(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】車両のドア開閉操作装置
(51)【国際特許分類】
E05B 85/18 20140101AFI20220328BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20220328BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20220328BHJP
E05B 81/04 20140101ALI20220328BHJP
E05B 81/14 20140101ALI20220328BHJP
E05B 81/76 20140101ALI20220328BHJP
【FI】
E05B85/18 D
B60J5/04 H
E05B49/00 K
E05B81/04
E05B81/14
E05B81/76
E05B85/18 A
E05B85/18 B
(21)【出願番号】P 2017145287
(22)【出願日】2017-07-27
【審査請求日】2020-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【氏名又は名称】山川 雅男
(72)【発明者】
【氏名】小野 高志
(72)【発明者】
【氏名】遠山 孝生
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-221960(JP,A)
【文献】特開2013-151800(JP,A)
【文献】特開2015-90028(JP,A)
【文献】国際公開第2017/153746(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00-49/04
E05B 77/00-85/28
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア内に固定され、解錠状態のドアラッチ装置をラッチ解除操作するドア開閉操作装置であって、
ドアのアウターパネルに開設された開口から操作可能なドア内の位置に配置されて前記ドアラッチ装置のラッチ解除操作可能なラッチ解除操作部と、
前記開口を閉塞する閉塞位置からドア内に移動して該開口を開放する開放位置まで移動自在なカバー体と、
利用者の使用権限に対する認証成立を条件に前記カバー体を閉塞位置から開放位置に駆動するカバー駆動用電気アクチュエータ
とを有し、
前記カバー体には、該カバー体の外部への露出面への接触により認証動作開始スイッチとなる開扉用静電容量センサの電極が配置される車両のドア開閉操作装置。
【請求項2】
前記カバー体は、閉塞位置から開放位置を超えて、ドア内に配置される第二ラッチ解除操作部を作動させて前記ドアラッチ装置をラッチ解除操作するラッチ解除位置まで手動により回転操作可能に形成される請求項1記載の車両のドア開閉操作装置。
【請求項3】
前記カバー体が開放位置にあるときに操作可能なドア内の位置に配置され、前記ドアラッチ装置を解錠状態に遷移させるシリンダ錠を有する請求項2記載の車両のドア開閉操作装置。
【請求項4】
前記ラッチ解除操作部は、前記ドアラッチ装置をラッチ解除操作するラッチ解除用電気アクチュエータの駆動スイッチである請求項1または2記載の車両のドア開閉操作装置。
【請求項5】
前記カバー体には、該カバー体の開放位置における外部への露出部位への接触により前記カバー駆動用電気アクチュエータに対して前記カバー体を開放位置から閉塞位置に駆動する信号を生成する閉扉操作用スイッチが配置される請求項1から4のいずれかに記載の車両のドア開閉操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドア開閉操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のドア開閉操作装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、車両のドアには開口が開設され、閉じ位置と開き位置との間を回転する意匠カバーにより閉塞される。
【0003】
開口内には第1、第2の検出スイッチが配置されており、手動により意匠カバーを開口内に押し込むようにして第1の検出スイッチがON状態となるまで回転操作すると、ユーザ認証が実行され、この後、意匠カバーの開口内への押し込み操作により露出した操作部材を押し込んで第2の検出スイッチをON状態に遷移させることにより電動モータが駆動してドアラッチ装置がアンロック状態となる。
【0004】
また、バッテリ上がり等で電動モータが動かない場合には、ドアに固定されたシリンダ錠を操作して解錠状態に移行させた後、上記操作部材を押し込むことによりドアラッチ装置をアンロック状態に移行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来例において、手動により操作される意匠カバーを第1の検出スイッチの投入用部材として機能させると、例えば、意匠カバーの押し込み深さが浅いと、第1の検出スイッチがON状態に遷移しない場合があり、信頼性に欠けるという問題がある。また、第1の検出スイッチがONになるまでの意匠カバーの回転ストロークを小さくすることでこの問題を解決することができるが、この場合、開口内の手の挿入スペースが狭くなるために、第2の検出スイッチをONにするための操作部材に対する操作スペースが小さくなり、操作性が低下する。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、動作信頼性が高い車両のドア開閉操作装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
車両のドア内に固定され、解錠状態のドアラッチ装置1をラッチ解除操作するドア開閉操作装置であって、
ドアのアウターパネル2に開設された開口3から操作可能なドア内の位置に配置されて前記ドアラッチ装置1のラッチ解除操作可能なラッチ解除操作部4と、
前記開口3を閉塞する閉塞位置からドア内に移動して該開口3を開放する開放位置まで移動自在なカバー体5と、
利用者の使用権限に対する認証成立を条件に前記カバー体5を閉塞位置から開放位置に駆動するカバー駆動用電気アクチュエータ6とを有し、
前記カバー体5には、該カバー体5の外部への露出面への接触により認証動作開始スイッチとなる開扉用静電容量センサ10の電極11が配置される車両のドア開閉操作装置を提供することにより達成される。
【0009】
ドアのアウターパネル2に開設された開口3をカバー体5により覆い、ドア開放操作時にカバー体5がドア内に退避する本発明において、ドアのアウターパネル2には凹凸が形成されないために、車両の美観を向上させることが可能になる。
【0010】
また、カバー体5は認証成立を条件として駆動されるカバー駆動用電気アクチュエータ6により閉塞位置から開放位置に移動し、カバー体5のストロークを認証動作開始条件としないために、動作信頼性を向上させることができる。
【0011】
さらに、認証成立によりカバー体5はドア内に引き込まれ、アウターパネル2外部に突出することがないために、アウターパネル2からの突出寸法の規制を考慮する必要がないために、デザインの自由度を高めることができる。利用者の使用権限の認証には、利用者の所持する携帯キーから出力される認証信号を利用することができる。
【0012】
また、認証成立によって、カバー体5の開放位置への移動に加え、ドアラッチ装置1を解錠状態に遷移させるように構成することも可能であり、この場合には、カバー体5の作動はドアラッチ装置1の解錠状態への移行を示すサインともなり、以後の操作を円滑に行うことができる。反対に、カバー体5が作動しない場合には、バッテリ上がり等が想定されるために、後述する手動による操作を促すサインとしても利用できる。
【0013】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記カバー体5は、閉塞位置から開放位置を超えて、ドア内に配置される第二ラッチ解除操作部7を作動させて前記ドアラッチ装置1をラッチ解除操作するラッチ解除位置まで手動により回転操作可能に形成される車両のドア開閉操作装置を構成することができる。
【0014】
本発明において、前記カバー体5は手動によって開放位置を超えたラッチ解除位置まで回転操作可能に形成され、ラッチ解除位置までの操作により第二ラッチ解除操作部7を作動させてドアラッチ装置1のラッチを解除させることができる。
【0015】
この結果、バッテリが上がった状態であっても、緊急避難的にドア開放操作を行うことが可能になる。
【0016】
前記カバー体5の手動によるラッチ解除位置方向への移動操作は、認証成立、あるいはドアのアウターパネル2にキー挿入孔を露出させたシリンダ錠8への操作によるカバー体5への移動ロック状態の解除を条件として、悪戯等によるカバー体5の操作を完全に防止することも可能であるが、本発明のように、カバー体5への手動による開放操作を無条件に許容すると、めったにない非常時の操作に際する手順を簡単にすることが可能になるために、使い勝手が向上する。
【0017】
また、カバー体5は回転操作されるために、第二ラッチ解除操作部7への作用点とカバー体5の回転中心間の間隔を適宜に設定すると、カバー体5の手動による押し込み操作力をレバー比を利用して増大させることができるために、押し込み操作性が向上する。
【0018】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記カバー体5が開放位置にあるときに操作可能なドア内の位置に配置され、前記ドアラッチ装置1を解錠状態に遷移させるシリンダ錠8を有する車両のドア開閉操作装置を構成することができる。
【0019】
手動によるラッチ解除操作に際して必要となるドアラッチ装置1の解錠状態への移行操作には、真正な解錠キーにより回転操作可能なシリンダ錠8を使用することができる。
【0020】
シリンダ錠8は、ドアのアウターパネル2に頭部を露出させて配置することもできるが、本発明のように、閉塞位置にあるカバー体5により遮蔽され、該カバー体5が開放位置まで回転した際に操作可能となる位置に配置すると、ドア開放操作時以外はシリンダ錠8がアウターパネル2の外部に露出することがないので、ドアのデザイン自由度が向上する。
【0021】
また、ラッチ解除操作部4は、例えば、手動により操作されるレバー等であってもよいが、電気アクチュエータの駆動スイッチを配置しておくと、操作が簡単になる。
【0022】
さらに、本発明において、
前記カバー体5には、該カバー体5の外部への露出面への接触により認証動作開始スイッチとなる開扉用静電容量センサ10の電極11が配置される。
【0023】
本発明によれば、利用者がカバー体5を触れるだけで認証動作が開始され、認証成立時にはカバー体5の開放位置への移動が行われるために、使い勝手が向上し、さらに、開扉用静電容量センサ10をカバー体5の背面に配置した場合には、外部への露出を防止することが可能になるために、デザイン上の自由度が向上する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、カバー体のストロークを認証動作開始条件としないために、動作信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明を示す図で、(a)はドアパネルを正面から見た図、(b)はドア開閉操作装置の裏面図である。
【
図2】カバー体を示す図で、(a)は裏面図、(b)は(a)の2B方向矢視図、(c)は(a)の2C方向矢視図である。
【
図3】
図1の3A-3A線断面図で、(a)はカバー体が閉塞位置にある状態を示す図、(b)はカバー体が開放位置にある状態を示す図、(c)はカバー体をラッチ解除位置まで回転させた状態を示す図である。
【
図4】カバー体のカバー駆動用電気アクチュエータによる動作を示す
図1(b)の4A-4A線要部断面図で、(a)はカバー体が閉塞位置にある状態を示す図、(b)はカバー体が開放位置まで駆動された状態を示す図である。
【
図5】第二ラッチ解除操作部の動作を示す図で、(a)はカバー体を開放位置にまで回転操作させた状態を示す裏面図、(b)はカバー体をラッチ解除位置まで回転操作させた状態を示す図である。
【
図6】
図1(b)の6A-6A線断面図で、(a)はカバー体が閉塞位置にある状態を示す図、(b)はカバー体を開放操作した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1以下に示すように、ドア開閉操作装置は、ベース体13と、ベース体13に回転自在に連結されるカバー体5を有し、ベース体13をドア内に適宜手段で固定することにより車両のドアに装着される。
【0027】
カバー体5は、プレート部5aと、プレート部5aの前後両端部裏面(以後、本明細書において、車両への取付状態を基準に車長方向、すなわち、
図1(a)における左右方向を「前後」、車幅方向における車外方向を「正面」、車内方向を「裏面」とする。)から突設される脚部5bとを有し、脚部5bがベース体13に連結される。ベース体13への連結状態において、カバー体5は
図3(a)に示す閉塞位置と、
図3(c)に示すラッチ解除位置との間で回転軸(C5)周りに回転自在であり、ドアへの開放操作を行わない通常状態において閉塞位置に保持される。
【0028】
通常状態においてカバー体5を閉塞位置に保持するために、カバー体5は回転軸(C5)周りに巻装されるトーションスプリング5cにより閉塞位置側に付勢され、さらに、脚部5bから前後方向に突設される被動翼片5dが
ベース体13に搭載されるカバードライブ部14の駆動ピン14aに当接して閉塞位置側への回転ストロークが規制される(
図4(a)参照)。
【0029】
また、後述するように、カバー体5への手動操作によるドアラッチ装置1のラッチ解除操作が許容される本例において、脚部5bには、側方衝突による慣性力によりカバー体5に発生するラッチ解除位置方向へのモーメントを相殺するためのカウターウエイト(W)を装着するためのウエイト装着部5eが設けられる。
【0030】
カバー体5のプレート部5aは
図1(a)に示すように、ドアのアウターパネル2に開設された開口3とほぼ同一の正面視形状に形成され、カバー体5が閉塞位置にあるとき、上記開口3を閉塞し、この状態でドア表面は全体として凹凸のない意匠が実現される。
【0031】
また、プレート部5aの裏面中央部には、後述する開扉用静電容量センサ10の電極11が固定されるとともに、その上方には閉扉操作用スイッチ12を構成する閉扉用静電容量センサ12aの電極12bが固定される。
【0032】
上記カバードライブ部14は、カバー駆動用電気アクチュエータ6としてのモータと、ギヤ列14bを介してカバー駆動用電気アクチュエータ6により回転中心周りに回転駆動される回転カム14cとを有し、回転カム14cに上述した駆動ピン14aが立設される。
【0033】
上述したように、カバー体5が閉塞位置にあるとき、
図4(a)に示すように、カバー体5の被動翼片5dはカバードライブ部14の駆動ピン14aに当接しており、この状態からカバー駆動用電気アクチュエータ6が駆動されると、回転カムが
図4(a)において時計回りに回転する。回転カム14cの回転に伴う駆動ピン14aの移動によりカバー体5の被動翼片5dが駆動ピン14aに押され、カバー体5は反時計回りに回転する。
図4(b)は、カバードライブ部14による回転終端位置を示すもので、この位置は、
図3(a)に示す閉塞位置と、
図3(c)に示すラッチ解除位置との中間で、
図3(b)に示される開放位置に相当する。
【0034】
また、この状態からカバー駆動用電気アクチュエータ6を反転駆動して
図4(a)の状態にすると、カバー体5はトーションスプリング5cの復元力により駆動ピン14aとの圧接状態を維持しながら閉塞位置に復帰する。
【0035】
さらに、
図4に示すように、カバー体5の被動翼片5dと駆動ピン14aとは連結状態ではなく、駆動ピン14aにより被動翼片5dを押圧して駆動し、カバー体5の駆動方向への独立した移動が許容されるために、カバー駆動用電気アクチュエータ6が故障、あるいはバッテリ上がり等により動作しない場合であっても、カバー駆動用電気アクチュエータ6の抵抗を受けることなくカバー体5を手動で操作することができる。
【0036】
上記カバー体5の脚部5bには押圧部15が形成され、ベース体13には、カバー体5の回転に伴う押圧部15の移動により駆動される第二ラッチ解除操作部7が装着される。本例において第二ラッチ解除操作部7は回転軸7aによりベース体13に連結されるレバー状部材であり、連結状態において回転軸7a周りに垂直回転自在とされる。
【0037】
この第二ラッチ解除操作部7はトーションスプリング7bにより
図1(b)において時計回りに付勢されており、図外のストッパにより
図1(b)に示す初期位置に保持される。
【0038】
また、第二ラッチ解除操作部7は回転軸7aに対して一端側に被押動部7cが折り曲げられるとともに、反対端に連結部7dが設けられ、ドアラッチ装置1への伝達手段としてロッド棒が使用される本例において、連結部7dにはロッドホルダが使用される。
【0039】
さらに、第二ラッチ解除操作部7の被押動部7cは、
図3(b)及び
図5(a)に示すように、該第二ラッチ解除操作部7の被押動部7cが初期位置にある状態で、カバー体5が開放位置まで回転した際に、該カバー体5の押圧部15が当接する位置に配置される。
【0040】
この状態からさらに、カバー体5が回転操作されてラッチ解除位置に達すると、第二ラッチ解除操作部7は押圧部15に押されて
図5において反時計回りに回転し、
図3(c)、
図5(b)に示すラッチ解除位置に移行する。
【0041】
また、カバー体5の下端が背面方向に移動して開放位置に移動する本例において、ベース体13には、開口3の下端縁に沿うように、手掛け部16が形成され、該手掛け部16の中心部にラッチ解除操作部4が配置される。本例において、ラッチ解除操作部4は、長円形状の押しボタン4aを備えたボタンスイッチにより形成される。
【0042】
さらに、ベース体13にはシリンダ錠8が固定される。
図6に示すように、シリンダ錠8は、カバー体5を開放位置方向に移動させた状態で解錠キー17を挿入して回転させて、解錠操作を行うことができる位置に設置され、解錠キー17を使用した回転操作によりシリンダ錠8の後端に連結されたレバー8aを回転させることができる。
【0043】
図7に、以上のように構成されるドア開閉操作装置(A)を使用した車両のドア開閉操作システムの構成図を示す。ドア開閉操作システムは上記ドア開閉操作装置(A)に加えて車両に搭載される認証装置18、ドアラッチ装置1及びドアラッチ装置1を操作するラッチ解除用電気アクチュエータ9を有しており、これらは制御部19により適宜制御される。
【0044】
認証装置18は、車両の利用者が所持する図外の携帯キーを認証することにより利用者の使用権限を認証するもので、閉塞位置にあるカバー体5のプレート部5aへの接触が電極11に接続された開扉用静電容量センサ10により検出されると、上記携帯キーに対してリクエスト信号を出力する。リクエスト信号を受信した携帯キーはID情報を含む応答信号を出力し、ID情報が予め登録されたものと一致する場合、認証装置18は認証成立信号を出力する。
【0045】
認証装置18からの認証成立信号を受領した制御部19は、カバー駆動用電気アクチュエータ6を開方向に駆動するとともに、ラッチ解除用電気アクチュエータ9に解錠信号を出力してドアラッチ装置1を解錠状態に移行させる。
【0046】
上述したように、カバー駆動用電気アクチュエータ6の駆動により、
図4に示すように、カバー体5はドア内に引き込まれるように回転して開放位置に移動し、アウターパネル2の開口3が外部に開放された状態となる。
【0047】
カバー体5の開放位置への移動に伴って、
図6(b)に示すように、プレート部5aの上端に固定された閉扉用静電容量センサ12aの電極12bはアウターパネル2の開口3上縁に接近した位置に移動する。この状態で利用者がカバー体5の上縁部に触れ、閉扉用静電容量センサ12aにより接触が検出されると、制御部19はカバー駆動用電気アクチュエータ6を反転駆動し、カバー体5を閉塞位置に移動させる。
【0048】
上記ドアラッチ装置1は、施錠状態と解錠状態間を遷移可能で、解錠状態においてのみラッチをドアのストライカとの係止状態からストライカとの係止が解除されるラッチ解除状態に遷移することができる。上述したように、カバー体5が開放位置にあるとき、ドアラッチ装置1は解錠状態に移行しており、この状態でラッチ解除操作部4であるスイッチを押下すると、ラッチ解除用電気アクチュエータ9が駆動されてドアラッチ装置1が係止解除状態に移行する。ドアラッチ装置1の係止解除状態への移行によりパッキン等により背圧が付与されているドアはやや開放方向に移動し、この状態からベース体13に形成される手掛け部16を引くことによりドアを開放させることができる。
【0049】
さらに、上記シリンダ錠8と、第二ラッチ解除操作部7とはロッド等の適宜の伝達部材を介してドアラッチ装置1に連結され、シリンダ錠8への解錠操作によりドアラッチ装置1を解錠状態に移行させることができる。
【0050】
ドアラッチ装置1が解錠状態に移行した後、カバー体5をさらに手動により押し込んでラッチ解除位置まで回転操作すると、第二ラッチ解除操作部7は
図7において
反時計回りに回転し、ドアラッチ装置1をラッチ解除状態に移行させることができる。
【0051】
したがって、本例において、バッテリ上がり、あるいは故障等によりカバー駆動用電気アクチュエータ6等が動作しなくなっても、手動により、まず、カバー体5を押し込んだ後、シリンダ錠8を解錠操作し、ついで、さらにカバー体5を押し込むことによりドアラッチ装置1のラッチ解除操作を行うことができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ドアラッチ装置
2 アウターパネル
3 開口
4 ラッチ解除操作部
5 カバー体
6 カバー駆動用電気アクチュエータ
7 第二ラッチ解除操作部
8 シリンダ錠
9 ラッチ解除用電気アクチュエータ
10 開扉用静電容量センサ
11 開扉用静電容量センサの電極
12 閉扉操作用スイッチ