、チルト軸AT回りに軌道PTに沿ってチルト可能に図示しない基台45により支持されている。
【0044】
たわみ低減モードは、天板51のたわみ低減のため、上段フレーム61を架台本体43に最大限接近させるインタロックモードである。たわみ低減モードは、架台本体43のチルト角がチルト角0度を含む所定の角度範囲RT1にあるときに設定される。角度範囲RT1は、チルト+方向のチルト角L1+と-方向のチルト角L1-の間の範囲に画定される。なお、本実施形態においては、架台本体43が鉛直を向く時のチルト角を0度に規定する。チルト角L1+は、接近間隔まで架台本体43と上段フレーム61とを、物理的干渉なく接近可能な最大チルト角である。接近間隔は、上段フレーム61と架台本体43とが最大限接近したときの架台寝台距離であり、ユーザ等により任意に設定可能である。すなわち、角度範囲RT1は、接近間隔まで架台本体43と上段フレーム61とを物理的干渉なく接近可能な角度範囲に規定される。たわみ低減モードにおいて上段フレーム61は、天板51のたわみ低減のため、架台本体43に最大限接近するように位置決めされる。具体的には、架台寝台距離が接近間隔に一致するように上段フレーム61と架台本体43とが位置決めされる。
【0045】
チルト優先モードは、たわみ低減よりも架台本体43のチルトを優先するインタロックモードである。チルト優先モードは、架台本体43のチルト角が角度範囲RT1よりもチルト角が大きい角度範囲RT2にあるときに設定される。角度範囲RT2は、チルト角L1+と、チルト角L1+よりも大きいチルト角L2+との間の範囲に画定される。チルト角L2+は、上段フレーム61を最大限-Z方向に退避させた場合において、架台本体43が寝台23に物理的干渉なくチルト可能な最大角度に規定される。寝台23及び架台本体43の構造上、角度範囲RT2においては上段フレーム61を接近間隔まで架台本体43に接近させることはできない。従って角度範囲RT2内のチルト角に架台本体43をチルトさせる場合、上段フレーム61が干渉の虞のない所定位置(以下、退避位置と呼ぶ)まで退避された後、目的のチルト角に架台本体43がチルトされる。
【0046】
なお、角度範囲RT1は、架台本体43と上段フレーム61とが物理的干渉なく接近間隔で接近可能な角度範囲であるので、架台10及び寝台23の構造上、上段フレーム61の高さに応じて変化する。角度範囲RT2についても角度範囲RT1同様、上段フレーム61の高さに応じて変化する。架台制御回路35は、上段フレーム61の高さ各々について角度範囲RT1と角度範囲RT2とを関連づけたルックアップテーブル(以下、角度範囲テーブルと呼ぶ)を記憶する。
【0047】
上記の通り、たわみ低減モードの角度範囲RT1において上段フレーム61は、架台本体43に接近間隔だけ隔てた位置に配置されている。チルト優先モードの角度範囲RT2において上段フレーム61は、上記退避位置に配置されている。よって本実施形態に係る架台制御回路35は、上段フレーム61の高さと架台本体43のチルト角とから上段フレーム61のZ方向位置を判定することにより、自動でインタロックモードを切り替える。これにより、ユーザに上段フレーム61の位置を意識させることなくインタロックモードを切り替えることが可能になる。
【0048】
図7は、本実施形態に係る架台/寝台駆動系25と架台制御回路35との一構成例を示す図である。
図7に示すように、架台/寝台駆動系25は、チルト駆動制御装置68、天板駆動制御装置62、フレーム駆動制御装置64及び昇降駆動制御装置66を有する。
【0049】
チルト駆動制御装置68は、架台10に設けられている。チルト駆動制御装置68は、架台制御回路35からの動作指示信号を受けて架台10をチルトする。具体的には、チルト駆動制御装置68は、チルト制御回路681、チルト駆動装置683及びチルト検出器685を有する。チルト制御回路681は、架台制御回路35からの動作指示信号を受けてチルト駆動装置683に、当該動作指示信号に対応する電力を供給する。具体的には、チルト駆動装置683に供給する電力を発生する電源回路と、チルト検出器685からの位置信号に基づいて電源回路を制御する制御回路とを有するサーボアンプである。チルト駆動装置683は、チルト制御回路681からの電力を受けて駆動して、架台10をチルトする。具体的には、チルト駆動装置683は、駆動軸の回転により動力を発生するモータである。チルト検出器685は、チルト駆動装置683の駆動軸に設けられた位置検出器である。チルト検出器685は、チルト駆動装置683の駆動軸が所定角度回転する毎にパルス信号(位置信号)を出力するロータリーエンコーダである。
【0050】
天板駆動制御装置62は、例えば、上段フレーム61に設けられている。天板駆動制御装置62は架台制御回路35からの動作指示信号を受けて天板51をスライドする。具体的には、天板駆動制御装置62は、天板制御回路621、天板駆動装置623及び天板検出器625を有する。天板制御回路621は、架台制御回路35からの動作指示信号を受けて天板駆動装置623に、当該動作指示信号に対応する電力を供給する。具体的には、天板駆動装置623に供給する電力を発生する電源回路と、天板検出器625からの位置信号に基づいて電源回路を制御する制御回路とを有するサーボアンプである。天板駆動装置623は、天板制御回路621からの電力を受けて駆動し、接続先の上段フレーム61を作動して天板51をスライドする。具体的には、天板駆動装置623は、駆動軸の回転により動力を発生するモータである。天板検出器625は、天板駆動装置623の駆動軸に設けられた位置検出器である。天板検出器625は、天板駆動装置623の駆動軸が所定角度回転する毎にパルス信号(位置信号)を出力するロータリーエンコーダである。
【0051】
フレーム駆動制御装置64は、例えば、下段フレーム63に設けられている。フレーム駆動制御装置64は架台制御回路35からの動作指示信号を受けて上段フレーム61をスライドする。具体的には、フレーム駆動制御装置64は、フレーム制御回路641、フレーム駆動装置643及びフレーム検出器645を有する。フレーム制御回路641は、架台制御回路35からの動作指示信号を受けてフレーム駆動装置643に、当該動作指示信号に対応する電力を供給する。具体的には、フレーム駆動装置643に供給する電力を発生する電源回路と、フレーム検出器645からの位置信号に基づいて電源回路を制御する制御回路とを有するサーボアンプである。フレーム駆動装置643は、フレーム制御回路641からの電力を受けて駆動し、接続先の下段フレーム63を作動して上段フレーム61をスライドする。具体的には、フレーム駆動装置643は、駆動軸の回転により動力を発生するモータである。フレーム検出器645は、フレーム駆動装置643の駆動軸に設けられた位置検出器である。フレーム検出器645は、フレーム駆動装置643の駆動軸が所定角度回転する毎にパルス信号(位置信号)を出力するロータリーエンコーダである。
【0052】
昇降駆動制御装置66は、例えば、支持台55に設けられている。昇降駆動制御装置66は架台制御回路35からの動作指示信号を受けてXリンク65を作動して天板51及び支持フレーム53を昇降(上下動)する。具体的には、昇降駆動制御装置66は、昇降制御回路661、昇降駆動装置663及び昇降検出器665を有する。昇降制御回路661は、架台制御回路35からの動作指示信号を受けて昇降駆動装置663に、当該動作指示信号に対応する電力を供給する。具体的には、昇降駆動装置663に供給する電力を発生する電源回路と、昇降検出器665からの位置信号に基づいて電源回路を制御する制御回路とを有するサーボアンプである。昇降駆動装置663は、昇降制御回路661からの電力を受けて駆動し、接続先のXリンク65を作動して天板51及び支持フレーム53を昇降する。昇降検出器665は、昇降駆動装置663の駆動軸に設けられた位置検出器である。昇降検出器665は、昇降駆動装置663の駆動軸が所定角度回転する毎にパルス信号(位置信号)を出力するロータリーエンコーダである。
【0053】
架台制御回路35は、入力回路31を介したユーザ指示、又はチルト検出器685、天板検出器625、フレーム検出器645及び昇降検出器665からの位置信号等に基づいて架台/寝台駆動系25を制御する。本実施形態に係る架台制御回路35は、具体的には、位置計測機能351、モード切替機能353及び移動制御機能355を実行する。
【0054】
位置計測機能351において架台制御回路35は、チルト検出器685、天板検出器625、フレーム検出器645及び昇降検出器665からの位置信号に基づいて天板51、上段フレーム61及び架台本体43の位置を計測する。具体的には、架台制御回路35は、チルト検出器685からの位置信号に基づいて架台本体43のチルト角を計測し、天板検出器625からの位置信号に基づいて天板51のZ方向位置を計測し、フレーム検出器645からの位置信号に基づいて上段フレーム61のZ方向位置を計測し、昇降検出器665からの位置信号に基づいて天板51及び上段フレーム61の高さを計測する。
【0055】
モード切替機能353において架台制御回路35は、位置計測機能351により計測された上段フレーム61の高さ及び架台本体43のチルト角に応じて上段フレーム61のZ方向位置を設定し、インタロック回路27によるインタロックモードをたわみ低減モードとチルト優先モードとの間で上段フレーム61のZ方向位置に応じて切替える。
【0056】
移動制御機能355において架台制御回路35は、天板駆動制御装置62、フレーム駆動制御装置64及び昇降駆動制御装置66を個別又は同期的に制御し、天板51、支持フレーム53及びXリンク65を個別又は同期的に移動させる。
【0057】
次に、たわみ低減モードにおけるインタロックモードの切り替えについて説明する。
図8は、架台制御回路35の制御のもとに行われるたわみ低減モードの典型的な処理の流れを示す図である。
図9は、
図8に示す処理の流れにおける架台本体43、天板51及び上段フレーム61の動きを模式的に示す図である。
【0058】
図8に示すように、まず、架台本体43のチルト角がたわみ低減モードの角度範囲RT1内にあり、モード切替機能353の実行により架台制御回路35は、インタロックモードをたわみ低減モードに設定しているものとする(ステップSA1)。たわみ低減モードにおいて上段フレーム61は、架台本体43に接近間隔まで接近した位置に配置されている。なお、たわみ低減モードである旨の信号は、架台制御回路35から光源制御回路33に供給される。
【0059】
ユーザによりチルト+スイッチSG1が押下され+方向のチルトが指示された場合、架台制御回路35は、フレーム駆動制御装置64とチルト駆動制御装置68とを同期的に制御し、上段フレーム61を-Z方向に退避しつつ架台本体43を+方向にチルトする(ステップSA2)。ステップSA2において上段フレーム61と架台本体43との動作タイミングは特に限定されない。例えば、架台制御回路35は、上段フレーム61の退避と架台本体43のチルトとを交互に間欠的に行うようにフレーム駆動制御装置64とチルト駆動制御装置68とを制御する。あるいは架台制御回路35は、上段フレーム61を目的位置まで退避させた後、架台本体43を上段フレーム61に接近間隔まで接近させるようにフレーム駆動制御装置64とチルト駆動制御装置68とを制御しても良い。この際、上段フレーム61の移動方向(-Z方向)とは反対方向(+Z方向)に天板51を移動させるためにフレーム駆動制御装置64と天板駆動制御装置62とを同期的に制御すると良い。これにより、上段フレーム61の移動に関わらず天板51の絶対位置を不動にすることができるため、上段フレーム61の移動前後において被検体Pの絶対位置を固定することができる。なお、架台制御回路35は、チルト+スイッチが押下されている間、上段フレーム61と架台本体43とを動作させる。
【0060】
図9に示すように、架台本体43をチルトしている間、架台制御回路35は、点灯信号を供給する。点灯信号の供給を受けた光源制御回路33は、チルト+スイッチSG1に設けられた光源を点灯させる。これにより、架台本体43が更なるチルト動作が可能であることをユーザに知らせることができる。
【0061】
ステップSA2が行われると架台制御回路35は、チルト角がたわみ低減モードの限界値L1+に到達したか否かを判定する(ステップSA3)。具体的には、架台制御回路35は、昇降検出器665からの位置信号に基づいて上段フレーム61の高さを計測し、計測された高さに対応するたわみ低減モードの角度範囲RT1とチルト優先モードの角度範囲RT2とを角度範囲テーブルから読み出す。そして架台制御回路35は、読み出した角度範囲RTの限界値L1+を特定する。架台制御回路35は、チルト検出器685からの位置信号に基づいて架台本体43のチルト角をリアルタイムで計測し、計測チルト角を限界値L1+に対して比較する。なお、たわみ低減モードにおいて限界値L1+には電子的又は機械的なストッパが設置されている。これにより架台本体43が限界値L1+以上にチルトすることが電子的又は機械的に制限される。
【0062】
ステップSA3においてチルト角がたわみ低減モードの限界値L1+に到達したと判定された場合(ステップSA3:YES)、架台制御回路35は、フレーム駆動制御装置64を制御し、上段フレーム61を所定の退避位置まで移動する(ステップSA4)。退避位置は、例えば、チルト角がチルト優先モードの限界値L2+に到達しても架台本体43に干渉しない上段フレーム61のZ方向位置に規定される。
【0063】
図9に示すように、ステップSA4において上段フレーム61を退避位置まで移動させている間、架台制御回路35は、点滅信号を光源制御回路33に供給する。点滅信号の供給を受けた光源制御回路33は、チルト+スイッチSG1に設けられた光源を点滅させる。チルト+スイッチSG1の光源を点滅させることにより、上段フレーム61がたわみ低減モードの範囲外に移動することをユーザに気づかせることができる。ユーザは、点滅しているチルト+スイッチSG1を確認することにより、当該チルト角でのスキャンにおいては天板51のたわみが顕著になり、これに伴い画質が劣化することを意識することができる。
【0064】
上段フレーム61の退避中、架台制御回路35は、上段フレーム61が所定の退避位置への退避が完了するまでチルト+スイッチが押下されているか否かを判定する(ステップSA5)。
【0065】
上段フレーム61が所定の移動量の退避が完了するまでチルト+スイッチが押下されている場合(ステップSA5:YES)、架台制御回路35は、インタロック回路27を制御し、インタロックモードをたわみ低減モードからチルト優先モードに切り替える(ステップSA6)。例えば、インタロック回路27は、限界値L1+に設定されているストッパを電子的又は機械的に解除する。これによりインタロックモードがチルト優先モードに切り替えられる。チルト優先モードにおいては限界値L2+に電子的又は機械的なストッパが設定されている。
【0066】
ステップSA6が行われると架台制御回路35は、ユーザによるチルト+スイッチSG1の押下に応答してチルト駆動制御装置68を制御し、架台本体43を+方向にチルトする(ステップSA7)。ユーザは、所望のチルト角に架台本体43が配置されたと判断するとチルト+スイッチSG1を離す。チルト+スイッチSG1の解放に応答して架台制御回路35は、チルト駆動制御装置68を制御して架台本体43を停止する。その後、確定スイッチの押下等を契機として架台制御回路35は、X線CTスキャンを実行する。
【0067】
図9に示すように、ステップSA7において架台本体43のチルトを再開している間、架台制御回路35は、点灯信号を光源制御回路33に供給する。点灯信号の供給を受けた光源制御回路33は、チルト+スイッチSG1に設けられた光源を点灯させる。
【0068】
一方、上段フレーム61が所定の退避位置への退避が完了するまでチルト+スイッチSG1が押下されていない場合(ステップSA5:NO)、架台制御回路35は、他のスイッチが押下されたか否かを判定する(ステップSA8)。他のスイッチは、チルト+スイッチSG1以外の動作制御に係るスイッチであれば如何なるスイッチでも良く、例えば、チルト-スイッチSG2や天板UPスイッチST1、天板DOWNスイッチST2、天板INスイッチST3、天板OUTスイッチST4である。
【0069】
ステップSA8において他のスイッチが押下された場合(ステップSA8:YES)、架台制御回路35は、押下されたスイッチに応じた動作を実行する(ステップSA9)。例えば、天板UPスイッチST1が押下された場合、架台制御回路35は、天板UPスイッチST1が押下されている期間、昇降駆動制御装置6を制御して天板51を上昇させる。ステップSA9においてはチルト+スイッチSG1以外の他のスイッチの操作により、天板51の位置決めが行われる。
【0070】
そして、ステップSA9が行われた場合又はステップSA8において他のスイッチが押下されていない場合(ステップSA8:NO)、架台制御回路35は、スキャンの確定スイッチの押下に応答してフレーム駆動制御装置64を制御して上段フレーム61を架台本体43に最大限接近させる(ステップSA10)。すなわち、ステップSA10の時点においてチルト角はたわみ低減モードの角度範囲RT1に位置しているため、インタロック回路27は、たわみ低減モードを維持している。この場合、架台制御回路35は、確定スイッチの押下に起因して上段フレーム61を架台本体43に接近間隔まで接近させる。その後、架台制御回路35は、X線CTスキャンを実行する。従って、他のスイッチにより天板51及び上段フレーム61が移動した場合においても、上段フレーム61を架台本体43に自動的に最大限接近させることができる。よって天板51のたわみが少ない状態にてX線CTスキャンを実行することができる。
【0071】
以上により、たわみ低減モードにおけるインタロックモードの切り替えについての説明を終了する。
【0072】
次に、チルト優先モードにおけるインタロックモードの切り替えについて説明する。
図10は、架台制御回路35の制御のもとに行われるチルト優先モードの典型的な処理の流れを示す図である。
【0073】
図10に示すように、架台本体43のチルト角がチルト優先モードの角度範囲RT2内にあり、モード切替機能353の実行により架台制御回路35は、インタロックモードをチルト優先モードに設定しているものとする(ステップSB1)。チルト優先モードにおいて上段フレーム61は、架台本体43から接近間隔以上の距離を隔てて配置されている。このような状況としては、例えば、天板51を開口41の外側に配置しているときが想定される。
【0074】
ステップSB1が行われると架台制御回路35は、天板51がスキャン不可高さまで下降しているか否かを判定する(ステップSB2)。スキャン不可高さは、具体的には、天板51が構造的制約により開口41内に挿入できない高さに規定される。チルト優先モードにおいて天板51がスキャン不可高さまで下降していない状況としては、例えば、次検査のためにストレッチャーにより搬送された被検体Pを寝台23に移し替えるときが考えられる。この場合、架台制御回路35は、入力回路109等を介した次患者への切り替え指示の入力後、新たなスキャンプランの選択を待機している。そして架台制御回路35は、選択された新たなスキャンプランに適したインタロックモードに切り替える。
【0075】
ステップSB2において天板51がスキャン不可高さまで下降していないと判定した場合(ステップSB2:NO)、架台制御回路35は、たわみ低減モードの角度範囲RT1内のチルト角を要するスキャンプランが選択された否かを判定する(ステップSB3)。たわみ低減モードの角度範囲RT1内のチルト角を要するスキャンプランとしては、換言すれば、チルト優先モードの角度範囲RT2内のチルト角を要しないスキャンプランである。例えば、腰部や頭部を対象とするスキャンに係るチルト角は、比較的大きいチルト角を要する。この場合、インタロックモードは、チルト優先モードに設定されると良い。反対に、例えば、回転フレーム11を回転させながら天板51を移動させるヘリカルスキャンや、回転フレーム11を回転させながら天板51を往復移動させるシャトルヘリカルスキャンなど天板51を奥深く挿入することを要するスキャンに係るチルト角は、比較的小さいチルト角を要する。この場合、インタロックモードは、たわみ低減モードに設定されると良い。このように、架台制御回路35は、選択されたスキャンプランに応じてインタロックモードをたわみ低減モード又はチルト優先モードにデフォルトで設定することができる。
【0076】
ステップSB3において架台制御回路35は、選択されたスキャンプランにおけるチルト角が、天板51の予定高さに対応する角度範囲RT1に含まれるか否かを判定する。そして架台制御回路35は、選択されたスキャンプランにおけるチルト角が角度範囲RT1に含まれる場合、角度範囲RT1内のチルト角を要するスキャンプランが選択されたと判定し、含まれない場合、角度範囲RT1内のチルト角を要するスキャンプランが選択されていないと判定する。
【0077】
ステップSB3において角度範囲RT1内のチルト角を要するスキャンプランが選択されていないと判定された場合(ステップSB3:NO)、架台制御回路35は、チルト角が角度範囲RT1にあるときにスキャンの確定スイッチが押下されたか否かを判定する(ステップSB4)。チルト優先モードにおいて天板51がスキャン不可高さまで下降していない他の状況としては、例えば、検査途中において一旦天板51を開口41外部に退避させるときが考えられる。この場合、架台制御回路35は、同一被検体Pに対する新たなスキャンプランの選択を待機している。そして架台制御回路35は、選択された新たなスキャンプランに適したインタロックモードに切り替える。
【0078】
ステップSB4においてチルト角がたわみ低減モードの角度範囲RT1で確定スイッチが押下されていないと判定された場合(ステップSB4:NO)、架台制御回路35は、インタロックモードをチルト優先モードに維持する(ステップSB5)。この場合、たわみ低減モードでのX線CTスキャンが想定されないのでチルト優先モードが維持されることとなる。
【0079】
一方、ステップSB3においてたわみ低減モードの角度範囲内のチルト角を要するスキャンプランが選択されたと判定された場合(ステップSB3:YES)又はステップSB4においてチルト角がたわみ低減モードの角度範囲で確定スイッチが押下されたと判定された場合(ステップSB4:YES)、架台制御回路35は、インタロックモードをたわみ低減モードに切り替える(ステップSB6)。
【0080】
ステップSB6が行われた場合、架台制御回路35は、フレーム駆動制御装置64を制御して上段フレーム61を架台本体43に最大限接近させる(ステップSB7)。その後、架台制御回路35は、たわみ低減モードにおいてX線CTスキャンを実行する。
【0081】
一方、ステップSB2において天板51がスキャン不可高さまで下降したと判定した場合(ステップSB2:YES)、架台制御回路35は、インタロックモードをたわみ低減モードに切り替える(ステップSB8)。ステップSB8の状況としては、スキャン不可高さにて被検体が天板51から下ろされ、次検査のために被検体の入れ替えがなされることが想定される。このため、インタロックモードは、デフォルトのたわみ低減モードに設定されると良い。なお、天板51をスキャン可能高さからスキャン不可高さまで下降する指示がなされた場合、架台制御回路35は、天板駆動制御装置62を制御して天板51を開口41外に退避させ、チルト駆動制御装置68を制御して架台本体43のチルト角をゼロ度に戻した後、昇降駆動制御装置66を制御して天板51をスキャン不可高さまで下降させる。従ってステップSB8において架台本体43のチルト角はゼロ度に配置されていることとなる。
【0082】
ステップSB8が行われた場合、架台制御回路35は、フレーム駆動制御装置64を制御して上段フレーム61を架台本体43に最大限接近させる(ステップSB9)。具体的には、架台制御回路35は、まず、天板UPスイッチST1の押下等に応答して天板51をスキャン可能高さまで上昇させる。スキャン可能高さは、天板51を開口41内に挿入可能な高さに規定される。天板51をスキャン可能高さまで上昇させた後、架台制御回路35は、天板駆動制御装置62とチルト駆動制御装置68とを制御して天板51及び架台本体43を位置決めすると共に、フレーム駆動制御装置64を制御して上段フレーム61を架台本体43に最大限接近させる。その後、架台制御回路35は、たわみ低減モードにおいてX線CTスキャンを実行する。
【0083】
以上により、チルト優先モードにおけるインタロックモードの切り替えについての説明を終了する。
【0084】
なお、チルト優先モードにおける処理の流れは
図10に示す流れに限定されず、種々変更が可能である。例えば、ステップSB8においてもステップSB5又SB6と同様、架台制御回路35は、スキャンプランに応じたインタロックモードを設定しても良い。また、ステップSB3とステップSB4とは順番を入れ替えても良い。
【0085】
上記の説明の通り、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台10、寝台23及び架台制御回路35を有する。架台10は、架台本体43と基台45とを有する。架台本体43は、X線管13とX線検出器15とを装備する。基台45は、架台本体43をチルト可能に支持する。寝台23は、上段フレーム61と下段フレーム63とを有する。上段フレーム61は、被検体が載置される天板51を長手方向に移動可能に支持する。下段フレーム63は、上段フレーム61を長手方向に移動可能に支持する。架台制御回路35は、移動制御機能355とモード切替機能353とを有する。移動制御機能355において架台制御回路35は、架台本体43のチルトと上段フレーム61による天板51の移動と下段フレーム63による上段フレーム61の移動とを制御する。モード切替機能353において架台制御回路35は、架台本体43と上段フレーム61との位置に応じて、第1の角度範囲RT1で架台本体43をチルトするたわみ低減モードと、角度範囲RT1よりもチルト角が大きい第2の角度範囲RT2で架台本体43をチルトするチルト優先モードとを切り替える。
【0086】
上記の構成によれば、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台本体43と上段フレーム61との位置に応じてたわみ低減モードとチルト優先モードとを切り替えることができる。典型的には、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、チルト角に応じてたわみ低減モードとチルト優先モードとを切り替えることができるので、位置決め時においてユーザは、上段フレーム61を意識せず、チルト角のみに注意を払うことができる。これにより、たわみ低減モードの存在しない従来型のX線コンピュータ断層撮影装置と同等の操作性を維持しながら天板51のたわみを低減させることができる。
【0087】
上記の実施形態においては、チルト時におけるインタロックモードの切り替えを説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。
【0088】
(変形例1)
変形例1に係る架台制御回路35は、天板51の短軸方向に関する移動時においてインタロックモードの切り替えを行う。以下、変形例1について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0089】
変形例1に係る寝台23の下段フレーム63は、更に天板51と上段フレーム61とを天板51の短軸に平行する方向、すなわち、X方向(短手方向)にスライド可能に支持する。架台/寝台駆動系25は、天板51をX方向にスライドする。架台/寝台駆動系25は、図示しないX方向のスライド(すなわち、左右動)のための短軸スライド駆動制御装置を有している。架台制御回路35は、架台/寝台駆動系25の短軸スライド駆動制御装置を制御し、X方向に天板51と上段フレーム61とを一体にスライドする。インタロック回路27は、天板51及び上段フレーム61の左右動に関するインタロックモードを第1の左右動モードと第2の左右動モードとで切り替える。第1の左右動モードは、天板51のたわみ低減のため、上段フレーム61を架台本体43に最大限接近させるインタロックモードである。第2の左右動モードは、たわみ低減よりも天板51の左右動を優先するインタロックモードである。
【0090】
変形例1に係る架台制御回路35は、チルト時と同様、位置計測機能351、モード切替機能353及び動作制御機能355を実行する。モード切替機能353において架台制御回路35は、架台本体43と上段フレーム61との位置に応じてインタロック回路27を制御し、第1の移動範囲で天板51を左右動する第1左右動モードと、第1の左右動範囲よりもX方向に関して外側の第2の移動範囲で天板51をスリューする第2左右動モードとを切り替える。例えば、天板51又は上段フレーム61が所定高さにある場合の第1の移動範囲は、アイソセンタを0cmとしたとき、X方向に関して-30cmから+30cmの範囲に画定され、第2の移動範囲は、X方向に関して-45cmから-30cmまでの範囲と+30cmから+45cmまでの範囲とに画定される。架台10と寝台23との構造上、第1の移動範囲と第2の移動範囲とは上段フレーム61の高さに応じて変化する。架台制御回路35は、上段フレーム61の高さとX方向位置とに応じてインタロックモードを第1の左右動モードと第2の左右動モードとで切り替える。
【0091】
上記の通り、変形例2に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、天板51の左右動時においても、上段フレーム61を意識せず、従来型のX線コンピュータ断層撮影装置と同等の操作性を維持しながら天板51のたわみを低減させることができる。
【0092】
(変形例2)
変形例2に係る架台制御回路35は、架台本体43のスリュー(slew)時においてインタロックモードの切り替えを行う。以下、変形例2について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0093】
変形例2に係る架台/寝台駆動系25は、架台本体43を旋回軸回りに旋回させる。当該旋回軸は、Y軸に平行する鉛直軸であり、且つ架台本体43のX軸に関する略中心部を貫くように設定される。架台/寝台駆動系25は、図示しないスリューのためのスリュー駆動制御装置を有している。架台制御回路35は、架台/寝台駆動系25のスリュー駆動制御装置を制御し、当該旋回軸回りに架台本体43をスリューする。インタロック回路27は、架台本体43のスリューに関するインタロックモードを第1のスリューモードと第2のスリューモードとで切り替える。第1のスリューモードは、天板51のたわみ低減のため、上段フレーム61を架台本体43に最大限接近させるインタロックモードである。第2のスリューモードは、たわみ低減よりも架台本体43のスリューを優先するインタロックモードである。
【0094】
変形例2に係る架台制御回路35は、チルト時と同様、位置計測機能351、モード切替機能353及び動作制御機能355を実行する。モード切替機能353において架台制御回路35は、架台本体43と上段フレーム61との位置に応じてインタロック回路27を制御し、第1のスリュー角範囲で架台本体43をスリューする第1スリューモードと、第1のスリュー角範囲よりもスリュー角が大きい第2のスリュー角範囲で架台本体43をスリューする第2スリューモードとを切り替える。例えば、天板51又は上段フレーム61が所定高さにある場合の第1のスリュー角範囲は、架台本体43がX軸方向に平行するときの旋回軸回りのスリュー角を0°としたとき、-10°から+10°の範囲に画定され、第2のスリュー角範囲は、-15°から-10°までの範囲と+10°から+15°までの範囲とに画定される。架台10と寝台23との構造上、第1のスリュー角範囲と第2のスリュー角範囲とは上段フレーム61の高さに応じて変化する。架台制御回路35は、上段フレーム61の高さと架台本体43のスリュー角とに応じてインタロックモードを第1のスリューモードと第2のスリューモードとで切り替える。
【0095】
上記の通り、変形例2に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台本体43のスリュー時においても、上段フレーム61を意識せず、従来型のX線コンピュータ断層撮影装置と同等の操作性を維持しながら天板51のたわみを低減させることができる。
【0096】
かくして、本実施形態によれば、天板のたわみを軽減しつつ架台及び寝台の位置決めを簡便に行うことが可能になる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0098】
10…架台、11…回転フレーム、13…X線管、15…X線検出器、17…高電圧発生器、19…データ収集回路、21…回転駆動装置、23…寝台、25…寝台駆動系、27…インタロック回路、31…入力回路、33…光源制御回路、35…架台制御回路、41…開口、43…架台本体、45…基台、51…一旦天板、51…天板、53…支持フレーム、55…支持台、61…上段フレーム、62…天板駆動制御装置、63…下段フレーム、64…フレーム駆動制御装置、65…リンク、66…昇降駆動制御装置、67…基台、68…チルト駆動制御装置、75…支点、100…コンソール、101…画像処理回路、103…演算回路、107…表示回路、109…入力回路、111…記憶回路、113…システム制御回路、121…前処理機能、123…再構成機能、125…画像処理機能、131…スキャンプラン選択機能、310…操作パネル、351…位置計測機能、353…モード切替機能、355…移動制御機能。